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チャイコフスキー:交響曲第5番
アルトゥール・ロジンスキー(指)ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ: アラン・シヴィル
ビクター
MVCW-14010
(2CD)
録音年:1954年10月2〜3日 ロンドン・ワルサムストウ・ホール  【モノラル録音】
演奏時間 第1楽章 14:13 / 第2楽章 13:21 / 第3楽章 6:30 / 第4楽章 10:24
※カップリング/チャイコフスキー:交響曲第4番、交響曲第6番「悲愴」
“ロジンスキーの音楽作りの志向性がこの1曲に凝縮!”
男性的な力感に溢れた素晴らしいチャイ5です。よく聴くと、NYO盤でも感じ取れたニュアンスがそのまま踏襲されているのに気付きますが、その効果と意味深さは桁違いで、ロジンスキーの持ち前の統率力にオケも完全意味を委ね、一部の隙もない強固な音像を確立されています。長い音価は短めに、短い音価は更に短めに弾かせる傾向が強く、それが一層、安易な感傷を退ける役割を果たしているのも特徴的です。特に感動的なのは、第2楽章の中間部、クラリネットソロが登場以降!内声が極めて緊密に絡み合い、深い陰影を湛えながら、結晶化しきったフレーズが熱く流れます。第3楽章の意外なメランコリーも印象的。しかし、それでもリズムの芯の強靭さはしっかり確保。終楽章では、ロジンスキーのダイナミズムの真髄がたっぷり堪能できます。弦、管、共に輝かしく、相当の大音量で圧倒し続けますが、音色の統一も見事に図られ、煩さを感じません。なお、ここでも短縮版を採用しています。録音は概ね良好ですが、後半2楽章の方が臨場感があるように思われます。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットのフレーズが水平に流れず。リズムの刻みに重点が置かれているようだ。色彩感は乏しい。テンポは標準的。
ツボ2 快妙な弦の刻みに続いて、クラリネットとファゴットが楽天的に飛び出す。
ツボ3 カラッと上昇。
ツボ4 ここもあっさりしている。
ツボ5 この第2主題から、一段テンポを落とし、透徹したフレージングを聴かせる。116小節の冒頭同様、120小節の冒頭でもスフォルツァンドにしている。すぐ後にもスフォルツァンドの標記があるので、120小節もそれに連動させる意味で処理したのだろう。
ツボ6 ここのフレージングも高潔。この後のピチカートが凄みを効かせる。
ツボ7 物凄い強靭なピチカート!
ツボ8 意地でもインテンポを通すが、無機質にならず、充実した響きで高貴な雰囲気を漂わせる。
ツボ9 ロジンスキーのダイナミズムと音の凝縮力が最高に発揮された瞬間!速めのインテンポで、素晴らしい突進。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦は、やや強めの音量で、しっかりと厚みをもたせ、威厳を持って響く。残響が少ないので雰囲気が出ないが、丹念にフレーズを紡ぎ出している。技術も安定。音色的にもシヴィルと思われる。
ツボ11 素晴らしい高揚。響きの凝縮力満点。
ツボ12 クラリネット、ファゴット共に哀愁を漂わせ、しかも品格も保たれている。素晴らしいセンス!弦に移行してからのフレージングの陰影も見事。
ツボ13 このピチカートも強力。フォルテ気味で弾かせ、決意表明のように堂々と鳴り響く。その後のフレーズも、中味の濃い演奏。
ツボ14 超感動的!呼吸の持久力、フレージングの陰影、フォルテ4つの極限の高潮など、全てが高次元。ロジンスキーが決して杓子定規なフォルムにこだわっているのではないことを如実に示している。
ツボ15 ヴァイオリンと低弦部の対話が濃密!
第3楽章のツボ
ツボ16 かなりテンポを落とし、そのテンポを長く引っ張る。
ツボ17 各パートがしっかり発言。
ツボ18 強力に連鎖。
第4楽章のツボ
ツボ19 テンポは標準的。威厳がある。
ツボ20 木管とホルンはほぼ同等のバランス。厚い低弦のうねりが印象的。
ツボ21 最初に壮絶なクレシェンドを掛けて長く引っ張り、音量を落としてから弦が熾烈に切り込む。テンポは標準的だが、凄み十分。
ツボ22 多少アクセント気味。
ツボ23 210小節から再現部の315小節まで演奏カット。NYO盤セル&ケルンRSO盤などと同じ。
ツボ24              〃
ツボ25              〃
ツボ26              〃
ツボ27 434〜435小節の2小節間だけ一旦テンポを落とし、この436小節からもとのテンポに戻る。骨太の音で凝縮度が高く、緊迫感が凄い。NYO盤で452小節と454小節で聴かれたティンパニの追加はなし。
ツボ28 本来の音価より長め。最後にティンパニの一撃追加あり。
ツボ29 やや速めのテンポで堂々の行進。弦の切込みが激しく、勇壮そのもの。運命動機も輝かしい。
ツボ30 弦もトランペットもきっぱりと音を切る。特にトランペットの切り方には、逞しい精神力が漲る。
ツボ31 改変なし。503小節で、sfffを強調して激情を煽る。これを生かしているのはアバド&BPOなど、ごくわずか。NYOでは中途半端だった。
ツボ32 良く鳴っている
ツボ33 ストレートなインテンポだが、重心が低く、ずしりと響く。最後の4つのティンパニも確実にキマっている。


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