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レオポルド・ストコフスキー(指)フィラデルフィアO | ||||||||||||
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| Biddulph WHL-015 |
録音年:1934年11月12日 【モノラル録音】 原盤:Victor (U.S.A.) 8589/94[M-253] | ||||||||||||
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| 大序曲「1812年」、無言歌Op.40-6、「再びもとのように孤独で」Op.73-6 | |||||||||||||
| “ストコフスキー版「チャイ5」の原点!” |
| ストコフスキーは、これ以降この作品に生涯こだわり続けることになりますが、この時点で、スコアに追加する楽器とその箇所、声部のバランス配分に対するアイデアは、ほとんど出来上がっていたことが分かります。一方で、テンポと強弱をどのように設定し、いかにこの作品を一層輝かしく蘇らせるか、特にその点に関しては、多くの芸術家の常であるように、死ぬまで納得いくものを見出せなかったのではないのでしょうか?聴けば聴くほど、他の録音とは似ているようで異なる解釈が頻出し(その為にこのページの完成に要する時間も膨大!)、まずはその飽くなき探究心に改めて頭が下がります。 第1楽章展開部の最後で低弦を強烈に迫り出させたり、同再現部冒頭のファゴットを展開部の結尾から先行して吹かせるなどのアイデアは、後年の録音でも一貫して実行していますが、その他の箇所は試行錯誤の痕が感じられ、その取捨選択の基準をどこに置いていたのか、いろいろ想像するのも一興でしょう。ただ、一見奇抜と思える数々のアイデアの源は、どこにあったのでしょう?この録音を聴くと、やはり当時の録音技術の限界に立ち向かおうとするストコフスキーの意欲がそうさせたのではないかと思えてならないのです。言うまでもなく、実際に録音現場で鳴っている音楽と録音された音楽の色彩やスケール感のギャップに対し、当時の演奏家は妥協するしかなかったわけですが、その点でストコフスキーはその録音技術に積極的に介入し続けただけではなく、演奏の面からもあらゆる手段を用いて作品の素晴らしさをリスナーに届ける使命感を果たし切った人だったと痛感するのです。これは後年の有名なステレオ録音しか知らなかったら気づかなかったことでしょう。 また当時のフィラデルフィア管の弦の魅力と、その艶やかさを徹底的に生かしたピチカートの感触の素晴らしさを味わえる点でもこの録音は貴重。ストコフスキーの演奏のトーンを決定付ける特徴の一つであるあの強靭なピチカートの出発点も見出すことができます。l |
| 第1楽章のツボ | |
| ツボ1 | 主題結尾の付点2分音符のクレッシェンドは既に実行。太く濃厚な色彩の志向もこの頃既に確立していたことが分かる。21小説の冒頭のピアニッシモを無視。28小節のスフォルツァンド直前でもクレッシェンドを挿入。低弦はかなり増強していると思われる。 |
| ツボ2 | 最初の弦の刻みはほとんど8分休符は無視して、後ろ髪を引かれるようなテヌートで開始。木管はかなり明瞭。 |
| ツボ3 | 極めて甘美な上行ポルタメントも盛り込みながら敢行。虚弱の振幅をスコアの指示以上に細かく挿入。 |
| ツボ4 | 甘く切ない歌いまわしに対し、結尾のスタッカートが強いコントラストを持って響く。後の録音で行われる76〜79小節をカットはここでは行われない。その後、第2主題が現れるまでイン・ンテンポ。 |
| ツボ5 | 直前でのアッチェレランドではやや縦の線がずれる。冒頭のスフォルツァンドは強調せず、強弱の揺れもむしろスコアの指示よりも少ないほどだが、時代がかった自然発生的なポルタメントのせいで、十分に流麗。この部分は、まだ後年ほどコンセプトが確立していないように思われる。 |
| ツボ6 | ここでのニュアンスも、ポルタメント以外はごく標準的なスタイル。強弱やテンポの変動も大きなデフォルメはない。注目すべきは144小節から。ホルンの合いの手のように答える弦の付点4分音が心底デリカシーを込めて歌いぬくその素晴らしさ! |
| ツボ7 | ここから少しテンポを上げるが、前の部分との強烈なコントラストは見せない。156小節から弦のフレーズで大きくテンポを落とすのは後年まで一貫したスタイル。 |
| ツボ8 | フレージング自体はいたって素直。テンポの緩急の幅も最小限にとどめているが、なんと心と血の通ったフレージングだろう。 |
| ツボ9 | 冒頭の16分音符はもちろん不明瞭。高速で疾走しつつ、503小節に入る直前で一旦テンポルバートするのは後年も見られる手法だが、音を引き伸ばしとクレッシェンドはここでは行っていない大。結末の入念勝つ濃密なニュアンスはストコフスキーの独壇場。 |
| 第2楽章のツボ | |
| ツボ10 | 弦の導入の弱音は決して痩せておらず、色彩の余韻を感じながら進行。第2ヴァイオリンの入りの自然さむ含めて味わい深い。ホルンがまた素晴らしく、一貫して安定した弱音を保ちつつ、憂いのある表情が絶えることがない。 |
| ツボ11 | 録音上の制約があるので、圧倒的なスケール感は望めないが、直前の最後の金管の音を瞬間的にクレッシェンドすることで、感覚的な浮揚感を表出!大音量をそのまま捉えきれない録音のハンデを回避するためのストコフスキー独自のアイデアかもしれない。 |
| ツボ12 | クラリネットもファゴットも即興的な味を出しているようで実はストコフスキーの強い統制力も感じさせる。クラリネットの9連音は、何度聞いても9以上あるように聞こえる。 |
| ツボ13 | ピチカートの艶やかな響かせ方は、ストコフスキー独自の色彩力を最も端的に示している部分だが、ここでは若干表情が淡白で意思が不徹底か。 |
| ツボ14 | 聞き取りにくいが、後年にも現れる、フォルテ4つの頂点でのトランペットによる機関銃のような連続音の付加と、165小節の8分音符を倍の音価への引き伸ばしは、この時点で実行。 |
| ツボ15 | 後年にはさらにきめの細かい表情を見せた録音もあるが、最もストレートに人間臭い表情を表出したのはこの録音かもしれない。 |
| 第3楽章のツボ | |
| ツボ16 | 若干ぎこちないが、テンポ・ルバートあり。その後のアゴーギクも安定しないが、ファゴットの力量のせいだろうか? |
| ツボ17 | もたつき皆無、潤滑油満点の弦のスピード感は後年まで一貫。アクセントの位置も同様にご注目! |
| ツボ18 | これはあらゆる点で理想的な出来栄え!クラリネットとファゴットの融合のみならず、後年まで敢行し続けたストコフスキー独自のアイデアも、最も音楽的に結実した録音!225小節で、チェロの・ソロだけを最後まで引き伸ばすのと、主題が回帰する241小節の木管をフォルテで吹かせる演出は、ストコフスキーが狙ったと思われる色彩的な魅力が存分に感じられる。 |
| 第4楽章のツボ | |
| ツボ19 | ストコフスキー流レガートの魅力満点。テンポは標準的。20小節で唐突にフォルティッシモ、21小節で急激にピアニッシモにするのは後年まで一貫。 |
| ツボ20 | ホルンはほとんど裏方。注目すべきは、テーマに含まれる2つの16分音符の吹かせ方。32分音符の縮め、それによって、テーマ全体が軽くスウィングする。古いスタイルの録音に稀に聴かれるスタイルだが、ここでは時代のなせる技というよりも、ストコフスキーの明確な意図を感じさせる。ちなみに、その徹底ぶりに差こそあれ、これは後年の録音においても見られる現象である。 |
| ツボ21 | 他の録音に見られる、52〜54小節のカットはここでは行なっていないが、56〜58小節を弦のみへの変更は実施。主部の開始は超低速。ティンパニはクレッシェンドを行わず一定音量でトレモロを続けるが、ほとんど表面には出ない。70小節冒頭で大太鼓の一撃は追加あり。 |
| ツボ22 | 完全に無視。184〜199小節までカット。 |
| ツボ23 | コントラバスはことさら強調していない。 |
| ツボ24 | 主部冒頭よりやや速いテンポ。 |
| ツボ25 | ほとんど聞こえない。 |
| ツボ26 | ほとんどテンポ変動なし。 |
| ツボ27 | インテンポ。 |
| ツボ28 | 469〜472小節をカット。 |
| ツボ29 | 475小節の頭を完全にスタッカートにして、きりっとした響きを徹底表出。 |
| ツボ30 | 他の録音同様、トランペット以外の管楽器パートを全てカット。その分、響きが急激に薄くなることは否めないが、リズムのエッジが鮮明に立ち上がり、孤軍奮闘するようなニュアンスを醸し出している。弦もトランペットも明確にスタッカートにして音を切っている。 |
| ツボ31 | 499小節から501小節にかけては、トランペットを完全休止(もしくは最弱音)。502小節ではフルートを強調。503小節から少し音量を弱めてからクレッシェンド。504小節冒頭で、大太鼓の一撃を追加。 |
| ツボ32 | 明瞭。548〜549小節をスラーで繋ぐ。 |
| ツボ33 | ごく普通のプレストといった感じで、テンポの上ではこれといった細工は見られない。557〜559小節をカット。最後の2小節はテンポを落とすが、重量感は感じられない。 |
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