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チャイコフスキー:交響曲第5番
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指)ナショナル交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
ERATO
2292-454152
録音年:1988年10月 ワシントン・ケネディ・センター 【デジタル録音】
演奏時間 第1楽章 15:54 / 第2楽章 11:56 / 第3楽章 :5:54 / 第4楽章 :12:15
※カップリング/序曲「1812年」
“再録音で成し遂げたかったものは何か?”
なぜロンドン・フィルとのあれほど素晴らしい録音がありながら再録音を行ったのか、全く理解できません。各楽章のタイミングも2〜3分づつ短くなっているというのは、いくらなんでも変わり過ぎで、なるべくスタイリッシュに楽譜に忠実であろうと試みたのでしょうが、残念ながらそのことに縛られて、音楽的表現が何もできずに終わってしまった感じです。下記の“ツボ”ごとに聴くと、LPO盤以来のこだわりやオケが共感していることが分かる瞬間もないこともないのですが、通して聴くのはしんどいものがあります。このオケの奏者の音楽的センスが良くないのかもしれませんし、録音があまりにも臨場感に欠けるものなので、そのようにしか聞えないのかもしれませんが、聴き手は聞こえてくるもので判断するしかないのですから仕方ありません。終楽章の軽薄さに至っては、怒りさえ覚えます!
第1楽章のツボ
ツボ1 弦が分厚い響きで支えられて、クラリネットも太い音色で奏でるが、色彩も表情も乏しい。テンポは標準的で、リズムも粘らない。
ツボ2 テンポはやや遅め。クラリネットとファゴットのブレンド感に多少ムラがある。主題が弦に移ってからは、リズムが機械的で、その上、スタッカートを強調しすぎて流麗な流れを妨げてしまっている。
ツボ3 デリカシーが感じられない。
ツボ4 楽譜に忠実にフォルティッシモの弧を描いているが、やや恣意的に響く。スラーで繋がった8分音符も楽譜どおりだが、優しさは感じられない。
ツボ5 LPO盤同様、スフォルツァンドをしっかりこなしているが、響きがキツい。その後、濃厚なアゴーギクを見せる。
ツボ6 それなりに歌い込んでいるが、胸に迫ってこない。
ツボ7 全くズレのない正確なピチカート。しかし、その後も音楽的な表情が漂ってこない。
ツボ8 前の部分からほとんどテンポを変えない。この部分は、弦の響きが充実し、強弱の配分も細やかで、生きた表情が感じられる。
ツボ9 テンポ変動なし。16分音符はかすかに聞こえる。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦は、遅いテンポで、聞えないくらいのピアニシシモで始るのはLPO盤と同じだが、表情が湧き出てこない。ホルンは、弦と溶け合おうというそぶりを見せず、一人できれいに吹くことに専念。
ツボ11 なんという浅い呼吸!
ツボ12 クラリネットは巧いが、立ち上がりが明確過ぎて感興を欠く。続く、ファゴットの安っぽい響きはどうしたことか?
ツボ13 弱い音丁寧に弾かれるが、体温が感じられないのが不気味。
ツボ14 ティンパニは鈍く、エネルギーの高揚が感じられない。ここからかなり速めのテンポに激変して突っ走るが、リズムは完全に上滑り。LPO盤との差が大きすぎる。
ツボ15 弱音で丁寧に引いている程度。何を怖がっているのだろう?
第3楽章のツボ
ツボ16 一度目だけ不器用にテンポを落とす。
ツボ17 ここから急に速くなるのが不自然。小回りがよく効いている。
ツボ18 特徴なし。
第4楽章のツボ
ツボ19 標準的なテンポによる教科書的な演奏。
ツボ20 ホルンはほとんど裏方。オーボエの音が美感を欠いている。
ツボ21 最初にクレッシェンドして、その音量のまま最後まで通すのはLPO盤と同じだが、布団の中でモゴモゴ言っているような音で、トレモロの意味を成していない。続く弦も全く無感動。74小節から全ての音をテヌートで弾かせるのもLPO盤同様。
ツボ22 ほとんど無視。
ツボ23 よく聞こえるが力感がない。
ツボ24 ほとんどテンポは変えていない。
ツボ25 お願いだから休んでいて欲しい!
ツボ26 TempoTの直前でテンポを落として、提示部冒頭のテンポに落ち着く。一貫して遅めのテンポのLPO盤とは当然処理が異なる。
ツボ27 「きわめて速く」は採用せず、遅めのテンポで進むが、緊迫感が皆無。451小節と453小節で、ティンパニに一音追加している。LPO盤の思い出に浸ってみたかったのか?
ツボ28 本来の音価より長め。
ツボ29 リズム打ちがいかにも軽い。LPO盤同様、弦のフレージングにに明確なメリハリ処理がなされている。
ツボ30 弦、トランペットもレガートには違いないが中途半端。
ツボ31 改変なし。
ツボ32 良く鳴っているが、美しくない。
ツボ33 インテンポで終結。


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