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サー・ジョン・バルビローリ(指)ニューヨーク・フィルハーモニック交響楽団 | |||||||||||||
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Barbirolli Society CDSJB-1007 |
録音年:1939年11月 ニューヨーク州ユティカ市 【モノラル・ライヴ録音】 | ||||||||||||
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※カップリング/シューマン:交響曲第4番('37) |
“トスカニーニ神話に負けず、独自の美学を貫いたバルビローリの手腕!” |
録音年代やバルビローリのイメージから、こってりとした耽溺的な演奏を想像しがちですが、実際の演奏はまさにそれと正反対。ポルタメントや即興的なアゴーギクは意外なほど登場せず、前任者のトスカニーニを思わせる直截なダイナミズムと、熱いカンタービレで埋め尽くされ、気高い精神が全編に漲っています。第1楽章は、提示部と再現部の冒頭のみ標準的なテンポですが、展開部を頂点としてテンポはかなり速く、そのテンポが一人歩きせずに確かな表情を伴って迫るのは、バルビローリにこのオケが十分心酔し切っていることの証しでしょう。第2楽章は、熱いカンタービレの応酬!特にクラリネットソロで始る中間部以降の音の凝縮力、確信に満ちたフレーズと色彩放射力は、ストコフスキーを連想させるほど。第3楽章は4分台という高速テンポ。一つ振りによるスウィング感が、見事に華やぎ醸し出しています。終楽章の逞しい造形力にも、一部の隙もありません。最後にはバルビローリらしい凝りに凝ったテンポ設定が登場しますが、これが実に見事に決まり、不思議と時代掛かった臭いを感じさせずに、この曲にふさわしい大団円を築いています。トスカニーニという巨人の後を受けてのバルビローリの抜擢は、必ずしも大歓迎というわけではなかったそうですが、これを聴く限り、強力なコンビネーションが完成されていると感じずにはいられません。この終楽章は、短縮版を採用しています。音の良さも、年代からして信じられないほどです。一部にパチパチというノイズ(第1楽章と第2楽章の各冒頭くらい)が混入し、第3楽章の冒頭では、なぜか電話のベル音が聞こえる(どんな会場なんでしょう?)ハプニングもありますが、擬似ステレオ的な効果と程よい残響の付加が見事に功を奏し、自然な臨場感が得られ、色彩のニュアンスまでリアルに伝わってくるのですから、有難い限りです。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | テンポ自体は中庸だが、クラリネットも弦もフレージングが即興的で、表情が極めて濃厚。音価は決して一定ではない。クラリネットの色彩も裕だが、。それ以上に、弦の発言力が絶大。フォルテの指示を忠実に守ることで、弱音一辺倒のすすり泣きを回避。 |
ツボ2 | クラリネット&ファゴットのフレージングが後ろ髪を引かれる様に粘る。 |
ツボ3 | 予想に反し、ポルタメントは掛けないが、実に甘美。 |
ツボ4 | このスラーの箇所でのデリケートな風合いが印象的。 |
ツボ5 | これまた意外!前の部分から敢然とインテンポで直進。スフォルツァンドは考慮せずにそのままクレッシェンドするので、独特の推進力を生んでいる。 |
ツボ6 | animatoの箇所で少しテンポを落とす程度。ここもスフォルツァンドを無視して一直線だが、無機質にならず、音が結晶化している。 |
ツボ7 | カラフル!古い録音からこれほど華やぎを感じるのは驚異!展開部では更に、ビシッとキマる。 |
ツボ8 | かなり強拍を強調しているので、一段と推進力が増している。強弱の振幅は大きくとらず、常に強音気味で輝かしさを表出。 |
ツボ9 | 前のテンポが相当速いが、ここから更に速める。しかも16分音符が明確に立ち上がって聞こえる!この後、更に加速して、最後に徐々にリタルダンドして終わる。 |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 弦の導入は弱音にこだわらず、意志の強さを漲らせた濃密なフレージング。ホルンも味わい深く心に染みる。ヴィブラートが強いが、嫌味ではない。 |
ツボ11 | ここもインテンポだが、表情がふくよか。 |
ツボ12 | 素朴な味わい。テンポは特に変えていない。 |
ツボ13 | 強靭なピチカート!しかしすぐにディミニュエンドを開始し、アルコのフレーズがやや強めに決然と飛び込むこのコントラストの妙!ストコフスキー的な色彩が横溢。テンポの急緩も絶妙。 |
ツボ14 | ここからテンポを一段落として、深い呼吸で見事な頂点を築く。テンポ変動と呼吸が見事に一体化している。 |
ツボ15 | 濃厚で充実した響きのカンタービレ。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | 一瞬ガクッとテンポを落として吹き始める。 |
ツボ17 | 弦が走り気味だが、楽しい音の大パノラマ! |
ツボ18 | かなり歯抜けで笑える。 |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 最初の弦の響きの充足感が見事。風格も万全。テンポは標準的。 |
ツボ20 | ホルンはほとんど裏方に徹している。 |
ツボ21 | ティンパニは最初に一山を築き、一打加えてからトレモロ。テンポは平均的なものだが、響きは凝縮され、見事な緊張をかもし出す。突く |
ツボ22 | 多少アクセントが付く。 |
ツボ23 | 210小節から再現部の315小節までをカット。6年後のロジンスキー&NYO盤でも同じ箇所していた。 |
ツボ24 | 〃 |
ツボ25 | 〃 |
ツボ26 | 〃 |
ツボ27 | 直前でテンポを落としておいて、その倍のテンポで始める。436小節からもとのテンポに戻る。452小節と454小節で、ティンパニに一打追加あり。これもロジンスキーと同じ。 |
ツボ28 | 本来の音価よりかなり長い。 |
ツボ29 | 弦も風格美満点だが、トランペットの符点リズムがパーフェクト!バルビローリらしいこだわりを感じる。 |
ツボ30 | 弦もトランペットも音を切る。 |
ツボ31 | よく聞き取れないが改変はしていないものと思われる。501〜503小節まで、空前絶後のテンポ・ルバート!その後の超高速テンポがこれによって引き立たせている。その後のテンポ設定も絶妙の極み!。 |
ツボ32 | 良く鳴っている。このモルト・メノ・モッソ(9:54)からは再び荘重なテンポに切り替え、次第にアッチェレランドする。 |
ツボ33 | 最後の4小節でまたもやテンポを落として、格調高く終える。 |
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