管弦楽曲S〜リヒャルト・シュトラウス
レーベルと品番、ジャケット写真は管理人が所有しているものに拠っていますので、現役盤と異なる場合があります。

R.シュトラウス/R.STRAUSS

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」、シューベルト:交響曲第3番、
ワイル:交響曲第1番、モーツァルト:アリア「君と別れても、おお娘よ」、アリエッタ「御てに口づけすれば」
ウォルフガング・サヴァリッシュ(指)LSO 1973年8月8日 ステレオ録音
Orfeo
606031
“!”
一回のプログラムとしては実にバラエティに富んだプログラムですが、どの曲もロンドン響とのコンビネーションでなければ実現しなかったと思われる積極的な主張が感じられる名演ばかりです!なかでも「ティル」は、サヴァリッシュが「ここまでやるか!」と思わせるほど濃厚な表情を縦横に張り巡らせ、LSOの万全の機能性と共に説得力が尋常ではありません!冒頭の弦の導入の強弱がこんなに繊細かつ自然にニュアンスを伴って迫る演奏は少なく、ホルン・ソロも弱音から始めて遠近感を表出し、他のパートは芯から音が熱し切り、クラリネットのティルの主題もユーモアたっぷり。それも軽薄ではなく、太い筆致で強固な皮肉を湛えています。続く各場面の克明な描き分けも迫真の表情で、副主題(3:47)からのフレージングと響きの熟成には格調美すら漂います。その後半の低弦の強靭な張り出しにも驚愕!中盤の盛り上がりは、ホルンの遠吠え(タックウェル?)が凄まじい勢いで襲い掛かかると、さらにヒートアップ。裁判のシーンでは、熱さも最高潮に達し、サヴァリッシュの微妙な間合いのセンスとLSOの完璧なアンサンブルがさらに緊張を煽るのです。表面的な雰囲気に流されず、どこまでも生々しく、かつ強固な造型を崩さないこの演奏は、多くの「ティル」の録音の中でもなかなか並ぶものはないと思います。それにしても、何がここまでLSOのやる気を掻き立たせたのでしょう。シューベルトもスタジオ録音を上回る入念なニュアンスに溢れています。導入から表情が濃く、リズムはキリッと際立ち、確かな手ごたえを感じさせますが、この曲特有の軽妙な楽しさと交響曲としての格調を同時に兼ね備えた演奏として注目していただきたい逸品です。サヴァリッシュといえば「生真面目」という形容がぴったりの人ですが、その真面目さから来る窮屈さもここにはなく、伸びやかに音が呼吸しているのは、やはりLSOのやる気満々ぶりが効を奏しているのではないでしょうか?第3楽章も凄まじい勢い!ワイルのアヴァンギャルドな沸き立ちも、サヴァリッシュイメージを覆すのに十分な凄さ!打楽器群の鳴りっぷりも印象的です。全盛期のフィッシャー・ディースカウが歌うモーツァルトも、サヴァリッシュ同様、アグレッシブでありながらしなやかで、声自体の瑞々しも魅力。1973年と決して最近の録音ではないですが、音質が極めて鮮明なのも特筆ものです!

「ツァラトゥストラはかく語りき」、「ドン・ファン」、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」
サー・チャールズ・マッケラス(指)RPO 1993年 デジタル録音
ALLEGRIA
221006
“作曲者も思いも寄らなかったであろう驚異の解像力と色彩の妙!!”
「ツァラ」は、感覚的な磨きが完璧な上に、呼吸の深さと陰影の濃さ、音圧が尋常ではありません!5曲目の着地点が見えない流線型のフレーズが息長く漂う様子、6曲目後半の色彩の嵐、8曲目ワルツの全声部総動員の華やぎは前代未聞です!「ドン・ファン」と「ティル」は、この20年前にLPOと録音していますが、2曲とも以前より演奏時間短くなっているのに、スケールと表情の濃さが極限まで増しています。妥協のない鳴りは相変わらずで、リズムの切れ、場面転換の素早さにも唖然とするばかりです。特に「ティル」後半、主題をクラリネット・ソロが絶叫するシーンの生々しさは戦慄が走ります。

交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
ジョルジュ・プレートル(指)フィルハーモニアO、
デイヴィッド・ベル(Org)、クリストファー・ウォーレン・グリーン(Vn)
1984年 デジタル録音
BMG
7733-2RV
“!”
(廃) プレートルはドイツ音楽の中でも特にR・シュトラウスを得意としていますが、この演奏はあまりにも説得力絶大!冒頭のティンパニの強打の響きの良さにまず驚ろかされ、それが他のパートに埋没せずに灼熱度を高め、地殻変動を引き起こすような壮絶なパワーで鳴り渡る様は、他に類例がありません!クレンペラー以降、フィルハーモニア管がこれほど意欲を全開させた演奏も珍しいのではないでしょうか。第2曲の弦楽合奏が次第に厚みを増してく過程での生命感の増幅ぶり、第3曲冒頭の入念なフレージングには一切妥協がなく高潔の極み!文字通り「大いなる憧れ」を具現化した稀少な例として忘れられません。プレートルがこの録音を生半可な気持ちで望んだのではないことは第4曲「歓喜と情熱について」でも明らか。激烈なダイナミズムが潔癖なアンサンブルから大きな衝撃を伴って溢れ出し、後半ティンパニのレスポンスに象徴されるように、ズベテノ血肉を注ぎ込んだ熱いうねりの連続です!「舞踏の歌」はプレートルの香り高いリズムのセンスが全開。そして音色の何と艶やかなこと!プレートル、恐るべし!

交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」 +シューベルト:交響曲第9番「グレート」
ヨーゼフ・クリップス(指)ウィーンSO 1972年 ステレオ・ライヴ録音
ORFEO
234901
“徹底的にウィーン流儀!数少ないクリップス晩年の至芸!”
強烈な解釈を施さずに、素朴な佇まいを大切にするクリップスのこだわりが美しく開花!「ティル」は、何もしていないようでいて、確実に聴き手の笑みを誘う雰囲気は、まさにクリップスの本領。トゥッティで鳴らし切る際も一切飾り気なし。最高潮直前(11:57)では、ここぞとばかり大見栄を切りますが、これがまた絶妙な味!シューベルトも現代的な機能美とは無縁の懐かしさが一杯。第2楽章はアンダンテの意味を再認識させる軽妙な足取り。終楽章では徐々に加熱し、遂にコーダで凝縮力が頂点に!

交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」、ブラームス:交響曲第3番
ディミトリ・ミトロプ^−ロス(指)アムステルダム・コンセルトヘボウO 1958年 モノラル・ライヴ録音
ORFEO
458971
“極限の燃焼!超人ミトロプーロスのザルツブルク・ライヴ!!”
音楽の呼吸と完全一体化した伸縮自在なフレージングと、大スケールを誇るミトロプーロスの棒に、オケが一心不乱で臨んだ驚異のライヴ゙。「ツァラ」は有名な冒頭部から常軌を逸したパワーを大噴射!フォルティッシモの異常な激昂とピアニッシモの透徹した美しさと、そのコントラストは人間業とは思えませず、無意味に響く音などどこにも存在しません!特にロマン派以降の作品において、自分自身の作品のように没入し切って、核心部分を露骨なまでに抉り出し、比類ない感動をもたらしてくれるミトロプーロスですが、この曲などはまさにその典型と言えるでしょう。、ブラームスでも、激変するテンポと血の躍動が渾然一体となり、壮絶な迫力で圧倒。第3楽章の悲哀も心に染みるどころか底無しの悲痛さです!ベイヌム存命中のコンセルトヘボウOの巧さも特筆もの。音質もモノラルながら良好です。