湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


バロック以前・新譜速報1


※発売済のアイテムも含めて、約3ヶ月間掲載しています。
※新しい情報ほど上の段に記載しています。
※表示価格は全て税込みです。



MIRARE
MIR-668(1CD)
ブクステフーデ:救世主〜受難と復活のカンタータ集
1. Jesu, meines Lebens Leben(イエスは我が生命の生命) BuxWV62
2. Furwahr, er trug unsere Krankheit(げに彼は我らの病を負い)BuxWV 31
3. Ich bin die Auferstehung(我は蘇りなり) BuxWV44
4. Laudate pueri(主をほめたたえよ)BuxWV 69
5. Befiel dem Engel, das er komm(来たれと天使に告げて言え) BuxWV10
6. Quemadmodum desiderat cervus(鹿の谷川を慕いあえぐがごとく) BuxWV92
7. Herr, ich lasse dich nicht(主よ、我汝を去らじ) BuxWV36
8. Herzlich lieb hab ich dich, o Herr(心より我汝を愛す、おお主よ) BuxWV41
リチェルカール・コンソート
フィリップ・ピエルロ(指&ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ハンナ・バヨディ=ヒルト、イェツァベル・アリアス(S)
ダヴィド・サガストゥム(A)
ユーゴ・イマ(T)
マティアス・ヴィエヴェグ(Bs)

録音:2022年10月10-15日
ピエルロ率いるリチェルカール・コンソートの新譜はブクステフーデ。キリストの受難と復活を主題にしたカンタータを中心に選曲されています。劇的かつ慰めの 柔らかさもあわせもつサウンドは、聴き手をこの世の苦しみから解き放ってくれるようです。柔らかく、かつ鮮烈、そして自然な音楽に魅了される1枚です。レオナ ルド・ダ・ヴィンチ作とされる同名の絵画がジャケットに使用されています。

BIS
BISSA-2663(1SACD)
ウィリアム・バードの名誉
ウィリアム・バード(c.1540-1623):
(1)「汝詩人の友よ(Thou poet’s friend)」
(2)4声のイン・オミネ第1番
(3)「哀れなアルビヌス(Wretched Albinus)」
(4)6声のファンタジー第2番
(5)「白百合とともに(With lilies whites)」
(6)5声のファンタジー:ブラウニング「木々の葉は青く(Browning ‘The Leaves be Greene’)」
(7)「この心地よく楽しい五月(This sweet and merry month of May)」
(8)「おお主よ、御身のしもべエリザベスを女王に(O Lord, make thy servant, Elizabeth)」
(9)「すべて海のように(All as a sea, the world no other is)」
(10)5声のファンタジー
(11)「悲しみよ、永遠にわれに来たれ(Come to me, grief, for ever)」
(12)「セレンジャーのラウンド(Sellenger’s Round)(arr. F. H. Mountney and Walter Bergmann)」
(13)「幸なるかな主を恐れる者(Blessed is he that fears the Lord)」
(14)「なぜ私は神とインクとペンを使うか(Why do I use my paper, ink and pen)」
(15)6声のファンタジー第1番
(16)「ああ、おろかな魂よ!(Ah silly soul!)」
(17)「主に向かいて高らかに喜べ(Rejoice unto the Lord)」
(18)4声のファンタジー第1番
(19)「汝、聖なるミューズよ(Ye sacred Muses)」
チェリス・ヴィオール・コンソート
【イブラヒム・アジズ(トレブル・ヴィオール 、テナー・ヴィオール) 、アリソン・キンダー(トレブル・ヴィオール 、テナー・ヴィオール) 、ケイト・コンウェイ(テナー・ヴィオール) 、サム・スタドレン(テナー・ヴィオール 、バス・ヴィオール)、 ジェニファー・ブロック(バス・ヴィオール) 、ハリー・バーコック(テナー・ヴィオール)(4)(15)】
ヘレン・チャールストン(Ms) (1) (3) (5) (7) (8) (9) (11) (13) (14) (16) (17) (19)

録音:2022年11月7〜9日/セント・マーティン教会、イースト・ウッドヘイ、ハンプシャー、イングランド
「信仰と女王と国と友人たちを讃えた」イギリスの音楽家ウィリアム・バードの歿後400年の記念アルバム。イギリスを代表するプレーヤー を集めて結成されたアンサンブル「チェリス・ヴィオール・コンソート」(チェリス・コンソート・オブ・ヴァイオルズ)によるコンソート曲と、メゾ・ソプラノのヘレン・ チャールストを加えたマドリガルなどの声楽曲が演奏されています。
このコレクションでは、バードの音楽とそれぞれの作品に反映された「人としてのバード」に焦点をあてることがめざされました。「献身的なカトリックの信仰を もちながら、その信仰を違法にしたプロテスタントの女王に気に入られ、深く考えることのできるまじめな性格でありながら、鋭いウィットとユーモアをもつ。師で あり友であったトマス・タリスを失い、個人的な、深く心に訴える音楽を寄せた忠実な友人」。それぞれの音楽とその背景にある「誇り高きイギリス人」の姿が探ら れていきます。ライナーノート(英語、ドイツ語、フランス語)をメンバーのアリソン・キンダーが手がけ、それぞれの曲とバードのつながりを述べています。
ソロを歌うヘレン・チャールストは、2018年のロンドン・ヘンデル歌唱コンペティションで第1位を獲得、2021年から2023年の「BBC ニュージェネレーショ ン・アーティスト」のひとりに選ばれました。サンフランシスコのフィルハーモニア・バロックO、ベルリン古楽アカデミー、ロンドンのガブリエリ・コンソート、 スコットランドのドゥネディン・コンソートなど、イギリスと世界のクラシカル音楽シーンの最前線で活動。2022年に「BBC プロムス」にデビュー、ウィグモア・ホールのリサイタルも行っています。『パーセル・ファンタジア』(BISSA-2583)につづく、チェリス・ヴィオール・コンソートの新録音です。 (Ki)

RICERCAR
RIC-450(1CD)
アントワーヌ・ゴスワン:作品集
アントワーヌ・ゴスワン(またはアントニウス・ユソニウス、1546頃-1598頃):
1. Ist keiner hie, der spricht zu mir ここじゃ誰も俺に話しかけないのか(器楽による演奏)
2. Eolo crudel come turbasti l’onde 風の神アイオロスよ、おまえは容赦なく波を荒立て
3. Missa ferialis, Kyrie キリエ 〜『平日のミサ曲』より(器楽による演奏)
4. Laetatus sum わたしは嬉しいのです
5. Der Wein, der schmeckt mir also wohl ワインほど旨いものはない
6. Im Land zu Wirtenberg so gut ヴュルテンベルク公の土地は素晴しく(器楽による演奏)
7. Vatter unser im Himelreich 天にまします我らが父よ
8. Ich ruf zu dir Herr Jesu Christ 我は汝に呼ばわる、主イエス・キリストよ
9. Missa invidiosa amor, Agnus Dei アニュス・デイ 〜『“嫉妬深き恋人よ”によるミサ曲』より
10. Missa cognovi Domine, Kyrie キリエ 〜『“お気に留めてください、主よ”によるミサ曲』より
11. Im Maien hort man die Hannen kreen 五月、雄鶏の啼き声が聞こえ
12. Qual meraviglia se mi piacqu’il boscoなんと素晴しい、森で楽しみを見つけられたなら
13. Non trovo cosa alcuna s'io non pago 何も手には入らないんだ、俺が金を払わなきゃ
14. Missa ferialis, Sanctus サンクトゥス 〜『平日のミサ曲』より
15. Frohlich zu sein ist mein Manier / Wer frisch will sein陽気でいるのが俺の流儀さ/快適でいたい者は(器楽による演奏)
16. Missa cognovi Domine, Sanctusサンクトゥス 〜『“お気に留めてください、主よ”によるミサ曲』より
17. Die Fasnacht ist ein schone Zeit 謝肉祭こそは麗しき季節(器楽による演奏)
18. Ad te levavi oculos meos わたしはあなたを見上げ
19. Vor Zeiten was ich lieb und werth かつてはわたしも親切で裕福だったが
ル・ミロワール・ド・ミュジーク(声楽&古楽器アンサンブル)【ミリアム・トレヴィザン(S)、ザビーネ・ルッツェンベルガー、テッサ・ロース(Ms)、イヴォ・アウン・デ・オリヴェイラ、ジェイコブ・ローレンス(T)、ティム・スコット・ホワイトリー(Bs)、クレール・ピガニオル(ゴシックハープ、トリプルハープ)、アリエノール・ヴォルテーシュ(ルネサンス・ヴァイオリン)、エリザベス・ラムジー、ブライアン・フランクリン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、マルク・レヴォン(シターン、ヴィオラ・ダルコ)、カタリナ・アンドレス(ボンバルド、テノール・ドゥルツィアン)、ジルケ・シュルツェ(バス・ドゥルツィアン)、エティエンヌ・アスラン(木管コルネット)、ヘンリー・ヴァン・エンゲン(サックバット)】
バティスト・ロマン(ルネサンス・ヴァイオリン&指揮)

録音:2022年10月 サン=レジェ教会、ライメン(フランス東部アルザス地方)
ルネサンス後期、16世紀後半に活躍したフランドル楽派のゴスワンは、現在のフランス語圏ベルギー東部にあたるリエージュ司教領で生まれ 育ち、巨匠ラッススに見出されミュンヘンのバイエルン選帝侯宮廷の音楽家となりました。その後ケルン選帝司教の宮廷のあるボンにも活動 拠点を得、さらにニュルンベルクで幾つかの曲集を出版しています。リエージュ司教領にも近いマーストリヒトやスロヴェニア、オーストリア南部な どでも写本が見つかっており、さらにヴェネツィアで出版されたマドリガーレ集アンソロジーにも曲が含まれているところからも生前の高い名声が 窺えます。この録音はゴスワン一人に捧げられた極めて珍しいアルバムで、マルク・レヴォンやエリザベス・ラムジーら中世と初期ルネサンスに通 じた精鋭古楽プレイヤーたちが妥協のない作品解釈でその魅力を網羅的に紹介。ミュンヘンの宮廷では16世紀の時点でヴァイオリン奏者と して記録もされているゴスワンの活動を、初期ヴァイオリン研究の先端をゆくバティスト・ロマン(英訳も添えられたライナーノートの執筆者でも あります)を含む演奏陣の解釈で聴けるのも頼もしいところ。ガンバやバロック・ヴァイオリンとも一味違うルネサンス期の羊腸弦楽器の響きを 得て、多声の世俗曲も教会音楽もひときわ生々しい響きで味わえます。

CPO
CPO-555475(2CD)
NX-D11
カール・ハインリヒ・グラウン(1704-1759):歌劇「アウリスのイフィゲニア」 イフィゲニア…ハンナ・ツムザンデ(S)
ダイダミア…サンタ・カルニーテ(S)
クリュテムネストラ…ジュヌヴィエーヴ・チュミ(Ms)
アナクシメネス…テリー・ウェイ(A)
アキレス/長老…ミルコ・ルートヴィヒ(T)
セルシテス…アンドレアス・ハイネマイヤー(Bs)
アガメムノン/長老…ドミニク・ヴェルナー(Bs)
バロックヴェルク・ハンブルク(古楽器使用)
イラ・ホッフマン(指)

録音:2021年3月11-13日
世界初録音
フリードリヒ2世に重用され、プロイセンの宮廷楽長を務めたカール・ハインリヒ・グラウン。その作品群の録音に熱心に取り組んでいるcpoレーベルから、オペラ 「アウリスのイフィゲニア」の世界初録音が登場。この作品はグラウンが特に高い評価を得ていたイタリア語のオペラ・セリアで、ギリシャ悲劇の一つ、ギリシャ軍 の総大将アガメムノンのためにその娘イフィゲニアがアルテミスへの生贄となる物語を題材としています。 1731年にハンブルクで上演された後、楽譜が散逸して上演機会を失っていましたが、ハンブルク所縁の作品に取り組むバロックヴェルク・ハンブルクとイラ・ ホッフマンにより復活。レチタティーヴォと3曲の合唱等の楽譜は失われたものの、序曲と35曲ものアリアなど残存する素材から再構築し、すぐれた歌手陣に よって充実した音楽を聴くことができます。
CPO
CPO-555594(3CD)
NX-G11
アンリ・デマレ(1661-1741):歌劇「シルセ」 シルセ…ルシール・リシャルド(Ms)
ユリス…アーロン・シーハン(T)
アステリー…テレサ・ワキム(S)
エルフェノール…ジェシー・ブルムバーグ(Br)
アマンダ・フォーサイス(S)
ダグラス・ウィリアムズ(Bs-Br)
ミレイユ・ルベル(Ms)
ジェイムズ・リーズ(T) 他
ボストン古楽音楽祭O(古楽器使用)
ロバート・マーリー(指)
ポール・オデット&スティーヴン・スタッブス(音楽監督)

録音:2022年8月7-19日
アンリ・デマレはルイ14世時代のフランス楽壇で高く評価され、1687年にリュリが世を去るとその後継者の一人と目されました。「シルセ」は1694年の 作品。先輩リュリが打ち立てた抒情悲劇のスタイルでドラマティックかつ格調高く書かれており、色彩豊かなオーケストラも魅力です。当盤と同じく 2022年に録音されたセバスティアン・デラン指揮の盤が最近リリースされるなど、欧米でにわかに注目を集めている模様。 当盤は、ボストン古楽音楽祭とブレーメン放送とcpoの共同制作により、ブレーメンで2週間近くをかけて収録したもの。フランスの中堅メゾ・ソプラノ、 ルシール・リシャルドが題名役を熱唱し、アメリカのテノールでグラミー賞を受賞したアーロン・シーハンらと共演しています。本拠ボストンでは2023年6 月に上演が予定されています。
CPO
CPO-555578(1CD)
NX-B02
ハンザ同盟の古都の音楽 第1集
 ヨハン・フィーアダンク (1605-1646):
1. Der Herr Zebaoth ist mit uns
 Ander Theil Geistlicher Concerten,1643
 2人のソプラノ、2人のテノール、管楽、弦楽と通奏低音のために
2. Das ist ein kostlich Ding
 Erster Theil Geistlichen Concerten,1641
 2人のソプラノ、バスと通奏低音のために
3. ソナタ4声
 Ander Theil darinnen … Capricci, Canzoni vnd Sonaten,1641
 2つのヴァイオリン、2つのツィンクと通奏低音のために
 カルパー・モヴィウス(1610-1671):
4. Schaffe in mir, Gott, ein reines Herz
 Triumphus Musicus,1640
 4声部からなる2つの合唱のために
5. Gott ist unser Zuversicht und Starke
 4声部からなる2つの合唱のために
 フィーアダンク
6. カプリッチョ イ短調
 Ander Theil darinnen … Capricci, Canzoni vnd Sonaten,1641
 2つのヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のために
7. ソナタ ニ短調
 2つのツィンク、3つのサクバットと通奏低音のために
 オイハリウス・ホフマン(1540頃-1588):
8-11. Kompositionen fur Stralsunder Honoratioren (XXIIII Cantiones,1577)
 8. Fur Thomas Brandenburg:Doce me, Domine
 9. Fur Heinrich Busch:Cantabo Domino
 10. Fur Joachim Ketel:Vigila super nos
 11. Fur Heinrich Hagemeister:Desine ab ira
12. Ich suchte des Nachts
 Ander Theil Geistlicher Concerten,1643
 5つの声部、2つのヴァイオリンと通奏低音のために
13. ソナタ ニ短調
 Ander Theil darinnen … Capricci, Canzoni vnd Sonaten,1641
 ツィンク、3つのサクバットと通奏低音のために
14. Meine Harfe ist zur Klage worden
 Erster Theil Geistlichen Concerten,1641
 4つの声部と通奏低音のために
 モヴィウス:
15. In dich hab ich gehoffet, Herr
 Hymnodia Sacra,1639
 2人のソプラノ、バスと通奏低音のために
16. Mein Gott, warum hast du mich verlassen?
 2人のソプラノ、バスと通奏低音のために
 フィーアダンク
17. Ich beschwore euch
 Ander Theil Geistlicher Concerten,1643
 ソプラノ、アルト、テノール、5部の弦楽と通奏低音のために
18. Ich freue mich im Herren
 Hochzeitskomposition1643
 4つの声部と弦楽、管楽と通奏低音のために
ヨーロッパ・ハンザ・アンサンブル(古楽器使用)
マンフレート・コルデス(指)

録音:2022年6月7-9日
cpoの新シリーズ「ハンザ同盟の古都の音楽」がスタート。第1集はシュトラールズントです。シュトラールズントは13世紀にハンザ同盟に加入し、14世紀から 15世紀にかけて栄えました。その歴史地区はヴィスマールの歴史地区とセットでUNESCO世界遺産に指定されています。 このアルバムには同地で17世紀に活躍した作曲家たちの器楽曲と宗教的声楽作品が収録されています。声楽も器楽もヴィルトゥオーゾ的な扱いがなさ れ、当時の演奏水準の高さをうかがわせます。ヴァイオリンに加え、サクバット、ツィンクなどが初期バロックに相応しい音彩を添えています。この分野の第一人 者マンフレート・コルデスとヨーロッパ・ハンザ・アンサンブルによる演奏で。

Linn
CKD-684(1CD)
カール・シュターミッツ(1745-1801):フルート、ヴァイオリンとチェロ(または2つのヴァイオリンとチェロ)のための6つの三重奏曲 Op.14
三重奏曲 第1番ト長調
三重奏曲 第2番ハ長調
三重奏曲 第3番ヘ長調
三重奏曲 第4番ト短調
三重奏曲 第5番へ長調
三重奏曲 第6番イ長調
ラポテオーズ(古楽器使用)【ラウラ・ケサダ(フラウト・トラヴェルソ)、ビクトル・マルティネス(Vn)、カルラ・サンフェリクス(Vc)、アシス・マルケス(Cemb)】

録音:2022年3月28-31日ナショナル・センター・オヴ・アーリー・ミュージック、ヨーク、UK
バロック後期とウィーン古典派の間にあって、ドイツ語圏の器楽の発展に大きく貢献したマンハイム楽派の中心人物ヨハン・シュターミッツを父 に持ち、自身ヴァイオリンやヴィオラ・ダモーレの名手としても活躍しながらヨーロッパ各地を渡り名声を博したカール・シュターミッツ。ボッケリーニ やチマローザと同世代のこの実力派が、高まる名声を英国やオランダに伸ばそうとしていた時期にロンドンで出版された作品14の三重奏曲 集を、ここではチェンバロ入りの編成による古楽器演奏で全曲堪能できます。元の楽譜はフルート、ヴァイオリン、チェロ(または2つのヴァイオリ ンとチェロ)で演奏するようにできており低音部に数字は付されていませんが、鍵盤楽器は英国やオランダの音楽愛好家たちも好んで使った 楽器で、当時の絵にもチェンバロを加えて室内楽に興じる人々の姿が頻繁に描かれています。チェンバロを通奏低音楽器として加えることに よりアンサンブルは煌びやかで安定感が生まれ、チェロがソロとして立ち回る場面もより効果的に聴こえるのが頼もしいところ。現代楽器では 伝わりにくい音色対比や響きの溶けあいが作品の魅力を一段と引き立て、スペインの古楽器奏者たちによる巧みな演奏と相俟って、カー ル・シュターミッツの他の作品も改めて聴いてみたくなる面白さが秘められた1枚になっています。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0066(1CD)
スカルラッティ父子のカンタータとソナタ
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『行け、わが溜め息』H.53
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ト短調 K.108
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『ここにようやく落ち着いて』H.618
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ へ短調 K.466
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『行け、わが溜め息』 H.54
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『蝶はさまよい』 H.256(ドメニコ・スカルラッティのソナタ 嬰へ短調 K.25、ト短調 K.450、嬰へ短調 K.67を含む)
テンタ・ラ・フーガ[アリス・デュポール=ペルシエ(S)、ペトル・スカルカ(Vc)、ディルク・ヴェルナー(Cemb)]

録音:2021年11月23-26日スイス、バーゼル、ヴァルデンブルク
スカルラッティ一族の中でも特に有名な音楽家として知られているアレッサンドロ・スカルラッティとその息子ドメニコ・スカルラッティ 。アレッサンドロはナポリ楽派の中心的存在で、オペラ、オラトリオ、カンタータなどの声楽曲で高く評価されていました。一方ドメニコは、主にス ペインで書かれた多くの鍵盤曲で名を残しています。このアルバムでは父のカンタータと息子の鍵盤曲を組み合わせ、ひとつの作品であるかのように演奏。書法の 違いがありつつもどこか親和性のある世界が生まれています。 (Ki)

ACCENT
ACC-24395(1CD)
クヴァンツ:フルート協奏曲集
協奏曲 ト短調 QV5:196
協奏曲 ニ短調 QV5:86
協奏曲 イ短調 QV5:236
協奏曲 ト長調 QV5:173
フランク・トインス(フラウト・トラヴェルソ)
レ・ビュッファルダン

録音:2011年10月/アントワープ、AMUZ
2012年に発売された同内容のCD(ACC-24258、廃盤)の再発売です。
バロック・フルートの名手フランク・トインス&レ・ビュッファルダンによるクヴァンツのフルート協奏曲集。2012年に生誕300周年を迎えたフリードリヒ2世 のフルートの師であったことから、近年再注目の動きが熱いクヴァンツ。彼の作品は随所に散りばめられたロココ調の典雅な装飾が美しく、技巧性に富んだ旋律の 数々には聴き応えがあります。本アルバムでは、比較的多く演奏される協奏曲ト長調(QV 5:174)ではなく、むしろト長調(QV5:173)を収録していることに 注目。近年知名度が上がったとはいえ、クヴァンツの作品のみを収録したアルバムはまだまだ少なく、希少な名盤といえましょう。
フランク・トインスはクイケンにバロック・フルートを学び、アニマ・エテルナ、ラ・プティット・バンドのメンバーとしても活躍する名手。レ・ビュッファルダンは、 トインスが創設したバロック・アンサンブル団体。ドイツのフルート・ソナタ集(ACC-24194)に引き続き、今回もドイツ・バロックに焦点を当てた新譜となります。 (Ki)

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0069(1CD)
ヨハン・ゴットリープ・ヤニッチュ(1708-1763):室内楽作品集
フルート、オーボエ、ヴァイオリンと通奏低音のための室内ソナタ ニ長調 『こだま』
フルート、オーボエ、ヴィオラと通奏低音のための室内ソナタ ハ短調
フルート、ヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のためのソナタ ト長調 Op.1-2*
オーボエ・ダモーレ、2つのヴィオラと通奏低音のための室内ソナタ ホ短調 *
オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のための四重奏曲 ト短調 『血潮したたる』
フライタクスアカデミー

録音:2022年5月22-24日/チューリッヒ放送スタジオ
*世界初録音
音楽に造詣が深くフルートの名人だったフリードリヒ大王のもとには、多くの音楽家が集まりました。ヤニッチュもまた大王の宮廷楽団に在籍していた作曲家で、 ここで「金曜アカデミー」なるものを開催し、中流階級の人々にも宮廷音楽を聴かせる場を提供していました。ここから名をとった古楽アンサンブル「フライタクス アカデミー」による、ヤニッチュの四重奏作品集です。
ヤニッチュは対位法の大家として名を知られた作曲家であり、その実力が遺憾なく発揮された4声体書法が味わえます。同時にフルートやオーボエと弦の色彩の 対比が鮮やかで、ギャラントな性格と見通しの良い和声をまとっているのも大きな特徴。充実していながらも堅苦しさのまったくない、隅々まで耳を澄まして聴き たくなるようなとても美しい音楽です。2曲は世界初録音。 (Ki)

Passacaille
PAS-1136(1CD)
ジャック=フィリップ・ラモニナリ(1707-1802):2つのヴァイオリンと低音のための6つのソナタ Op.1(1749) ヘミオリア

録音:2021年11月/フランス、アラス
※世界初録音
ジャック=フィリップ・ラモニナリは18世紀初頭に北フランスで生まれた作曲家で、ヴァイオリニストとしても活躍しました。世界初録音となるこの「作品1」は 急緩急の3楽章からなるトリオ・ソナタ6曲で構成された曲集で、ラモニナリが当時のイタリア音楽に精通していたことを伝えるものです。ラモーのようなフランス 趣味も感じますが、よりイタリアのスタイルに近い音楽と言えるでしょう。
2008年創設のフランスの古楽アンサンブル「へミオリア」は、イタリア音楽のレパートリー開拓に重きを置いて活動するグループ。同時に自国の作曲家の発掘 にも力を注いでいます。 (Ki)
Passacaille
PAS-1138(1CD)
ルネサンス期パルマ、ファルネーゼ宮廷の音楽
チプリアーノ・デ・ローレ(1515/16-1565) / ジローラモ・ダッラ・カーサ(?-1601) / オラツィオ・バッサーニ(c.1550-1615):Io canterei d’amor si novamente
リュートのロレンツィーニ(?-1608):Branle
ピエトロ・ポンティオ(1532-1596):Urbs beata Jerusalem
ファブリツィオ・デンティーチェ(1539-1581):Amor che degg’io far / Volta de Spagna
クラウディオ・メールロ(1533-1604):Dunque fia ver dicea che mi convegna / Ingiustissimo Amor, perche si raro / La Pazza
ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):Il dolce sonno mi promise pace / Amor io fallo e veggio il mio fallire
サンティーノ・ガルシ・ダ・パルマ(1542-1604):Ballo del Serenissimo Duca di Parma
ゴットフリート・パーマーツ(fl.1576-1578):Gloria
ジョスキーノ・ペルソエンス(c.1530-c.1590):Nell’aria in questi di
ジョルジョ・マイネリオ(c.1535-1582):La Fiamenga
クラウディオ・メールロ:Sa questo altier ch’io l’amo e ch’io l’adoro
チプリアーノ・デ・ローレ / ジローラモ・ダッラ・カーサ:Qual’e piu grande o amore
フローリス・デ・レイケル(リュート、ルネサンスギター)
ラタス・デル・ビエホ・ムンド

録音:2022年7月3-5日/ベルギー、リール、イエズス会教会
16世紀のパルマは、ファルネーゼ家のもと一流音楽の名所として発展していました。その宮廷には多くの名音楽家が集結し、器楽やマドリガーレの発展に大き な影響を与えています。その熱気が感じられる、パルマの音楽遺産の豊かさを再発見するアルバムです。 (Ki)

Challenge Classics
CC-72938(1CD)
ダウランド:『ラクリメ、或いは7つの涙』(1604)
古い涙
ジョン・スーチ卿のガイヤルド
新たな古い涙
デンマーク王のガイヤルド
ため息の涙
エセックス伯のガイヤルド
哀しみの涙
ジャイルズ・ホビー氏のガイヤルド
偽りの涙
トマス・コリアー氏のガイヤルド
愛の涙
ニコラス・グリフィス氏のガイヤルド
真実の涙
ディゴリー・パイパー船長のガイヤルド
ダウランドはいつも哀しむ
ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルマンド
ヘンリー・アンプトン卿のガイヤルド
ヘンリー・ノエル氏のガイヤルド
ジョン・ラングトン氏のパヴァーヌ
バクトン氏のガイヤルド
ニコルズ夫人のガイヤルド
ジャドラン・ダンカム(Lute)
アル ベルト・ラージ(トレブ ル・ヴィオー ル )
アッカデミア・ストゥルメンターレ・イタリアーナ

録音:2023年1月19-22日/イタリア、ヴェローナ、ナザレ教会
ヴィオールをメインに自在な編成で活動するイタリアの名アンサンブル「アッカデミア・ストゥルメンターレ・イタリアーナ」。バッハの『フーガの技法』(CC-72842 / KKC-6275)、ラモーの『コンセール集』(CC-72905 / KKC-6507)に続くChallengeレーベル第3弾はダウランドの名品『ラクリメ』! ドイツでもフランスでも常に「お国もの」の固定観念を超えた正攻法にしてハイレベルな古楽演奏を聴かせてきた彼ら、今作も注目必至の完成度です。
ダウランドは1598年から1606年まで、デンマーク王クリスチャン4世の宮廷リュート奏者を務めました。『ラクリメ、或いは7つの涙』は1603年から 1年間ロンドンに滞在したときに出版され、クリスチャン4世の妹アンネに捧げられています。編成はヴィオール5パートとリュートという類を見ない珍しいもので、 ダウランドの出版作品の中で唯一のヴィオール合奏曲でもあります。
スコアは各パートが向きを変えて印刷されていて、テーブル中央に置いた1冊の楽譜を6人の奏者がぐるりと囲んで演奏できるようになっています。これに より楽器の並び方が決まり、奏者間のコミュニケーションにも形が生まれてくるのが面白いところです。
流動的にたゆたうヴィオール合奏と装飾的で瞬発力のあるリュートが織り成す対話は、永遠をおもわせる美しさを持ちながらも、ときに刺激的で斬新。ラージ 率いる盤石のヴィオール群と若き名手ジャドラン・ダンカムのまばゆい閃きに満ちたリュートが、この名作をより深く、より哀しく、よりあたたかく、現代に解き 放ちます。 (Ki)

Evil Penguin Records
EPRC-0052(1CD)

KKC-6723(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ドイツ音楽集
(1)バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV1050
(2)テレマン:フルート、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 イ長調 TWV53:A2(ターフェルムジークより)
(3)バッハ:管弦楽組曲第2番ロ短調 BWV1067
(4)テレマン:4声のソナタ第2番ト短調 TWV43:g1(パリ四重奏曲第4番)
(5)ステファン・ヨハネス・ハンケ(1984-):Starfish Rebellion II(ヒトデの反逆II
ヴェリタ・バロック・アンサンブル

録音:(1)2022年6月8日ドイツ、ケーテン城
(2)2022年7月27日ドイツ、ゾンダースハウゼン城
(3)2022年11月16日ドイツ、ラティンゲン、ヴァッサーブルク・ハウス・ツム・ハウス
(4)2022年4月26日ドイツ、ヴォルフスブルク城
(5)2022年12月16日ドイツ、ゾンダースハウゼン城
フルーティストのタヤ・ケーニッヒ=タラセヴィチと、チェリストのバルトロメオ・ダンドロ・マルケージによってパンデミック中に設立された新進古楽アンサンブル 「ヴェリタ・バロック」によるデビュー盤。
バッハとテレマンの作品をゆかりのバロック様式のお城で録音するという贅沢な試みで、それぞれの場所で異なる音響効果が感じられます。演奏がまた魅力的。 構えてしまいがちな名曲を並べていながら、肩肘はらないリラックスした柔軟な語り口。豊かな残響ともきれいに溶け合っています。
最後にアンサンブルのレジデンス・コンポーザーであるSJハンケの委嘱作品を収録。バロック編成のために書かれ、始めこそユニゾンを軸としたトゥッティを思 わせますが、大胆な発想と爽快な疾走感でぐんぐん音楽が前進。各楽器のソロが入り乱れるネオ合奏協奏曲といった趣も。アルバム全体を通して、若い音楽家のあ ざやかな視点に目の醒める思いがする1枚です。 (Ki)

ANIMAL MUSIC
ANI-108(1CD)
「バロック時代のプラハの音楽」
ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー(1656-1746):「オ・クルークス・ヴェネラビリス」
 「クルークス・トゥア、ドミネ」
 6声のソナタ
フェルディナント・トビアス・リヒター(1651-1711):モテット「ネポムクの聖ヨハネ」
 モテット「聖母マリア」
ゲオルク・ロイター(1656-1738):モテット「教会の献堂式の続唱」
ベネディクト・アントン・アウフシュナイター(1665-1742):奉献唱「パシオーネ・ドミニ」
アンナ・フラヴェンコヴァー(S)
ペトラ・ノスカイオヴァー(メゾ・ソプラノ)
ルボミール・モラヴェツ(C.T)
スタニスラフ・プシェドタ(T) ミハル・ポスピーシル(Bs)
ズザナ・オンドシェチコヴァー(バロック・ヴァイオリン)
イジナ・シュトリンクロヴァー(バロック・ヴァイオリン)
ダグマル・ヴァレントヴァー(バロック・ヴァイオリン)(3)
カテジナ・トルナヴスカー(バロック・ヴィオラ)
インゲボルグ・ラドク・ジャドナー(バロック・チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ペトル・ソルニチュカ(ヴィオローネ、ヴィオラ・ダ・ガンバ) プジェミスル・ヴァチェク(アーチ・リュート)
ムジカ・アンティカ・プラハ、パヴェル・クリカル((指)オルガン)

録音:1996年5月/ネポムク市音楽ホール(旧聖ヨハネ神学校教会)、フラデツ・クラーロヴェー
このアルバムには、プラハの赤星十字騎士団修道院(旧フランシスコ・クレア修道院)のアーカイブからムジカ・アンティカ・プラハが1996年に録音したバロッ ク時代のプラハの音楽を収録。「オ・クルークス・ヴェネラビリス」、「クルークス・トゥア、ドミネ」は1997年にリリースされていますが、残りの5作品はこの度初 CD化されます。
1982年から1997年までの15年間、パヴェル・クリカル率いるムジカ・アンティカ・プラハは、17世紀初頭から18世紀初頭のバロック音楽の復活蘇演と 録音に力を入れていました。クリカルは1920年代のアメリカのジャズとダンス音楽の演奏で有名なオリジナル・プラハ・シンコペーテッド・オーケストラのバンド リーダーとして活躍した音楽家で、トランペット、ピアノ、オルガンなどを演奏するマルチな才能の持ち主。様々なジャンルを演奏してきたクリカルだからこそ表現で きる自然で自由な解釈が魅力です。バロック時代のプラハの音楽の繁栄を象徴する作品がここに蘇ります。

APARTE
AP-334(1CD)
音楽の四つ葉のクローバー
ダニエル・シュペール:おお素晴らしき日
あなたは身籠るだろう
トッカータ ex D.f
イエスはわが希望
5声のソナタ〜2本のコルネットと3本のトロンボーンのための
見よ、義人がいかに死すかを
4本のトロンボーンのためのソナタ
3人の悩める職人による
3本のファゴットのためのソナタ
マイエンとグククスの歌
舞踊組曲【バレ/サラバンド/メヌエット】
3人の悩める兄弟
舞踊組曲【ソナチナ/バレ/クーラント/ガヴォット/サラバンド/ジグ】
マルク・ポシャール(指)
カペラ・イティネリス

録音:2022年12月7-10日マーラー・ホール(ドッビアーコ)
ダニエル・シュペール(1636-1707)はドイツ・バロックの作曲家で笛吹き。音楽のみならず、冒険小説作家、政治評論家としての顔を持つ才人でした。彼の 作品をピリオド楽器で奏した注目盤の登場です。
カペラ・イティネリスは、バーゼル・スコラカントールムの仲間たちにより2016年に結成されたリコーダーとコルネット合奏団。旅を意味するグループ名は、彼 らがバーゼルからローザンヌまで2週間かけて徒歩で旅行したことがグループ結成につながったとのことで、「古楽と旅行のアンサンブル」と名乗っています。
シュペールの宗教音楽以外は独特なユーモアと風刺の感覚に満ちていて興味津々。カペラ・イティネリスも才気煥発で、独創的な音楽を存分に味わえます。

PAN CLASSICS
PC-10447(1CD)
カルダーラ:バスのためのアリア集
歌劇『神々の争い』(1723)より
アリア「Su cedete al dio dell’armi」
歌劇『テミストクレス』(1736)より
レチタティーヴォ「Cosi dunque tradisci」とアリア「Aspri rimorsi atroci」
歌劇『カイオ・マルツィオ・コリオラーノ』(1717)より
アリア「Tronchi, si, la falce irata」
歌劇『ミトリダーテ』(1728)より
アリア「Vedea modesto volto」
歌劇『スペインのシピオーネ』(1722)より
アリア「Minaccera le sponde」
歌劇『オーリードのイフィジェニー』(1718)より 序奏
歌劇『アフリカのシピオーネ』(1735)より
アリア「Quanto ria tal pena sia」
歌劇『イル・バティスタ』(1727)より
アリア「Piu di belva」
歌劇『サンタ・フェルマ』(1717)より シンフォニア
歌劇『キリストの神殿奉献』(1735)より
レチタティーヴォ「Sapienza increata」とアリア「Quando il tenero tuo labbro」
歌劇『ニトクリス』(1722)より
アリア「Furie implacabili」
アレクサンドル・バルド(Bs-Br)
アンサンブル・モザイク

録音:2022年5月23-25日/オーストリア、聖フローリアン修道院
ドゥセ率いるアンサンブル・コレスポンダンスの常連でもあるバス歌手アレクサンドル・バルド。彼は自らウィーン国立図書館でアントニオ・カルダーラの声楽曲の写本を調査し、その名人芸と表現力に富んだバスのアリアの数々に感銘を受けたといいます。カルダーラはヴェネチア出身ですが創作の大半を ウィーン宮廷楽団のために行った作曲家で、バスのためのアリアはこの宮廷楽団に在籍していた名バス歌手、クリストフ・プラウン(Christoph Praun1696-1772)を意識して書かれたもの。充実した声楽書法がこのプラウンの類まれな才能を物語っています。 (Ki)

ARCANA
A-547(1CD)

NYCX-10405(1CD)
税込定価
フレスコバルディと南イタリアの作曲家たち 〜16-17世紀ナポリ前衛音楽の影響〜
フレスコバルディ:トッカータ 第1番(1615)
ジョヴァンニ〔ジャン〕・ド・マック(1550頃-1614):レ・ファ・ミ・ソの調べによるカプリッチョ
ド・マック:風変わりな協和音(1600頃)
ド・マック:ガリアルダ 第1番
ロッコ・ローディオ(1530頃-1620頃):リチェルカータ 第3番(1625)
フレスコバルディ:トッカータ 第10番(1615)
シピオーネ・ステッラ(1558-1642):ロマネスカの調べによるパルティータ
フランチェスコ・ロンバルド(1587-1642):トッカータ
ロンバルド:ガリアルダ
フレスコバルディ:ルッジェーロの調べによるパルティータ(1616)
フレスコバルディ:「ラ・バッターリャ(戦い)」の調べによるカプリッチョ(1637)
フレスコバルディ:舞踏曲〜チャッコーナ(1637)
ミケランジェロ・ロッシ(1601頃-1656):トッカータ 第1番(1634頃)
フレスコバルディ:ガリアルダ 第2番(1627)
ベルナルド・ストラーチェ(生歿年不詳、17世紀中盤に活躍):チャッコーナ(1664)
M.ロッシ:コルレンテ 第3番(1634頃)
フレスコバルディ:トッカータ 第9番「最後まで弾けば疲れなしには済まされず」(1627)
フレスコバルディ:ドゥレッツェを用いたカプリッチョ 第9番(1624)
フレスコバルディ:トッカータ 第7番(1627)
フレスコバルディ:リチェルカール「第5声部は鍵盤で弾かずに歌い手に任せること」(1635)
フレスコバルディ:ガリアルダ 第5番(1627)
ジョヴァンニ・サルヴァトーレ(17世紀初頭-1688頃):第9正格旋法によるフランス風カンツォーナ 第2番(1641)
フレスコバルディ:パッサカリアの調べによる100のパルティータ(1637)
フランチェスコ・コルティ(Cemb) A=440Hz ミーントーン
使用楽器:ルバルバストル(フランス)のフィリップ・ユモー2005年製作[2-5、7-9、18]
ルバルバストル(フランス)のフィリップ・ユモー2007年製作[1、6、10-17、19-23]
アンドレス・ロカテッリ(リコーダー)…20

録音:2022年9月7-10日 サンテーユ聖母教会、シラン(フランス南部ラングドック地方エロー県)
収録時間:81分

※国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
2018年の単独来日で話題を呼び、ARCANA-レーベルではヘンデル『八つの組曲』(A499/NYCX-10285)が大きなヒットとなったイタリアの実力派チェン バロ奏者フランチェスコ・コルティ。古楽器楽団イル・ポモ・ドーロとのバロック・オペラやバッハ協奏曲でも名盤を連発していますが、今回は古楽鍵盤奏者として の原点に立ち返り、17世紀前半にローマ教皇庁のオルガン奏者として活躍しバロック鍵盤音楽史上に不滅の地位を築いたフレスコバルディに迫ります。この 重要作曲家の精巧にして多面的な音楽語法は無から生じたわけではなく、前世紀以来ナポリで育まれていた、不協和音を多用する実験精神旺盛な鍵 盤技法から大きな影響を受けていたことが音楽史研究の末明らかになっていますが、ここでは具体的な作品の演奏を通じてその影響関係を探求。バロック 期のイタリアのモデルに基づく2台のチェンバロを駆使し、1600年前後の和声感覚に立ち返って織り上げられる高雅な解釈に触れるうち、フレスコバルディの 傑作群という金字塔的存在の「下絵」が明かされてゆくような、発見に満ちた選曲と曲順となっています(有名なトッカータや変奏曲が多数含まれている点も 好感度大)。欧州古楽界に数多くの愛奏者を持つ名工フィリップ・ユモーが手掛けた楽器はいずれも、イタリア式楽器ならではの鋭角的な音の立ち上がりが 急速なパッセージで粒立ちの良さを失わないばかりか、各音に含まれる豊饒な音色成分がこの上なく魅力的。数々の古楽名盤の録音場所にもなっている 教会のほどよい残響をよく伝える、ALPHAレーベルでの活躍も目覚ましいエンジニア吉田研の精妙な仕事も頼もしい1枚です。

RAMEE
RAM-2104(1CD)
アントニオ・ペレイラ・ダ・コスタ:合奏協奏曲集
合奏協奏曲集Op.1(1741)より
協奏曲第7番ヘ長調
協奏曲 第8番ハ短調
協奏曲 第9番イ長調
協奏曲 第6番ロ短調
協奏曲 第5番ト短調
協奏曲 第10番ハ長調
アンサンブル・ボンヌ・コルド(古楽器使用)【サラ・デコルソ、ダイアナ・リー(Vn独奏)、ディアナ・ヴィナグレ(Vc独奏、芸術監督)、フェルナンド・ミゲル・ジャロト(オルガン、チェンバロ、楽譜校訂)】

録音:2021年10月25-28日 メニーノ・デウス教会、リスボン
バッハやヘンデルより12歳年下(タルティーニやクヴァンツらと同世代)で、ポルトガル領マデイラ島の中心都市フンシャルの大聖堂で楽長をし ていた謎多き作曲家ペレイラ・ダ・コスタによる合奏協奏曲集。作曲家の生涯についてはほとんど判っていませんが、ここに収録されている作 品は1741年、歴史的にポルトガルと縁が深かった英国の王都ロンドンで刊行された曲集からとられています。ヴァイオリン2挺とチェロを独奏 楽器群として弦楽合奏と対置させた合奏協奏曲形式は、1714年に出版されたコレッリの先例に続いて英国では根強い人気を保ってお り、ペレイラ・ダ・コスタの作例もその形式を踏襲していますが、均整のとれたコレッリ流のバランス感覚に貫かれていながら野趣あふれる音使い も随所で聴かれ、演奏の細やかさとあいまって作曲者の知名度の低さとは無縁の音楽的興奮が詰まっており興趣が尽きません。1738年に 同じロンドンで刊行されていたスペイン宮廷の名手ドメニコ・スカルラッティの鍵盤ソナタやその翌年に出たヘンデルの合奏協奏曲集Op.6、ス カルラッティのソナタ群を下敷きにして1744年に刊行されたエイヴィソンの合奏協奏曲集などと聴き比べればさらに興味深いことでしょう。近 年ヨーロッパ各地の古楽拠点への進出で躍進めざましいポルトガルの名手たちを中心とするアンサンブル・ボンヌ・コルドは、独奏楽器群の他 は各パート一人ずつの弦楽編成と撥弦楽器を添えた通奏低音陣で、全体に室内楽的な緊密さを生かしたスリリングな名演に仕上がってい ます。

Glossa
GCD-921305(1CD)
ダビデハープ〜2台のハープのための協奏曲集
ヴァイス:パルティータ ニ長調(ヘ長調に移調)
作者不詳:アントレー第14番、メヌエット第16番、メヌエット第11番、アリア第12番、アリア第1番、ブーレ第5番
カイエターノ・シェガ:前奏曲
作者不詳:ソナタ第1番、アリア第8番ブーレ
ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー(1656-1746):ハープ前奏曲
ヴァイス:協奏曲 Dal Weiss S.、前奏曲ヘ長調
バッハ:イタリア協奏曲 BWV971
マラ・ガラッシ(Hp)、
フローラ・パパドプーロス(Hp)

録音:2021年8月、サン・バルトロメオ・アポストロ教会(ノマーリオ、イタリア)
イタリアが生んだバロック・ハープの第1人者、そして日本が世界に誇るハーピスト、長澤真澄、西山まりえ両氏の師匠として古楽ファンにお馴染みのハープ奏者マラ・ガラッシ。悲劇の女王マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿で聴いたハープの調べを再現するという壮大な企画「天空のハープ」(GCD- C81302)で大きな反響を呼んだマラ・ガラッシの新たなアルバムは、ギリシャ出身でミラノ市立音楽院における教え子の一人でもある、フローラ・パパドプーロスとのデュオ・アルバム。
バロック期のドイツでは、「ダビデハープ」(ダビデ王が描かれ、ブレイ・ピンにより意図的にビリついた音を出す造りを持ったハープ)をはじめ、様々なタイプのハープが使用されてきました。本アルバムでは、これまであまり知られていなかったドイツのレパートリーをこの時代の5種類のハープを用いて紹介する好企画。作品は、ドレスデンの "Musikalische Rustkammer"、シレジアの修道士ピウス神父のコレクションなど、ドイツの様々なコレクションから提供されています。アルバムの最後に収録されているイタリア協奏曲は、ハープ写本やリュート二重奏曲のスタイルをもとに彼女たちが編曲したものです。

fra bernardo
FB-2388771(1CD)
ヤコブス・バルビロー(c.1455-1491):ミサ曲&モテット集
キリエ・パスカレ(4声)
モテット 「Osculetur me」 (4声)
ミサ曲 「Faulx perverse」 (4声)(世界初録音)
ビューティー・ファーム〔マッテオ・ピガート(C.T)、アヒム・シュルツ(T)、フィリップ・カヴェン(Br)、ティム・スコット・ホワイトリー(Bs)、ヨアヒム・ヘフバウアー(Bs)〕

録音:2023年1月、マウアーバッハ・カルトジオ会修道院(オーストリア)
"ビューティー・ファーム"は、2014年に設立された男声ヴォーカル・アンサンブル。コレギウム・ヴォカーレ・ヘントやチンクエチェント、グランドラヴォア、カピラ・フラメンカ、ウエルガス・アンサンブルなどの一流合唱団、アンサンブルで活躍してきたメンバーでスタートし、オーストリア、マウアーバッハのカルトジオ会修道院を拠点に、ルネサンス期のフランコ=フレミッシュ・ポリフォニーの音楽を中心に歌っています。これまで、オケゲム、ラ・リュー、オブレヒトといったルネサンスの巨匠や知られざるフランドル楽派のミサ曲の録音で評価を重ねると、2021年にリリースされたパレストリーナの「教皇マルチェルスのミサ」(PFB2017671)でその名声をさらに高めてきました。
最新作となる本アルバムでは、南ネーデルラント出身のルネサンス音楽の作曲家、ヤコブス・バルビロー(ジャック・バルビロー)のミサ曲とモテットを取り上げています。バルビローは、神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世から優れた歌手としても高い評価を得ており、アントワープ(アントウェルペン)大聖堂の聖歌隊長職も務めていたとされています。現存する作品は非常に少ないですが、3つの世俗歌曲は、ハインリヒ・イザークやヤーコプ・オブレヒトがパロディ・ミサの作曲に利用するなど、キーゼヴェッターやフェティスといった近代の研究家からも、フランドル楽派の至高の作曲家の一人として認められています。若くしてこの世を去ったフランドル楽派の重要な作品を、ビューティー・ファームは、このレコーディングを通して印象的に示しています。

Forgotten Records
fr-1891(1CDR)
パレストリーナ:ミサ曲集
教皇マルチェルスのミサ
聖母被昇天ミサ「マリアは天に昇らされたまいぬ」
フェルディナント・グロスマン(指)
ウィーン・プロ・ムジカcho

録音:1956年
※音源:Vox PL 10020

Hanssler
HC-22084(1CD)
ラ・クレモナ〜イタリアの協奏曲集
(1)ドゥランテ:弦楽と通奏低音のための協奏曲 ト短調
(2)レーオ:4つのヴァイオリンと通奏低音のための協奏曲 ニ長調
(3)ヴィヴァルディ:3つのヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調 RV551
(4)ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のための協奏曲 ロ長調 RV553
(5)ロカテッリ:4つのヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 ヘ長調 Op.4-12
(6)サンマルティーニ(1700-1765):4つのヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための協奏曲 イ長調*
ラインハルト・ゲーベル(指)
ベルリン・バロック・ゾリステン【クシシュトフ・ポロネク(1)(6)(コンサートマスター)、町田琴和(2)(3)(4)(5)(6)、ドリアン・ジョジ(2)(3)(4)(5)(6)、ライマー・オルロフスキー(1)(2)(5)、クリストフ・シュトロイリ(4)(6)、アンジェロ・デ・レーオ(2)(3)(4)(5)、ヨハンナ・ステムラー、アンナ・マッツ(Vn)、ヴァルター・キュスナー、ユリア・ガルテマン(Va)、クリスティン・フォン・デア・ゴルツ、クレメンス・ヴァイゲル(Vc)、ウルリヒ・ヴォルフ(ヴィオローネ)、ラファエル・アルパーマン(Cemb)】

録音:2022年10月13-17日/b-sharpスタジオ(ベルリン)
*=世界初録音
積極的な録音が続いている名門ベルリン・バロック・ゾリステン。当アルバムは17世紀〜18世紀に活躍したフランチェスコ・ドゥランテ、レ オナルド・レーオ(1694-1744)、アントニオ・ヴィヴァルディ、ピエトロ・ロカテッリ、ジョヴァンニ・バッティスタ・サンマルティーニ(1700-1765)がそれぞれ作曲した3挺または4挺のためのヴァイオリン協奏曲集です。華麗で快活なヴァイオリンの魅力が詰まった実に美しい協奏 曲を現代の名手が見事に演奏しております。 (Ki)

WAON RECORDS
WAONCD-550(1CD)
(HQCD)
フランスバロック・ソナタの展翅(てんし)
アンヌ・ダニカン・フィリドール (1681-1728):リコーダーのためのソナタ
ニコラ・シェドヴィル (1705-1782):〈ヴィヴァルディの忠実な羊飼い〉より ソナタ 第4番
マラン・マレ:マレ風ソナタ
ジャンバティスト・カナヴァス (1713-1784):チェロ・ソナタ 作品2の1
フランソワ・クープラン:恋する小夜鳴鳥
ジャック・オトテール:組曲ソナタ 作品5の4
本村睦幸 (リコーダー)
ジュゴンボーイズ【山本徹(Vc), 根本卓也(Cemb)】

録音:2021年12月13-15日、千葉市美浜文化ホール 音楽ホール
リコーダー奏者本村睦幸の最新盤は、フランスバロック・ソナタの展翅(てんし)と題した1枚。展翅(てんし)とは、標本などにするため、昆虫などの羽をひろ げること。フランス趣味・イタリア趣味の「ソナタ」に、性格的小品もまじえて、美しい1枚の絵のようにプログラムされています。
フィリドールのソナタは、「リコーダー」を楽器指定しているフランスの楽曲。シェドヴィルの作品は、ヴィヴァルディの作品13と偽って出版されたもので、当時 のフランスでヴィヴァルディの作品と思われていた曲を元にアレンジした楽章と、シェドヴィル自身による楽章を交えた構成。材料はイタリアですが、フランスのロコ コ趣味が色濃く反映されたユニークな作品です。マレの作品はもともとはヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための作品ですが、ヴァイオリンのパー トはトラヴェルソでもほぼ演奏可能、そしてここではトラヴェルソと同じ音域のリコーダーを用いて演奏しています。イタリアに生まれフランスに帰化したカナヴァス の作品、さらにクープランの描写的小品をはさんで、最後はオトテールのソナタでディスクが締めくくられます。1枚全体が美しい絵画かタペストリーのよう。どの 曲も心地よい素朴さ、典雅な風合いに満ちており、親密なアンサンブルにも非常に好感がもてます。 (Ki)

RICERCAR
RIC-451(3CD)
NX-D09
マラン・マレ:ヴィオール曲集 第5巻(1725/全曲)
【DISC1】
1-13. 組曲 イ長調
 1. Prelude プレリュード (17)
 2. Allemande アルマンド (18)
 3. Sarabande サラバンド (19)
 4. Gigue ジグ (20)
 5. Marche a la Turque トルコ風の行進曲 (21)
 6. Gavotte ガヴォット (22)
 7. Menuet ムニュエ(メヌエット)(23)
 8.2e Menuet & Double 第2ムニュエとドゥーブル (24&25)
 9. La petite Bru, Air gracieux 優美なエール「息子の愛らしき嫁」(26)
 10. Fantaisie ファンタジア (27)
 11. Grand Rondeau 大ロンド (28)
 12. La Babillarde & Double
   ラ・バビヤルド(おしゃべり好き)とドゥーブル (29&30)
 13. Chaconne シャコンヌ (31)
14-26. 組曲 ニ長調
 14. Prelude プレリュード (47)
 15. Allemande la Flateuse アルマンド「追従」(48)
 16. Sarabande サラバンド (49)
 17. Gigue ジグ (50)
 18. Gavotte ガヴォット (51)
 19. Menuet ムニュエ (52)
 20.2e Menuet 第2ムニュエ (53)
 21. La Fromental & Double
   ラ・フロマンタル(小麦向きの土壌)とドゥーブル (54&55)
 22. Chaconne シャコンヌ (56)
 23. Fantaisie & Double ファンタジアとドゥーブル (58&58b)
 24. Allemande La Dornel アルマンド「ドルネル」 (59)
 25. Allemande dans le gout des Anciens
   昔日の人々の趣味に合わせたアルマンド (60)
 26. Rondeau Le Brillant ロンド「華麗」(62)
27-37. 組曲 ト短調
 27. Prelude プレリュード (63)
 28. Fantaisie ファンタジア (64)
 29. Allemande La Freval des Loges
   アルマンド「フレヴァル・デ・ロージュ」(65)
 30. Sarabande サラバンド (66)
 31. Gigue la Pagode ジグ「パゴダ(東洋の人形)」(67)
 32. Gavotte ガヴォット (68)
 33. Menuet ムニュエ (69)
 34. Allemande La Marianne アルマンド「マリアンヌ」 (70)
 35. Tombeau pour Marais le Cadet
   若きマレを悼むトンボー(71)
 36. Rondeau le Badin ロンド「道化者」 (72)
 37. La Georgienne ou la Maupertuy
   ラ・ジョルジエンヌ(ジョージア風)またはラ・モーペルテュイ (73)
【DISC2】
1-20. 組曲 ト長調
 1. Prelude プレリュード (74)
 2. Allemande La Fiere アルマンド「高慢」(75)
 3. Sarabande サラバンド (76)
 4. Gigue la precieuse ジグ「高級」(77)
 5. Gavotte ガヴォット (78)
 6.2e Gavotte legere 軽やかな第2ガヴォット (79)
 7. Menuet ムニュエ (80)
 8.2e Menuet 第2ムニュエ (81)
 9. Rondeau le Troilleur ロンド「ぶどう踏み」(82)
 10. Chaconne シャコンヌ (83)
 11. La Tatillone 狭量 (84)
 12. Saillie du Jardin 庭園の高台 (85)
 13. Gigue la pointilleuse ジグ「目打ち」 (86)
 14. Le Jeu du Volant 空を飛べる者たちの戯れあい (87)
 15. Allemande Poisat アルマンド「ポワザ」 (88)
 16. Basse variee pour la viole ヴィオールのための低音部変奏 (88a)
 17. Le Rondeau Villeneuve ロンド「ヴィルヌーヴ」 (89)
 18. Le petit Badinage 些細な冗談 (90)
 19. Dialogue 対話 (91)
 20. La Poitevine ポワトヴィーヌ(ポワトゥー風) (112)
21-40. 組曲 ホ短調
 21. Prelude プレリュード (92)
 22. Allemande La Beuron アルマンド「ブーロン」(93)
 23. La Simplicite Paysanne 農民らしい朴訥さ(94)
 24. Allemande la Baily Duchene アルマンド「ラ・バイー・デュシュネ」 (95)
 25. Gavotte Singuliere 風変わりなガヴォット(96)
 26.2e Gavotte La Mignone 第2ガヴォット「愛らしさ」 (97)
 27. Sarabande サラバンド (98)
 28. Menuet ムニュエ (99)
 29.2e Menuet 第2ムニュエ (100)
 30. Resveries Mesplaiziennes 楽しくない夢想のあれこれ (101)
 31. Marche Persane la Savigny ペルシャ風の行進曲「ラ・サヴィニ」(102)
 32. Rondeau Le Plaisant ロンド「楽しさ」(103)
 33. Gigue la resolue ジグ「決然」 (104)
 34. Les Amusements さまざまな愉しみ (105)
 35. Le Contraste 対比 (106)
 36. Le Caprice Bellemont カプリース「ベルモン」 (107)
 37. Le Tableau de l’Operation de la Taille
   膀胱結石摘出手術の図 (108)
 38. Les Relevailles 快癒 (109)
 39. Suitte その続き (110)
 40. Suitte さらにその続き (111)
【DISC3】
1-5. 組曲 ニ短調
 1. Le Tact 触覚 (114)
 2. La meme piece rendue facile 「触覚」を弾きやすくした版 (115)
 3. La Paraza パラザ (113)
 4. Caprice カプリース(気まぐれ) (61)
 5. Variations sur une basse contrainte オスティナート変奏曲 (57)
6-18. 組曲 ヘ長調
 6. Prelude プレリュード (32)
 7. Allemande la bois Guillaume アルマンド「ギヨームの森」(33)
 8. Sarabande サラバンド (34)
 9. La Demoi Gigue ジグ「ドゥモワ」 (35)
 10. Menuet ムニュエ (36)
 11.2e Menuet & Double 第2ムニュエとドゥーブル (37&38)
 12. Gavotte ガヴォット (39)
 13. Rondeau Paysan ロンド「農民(田舎風)」(40)
 14. Rondeau le doucereux ロンド「優しさ」 (41)
 15. Idee Grotesque & Double
   イデ・グロテスク(突飛な考え)とドゥーブル (42&43)
 16. Les Forgerons 鍛冶屋たち (44)
 17. Le Toucher du clavecin クラヴサンの演奏 (45)
 18. Prelude en harpegement 分散和音によるプレリュード (46)
19-35. 組曲 イ短調
 19. Prelude le Soligni プレリュード「ソリニ」(1)
 20. Allemande la Facile アルマンド「平易」 (2)
 21. Sarabande サラバンド (3)
 22. La Mariee (4)
 23. Gavotte ガヴォット (5)
 24. Gigue ジグ (6)
 25. Menuet & Double ムニュエとドゥーブル (7)
 26.2e Menuet 第2ムニュエ (8)
 27. La Sincope 裏拍 (9)
 28. Petit Caprice 小さなカプリース (10)
 29. Rondeau ロンド (11)
 30. La Bagatelle バガテル(遊び心) (12)
 31. Fantaisie ファンタジア (12b)
 32. Grande Gavotte 大ガヴォット (13)
 33. Gigue La Mutine ジグ「暴徒」 (14)
 34. Rondeau moitie pince et moitie coup d’archet ou
tout coup d’archet si l’on veut
   ロンド、半分はピツィカートで半分は弓奏、もしくは好み次第で全て弓奏でもよし (15)
 35. Prelude en harpegement
   分散和音によるプレリュード (16)
フランソワ・ジュベール=カイエ(バス・ド・ヴィオール〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)

ラシェロン(古楽器使用)【マリー=シュザンヌ・ド・ロワ、アンドレアス・リノス(バス・ド・ヴィオール)、ミゲル・アンリ(テオルボ、テオルブ・ド・ピエス〔=フランス式小型テオルボ〕、バロックギター)、アンドレ・ハインリヒ(テオルボ)、フィリップ・グリスヴァール(クラヴサン〔チェンバロ〕)】

録音:2021年5月、8月サンテーユ聖母教会、シラン(南仏ラングドック地方エロ―県)
フランス・バロックの大家マラン・マレが生前に出版した500曲あまりのヴィオール作品の全てを録音するという前人未踏の挑戦を2014年から 続けてきたフランスの名手フランソワ・ジュベール=カイエが、ついに最終巻となる第5巻をリリース。フランス王室楽団の指揮者をしながら、自 身ヴィオールの名演奏家として「天使のごとく弾く」と讃えられ、太陽王ルイ14世の寝室で入眠間際まで演奏を聴かせたこともあったマレ。フラ ンス宮廷風かつユニークな書法を駆使して描かれたヴィオール曲の数々の中でも、晩年に出版された第5巻はマレの作曲家人生の集大成 ともいうべき存在。ジュベール=カイエは共演する通奏低音奏者と楽器の組み合わせを組曲ごとに変え、圧巻の技量で細部まで解像度高 くもスケール感豊かに聴かせます。その演奏解釈はますます冴えわたり、1分程度の小品からポワトゥー風組曲のような長めの作品まで、まさ に新時代の決定版と呼ぶにふさわしい名演。楽譜に記された説明の朗読とともに奏でられる有名な「膀胱結石摘出手術の図」でも、惚れ 惚れするほどの気品がさながら上質のバロック絵画のごとく場面の生々しさを際立たせ、精妙な通奏低音とともにバロック期の宮廷文化の気 配を脈々と伝えてやみません。演奏者自身による解説(仏語・英語)は今回も読みごたえ十分。

Dynamic
DYNDVD-37983(2DVD)
NX-D05

DYNBRD-57983(Bluray)
NX-D05
カヴァッリ(1602-76):歌劇「セルセ」 セルセ・・・・・・・・・カルロ・ヴィストーリ(C.T)
アマストレ・・・・・・エカテリーナ・プロツェンコ(S)
アルサメーネ・・・・ガイア・ペトローネ(Ms)
ロミルダ・・・・・・・・カロリーナ・リッポ(S)
アデランタ・・・・・・ディオクレア・ホッジャ(S)
アリオダーテ・・・・カルロ・アッレマーノ(T)
アリストーネ・・・・ニコロ・ドニーニ(Bs)
ペリアルコ ・・・・・ニコロ・バルドゥッチ(C.T)
エルヴィーロ・・・・アコ・ビシェヴィチ(C.T)
キューピッド・・・・・マーリオ・フマローラ(黙役) 他
オーケストラ・バロッカ・モード・アンティクオ
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指
演出:レオ・ムスカート

収録:2022年7月25日、29日、31日
ヴァッレ・ディトリア音楽祭、ヴェルディ劇場、マルティーナ・フランカ(イタリア)
収録時間:161分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・フランス語・ドイツ語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク×1片面単層ディスク×1
Blu-ray…片面二層ディスク 1080i High Definition
興味深い蘇演プロジェクトの数々で話題を集めるヴァッレ・ディトリア音楽祭より、イタリア・バロック・オペラの創始者モンテヴェルディの高弟として、17世紀中 盤に絶大な人気を誇ったフランチェスコ・カヴァッリの歌劇「セルセ」の登場です。「セルセ」といえば、ヘンデルのオペラがその冒頭のアリア〈オンブラ・マイ・フ〉と 共に良く知られていますが、この台本は作家ニコロ・ミナートが元々はカヴァッリのために書いたもの。この作品は1655年ヴェネツィア初演の後1660年パリで 再演されカヴァッリの声価はフランスでも大いに高まりました。外題役のカルロ・ヴィストーリ、セルセの弟アルサメーネ役のガイア・ペトローネら中堅、若手を中 心としたフレッシュな歌手陣による演唱、レオ・ムスカートと彼のチームによるペルシャ模様を駆使したカラフルな舞台美術と演出が、バロック・オペラの名匠、 フェデリコ・マリア・サルデッリ率いるオーケストラ・バロッカ・モード・アンティクオの伸びやかな演奏と相まって、この隠れていた名作を見事、現代に蘇らせていま す。

OMF
KCD-2098(1CD)
税込定価
スプレッツァトゥーラ 〜さりげなく〜
ダリオ・カステッロ(1602-1631):高音楽器独奏のためのソナタ第1番
チプリアーノ・デ・ローレ(1515or1516-1565):別れの時には〈編曲:リッカルド・ロニョーニ〉
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ(1589-1630):ヴァイオリン独奏のためのソナタ第3番
ジョヴァンニ・デ・マック(1548or1550-1614): ストラヴァガンツェ第2番
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ:ヴァイオリン独奏のためのソナタ第2番
パレストリーナ(c.1525-1594):
野山は花のにぎわい〈編曲:フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ〉
パレストリーナ:私はこんなに傷ついて〈編曲:フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ〉
ジョヴァンニ・バッティスタ・リッチョ(fl.1589-1621):フラウト、またはコルネットのためのカンツォン
フレスコバルディ: トッカータ第9番
フレスコバルディ:カンツォン『ラ・ベルナルディニア』
ベルナルド・ストラーチェ(fl.1664):戦いのバッロ
ジョヴァンニ・アントニオ・パンドルフィ・メアッリ(1624-c.1687):ソナタ第5番『ラ・クレメンテ』
アンドレア・ファルコニエーリ(1585or15861656): 甘き旋律
イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ
中島恵美(リコーダー/フラウト・トラヴェルソ)
曽根田駿(チェンバロ /古楽ハープ)

録音:2022年10月18日-20日神奈川県立相模湖交流センター
2人が操る4種類の楽器の魅力16〜17世紀イタリアの作品 ―『イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ』の初アルバム。2人が操る4種類の楽器の魅力が活きる、16世紀後半から17世紀のイタリアの作品に焦 点を当て、リサーチの先にある自由な表現を追求する1枚。 ― イ・フィラトーリ・ディ・ムジカは東京藝術大学で出会った中島恵美(リコーダー/フラウト・トラヴェルソ)、曽根田駿(チェンバロ/古楽ハー プ)の2人によって結成されたデュオ。2014年から活動を開始し、中世からバロックまでの音楽をレパートリーとしています。「歴史的演奏 法;Historically informed performance」の追及に力を入れ、資料を研究することによって、より自由でより豊かな演奏を目指して 活動しています。

Linn
CKD-718(1CD)
ハンガリー人のチャールズ氏 〜18世紀のダブリンにおけるヘンデルの好敵手〜

〜第1部〜
1-2. ヘンデル:序曲(セレナータ「忠実な羊飼い」 HWV8cより)
3. ヘンデル:アリア「抜け目ない狩人は」(歌劇「エジプトのジューリオ・チェーザレ」 HWV17より/ジョン・ウォルシュ2世〔1709-1766〕編曲による器楽版)
4-7. ハッセ:協奏曲 ヘ長調
8. ヘンデル:バルバリーニ氏のメヌエット(オルガン協奏曲 第1番ト短調 Op.4-1より)

〜第2部〜
9-16. ヘンデル(ジョン・ウォルシュ1世編): 『水上の音楽』より
 9. Allegro - Andante - Allegro
 10. Passepied
 11. Minuet
 12. Bouree
 13. Hornpipe
 14. Andante
 15. Overture
 16. Alla Hornpipe

〜第3部〜
17-20. ヘンデル:合奏協奏曲 ト長調 Op.3-3/HWV 314
21. テレマン:ナポリターナ(『忠実な音楽の師』ソナタ 変ロ長調 TWV41:B4より)
22-24. ロレンツォ・ボッキ(生歿年不詳、18世紀に活躍):ソナタ 第10番(『室内のための音楽の楽しみ』より)
25. チャールズ氏、おそらくチャールズ・ヴァーンズバーグ(1705/10頃-1780?):狩猟(『二つのホルンのための12の二重奏曲』組曲第1番より)
26. リュリ:トルコの儀式の場面のための行進曲(舞踏喜劇「町人貴族」 LWV43より)
アイリッシュ・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
 ソロ:ジョナサン・バイアーズ(Vc)…22-24
 ミリアム・カチョル(フラウト・トラヴェルソ)…3, 17-20
 レオ・ドゥアルテ(オーボエ…4-7、オーボエ・ダモーレ…21)
 ニコラ・ボウド(シャリュモー)…4-7
 ミケーレ・ファットーリ(バスーン)…4-7
 アンネケ・スコット(Hrn)…3、25
 パトリック・ブロデリック(Hrn)…25
ピーター・ウィラン(指)

録音:2022年4月27-29日セント・ピーター教会、ドロヘダ、アイルランド
1742年、ヘンデルが『メサイア』初演のためアイルランドのダブリンを訪れた際に行われた演奏会の記録をもとに、そこで複数の管楽器を使っ て名演を聴かせた謎の音楽家「チャールズ氏」の存在を解き明かしながら、当時の音楽会プログラムを再現したアルバム。近年躍進めざまし いアイリッシュ・バロック・オーケストラならではの上質な演奏で、有名・無名を問わずさまざまな作曲家が手掛けた作品に触れられるのが魅 力。「チャールズ氏」と英語名で記録されている人物は記録でこそ「ハンガリー人」と説明されているものの、その正体はおそらく英国王室音楽 家協会に名前のあったチャールズ〔またはカルロ〕・ヴァーンバーグCharles Vernbergではないかと推察されており、ナチュラル・ホルンを闊達 に吹きこなしただけでなく、オーボエ・ダモーレや当時まだ珍しかったクラリネット、あるいはその前身楽器シャリュモーなどを巧みに演奏したとのこ と。現代古楽シーンでこれらの楽器の演奏を通じ注目されてきたアンネケ・スコットやニコラ・ボウドといった名手たちが、古楽器ならではの味わ いをよく生かした細やかなアンサンブルを展開。ヘンデルが挑まねばならなかった同時代のライヴァルたちの技量をよく際立たせたトラックの数々 をじっくりお楽しみください。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-102
(2CD+DVD+BD)
NX-E02
シャルパンティエ:「ダヴィドとジョナタス(ダヴィデとヨナタン)」〜序幕付全5幕の抒情悲劇(全曲) ダヴィド…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
ジョナタス…カロリーヌ・アルノー(S)
サウル…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
太陽神の神官…フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)
ジョアベル…アントナン・ロンドピエール(T)
サミュエル(サムエル)の亡霊…ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
アシス…ヴィルジル・アンスリ(Bs-Br)
羊飼いの女…ジュリエット・ペレ(S)、ブランディーヌ・サンサル(Ms)
奴隷の女…マルト・ダヴォスト、ローラ・オルム(S)
奴隷の男…ロマン・シャンピオン(T)、フランソワ・ジョロン(Br)
民衆…ロマン・シャンピオン(T)
戦士…ローラン・ドルイユ(Br)
マルグリット・ルイーズ(合唱&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

収録:2022年11月12-16日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
<CD>
収録時間:119分
<DVD、Blu-ray>
収録時間:132分
Dolby-digital2.0/NTSC/ALL REGIONS
字幕:仏語、英語、独語
演出:マーシャル・ピンコスキ
フランス17世紀を代表する作曲家の一人シャルパンティエの傑作オペラ「ダヴィドとジョナタス」、待望の新録音が本場ヴェルサイユから登 場! シャルパンティエは若い頃に画業を学ぼうと訪れたローマで、巨匠カリッシミの作品に衝撃を受け音楽へ転向、帰国後は太陽王ルイ 14世の王室音楽総監督リュリの君臨により活動を大幅に制限されながらも、パリのさまざまな機関から仕事を受けて躍進しました。旧約聖 書の物語に取材した「ダヴィドとジョナタス」は妨害者リュリの急逝直後1688年に披露された抒情悲劇(フランス語台本による本格的な悲 劇オペラ)で、この作曲家の第一級の手腕が生きた傑作でありながら全曲録音は滅多になされず、新録音がフランス古楽界の精鋭たちに よってなされたのは大いに歓迎すべきことと言ってよいでしょう。俊才集団マルグリット・ルイーズの器楽勢には異才集団ネヴァーマインドのバ ス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者ロバン・ファロ、豊かなキャリアを誇るリコーダーのセバスティアン・マルクなど名手たちも参加。近年ま すます活躍の場を広げているレイナウト・ファン・メヘレン、カロリーヌ・アルノー、ダヴィド・ヴィチャクらを筆頭に、端役のシーンに至るまで本場フ ランスならではの堂に入った演奏でこの傑作が味わえるのは頼もしい限り。映像では17世紀当時の?燭の明かりを尊重したマーシャル・ピン コスキの演出が、ヴェルサイユ王室礼拝堂での上演を鮮やかに盛り上げ、演奏の魅力をいっそう際立たせています。

ALPHA
ALPHA-975(1CD)
ジョヴァンニ・レグレンツィ:オラトリオ『悔悛者の心の死』 罪を犯した人間…ラファエレ・ジョルダーニ(T)
悔悛する心の寓意…クリスティーナ・ファネッリ(S)
希望の寓意…ハナ・ブラジコヴァー(S)
痛みの合唱…ウィリアム・シェルトン(C.T)、マヌエル・ヌニェ ス・カメリーノ(T)、ロマン・ボクレール(Bs)
アンサンブル・マスク(古楽器使用)【ソフィー・ジェント、トゥオモ・スニ(Vn)、カスリーン・カジオカ(Va)、メリザンド・コリヴォー(Vc)、ブノワ・ファンデン・ベムデン(Cb)、マノン・パパセルジオー(ハープ、リローネ)、アンドレ・ハインリヒ(テオルボ)】
オリヴィエ・フォルタン(チェンバロ、指揮)

録音:2022年8月洗礼者聖ヨハネ御生誕教会、コラヴィレール(フランス東部フランシュ=コンテ地方)
17世紀半ばから後半にかけ、ミラノやボローニャ、ヴェネツィアなどで活躍した作曲家レグレンツィは、カヴァッリやカリッシミら17世紀中盤のイタ リアを代表する作曲家たちの後を受け、コレッリやA.スカルラッティら後期バロックと呼びうる時代の大家たちとの橋渡しをなす存在。複数の ヴァイオリンが歌い交わす室内楽曲の発展に大きく寄与した一方、声楽作品も多く残していますが、録音は必ずしも多くありません。ここでは ヴェネツィア滞在中の1673年に初演された、人間の罪深さを自覚し信心深く生きることを促すカトリック寓意物語『悔悛者の心の死』を、長 くスキップ・センペの頼れるアシスタントとして活躍してきたオリヴィエ・フォルタンを中心に集まった名手たちがコントラスト鮮やかに全曲演奏。コ レッリやムファットなどにも通じる端正な音作りやA.スカルラッティやボノンチーニの初期作品にも比しうる歌心には、すでに次の世紀の到来さえ 予感させるものがあります。鈴木雅明やフィリップ・ヘレヴェッヘらとの共演でも注目されるハナ・ブラジコヴァーを筆頭に表現力きわだつ歌手た ちの妙技を、欧州各地で多忙な活躍を続ける腕利きの器楽勢が鮮やかにサポート。通奏低音以外は各パート一人ずつとは思えない変幻 自在の響きの聴きごたえに唸らされます。


H.M.F
HAF-8905363(1CD)
ジェズアルド:聖週間のレスポンソリウム レザール・フロリサン、
ポール・アグニュー(T,指)

録音:2018年9月、アンブロネー修道院
カルロ・ジェズアルドは、当時の他の作曲家とは異なり、とてつもなく裕福な貴族でした。当時の音楽家のほとんどは、雇われの身分だったので、貴族でありな がら音楽家であることはむしろ憚られることでしたが、ジェズアルドは自分の音楽での業績に、ほとんど強迫観念ともとれるくらいに、誇りをもっていました。そし て、当時音楽作品を出版することは自分の地位や条件を向上させるため、新しい仕事を見つけるため、あるいは単にお金のためでしたが、ジェズアルドはただ純粋 に自分の素晴らしい作品を後世に残すために、自分の作品を出版していました。そして晩年、自分の命が尽きると確信したとき、城の一室を印刷所に改装し、究極 のマドリガル集である第5集と第6集、そして聖週間のレスポンソリウムを制作・印刷しました。それは、体調を崩した彼が、生涯の最高傑作と自負しているものを 後世に残そうとしたことにほかなりません。これらは、ジェズアルドが自ら自分の作品の中で最も優れた音楽の中から選んだものといえるでしょう。
レスポンソリウムは、宗教的マドリガーレと位置付けることもできます。イースター前の木・金・土曜の典礼(受難の朗読)のために書かれました。聖週間は鐘を 鳴らさずに、木の棒を叩いて大きな音を出し礼拝の開始や終了を告げました。このディスクでも、冒頭と最後に木を鳴らす大きな音が入っています。
H.M.F
HAF-8905311(2CD)
ジェズアルド:マドリガーレ集第5集&第6集
[CD1]マドリガーレ集第5集(1611, ジェズアルド)
[CD2]マドリガーレ集第6集(1611, ジェズアルド)
レザール・フロリサン、
ポール・アグニュー(T,指揮)

録音:[CD1]2020年10月 [CD2]2020年9月、フィルハーモニー・ド・パリ
ポール・アグニューとレザール・フロリサンによる、ジェズアルドのマドリガーレ集、完結編の登場です。不協和音や半音階的な表現を駆使された驚くべき現代性 を響かせながら、愛と死、喜びと悲しみが、最小限の身振りながら効果抜群に表現されています。
カルロ・ジェズアルドは、当時の他の作曲家とは異なり、とてつもなく裕福な貴族でした。当時の音楽家のほとんどは、雇われの身分だったので、貴族でありな がら音楽家であることはむしろ憚られることでしたが、ジェズアルドは自分の音楽での業績に、ほとんど強迫観念ともとれるくらいに、誇りをもっていました。そし て、当時音楽作品を出版することは自分の地位や条件を向上させるため、新しい仕事を見つけるため、あるいは単にお金のためでしたが、ジェズアルドはただ純粋 に自分の素晴らしい作品を後世に残すために、自分の作品を出版していました。そして晩年、自分の命が尽きると確信したとき、城の一室を印刷所に改装し、究極 のマドリガル集である第5集と第6集、そして聖週間のレスポンソリウムを制作・印刷しました。それは、体調を崩した彼が、生涯の最高傑作と自負しているものを 後世に残そうとしたことにほかなりません。これらは、ジェズアルドが自ら自分の作品の中で最も優れた音楽の中から選んだものといえるでしょう。 (Ki)
H.M.F
HMM-902708(1CD)
ヘンデル:戴冠式用アンセム集
ヘンデル:オケイジョナル・オラトリオ(機会オラトリオ)HWV 62
ウィリアム・クロフト(1678-1727):主は太陽であり盾である(The Lord is a sun and a shield)
ジョン・ブロウ(1649-1708):シャコンヌ ト長調
ヘンデル:戴冠式用アンセム集〔司祭ザドク HWV258/汝の手を強めよ Let thy hand be strengthened HWV259/ 王は歓喜する The King shal rejoice HWV260/私の心のよりどころとなるもの My heart is inditing HWV261〕
ベルリン古 楽アカデミー
RIAS室内cho
ジャスティン・ドイル(指)

録音:2022年10月
ヘンデルは、1727年、イギリスに帰化します。同じ年、ジョージ1世が亡くなり、ジョージ2世が即位することとなり、ヘンデルはその戴冠式のための音楽を書 くよう依頼されます。ジョージ1世のもとでヘンデルは水上の音楽やジュリアス・シーザーなどを発表しておりましたが、ジョージ1世を継ぐ新国王の戴冠式という イベントを花火のように彩るような音楽を書きました。RIAS室内合唱団とベルリン古楽アカデミーが、この壮大にして壮麗な作品を、これ以上なくゴージャスに響 かせています。現在でも、この作品の一部は実際に戴冠式などの典礼で演奏されています。ウィリアム・クロフトの作品は、1714に行われたジョージ1世の戴冠 礼拝で演奏されたもの。実に壮麗な音楽を聴きながら英国の歴史までも体感できるような1枚です。 (Ki)

2L
2L-175SABD
(Blu-ray Disc Audi
+SACD)
オールドホール写本聖母ミサ
1.セーラム聖歌(『オールドホール写本』):キリエ
2.アレン(fl.c.1400)(『オールドホール写本』):グローリア
3.ジョン・クック(c.1385-1442)(『オールドホール写本』):ステラ・チェリ(天の星)
4.マリアンネ・ライダシュダッテル・エーリクセン(1971-):太陽は万人に輝く
5.作者不詳(early C15)(『オールドホール写本』):敬虔な母
6.リオネル・パワー(c.1370-1445)(『オールドホール写本』):アヴェ・レジーナ・チェロールム(めでたし天の后)
7.フォンテインズ(fl.c.1400)(『オールドホール写本』):高貴なる家より出で
8.作者不詳(C15)(『オールドホール写本』):レジーナ・チェリ(天の后)(詠唱)
9.作者不詳(C15)(『オールドホール写本』):レジーナ・チェリ(天の后)
10.トマス・ダメット(c.1389-1437)(『オールドホール写本』):祝福されしマリア、神の母
11.カタリーナ・ビセンス(1983-):間奏
12.ジョン・クック(c.1385-1442)(『オールドホール写本』):アヴェ・レジーナ
13.オリヴァー(early C15)(『オールドホール写本』):サンクトゥス(聖なるかな)
14.トマス・ビュタリング(C15)(『オールドホール写本』):男を知らぬ処女の母は
15.オリヴァー(early C15)(『オールドホール写本』):アニュス・デイ(神の子羊)
16.リオネル・パワー(c.1370-1445)(『オールドホール写本』):祝福されし家系
17.デイヴィッド・ラング(1957-):アレルヤ
18.デイヴィッド・ラング:アーメン
トリオ・メディイーヴァル【アンナ・マリア・フリーマン、リン・アンドレーア・フグルセット、ヨールン・ロヴィーセ・フーサン】
カタリーナ・ビセンス(オルガネット)

録音:2022年6月 ウラニエンボルグ教会(オスロ、ノルウェー)
『オールドホール写本』は、14世紀後期から15世紀初期のイギリスとフランスの宗教曲を収めた最大で最重要のコレクションです。19世紀末にカトリックの神 学校にあることがわかるまで、400年という歳月の大部分、歴史から忘れられていました。この写本には、通常ミサに使われるポリフォニーや聖母マリアのアンティ フォンといった曲が収められ、中世後期の宗教音楽の最良の源とみなされています。 ECMからヒット作を生み出してきたノルウェーのヴォーカルアンサンブル「トリオ・メディイーヴァル(Trio Mediaval)」の『慰め』(2L165SABD)につづく 2L の第2作アルバムは、この『オールドホール写本』から選んだ曲と新しく書かれた曲による「聖母マリアのためのミサ曲」として作られました。写本からは、「キ リエ」「グローリア」「アニュス・デイ」といったミサ通常文による曲とジョン・クック の「ステラ・チェリ」やリオネル・パワーの「アヴェ・レジーナ・チェロールム」 といった曲が選ばれ、トリオ・メディイーヴァルからノルウェーのマリアンネ・ライダシュダッテル・エーリクセン とアメリカのデイヴィッド・ラング に新曲が委嘱さ れました。ラングの「アレルヤ」「アーメン」はユダヤ教とキリスト教に共通する言葉による「瞑想」、エーリクセンの「太陽は万人に輝く」はペトロニウスの『サテュ リコン』の一節をテクストに使った作品です。 イマーシブ・オーディオのスペシャリスト、2L のモッテン・リンドベルグのプロダクションによりオスロのウラニエンボルグ教会で録音セッションが行われました。チ リ出身のカタリーナ・ビセンス(1983?)が参加、小型オルガン「オルガネット」を演奏しています。
[Pure Audio Blu-ray ディスクと SACD ハイブリッドディスクをセットにしたアルバムです。Pure Audio Blu?ray ディスクにはインデックスを除き映像は収 録されていません。SACD ハイブリッドディスクはSACDブレーヤーとCDプレーヤーで再生できますが、Pure Audio Blu-ray ディスクはCDやDVDのプレーヤーでは再生できないので、Blu?ray プレーヤーもしくは Blu?ray 対応のPCをお使いください]

Da Vinci Classics
C-00729(1CD)
ロドヴィコ・フェッロナティ:ヴァイオリンと通奏低音のための室内ソナタ集 Op.1(1710)Vol.1
ソナタ第1番ハ長調/ソナタ第3番 ト長調/ソナタ第5番ヘ長調/ソナタ第7番ニ長調/ソナタ第9番 ハ長調
アンサンブル・ロカテッリ

録音:2022年3月、チーゴレ(イタリア)
すべて世界初録音
その生涯と音楽活動がほとんど謎に包まれたままになっている、18世紀前半に活躍した人物ロドヴィコ・フェッロナティの貴重な作品集。文化的な都市パドヴァ出身のフェッロナティは作曲家、ヴァイオリニストでありながら、今日ではおそらく視覚芸術の分野で最もよく知られています。彼はベルガモの大聖堂教会を飾る絵画の注文に携わり、著名な画家ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロとも交流がありました。音楽分野では、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のヴァイオリニストを務めたこと、ベルガモで共に学んだロカテッリに影響を与えたことや、ピゼンデルがフェッロナティのヴァイオリン協奏曲を所有し大切にしていたことなどが知られています。フェッロナティのOp.1が当時のイタリア音楽界に大きな関心をもたらしたことは、この曲集に収録されたソナタのうち2曲が、パルマで発見されたアンソロジーに(アルビノーニ、コレッリ、ソミスらの作品と一緒に)収録されていることからも明らかでしょう。ヴァイオリンとチェロ、コントラバス、アーチリュート、チェンバロの組み合わせによるアンサンブル・ロカテッリの美しい演奏にも注目です。

Hyperion
CDA-68417(1CD)
マショー:恵みの泉
1. 与えてください、領主様/2. 人民を導く者は/泣け、王国よ/武器を握って/3. 監獄に入れられていてもとても心地良いので/4. 祝福された処女/汚れを知らず子を産んだ人/あなたに向かって私たちはため息をつき/5. ようこそ、価値ある女性/6. とても甘美な女性/7. 私は嘆願するのをやめません「泉のレイ」/8. 光であるキリスト/来たれ、創造主たる聖霊よ/苦難が近づき/9. わが心には闘争があり/10. 監獄に入れられていてもとても心地良いので
オルランド・コンソート〔マシュー・ヴェンナー(C.T)、マーク・ドーベル(T)、アンガス・スミス(T)、ドナルド・グレイグ(Br)〕

録音:2022年7月5日-7日、洗礼者聖ヨハネ教区教会(ラフトン、エセックス)
1988年にイギリス国立古楽センターで結成された男声ヴォーカル・クヮルテット、オルランド・コンソート。かつてアンドルー・カーウッドが在籍し、現在はタリス・スコラーズのメンバーでもあるドナルド・グレイグが低声部を支える精緻な歌声で、中世ポリフォニー音楽の最高峰として活動しています。
14世紀アルス・ノーヴァを代表する作曲家・詩人ギヨーム・ド・マショー。これまで、レコード芸術海外盤REVIEW「今月の特選盤」や英グラモフォン誌「エディターズ・チョイス」、グラモフォン賞ノミネート、ICMA(国際クラシック音楽賞)ノミネートなど、極めて高い評価を獲得してきたマショー・プロジェクトは、ついに第10弾という節目を迎えました。本アルバムでは、マショーが生きた疫病、戦争、争いの世界と、宮廷的で精神的な愛の理想を対比させ、当時の音楽をオルランド・コンソートの見事なアンサンブルが生き生きと再現しています。

Ars Produktion
ARS-38625(1CD)
スペインのハープシコード音楽
カベソン:Diferencias sobre el Canto del Cavallero
ルイス・ベネガス・デ・エネストローサ:Cinco diferencias sobre Las Vacas
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ:Segundo tiento de Quarto Tono por elami, a modo de cancion
セバスチャン・アギレラ・デ・エレディア:Obra de8° tono alto. Ensalada
フアン・カバニーリェス:Gallardas I
D.スカルラッティ:ソナタ ハ短調 K.56、ソナタ ニ短調 K.213
アントニオ・ソレール:Sonata no48en Modo Dorico
セバスティアン・デ・アルベロ:Recercata Prima、Fuga Prima、ソナタ・プリマ
フアン・セセ・バラゲール:フーガ第2番
ホアキン・ベルトラン:フーガ第2番、Pieza contrapuntistica no6
バシリオ・デ・セセー:Intento no6
アルベニス:ソナタ ニ長調
イネス・モレノ・ウンシージャ(ハープシコード)

録音:2021年4月30日-2021年5月3日
16世紀から19世紀かけて作曲されたスペインのハープシコード音楽。ドメニコ・スカルラッティのように有名な作曲家の作品から知られざる作曲家の作品まで網羅していますが、どの作品も質の高いものばかりです。特にこのアルバムに選ばれた作品は、この時代の鍵盤音楽の多様性を表しています。

Ars Produktion
ARS-38360(2SACD)
シュナイダー:主であるキリスト
フリードリヒ・シュナイダー(1786-1853):オラトリオ「主であるキリスト」
アレクサンダー・リューケン(指)、ヴッパータールSO、カントライ・ブレーメン=ゲマルケ、ドロテア・ブラント(S)、レナ・クライフェルト(A)、ファビアン・シュトロートマン(T)、リヒャルト・ロギエヴァ・ストヤノヴィチ(Bs)

録音:2022年5月
ドイツのピアニスト、オルガン奏者でもあった作曲家のフリードリヒ・シュナイダー(1786-1853)による三部作のオラトリオ。オラトリオ「幼児キリスト」(ARS-38353)に続く二作目となります。元々は四部作を想定しキリストの生涯をオラトリオにする予定だったシュナイダーでしたが、「栄光のキリスト」は作曲されませんでした。

H.M.F
HMM-932013(2CD)
テレマン:ブロッケス受難曲(全曲) ルネ・ヤーコプス(指)RIAS室内cho、
ベルリン古楽アカデミー
ダニエル・ベーレ(T/福音史家、信仰心Y)
ヨハネス・ヴァイサー(Br/イエス、信仰心X) マリー=クロード・シャピュイ(Ms/ユダ、信仰心V、娘T)
ドナート・ホーヴァール(T/ペトロ、ピラト、信仰心W、) ブリギッテ・クリステンセン(S/シオンの娘T、信仰心T、マリア、女T)
リディア・トイシャー(S/シオンの娘U、信仰心U、娘

録音:2008年3月
ブロッケスは、18世紀ドイツ文学界の重要人物。彼が書いたこの受難曲のテキストには、テレマンのほかにも、ヘンデルやカイザー、マッテゾンら13人もの作曲 家が付曲しています。テレマンの受難曲は1716年4月2日に初演、大成功をおさめ、かの大バッハ1739年(45歳頃、自らがマタイ・ヨハネ両受難曲を作曲し た後)に全曲を写譜して研究したほどに有名曲となりました。ヤーコプスは、人間味豊か、絡み合う音が魅力のテレマンの名作を、大変見事に、瑞々しく現代によみ がえらせました。 序曲は器楽によるシンフォニア。まるでオーボエ協奏曲のような充実したシンフォニアを、名団体ベルリン古楽アカデミーで聴けるとは! バッハの受難曲が福音書家 の役割が非常に大きいのに対し、テレマンの作品は、それぞれのソリストが「信仰心」という役割を持ち、場面場面で、二重唱や三重唱で信者(=わたくし)の心を 代弁、活躍します。イエスが十字架上で「わが神、わが神、なぜ私をお見捨てになったのですか」と言う場面は、実に人間味に溢れていてドラマティック。終曲コラー ルでは、トランペットの響きも高らかに、イエスの死による私たちが罪から救い出されるということを力強く讃美していて、大変輝かしい終結となっています。ヤー コプスの完璧なコントロールの指揮の下、歴史的名曲の理想的な名演です。 (Ki)
H.M.F
HMM-931956(1CD)
ティク・トク・ショク〜F.クープラン:作品集
フランソワ・クープラン
1 神秘的な防塞(第6組曲)
2 ティック・トック・ショック、あるいはマイヨタン(第18組曲)
3 クープラン(第21組曲) 
4 信心女たち(第19組曲)
5 さまよう亡霊たち(第25組曲)
6 編物をする女たち(第23組曲)
7 キテラ島の鐘(第14組曲)
8 タヴェルニのミュゼット(第15組曲)
9 葦(第13組曲) 
10 アタランテ(第12組曲)* 
11 パッサカリア(第8組曲)
12 ミューズ・プラティヌ(第19組曲)
13 奇術(第22組曲)
14 戦いのどよめき(第10組曲) 
15 子守歌あるいは揺籠の中のいとし子(第15組曲)
16 空想にふける人(第25組曲)"
17 ラ・ロジヴィエール(第5組曲)
18 双生児(第12組曲)"
19 かわいい子供たち、あるいは愛らしいラジュール(第20組曲)
20 ジャック・デュフリ:ラ・ポトゥアン
アレクサンドル・タロー(P)
トラック10:パブロ・ピコ(タンブール)

録音:2006年7月/パリ、IRCAM大ホール
まさに衝撃的な一枚。かけた瞬間、ドビュッシー作品かと錯覚するほどの色彩感、量感、情感。ゆったりとふくよか、ビロードのようでありながら、立ち上が りがどこまでもくっきりとした不思議な音色は、聴く者をとらえて放しません。 2007年に発売され大きな話題となった名盤、アレクサンドル・タローが演奏する、ピアノによるF.クープラン作品集(2006年録音)が再登場します。タロー 本人が「playする、という考えに基づいて曲をきめました。自分がしばしばコンサートでも演奏するティク・トク・ショクを中心に据えました。F.クープランのもっ とも「ピアニスティック」な作品を集め、これらのplay-ful な側面を強調しています。」と語っているように、どの曲もきわめて清冽かつ明確に演奏されています。 冒頭に収録されている「神秘的なバリケード」は、一音一音にしっかりと意志と力強さがこめられており、聴いていてストレートに心に響く演奏。また、「ティク・ トク・ショック」も、これほどまでにクープラン作品が超絶技巧だとはと驚かされるもの。最後にデュフリの作品が収録されているのも心憎いところです。

Naive
OP-30579(1CD)
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-90):モテット集
1イエス・キリストの母であるマリアが(alma redemptoris mater)[5声]
2花よ、白く咲け、枝よ、緑に育て(albescite flores, virescite frondes)[4声]
3自分の持っているものをすべて捨てない人は(Qui non renuntiat omnibus quae possidet)[3声]
4アヴェ・レジーナ・チェロールム(ave, regina caelorum)[5声]
5驚け、天国の住人たちよ、言葉を失え、天使たちよ(obstupescite caelites, obmutescite angeli)[4声]
6誰が聖なるシオンの山に登るのか?(quis ascendit in montem sanctum sion?) [2声]
7リタニー[5声]
8エルサレムの娘よ、歓喜し喜べ(exultemus omnes et laetemur, filiae ierusalem)[2声]
9もっとも聖なる十字架よ、我らは汝を讃えまつる(adoramus te, sanctissimam crucem)[4声]
10天上の女王よ(regina caeli laetare)[5声]
11死すべきものよ、目覚めよ(expergiscimini mortales, surgite a somno)[3声]
12皆の者よ、来たれ、走れ、人々よ(venite omnes, currite populi)[4声]
13慈悲深き聖母よ(salve regina, mater misericordiae)[5声]
リナルド・アレッサンドリーニ((指)オルガン)
コンチェルト・イタリアーノ
ソニア・テドラ(S)
エレーナ・カルツァニガ(C.A)
ヴァレリオ・コンタルド、ラッファエレ・ジョルダーニ(T)
サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
ウゴ・ディ・ジョヴァンニ、フランコ・パヴァン(テオルボ)

録音:2019年7月11-14日、ローマ
アレッサンドリーニ率いるコンチェルト・イタリアーノの最新盤は、17世紀に非常に影響力があり、亡きあともしばしばその作品が演奏・研究されていた、ジョヴァ ンニ・レグレンツィ(1626-1690)のモテット集。カリッシミやリュリとほぼ同時代を生きましたが、レグレンツィという名前は今日ではあまり聞かれなくなってい ます。しかし、ロッティ、カルダーラ、ヴィヴァルディなど多くの弟子を育てたほか、バッハやヘンデルはレグレンツィの楽曲から主題をとって作曲するなど、当時大 きな存在でした。生前出版された楽譜の中から、モテットに特化した4つの曲集を選び、その中からこのCDはプログラムされています。どれも声は1パート1人 によって演奏され、その鮮烈かつ洗練されたアンサンブルは美の極致。2声から5声による緻密なハーモニーをお楽しみいただけます。 (Ki)

Coviello
COV-92304(1CD)
トーマス・ゼッレ(1599-1663):大地は主そのものである D148
ヨハネ受難曲(1643)
主をたたえよ D147
アントニウス・アダムスク(指)
ゲッティンゲン・バロックO

録音:2022年3月17-20日
テレマンもカントルを務めたハンブルクにあるヨハネウム学院で、1641年から亡くなるまでカントルとして活躍したトーマス・ゼッレ。1643年に書かれた「ヨ ハネ受難曲」はカラフルな楽器書法が特徴的な傑作。 (Ki)

TYXart
TXA-22172(1CD)
ヴェルナー・ヴォルフハイム氏の蔵書からのリュート曲集
オイゲン・マイアー(1934-):Chiajeri (Taugwalder)
エミル・フレイ(1889-1946):Junges Madchen in den Bergen (Morgenstern) op.49/1
オイゲン・マイアー:Wela Wag (Taugwalder)
ヴェルナー・ベルッチ(1950-):Die Felswand (Meyer) Wege III
オイゲン・マイアー:Ds Hittuliechtje (Taugwalder)
ヨゼフ・ラウバー(1864-1952):Fruhlingsnacht (Hesse) op.37/2
オイゲン・マイアー:Dr Schuelschatz (Taugwalder)
ハンス・フーバー(1852-1921):Mir traumte von einem Myrtenbaum (Heyse) op.61/32.47
オイゲン・マイアー:Dr Bluusuchnopf (Taugwalder)
ワルター・クルヴォワジエ(1875-1931):Morgens (Storm) op.2/7
オイゲン・マイアー:Herbschtwind (Taugwalder)
ハインツ・ホリガー(1939-):Herbst (Morgenstern) Sechs Lieder VI
作者不詳:[タイトルなし]-ドゥーブル-第2ドゥーブル
アシャズ・カシミール・ヒュルツ(1658-1723):ガヴォット-ドゥーブル
作者不詳:サラバンド-ドゥーブル
作者不詳:ソナタ
アシャズ・カシミール・ヒュルツ:サラバンド
作者不詳:ジーグ-ドゥーブル
作者不詳:シャコンヌ イ短調
エザイアス・ロイスナー(the Younger,1636-1679):アルマンド-ドゥーブル
作者不詳:クーラント-ドゥーブル
作者不詳:[タイトルなし]
ジェルマン・ピネル(c.1600-1661):サラバンド-ドゥーブル
作者不詳:[タイトルなし]
エヌモン・ゴーティエ(c.1575-1651):スペインのサラバンド-別の手法で-ドゥーブル
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(c.1623-1680):チャッコーナ イ長調(ホフシュテッター編)
ベルンハルト・ホフシュテッター(Lute)

録音:2020年12月
1928年から29年にかけて、ヴェルナー・ヴォルフハイム博士の音楽蔵書がオークションに出されました。その中にはバッハの『フーガの技法』『音楽の捧げも の』の初版といった大変貴重なものもあります。この蔵書に含まれるリュート曲集を初録音したのが当盤。 (Ki)

Challenge Classics

CC-72948(1CD)

メアッリ(1624-ca.1687):ヴァイオリンのための教会ソナタと室内ソナタ Op.3&4(インスブルック、1660年)
ラ・チェスタ Op.3-2
ラ・メラーナ Op.3-3
ラ・クレメンテ Op.3-5
ラ・ステッラ Op.4-5
ラ・モネッラ・ロマネスカ Op.4-3
ラ・サッバティーナ Op.3-6
ラ・ヴィヴィアーナ Op.4-2
ラ・ビアンクッチャ Op.4-4
ラ・カステッラ Op.3-4
ラ・ベルナベア Op.4-1
ラ・ステッラ Op.3-1
ラ・ヴィンチョリーナ Op.4-6
エヴァ・サラディン(Vn)
ジョナ サン・ペシェク(Vc)
ヴェラ・シュニーダー(Hp)
ヨハネス・ケラー(オルガン、チェンバロ)

録音:2022年9月27-30日/スイス、聖パンタレオン教会
スイスのバーゼルを拠点に活動するバロック・ヴァイオリン奏者、エヴァ・サラディンによるChallenge Classicsデビュー盤。17世紀に栄えた豊かなヴァイオ リン音楽の世界から、あまり取り上げられないパンドルフィ・メアッリのソナタを選んで演奏しています。
パンドルフィ・メアッリは、ヴァイオリン音楽を開花させたイタリアのカステッロやマリーニと、その後にヴァイオリン音楽の頂点を築いたオーストリアのビーバーや シュメルツァーとをつなぐ作曲家として重要な人物。ここに収録されたソナタは1660年に出版されたもので、幅広い性格と雰囲気を持った多種多様な音楽です。 (Ki)

ATMA
ACD2-2422(1CD)
合唱の芸術 第3集「バロック Vol.2」
テレマン:4声のモテット『全ての民よ、主を誉め称えよ』 TWV7:25より ハレルヤ
ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ:6声のモテット『われらの苦悩よ』 JLB33
バッハ:4声のモテット『主をたたえよ、すべての異教徒よ』 BWV230
ロッティ:10声のモテット『十字架につけられ』
ゼレンカ:聖週間のための27のレスポンソリウムより 『神殿の幕は避け』(4声)、『おおすべての人々よ』(4声)
テレマン:4声のモテット『神はわがやぐら』 TWV8:
ホミリウス:4声のモテット『涙とともに種蒔く者は』HoWV V.11、『天にましますわれらの父よ』 HoWV V.27、 『見よ、偉大なる愛よ』 HoWV V.48
ヨハン・クリストフ・バッハ:4声のアリア『わが命は今にも尽きぬ』
マティアス・マウテ(指)
アンサンブル・アートコラール

録音:2021年4月26-27日/ケベック、ミラベル、聖オーギュスタン教会
後期バロックの合唱曲を収録したアルバム。ア・カペラか、オルガンのみの伴奏で、シンプルな編成から伝わってくる声の美しさに癒されます。
「合唱の芸術」シリーズは、ルネサンスから現代までの6世紀にわたる合唱の歴史をたどる、大がかりなプロジェクト。今後3年間で全11集を刊行予定です。発 売順は1からではなく、これまでにはクリスマスの音楽を収めた第7集(ACD2-2426)が発売されています。
アンサンブル・アートコラール(旧アンサンブル・ヴォーカル・アーツ・ケベック)は伝統的な合唱曲をレパートリーの柱とし、40年以上の歴史を持つ合唱団。 2018年より指揮者・作曲家・リコーダー&フルート奏者として活躍しているマティアス・マウテを芸術監督に迎えています。 (Ki)

EVIDENCE
EVCD-095(1CD)
それゆえ愛は私を苦しめる
作者不詳:愛の苦しみから
カリッシミ:飾らぬ美しさ
ルイージ・ロッシ:地獄の怒り
トリカリオ:さあ、憤りを胸に
カスタルディ:タステッジョ・ソアーヴェ
ストラデッラ:涙を果てしなく流した後
作者不詳:人里離れた地に
作者不詳:ついに斃れ
アンヌ=ソフィ・オノレ、ユリア・ヴィシニェフスキ(S)
アンドレアス・リノス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、バンジャマン・ナルヴェ(キタローネ)
サム・クラウザー(チェンバロ、指揮)

録音:2022年9月24-27日/ポール・ロワイヤル修道院国立博物館(ポール・レ・ザモー)
ンヌ=ソフィ・オノレは1987年ノルマンディのカーン生まれのソプラノ。愛に関するさまざまな感情を表す8曲に挑戦。女性の可愛らしさ、怖さ、辛さを見事 に表現しています。

のすたるぢあ
Nostalgia-2201(1CD)
神々の雄弁術〜ドニ・ゴーティエの音楽
ドニ・ゴーティエ(1603-1672):組曲Aメジャー〔プレリュード、アルマンド「アンドロメダ」、クーラント「貞潔な浮気女」、ジグ「アタランテ」、ロンド風シャコンヌ〕/組曲Dメジャー〔パヴァーヌ「献辞」、クーラント「ミネルウァ」、サラバンド、ジグ「賛辞」〕/組曲Fメジャー〔アルマンド「雄弁家アポロン」、クーランド&ドゥブル、サラバンド「森のディアーナ」、カナリー〕/組曲Aマイナー〔プレリュード、アルマンド「オルペウス」、クーラント「悩殺美人」、サラバンド、ジグ「エコー」、友人ランクロの死への解答〕
佐藤豊彦(フランス式リュート)

録音:2022年11月14日-17日、炎の博記念堂文化ホール(佐賀県有田町)
※使用楽器:ラウレンティウス・グライフ(1611)
リュート界の第一人者であり、日本が誇る世界的巨匠佐藤豊彦が、自主レーベル「のすたるぢあ(Nostalgia)」からリリースする新録音。佐藤豊彦が自身の最後のソロ録音となるアルバムに選んだのは、17世紀フランスのリュート奏者&作曲家、ドニ・ゴーティエ(1603-1672)の作品が収録された曲集『神々の雄弁術(La Rhetorique des Dieux)』(「神々の修辞学」とも。一部は従兄のエネモン・ゴーティエ(1575-1651)の作と言われている曲もあり)からの音楽です。
ここで言う「神々」とはギリシャ神話やローマ神話に出てくる様々な神たちのことで、今回の収録作品でも、アンドロメダ、アタランテ、ミネルウァ(ミネルヴァ)、アポロン、ディアーナ、オルペウス(オルフェウス)、エコーなどの名前が登場します。
これまでもフランスのリュート音楽と日本の「禅」や「粋」、「侘び寂び」との共通点等を探りながら独自の境地を切り拓いてきた佐藤豊彦ですが、本作でも、ギリシャ・ローマ神話の神々と日本の八百万の神との共通点や、(一部の例外を除いて)一切装飾のない楽譜と禅の精神との関係等を感じながら、ドニ・ゴーティエの作品を紐解いてゆきます。繰り返しのあるすべての舞曲では、1回目は装飾無しで演奏され、2回目は今までのように多彩な装飾が施されています。

CORO
COR-16197(1CD)

PCOR-16197(1CD)
国内盤仕様
税込定価
パレストリーナ Vol.9〜ミサ曲「ドレミファソラ」
ミサ曲 「ドレミファソラ」(ヘクサコルド・ミサ)
神から遣わされた男がいた
生まれた子供は
正しい男は棕櫚の木のように
ヘロデは死刑執行人を送り
あなたの僕(しもべ)たちが声をほぐして
ソロモンの雅歌 第22-24番
わが愛する者よ, あなたは美しく、
この者はだれか、
わたしは園へ下っていった
ここにもっとも神聖な福音書記者がいる
大いに尊敬されるべきは
この弟子である
ザ・シックスティーン、
ハリー・クリストファーズ(指)

録音:2021年5月5日-7日、セント・オーガスティン教会(キルバーン、ロンドン)
※国内盤:日本語解説書&歌詞訳付き
英国が誇る合唱界の至宝、ザ・シックスティーン。現在のザ・シックスティーンを代表する一大シリーズとなった「パレストリーナ・プロジェクト」の最新作となる「第9集」が登場!
ルネサンス期のポリフォニーを代表する作曲家であり、史上最高の典礼音楽作曲家の一人であるパレストリーナ。世界中の聖楽に影響を与え続けてきたパレストリーナが遺した100曲を超えるミサ曲の中からハリー・クリストファーズが選んだミサ曲を中心に、旧約聖書の「ソロモンの雅歌」に基づく連作モテット集からの3曲や関連するイムヌス、モテットなどでプログラムを構成するという秀逸なプロジェクト。
第9巻では、中世・ルネサンス音楽の教会旋法の基礎をなす音階であるヘクサコルド(ヘクサコード)によるミサ曲 「ドレミファソラ」 を中心に、パレストリーナが洗礼者聖ヨハネと福音者聖ヨハネのために書いた栄光ある音楽にもスポットライトを当てています。

Signum Classics
SIGCD-751(2CD)
海外の英国人
パーセル:シャコンヌ ト短調 Z730
テレマン:序曲=組曲 ト短調 TWV55:g5
若ニコラ・マッテイス:ヴァイオリン協奏曲 変ロ長調
カルダーラ&ニコラ・マッティス:「La Verita nell’Inganno」の序曲&バレエ音楽
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調「お気に入り」 Op.11RV277
ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッ:序曲=組曲 ハ長調、シャコンヌ イ長調
ラ・セレニッシマ、
エイドリアン・チャンドラー(ディレクター、ヴァイオリン)

録音:2022年10月、シーダーズ・ホール(イギリス、サマセット)
英国屈指のバロック・ヴァイオリニスト、エイドリアン・チャンドラーによって創設された著名なピリオド・アンサンブル、ラ・セレニッシマ!
ヴィヴァルディを中心に、知られざる作品や再発見された作品の世界初録音を続々と世に送り出し、2度のグラモフォン賞に輝いている彼らの最新作は、若ニコラ・マッテイス(c1677-1737)の人生と作品を称える1枚!イタリア人の父とイギリス人の母の間にロンドンで生まれたマッテイスは、1700年にイギリスを離れウィーンの宮廷へ赴くまでの間に、ヘンリー・パーセルの様式に染まっていました。18世紀初頭のヨーロッパ大陸において、英国の様式や英国の音楽家が知られていなかったと考えるのは容易いですが、本作の選曲は実際にはそうではなかったことを物語っています。素晴らしい舞曲、組曲のほか、驚くほど美しいヴィヴァルディの協奏曲、イギリス人(パーセル)とイタリア人(ブレシャネッロ)による2つの素晴らしいシャコンヌが収録されています。

fra bernardo
FB-2281535(1CD)
ヴィオリーノ Vol.3〜1680年頃ウィーンのヴァイオリン音楽
神聖ローマ皇帝レオポルト1世:シャコンヌ SMC
シュメルツァー:ソナタ第2番
作曲者不詳:カプリッチョ第5番
作曲者不詳:ソナタ第8番
作曲者不詳:シャコンヌ第6番
シュメルツァー:ソナタ第6番
作曲者不詳:ソナチネ第17番
シュメルツァー:ソナタ ニ長調
作曲者不詳:サラバンダ・ヴァリアータ
神聖ローマ皇帝レオポルト1世:ガヴォット SMC、別れ〜シャコンヌ SMC
ヴェロニカ・スクプリク(Vn)、
イェルク・ヤコビ(Org)

録音:2022年3月23日-25日、聖ラウレンティウス教会(ラングヴァルデン、ドイツ)
※使用楽器:ヴァイオリン Cahuzsac Brothers, London1787/オルガン Hermann Kroger Berend Hues1650/51
ラルぺッジャータやオルトレモンターノ、コンチェルト・パラティーノなどでも活躍するドイツの女流ヴァイオリニスト、ヴェロニカ・スクプリクによるオーストリアのヴァイオリン秘曲集第3弾。ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(1623-1680)のソナタに加え、ロンドンの大英図書館に所蔵されている貴重なバロック時代の写本から特に魅力的な作曲者不詳の作品に焦点を当てています。さらに作曲家である神聖ローマ皇帝レオポルト1世(1640-1705)による極めて質の高いシャコンヌを収録し、17世紀末ウィーンで作曲された知られざる作品を改めて発見できる一枚です。

Glossa
GCD-924503(1CD)
レオナルドの橋
Kuh-Pareh/Non val aqua al mio gran foco/Staralla ben cussi/Parvaz/Pan de miglio caldo/Saltarello e Piva/Sera ne lo cor mio/Tu dormi/So stato nel inferno/Semai Pire mey foroush/Cavalca Sinisbaldo/Hijaz Semai/Noi che semper naveghemmu
マルコ・ビーズリー(ヴォイス)、
キヤ・タバシアン(ディレクター)、
コンスタンティノープル

録音:2022年3月、スタジオ・ピッコロ(モントリオール、カナダ)
レオナルド・ダ・ヴィンチは1502年、オスマン帝国のバヤズィト2世が行った事業計画でイスタンブールの金角湾に幅23m、長さ350m、高さ40m(大きさは諸説あり)にも及ぶ巨大な橋の設計図を制作したものの、そのあまりに大規模な土木工事は当時としては難しく、ついに実現することはありませんでした。本アルバムでは、彼が結びつけようとした2つの文化圏の音楽を対話させることでこのプロジェクトに命を吹き込み、500年の時を経て彼が思い描いた東洋と西洋の架け橋を築きます。
イラン出身で古代ペルシャ音楽を学んだキヤ・タバシアンと中世とルネサンス、ヨーロッパ、地中海と中東の伝統を受け継ぐ広範な音楽を紹介してきたコンスタンティノープル(編成は、セタール、カーヌーン、ケメンセ、ウード、ゲイチャク等)は、これまでもイスラム・オスマン帝国とキリスト教・ヨーロッパの2つの文化の重要な仲介者となったアリ・ウフキの音楽や、ペルシャの偉大な神秘主義詩人、ジャラール・ウッディーン・ルーミーの詩にインスピレーションを得た作品などを制作してきました。今回のレコーディングにはタバシアンの親愛なる友人である歌の都ナポリの至宝、マルコ・ビーズリーをゲストに迎え、プロジェクトに参加した8人の音楽家たちによって架けられたこの橋がリスナーによって何度も旅され、渡られることを願っています。
Glossa
GCD-923904(2CD)
マルコ・ダ・ガリアーノ(1582-1643):プロローグと5幕の歌劇 「ラ・フローラ(または花のクリスマス)」(フィレンツェ, 1628) エレーナ・サルトーリ(指)、
アッラバストリナ、
クラリッサ・レアーリ(S)、
ヴァレリア・ラ・グロッタ(S)、
マウロ・ボルジョーニ(Br)、
マルタ・フマガッリ(Ms)、
アリアンナ・ストルネッロ(S)、他

録音:2022年6月6日-10日&9月13日-14日、フジニャーノ・コレッリ(ラヴェンナ、イタリア)
オペラの誕生は1600年頃、フィレンツェで始まり、この新しいジャンルは重要な政治的行事の伴奏に使われました。作曲家のマルコ・ダ・ガリアーノ(1582-1643)は、モンテヴェルディによるこの新しい様式を知り、メディチ家のために「ラ・フローラ」を作曲しました。この作品は吟遊詩人アンドレア・サルヴァドーリの台本を基に作曲され、1628年、パルマ公オドアルド・ファルネーゼとマルゲリータ・デ・メディチの結婚式の際に上演されました。
初演から400年経て今、イタリアの女流鍵盤奏者で指揮者であるエレーナ・サルトーリと、サルトーリが率いる古楽アンサンブル&choのアッラバストリナ(アッラバストリーナ)の演奏で蘇ります。

KLANGLOGO
KL-154748-7(7CD)

PKL-154748-7(7CD)
国内盤仕様
税込定価
ヤコブ・ファン・エイク(c.1590-1657):笛の楽園全曲 シモン・ボルツキ(リコーダー)

※国内盤:解説日本語訳&日本語曲目表記オビ付き
ヤコブ・ファン・エイク(c.1590-1657)による「笛の楽園」は、管楽器のための曲集としてこれまでに作られたものの中でも最も大規模な作品のひとつです。ルネサンスからバロックへの移行期に活躍した作曲家ヤコブ・ファン・エイクは、カリヨン奏者でもあり鋳造、調律も行い、さらにはリコーダーの名手でした。その作品は、ファン・エイクが生まれつき目が見えなかったため、口述で伝えられたものが出版されました。「笛の楽園」は約150曲という膨大な曲数があり、有名な教会音楽や、民謡の変奏曲なども含まれています。この貴重な全曲録音では、シモン・ボルツキが、テナー・リコーダーの深く豊かな低音の音色から、ソプラニーノ・リコーダーによるきらめくような名人芸まで、26本ものリコーダーを駆使して多様な表現をみせています。
ドイツのリコーダー奏者シモン・ボルツキは、フランクフルト音楽舞台芸術大学でミヒャエル・シュナイダー教授にリコーダーを師事、その後ベルリン芸術大学で研鑽を積むと同時にベルリン音楽大学で古典声楽を学びました。17〜18世紀の音楽に特に注力しており、ベルリン・リコーダー・オーケストラの芸術監督兼指揮者としても活躍しています。これまでにリリースしたCDは、グラモフォン誌にて「エディターズ・チョイス」に選ばれるなど高い評価を受けています。

Hyperion
CDA-68416(1CD)
バード:5声のミサ曲
ウィリアム・バード(1539/40-1623):アヴェ・ヴェルム・コルプス/日々自らの罪に悩まされたるわれらは/5声のミサ曲より キリエ、グローリア/悲しみと不安が/5声のミサ曲より クレド/アヴェ・マリア/5声のミサ曲より サンクトゥス、ベネディクトゥス/死の悲しみがわれをとりまく/5声のミサ曲より アニュス・デイ/よりよき生活のうちに/エレミアの哀歌(失われた声部の再構築:オワイン・パーク
ジェズアルド・シックス〔ガイ・ジェームズ(C.T)、ジョゼフ・ウィックス(T)、ジョシュ・クーター(T)、マイケル・クラドック(Br)、サミュエル・ミッチェル(Bs)〕、オワイン・パーク((指)バス)

録音:2022年6月&9月、オール・ハロウズ教会(イギリス、ロンドン)
2014年に設立されたルネサンス・ポリフォニーを専門とするイギリスの若き男声ア・カペラ・アンサンブル、「ジェズアルド・シックス」。ディレクターを務めるオワイン・パークは、1993年生まれ、若くして作曲家、指揮者、歌手、オルガニストなど多彩に活動を拡げる天才ミュージシャンです。
ジェズアルド・シックスは、イギリスのルネサンス期を代表する作曲家ウィリアム・バード(c.1543-1623)の没後400周年を記念したスペシャル・コンサート「シークレット・バード」を企画し、英米の大規模なツアーを行っています。7枚目のアルバムとなる本作もバード没後400周年を記念したもので、おそらく1594年末から1595年初頭頃に作曲されたと思われるラテン語の(隠れカトリックのための)傑作「5声のミサ曲」を中心に、並外れた美しさを誇るラテン語のモテットを散りばめ、バードの作品の力強さと優しさを的確に捉えた素晴らしいアルバムが完成しました。1560年代のリンカーン在学中に作曲されたと思われる「エレミアの哀歌」は、オックスフォードとテンベリーに残る資料を繋ぎ合わせても3か所に不完全な声部(T)が残っており、オワイン・パークが当時の様式を守りながら巧妙に再構築しています。

CPO
CPO-555586(3CD)
NX-G11
カール・ハインリヒ・グラウン(1703-1759):歌劇「シッラ」 シッラ:ローマの独裁者…ベジュン・メータ(C.T)
メテッロ:評議員…ヴァレル・サバドゥス(カンターテナー)
レントゥーロ:評議員…ハーゲン・マツァイト(C.T)
ポストゥミオ:評議員…サミュエル・マリーニョ(S)
オッターヴィア:ポストゥミオの婚約者…エレオノーラ・ベッロッチ(S)
フルヴィア:オッターヴィアの母・・・ロベルタ・インヴェルニッツィ(S)
クリソゴーノ:奴隷解放者…メルト・スング(T)
コーロ・マギーニ(合唱)
インスブルック音楽祭O(古楽器使用)
アレッサンドロ・デ・マルキ(指)

録音:2022年8月2-9日
世界初録音
古代ローマの政務官で独裁官となったシッラ(ルキウス・コルネリウス・スッラ)の物語。シッラが内戦によって政敵を 倒して恐怖政治を確立した後、突然の退位を発表するまでが、奔放な恋愛模様を絡めて描かれています。この 話は18世紀に人気があったようで、モーツァルトやヘンデルも「シッラ」を題材とした歌劇を書きました。グラウンの作 品ではプロイセン王フリードリヒ2世による台本が注目されます。カウンターテナーのベジュン・メータやヴァレル・サバ ドゥス、男声ソプラノのサミュエル・マリーニョ、ソプラノのロベルタ・インヴェルニッツィと豪華キャストを揃えるところは、さ すが名門音楽祭。アレッサンドロ・デ・マルキが指揮するインスブルック音楽祭Oも輝かしい演奏を聴かせ ます。 ※オリジナルはフランス語台本ですが、ここではGiovanni Pietro Tagliazucchiによるイタリア語台本に基づき、 イタリア語で上演されています。

CPO
CPO-555525(2CD)
NX-D11
ヨハン・ハインリヒ・ローレ(1716-1785):ルカ受難曲(1744) 小間使いI…シーリ・ソーンヒル(S)
福音史家…マルクス・シェーファー(T)
ペトロ、テスト、不正を働くもの II…ヒューゴ・ハイマス(T)
イエス…ティロ・ダールマン(Bs-Br)
ピラト、不正を働くもの I、隊長…マティアス・フィーヴェク(A)
エルヴィラ・ビル(Ms)
ケルン・アカデミー(古楽器使用)
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)
録音:2022年6月24-27日、8月19日
マグデブルクのアルトシュタット・ギウナジウムで30年以上カントール職を務め、当時絶大な名声を誇っていた ハインリヒ・ローレが1744年の受難節に書いた「ルカ受難曲」。ケルン・アカデミーとヴィレンズは2016年に ローレの「マタイ受難曲」世界初演を行い、アルバムを発表、高く評価されています。この「ルカ受難曲」は、ル カによる福音書の第22章39節から23章の終わりまでを原文として、新しく構成されたテキストを用いたもの で、各セクションはアリアを中心に、レチタティーヴォ、コラール、合唱が配置されています。1744年、ローレ30 歳前の作品ですが、その作曲技法は熟練の域に達しており、18世紀の中部及び、北ドイツで書かれた受 難曲を代表する名作の一つに位置づけられるものです。福音史家はベテラン、マルクス・シェーファーが担当。 他の歌手たちも素晴らしい歌唱を聴かせます。

CPO
CPO-555577(1CD)
NX-B10
クリストフ・グラウプナー(1683-1760):2人のソプラノとバスの為のカンタータ全集
1. Ein jeglicher sei gesinnet GWV1126/21
2. Zerflies‘, mein Herz, in Blut GWV1127/20
3. Nun ist auferstanden GWV1128/21
4. Christ lag in Todesbanden GWV1130/21
5. Du schones Wohnhaus GWV1133/20
マリー・ルイーゼ・ヴェルネブルク(S)
ハンナ・ツムザンデ(S)
ドミニク・ヴェルナー(Bs)
キルヒハイマー・バッハコンソート(古楽器使用)
フロリアン・ヘイエリック(指)

録音:2022年7月16-17日(ライヴ)
全て世界初録音
ドイツ、ザクセン公国に生まれたグラウプナー。クーナウに学び、ハンブルク歌劇場のチェンバロ奏者を務 めながら(同じ時期にヘンデルがヴァイオリン奏者として在籍していた)、次々と歌劇を作曲していました。 当時はバッハよりも高い評価を受けていたというグラウプナーcpo声楽作品シリーズです。 今作では1720年から21年に作曲された2人のソプラノとバスの為のすべてのカンタータを選曲。この5曲は 聖週間から復活祭後の3度目の日曜日までの教会暦によるもので、グラウプナーが従事していたダルムシュ タット宮廷の歌手たち、とりわけソプラノ歌手の高い能力を存分に駆使した、歌の妙技が盛り込まれていま す。18世紀作品を得意とする2人のソプラノ歌手ヴェルネブルクとツムザンデ、安定の歌唱を聴かせるヴェル ナーによる演奏でお楽しみください。

Resonus
RES-10312(1CD)
NX-B05
テレマン:無伴奏フルートの為の12のファンタジア TWV40:2-13
第1番イ長調 TWV40:2
第2番イ短調 TWV40:3
第3番ロ短調 TWV40:4
第4番変ロ長調 TWV40:5
第5番ハ長調 TWV40:6
第6番ニ短調 TWV40:7
第7番ニ長調 TWV40:8
第8番ホ短調 TWV40:9
第9番ホ長調 TWV40:10
第10番嬰ヘ短調 TWV40:11
第11番ト長調 TWV40:12
第12番ト短調 TWV40:13
サミ・ユンノネン(Fl)

録音:2022年2月15-17日
1727年から1732年にかけて作曲されたテレマンの「無伴奏フルートの為の12のファンタジア」。通奏低音付きの 作品が主流だった18世紀にかかれた少数の無伴奏作品の一つで、全曲は緩-急-緩-急による古典的な形式の ソナタと、舞曲などを織り交ぜた新しい形式のソナタがバランスよく配置されており、技巧の見せ場もふんだんに盛り 込まれています。 演奏はフィンランドの奏者サミ・ユンノネン。2012年にヘルシンキ音楽センターでデビュー・リサイタルを行って以来、 アイスランドSO、香港シンフォニエッタなどの首席奏者を務めるかたわら、ソリストとして活躍。2017年には フィンランド独立100周年の公式文化使節としてロシアへのツアーを行うなど、高く評価されています。 使用楽器は2000年代に制作されたムラマツ・フルート24K。
Resonus
RES-10316(1CD)
NX-B05
ユーハン・ヘルミク・ルーマン:フルートの為の室内楽作品集
ソナタ第4番ト長調 BeRI204? フルートと通奏低音の為の
ソナタ第10番ホ短調 BeRI210- フルートと通奏低音の為の
. アリア「Suse Zeiten eilet nicht」 - 『食卓の為の音楽』のカンタータから
ソナタ第8番イ長調 BeRI208- フルートと通奏低音の為の
アリア「I eder basta var」 HRV600- 『Brollops Music結婚式の為の音楽』より
トリオ・ソナタ第3番ホ短調 BeRI115
フラウグィッシモ【フー・ユウェイ(Fl)、ヨハン・レフヴィング(テオルボ&バロック・ギター)、マグダレーナ・ロト=ヒル(Vn)、エミリー・アトキンソン(S)、ヘンリク・パーソン (ヴィオラ・ダ・ガンバ)】

録音:2021年11月22-24日
スウェーデンのバロック期を代表するユーハン・ヘルミク・ルーマンの作品集。ストックホルムの音楽一家に生まれた ルーマンは、王室礼拝堂の一員として才能を認められたのち、王の許しを得てロンドンに留学、ヘンデルから教えを 受け、その影響を故国に広めたことで「スウェーデン音楽の父」「スウェーデンのヘンデル」と称されました。 このアルバムにはフルートとギターに特化した作品を演奏するユニークなアンサンブル「フラウグィッシモ」を中心に、フ ルートが活躍するルーマンの室内楽とアリアを収録。師ヘンデルに倣い多楽章で構成された3つのフルート・ソナタ、 フルート・パートのオブリガートを含む2曲のアリアと、18世紀初頭のストックホルムでの宮廷サロン・コンサートを想起 させる華やかなトリオ・ソナタを聴くことができます。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-090(1CD)
フランス・バロック声楽作品に描かれる女性たち
ジャン=バティスト・モラン(1677-1745):序曲(カンタート「結婚の神と恋の神」序曲より序奏部分)
ルイ・アントワーヌ・ドルネル(1680-1765):独唱と合奏の為のカンタート「クロリンダの墓標」
ニコラ・ラコ・ド・グランヴァル(1676-1753):あなたの容赦ない掟の数々により(『真面目な歌、酒の歌』〔1709〕より)
リュリ:アルミードの嘆き(『姿を偽った恋人たちの舞踏劇』〔1664〕より)
エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲル(1665-1729):抒情悲劇「セファルとプロクリス」より
 アテネの人々のエール
 プロクリスのエール「人里を離れて」
 暁の女神のエール「夜啼鶯たちは、夜明けとともに」
 ブーレ
作者不詳:齢15の少女がひとり(南仏ベアルン地方の伝承歌)
モンテクレール(1667-1737):独唱と合奏の為のカンタート「ルクレツィアの死」
作者不詳:縛られず満たされた私たちの魂は(『女王の舞踏劇』〔1609〕より)
ヴィクトワール・ビュネル(Ms)
アンナ・レイノルト(Ms)
ギレム・ヴォルムス(バス=バリトン)
アンサンブル・イル・カラヴァッジョ(古楽器使用)
 ロクサナ・ラステガル、ピエール=エリック・ニミロヴィチ(Vn)
 ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ、バロックギター)
カミーユ・ドラフォルジュ(クラヴサン〔チェンバロ〕、指揮)

録音:2021年12月17-19日 ヴェルサイユ宮殿「マレンゴの間」
フランスの古楽シーン最前線をゆく若き俊才たちが、解像度の高いフランス・バロック解釈を聴かせてくれる声楽作品集。フランス語の詩や台 本の持ち味を最大限生かしながら、そこにイタリア由来の音楽様式を接ぎ木して生まれたルイ14世時代のフランス宮廷音楽様式。そうした ルーツをふまえつつ、イタリア語の作品も交えてその魅力を探るプログラムが興味深く起伏に富んでおり、長めのカンタート(フランス式カンター タ)でも短い歌曲でも、演奏は深い味わいに満ちています。歌い手は、ル・ポエム・アルモニークやレ・クリ・ド・パリなど一流アンサンブルに加わり 着実に実績を上げてきたヴィクトワール・ビュネル、レザ―ル・フロリサンやピグマリオン、カペラ・メディテラネアなどの注目公演で存在感を発揮 してきたアンナ・レイノルト、古楽に縛られない歌劇界での活躍も目立つギレム・ヴォルムスの3人。さまざまなアンサンブルで活躍する古楽器 奏者たちが集うアンサンブル・イル・カラヴァッジョも古楽器それぞれの音色をよく生かして声を支え、団体名の由来となった画家の作風にも通 じるコントラスト鮮やかな解釈で耳を惹きつけてやみません。選曲のテーマは「女主人公たち」。運命に翻弄されながら自らの人生を選び取っ てゆく伝説上の女性たちから酒飲み男の恋慕の歌まで、描き出される女性像の多彩さも魅力の一つ。作曲家たちそれぞれの個性がよく際 立つ選曲にもなっており、フランス古楽を聴き深めてゆく上でも参考になる学びの多い1枚と言ってよいでしょう。

ATHENE
ATH-23213(2CD)
NX-C04
フローベルガー:チェンバロの為の組曲集 第3集
【CD1】
組曲 イ短調 FbWV630
組曲 ヘ長調 FbWV617
組曲 イ長調 FbWV638
組曲 嬰ヘ短調 FbWV646
組曲 変ホ長調 FbWV654”Das Nachtlager”
組曲 ホ短調 FbWV651
【CD2】
組曲 イ短調 FbWV601
組曲 ニ長調 FbWV624
組曲 ト短調 FbWV609
組曲 ホ短調 FbWV623
組曲 ロ短調 FbWV652
組曲 ホ長調 FbWV656” Der Clavier Trompler”
ギルバート・ローランド(Cemb)
アンドルー・ウッダーソン復元、2段鍵盤、フレンチ・モデル(2005)
1750年グルマン(パリ)製チェンバロに基づく

録音:2022年7月11-13日
バロック時代の組曲形式の創始者とみなされているフローベルガーの組曲のほとんどはアルマンド、クーラント、サラ バンド、ジーグの4曲で構成されていますが、この第3集にはジーグを欠く3曲構成の組曲もいくつか収録されていま す。内容は驚くほど多彩で、どれも聴きごたえがあります。演奏は1946年スコットランド生まれのチェンバロ奏者ギ ルバート・ローランド。現在ヨーロッパにおける最古参奏者の一人で、DIVINE ARTレーベルのヘンデル:組曲 や、NAXOSレーベルでのソレール:ソナタ全集、ラモー:クラヴサン曲集などが高く評価されています。

Dynamic
DYNDVD-37971(DVD)
NX-D03

DYNBRD-57971(Bluray)
NX-D03
リュリ:歌劇「アシスとガラテア」 アシス…ジャン=フランソワ・ロンバール(T)
ガラテア…エレナ・ハルシャーニ(S)
ディアナ/ナイアス II/シラ…ヴァレーリア・ラ・グロッタ(S)
アボンダンス/アメント/ナイアス I…フランチェスカ・ロンバルディ・マッズッリ(ソプラノ
コーモス/ティルシス…マルクス・ヴァン・アルスデール(T)
アポロン/ユノーの祭司/テレモス…セバスティアン・モンティ(T)
ポリュペモス…ルイージ・デ・ドナート(Bs)
ネプチューン…グイド・ロコンソロ(Br)
ドリュアス…シルヴィア・スペッソト(S)
シルウァヌス…ダヴィデ・ピーヴァ(Bs)
ダンサー:カロリーヌ・デュクレ、ロベール・ル・ニュス、アルベルト・アルコス、
グートルン・スカムレッツ
フィレンツェ五月音楽祭O&cho(古楽器使用)
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)
演出:バンジャマン・ラザール

収録:2022年7月9日 フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(ズービン・メータ・ホール)
収録時間:112分
音声:フランス語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面単層ディスク 1080i High Definition
フランス・バロック音楽の大家ジャン=バティスト・リュリが、不慮の事故による病で他界する前年、1686年に貴族の祝宴のために作曲し、 作曲家最後の完成したオペラとなった牧歌劇「アシスとガラテア」。この作品はフランス風序曲で荘重に始まり、数々の歌唱とバレ(舞踊)が繰り広げられ、 華々しいパッサカリアで締めくくられるというリュリならではの秀作です。本作は、フィレンツェの出身であるにもかかわらずイタリアで演奏される機会が極端に少 ないリュリの作品を復興させることを目的に、作曲家生誕390年にあたる2022年に発足したフィレンツェ市の「リュリ・プロジェクト」の第1弾として上演収録 されました。バンジャマン・ラザールによる美しい舞台美術とグートルン・スカムレッツ振付のエレガントなバレが目を楽しませてくれます。歌手陣には、ガラテア 役を優美に演ずるエレナ・ハルシャーニとアシス役のノーブルな表情が出色のジャン=フランソワ・ロンバール、二人のタイトルロールを中心に優れた若手歌手 を起用。リュリへのオマージュとして指揮杖で床を打ち鳴らす名匠サルデッリに導かれたフィレンツェ五月音楽祭オーケストラがピリオド楽器に持ち替え、活気 と古雅な味わいに満ちた演奏を繰り広げます。

ALPHA
ALPHA-935(1CD)

NYCX-10402(1CD)
国内盤仕様
税込定価
18世紀のヴェネツィア共和国とヴァイオリンの名手たち
ヴェラチーニ:8つの楽器のための協奏曲 ニ長調
ロカテッリ:ヴァイオリン協奏曲 第2番ハ長調 Op.3-2〜『ヴァイオリンの技法』より(無伴奏ヴァイオリンのための二つのカプリッチョを含む)
タルティーニ:ヴァイオリン協奏曲 ヘ長調 D61
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 RV208「ムガール大帝」
シュシャーヌ・シラノシアン(Vn)
ヴェニス・バロック・オーケストラ(古楽器使用)
アンドレア・マルコン(チェンバロ、指揮)

録音:2022年7月 ロニーゴ(イタリア北東部ヴェネト州内陸部)
収録時間:76分
※国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
鬼才インマゼールとのデュオ・アルバムや古楽器によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲録音で話題を呼び、その後もタルティーニ、ロンベ ルク、バッハと幅広い時代の音楽で痛快な名演を聴かせ続けるヴァイオリン奏者シュシャーヌ・シラノシアン。タルティーニの協奏曲集に続くアン ドレア・マルコン&ヴェニス・バロック・オーケストラとの新たな録音は「赤毛の司祭」ヴィヴァルディが自ら鮮やかなカデンツァまで書いた協奏曲 「ムガール大帝」に、いずれ劣らぬ同時代の実力派作曲家3人の協奏曲をカップリングした充実企画! いずれもバロック期にしてはかなり長 大と言ってよい力作ばかりで、ヴェラチーニの管楽器入り協奏曲、無伴奏カプリッチョをカデンツァ風に添えてのロカテッリ『ヴァイオリンの技法』か らの1編、タルティーニの艶やかな旋律と和声に陶然とさせられるD 61と、それぞれの作曲家の個性の違いが明確になる選曲が絶妙。シラノ シアンはますます冴えわたる弓さばきで18世紀イタリアならではの歌心とヴィルトゥオジティを縦横無尽に披露し、マルコン率いる合奏勢もこれ に応えて地中海の情熱をはらんだ起伏豊かなドラマを聴かせてくれます。バロック舞踏とヴィヴァルディ研究で注目されるオリヴィエ・フレの解説 (国内仕様盤は日本語訳付)も的確かつ注目の情報を盛り込んだ読み応えある内容。多角的に生々しい18世紀へ引きずり込まれること 必至の、ALPHAレーベルならではの突き抜けたイタリア・バロック・アルバムの登場です。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-080(2CD)
NX-D09

NYCX-10401(2CD)
国内盤仕様
税込定価
モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」 オルフェオ…マルク・モイヨン(Br)
エウリディーチェ/ムジカ(音楽)…ルチアーナ・マンチーニ(メゾ=ソプラノ)
女の使者…サラ・ミンガルド(メゾ=ソプラノ)
プロセルピナ/スペランツァ(希望)…マリアンネ・ベアーテ・キーラント(シェラン) (メゾ=ソプラノ)
カロンテ/プルトーネ…サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
アポロ…フリオ・ザナージ(Br)
ニンフ…リズ・ヴィリセル(S)
羊飼いI/精霊II…ビクトル・ソルド(T)
羊飼いII/精霊IV…ガブリエル・ディアス(C.T)
羊飼いIII/精霊I/木霊…アレッサンドロ・ジャングランデ(カウンターテナー/テノール)
羊飼いIV/精霊III…ヤニス・フランソワ(バス=バリトン)
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ、ル・コンセール・デ・ナシオン(古楽器使用)
コンサートマスター:マンフレード・クレメール(Vn)
ジョルディ・サヴァール(指)

録音:2021年6月30日-7月4日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
※国内仕様盤日本語解説…小宮正安
歌詞日本語訳…萩原里香
2021年、パリ・オペラ・コミック座とヴェルサイユ王室歌劇場などの共同制作で実現した、ジョルディ・サヴァール指揮による「オルフェオ」再録 音。先にリリースされたオペラ・コミック座収録の映像作品に続き、ヴェルサイユでセッション録音されたCDが登場します。地中海諸国の17世 紀音楽はいうまでもなくサヴァールにとって自家薬籠中のもので、「オルフェオ」も2002年に満を持しての録音(映像とCD)がありましたが、今 回の新録音では主人公オルフェオに超実力派古楽歌手マルク・モイヨンを起用! その圧倒的な「声の演技」は、さながら動物たちや草木を も感動させたという伝説の竪琴詩人オルフェウスそのもの。ほかの歌手勢も旧盤で主役を演じたフリオ・ザナージや同役で再登場のサラ・ミン ガルドの他、マリアンネ=ベアーテ・キーラントやルチアーナ・マンチーニなど注目の歌手、さらに羊飼いや精霊たちに至るまで存在感ある才人 揃い。また、長年の共演で信頼関係を重ねてきた大御所プレイヤーも数多く参加しており、バロック・ハープのアンドリュー・ローレンス=キング などベテラン続々の通奏低音陣や打楽器のペドロ・エステバンに加え、リコーダーにはピエール・アモン、木管コルネットにはジャン=ピエール・カ ニアックといったソリスト級の俊才たちも随所で妙技を披露。ヴェルサイユ宮殿という古楽音楽劇にうってつけの「場」を得てじっくり収録された 解釈は、音楽劇というもののあり方から問い直す説得力に貫かれ、バロック・ファンならずとも深く聴き込み甲斐のある、新たなる決定的盤と いうべき内容に仕上がっています。

Audite
AU-97809(1CD)
大運河(カナル・グランデ)の3人のアントニオ〜ロッティ、カルダーラ、ヴィヴァルディ
(1)ヴィヴァルディ:弦楽の為の協奏曲 ト短調 RV.157
(2)ロッティ(1667-1740):牧場を包む優しき風
(3)カルダーラ:「残酷なる愛の嫉妬」からの序曲(器楽曲)
(4)カルダーラ:アヴェ・レジナ・チェロールム(めでたし天の女王)
(5)カルダーラ:「ジョナータ」からの序奏(器楽曲)
(6)ヴィヴァルディ:ニシ・ドミヌス(主が家を建てられるのであれば)RV.608
(7)カルダーラ:「イザヤの福音を告げる預言」からの序奏(器楽曲)
(8)ロッティ:聖なる愛、最愛の光風
(9)ヴィヴァルディ:弦楽の為の協奏曲 ト短調 RV.155
(10)ロッティ:我が罪より顔を背け
アレックス・ポッター(C.T)
ラ・フェスタ・ムジカーレ
ヴィオラ・ダモーレ:マリア・パーヒェ(6)
ヴァイオリン独奏:アンネ・マリー・ハラー(9)

録音:2022年7月4-7日/インマヌエル教会、ヴッパータール
世界初録音=(2)-(5)(7)(8)(10)
ヴェネツィアで同時代に活躍したアントニオという名前を持つ3人の作曲家、ヴィヴァルディ、ロッティ、カルダーラにスポットを当てたアルバム。名カウンターテ ナー、アレックス・ポッターを招いて、アルトの為のカンタータと合奏曲を収録しています。
メインとなるのはヴィヴァルディの有名な詩篇曲「ニシ・ドミヌス(主が家を建てられるのであれば)」RV.608。美しい旋律が満載の名曲です。またヴィヴァル ディの2曲の弦楽の為の協奏曲は他の作品の序曲のように配置されています。
晩年にサン・マルコ寺院で楽長を務めたロッティは、痛切な宗教合唱曲「十字架に付けられ」で知られていますが、ここではアルト独唱の為の宗教曲という珍 しい作品(世界初録音)が聴けます。合唱曲とは異なるロッティの魅力を知ることができるでしょう。
20代にサン・マルコ寺院の聖歌隊員や器楽奏者として活躍し、後にマントヴァ、ローマ、ウィーンと渡り歩いた作曲家カルダーラは数多くの歌劇を作曲したこ とで知られていますが、同様にオラトリオも数多く残しています。ここではオラトリオや宗教的劇作品からの器楽合奏曲が3曲収録され、フーガの様式を巧みに用 いたその劇的な作風は器楽作曲家としてのカルダーラの作曲能力の高さを示しています。また、ウィーンの神聖ローマ-皇帝の宮廷のために作曲された美しい「ア ヴェ・レジナ・チェロールム(めでたし天の女王)」も聴きものです。
ヘレヴェッヘやラーデマン、サヴァールといった指揮者たちからの信頼も厚い実力派カウンターテナー、アレックス・ポッターは宗教曲を得意としています。この 録音でも、見事にコントロールされた美声で、3人のアントニオの名作を清新に歌い上げています。auditeレーベルで多彩なゲストと共に貴重な録音をリリースし 続けるドイツのピリオド楽器オーケストラ、ラ・フェスタ・ムジカーレの表現力あふれる合奏もすばらしいものです。
ヴェネツィアの街を二分する大運河「カナル・グランデ」を彩った17世紀末から18世紀初頭の美しい宗教音楽をお楽しみください。 (Ki)
Audite
AU-97784(1CD)
ビトウィーン・スフェア〜ポリエッティ&シェーネヴォルフ
(1)アレッサンドロ・ポリエッティ(〜1600-1683):第7旋法のリチェルカーレ
(2)マルクス・シェーネヴォルフ(1977-):鶴の群れに※
(3)ポリエッティ:雄鶏と雌鶏の鳴き声によるカンツォーネ
(4)ポリエッティ:第2旋法のフーガ
(5)シューネヴォルフ:雲間を泳ぐために※
(6)ポリエッティ:第3旋法のリチェルカーレ
(7)ポリエッティ:第5旋法のリチェルカーレ「この日こそ喜びあふれ」
(8)ポリエッティ:3つの主題による第1旋法のリチェルカーレ
(9)シェーネヴォルフ:急降下※
(10)シェーネヴォルフ:魂の旅※
(11)ポリエッティ:フーガ
(12)ポリエッティ:第1旋法のリチェルカーレ
(13)ポリエッティ:第4旋法のリチェルカーレ
(14)シェーネヴォルフ:求愛※
(15)ポリエッティ:小夜啼鳥の為のリチェルカーレ
(16)ポリエッティ:リチェルカーレのシンコペーション
(17)ポリエッティ:リチェルカーレによる小夜啼鳥の為のカプリッチョ
(18)第2旋法のリチェルカーレ
(19)シェーネヴォルフ:風が舞い春を告げる※
マルクス・シェーネヴォルフ:「リコーダー四重奏の為の“うなり“」より
ボレアス・カルテット・ブレーメン(リコーダー四重奏団) 【ジン-ジュー・ペク、エリザベト・シャンポリオン、ユリア・フリッツ、ルイーゼ・マンスケ】

録音:2022年8月27-30日/フンクハウス・ハルベルク・ザールブリュッケン、グロッサー・ゼンデザール
古楽を中心に活躍する名歌手ドロテー・ミールズをゲストに迎えたデビュー・アルバム『「バゼヴィの写本」〜オーストリア、マルガレーテ王女の宮廷音楽』(AU-97783)で、権威ある国際的音盤賞であるインターナショナル・クラシカル・ミュージック・アワード(ICMA)を受賞(2022年)した、2009年の結成のドイツ のリコーダー四重奏団、ボレアス・カルテット・ブレーメンによるセカンド・アルバム。17世紀初頭の作曲家アレッサンドロ・ポリエッティと現代作曲家マルクス・ シェーネヴォルフの作品を組み合わせて構成した1枚です。
アレッサンドロ・ポリエッティは、1600年までに生まれ1683年に没したルネサンス最後期からバロック初期のイタリアの作曲家で、ウィーンのハプスブルク家 の宮廷のオルガニストでした。特に描写的な鍵盤音楽で知られていて、自身の名前(ポリエッティ=鶏)からか、「雄鶏と雌鶏の鳴き声によるカンツォーネ」や「小 夜啼鳥の為のリチェルカーレ」など鳥の鳴き声を模倣した特異な音楽を作曲し、その模倣描写は現代に感覚からは過激とも思えるほどです。ボレアス・カルテッ トは、ポリエッティの特異な鍵盤音楽をリコーダー四重奏で演奏。様々な音域の楽器と鳥の鳴き声そのもののような吹き方まで繰り出す超絶技巧を駆使して、ポリ エッティの個性的な作品を鮮烈に奏でています。ここにドイツの現代作曲家シェーネヴォルフのリコーダー四重奏の為の音楽が織り交ざり、幻想的で不思議な音 楽空間が生み出されています。40種類以上のリコーダーを駆使して、16世紀と現代の音楽を自由自在に行き来するボレアス・カルテットによる16世紀と21世 紀という2つの時代の音響領域(スフィア)を巡る旅をお楽しみください。 (Ki)

ARCANA
A-545(1CD)
ゴンザーガ家の輝き 〜デ・ヴェルトからモンテヴェルディまでの宗教作品集〜
モンテヴェルディ:フランス様式による「わたしは心から主であるあなたを祝い」第3番 〜『宗教的・倫理的な森』(1640)より
パッラヴィチーノ(1551頃-1601):五旬節の時は満ち 〜『讃美の聖唱歌集』(1605)より
サロモーネ・ロッシ(1570頃-1630):あなたの聖なる王冠は天使たちに歓迎をもって認められ 〜『ソロモンの歌集』(1623)より
ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):わたしは悲しみに蝕まれています、神よ 〜『5声のモテット集 第1巻』(1566)より
モンテヴェルディ:聖母マリアの連祷 〜『モンテヴェルディ氏による4声のミサ曲、独唱群と合唱による1〜8声の詩篇曲および聖母マリアの連祷』(1650)より
デ・ヴェルト:誰もがまずは上等なワインを 〜『5声のモテット集 第1巻』(1566)より
ジョヴァンニ・ジャコモ・ガストルディ(1554頃-1609):第8旋法によるマニフィカト(聖母マリアの讃歌) 〜『聖母マリアの讃歌を含む、全ての荘厳なる晩課のための詩篇曲集』(1593)より
パッラヴィチーノ:わたしは主の憐れみをとこしえに歌い 〜『讃美の聖唱歌集』(1605)より
モンテヴェルディ:歌え、主に向かって新しき歌を 〜ジューリオ・チェーザレ・ビアンキの『モテット集 第1巻 [中略]モンテヴェルディ氏のモテット1曲を含む』(1620)より
アマンテ・フランツォーニ(1575-1630):第6旋法による「ディクシット・ドミヌス(主は言われた)」 〜『聖母マリアの讃歌を含む、全ての荘厳なる晩課のための詩篇曲集』(1619)より
デ・ヴェルト:Speremus Meliora omnes わたしたちはみな至上の善を願います! 〜『5声のモテット集 第1巻』(1566)より
ロッシ:Yesusum midbar 皆で来たれ、渇きに苛まれる者たちよ 〜『ソロモンの歌集』(1623)より
ガストルディ:Regina coeli 天の皇后よ〜『ローマ式典礼による終課全編』(1597)より
ビスカントレス(声楽&古楽器アンサンブル)
ルーカ・コロンボ(指)

録音:2020年9月18-20日パラッツォ・ピニャーノ礼拝堂、クレモナ、イタリア
ルネサンスからバロックにかけてのマドリガーレや宗教曲を、当時の様式に従って専門的に演奏するイタリアの新しい古楽合唱団ビスカントレ ス。少数精鋭の室内楽的な響きの確かさから合唱における精緻なアンサンブルまで、一貫して手堅くも魅力的な解釈を聴かせるこの団体 が、ルネサンス期にさまざまな分野の芸術を擁護・推進しイタリア宮廷文化を牽引したマントヴァのゴンザーガ家にゆかりのある作曲家たちの 作品を集中的にとりあげたアルバムです。軸となっているのはフランドル出身でイタリアに渡った16世紀屈指のマドリガーレ作曲家デ・ヴェルト と、独唱中心のオペラばかりでなくルネサンス以来の合唱音楽にも新技法を大きく取り入れ発展させた大家モンテヴェルディ。マントヴァ宮廷 との縁で生まれた彼らの作品の他、フランツォーニやガストルディといった演奏機会の少ない作曲家たちの作品に潜む細やかな機微まで鮮や かに浮かび上がらせる好演です。解説も充実(伊語/仏英訳付)。

Linn
CKD-717(1CD)
フィリップス&デリング:ラテン語によるモテット集
ピーター・フィリップス(1560/61-1628):見よ、ユダの民の獅子を(8声)
フィリップス:使徒たちはめいめい様々な言語で語り(5声)
リチャード・デリング(1580頃-1630):イエス、あらゆる心の喜び(5声)
フィリップス:悲しみのパヴァーンとガリアード*
デリング:天は静まり返り(6声)
フィリップス:ごきげんよう、父なる方の約束された救世主イエス(8声)
デリング:この上なく思慮深き乙女よ(6声)
フィリップス:ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ*
フィリップス:Jubilate Deo a8全地よ歓呼して神を迎えよ(8声)
デリング:おお善きイエス様(5声)
フィリップス:わたしは歓喜に包まれるだろう(8声)
デリング:ファンタジア(5声)*
フィリップス:救世主は甦り(5声)
フィリップス:元后あわれみの母(サルヴェ・レジーナ/5声)
ダウランド(1563頃-1626):パドゥアン(4声)*
デリング:誰を見たのか、羊飼いたちよ(6声)
* は器楽曲
ケンブリッジ・ゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジcho
 キョウコ・カナウェイ、エドワード・ヒギンボトム(Org)
イン・エコー(古楽器使用)
 ガウェイン・グレントン、コナー・ヘイスティングス(木管コルネット)
 ボヤン・チチッチ(Vn)
 レイチェル・バート(Va)
 エミリー・ホワイト(Tb)
 リチャード・ブースビー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ウィリアム・ハント(ヴィオローネ)
 アダム・クライトン(バス・サックバット)
マシュー・マーティン(指)
ピッチ:A=464Hz 調律:1/4コンマ・ミーントーン

録音:2022年7月11-14日 ミンチンハンプトン聖トリニティ教会、グロスターシャー、イングランド
16世紀のエリザベス1世治世下での音楽文化発展を受け、さらにイタリア音楽などの影響も受けつつ独自の深まりをみせた17世紀初頭の 英国音楽。ここでは英国国教会のもと前世紀以来抑圧されてきたカトリック信仰を守り、海を渡ってスペイン領ネーデルラントで活躍をみせ た2人の英国人作曲家たちによるラテン語モテットの数々が集められています。ピーター・フィリップスはダウランドやモーリーと同世代の1560 年頃の生まれ、デリングはその20年ほど年下でギボンズやイタリアのフレスコバルディと同世代。独唱主体ではないルネサンス風の多声様式 をベースにコンチェルト様式をほどよく取り入れた作風の魅力を、さまざまな音楽家たちとの共演で知られ、上質かつ安定したハーモニーで定 評のあるケンブリッジ・ゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジ合唱団の味わい深い解釈で。この合唱団ともゆかりの深い大御所ヒギンボトムがオル ガンを弾き、器楽勢にはヴァイオリンのボヤン・チチッチ、ガンバのリチャード・ブースビーら名手が揃い、合奏曲トラックでも豊かでインスピレー ションに満ちた音楽を聴かせてくれます。

RAMEE
RAM-2202(1CD)
1723〜ヴァイオリンとオルガンによるバロック期のソナタ
バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト長調 BWV1021
ビーバー:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第5番ホ短調 C.142(1681)
コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ長調 Op.5-6
バッハ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1023
バッハ:プレリュード、ラルゴとフーガ ハ長調 BWV545/529
ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1688-1755):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調 JunP IV.1
アントニオ・ベルターリ(1605-1669):チャッコーナ(シャコンヌ)ハ長調
ナージャ・ツヴィーナー(Vn)
※使用楽器:ローマのダヴィド・テクレル1723年製作のオリジナル楽器
ヨハネス・ラング(Org)
※使用楽器:ツァハリアス・ヒルデブラント1723年建造のオリジナル楽器

録音:2022年8月29日-9月1日シュテルムタル十字架教会(ライプツィヒ近郊)
”音楽の父”こと大バッハが、亡くなるまで勤め上げたライプツィヒ聖トーマス教会の聖歌隊監督の座についたのが1723年。その年に作られ た二つの古楽器を使い、ちょうど300年後にあたる2023年を記念すべく録音されたこのアルバムは、希代のオルガニストとして知られた一方 で生涯ヴァイオリンも演奏し続けたバッハの作品を軸にプログラムが編まれています。他にはドイツ語圏南部とイタリアで17世紀に活躍をみせ た作曲家たちや、バッハとも交友があり影響関係も指摘されているドレスデンの名手ピゼンデルらの名品をチョイス。チェンバロと違い音が減 衰しないオルガンならではの音使いが効果的に用いられ、書法の緻密さが浮き彫りになるのも興味深いところ。ヴァイオリンと通奏低音のため の二つのソナタの他、バッハ作品では室内楽の書法を応用したオルガン作品も味わえます。バロックから後期ロマン派まで広範なレパートリー を誇るヨハネス・ラングが楽器の特性をよく踏まえた音色変化を巧みに使いこなせば、英仏の古楽シーンで経験を積んできたドイツ人バロッ ク・ヴァイオリン奏者ナディア・ツヴィーナーも銘器の美音を鮮やかに際立たせる音運びで、各作品の味わいを印象づけてやみません。当時の 楽器であればこその説得力を随所で感じる高感度なバロック・アルバム。バッハ研究の大家クリストフ・ヴォルフとの共著もある音楽学者マル クス・ゼンプフによるライナーノート(英・独・仏語)も、深い作品愛と楽器愛を感じさせる充実した内容になっています。

RICERCAR
RIC-452(1CD)
完璧に踊るには 〜13〜16世紀のヨーロッパ宮廷舞曲〜
1. 作者不詳(13世紀):L王の第3エスタンピと舞曲(フランス国立図書館の写本fonds francais884cより)
2. 作者不詳(13世紀):ドゥクティアによる組曲(大英図書館の写本Harley 978より)
3. 作者不詳(14世紀):見出されたもの(ロバートブリッジ写本より)
4. 作者不詳(14世紀):マンフレディーナとロッタ(大英図書館の写本Additional 29987より)
5. ドメニコ・ダ・ピアチェンツァ(1390-1470): バス・ダンス「ゾリオーシャ」
6. アントニオ・コルナッツァノ(1430-1484): グリエルミーノの娘(3声版/モンテカッシーノ写本より)
7. ジョヴァンニ・アンブロージオ(生歿年不詳)/グリエルモ・エブレオ・ダ・ペーザロ(1420〜1484)編)):フランス風舞踏曲、通称「恋心」
8. アンブロージオ:フランス風舞踏曲、通称「ライン地方の子」
9. アンブロージオ:そう踊りなさい、ロジーナ
10. コルナッツァノ:スペイン王
11. フランシスコ・デ・ラ・トレ(1460-1504): 高い音の舞曲
12. イザーク(1450-1517):グローリア(「ラ・スパーニャによるミサ曲」より)
13. イザーク:アニュス・デイ(「ラ・スパーニャによるミサ曲」より)
14. ジル・バンショワ(1400頃-1460):悲痛なる快楽
15.作者不詳(15世紀末):「悲痛なる快楽」によるバス・ダンス(『マルグリット・ドートリッシュのバス・ダンス集』より)
16. 作者不詳(16世紀初頭):パヴァーヌ「ラ・モニーナ」(バイエルン州立図書館の写本Mus MS1503より)
17. 作者不詳:サルタレッロ「ラ・コマリーナ」(バイエルン州立図書館の写本Mus MS1503より)
18. 作者不詳:舞踏曲「誘惑者」(フランス国立図書館の写本Vm7 676より)
19. 作者不詳:サルタレッロ「サルッツォ侯爵」(バイエルン州立図書館の写本Mus MS1503より)
20. イレール・ペネ(1501?-歿年不詳):楽しき森に
21. クローダン・ド・セルミジ(1490-1562): 楽しき森に
22. ヴィンチェンツォ・ルッフォ(1508-1587): 「ラ・ガンバ」の調べを低音と高音で
23. ディエゴ・オルティス(1510-1570):Recercda Quarta 第4レセルカーダ
24. トワノ・アルボー(1520-1595):バス・ダンス「あなたに愉悦を授けよう」
25. ピエール・アテニャン(1494-1552):トゥルディオン「それは大いに喜ばしく」(『ダンスリー〔舞曲集〕第2巻』より)
26. クロード・ジェルヴェーズ(1525-1583?)/ピエール・ファレーズ(1510頃-1575頃)編)):パヴァーヌ・パスメズ、イタリアのパスメズ〔=パッセメッツォ〕とガリアルド(『ダンスリー 第6巻』〔1550〕、『俗謡集 第1巻』〔1571〕より)
27. ジェルヴェーズ:アルマンドによる組曲(『ダンスリー 第3巻』〔1557〕より)
28. ジャン・デストレ(生歿年不詳、16世紀に活躍): シャンパーニュのブランルによる組曲(『ダンスリー 第1巻』〔1559〕より)
29. アテニャン:バス・ダンス「ラ・ブロス」(『九つのバス・ダンス』〔1530〕より)
30. 作曲者不詳(16世紀後半):名もなきガリアの調べ(ヴォルフガング・キュファー〔生年不詳-1566〕の採譜例より)
31. デストレ:ブランル・ゲによる組曲(『ダンスリー 第1巻』〔1559〕より)
イントゥ・ザ・ウィンズ(古楽器使用)
 アナベル・ギボー(ショーム、各種リコーダー)
 レミ・レコルシェ(ビュシーヌ、スライドトランペット、サックバット、各種リコーダー)
 マリオン・ル・モアル(ボンバルド、各種リコーダー)
 アドリアン・ルボワソン(ショーム、ボンバルド、ドゥルツィアン、各種リコーダー)
 ローラン・ソーロン(各種打楽器)

録音:2022年5月
 サンテーユ聖母教会、シラン(南仏ラングドック地方エロー県)
十字軍遠征のあった13世紀から人文主義文化が盛り上がるルネサンスの16世紀まで、ヨーロッパ宮廷人たちの暮らしを折にふれ彩り続け たのが、宮廷舞踏と音楽でした。文字が読めて紙とインクを使えた宮廷人・知識人たちが書き残した当時の写本や初期印刷物の数々をも とに、ここでは中世から近世に至るヨーロッパ宮廷舞踏の音楽の数々を、入念に再現製作された当時流の様々な管楽器のアンサンブルで 演奏。管楽器は金管・木管とも宮廷の楽師たちが頻繁に演奏していたことは当時の史料からも裏付けられますが、現代のオーケストラ楽器 ともバロックの古楽器とも違う素材感豊かなその響きは、曲の古風な節回しや和声とあいまって昔日のヨーロッパ宮廷文化の気配を強く喚 起してやみません。演奏は中世音楽の専門家も多いフランスのトゥールを拠点とするイントゥ・ザ・ウィンズ。軸となるのは15世紀イタリアの舞 踏家コルナッツァロによる欧州初の宮廷舞踏指南書で(アルバムタイトルもここから取られています)、そこから数世紀遡っての中世舞曲の 数々やルネサンス期の楽曲も、それぞれの時代の定番と言ってよい名曲がほどよく織り交ぜられており、古い舞曲のリファレンスとしても十分お 勧めできる内容となっています。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-089(1CD)
暖炉のそばで愛し合おう 〜シャルパンティエ:世俗歌曲集
暖炉のそばで愛し合おう
小さな真紅の美しい目、真一文字のあざやかな口
ものみな生まれ変わり、花開く
どうかルイよ、その用心深さで
隣人の女姓クロディーヌは
わたしのスカーフをくしゃくしゃにしないでくださいね(通称「ル・バヴォレ」)
わたしのすべての苦悩のもとになる女性
ボルドーの美酒を飲み干したなら
どうか返してください、わたしの喜びを
戻ってこい、傲岸なる溜息よ
ファンション、かわいい小さなファンション
『ル・シッド』の三つの短詩
ああ、何もあなたを止められないのでしょうか?
あなたの高潔に適うような猛者は
無駄だよ、熱心な恋敵たち
この林を潤す小川よ
緑の梢よ、さあ萌え立て
木々にとまった鳥たちよ
寂しい荒野よ、陰鬱な隠れ家よ
嘆くのは早いぞ、酒神バッコスの子らよ
泉のほとりで
あの緑なす木蔭に行こう
何も恐れずこの森に
真の快楽にはたどりつけぬ、恋の神の刺激なしには
もう愛してはいない
夢を見させて
グレゴワール、どんだけ寝てんだ
ああ、なんて残念なこと
恋は不可欠、必要悪なんだよ
クレール・ルフィリアトル、グワンドリーヌ・ブロンデール(ドゥシュ〔=ソプラノ〕)
シリル・オヴィティ(オートコントル〔=高音テノール〕)
マルク・モイヨン(ターユ〔=テノール〕)
ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
レゼポペー(通奏低音/古楽器使用)
 アリス・コカール(バス・ド・ヴィオロン)
 マティアス・フェレ(バス・ド・ヴィオール〔=ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 ピエール・ランデルクネシュト(テオルボ、バロックギター)
 レオ・ブリュネ(テオルボ)
 ステファーヌ・フュジェ(クラヴサン〔=チェンバロ〕、指揮)

録音:2022年3月24-28日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」、フランス
20世紀以来めざましい復権をみせてきたフランス・バロック音楽の世界でも、とりわけ大きな名誉回復を経験した作曲家の一人シャルパン ティエ。生前は王室音楽総監督リュリが「壁」となり、長いあいだ王室での音楽活動には食い込めずにいたものの、パリ市内では数多くの重 要な機関から依頼を受け、半世紀ほどの生涯の間に驚くほど多くの作品を残しました。ルイ14世の治世下と違ってリュリの妨害もない現代 ではフランス17世紀屈指の作曲家として注目されていますが、それでも評価は宗教曲や劇音楽に集中しており、作例も多い恋歌や戯れ歌 の数々はなかなか体系的に取り上げられる機会がありません。その渇を癒して余りある今回の録音には、ALPHAでのル・ポエム・アルモニー ク初期の名盤群で鮮烈な印象をシーンに与えてきたクレール・ルフィリアトル、驚くほど広い音域を自在に操り中世からバロックまで縦横無尽 に歌いこなすマルク・モイヨン、そして今を時めくフランス古楽界の最重要テノール歌手のひとりシリル・オヴィティら錚々たる歌い手が揃い、 2022年の来日も好評だったステファーヌ・フュジェを軸とした通奏低音陣が緩急あざやかに伴奏。シャルパンティエと同じ母語を日常的に話 し、17世紀フランス音楽に深く親しんできた名手たちでなくては到達できない自然な歌い口で、この作曲家が綴った美の諸相を細やかに解 き明かしてゆきます。数々の恋愛歌は世紀初頭のエール・ド・クール(宮廷歌曲)にも通じる奥深さ、対する「酒の歌」は演劇的な魅力に満 ちた曲の持ち味をよく生かした仕上がり。聴き深めるほどにフランス古楽への愛が深まること間違いなしの名演というほかありません。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-108(1CD)
ルイ15世のクラヴサン 〜18世紀中盤のフランス鍵盤芸術〜
ガブリエル・デュビュイソン(1716頃-1754):プレリュード
ラモー:La Dauphine 王太子妃
ベルナール・ド・ビュリ(1720-1785):Sarabande, La *** ou Les Sentimens
 サラバンド「***氏、または心情の機微」
ド・ビュリ:ムニュエ(メヌエット)1「西風の精」〜ムニュエ2「花の精」
クロード・バルバストル(1725-1799):ルベル氏のガヴォット
シャルル・ノブレ(1715-1769):Allemande アルマンド
ジャック・デュフリ(1715-1789):La Pothouin ラ・ポトウアン
デュフリ:ラ・ド・ヴォカンソン
デュフリ:Rondeau [de la Premiere suite] ロンド
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782):ラ・アングラーヴ
ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755):愛らしさ
デュフリ:ラ・デュ・ビュク
ロワイエ:スキタイ人の行進
コレット(1707-1795):星々
デュフリ:La Damanzy ラ・ダマンジ
ラモー:Musette en rondeau ロンド形式のミュゼット
ラモー:Tambourin タンブラン
ド・ビュリ:Chaconne シャコンヌ
ラモー:Les Tendres Plaintes 優しい嘆き
ラモー:Les Cyclopes 一つ目巨人たち
バルバストル:ラモー「ピグマリオン」のコントルダンス
クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)
使用楽器:パリのジャン=クロード・グージョン1749年製作モデル(パリ楽器博物館所蔵)に基づくジャン=フランソワ・ショドゥルジュ製作の再現楽器

録音:2022年10月16-19日ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン、フランス
先代の太陽王ルイ14世ほどではないにせよ、実に60年近くもフランス王の座を守ったルイ15世。その治世(1715-1774)には17世紀以 来のフランス様式も根強く人々を魅了し続けた一方で、太陽王のもとでは考えられなかったほど諸外国の音楽文化がフランスに流入、ひとき わ華やかなロココの響きが王室やパリの人々を魅了しました。王は音楽にあまり関心を示さなかったものの、レグザンスカ王妃やポンパドゥール 夫人、王女たちをはじめ周囲には一流作曲家と親しく交流し感性を豊かに育んだ音楽愛好の女性たちが多く、人々が室内で奏でたクラヴ サンのための独奏曲も次々と世に送り出されました。伝統的なフランス様式とイタリアやドイツなど諸外国の様式の間で、折々の流行を先導 していったクラヴサン作曲家たちの名品群は、ウィーン古典派風の音楽が定着してゆく前の、驚くほど豊かで独特な音楽世界を垣間見せてく れます。近年フランス古楽界で多忙な活躍をみせ、とりわけ声楽作品の通奏低音奏者としても経験豊かなクレマン・ジョフロワは、大御所ラ モーの出世作2集から名匠デュフリによる1768年の曲集まで幅広い年代を視野に入れ、ルイ15世時代の音楽文化の広がりをクラヴサン 一つで辿れるプログラムを厳選。この時代の銘器をモデルとする素晴らしい再現楽器をヴェルサイユ宮殿の音響空間で奏で、絶妙なタッチが 快い機微細やかな演奏で各作品の魅力をじっくり伝えます。ラモー「一つ目巨人たち」やロワイエ「スキタイ人の行進」といった有名作のほか、 2019年に新発見され未だ謎も多いデュビュイソン作曲による1732年出版の曲集や、競合録音が殆どないベルナール・デュ・ビュリの1737 年の曲集など稀少な作品が多く収録されている点も見逃せません。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-110(1CD)
王冠の調べ 〜パーセルとヘンデルの『戴冠式アンセム』
祝典行列
パーセル:英国王ジェイムズ2世の戴冠式のためのアンセム「わが心は麗しき言葉に満ち」 Z30
ファンファーレ1
パーセル:アンセム「わたしは嬉しかったのです」 Z.19
万歳!
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「汝の手よ強くあれ」 HWV259
ファンファーレ2
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「司祭ザドク」 HWV258
ファンファーレ3
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「主よ、王は汝の力を喜ばん」 HWV260
ファンファーレ4
ヘンデル:ジョージ2世の戴冠式のためのアンセム「わが心は麗しき言葉に満ち」 HWV261
ファンファーレ5
ヘンデル:主を讃えよ 〜オラトリオ『ソロモン』 HWV67第3幕
神よ、チャールズ王を讃えたまえ(ゴッド・セイヴ・ザ・キング)
ヴェルサイユ王室歌劇場O&cho(声楽&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2022年12月28-31日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
英国王チャールズ3世の戴冠式が行われる2023年にふさわしい新録音が、海を挟んだフランスのヴェルサイユ宮殿に集う古楽演奏家たち から届けられました。1727年のジョージ2世戴冠式のために作曲され、歴代の英国王の戴冠式でも歌われてきたヘンデルの傑作『戴冠式 アンセム』全4曲に加え、同じ1727年の戴冠式でも一部が再演されたジェイムズ2世戴冠式(1685)のためのパーセルの作品2曲を収録。 それら演奏作品の合間には18世紀以前の祝典でも一般的に使われていたナチュラル・トランペットを使ったファンファーレが挿入され、ヴェル サイユ王室礼拝堂の音響とあいまって聖職者臨席のもと行われる戴冠式の雰囲気がそのまま伝わってくるかのような生々しさ! その迫真の 存在感をきわだたせているのは欧州古楽器演奏シーンの最先端をゆくガエタン・ジャリ指揮の実力派集団。フランス17〜18世紀の声楽曲 の演奏に秀でた彼らは、まさにルイ14世時代のフランス宮廷音楽から英国王室の音楽が大きな影響を受けていた頃の作品であるパーセル の2曲を鮮やかな臨場感で聴かせ、その雰囲気の延長線上で精妙かつダイナミックにヘンデルの壮麗な作品群を堪能させてくれます。アルバ ム前半はファンファーレを挟みながら編成の小さな曲から大きな曲へと進む曲順になっていて、パーセルとヘンデルの音楽的連続性にも気づ かされる仕組み。作品が生まれた文脈を考え抜いている実力派集団だからこその臨場感をじっくりお楽しみください。

Capella de Ministrers
CDM-2355(1CD)
アラゴンの女王たち
1. 作者不詳(13世紀):ロンデル「めでたしマリア様、お優しく慈愛に溢れた方」〜バイボナ写本より
2. アダン・ド・ラ・アル(1237頃-1388以降): ロバンはわたしを愛し 〜『ロバンとマリオンの物語』より
3. シチリア王/エルサレム王シャルル・ダンジュー(1226/27-1285):讃歌「至高の旋律に」
4. ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ(1170頃〜1230頃):パレスティナの歌「ついに始まる、人生の真価が」
5. 作者不詳(13世紀):コンドゥクトゥス「あなたは大いなる力で大海を操り」〜オルフェオ・カタラの写本 Ms1より
6. 作者不詳(14世紀):モテトゥス「めでたし天の皇后/贖罪主を育てた母なる方」〜ラス・ウェルガス写本より
7. マショー(1300頃-1377):ヴィルレー「優しく美しき婦人よ」
8. ポルトガル王ディニシュ1世(1279-1325): カンティガ「おお、あなたにはこれまであえて言わなかったが」
9. ヤーコポ・ダ・ボローニャ(1340以前〜1360以降): マドリガーレ「羽根の白い立派な鷹が」
10. 作者不詳(14世紀):ヴィルレー「おや、寝坊が過ぎるのではありませんか」
11. 楽匠エギディウス(生歿年不詳、14世紀に活躍): バッラータ「薔薇と百合が」〜オルフェオ・カタラの写本Ms 1より
12. ヨアネス・グラネティ(生歿年不詳、14世紀に活躍):キリエ「主よ、いとも慈悲深き方よ」〜オルフェオ・カタラの写本Ms 2より
13. 作者不詳:讃歌「その日、合唱は歌声をあげ」
14. 作者不詳(15世紀?):ロマンセ「アルブルケルケ、アルブルケルケ」〜『王宮の歌集』より
15. ペレ(またはペドロ)・オリオラ(生歿年不詳、1440-1484頃に活躍):笑話「おお、道行く人よ」
16. 作者不詳(15世紀):La Spagna. Danca 舞曲「ラ・スパーニャ」〜ボローニャ写本より
17. フアン・デル・エンシーナ(1468-1529): ロマンセ「不実な女性に」
18. ルイス・デ・ミラン(1500頃-1561頃):ソネット「おお嫉妬よ、恋人たちの恐ろしき邪魔者よ」〜『エル・マエストロ』より
マリア・ヨナス、エリア・カサノバ、ベアトリス・ラフォン(歌)
ダビド・アンティク(各種リコーダー)
カペリャ・デ・ミニストレルス(声楽&古楽器アンサンブル)
カルレス・マグラネル(ビウエラ・ダルコ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、指揮)

録音:2022年1月13-16日 サンタ・マリア教会、レケナ(スペイン東部バレンシア地方)
スペイン南東部のバレンシアに拠点を置き、中世からルネサンスにかけての音楽遺産を筋の通ったユニークなテーマに沿って発掘・紹介し続 けている音楽学者=ガンバ奏者カルレス・マグラネル率いるカペリャ・デ・ミニストレルス。今回は中世以来イベリア半島東部に拠点を置きな がら、婚姻関係を通じて遠くバルカン方面や中近東まで影響力を誇ったアラゴン王家に光をあて、その覇権が及んだ地域の音楽遺産から ヨーロッパ音楽の変遷を浮き彫りにしてゆくアルバムとなりました。アンジュー家やフォワ伯家、カステーリャ王室、ナファロワ(ナバラ)王室、ポルト ガル王室、さらにはハンガリー王家や十字軍国家なども巻き込みながら13〜15世紀を席捲した一族の歴史を辿る中、おのずと中世のロン デルやヴィルレー、ドイツ語圏のミンネゼンガーの音楽やイベリア宮廷のカンティガ、さらにはアルス・ノーヴァを経てイタリアの初期マドリガーレへ ……と、音楽史上の重要なポイントに自ずと一通り触れてゆくプログラムは何度も再訪したくなる奥深さ。弓奏ビウエラとヴィオラ・ダ・ガンバを 含む複数の弓奏弦楽器、古い形のギターやハープ、リュートなどの撥弦楽器にリコーダー、ショーム、ダルシマー、バグパイプといった素朴にし て奥深い音色が美しい管楽器まで、異世界的な魅力を放つ中世楽器の響きとあいまって、ギヨーム・ド・マショーやスペイン・ルネサンス作品 など古楽ファンなら多少は馴染みも感じるであろう演目さえきわめて新鮮に響きます。マグラネルのチームの良さが最大限に生かされた音楽 史アルバムと言ってよいでしょう。質感高く臨場感のある録音も秀逸。

CEDILLE
CDR-90000217(3CD)
NX-C10
サン=ジョルジュ(1745-1799):歌劇「名無しの愛人」 ニコル・キャベル(S)
ジェフリー・アグパロ(T)
デイヴィッド・ ガヴァーツェン(Bs-Br)
エリカ・シュラー(S)
マイケル・セントピーター(T)
ナタリー・コラス(S)
ヘイマーケット・オペラO
クレイグ・トロンピター(指)

録音:2022年6月20-22日
2010年にシカゴに設立されたヘイマーケット・オペラは、17世紀から18世紀に書かれたオペラやオラトリオなどの演 目を当時の楽器で演奏することを目的とし、これまでに世界初演を含む30以上の作品を上演してきました。 今回採り上げられたのは、フランスで活躍したサン=ジョルジュの歌劇「L'amant anonyme 名無しの愛人」。 作曲家のパトロンでもあったフェリシテ・ド・ジャンリスの戯曲に基づく、歌唱部分に対話を織り込んだオペラ・コミック 形式で書かれたこの作品は彼の6作の歌劇の中でも最も人気のあった演目ですが、現在では上演される機会が なく、このアルバムが世界初録音となります。主役レオンティーヌを歌うのは2005年の"BBCカーディフ・シンガー・オ ブ・ザ・ワールドの優勝者ニコラ・キャベル。存在感のある歌唱を聴かせます。相手役はシカゴ出身のテノール、ジェ フリー・アグパロ。芸術監督で歌劇場の創設者でもあるグレイグ・トロンピターが総勢19人のコンパクトな編成の古 楽器オーケストラから活力ある音色を引き出しています。CD3ではオーケストラのみのナンバーを収録し、組曲風 にお楽しみ頂けます。

Forgotten Records
fr-1869(1CDR)
チマローザ: チェンバロ・ソナタ集
第1番〜第32番
ロベール・ヴェイロン=ラクロワ(Cemb)

録音:1955年11月-12月、1956年7月
※音源: Westminster XWN 18698、W-9307

APARTE
AP-298(1CD)
驚くべきロワイエ〜劇音楽の管弦楽組曲
ジョゼフ・ニコラ・パンクラス・ロワイエ
(1)愛の力(全15曲)
(2)ザイード、グラナダの女王(全14曲)
(3)アルマシス(全6曲)
(4)ピリュス(全4曲)
(5)ザイード、グラナダの女王(異稿2曲)
クリストフ・ルセ(指)
レ・タラン ・リリク

録音:2021年12月14-16日/ノートルダム大聖堂
クリストフ・ルセのロワイエ、といえば当然クラヴサン曲と思いますが、今回の新譜は何とオーケストラ曲集。手兵レ・タラン・リリクを指揮しての劇音楽中の組曲 で、「ピリュス」以外は世界初録音という興味津々のアルバムです。
ルセが1993年にオワゾリールからリリースしたロワイエのクラヴサン曲集のディスクは名盤として高く評価され、2009年にもambroisieレーベルから新録音を出し注目されました。チェンバロ曲は知られてはいるもののオーケストラは珍しく、ロワイエの新しい面の再発見につながると申せましょう。
劇音楽のオーケストラ・ナンバーゆえ各種舞曲や行進曲、エールなどですが、ロワイエの叙情性と洗練に対する感覚が光ります。チェンバロ曲として有名な「スキ タイ人の行進曲」の原曲「ザイード」の「トルコ人のためのロンドーによるエール」もルセの指揮で聴くことができるのは理想的。ロワイエのオーケストラ曲にみられ るチェンバロ的書法をはじめ、ルセほど適任は考えられぬ感性と解釈になっています。
いずれの曲も魅力的で聴きごたえ満点。ルセの指揮とレ・タラン・リリクもロワイエの個性とドラマ感覚を驚くべき深みと安定感で再現し、彼のオーケストラ曲の 魅力を再認識させてくれます。 (Ki)
APARTE
AP-312(1CD)
ジェズアルド:サクレ・カンティオーネス
(1)幸いなるかな天の女王
(2)エルサレムよ、あなたの光が
(3)幸いあれ、いと優しきマリアよ
(4)主よ、御身のあわれみと慈悲を思い起こしたまえ
(5)あなたを讃美させてください
(6)主よ、聖霊が
(7)主よ、わたしの嘆きに
(8)主よ、なんと悲しいことか
(9)わたしは嘆き疲れ
(10)私は日々罪を犯し
(11)おお、この道を行ったすべての人よ
(12) 神よ、聞 き給え
(13)けがれなきマリアと
(14)ああ 祝福された十字架よ
(15)あなたの慈しみを
(16)神は避けどころ
(17)われ、苦悩と悲しみにあいたり
(18)あなたのみ顔を輝かせてください
(19)恩寵の母マリア
ジュゼッペ・マレット(指)
イル・ポモ・ドーロcho

録音:2021年5月19-23日聖ロッコとセバスティアーノ同胞団(クミアーナ、イタリア)
近年古楽界で最も注目される団体のひとつイル・ポモ・ドーロ。この合唱団がルネサンス異端の作曲家ジェズアルドの「サクレ・カンティオーネス」に挑戦しまし た。カルロ・ジェズアルド(1566-1613)はナポリの貴族の家に生まれ、作曲家としてマドリガーレや宗教曲を作りましたが、極端な半音階や不協和音などほと んど現代音楽ばりの作風を示すなど激しい気性を反映させていました。
ストラヴィンスキーが絶賛し、20世紀作曲家たちを驚させた彼の代表作をテノール歌手としても有名なジュゼッペ・マレット指揮のイル・ポモ・ドーロがフレッシュ に再現。演奏が非常に難しいことでも知られますが、彼らは正確なうえ激烈な表現も驚きで、420年を経てジェズアルドが思い描いていた音世界が完璧に実現し ました。超注目のアルバムです。 (Ki)

CPO
CPO-555078(1CD)
NX-B10
レオポルト1世(1640-1705):死者のためのミサ曲(レクイエム) 他
死者のためのミサ曲(レクイエム)
3つのレクツィオ
聖母マリアの7つの悲しみのモテット
ブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス(古楽アンサンブル)
マンフレート・コルデス(指)

録音:2016年2月10-12日
第10代神聖ローマ帝国皇帝レオポルト1世。三十年戦争で衰退した領土を受け継ぐも、持ち前の政治力で領 土を拡大、ハプスブルク家の復興の足掛かりを築きました。高度な教育を受け、作曲家としても優れた才能を開 花させた皇帝は、生涯に150曲を超えるイタリア語のアリアを始め、80曲の教会音楽、17曲のバレエ音楽など、 多数の作品を残しました。 このレクイエムが書かれるきっかけとなったのは、彼の最初の妻マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャ(ドイツ名マルガ レーテ・テレジア・フォン・シュパーニエン)が1673年3月12日にこの世を去ったことで、当時33歳の君主は大きな 悲しみに打ちひしがれました。彼はこの悲痛な思いを音楽で癒すために「Missa pro defunctis 死者のためのミ サ曲」を作曲。16世紀から「苦しく悲しい心情」を表すとされたト短調をベースに書かれた、5声の合唱、3本のト ロンボーンと通奏低音を伴う器楽アンサンブルを要する大規模な作品です。皇帝の作品が18世紀後半になって も演奏され続けたのは、単に君主への敬意だけではなく、完成度の高さゆえであることは間違いないでしょう。ルネ サンスからバロック期の作品を得意とするマンフレート・コルデスが指揮するブレーメン・ヴェーザー=ルネサンスの演 奏で。
CPO
CPO-555533(2CD)
NX-D11
テレマン:最晩年の管弦楽作品集
組曲 ニ長調 TWV55:D21
ディヴェルティメント TWV50:22
組曲 ニ長調 TWV55:D22
シンフォニア・メロディカ TWV50:2
組曲 ニ長調 TWV55:D23
ファンファーレTWV50:44
組曲 ヘ長調 TWV55:F16
ディヴェルティメント TWV50:23
ディヴェルティメント TWV50:21
組曲 ト短調 TWV55:g9
ラ・スタジオーネ・フランクフルト
ミヒャエル・シュナイダー(指)

録音:2014年1月、2018年3月、2018年3月、2016年3月、2021年6月
テレマン作品の第一人者、ミシャエル・シュナイダーとラ・スタジオーネがテレマン最晩年の作品を録音。 1834年にラトヴィアの首都リガの大聖堂付きの音楽家だったゲオルク・ミヒャエル・テレマン(1748-1831)の遺品 から、彼の祖父テレマンの自筆譜や書簡などが発見されました。その中には1760年代に書か れたとみられる9巻にのぼる楽譜があり、このCDの収録曲はそこから採られています。テレマンが得意としていたフラ ンス風序曲のスタイルによる管弦楽組曲やイタリア風のシンフォニアなど、洗練された筆致によるテレマンの「白鳥 の歌」と言うべき作品群です。
CPO
CPO-555315(1CD)
NX-B10
ナポリ18世紀の驚異〜管弦楽曲と協奏曲集
ドメニコ・サッロ(1679-1744):歌劇「シーロのアキッレ」よりシンフォニア
フィリッポ・コッレ(18世紀):ヴァイオリン、弦楽とチェンバロのための協奏曲 ハ長調
フェデリーゴ・フィオリッロ(1755-1823):ヴァイオリンと室内オーケストラのための協奏曲 変ロ長調
ジェンナーロ・マンナ(1715-1779):室内オーケストラのためのシンフォニア 変ホ長調
ファブリツィオ・ファラスカ(Vn)
ラ・レアル・カペッラ・ディ・ナポリ(古楽器アンサンブル)
イヴァノ・カイアッツァ(指)

録音:2016年9月
18世紀のナポリは当時のナポリ王国の首都として、パリ・ロンドンについでヨーロッパで3番目の大都市でし た。2つの歌劇場、フィオレンティーニ歌劇場とサン・バルトロメオ歌劇場が建設され、カストラートを含む歌手 たちもナポリで訓練を受けるなど、歌劇の一大中心地となっていました。1738年のウィーン条約によりブルボ ン王カルロがナポリを治めることになると、サン・バルトロメオ歌劇場を取り壊し、王好みの豪華なサン・カルロ 劇場が建設されます。サン・カルロ劇場は建物の見事さと高水準の上演によって名所となり、現在でも定期 公演が続けられています。このアルバムには当時活躍していた作曲家たちの優れた管弦楽曲と協奏曲を収 録。サッロの歌劇「シーロのアキッレ」は1737年11月4日のサン・カルロ劇場の?落としの演目で、この時は サッロ自身が指揮を行い大好評を博したということです。 この録音は、ほかならぬサン・カルロ劇場で行われたもの。演奏のラ・レアル・カペッラ・ディ・ナポリは、16世紀 に設立されペルゴレージやポル ポラ、スカルラッティの作品を演奏した団体にちなんでいます。2曲のヴァイオリ ン協奏曲でソロを弾くイタリアのヴァイオリニスト、ファブリツィオ・ファラスカの演奏も聴きものです。

Challenge Classics
CC-72933(1SACD)
ヤコブ・オブレヒト(1457/59-1505):ミサ曲『優しきマリア』
作者不詳:優しきマリア
プファビンシュヴァンツ(fl.1481-1499):優しきマリア
ヤコブ・オブレヒト:ミサ曲『優しきマリア』
ルートヴィヒ・ゼンフル(ca.1490-1543):優しきマリア
作者不詳:優しきマリア
ストラットン・ブル(指)
カペラ・プラテンシス

録音:2022年9月9-12日/オランダ、フースデン
これまでオケゲムやデ・プレ、ヒエロニムス・ボスにちなんだ合唱曲を精力的にリリースし、古楽ア・カペラの分野で気を吐いてきたカペラ・プラテンシスが、ル ネサンス・ポリフォニーの最高峰として知られるオブレヒトのミサ曲『Maria zart(優しきマリア)』に満を持して挑みました。
演奏に1時間近くかかるオブレヒトの『優しきマリア』は当時としては破格の大曲で、もっとも野心的な作品のひとつとみなされています。ルネサンス時代の複 雑な記譜法が用いられ、体系的に理解し現代によみがえらせることは至難。既にある録音もそれぞれ違いがあります。入念な研究と準備期間、そしてパンデミック を経て、2022年にやっとセッション録音が行われた当録音。最高水準の演奏で聴く対位法芸術の傑作をお楽しみください。 (Ki)
Challenge Classics
CC-72931(1CD)
レオポルト・ホフマン(1738-1793):6つのディヴェルティメント Op.1
ヴィオラ、チェロ、ヴィオローネのための3つのディヴェルティメント
 第1番イ長調
 第2番変ロ長調
 第3番イ長調
ヴァイオリン、チェロ、ヴィオローネのための3つのディヴェルティメント
 第4番変ホ長調
 第5番ニ長調
 第6番ヘ長調
ムジカ・エレジェンティア[マッテオ・チッキッティ(ヴィオローネ、指揮)、パオラ・ネルヴィ(Vn、ヴィオラ)、アントニオ・コロッチャ(Vc)]

録音:2022年8月/イタリア、サッレ
※全曲世界初録音
レオポルト・ホフマンはゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイルの弟子であり、オーストリア皇室の音楽教師やシュテファン大聖堂の楽長を務めた人物。鍵盤奏者 として有名でしたが、弦楽のための室内楽の作曲にも力を入れました。初録音となるディヴェルティメント Op.1は、2種の編成による6曲の三重奏曲集。おおむ ね古典派のすっきりした響きを用いたディヴェルティメントですが、ところどころバロックのトリオ・ソナタ的な音響が出てきたりと手が込んでいます。楽章構成も 2楽章のものから5楽章のものまで幅広く様々。
マッテオ・チッキッティ率いるムジカ・エレジェンティアは、ヴァーゲンザイルの同編成のソナタ集も世界初録音しています(CC-72896)。18世紀の知られざ る音楽の紹介者として注目です。 (Ki)

Signum Classics
SIGCD-757(1CD)
ミュージック・トゥ・ヒアー...フェッラボスコ:1609年からのリラ・ヴィオールのための音楽
アルフォンソ・フェッラボスコ2世(1575-1628):「1,2&3本のリラ・ヴィオールのためのレッスン集」 より 〔プレリュード2(P.34)
アルメイン-コラント(P.17)
ガリアード-コラント(P.25)
アルメイン-コラント(P.31)*
ガリアード-コラント(P.30)*
プレリュード3(P.35)
アルメイン-コラント(P.1)
ガリアード-コラント(P.2)
アルメイン-コラント(P.3)
プレリュード1(P.34)
ガリアード-コラント(P.11)
アルメイン-コラント(P.12)
パヴァン-コラント(P.14)〕
リチャード・ブースビー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
森川麻子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)*

録音:2020年6月27日、7月11日&7月28日、セント・メアリー・モードリン教会(シェボーン、グロスタシャー)
ニコラウス・アーノンクールとチャールズ・メドラムに学び、パーセル・クヮルテット、フレットワークの創設メンバーとして英国古楽界を牽引し、ロンドンの王立音楽カレッジでヴィオラ・ダ・ガンバを教える名手、リチャード・ブースビー。フレットワークのメンバーである森川麻子を迎え、作曲家、ヴィオール奏者として活躍したフェッラボスコ2世のリラ・ヴィオール(17世紀にイギリスで人気の高かったヴィオラ・ダ・ガンバの一種)のための音楽を探求します。
アルフォンソ・フェッラボスコ2世(父親は同姓同名の作曲家、アルフォンソ・フェッラボスコ1世)は、エリザベス1世からチャールズ1世の治世にかけ、英国王室のヴィオール奏者として務めるなど、当時のイギリスにおいて最も成功を収めた作曲家の一人です。フェッラボスコは、劇作家ベン・ジョンソンの舞台作品の音楽、多くの詩人の詩を用いた歌曲や、ヴィオールのための多くの作品を残し、当時のイギリスで大きく花開いたヴィオール・コンソートの発展に貢献しました。
本アルバムでは、フェッラボスコによるソロとデュオのリラ・ヴィオールのための作品を取り上げ、発見されていない最後の宝石のようなこの素晴らしい音楽をリチャード・ブースビーの類まれなテクニックと感性によって現代に伝えます。

Da Vinci Classics
C-00695(1CD)
フランスのクラヴサンの巨匠たち
ルイ・マルシャン(1669-1672):プレリュード(組曲第1番ニ短調より)
ルイ・クープラン:バスクのブランル(クラヴサン組曲ヘ長調より)
ラモー:ラモー、キュピ、第1タンブーラン(コンセールによるクラヴサン曲集より/ジークベルト・ランペ編曲 )、サイクロプス(第3組曲より)
フランソワ・クープラン:葦、フランス人気質またはドミノ(クラヴサン曲集第3巻第13組曲より)
ジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエ(1703-1755):めまい、スキタイ人の行進(クラヴサン曲集第1巻より)
アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):苦悩(クラヴサン曲集より)
スウィトラーナ・シャバルティナ(ハープシコード)

録音:2020年1月、キーウ(ウクライナ)
ウクライナ・キーウ出身の鍵盤楽器奏者、スウィトラーナ・シャバルティーナによるフランス・クラヴサン音楽の精華!バロック時代のフランス鍵盤楽派のスタイル、ジャンル、考え方、視点を刺激的かつ魅力的なパノラマで表現した1枚です。ラモー唯一の室内楽曲「コンセールによるクラヴサン曲集」は、著名なハープシコード奏者ジークベルト・ランペの編曲版が用いられています。フランソワ・クープランとジョゼフ=ニコラ=パンクラス・ロワイエの作品は、カーニバルやトルコ行進曲を思わせる絵画的な音楽でアルバムを色鮮やかにし、アルマン=ルイ・クープランの「苦悩」はバロックのメランコリーを痛切に表現しています。

RICERCAR
RIC-454(1CD)
シャルル=ジョゼフ・ヴァン・エルモン(1715-1790):聖週間の為の暗闇の朝課(ルソン・ド・テネブル) スケルツィ・ムジカーリ(声楽&古楽器アンサンブル)
 フアン・ウェイリャン、デボラ・カシェ、フリート・ド・ヘイテル(S)
 ベニアミーノ・パガニーニ(Cemb)
 ヴァランタン・バジュ(バス・ド・ヴィオロン、チェロ)
 マティルド・ヴォルフス(バス・ド・ヴィオロン)[10、16]
 フランソワ・ダンボワ(テオルボ)
ニコラ・アクテン(オルガン、指揮)
調律:ラモー/ピッチ:A=411Hz

録音:2022年8月16-19日 聖ヒラリウス教会、ビールベーク(ベルギー中部フラームス・ブラバント地方)
ベルギーは古楽器奏者たちが多く活躍していることもあり、従来あまり知られていなかった18〜19世紀の音楽遺産が近年ますます発掘さ れつつありますが、ここで録音されたヴァン・エルモンは20世紀半ばにERATOレーベルで企画された宗教音楽大全シリーズでも現代楽器に よるグラン・モテの録音があり、名前だけはご存知の方もいるかもしれません。C.P.E.バッハやJ.シュターミッツら前古典派の大御所たちと同世 代で、ブリュッセル中心部の聖ミシェル&グデュル大聖堂の聖歌隊長を30年以上務めた後、南ネーデルラントの宮廷楽長としても活躍した この作曲家、フランス語ばかりかオランダ語、ラテン語、イタリア語も使いこなし、多くの教会音楽作品を残しました。ここでとりあげられているル ソン・ド・テネブルは17世紀に遡る伝統を持つフランス風作品で、復活祭前の節制期間である受難節の最終週、夜明け前から行われる暗 闇の祈りの為の音楽。虚飾を廃し小編成の器楽伴奏だけで独唱者が歌うメロディは静謐でありながら歌心に満ち、イタリア・歌劇の様式 をほどよく取り入れた音作りで聴き手を深い鑑賞体験へといざないます。演奏のスケルツィ・ムジカーリはイタリアや英国の17世紀音楽を中心 に演奏してきた声楽&古楽器アンサンブル。限られた楽器編成から驚くほど多彩な響きが引き出される通奏低音演奏の巧みさにも驚かさ れ、フランス・バロックに通じる玄妙な気配を感じさせながら確実に古典派へと向かうメロディアスさにも事欠かないヴァン・エルモンの音楽とあ いまって興趣の尽きない1枚に仕上がっています。
RICERCAR
RIC-445(1CD)

NYCX-10391(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ドイツ・バロック・レクイエム 〜バロック期ドイツのルター派宗教作品集
アンドレアス・シャルマン(生没年不詳/1663年頃活躍):主よ、我らが境遇を忘れ給うな
トマス・ゼレ(1599-1663)/ヨハン・ヘルマン・シャイン(1586-1630):シンフォニア「そして安息日が過ぎると」 (器楽合奏)
S心の貧しい人は幸いである
クリスティアン・ガイスト(1650-1711):涙とともに種蒔く人は
トビアス・ミヒャエル(1592-1657):主に贖われし者
ヴォルフガング・カール・ブリーゲル(1626-1712):おお、主よ、知らしめたまえ
アンドレアス・ハンマーシュミット(1611/12-1675):おお、なんと空しいことか、全ての人は
ハインリヒ・シュヴェンマー(1621-1696):正しき者の魂は神の手の中にあり
シャイン:愛すべきかな、汝の住まうところは
われ、汝らを慰めん
ハンマーシュミット:死は勝利の中に呑まれたり
ヨハン・フィリップ・フェルチュ(1652-1732):死せるものは幸いである
ハンマーシュミット:わたしは目を上げ、山並を見やる
ヴォクス・ルミニス(古楽器アンサンブル、合唱)
編成:ソプラノ7、カウンターテナー2、テノール4、バス2、ヴァイオリン2、ヴィオラ2、テノール・ヴィオール2、バス・ヴィオール1、ヴィオローネ、オルガン
リオネル・ムニエ(バス、指揮)

録音:2021年6月、2022年7月ガディンヌ聖母教会、ベルギー
※国内仕様盤日本語解説、歌詞日本語訳…加藤拓未
ドイツ語圏の17世紀作品の解釈できわめて高い評価を博してきた少数精鋭の声楽集団ヴォクス・ルミニス。卓越したバス歌手であるリオネ ル・ムニエ率いる彼らの今回のテーマは、なんとブラームスの「ドイツ・レクイエム」。とはいえ彼らがブラームスを歌うわけではなく、ブラームスがル ター訳のドイツ語版聖書から選りすぐったものと同じテキストを用いた作品を中心とした、ドイツ・バロックの宗教作品を集めています。同様の テキストにはシュッツなどにも作品例がありますが、敢えて知られざる作品を集めているのが彼ららしいところ。重心の低いずっしりとしたアンサン ブルも彼らの真骨頂で、これらの作品の魅力を十二分に引き出す素晴らしい演奏を聴かせます。バロック作品の研究に熱心であったブラー ムスがそこから多くのインスピレーションを受けていたことも知られており、ここに収録された作品の精神が、ブラームスへと受け継がれたと言って も過言ではないでしょう。

Linn
CKD-711(1CD)
英国16〜17世紀のリュート・ソングと器楽曲
1. ダウランド:C彼女はわたしの過ちを許してくれるだろうか
2. ダウランド:前奏曲(リュート独奏)
3. ダウランド:わたしは見た、好きな女性が泣いているのを
4. ダウランド:流れよ、わが涙
5. ダウランド:ディゴリー・パイパー大尉のガリアード(リュート独奏)
6. トーマス・カンピオン(1567-1620):そんな女性たちに用はない
7. カンピオン:夜は糸杉の幕を下ろし
8. カンピオン:岸を求めて風に揉まれてきた帆でさえ
9. ダウランド:ミニャルダ(リュート独奏)
10. トーマス・フォード(1580頃-1648):では恋とはいかなるものか、とコライドンは歌う
11. フォード:美しく、優しく、残酷な
12. ジョン・ダニエル(1564-1626頃):Pavan パヴァン(リュート独奏)
13-15. ダニエル:未亡人M. E.が亡夫の葬儀で見せた涙
16. ダニエル:今なお欲望を外へ向けている男は
17. ダウランド:暗闇に居続けさせてくれ
18. リュリ(ロベール・ド・ヴィゼー編):アポロンのアントレ(テオルボ独奏)
19. パーセル:おお、孤独よ Z406
20. ド・ヴィゼー:プレリュード(テオルボ独奏)
21. パーセル:太陽も今や輝きを遮られ(夕べの讃歌)Z 193
アレクサンダー・チャンス(C.T)
トビー・カー(リュート、テオルボ)

録音:2021年9月 ゼングヴァルデン(ドイツ北西部オストフリースラント地方)
古楽復興の重要な拠点である英国で、20世紀後半の古楽復興の牽引役の一人として、みごとな美声で数々の名演を紡ぎ出してきたカ ウンターテナー歌手マイケル・チャンス。その息子アレクサンダー・チャンス初の本格的なソロ・アルバムは、父と同じく英国音楽への深い愛と抜 群の適性を実感させてくれる、輝かしい未来も予感できる上質なリュート・ソング集です。エリザベス朝時代から活躍をみせたメランコリーの音 楽家ダウランドや同時代のキャンピオンの作品を中心に「英国のオルフェウス」と称えられた17世紀後半のヘンリー・パーセルの名曲に至るま で、有名曲をほどよく交えつつ、当時の英国人たちを陶然とさせたフランス宮廷音楽も選曲。ある時は静謐な悲痛さをもって、またある時は 皮肉っぽさを交えた晴朗さで、高音域まで伸びやかな美声の味わいが引き立つさまざまな作品の面白みをじっくり引き出してゆく名歌唱がた まりません。LINNならではの秀逸な録音技術により、デュオ・パートナーのトビー・カーが聴かせる玄妙な撥弦も克明に楽しめ、400年以上 前の英国ではシンプルな響きの中でいかに変幻自在の多様な音楽が楽しまれていたか再認識させられることでしょう。

ALPHA
ALPHA-927(1CD)
17世紀ヴェネツィアの教会音楽、世俗音楽
1. モンテヴェルディ: D主は言われた(ディクシット・ドミヌス)第2番 SV264〜『宗教的・倫理的な森』第13曲
2. ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690): アダージョ 〜4声のソナタ集『ラ・チェトラ』作品10 第6ソナタより*
3. アレッサンドロ・グランディ(1590-1630): おお、あなたはなんと美しいことか
4. タルクィニオ・メールラ(1595-1665):舞踏曲「エッカルド」〜『カンツォーネ集または教会様式および室内様式によるコンチェルト式ソナタ集』Op.12 第19曲より*
5. ジョヴァンニ・アントニオ・リガッティ(1613-1648): わたしの魂は主を讃え(マニフィカト)〜『ミサ曲、および3声のコンチェルト式アリアによる詩篇曲集』第9曲
6. モンテヴェルディ:わたしはイエスさまから遠く隔たれ 〜『マドリガーレ集 第7巻』所収の「哀れなわたしは語るべきか、それとも黙すべきか」SV 136によるコントラファクトゥム
7. モンテヴェルディ:腕達者にもほどがある、恋の神という暴君は SV102〜『マドリガーレ集 第5巻』より*
8. モンテヴェルディ:あなたの頬は美しく〜『マドリガーレ集 第5巻』所収の「その胸を傷つけるというの」(連作マドリガーレ「見たまえシルヴィオ」第4部SV 97d)によるコントラファクトゥム
9. モンテヴェルディ:主を誉め讃えよ(ラウダーテ・ドミヌム)第1番 SV272〜『宗教的・倫理的な森』第21曲
10. レグレンツィ:わたしは呻き苦しんでいます 〜『死者に捧ぐ続唱』より
11. レグレンツィ:わたしは祈ります、跪き頭を低くして 〜『死者に捧ぐ続唱』より
12. アントニオ・ロッティ(1667-1740):8声の「その方は十字架にかけられ」
13. サロモーネ・ロッシ(1570-1630):5声の荘重なシンフォニア 〜『シンフォニアとガリアルダ集 第1巻』より*
14. ロッシ:ガリアルダ「ラ・マサラ」 〜『シンフォニアとガリアルダ集 第1巻』より*
15. ロッシ:ガリアルダ「ラ・ノルシーナ」〜『シンフォニアとガリアルダ集 第1巻』より*
16. カヴァッリ(1602-1676): Agnus Dei 神の仔羊(アニュス・デイ) 〜「コンチェルト式ミサ曲(ミサ・コンチェルタータ)」より
17. ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンターナ(1589-1630): ソナタ第16番〜『1、2、3声の為の18のソナタ』より*
18. レグレンツィ:元后あわれみの母(サルヴェ・レジーナ) 〜『連祷・応唱精選曲集』作品7 第6曲
19. レグレンツィ:深き淵より 〜『コンチェルト式の聖唱歌・祝典歌集』作品9 第16曲

*…器楽曲
アンサンブル・レ・シュルプリーズ(古楽器使用)
【ジャンヌ・アムザル、ウジェニー・ルフェーヴル(S)、ジュリア・ボーミエ(Ms)、ポラン・ビュンドゲン(アルト=カウンターテナー)、クレマン・ドビューヴル、セバスティアン・オブレシュト(T)、フランソワ・ジャロン、ギヨーム・オルリ(Bs)、ガブリエル・グロスバール、アナエル・ブラン=ヴェルダン(Vn)、サラ・デュビュ(木管コルネット、リコーダー)、ジュリエット・ギニャール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、リュシル・テシエ(ドゥルツィアン、リコーダー)、ガブリエル・リニョル(テオルボ、バロックギター)、マチュー・ブティノー(Cemb)[1,17]、ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ(オルガン、チェンバロ、指揮)

録音:2022年5月セント女子大修道院(フランス中西部シャラント地方)
ヴェロニク・ジャンスやマティアス・ヴィダルといった名歌手たちとの緊密なアンサンブルで、フランス17〜18世紀の知られざる声楽作品の魅力を脈々と伝えてきた アンサンブル・レ・シュルプリーズ。演奏作品が作曲された当時のあり方と妥協なく対峙し、現代のリスナーの興奮を誘う演奏へと昇華させるそのセンスは、フラ ンスのバロック音楽様式にも大きな影響を与えたイタリア音楽にも抜群の適性をみせることが、今回のアルバムで立証されました。17世紀の“水の都”ヴェネ ツィアを舞台に、その音楽活動の一大拠点だったサン・マルコ教会の音楽監督として巨匠モンテヴェルディが迎えられていた時代に光を当て、知られざる作曲 家たちの作品も含め声楽・器楽および聖俗両面の作品を鮮やかに組み合わせ、17世紀後半に至る豊かな音楽遺産を起伏に富んだプログラムで堪能させ てくれます。弦・管・鍵盤8人からなる器楽勢のアンサンブルも魅力なら、詩句とメロディの官能性を鮮やかに引き出してゆく歌手それぞれの声と各楽器の音色 の溶けあいや交錯も実にエキサイティング。サン・マルコ教会に限られない諸々の教会や貴族の私邸、アーケードの下に陣取った楽隊などの音楽によるヴェネ ツィアの祝祭シーズンを再現したかったと語る指揮者ベスティオン・ド・カンブラの狙いは、ALPHAならではの自然派録音が捉えた響きの克明さも手伝って十二 分に実現していると言ってよいでしょう。
ALPHA
ALPHA-739(1CD)

NYCX-10389(1CD)
国内盤仕様
税込定価
聖女マリア/母マリア/娼婦マリア
ホルスト(1874-1904):I. やさしきイエスよ 〜『4つの歌』 Op.35
ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ(1170-1230): パレスチナの歌*
ジョージ・クラム(1929-2022):Return I. God-Music〜『ブラック・エンジェルズ 暗黒界からの13のイメージ』
デュファイ:Ave Maris Stella めでたし、海の星*
マルタン:アヴェ・マリア 〜『マリア三部作』
ビクトリア:アヴェ・マリア*
クルターグ(1926-):Teil1「子守歌」 〜『カフカ断章』 Op.24
作者不詳:アドヴェント・ソング「マリアはいばらの森を行った」**
マルタン:マニフィカト 〜『マリア三部作』
ロッティ(1667-1740):十字架に架けられて*
リリ・ブーランジェ:ピエ・イエズ*
パトリツィア・コパチンスカヤ(1977-):Felino フェリーノ
ヒルデガルト・フォン・ビンゲン(1098-1179): おお、血の赤さよ
ハイドン:ソナタIII「女よ、これがあなたの息子です」〜十字架上の7つの言葉』Hob.XX:1
クルターグ:Teil4「またもや、またもや」 〜『カフカ断章』 Op.24
マルタン:スターバト・マーテル 〜『マリア三部作』
ハンス・アイスラー/ベルトルト・ブレヒト(1898-1956): Kuppellied*
クルターグ:Teil3「罰としての性交」 〜『カフカ断章』 Op.24
ハイドン:地震 〜『十字架上の7つの言葉』Hob.XX:1
カルダーラ:アリア「私の涙の海に」 〜『キリストの足元のマッダレーナ』

*…ミチ・ウィアンコ編曲
**…ヴォルフガング・カチュナー編曲
アンナ・プロハスカ(S)
パトリツィア・コパチンスカヤ(ソロ・ヴァイオリン、リーダー)
カメラータ・ベルン

録音:2019年12月、2020年夏・スイス放送協会ドイツ語放送スタジオ、チューリヒ
※ 国内盤仕様解説・歌詞日本語訳…伊東信宏
2022年に発売されたイザベル・ファウストとの共演盤『カフカ断章』(HMF)が高い評価を受けたアンナ・プロハスカ。ALPHAレーベルからも個 性的なアルバムをリリースしてきている彼女が、今回は長年の盟友、奇才パトリツィア・コパチンスカヤと手を組み、新約聖書に登場する聖母 マリアとマグダラのマリアという2人の物語に挑みます。コパチンスカヤにとっては2019年リリースの『つかの間と、永遠と』の流れを汲む企画と言 え、そこでマルタンの『キリスト受難の6つの印象(複連祭壇画)』を中心に据えたのと同様、今回も同じマルタンの『マリア三部作(三連祭壇 画)』を核とした選曲により、聖なるマリア、母としてのマリア、そして卑しい身分の象徴としてのマリアとその救済という側面に切り込み、西洋世 界に於ける女性のイメージの二面性を描き出すとともに、その意味を問うという内容となっています。2人が絶大な信頼を置く作曲家、ヴァイ オリニストであるミチ(美智)・ウィアンコが多くの曲で編曲を務めており、カメラータ・ベルンの高いアンサンブル能力と、その音色が持つ煌びやか さを内に秘めたほの暗さを魅力的に引き出しました。さらにはプロハスカとコパチンスカヤによる、作品の振幅の激しさをものともしない表現力 と強烈な個性が、時に寄り添い時に激しくぶつかり合いながら、このアルバムの得も言われぬ魅力を作り出しています。

299 MUSIC
NIKU-9050(2CD)
税込定価
F・クープラン クラヴサン曲全集3
クラヴサン曲集:第2・12・14・23オルドル/クラヴサン奏法:前奏曲第2 番
中野振一郎(Cemb)、DISC-2(14)築山茉以(チェンバロ2)

録音:2021年9月28-39日、2022年5月30 日 岐阜・サラマンカホール
ロココの戯れ、フランス的甘さ、そして謎めいたムードなど、ユニークかつ多様な作品群の情緒あふれる世界を、そ の流麗で円熟味を増した表現と時折垣間見える遊び心で深みと新鮮さを与え展開する。長年にわたりチェンバロ界を リードし続ける中野振一郎が映し出す、フランソワ・クープランの成し遂げた偉業の真価。

PROSPERO CLASSICAL
PROSP-0065(2CD)
ビーバー:ロザリオのソナタ
[CD1]
「喜びの秘蹟」 ソナタ第1番〜第5番
「哀しみの秘蹟」 ソナタ第6番〜第10番
[CD2]
「栄光の秘蹟」 ソナタ第11番〜15番
「パッサカリア」 ソナタ第16番
メレット・リュティ(Vn、指揮)
レ・パシオン・ド・ラーム

録音:(ソナタ第1〜15番)2022年1月23-29日/レールベルク
(パッサカリア)2019年9月27-20日/チューリッヒ放送スタジオ
「レ・パシオン・ド・ラーム」(デカルトの『情念論』に由来)はベルン出身のヴァイオリニスト、メレット・リュティが2008年に結成したスイスの古楽アンサンブ ル。さまざまな音楽祭に出演し多くのアーティストと共演しながら、ビーバーの作品に長年取り組んできました。演奏してきた作品にはもちろん名作『ロザリオのソ ナタ』も含まれます。そして今回リリースされるのは『ロザリオ』のスタジオ録音。これまで培ってきた演奏経験が大いに活かされた出来栄えで、高度な技術を要す るヴァイオリン・パートがみごとに敬虔な祈りに昇華されていきます。通奏低音にはチェンバロとオルガンが合体したクラヴィオルガヌムや、キラキラした音を出す サルテリオが登場。リュートは野入志津子が担当しています。アンサンブル全体が呼吸するかのようにうごき、音楽が豊かに湧き上がってくる演奏。名盤ひしめく『ロ ザリオ』にまたひとつ注目盤が加わりました (Ki)

Passacaille
PAS-1132(1CD)
テレマン:オラトリオ『解放されたイスラエル』 TWV.6:5
ヨハン・ハインリヒ・ローレ(1716-1786):オラトリオ『解放されたイスラエル』 V.I:II
ミリアム・フォイエルジンガー(S)
エ ルヴィラ・ビ ル(Ms)
ダニエル・ヨハンセン(T)
アンドレ・モルシュ(Bs)
セバスティアン・ミルス(Bs)
ペーター・ファン・ヘイゲン(指揮 )
イル・ガルデリーノ

録音:2022年8月16-19日/ベルギー、ブルージュ
モーセの十戒で有名な旧約聖書の「出エジプト記」に基づく、イスラエルの民がエジプトの奴隷から解放される物語。ヘンデルのオラトリオ『エジプトのイスラエル 人』が比較的知られていますが、テレマンもまた同じ題材を基にしたオラトリオを書いています。作曲家後期の作品にあたり、その筆致は驚くほど充実。迫力たっぷ り、聴き応え満載の音楽です。同じ題材による知られざるドイツの作曲家ヨハン・ハインリヒ・ローレの作品も収録。こちらもまた充実した内容で、なかなかに聴か せる音楽です。 (Ki)

MIRARE
MIR-612(1CD)
ブルターニュのエレノアのグラドゥアーレ集〜フォントヴローのクリスマス
・真夜中のミサ
・夜明けのミサ
・日中のミサ
ヴォックス・クラマンティス、
ヤーン=エイク・トゥルヴェ(指)

録音:2021年11月22-28日、フォントヴロー修道院
エレノアは、1275年、イングランド王国のベアトリクスとブルターニュ公ジョン2世との間に生まれました。1283年、8歳でエイムズベリー修道院に入り、 1304年にフォントヴローの修道院長となり、1342年にそこで亡くなりました。現在、リモージュ市立図書館には、彼女の紋章が刻まれたグラドゥアーレ集が所 蔵されています。そこには、グレゴリオミサに加え、通常ミサの全レパートリーが含まれています。ここでは、音楽学的な貴重さという観点からではなく、純粋に 2021年のクリスマスを祝うために作られたかのような作品を選び、文脈を変えずに様々な音色(鈴や鳥の声など)を加えるなどして収録されています。実際に僧 たちが修道院の中で歩いたりしながら歌っているのを覗くような気分になれる録音で、非常に静謐な空気に満ちています。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187082(1CD)
「シルク・バロック」
テレマン:ベルはいかがでしょうか(ユディト・ステーンブリンク編)
ラモー:悲しい仕度、青白いたいまつ
J.ステーンブリンク:中国のポロネーズ(メランテ編)
馬術【中国伝統音楽】
ヴィヴァルディ:トリオ・ソナタOp.1-12「ラ・フォリア」
ラモー:プレリュード・フォー・プレリュード(J.ステーンブリンク編)
ルベル:混沌
即興【父へ〜ウー・ウェイ】
テレマン:ハーレキナード
テレマン:千載一遇の好機
J.ステーンブリンク:シルク・ロンドー〜マイテへ
ルクレール:ガヴォット
瑶族舞曲【中国伝統音楽】
バッハ:アンダンテ
夕べの音楽【中国伝統音楽】
オランダ・バロック
ウー・ウェイ(中国笙)

録音:2019年1月/HCO ヒルフェルスム(オランダ)
レイチェル・ポッジャーなど世界的なアーティストと共演をしてきたオランダ古楽界の精鋭集団オランダ・バロック(元オランダ・バロック協会)と中国笙の第一 人者ウー・ウェイの奇跡のコラボレーション・アルバム。
バッハ、ヴィヴァルディ、テレマン、ラモーなどのバロック時代を代表する作曲家の音楽と中国伝統音楽を見事に融合させた「シルク・バロック」がCDフォー マットで再発売されます!
中国笙は37本の竹管からなる笙(日本の雅楽などで用いられる笙は17本の竹管)で、中国独自の響きを携えます。演奏のウー・ウェイは1970年中国生まれ。 上海音楽院で学んだ後ベルリン芸術大学に留学。ベルリンでは東アジアの楽器と西洋楽器との混合アンサンブル“アジアン・アート・アンサンブル”に創設メンバー として参加し世界各国の作曲家への委嘱と初演を行ってきました。ソリストとして活躍する一方、2013年からは上海音楽院の教授として後進の育成にあたり、中 国伝統音楽はもちろんのこと現代音楽、即興などの指導にも力を注いでおります。(日本語帯はつきません。) ※CD再発売にともない、SACDハイブリッド盤(PTC-5186800)は廃盤となります。 (Ki)

PAN CLASSICS
PC-10448(1CD)
オレンジの樹のある中庭 〜セビリア大聖堂にまつわるルネサンス音楽集
〈オレンジの樹の中庭〉
即興:Istijbar Raml-al-Maya
作者不詳(15世紀後半):Propinan de melyor
〈聖母マリアの祭壇〉
ペドロ・デ・エスコバル(1465頃-1535頃):Virgen bendita sin par
フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):Virgo prudentissima
クリストバル・デ・モラーレス(1500頃-1553):Regina caeli, laetare
〈ヒラルダの塔から街を見下ろす〉
フアン・バスケス(1500頃-1560頃):Del rosal sale la rosa / -Que razon podeis tener- / Morenica me era yo
ミゲル・デ・フエンリャーナ(1553頃活躍-1578):Tiento del IV tono / Fantasia No.34sobre un passo forcado, Ut re mi fa sol la
〈アンティグア聖母礼拝堂、フランシスコ・ゲレーロとフランシスコ・ペラーザの墓前で〉
ペドロ・デ・エスコバル:Agnus Dei
フランシスコ・ゲレーロ:In elevatione Domini:Hei mihi, Domine
フランシスコ・ペラーザ(1564-1598):Medio registro alto (de) primer tono
〈聖歌隊の裏側、エルナンド・コロンの墓前で〉
エンリケ・フォクサー(1488没):Pues con sobra de tristura
作者不詳(15世紀後半):N ina y vina
〈チャプター・ハウス〉
アロンソ・ムダーラ(1510頃-1580):Tiento II & Fantasia XVIII sobre fa, mi, ut, re. Segundo tono / Fantasia XVI. Primer tono / Pavana I / Gallarda
〈聖歌隊〉
アロンソ・ロボ(1555-1617):Vivo ego, dicit Dominus
フランシスコ・デ・ペニャローサ(1470頃-1528):Agnus Dei III (Vita dulcedo/De tous bien playne)
〈オレンジの樹の中庭〉
即興:Istijbar Raml-al-Maya
マリア・マルティネス・アイェルサ(編曲、指)
ロイヤル・ウィンド・ミュージック(リコーダー合奏)

録音:2022年8月22-25日/オランダ
11人のリコーダー奏者からなる「ロイヤル・ウィンド・ミュージック」によるルネサンス音楽集。大小12種類(ソプラニーノ1、ソプラノ2、アルト2、テナー2、バセッ ト2、グレート・バス1、コントラバス1、サブ・コントラバス1)のルネサンス・リコーダーを駆使し、驚くほど雄弁なサウンドを創生しています。ブックレットには各 曲でどのリコーダーを誰が吹いてるのかを表したリスト付き。
舞台はスペインの誇る最大規模の聖堂、セビリア大聖堂。モスクの跡地に建てられ、モスクの名残である「ヒラルダの塔」などもあるユニークな建造物です。中庭 はオレンジの樹があり、アルバム・タイトルのもとになっています。
アルバムはセビリア大聖堂を中庭から始まりぐるりと回遊し、また中庭に戻ってくる構成で、そこにスペイン・ルネサンスの大作曲家たちの作品が散りばめられて いるというもの。時代の香りが漂ってくるような雰囲気がたまらない1枚です。 (Ki)

Da Vinci Classics
C-00703(1CD)
18世紀のフルート・ソナタ集
テレマン:トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ト短調 TWV42:G7
C.P.E.バッハ:フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 H.551. WQ124
フォルトゥナート・ケッレリ:フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのトリオ・ソナタ ト長調(世界初録音)
カール・フリードリヒ・アーベル:フルート、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ 変ロ長調 WKO110d, A5:5A
J.C.バッハ:フルート、チェロとハープシコードのためのソナタ Op.2-5, W. B47b
ピエール・プローヴォ:トラヴェルソ、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ト短調(世界初録音)
ラ・レジョイサンス〔マリヤ・ミリュウジーナ(トラヴェルソ)、アマリリス・ドゥエニャス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ナタリア・レンタス(ハープシコード)〕

録音:2022年2月、ナショナル・スカルプチャー・ミュージアム(バリャドリッド、スペイン)
ラ・レジョイサンスは、ケルン音楽舞踊大学で学んだ音楽家達によって2018年に結成され、ドイツ・ザールランド放送局主催の国際バロック・コンクールでは第1位を受賞。アンサンブルの名前の由来は、バッハ、ヘンデル、テレマンなどが組曲の1楽章として使用した、速いテンポと祝祭性のある特徴を持つ、フランスの伝統的な舞曲「rejouissance(喜び、歓喜)」に由来します。
本アルバムでは、18世紀に作曲されたトリオ・ソナタを軸に、1750年代から1770年代頃に流行したギャラント様式が、その長い生涯で生み出した様々な方向性を示す代表的な作品を集成。このジャンルがどのように発展していったか、その軌跡を辿ります。

Tactus
TC-652090(2CD)
トレッリ:合奏協奏曲集 Op.8
クリスマスのためのパストラーレ付き12の合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)集 Op.8(ボローニャ,1709)(2本のヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための)〔協奏曲第1番 ハ長調、協奏曲第2番イ短調、協奏曲第3番ホ長調、協奏曲第4番 変ロ長調、協奏曲第5番ト長調、協奏曲第6番 ト短調 「クリスマスのために」(クリスマス協奏曲)、協奏曲第7番 ニ短調、協奏曲第8番ハ短調、協奏曲第9番ホ短調、協奏曲第10番 イ長調、協奏曲第11番ヘ長調、協奏曲第12盤 ニ長調〕
ロベルト・ノフェリーニ(Vn)、
ジェレミー・キジョーニ(Vn)、
アンサンブル・ロカテッリ、
キアラ・カッターニ(指,Cemb)

録音:2020年7月、サン・ロレンツォ・マルティーレ教会(ダルミネ、ベルガモ)
「ピリオド楽器、ガット弦、ピリオド・ボウによるパガニーニのカプリース」(PTC781690/TC781690)の衝撃的な録音で話題を呼んだ、イタリアの鬼才バロック・ヴァイオリニスト、ロベルト・ノフェリーニ。イタリア音楽の宝庫Tactusレーベルからリリースされる新たなアルバムでは、トレッリの「合奏協奏曲集 Op.8」の全曲を録音!
ジュゼッペ・トレッリは1658年イタリア・ヴェネト州のヴェローナに生まれ、25歳で同市の大聖堂ヴァイオリニストに採用され、その後もボローニャ、アンスバッハ(バイエルン)、ベルリン、アムステルダムなどでヴァイオリニストやコンサート・マスターとして活動したヴァイオリニスト&作曲家。ヴェネツィア楽派、ローマ楽派、ナポリ楽派とともに、イタリア・バロック音楽の基幹をなすボローニャ楽派の名声と成功に貢献した作曲家の一人です。
1709年に弟のフェリーチェ・トレッリによって出版された、ジュゼッペ・トレッリの代表作「合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ) Op.8」は、特に有名な「クリスマス協奏曲(第6番) Op.8-6を始めとする一部や抜粋の録音は数多くあるものの、12曲全体のまとまった録音は少ないだけに、イタリアの鬼才ノフェリーニと、ソミスのアルバム(TC681908)でも共演したチェンバリスト、キアラ・カッターニ率いるアンサンブル・ロカテッリによる新たなレコーディングが重要なマイルストーンとなることでしょう。

Urania Records
LDV-14098(1CD)
J.P.デュポール:チェロ・ソナタ集
:6つのチェロとヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ Op.1(1766)より、ソナタ第3番ハ長調、ソナタ第4番 ニ長調/6つのチェロ・ソナタ Op.2(1767/70)より、ソナタ第1番 ニ長調、ソナタ第3番ヘ短調/6つのチェロと通奏低音のためのソナタ Op.3(1773)より、ソナタ第1番ニ長調、ソナタ第3番ニ短調/6つのチェロ・ソナタ Op.4(1789)より、ソナタ第2番ホ短調、ソナタ第3番 ハ長調
クラウディオ・ロンコ(Vc)、
エマヌエラ・ヴォッツア(Vc)ピリオド楽器使用
フランス・チェロ派の創始者マルタン・ベルトーの弟子であり、近代チェロ派の創始者といわれるジャン=ルイ・デュポールの兄でもあったジャン=ピエール・デュポール(1741-1818)。当時大変なヴィルトゥオーゾであったデュポールはベルリンに渡り、宮廷の音楽監督を務めました。その際、モーツァルトやベートーヴェンといった作曲家たちとの交流もあったと伝えられています。
クラウディオ・ロンコは、1980年にクレマンシック・コンソート(クレメンチッチ・コンソート)のソロ・チェロ奏者に就任し、アンサンブル415やエスペリオンXXでも活躍。さらには、セビリア古楽音楽祭をはじめとするヨーロッパの著名な古楽音楽祭から定期的に招聘されるなど、現在のイタリア古楽界における重鎮の1人。
現在は2001年に出会ったボローニャのアンサンブDSGとルサン・ペトロニオ・カペラ・ムジカーレで首席チェロ奏者を務めていたエマヌエラ・ヴォッツアと夫婦デュオを組み、コンサートやレコーディングに精力的に取り組んでいます。

Glossa
GCD-924014(3CD)
ジャン・バティスト・シュトゥック(1680-1755):音楽悲劇「ポリドール」 ジェルジ・ヴァシュヘージ(指)、オルフェオO、パーセルcho、ユディット・ファン・ヴァンロイ(Venus, Deidamie)、エレーヌ・ギュメット(Ilione)、タシス・クリストヤニス(Polydore)、トマ・ドリエ(Polymnestor)、シリル・デュボワ(Un Triton, Timanthe, Sthenelus, un Thrace, un Grec)、ダヴィド・ヴィチャク(Neptune, le Grand Pretre de l’Hymen, l’Ombre de Deiphile)、クロエ・ブリオ(Thetis, une Matelote, Theano)

録音:2022年9月12日-15日、ベーラ・バルトーク国立コンサート・ホール(ブダペスト芸術宮殿、ハンガリー)
20世紀末まで顧みられることのなかった数々の知られざるフランス・バロック作品を蘇らせ、次々と世に発信して注目を集めてきたハンガリー出身の奇才ジェルジ・ヴァシュヘージと、彼が結成したオルフェオO&パーセル合唱団。次なるリリースはイタリアのトスカーナに生まれ後にフランスに帰化したジャン・バティスト・シュトゥック(1680-1755)の音楽悲劇「ポリドール」。シュトゥックはラモーとほぼ同世代の作曲家で、リュリ亡き後も続いていたパリでのオペラへの嗜好に対し、公爵家から資金の援助を受けながら作品を書き続けました。「ポリドール」はパリ移住後の1720年の作品。ギリシャ人、トラキア人、トロイア人の神話を題材に、戦争、家族、愛が織り込まれた悲劇的な物語です。これまでアリアなどが抜粋されて録音されることはありましたが、全曲の録音はとても貴重なものと言えるでしょう。
今回も厚い信頼関係で結ばれたジェルジ・ヴァシュヘージと手兵のオルフェオO&パーセル合唱団が高品質な演奏を披露。ユディット・ファン・ヴァンロイやタシス・クリストヤニスなどのソリスト陣も素晴らしく、この知られざる作品の魅力を再発見させてくれます。
※アーティスト名表記について
これまで、Gyorgy Vashegyiの日本語表記を「ジュルジ・ヴァシェジ」としておりましたが、今後は原音表記に近い「ジェルジ・ヴァシュヘージ」に変更させていただきます。よろしくお願いいたします。
Glossa
GCD-923538(2CD)
ペドロ・アントーニオ・アヴォンダーノ(1714-1782):オラトリオ「アベルの死」 マッシモ・マッツェオ(音楽監督)、
ディヴィーノ・ソスピーロ、
ケル・カマリーニャ(S)、
アナ・ヴィエイラ・レイテ(S)、
ヴァレンティーナ・ヴァッリアーレ(S)、
フィリッポ・ミネッチャ(A)、
セルジョ・フォレスティ(Bs)

録音:2022年2月28日-3月3日(ポルトガル)
ポルトガルを拠点にしている古楽オーケストラ、ディヴィーノ・ソスピーロはこれまでもマッシモ・マッツェオ指揮の下、ポルトガルの作曲家の作品の復興に努めてきました。このアルバムで取り上げる作曲家ペドロ・アントーニオ・アヴォンダーノ(1714-1782)もその中の一人です。アヴォンダーノは、18世紀にリスボンで活躍したイタリア系音楽家の一族の子孫でした。彼の作曲した「アベルの死」(1780年頃)は多数のオペラ作品でも知られる著名な台本作家ピエトロ・メタスタージオの人気作を題材にしたもので、バロック時代以降、40回ほど演奏された記録が残っています。アヴォンダーノは最初の殺人事件の物語であるこの作品に、バロック音楽が持つ表現力の可能性を余すところなく発揮しており、熱狂的なドラマとして描いています。素晴らしい歌手陣で録音されたこのアルバムは、世界初録音となります。

Audax Records
ADX-11201(1CD)
4声のソナタ集
ヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(1727-1756):ソナタ ハ短調 DurG14
テレマン:ソナタ イ短調 TWV43:a5
ヘンデル:ソナタ ト長調 Op.5, No.4
ファッシュ:ソナタ ニ短調 FaWV N:d3
ヨハン・ゴットリープ・ヤニチュ(1708-1762):四重奏曲 ニ長調(世界初録音)
ヨハネス・プラムゾーラー(Vn)、アンサンブル・ディドロ〔ヨハネス・プラムゾーラー(Vn)、ロルダン・ベルナベ(Vn)、アレクサンドル・バルド(Va)、チェ・グゥリム(Vc)、フィリップ・グリスヴァール(ハープシコード)〕

録音:2021年12月1日-3日、マーラー・オーディトリアム(トブラッハ、イタリア)
南チロルから世界へと羽ばたいた"21世紀世代"のバロック・ヴァイオリニスト、ヨハネス・プラムゾーラーは、アンサンブル・ディドロやインターナショナル・バロック・プレーヤーズを主宰し、師であるレイチェル・ポッジャーのブレコン・バロックのメンバーとしても活躍する次世代の名手。2013年に自身のレーベルAudax(オーダックス)を立ち上げ、数々の知られざるバロック・レパートリーを発掘してきたプラムゾーラーが新たに開拓するのは、3つの旋律楽器と通奏低音による4声の「カルテット・ソナタ」集!
バロック時代に「トリオ・ソナタ」が流行し、18世紀前半には通奏低音付きの四重奏(カルテット・ソナタ)が出現しましたが、後に「弦楽四重奏」のスタイルの隆盛によってほとんど無視されるようになっていきました。
バロックと初期古典派の間の重要な仲介役となるカルテット・ソナタの中から、今回はファースト・ヴァイオリン、セカンド・ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音からなる弦楽器編成の作品が選ばれました。いずれも、フランス、イタリア、ドイツの様式を折衷した混合様式の好例となる作品で、弦楽四重奏の登場によってほとんど注目を浴びなくなったレパートリーに特徴的な「学究的で彫琢されたポリフォニー」を備えています。

NovAntiqua Records
NA-81(2CD)
様々な作曲家による無伴奏ヴァイオリン作品集
■CD1
チューニング
トーマス・バルツァー(c.1631-1663):ヴァイオリンのための前奏曲
バッハ:9つの小前奏曲より第3番 BWV926(エンリコ・ガッティ編)
ジョヴァンニ・バッサーノ(1558-1617):リチェルカータ第1番
バッハ
:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調 BWV1005よりラルゴ
トーマス・バルツァー:前奏曲、アルマンド、クーラント、サラバンド
バッハ:パルティータ第1番 BWV825よりサラバンド(エンリコ・ガッティ編)
ニコラ・マッテイス(c.1640/50-c.1714):壊れたパッサッジョ、声域、速い動きで、幻想曲
フィリップ・ハカール(1645-1691):サラバンド
ビーバー:パッサカリア
■CD2
タルティーニ:ソナタ
パーセル:前奏曲 ZN 773
ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750):前奏曲(エンリコ・ガッティ編)
バッハ
:ソナタ第2番 BWV1003よりアンダンテ
ジルヴィウス・レオポルト・ヴァイス:サラバンド(エンリコ・ガッティ編)、
 幻想曲(エンリコ・ガッティ編)、ヨハン・ショップ(c.1590-1667):前奏曲
バッハ
:無伴奏フルートのためのパルティータ BWV1013よりアルマンド(エンリコ・ガッティ編)
トーマス・バルツァー:前奏曲
エンリコ・ガッティ(Vn/ドン・ニコラ・アマティ1730年頃製作)

録音:2019年6月20日-21日&10月17日-19日(ロンジャーノ、イタリア)
イタリアが生んだバロック・ヴァイオリンの世界的名手エンリコ・ガッティが、40年もの歳月をかけて取り組んできたプロジェクトがついに完成。10人の作曲家による無伴奏ヴァイオリンの為の作品を通じて、人間や芸術家につきまとう「孤独」という概念から、哲学的・人間的な道を100分間で探求するコンセプト・アルバムになっています。付属する100ページにも及ぶメディア・ブックには、イタリアの写真家シルヴィア・カンポレージが撮影したジャケットを含む17枚の写真と、様々な作家や哲学者によるテキスト(イタリア語/英語)が掲載され、“ヴァイオリンの詩人”エンリコ・ガッティが生涯をかけて構想してきた一つの到達点を見ることができるでしょう。

ARCANA
A-544(1CD)
マッシミリアーノ・ネーリ(1620頃-1670以降):様々な楽器のためのソナタ集
1. Sonata Decimaquinta a dodeci - Op.2第15ソナタ(12声のための)
2. Sonata Prima a tre - Op.2第1ソナタ(3声のための)
3. Salve Virgo benignissima めでたし、至福の乙女
4. Sonata Undecima a nove - Op.2第11ソナタ(9声のための)
5. Sonata Seconda a4- Op.1第2ソナタ(4声のための)
6. Sonata Prima a4- Op.1第1ソナタ(4声のための)
7. Liebster Jesu 最愛のイエスよ [カテリーナ・ジアーニ(1630-1673以降)作曲]
8. Sonata Decima a otto - Op.2第10ソナタ(8声のための)
9. Canzon Seconda a4- Op.1第2カンツォン(4声のための)
10. Sonata Terza a tre - Op.2第3ソナタ(3声のための)
11. Sonata Quinta a quatro - Op.2第5ソナタ(4声のための)
12. Sonata Seconda a tre - Op.2第2ソナタ(3声のための)
13. Ad charismata caelorum 魅惑の天に向けて
14. Sonata Decimaquarta a dodeci - Op.2 第14ソナタ(12声のための)
コンチェルト・シロッコ(古楽器使用)
 ジュリア・ジェニーニ(リコーダー、ドゥルツィアン、指揮)
 編成:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ1、ヴィオローネ2、
  木管コルネット2、リコーダー3、サックバット3、ドゥルツィアン1、テオルボ2、
  オルガン、チェンバロ
ヴォーチェス・スアーヴェス(声楽アンサンブル)…3、7、13
 ピッチ:A=415Hz(弦楽器&鍵盤楽器)/A=466Hz(管楽器)
 調律:1/4コンマ・ミーントーン

録音:2022年2月12-16日ラントガストホーフ、ライエン(スイス北部バーゼル・ラントシャフト州)
古楽奏者・研究者育成の世界的拠点バーゼル・スコラ・カントルムで研鑽を重ねた気鋭奏者が集うコンチェルト・シロッコとヴォーチェス・ス アーヴェスは、イタリアのARCANAレーベルへの録音を通じてクローチェ、ベルナルディ、ピッキといった知られざる17世紀イタリアの作曲家たち を続々発掘、その優れた実績の再評価に寄与してきました。これほどの結束力と専門性を兼ね備えた17世紀音楽の演奏団体は決して多 くはありませんが、今回のアルバムも既存盤全てと同じく、各楽器の個性がきわだつ小編成作品から、当時の演奏作法に通じた弦・管・鍵 盤の名手が何人もいなくては実現不可能な大編成の充実作まで収録。巨匠モンテヴェルディ亡き後、歌劇作曲家カヴァッリが人気を誇った 17世紀中盤のヴェネツィアで活躍したネーリの作品は、この“水の都”で器楽芸術が最初に発展した時代の面影を残しながらも、端正な気 品を感じさせる整った曲構成が18世紀の音楽をも予感させ、12声部にも及ぶ大規模な合奏曲はヴィラールトやガブリエーリの複合唱形式 にも、バロック後期のコレッリやヴィヴァルディの合奏協奏曲にも通じる音使いが聴かれ興趣が尽きません。小編成の作品も声楽・器楽共に コントラスト鮮やかな展開が聴き手を飽きさせず、生前のネーリがドイツ語圏や遠くスウェーデンまで名声を轟かせていたことを裏付けてあまり ある面白さ。バーゼルの名手たちの妙技に聴き惚れながら、知られざるバロック中期の音楽世界に思いを馳せたい1枚です。研究に基づき、 弦楽器などと管楽器はほぼ全音違うピッチを採用しており、管楽器が移調して演奏することで解決されています。

TUDOR
TUD-7504(1CD)
NX-A14
おお、大いなる奇跡
モンテヴェルディ:Christe Adoramus te キリストよ、われらは御身をあがめ
 Domine ne in furore tuo 主よ、われらを懲らしめたもうな
A・スカルラッティ:Domine refugium factus est
 Completi Sunt
 O Magnum Mysterium おお、大いなる奇跡
 Tenebrae factae sunt あたりは闇となり
 Caligaverunt Oculi Mei わたしの両目は、涙で曇らされて
 Salve regina 元后あわれみの母
ヴェルディ:Pater Noster 天にましますわれらの父よ
 Laudi alla vergine Maria 聖母マリアの讃歌
 Ave Maria アヴェ・マリア
ルツェルン・ヴォーカル・ゾリステン
【メンバー】
フランソワーズ・アルブレヒト/レナーテ・レーマン
コリンネ・リュシャー/ブリギット・シュミット
ウルズラ・ヴィック=ヴァイス(S)
ヨハンナ・クラウス/カリン・マリア・クラウアー
ギラ・ラーセンズ=ティヴァー/ヨハンナ・モン(A)
エルンスト・デスター/ウルス・デットヴァイラー/ローベルト・ランカー
宇佐美 尊(T)
ハンスペーター・ブラント/ルイス・キュファー
ロルフ・ニュンリスト/ペーター・タールマン (Bs)
フランツ・クサヴァー・ヤンス(指)

録音:1978年頃
※初CD化
1970年、ルツェルン音楽祭でアレッサンドロ・スカルラッティの「聖チェチーリアの夕べの祈り」の世界初演をきっかけに、フランツ・クサヴァー・ヤンスとハン ス・イェルク・ヤンスの2人によって創設された声楽アンサンブル「ルツェルン・ヴォーカル・ゾリステン」。ペーター・マークやヴォルフガング・サヴァリッシュ、ミシェ ル・コルボら錚々たる指揮者たちとも共演し、バロックから近現代まで幅広い演目を歌いましたが、出発点となったアレッサンドロ・スカルラッティには特に 注力、1983年から88年まで毎年ルツェルン音楽祭の期間中に、聖レオデガー教会でハンス・イェルク・ヤンスの指揮のもと演奏を重ねました。 このアルバムにはモンテヴェルディ、アレッサンドロ・スカルラッティ、ヴェルディの教会音楽を収録。3人ともオペラ作曲家として知られ、宗教的作品にもそ のドラマティックな感覚が生かされています。ルツェルン・ヴォーカル・ゾリステンは、作品の持つ敬虔な宗教性を生かし、重厚なアカペラで歌い上げてい ます。*既発のLPより復刻となります。

CPO
CPO-555388
NX-B10
タルティーニ:ヴィオラ・ダ・ガンバによる協奏曲とソナタ集
協奏曲 ニ長調
合奏協奏曲 ト短調(原曲:ソナタ「悪魔のトリル」)(ジャンルカ・ベルサネッティ編)
協奏曲 イ長調
ソナタ ト短調(レーデンブルク・コレクションより)
ソナタ 変ロ長調(レーデンブルク・コレクションより)
オペラ・プリマ(古楽器使用)
クリスティアーノ・コンタディン(ヴィオラ・ダ・ガンバ&指揮)

録音:2020年7月8-11日
稀代のヴァイオリン・ヴィルトゥオーゾ、タルティーニの作品をヴィオラ・ダ・ガンバで弾く意欲的な企画が登場。 タルティーニが活躍した時代のイタリアでは、きらびやかなサウンドを持つヴァイオリン属がガンバ属にとって代わ るタイミングでしたが、ここではあえてガンバを主役に据えています。1曲目に収められた協奏曲ニ長調は、タル ティーニの弟子ジュリオ・メネギーニによる筆写譜でソロ楽器が「ヴィオラ」と指定されています。この「ヴィオラ」は 小型のチェロを指していたと推測されますが、当録音のプロデューサーと演奏家は、当時は楽器の呼称が曖 昧だったのを逆手にとってガンバで演奏することを思いつきました。更にタルティーニ自身がソロ楽器を「ヴィオ ラ」と指定したイ長調の協奏曲にも挑戦しています。 2曲のソナタは2015年に発見された「レーデンブルク・コレクション」に収められているもので、ヴァイオリン・ソナ タがガンバ用にアレンジされています。タルティーニの代名詞とも言える「悪魔のソナタ」は、現代作曲家のジャ ンルカ・ベルサネッティがバロックの合奏協奏曲の形式に編曲したもの。ガンバはソロだけでなく、伴奏を含め 様々な役割を担います。ガンバ特有のサウンドの魅力を、オリジナル曲とは違った風味で味わう一枚です。演 奏はガンバ奏者クリスティアーノ・コンタディン率いるアンサンブル"オペラ・プリマ"。テレマンやグラウン作品で高 い評価を得ています。
CPO
CPO-555513(1CD)
NX-B02
ザムエル・シャイト(1587-1654):Liebliche Krafft-Blumlein
Liebliche Krafft-Blumlein(1635)
aus des Heyligen Geistes Lustgarten abgebrochen
通奏低音を伴う12曲のデュエット
マリー・ルイーゼ・ヴェルネブルク(S)
ダニエル・ヨハンセン(T)
ザンクトガレン修道院コレギウム・インストゥルメンターレ(古楽器アンサンブル)
ミヒャエル・ヴェルジン(ポジティフオルガン&指揮)

録音:2021年10月4-7日
曲集として世界初録音
ハインリヒ・シュッツ、ヨハン・ヘルマン・シャインとともに「ドイツ・バロックの3大S」と呼ばれるザムエル・シャイト。3 人の中では作品がまとまって録音される機会が少ないので、この 「Liebliche Krafft-Blumlein(愛らしい 小さな花束の意)」 の登場は初期バロック音楽ファンにとって嬉しい企画です。聖書によるテキストを用いた 通奏低音付きの12の二重唱で構成された曲集は、これまでごく一部のみが録音されたものの全曲録音は なく、とても貴重なものとなります。シュッツの歌劇「ダフネ」(555494)やアンドレア・ガブリエリのモテット (555291)を歌ったソプラノ、マリー・ルイーゼ・ヴェルネブルクと、ルドルフ・ルッツが指揮するバッハのカン タータでおなじみのテノール、ダニエル・ヨハンセンのソロ、オルガニストとしても活躍するミヒャエル・ヴェルジンが 指揮するザンクトガレン修道院コレギウム・インストゥルメンターレの演奏でお聴きください。
CPO
CPO-555479(1CD)
NX-B10
ヨハン・シュターミッツ(1717-1757):ヴァイオリン協奏曲集
ヴァイオリン協奏曲第2番ハ長調
ヴァイオリン協奏曲第3番ヘ長調
ヴァイオリン協奏曲第4番ヘ長調
交響曲 変ホ長調
ダヴィド・カストロ=バルビ(Vn)
ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内O
ケヴィン・グリフィス(指)

録音:2021年2月10-13日
ボヘミア出身の作曲家・ヴァイオリニスト、ヨハン・シュターミッツのヴァイオリン協奏曲集。 マンハイムの宮廷楽団の首席ヴァイオリニストから宮廷楽長に昇進し、このオーケストラを育て上げるとともに、 当時活躍していた作曲家たちをまとめ「マンハイム楽派の父」として尊敬を集めました。 彼は50作以上の交響曲を書くとともに、ソナタ形式の発展にも尽力。バロック期と古典派の時代の端境期 を埋めるハイドンの先人として活躍、また二人の息子、カールとアントンも優れた作曲家になりました。 そんなヨハン・シュターミッツですが、現代に伝わるヴァイオリン協奏曲はごくわずかです。そのほとんどは主題を はさみながら進行するリトルネッロ形式で書かれた第1楽章を持つヴィヴァルディの協奏曲の形式を模していま す。このアルバムに収録された3曲のなかで、最も技術的に難しいのは第2番の第1楽章で、シュターミッツが 得意とした旋律の幅広い跳躍と重音がたっぷりと織り込まれた華やかな作品です。アルバムには交響曲も1 曲収録されています。

ALPHA
ALPHA-944(1CD)

NYCX-10387(1CD)
国内盤仕様
税込定価
ダウランド:ラクリメ、あるいは7つの涙
ジョン・ダウランド:ラクリメ、あるいは7つの涙 (1604/全曲)
1. 昔のままの涙
2. デンマーク王のガリアード
3. 新たにした昔の涙
4. ジョン・ソーチ卿のガリアード
5. ため息の涙
6. ニコラス・グリフィス氏のガリアード
7. 悲しみの涙
8. ジャイルズ・ホビー氏のガリアード
9. 偽りの涙
10. エセックス伯のガリアード
11. 愛の涙
12. ディゴリー・パイパー船長のガリアード
13. 真実の涙
14. ヘンリー・ノエル氏のガリアード
15. ヘンリー・アンプトン卿の葬送
16. バクトン氏のガリアード
17. ジョン・ラングトン氏のパヴァン
18.2つのトレブル声部を伴うトーマス・コリアー氏のガリアード
19. ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルメイン
20. ニコルス夫人のアルメイン
21. いつも悲しむダウランド
ミュジカル・ユモール(ヴィオール合奏)
 ジュリアン・レオナール
 ニコラス・ミルン
 ミリアム・リニョル
 リュシル・ブーランジェ
 ジョシュ・チータム
 トーマス・ダンフォード(Lute)

録音:2018年10月15-18日 コンダ=シュル=トリンクー教会、フランス
※ 国内仕様盤 解説日本語訳…佐々木勉
ジュリアン・レオナールを中心に、フランスほかヨーロッパで活躍するヴィオール(=ヴァイオル、ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者たちとリュートのトーマス・ダ ンフォードによるアンサンブル、ミュジカル・ユモールが奏でるダウランド。1604年に出版された『ラクリメ、あるいは7つの涙』全21曲を収録して います。トレブル、テナー、ベースそれぞれ2種類の楽器を使用。通常続けて演奏される7つの「涙」を、間に動きのあるガリアードを挟んで分 ける曲順とすることで各曲の個性と美しさが際立ち、たいへん新鮮に響きます。名手たちそれぞれが奏でる声部の綾もたいへん魅力的。

Opus Arte
OA-1349BD(3DVD)
NX-E09

OABD-7300BD(3Bluray)
NX-F10
モンテヴェルディ:三部作
(1)歌劇「オルフェオ」
(2)歌劇「ウリッセの帰還」
(3)歌劇「ポッペアの戴冠」
(1)オルフェオ … クリスティアン・アダム(T)、 音楽/エウリディーチェ … ハナ・ブラシコヴァ(S)、 使者 … リュシール・リシャルド(C.A)、 プロセルピーナ … フランチェスカ・ボンコンパーニ(S)、 カロンテ/プルトーネ … ジャンルカ・ブラット(Bs)、 希望 … カンミン・ジャスティン・キム(C.T)、 アポロ … フリオ・ザナージ(Br)他
(2)ウリッセ … フリオ・ザナージ(Br)、 ペネーロペ … リュシール・リシャルド(C.A)、 テレーマコ … クリスティアン・アダム(T)、 ミネルヴァ/フォルトゥーナ(幸運) … ハナ・ブラシコヴァ(S)、 時/ネットゥーノ/アンティノー… ジャンルカ・ブラット(Bs)、 ピサンドロ … ミハウ・チェルニアフスキ(C.T)、 アンフィーノモ … ガレス・トレシダー(T)、 エウリーマコ … ザカリー・ワイルダー(T)他
(3)ポッペーア/フォルトゥーナ(幸運) … ハナ・ブラシコヴァ(S)、 ネローネ … カンミン・ジャスティン・キム(C.T)、 オッターヴィア … マリアンナ・ピッツォラート(S)、 セネカ … ジャンルカ・ブラット(Bs)、 オットーネ … カルロ・ヴィストーリ(C.T)、 ドゥルジッラ/美徳の女神/知恵の女神 … アンナ・デニス(S)、 アルナルタ/美の女神 … リュシール・リシャルド(C.A)、 アモーレ(愛)/小姓 … シルヴィア・フリガート(S)他、
モンテヴェルディcho&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、
ジョン・エリオット・ガーディナー(指)、
演出:ジョン・エリオット・ガーディナー&エルサ・ルーク

収録:フェニーチェ歌劇場、ヴェネツィア(イタリア)
2017年6月19日…オルフェオ
2017年6月20日…ウリッセの帰還
2017年6月25日…ポッペアの戴冠
収録時間:506分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・フランス語・ドイツ語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク×3
Blu-ray … 片面二層ディスク×3 1080i High Definition
2017年、モンテヴェルディ生誕450年周年にあたり、ガーディナーは「Monteverdi450」と銘打った一大プロジェクトを立ち上げ、2017年4月から10月にかけて世界16都市を巡る演奏ツアーを行いました。その中でもブリストル、ヴェネツィア、ザルツブルク、エジンバラ、ルツェルン、ベルリン、パリ、シカゴ、ニューヨークの9都市ではモンテヴェルディの歌劇3作のツィクルスを上演するという快挙を成し遂げました。この演奏ツアーを実現したガーディナーは、今でこそバッハやベートーヴェンの演奏で広く知られていますが、モンテヴェルディこそが彼の原点となる作曲家で、イングリッシュ・バロック・ソロイスツもその前身はモンテヴェルディOと名付けられています。
このBOXは、そのツアーの一環としてモンテヴェルディゆかりの地ヴェネツィアのフェニーチェ歌劇場で上演された2回目のツィクルスから収録された「オルフェオ」、「ウリッセの帰還」、「ポッペアの戴冠」の3作を合わせたもの。
愛妻エウリディーチェの死を嘆き、黄泉の国へと旅立つ主人公を描いた「オルフェオ」では、ヘンデルやハイドンの作品を中心にバロック歌手として注目を集めるクリスティアン・アダム、BCJへの客演で日本でもおなじみのハナ・ブラシコヴァの二人を筆頭に物語が展開します。
神々の思惑に翻弄されながら異国をさまよい妻ペネローペの待つ故郷へ向かう主人公の物語「ウリッセ」では前作「オルフェオ」でアポロを演じたフリオ・ザナージが題名役を歌い、使者役で存在感を発揮したリュシール・リシャルドがペネーロペを、またエウリディーチェを歌ったハナ・ブラシコヴァがミネルヴァ役を担当。ここでも圧倒的な存在感を示しています。
また、神話や聖書に拠らず、歴史から題材を得た史上初の歌劇と言われる「ポッペアの戴冠」は、モンテヴェルディ晩年の名作。現存する2種類の手稿本
には歌と低音部しか書かれておらず、演奏者の自由度が高い作品として知られています。前2作で重要な役回りを担当するハナ・ブラシコヴァがポッペアを歌い、強烈な存在感を放つ希代の悪女を堂々と歌い上げています。
3作品とも、実力派の歌手を揃えた声楽陣とイングリッシュ・バロック・ソロイスツによる素晴らしいステージがガーディナーの指揮のもとに繰り広げられます。

Audite
AU-97821(1CD)
ロカテッリ:6つの劇場風序曲と協奏曲集 Op.4より
劇場風序曲第1〜6番Op.4-1〜6
協奏曲 ニ長調 Op.4-7
協奏曲 ヘ長調 Op.4-8「コルノ・ダ・カッチャを模倣して」
チューリンゲン・バッハ・コレギウム
ゲルノット・ジュスムート(ソロ・ヴァイオリン 1&アンサンブル・リーダー)
ラファエル・ヘーヴィケ(ソロ・ヴァイオリン2)
フェルツィタス・ヴェームシュルテ&ユルゲン・カルヴァート(Vn)
アンドレアス・シュリク(Va)
ドグマル・シュペングラー=ジュスムート(Vc)
フリチョフ・マルティン・グラブナー(ヴィオロー ネ)
アクセル・ヴォルフ(バロック・リュート)
クリスティアン・シュテッツナー(Cemb)

録音:2022年7月4-6日/アルンシュタット、オーバーキルヒェ(跣足教会)
ピエトロ・ロカテッリは、「ヴァイオリン壊し」の異名を持つイタリア後期バロックのヴァイオリニスト、作曲家。ベルガモに生まれ、ローマで学んだ後、アムステルダ ムに定住し、活動しました。後のパガニーニにも大きな影響を与えたとされる超絶技巧を要する曲集『ヴァイオリンの技法』作品3で有名なロカテッリですが、作品 4「6つの劇場風序曲と協奏曲集」は劇場作品の序曲のような楽曲と合奏協奏曲で構成される作品集です。ソロ・コンチェルトではない弦楽合奏曲ですが、ソロ・ パートにはロカテッリならでは技巧的要素が満載。他の作曲家の序曲やシンフォニア、合奏協奏曲とは一線を画すロカテッリならではの曲集となっています。
演奏のチューリンゲン・バッハ・コレギウムは、シュターツカペレ・ベルリンやシュターツカペレ・ヴァイマールでコンサートマスターを務めたベテラン・ヴァイオリ ン奏者ゲルノット・ジュスムートが2018年に結成したピリオド楽器アンサンブル。名前通りバッハの作品を中心に、その周辺の技巧的作品を主なレパートリーとし ています。ここでは室内楽的編成でロカテッリの技巧的な合奏曲を切れ味鋭く演奏し、ジュスムートをはじめとする各演奏家の圧倒的技巧が楽しめる刺激的な演奏 を聴かせてくれます。古楽ファンにはおなじみの、リュートの名手アクセル・ヴォルフが参加している点にも注目です。 (Ki)

Paraty
PTY-2222129(1CD)
祝福されしこだま〜エリザベス一世とジェイムズ一世時代のリュート・ソング集
(1)フェッラボスコ二世:貧しいハーミットのように
(2)ロバート・ジョーンズ:横たわれ、悲しい心よ
(3)トマス・フォード:パヴァン、リチャード・ウェストン卿の喜び
(4)ロバート・ジョーンズ:もしこの肉体の中に
(5)マイケル・カヴェンディッシュ:この場所で彷徨う
(6)ダウランド:行け透き通った涙よ
(7)フェッラボスコ二世:2つのリラ、ヴィオールの為のアルメイン
(8)フォード:では私の愛をどう表したらよいか
(9)ダウランド:別れのファンタジー
(10)フェッラボスコ二世:2つのリラ、ヴィオールの為のコラント
(11)フィリップ・ロセター:ローラが微笑むとき
(12)ジョーンズ:あなたの愛を求めたら
(13)フォード:12年のうちに2度言った
(14)ダウランド:彼女は私の過ちを赦してくれるだろうか
(15)ジョーンズ:かつて私は残酷な心を救った
(16)フォード:パヴァン、メイン氏の選択
(17)キャンピオン:荒天に船出するな
(18)アンソニー・ホルボーン:楽園(全5部)
(19)ロビン・ファロ:功徳
ロビン・ファロ(指)
アンサンブル・プレ・ド・ヴォートル・オレイユ

録音:2021年9月/サン・シルヴァン教会(サン・ソーヴァン)
「あなたの耳のそばで」という意の団体名によるアンサンブル・プレ・ド・ヴォートル・オレイユ。2018年にエリザベス朝作品のCDをリリースしましたが、さ らなる探求で声楽にリュートのタブラチュアの付いた譜が数多く存在することを知り、当時出版された美しい作品を集め、イギリス・リュートソングの偉大な伝統を 味わせてくれます。ピッチは405Hz。 (Ki)

APARTE
AP-301(3CD)
ジョゼフ・マルシャン:ヴァイオリンと通奏低音の為のソナタを含む組曲
(1) 第1組曲イ調(全8曲)
(2) 第2組曲ロ調(全7曲)
(3) 第3組曲ハ調(全5曲)
(4) 第4組曲ニ調(全7曲)
(5) 第5組曲ホ調(全8曲)
(6) 第6組曲ヘ調(全9曲)
(7) 第2組曲ト調(全8曲)
{oh!}トリオ【マルティナ・パストゥシカ(Vn)、クシシュトフ・フィルルス(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、アンナ・フィルルス(チェンバロ、ポジティフ・オルガン)】

録音:2020年5月、2021年5月/聖ヤン教会(ミコウフ、ポーランド)
ジョゼフ・マルシャン(1673-17479は今日忘れられていますが、ルイ14世の音楽家のひとりで、シャペル・ロワイヤル、王の24のヴィオロンなどのバス・ヴィ オール奏者を務めました。教師としても名を馳せ、演奏家としては非常に特異なスタイルを持っていたとされます。
1707年作のヴァイオリンと通奏低音の為の7つの組曲はソナタを含み、恐るべき二重トリルを用いた最初のものとされます。イタリア的な様式ながら和声の 美しさやバス・パートの妙技など個性が光る18世紀初頭の宝石と申せましょう。
{oh!}トリオは1980年代生まれの3人のポーランドの演奏家が2012年に結成した古楽団体。知られざるマルシャンの作品を生き生きと蘇らせました

Da Vinci Classics
C-00675(1CD)
フランチェスコ・フェオ(1691-1761):カンタータ集 Vol.2
フランチェスコ・フェオ(1691-1761):ソプラノとアルトの為のカンタータ「最後の審判」
アルトのためカンタータ「地獄」
ソプラノの為のカンタータ「L’eternita」
ソプラノとアルトの為のカンタータ「Il fine dell’uomo」
ロレンツォ・トッツィ(ハープシコード&指揮)、
ローマバロッカ・アンサンブル、
ルチア・カサグランデ・ラフィ(S)、
エリザベッタ・パルッキ(A)

録音:2022年5月、スペッロ(イタリア)
ロンドンの大英図書館が所蔵するナポリの作曲家フランチェスコ・フェオ(1691-1761)の手書き作品集は、その質と量から17世紀におけるカンタータの道徳的・宗教的インスピレーションを知るうえで非常に貴重な資料と言えるでしょう。同時代の作曲家から称賛され「ヘンデルやバッハと比肩しうる」と言われたフェオの作品をイタリア古楽界の実力者たちの演奏でお楽しみいただけます。

Tactus
TC-520004(1CD)
ミケランジェロ・ガリレイ&ヴィンチェンツォ・ガリレイ:リュート作品集
ミケランジェロ・ガリレイ(1575-1631):コッレンテ、
 ヴォルタ、トッカータ、サルタレッロ 全15曲
ヴィンチェンツォ・ガリレイ(c.1520-1591):パッサメッツォ、
 ファンタジア・オッターヴァ、
 リチェルカーレ・テルツォ、
 ガイヤルド 他 全17曲
クリスティアン・ツィンマーマン(Lute)

録音:2021年10月
ドイツのクリスティアン・ツィンマーマンがルネサンス期の2種のコピー楽器によって奏でたミケランジェロ・ガリレイとヴィンチェンツォ・ガリレイによるリュート作品集。天文学者として有名なガリレオ・ガリレイの父ヴィンチェンツォと兄弟にあたるとミケランジェロの作品で、ヴィンチェンツォはハープシコードやヴィオラ・ダ・ガンバにも造詣が深く息子たちに音楽を教えました。ガリレオ・ガリレイの作品は残っていませんが、ミケランジェロはマクシミリアン1世に仕え宮廷のリュート奏者としても活躍しました。
Tactus
TC-710090(2CD)
ギモ・コレクションのマンドリンの為の写本
ジョバンニ・バッティスタ・ヘルバシオ(c.1725-c.1785):マンドリンと通奏低音の為のソナタ [ms. Gimo141]、マンドリンと通奏低音の為のソナタ [mss. Gimo142-143] 、マンドリンと通奏低音の為のソナタ [ms. Gimo144]、マンドリンと通奏低音の為のソナタ [mss. Gimo145-146]、マンドリン二重奏曲 [mss. Gimo147-148]、2本のマンドリンと通奏低音の為のシンフォニア [ms. Gimo149]、2つのマンドリンと通奏低音の為の三重奏曲 [ms. Gimo150]
エマヌエレ・バルベッラ(1718-1777):2本のマンドリンの為のソナタ [ms. Gimo12]、2本のマンドリンの為のン重奏曲 [ms. Gimo13]、2本のマンドリンの為のソナタ [ms. Gimo14]、2本のマンドリンの為のソナタ [mss. Gimo15-16-17]、2本のマンドリンと通奏低音の為のソナタ [mss. Gimo18-19]
ジョアッキーノ・コッキ(1715?-1804?):2つのマンドリンと通奏低音の為のシンフォニア
不詳:2つのマンドリンと通奏低音の為の三重奏曲
アンサンブル・ガランテリー・ア・プレトッリのソリストたち

録音:2017年10月-2019年5月
スウェーデンの小さな町ギモ(Gimo)の名にちなんで名付けられたコレクションからマンドリンの作品を収録しました。このコレクションは、1762年頃にジェーン・ルフェーブルによって集められたイタリアの作品集です。
Tactus
TC-661604(1CD)
トマソ・ペゴロッティ:和声の楽しみ オペラ・クヴィンタ

録音:2021年6月
公証人と音楽家を兼業していたトマソ・ペゴロッティ(1666-1749)による「和声の楽しみ」。父親から法律と音楽を学んだトマソ・ペゴロッティは両方の世界で活躍し、輝かしい経歴を持っていました。この作品は12のソナタによって構成されており、作曲者であるペゴロッティがヴァイオリンに関して技術的にもかなりの腕前を持っていたことが窺える作品となっています。

PAN CLASSICS
PC-10446(1CD)
マウリツィオ・カッツァーティ(1616-1678):モテットとソナタ集
Annuntio vobis. Per un SantO
ソナタ第3番「La Bulgarina」
Dulcis amor. Del Santissimo SacramentO
ソナタ第4番「La Calcagnina」
Stillae sparse per me.
La Calva. 独奏ヴァイオリンまたはヴァイオリンと通奏低音の為の
Regina coeli
ソナタ第12番「La Strozza」
Factum est praelium magnum
La Pezzola. 独奏ヴァイオリンまたはヴァイオリンと通奏低音の為の
Mortali, che fate?(Aria Morale)
ソナタ第6番「La Giralda」
Eja crudeles. Per un Martire, o per il SantissimO
マウロ・ボルジョーニ(Br)
セイチェント・ストラヴァガンテ
 ダヴィッド・ブルッティ(コルネット)
 ニコラ・ラモン(オルガン、チェンバロ、レガール)
 パオロ・ペッローネ(Vn;ゲスト参加)

録音:2021年4月15-18日/イタリア
マウリツィオ・カッツァーティ(1616-1678)は17世紀イタリアの作曲家の中では幾分マイナーな存在ですが、66巻もの印刷譜を出版し、あらゆるジャンル の楽曲を2000曲近く作曲したというかなりの多作家です。北イタリアのさまざまな宮廷や施設で働き、ボローニャのサン・ペトローニオ大聖堂で宮廷楽長を務め、 晩年はマントヴァのゴンザーガ公爵のもとで活躍しました。彼の音楽的功績は、偉大な革新者モンテヴェルディの一世代後に生まれ、そのスタイルを取り入れつつ 発展させたことと言えるでしょう。ゆえにモンテヴェルディの陰に隠れがちな存在ではありますが、イタリアの優れた歌手、ボルジョーニが彼の作品に特化したアル バムを発表したことで、その魅力を再発見できるようになりました。協奏的な処理が見られる独唱モテットを中心に、器楽曲もからめて構成した内容です。

PARNASSUS
PARARTS-002(3CD)
ポルポラ:歌劇『カルロ・イル・カルヴォ』

アダルジーゾ:フランコ・ファジョーリ(C.T) 
ロッタリオ:マックス・エマヌエル・ツェンチッチ(C.T)
ジルディッペ:ユリア・レージネヴァ(S)
ジュディッタ:スザンヌ・ジェローム(S)
アスパンド:ペトル・ネコラネク(T)
ベラルド:ブルーノ・デ・サ(ソプラニスタ)
エドゥイージェ:ニアン・ワン(Ms)
ジョルジュ・ペトルー(指)
アルモニア・アテネア

録音:2021年8月17-25日/アテネ・コンサートホール

1738年にローマを代表する歌劇ハウス、テアトロ・デッレ・ダーメで初演された3幕の歌劇。『カルロ・イル・カルヴォ』(Carlo il Calvo)とは「禿頭王」 のあだ名をもつシャルル2世(Charles le Chauve)のこと。1699年にヴェネツィアで書かれた台本をもとにしていて、これはA.スカルラッティやテレマンな ども音楽化した題材。ポルポラの楽譜はナポリ音楽院に保存されています。
中世初期、後継者争いによって王位継承者たるシャルル2世が誘拐され、崩壊していくヨーロッパを描いた本作。主人公はまだ子供であり、まわりの人物が物語 を歌っていきます。絶望に打ちひしがれる母親をはじめ、息を呑むような感情の爆発がまざまざと音楽化されていて、ポルポラの凄まじい作曲能力に驚かされま す。声楽も管弦楽も充実きわまりない圧倒的な響き。
復活蘇演は2020年9月3日、バイロイト・バロック・歌劇・フェスティヴァル。ファジョーリ、ツェンチッチ、レージネヴァら古楽界のスター歌手が一堂に会し た豪華な舞台で、20世紀のキューバに読み替えた演出やバロック歌劇界で気を吐くジョルジュ・ペトルーによる深く踏み込んだ演奏も相まって、大きな話題とな りました。PARNASSUS ARTSレーベルのアーティスティックディレクターも務めるカウンターテナー、マックス・エマヌエル・ツェンチッチがプロデューサーとし て演出にも関わっています。当CDはそのメンバーによる2021年の録音です。 (Ki)

arcantus
ARC-22032(1CD)
テレマン:2つの序曲と協奏曲
(1)序曲(組曲)ハ長調「水の音楽〜ハンブルクの潮の満干」TWV55:C3
(2)ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー、弦楽と通奏低音の為の協奏曲 イ短調TWV52:a1
(3)序曲(組曲)変ロ長調「諸国の人々」TWV55:B5
(1)-(3)ネストル・ファビアン・コルテス・ガルソン(指)、ブレーメン・バロックオーケストラ
(2)リナ・マンリケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、アンニカ・フォーグルーブ(リコーダー)

録音:2021年9月/ザンクト・パウリ教会(ブレーメン)
2015年にバロック・チェロ奏者ネストル・ファビアン・コルテス・ガルソンによって結成された気鋭のピリオド楽器オーケストラ、ブレーメン・バロックオーケ ストラのarcantusレーベルにおける2枚目のアルバムは、テレマンの2つの序曲と協奏曲。「水の音楽〜ハンブルクの潮の満干」はハンブルク市海軍鎮守府創設 100周年記念に作曲された、いわばテレマン版「水上の音楽」で、海にまつわる神話を題材とし、舞曲で構成された祝祭にふさわしい大規模な組曲です。もう一 つの組曲「諸国の人々」は、ドイツ、スウェーデン、デンマークといった各国の過去と現在の人々を舞曲で描写した楽曲で、諸民族の音楽を研究していたテレマンな らではの工夫に満ちた組曲です。ヴィオラ・ダ・ガンバとリコーダーという珍しい独奏楽器を持つ協奏曲イ短調は、多種多様な楽器の組み合わせのために作曲さ れたテレマンの協奏曲の中でも珍しい組み合わせの楽曲で、頻発する付点のリズムが曲に躍動感を与えている隠れた名曲です。
バロック時代の演奏における装飾を研究するネストル・ファビアン・コルテス・ガルソン率いるブレーメン・バロックオーケストラの即興性あふれる切れ味鋭いア ンサンブルは、テレマンの創意あふれる管弦楽法が聴ける3つの作品の魅力を存分に引き出しています。ヴィオラ・ダ・ガンバとリコーダーのソリストも抜群のテ クニックで演奏に花を添えています。

Channel Classics
CCS-45323(1CD)
『シュポア・コレクション Vol.2』 〜18世紀製オリジナル楽器によるフルート作品集
(1)ヴィヴァルディ:フルート協奏曲 ト短調 「夜」 Op.10-2RV439
(2)ルクレール:フルート協奏曲 ハ長調 Op.7-3
(3) C.P.E.バッハ: フルート協奏曲 ニ短調 Wq.22/H426
(4)クヴァンツ(1697-1773):フルート協奏曲 第182番ニ長調 「ポツダムのために」 QV5:4
(5)ミシェル・ブラヴェ(1700-1768):フルート協奏曲 イ短調
(6)ロバート・ウッドコック(1690-1728):協奏曲 第9番ホ短調
フロリレジウム(古楽器使用【アシュリー・ソロモン(各種フラウト・トラヴェルソ、指揮)、ボヤン・チチッチ、アリス・エヴァンズ(Vn)、ジェーン・ロジャーズ(Va)、ジェニファー・モーシェス(Vc)、ロージー・ムーン(Cb)、フレッド・ヤコブス(テオルボ)、ジュリアン・パーキンズ(Cemb)】

(1)使用楽器:トリノのパランカ1750年頃製作、黒檀製に象牙製リングと銀製キー
(2)使用楽器:パリのビゼ1735年頃製作、ボックスウッド製に象牙製リングと交換品の銀製キー
(3)使用楽器:ポツダム(ベルリン近郊)のキルスト1775年頃製作、黒檀製に象牙製リングと銀製キー
(4)使用楽器:製作者不詳(おそらくザクセン地方、ドレスデン近郊マイセン)、1790年頃製作、陶器製
(5)使用楽器:パリのT.ロー(ロット)1740年頃製作、ボックスウッド製に象牙製リングと装飾入り銀製キー
(6)使用楽器:ロンドンのステインズビー2世1740年頃製作、象牙製に銀製リングと銀製キー
※使用楽器は全てキー1個のモデル

録音:2022年6月 ミュジークハーフェン、ザールダム(オランダ)
収録時間:82分
2020年3月にリリースされた先行盤(CCS43020)に続く、フランクフルトの歴史的楽器蒐集家ペーター・シュポアの名高い古楽器コレクショ ンを使った新録音。イタリア、フランス、ドイツの重要作曲家たちがそれぞれ残した重要な作品と同時期、ないし各作曲家と何らかの関係を 見出せる楽器を6本厳選し、それらを使い分けてその真相に迫ります。ソナタを集めていたVol.1に対し、今回は6人の作曲家による協奏曲 6曲をチョイス。18世紀の一般的な演奏習慣を踏まえ、名手ボヤン・チチッチをはじめとする弦楽器奏者たちは通奏低音以外1パート1人 ずつで、俊才アシュリー・ソロモンの細やかな息遣いや闊達な吹奏を通じて真価を発揮する各銘器の味わいを殺さない、親密にして緊密な アンサンブルは企画の趣旨によく合致していると言ってよいでしょう。有名なヴィヴァルディ「夜」の緩急あざやかな解釈もさることながら、クヴァン ツ作品での艶やかなロココ情緒も、リコーダー作品で有名なウッドコックの協奏曲に聴く歌心の豊かさも、大西洋をまたいで活躍を続ける経 験豊かなアシュリー・ソロモンとフロリレジウムなればこその瑞々しさ。CHANNEL CLASSICSの創設者で名録音技師ジャレッド・サックスによ る丁寧なエンジニアリングも彼らの妙技を克明に伝えてくれています。知る人ぞ知るリコーダー奏者ワルター・ファン・ハウヴェ(フランス・ブリュッヘ ンの高弟にして盟友)がプロデューサーとして名を連ねているのも見逃せません。

En Phases
ENP-010(1CD)
エルコーレ・バルナベイ(1622-1687):さまざまな組み合わせの3声〔と通奏低音〕のためのマドリガーレ風コンチェルト集(1669年ローマ刊)
1. Fulminate, begli occhi ? Fortezza amorosa 愛の力: よく見て驚きなさい、美しい両眼よ
2. Gia minaccia Amore 今や脅かされているのです、恋の神に
3. Altro frutto non colsi この苦しみの果実だけでいい
4. Preludio プレリュード(アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ〔1615頃-1681頃〕作曲)…テオルボ独奏
5. Non piu strali, ben mio もう矢を射ないでください、愛しい人よ
6. Mal’accorti miei lumi 惑わされた我が両眼よ
7. Toccata トッカータ(ジャコモ・シモネッリ〔生歿年不詳、1668-1684頃活躍〕作曲)…チェンバロ独奏
8. Perch’io vado lontano 遠く離れたところに来てしまったので
9. Non merita pieta 情けは何の役にも立たない
10. Ti mascio, anima mia (Partita dolente)悲しい別れ: 我が魂にも等しい君から離れるのだ
11. Ardo tacito amante 私は黙々と恋心を募らせ、灼けるようです
12. Ch’io non v’ami ? あなたを愛していないか、ですって?
13. Passacaglie パッサカリア(ベルナルド・パスクィーニ〔1637-1710〕作曲)…チェンバロ独奏
14. Spira dagl’occhi suoi (belta crudele)
残酷な美しさ:愛する人が両眼で射かけてくる
15. Tal’hora intento in un bel volto 時折、その美しい顔に見入ってしまい
16. Ardo e taccio il mio mal 私はこの身を焦がしながら、痛みについては黙して語らず
17. Bei labbri, io non vi chieggio 麗しき唇よ、あなたにお願いすることはない
18. Preludio プレリュード(バルトロッティ作曲) …バロックギター独奏
19-20. Oh se poteste mai/Hor se ’l gelo de gl’anni 離れ離れでいること:あなたにはわかるまい
ファエンツァ(声楽&古楽器アンサンブル)【ミリアム・アルブー(S)、マリーヌ・フリブール(Ms)、アンドレア・ガヴァニン(C.T)、フランシスコ・マニャリク(T)、ヤン・イェルン・ブレーデヴォルト(Bs)】

アンヌ=ソフィー・エスレ(ディスカント&バス・ガンバ、リローネ)
エリアズ・エルスラン(バス・ガンバ)
マルコ・オルヴァ(テオルボ、アーチリュート、リローネ、バロックギター)
カロリーヌ・リエビ(バロックハープ)
中川亜由美(チェンバロ、オルガン)

録音:2022年8月31日-9月4日
 トレドエ=ロケモー聖母教会、ブルターニュ、フランス
17世紀前半にはフレスコバルディやベネヴォリ、世紀後半にはコレッリやA.スカルラッティが活躍したことで知られる「永遠の都」ローマ。その両 時代の間にこの芸術都市で活躍したベルナベイは、ルネサンス末期に一世を風靡したマドリガーレという曲種を17世紀半ばになお探求した 注目すべき作曲家の一人。パスクィーニやストラデッラなど多くの重要な音楽家たちを擁護した貴族フラヴィオ・オルシーニのもとで活躍を続け た末、1669年に発表された曲集には、多声音楽全盛の時代に流行ったこの曲種を用いながら、独唱芸術に重きを置く17世紀ならではの コンチェルト様式が存分に生かされた興味深い音作りが見られます。少し上の世代のマッツォッキやM.ロッシらのマドリガーレより後期バロック のカンタータに近く、官能的な詩句に品のある艶やかさをまとわせる旋律美は何とも魅力的。演奏は異才歌手=撥弦奏者マルコ・オルヴァを 中心に結成されたファエンツァ。初期のALPHAレーベルにも録音がある才人集団で、Hortusからほぼ同時に発売される彼らのフランス・バ ロック曲集とともに注目したいリリースと言えるでしょう。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-076(2CD)
NX-D09
カヴァッリ:歌劇「エジスト」 ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
エジスト…マルク・モイヨン(T)
クローリ…ソフィー・ユンカー(S)
リディオ…ザッカリー・ワイルダー(T)
クリメーヌ…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
夜の精、太陽神アポロ…ダヴィド・トリクー(T)
イッパルコ…ロマン・ボクレール(Br)
暁の女神アウローラ、恋の神アモーレ、時の精オーラ…ユジェニー・ルフェーヴル(S)
デーマ…ニコラス・スコット(T)
美の精ベレッツァ、フェードラ…マリールー・ジャカール(Ms)
エーロ、美の女神ヴェネレ…カロリーヌ・マング(Ms)
チネア、セメレ…ヴィクトワール・ビュネル(Ms)
ディドーネ、快楽の精ヴォルピア…フロリアーヌ・アスレール(Ms)
コンサートマスター…フィオーナ=エミリー・プパール(Vn)
オーケストラ編成…ヴァイオリン6、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロ、コントラバス、リローネ/キタリーノ持替、アーチリュート、テオルボ/バロックギター/コラシオーネ持替、トリプルハープ、チェンバロ/オルガン/スピネット、リコーダー、リコーダー/ドゥルツィアン持替、木管コルネット
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年3月17-22日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
20世紀末の結成以来、知られざる17世紀音楽の復権に大きな貢献を果たし続けてきたフランスの古楽アンサンブル、ル・ポエム・アルモ ニーク。彼らは太陽王ルイ14世の時代に古典的形式が整うより前の、17世紀初頭の知られざるフランス音楽の魅力を強く印象づけてきた 一方、その同時代に最初の大躍進を見せつつあったイタリア初期〜中期バロックの音楽にも驚くべき適性をみせ、ユニークな名演で世界中 を魅了し続けてきました。ここに全曲CD録音されたカヴァッリ「エジスト」は、彼らが主宰者デュメストルとともに10年来さまざまな歌手陣を招 いて披露してきた、いわば自家薬籠中のレパートリー!17世紀前半のヴェネツィアに君臨した巨匠モンテヴェルディの歿年にあたる1643 年、その門下で躍進を続け新たなイタリア・オペラの寵児となりつつあったカヴァッリが、その後も緊密な協力関係を続けることになるファウス ティーニの台本を得て披露した作品で、20世紀に現代楽器オーケストラで蘇演されていますが全曲録音は今回がおそらく初。恋心を錯綜 させる二人の男女を軸とした物語は、圧倒的な演技力を声に宿らせる異才モイヨン演じる主人公エジストの乱心をめぐって驚くべき展開を みせ、弦楽を中心に小規模ながら充実した編成のオーケストラが深い心理描写で歌手たちに応えるさまは圧巻。ドゥルツィアン(ファゴットの 前身)とリコーダーのジェレミー・パパセルジオー、3種の鍵盤を使いこなすエリザベート・ガイガーら経験豊かな名手の立ち回りも鮮やかです (弦には畑野達哉も参加)。ユンカー、ワイルダー、マングら欧州が注目する気鋭歌手たちの活躍も見事で、カヴァッリという作曲家の真価を 深く掘り下げた名演に仕上がっています。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-085(2CD)
NX-D09
デマレ:歌劇「シルセ」 シルセ…ヴェロニク・ジャンス(S)
ユリス…マティアス・ヴィダル(T)
エオリー…カロリーヌ・ミュテル(S)
ポリート、ファンタス…ロマン・ボクレール(Br)
エルフェノール…ニコラ・クルジャル(Bs)
愛の神アムール(アモーレ)…セシル・グランジェ(S)
ニンフ…マリー・ピコー(S)
商業神メルキュール(メルクリウス)…ピエール・デレ(T)
幸運な恋人、ギリシャ人、夢の精…マチュー・モンターニュ(オートコントル〔高音テノール〕)
水の神、神官の長、悪夢の神フェベトル(ポベトル)…アルノー・リシャール(バス=バリトン)
レ・ヌーヴォー・キャラクテール(声楽&古楽器オーケストラ)
コンサートマスター…クリストフ・ロベール(Vn)
セバスティアン・デラン(指)

録音:2022年1月10-12日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
太陽王ルイ14世に愛された王室音楽総監督リュリが1687年に不慮の事故で世を去った後、ラモーが1733年に「イッポリトとアリシ」で衝 撃のデビューを果たすまでの約半世紀、フランス・オペラの世界は決して不毛だったわけではありません。むしろその逆で、マラン・マレやカンプラ などが注目すべき傑作を折々に書く一方、他にも注目すべき作曲家が名を馳せていました。中でもデマレは、礼拝音楽で台頭した同世代 のド・ラランドと並ぶ実力で早くから注目され、1699年に恋人の父から糾弾されフランスを追われなければ、1歳違いのカンプラと並ぶ名声を 博したかもしれません。実際、国を追われた後もスペイン王室やロレーヌ公の宮廷で重用されていますが、オペラの全曲録音がなされるように なったのはようやく21世紀に入ってからのこと。まだフランスにいた1694年の「シルセ」はリュリ風の抒情悲劇の作法を完璧に使いこなした傑 作で、部分録音で垣間見えていた作品像の全貌に触れられる全曲録音は待望というほかありません。フランス宮廷流の大小ヴィオラ3パー トを含む5部編成の弦楽に撥弦・擦弦・鍵盤からなる通奏低音勢が多彩な音色を使い分け、各一対のトラヴェルソとバスーン(リコーダー持 替)、オーボエに打楽器も加わる総勢33人の器楽勢の傍ら、合唱も22人と充実した編成がフランス宮廷の豪奢な音楽生活を彷彿とさせ ます。ジャンス、ヴィダルといった有名歌手たちが深い情感表現に満ちたデマレの旋律を鮮やかに歌い上げ、俊才続々の器楽陣営を率いる 才人デランの指揮も実に精妙。今後デマレのさらなる再発見に期待が募る注目リリースです。

NAXOS/映像作品
2.110750(DVD)
NX-D03

NBD0161V(Bluray)
NX-D03
カヴァリエーリ:「魂と肉体の劇」 時 / 現世 / 地獄に落ちた魂…ゲオルク・ニグル(Br)
知性…シリル・オヴィティ(T)
魂…アネット・フリッチュ(S)
肉体…ダニエル・シュムッツハルト(Br)
忠告…フローリアン・ベッシュ(Bs-Br)
快楽…マルゲリータ・マリア・サラ(C.A)
快楽の仲間…ミハル・マルホルト(Br)
マトゥシュ・シムコ(T)
守護の天使…カルロ・ヴィストーリ(C.T)
現世の命 / 祝福された魂…ジュゼッピーナ・ブリデッリ(Ms)
ダンサーたち
アルノルト・シェーンベルクcho
イル・ジャルディーノ・アルモニコ(古楽器使用)
ジョヴァンニ・アントニーニ(指)
演出:ロバート・カーセン

収録:2021年9月27、29日 アン・デア・ウィーン劇場、ウィーン(オーストリア)
収録時間:101分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0(DVD/Blu-ray)
字幕:日本語・英語・ドイツ語・イタリア語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面単層ディスク
1080i High Definition
音楽史上、ルネサンスからバロックへの様式の転換期にあたる1600年、イタリアのローマでエミーリオ・デ・カヴァリエーリによる宗教的音楽劇「魂と肉体の劇」 が上演されました。この作品は、モノディ様式による独唱、合唱と器楽曲(シンフォニアや舞踊を伴った舞曲など)で構成される総合芸術として、時を置か ずイタリア各地で開花する「オペラ」の先駆けとなった最古の音楽劇の一つとして知られています。 本上演では、アネット・フリッチュ、シリル・オヴィティ、ゲオルク・ニグルら注目の歌手たち、ニコラウス・アーノンクールとの数々の共演でその声価を高めたアルノ ルト・シェーンベルク合唱団、ジョヴァンニ・アントニーニ率いる古楽アンサンブルの雄、イル・ジャルディーノ・アルモニコらによる生気に満ちた演唱と共に、鬼才 ロバート・カーセンのコンテンポラリーダンス・チームを縦横に駆使した演出が、この「魂と肉体の劇」に現代の観衆に強くアピールする新風をもたらしています。

Opus Arte OA-1361D(DVD)
NX-C10


OABD-7308D(Bluray)
NX-D09
ジョン・ブロウ(1649-1708):歌劇「ヴィーナスとアドニス」

パーセル:歌劇「ディドーとエネアス」
「ヴィーナスとアドニス」
ヴィーナス…イーダ・レンスレーヴ(S)
アドニス…ベルント・オーラ・ヴォルングホーレン(Br)
キューピッド…ルパート・エンティクナップ(C.T)
ヴィーナスの侍女、第2のミューズ…クリスティーナ・ラルソン・マルムベリ(S)
女羊飼い、第1のミューズ…リサ・カルリオト(S)
女羊飼い、第1の猟師、第3のミューズ…マティルダ・シデーン・シルヴェル(A)
羊飼い、第2の猟師…ミカエル・ステンベーク(T)
羊飼い、第3の猟師…アラシュ・アザルバッド(Bs)

「ディドーとエネアス」
ディドー…イーダ・レンスレーヴ(S)
エネアス…ベルント・オーラ・ヴォルングホーレン(Br)
妖婆…ルパート・エンティクナップ(C.T)
ベリンダ…クリスティーナ・ラルソン・マルムベリ(S)
第2の侍女、第1の魔女、廷臣…リサ・カルリオト(S)
第2の魔女、精霊、廷臣…マティルダ・シデーン・シルヴェル(A)
水夫、廷臣…ミカエル・ステンベーク(T)
廷臣…アラシュ・アザルバッド(Bs)

コンフィデンセン音楽祭O(古楽器使用)
(コンサートマスター:ペーター・スピシュスキー)
:ウーロフ・ボマン(指)
演出:ウィリアム・レルトン

収録:2021年8月18日コンフィデンセン(ウルリクスダール宮殿劇場)ソルナ(スウェーデン)
収録時間:映像97分
音声:英語
PCMステレオ2.0/DTS5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・英語・ドイツ語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面単層ディスク 1080i High Definition
ストックホルム郊外ソレナに18世紀中葉に設立された現存するスウェーデン最古のオペラ劇場「コンフィデンセン(ウルリクスダール宮殿劇場)」。その劇場を 会場として2021年夏に開催された第3回コンフィデンセン音楽祭のメイン・プログラム ? ジョン・ブロウ / ヘンリー・パーセルによるオペラ「ヴィーナスとアドニ ス」/「ディドーとエネアス」 ? の上演映像をお届けします。 初期英国バロックオペラを代表する「ディドーとエネアス」は、パーセルの音楽の師のひとりジョン・ブロウによる、「ヴィーナスとアドニス」(完全なスコアが現存す る最古の英国オペラ)に触発されてパーセルが創作した作品と言われています。本上演では、この師弟の2つのオペラをスウェーデン出身のソプラノ、イーダ・ レンスレーヴとノルウェー出身のバリトン、ベルント・オーラ・ヴォルングホーレンが題名役として優雅な時代衣装を身にまとい、共にギリシャ神話に題材を採っ たオペラをパーセルが師ブロウから何を受け継ぎ、いかにそれを発展深化させたのかを見事に演じ分けています。スウェーデン出身、2019年からコンフィデン セン音楽祭の音楽監督を務める古楽演奏界の新鋭ウーロフ・ボマンのタクトのもと、名ヴァイオリニスト、ペーター・スピシュスキー率いるオーケストラが、こぢん まりとしたロココ・スタイルの劇場を古雅な響きで満たしています。 (Ki)

ALPHA
ALPHA-926(2CD)
NX-D09
マレ:歌劇「アリアーヌとバッキュス」 アリアーヌ(アリアドネ)…ユディト・ファン・ヴァンロイ(S)
栄光の女神、コルシーヌ…マリー・ペルボスト(S)
舞踏の女神テルプシコル(テレプシコーレ)、 夢の精…エレーヌ・カルパンティエ(S)
セーヌ川のニンフ、女神ジュノン(ユノー)…ヴェロニク・ジャンス(S)
酒の神バッキュス(バッコス)、夢の精…マティアス・ヴィダル(T)
ジェラルド、大神ジュピテール(ユピテル)…マチュー・レクロアール(Br)
アドラスト…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
王、祭司長…トミスラフ・ラヴォワ(バス=バリトン)
牧神パン、水夫2、リカス、悪夢の神フォペトル(ポベトル)、ファンタス、アルクトン…フィリップ・エステーフ(Br)
恋の神、エリーズ、ナクソス島民…マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
喜びの精、王の従者、水夫1、商業神メルキュール(メルクリウス)…ダヴィド・トリクー(T)

ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho
ル・コンセール・スピリチュエル(声楽&古楽器アンサンブル)
 コンサートマスター…オリヴィエ・ブリアン(Vn)
 通奏低音…トゥルモー・ダーレン、マルジョレーヌ・カンボン(バス・ド・ヴィオロン)
  斎藤由香(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
  エリザベート・ガイガー(クラヴサン〔チェンバロ〕)
  マリー・ラングレ、ニコラ・ワティンヌ(テオルボ)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2022年4月 ピュトー・リュリ音楽院オーディトリアム(パリ郊外)
ヴィオールの比類ない名手として名を馳せたフランスの作曲家マラン・マレは、王室楽団でオペラ指揮者としても活躍。1693年にはジャン= バティスト・リュリの後を継いで王室音楽総監督の座にあった息子ルイ・リュリとの共作で「アルシード(エルキュールの勝利)」を作曲、その後 「アリアーヌとバッキュス」(1696)、「アルシオーヌ」(1706)、「セメレ」(1709)と3編の抒情悲劇を独力で完成させ、オペラを書く手腕でも高 く評価されました。18世紀以前のフランス・オペラ蘇演に確かな実績を持つ鬼才エルヴェ・ニケによる今回の録音は、リュリ亡き後の歌劇作 曲家としてマレが本格的な歩みを始めた重要作でありながら全曲録音に恵まれてこなかった「アリアーヌとバッキュス」の全貌に触れられる待 望のプロジェクト! ミノタウロス退治の恋人テーセウスに去られ悲しむアリアーヌに迫る酒神バッキュスの物語で、同じパリを沸かせたルーセル 作品を130年以上先取りする名品をダイナミックに聴かせます。抜群の心理表現を見せるヴェロニク・ジャンス、21世紀のフランス歌劇界で 圧倒的な活躍をみせるマティアス・ヴィダルと活躍目覚ましいファン・ヴァンロイによる表題役の鮮やかな歌唱もさることながら、二人のテオルボ 奏者が加わる豪華な通奏低音勢をはじめ、1700年頃のパリ・オペラ座の編成を忠実に再現したオーケストラも存在感抜群!ALPHAレー ベルの真骨頂ともいうべきバロックオペラ録音です。
ALPHA
ALPHA-949(1CD)
『無骨なる美しさ』 〜テレマンとバロック期の民衆伝承音楽〜
作者不詳(フランソワ・ラザレヴィチ編):ポーランドの二つの伝承曲
作者不詳(ラザレヴィチ編):ウフロヴェツ 写本(1730)とポーランドの伝承曲による組曲
 [表題なし] 〜Hungaricus(ハンガリー風)〜Hajdukujymy ハイドゥクを踊ろう (ジヴィエツ地方〔ポーランド〕の伝承歌)〜Hungaricus
テレマン:さまざまな序曲(管弦楽組曲)よりモスクワの人々(序曲 変ロ長調 TWV55:B5より)
 イェニチェリたち(序曲 ニ長調 TWV55:D17より)
 トルコの道化師(序曲 変ロ長調 TWV55:B8より)
 ハナー風ロンド(序曲 ホ長調 TWV55:E2より)
作者不詳(ラザレヴィチ編):ミサの後、教会から出ると(モラヴィア地方〔チェコ〕の伝承歌)
テレマン:フルート協奏曲 ニ長調 TWV 51:D2
作者不詳(ラザレヴィチ編):沈むよ、お陽さまが(クルピェ地方の伝承歌)
テレマン&作者不詳(ラザレヴィチ編&ユリエ・モラル編):組曲 ロ短調
 Allegro(テレマン:トリオ・ソナタ ロ短調 TWV42:h2より〔ラザレヴィチ編〕)
 Hora din caval(ルーマニアの伝承曲/モラル編)
 Adagio(テレマン:フルート協奏曲 ニ長調「ポーランド風協奏曲」TWV51:D3より〔ラザレヴィチ編〕)
 Presto(テレマン:トリオ・ソナタ ロ短調 TWV42:h2より〔モラル編〕)
作者不詳(ラザレヴィチ編):(モラヴィア地方の伝承曲)
作者不詳:ウフロヴェツ写本による組曲(ラザレヴィチ編)
 [表題なし]〜Olacs〜[表題なし]〜[表題なし]〜[表題なし]
テレマン:二つのハナーツ(ハナー地方の舞曲)〜ロストック写本による
テレマン:ハナスキー(ハナー地方の舞曲)〜序曲(管弦楽組曲)ホ長調 TWV55:E1より
テレマン&作者不詳(ラザレヴィチ&モラル編): Vivement(ロストック写本より)〜Braul Oltenesc(ルーマニアの伝承曲)
作者不詳(ヨセフ・ジャーク編):陽気に行こう、娘さん(スロヴァキアの伝承歌)
テレマン:二つのポロニエ(ポーランドの舞曲)
作者不詳:ウフロヴェツ写本による組曲(ラザレヴィチ編)
 [表題なし]〜Hungaricus(ハンガリー風)〜Hungaricus〜[表題なし]〜Olas
レ・ミュジシャン・デュ・サン=ジュリアン(古楽器使用)【フランソワ・ラザレヴィチ(フラウト・トラヴェルソ〔ロッテンブルフ・モデル〕、 フラウト・トラヴェルソ〔デンナー・モデル〕、ヴェルヴィエ〔ベルギー〕のバグパイプ、ヴェルヴィエのミュゼット〔鞴式バグパイプ〕、フルラ〔セルビアの縦笛〕、フルイエル〔ルーマニアの縦笛〕)】

 ヨセフ・ジャーク、アマリリ・ビレ(Vn)
 ディアーヌ・シュメラ(Va)
 エレーヌ・リショー(Vc、歌)
 クロエ・リュカ(コントラバス、ヴィオローネ)
 ユリエ・モラル(ツィンバロム〔ダルシマー〕)
 エリック・ベロック(アーチリュート、シターン)
 ピエール・リゴプロス(ザルブ〔イランの脚付太鼓〕、
  バラバン〔アゼルバイジャンのダブルリード管楽器〕、
  ダヴル〔トルコの両面太鼓〕、サガット〔フィンガーシンバル〕)

録音:2022年12月3-6日、ヴィルファヴァール農園(フランス)
今や世界的な活躍をみせるフランスの個性派フラウト・トラヴェルソ(バロックフルート)奏者フランソワ・ラザレヴィチは、世界各地の横笛や各 種の縦笛、バグパイプなども使いこなす名手。バロックの古典的レパートリーだけでなく、時に民俗音楽プレイヤーも加わる主宰団体レ・ミュジ シャン・ド・サン=ジュリアンでは中世音楽からフランス17〜19世紀の俗謡、アイルランド伝統音楽など広範な演目に柔軟な音楽性を発 揮。今回のアルバムでは、生前は同世代のバッハよりも高い人気を誇ったテレマンを扱いますが、いかにもラザレヴィチらしい変幻自在の選曲 に驚かされます。20代の頃ポーランドのシロンスク(シュレジエン)地方の貴族に仕えていた頃、スラヴ系の民俗音楽の豊かな「無骨なる美し さ」に衝撃を受け、後年も「彼らの即興に接していれば、僅か数週間で一生分のメロディに出会える」と語ったほど大きな影響を受けたテレマ ンの音楽から、民俗音楽との関連を示す作品を厳選、伝統音楽のフィールドで活躍する奏者を交えつつ、ツィンバロムやバラバン、フルラと いった民俗楽器を使って野趣あふれる演奏を繰り広げます。原盤解説でも「18世紀音楽の再現より、テレマン作品に潜むエネルギーを引き 出したかった」と語りながら、作品の本質を見失わず確かな筋道を探り当ててゆくセンスはさすが新時代の本格古楽器奏者と言えるでしょ う。民衆音楽から大きな影響を受けていたバロック期の宮廷音楽の素顔に、意外な角度から迫った1枚。ALPHA初期から活躍する技師 アリーヌ・ブロンディオの丁寧なエンジニアリングも魅力の一端を担っています。

SOMM
SOMMCD-0661(1CD)
NX-B04
音楽の花束
フレスコバルディ:音楽の花束(1635)よりオルガン・ミサ
ミサ曲第2番:In Festis duplicibus I (Cunctipotens Genitor Deus)
ミサ曲第1番:In Dominicis infra annum (Orbis factor)
ミサ曲第3番:In Festis Beatae Mariae Virginis I (Cum jubilo)
リチャード・レスター(Org)
グリーンウッド・コンソート(声楽アンサンブル)【イーデン・ビショップ(Br)、リアム・フリート(Br)、ジョシュア・トーマス=ノース(Br)、マーク・ベネット(バリトン&指揮)

録音:2022年7月29-30日
イギリスのチェンバロ・オルガン奏者で音楽学者リチャード・レスターは、スカルラッティのソナタ全集をはじめ80枚を超える録音があります。最近はフレスコバル ディの研究に取り組み、その独創性に焦点を当てた本も出版しました。このCDは彼がフレスコバルディの生誕440年と没後380年を記念してリリースするも の。選ばれた作品は「音楽の花束」です。 この作品は第1番「主日のミサ」、第2番「使徒のミサ」、第3番「聖母のミサ」からなり、それぞれの日にちなんだグレゴリオ聖歌の旋律に基づくミサ(キリエ) の部分と、前奏としてのトッカータ、後奏としてのトッカータ、カンツォーナ、カプリッチョ、リチェルカーレ等の鍵盤楽曲で構成されています。トッカータ等の部分に は即興性と名技が込められており、ローマのサン・ピエトロ大聖堂のオルガニストを務めていたフレスコバルディの腕前を彷彿させます。この録音ではキリエの部 分にバリトン歌手4人が参加しています。

Temperaments
TEM-316072(1CD)
ジャン=アダン・ギラン(1680頃-1739):『マニフィカトのための4つの組曲』(1706年パリ刊)
ジャン=アダン・ギラン(1680頃-1739):『マニフィカトのための4つの組曲』(全曲)(1706年パリ刊)
第1旋法によるマニフィカトのための組曲
第2旋法によるマニフィカトのための組曲
第3旋法によるマニフィカトのための組曲
第4旋法によるマニフィカトのための組曲
アンドレ・イゾワール(Org)
使用楽器:ジャン=ミシェル・ボワザール1714年建造
復元:エルフェール=エルマン製作所(1983)/ゲオルク・ヴェステンフェルダー(1990〜97)
レ・ドモワゼル・ド・サン・シール(女声合唱〔マニフィカト朗唱〕)
エマニュエル・マンドラン(指)

録音:1997年9月サン=ミシェル=アン=ティエラシュ修道院(フランス北東部ピカルディ地方)
※TEM316012の再発売
ドイツともイタリアとも違う独自の歴史をもつフランスのオルガン音楽。その演奏伝統は同国の音楽語法の発展に深く関与しており、クープラン 一族をはじめクラヴサン(Cemb)の音楽で知られる作曲家たちも皆オルガン奏者として研鑽を積んでいました。フランス・バロックのオルガン 芸術はまた、ドイツ語圏におけるオルガンの巨匠バッハも関心を寄せるなど国際的にも影響力を持ったほか、サン=サーンスやヴィドールら19 世紀フランスの作曲家たちが古楽を再発見してゆく上でも早くから楽譜校訂がなされ、交響楽派以降のオルガン音楽家たちもその至芸から 多くを学んでいます。 ここでとりあげられているギランはバッハと同世代で、1702年にドイツ語圏からフランスに来て、おそらくは上の世代の名匠マルシャンに師事し たと考えられているオルガン奏者にして作曲家。1706年に出版されたオルガン曲集はパリから遠く離れたベルリンで発見され、初版から200 年後の1906年にはギルマンの監修を経て再出版されています。20世紀末に18世紀当時の状態に修復された歴史的楽器を用いてその 音楽世界を読み解くのは、ヴィドールやデュプレに遡るフランス・オルガン演奏の伝統を引く名匠アンドレ・イゾワール(1935-2016)。礼拝で の使用を前提としていた作品本来の形にあわせ祈りの詩句の歌唱を織り交ぜながら、曲や声部ごとパイプを使い分けて音色の違いを生か し、独特のリズムで演奏がなされるフランス・バロック流のオルガン音楽の魅力を十全に伝えてくれる名演です。楽器修復直後にリリースされ 高く評価されたこの録音のカタログ復活は大いに歓迎すべきことと言ってよいでしょう。

CLAVES
50-3074(2CD)
フレスコバルディの手稿譜〜フレスコバルディ:鍵盤作品集
CD1(オルガンによる演奏)
オルガンのためのトッカータ(No.4)
カンツォーナ(No.11)
リチェルカーレ(No.12)
カッコウによるカプリッチョ(No.6)
トッカータ(No.48)
聖母マリアの祝日のために:アヴェ・マリス・ステラ(No.49)
聖体奉挙のためのトッカータ(No.99)
トッカータ(No.96)
リチェルカール・カンツォーナ(No.104)
カンツォーナ(No.105)
フレスコバルディのガリアルダ-ガリアルダ(No.85-86)
トッカータ第3旋法(No.143)
カンツォーナ・フレスコバルディ(No.147-148)
カンツォーナ第14番(ラ・サッバティーナ)(No.182)
カンツォーナ第15番(No.183)
トッカータ・ピヴァ第4番(No.190)
フレスコバルディの聖体奉挙(No.210)
ジローラモ・フレスコバルディのカンツォン(No.193)
CD2(チェンバロによる演奏)
トッカータ第6番(F.Baldi)(No.129)
コレンテ第4番(No.138)
トッカータ第3番(No.16)
バレット(No.60)
チャッコーナ
カンツォーナ第5番(No.22)
ルッジェーリ(No.107)
ラ・モニカ(No.108)
トッカータ-カンツォーナ(No.31)
ジローラモ・フレスコバルディ氏のトッカータ(No.87)
GerFB氏のコレンテ(No.88)
G.フレスコバルディ氏のファンタジー(No.208)
コレンテ(No.114)‐アッラマナ(No.115)
バレット(No.117)‐コレンテ(No.122)
トッカータ・ア・モ・デッラ・ロマネスカ(No.125)
ロマネスカ(No.206)
トッカータ(No.9)
フィオレンツァのアリアによるパルティータ(No.1)
アルペッジャータ(No.69)
パッサカリア(No.65)
※No.はエティエンヌ・ダルベレとコンスタンツェ・フレイによるエディション(2018年ミラノ、ゼルボーニ音楽出版)に基づく。
アドリアン・ピエス(オルガン&チェンバロ)
録音:(CD1)2021年7月/サン・フランソワ教会(ローザンヌ)、(CD2)2021年8月/聖ミヒャエル教会(ハイティンゲン)
オルガン:バルトロメオ・フォルメンテッリ製作(1990年製作、イタリアン・スタイル、ローザンヌ、サン・フランソワ教会)
チェンバロ:マティアス・グリーヴィッシュ製(2014年製作、17世紀イタリアン・モデル、バンメンタール)
スイスの若手鍵盤奏者、アドリアン・ピエスによるフレスコバルディの鍵盤作品集。音楽愛好家だったフラヴィオ・チーギ枢機卿(1631-1693)が収集した手 稿譜(現在はヴァチカン図書館内のFondo Chigiに所蔵されている)を中心とするいくつかの手稿譜から、トッカータ、カンツォーナ、リチェルカーレなど多様な フレスコバルディの作品が収録されています。カッコウの鳴き声を基にした愛らしい「カッコウによるカプリッチョ」、ミサの際に奏でられる荘厳な「聖体奉挙のた めのトッカータ」、スタイリッシュで颯爽とした「パッサカリア」など、鍵盤音楽の歴史に名を刻む天才フレスコバルディの様々な作品をオルガンとチェンバロで楽し める2枚組です。
演奏のアドリアン・ピエスは、バーゼル・スコラ・カントールムで、アンドレア・マルコン、ロレンツォ・ギエルミらに学んだスイスの鍵盤奏者。現在はローザンヌを 中心に演奏家、研究者として活躍し、シャヴァンヌ・プレ・ルナン教会のオルガニストを務めています。ここでは、インスピレーションあふれる即興と確かなテクニッ クでフレスコバルディの楽曲の魅力を伝えてくれます。すばらしいフレスコバルディ・アルバムの登場です! (Ki)

BIS
BISSA-2645(1SACD)
『愛の痛み』〜カウンターテナーによるオペラ・アリア集
(1)リッカルド・ブロスキ(c.1698-1756):アルバーチェのアリア「私は波間に揺れる船のようだ」(歌劇「アルタセルセ」第3幕第1場)
エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニ(1708-1775):(2)ティマンテのアリア「哀れな子」(歌劇「トラキアの王デモフォンテ」 第3幕第5場)
(3)ティマンテのアリア「嵐が弱まることを」(歌劇「トラキアの王デモフォンテ」 第1幕第4場)
ヘンデル:(4)歌劇「ジュリオ・チェザーレ」HWV 17序曲
(5)アルミレーナのアリア「私を泣かせてください」(歌劇「リナルド」 HWV7第2幕第4場)
(6)セルセのアリア「オンブラ・マイ・フ)」(歌劇「セルセ」 HWV40(第1幕第1場)
(7)セルセのアリア「恐るべき冥府の復讐の女神よ」(歌劇「セルセ」 HWV40第3幕第9場)
ヴィヴァルディ:(8)ファルナーチェのアリア「凍りついたようにあらゆる血管を」(歌劇「ファルナーチェ」 RV711第2幕第6場)
(9)オルランドのアリア「真っ暗な深淵の世界に」(歌劇「怒れるオルランド」 RV728第1幕第5場)
(10)ルッジェーロのアリア「あなただけに、僕の愛しい人)」(歌劇「怒れるオルランド」 RV728第1幕第12場)
(11)シンフォニア(歌劇「狂えるファルナーチェ」 RV728第1幕)
(12)ロターリオのアリア「私の胸の中に」(歌劇「ティエテベルガ」 RV737第2幕第13場)
ニコロ・バルドゥッチ(カウンターテナー)
バロック・アカデミー・ヨーテボリ・シンフォニー
ダン・ラウリン(リコーダー、指揮)、ソル・ドヒョ(テオルボ、バロックギター)、アンナ・パラディソ(Cemb)

録音:2022年3月7-11日/ヨンセレード教会、パーティレ(スウェーデン)
ナポリのカンタータとアリアを集めた『カストラポリス』(BIS SA-2585)のソリストに起用されたニコロ・バルドゥッチ(1999-)の アルバム第2作。カストラート歌手ファリネッリの兄、リッカルド・ブロスキの歌劇「アルタセルセ」のアリア、エジーディオ・ロムアルド・ドゥーニのロンドンで上演 された歌劇「トラキアの王デモフォンテ」からティマンテの2曲のアリア、ヘンデルの歌劇「セルセ」の「オンブラ・マイ・フ」の名で親しまれているアリア、失われ た歌劇「ティエテベルガ」 のためにヴィヴァルディが書いたロターリオのアリア「私の胸の中に」などに序曲とシンフォニアを加えたプログラムを歌っています。「楽 しそうにのびのびと歌う」(「Opera Wire」)。前作を企画したダン・ラウリンの指揮。「バロック・アカデミー・ヨーテボリ・シンフォニー」は、2008年ごろに設 立された約20人の古楽器アンサンブルです。 (Ki)

EVIDENCE
EVCD-094(1CD)
ここで止まって〜小アジアのスケッチ
(1) ヴェラール(カヴァフィス詩):ここで止まって
(2) ヴェラール(カヴァフィス詩):1903年の日々
(3) キプロス伝承歌:聖母の嘆き
(4) ヒカスカル旋法による即興
(5) スミルナ伝承曲:鎖より重い
(6) キュルディ旋法による即興
(7) セファルディ民謡:私は許嫁を送った
(8) ペロポネソス伝承曲:今、鳥たちが
(9) ヴェラール(カヴァフィス詩):1903年12月
(10) ニクリズ旋法による即興
(11) セファルディ民謡::あなたの扉を開けて
(12) ニクリズ・シルト
オウレリア・ラムプロポウロウ(サントゥール)、
ドミニク・ヴェラール(歌、ウード)

録音:2022年5月12-16日 サン=フロラン教会
ギリシャ近代を代表する詩人コンスタンディノス・カヴァフィス(1863-1933)が提唱した小アジアに放浪の終止符を求めた集団を歌った詩にドミニク・ヴェ ラールが付曲したものと、各都市に伝わる歌を集めた東方的味わいの濃いアルバム。ギリシャやトルコの旋法に基づくサントゥール(ツィンバロン風楽器)の即興が はさまれています。アンサンブル・ジル・ヴァンショワのリーダーでもあるドミニク・ヴェラールの多才ぶりに感心させられます。

Audax Records
ADX-11206(1CD)
A.スカルラッティ:室内カンタータ集
アレグロ ト短調/Al fin m’ucciderete H 21(1705)*/Sarei troppo felice H 631(1702)*/トッカータ イ短調/Sento nel core certo dolore H 655*/メヌエット ホ短調/La Lezione di Musica H 547*/トッカータ第3番 ト短調/La dove a Mergellina H 356 (1725)
ルシール・リシャルドー(Ms)、
フィリップ・グリスヴァール(ハープシコード)

録音:2022年3月13日-16日、フランス
*=世界初録音
南チロルから世界へと羽ばたいた"21世紀世代"のバロック・ヴァイオリニスト、ヨハネス・プラムゾーラーの自主レーベル、Audax Records。アンサンブル・ディドロの中核メンバーであり、ヨハネス・プラムゾーラーの伴奏としても多くの演奏&レコーディングで共演しているフランスのハープシコード奏者、フィリップ・グリスヴァールの新録音は、シチリア出身でナポリ楽派の礎を築いた偉大な作曲家、アレッサンドロ・スカルラッティ(ドメニコ・スカルラッティの父)の鍵盤作品と、殆どが世界初録音となる、これまであまり知られていなかったA.スカルラッティの室内カンタータ(カンタータ・ダ・カメラ)を特集しています。優美で悲哀に満ちたレチタティーヴォとアリアを歌うのは、ジョン・エリオット・ガーディナーを始めとする多くのオペラ録音等に参加してきたフランスのメゾ、ルシール・リシャルドー。詩人や作曲家の才能を発揮するための好機として発展した、限りなく洗練され苦悩に満ちた芸術を、一流のパフォーマンスで発掘してゆきます。

Christophorus
CHR-77470(1CD)
音楽は最高の慰め〜トランペットとオルガンのためのバロック作品集
アルビノーニ:協奏曲変ホ長調(原曲:ヴァイオリン)
バッハ:シューブラー・コラール集より 第1曲 「目覚めよと、われらに呼ばわる物見らの声」 BWV.645
テレマン:忠実な音楽の詩より ソナタ ト短調 TWV.41:a3(原曲:オーボエ)
バッハ
:カンタータ第137番 「主よ頌めまつれ、力強き栄光の王をば」 BWV.137
タルティーニ:協奏曲ニ長調(原曲:ヴァイオリン)
バッハ:カンタータ第147番より コラール 「主よ人の望みの喜びよ」
トレッリ:協奏曲ニ長調
ヴィヴァルディ:協奏曲へ長調 RV.20(原曲:ヴァイオリン)
リュリ:叙情悲劇 「テセウス」 より 行進曲
ヨアヒム・K.シェーファー(Tp)、
マティアス・アイゼンベルク(オルガン/クリスティアン・フリードリヒ・ゲッテル1867年製)

録音:2022年10月10日-12日、聖ニコライ教会(グリューンリヒテンベルク、ドイツ)
「トランペット・アンサンブル・ヨアヒム・シェーファー」など、数々のアンサンブルを創設しリーダーを務めてきたドレスデンのトランペットの名手、ヨアヒム・(カール・)シェーファー。ルターの言葉である「音楽は最高の慰め」をタイトルに表した新たなアルバムは、テレマン、アルビノーニ、ヴィヴァルディといったバロック期の協奏曲と、バッハのコラール作品をカップリング。
レコーディングが行われたグリューンリヒテンベルクの教会に佇む、1867年にクリスティアン・フリードリヒ・ゲッテルが製作したロマンティック・オルガンは、美しさだけでなく、コンサートピッチ a=432ヘルツのロマン派調律が施された歴史的価値のある楽器でもあります。シェーファーは、19世紀に一般的であったこの低い調律を支持しており、彼の考えでは、「この調律は自然界に見られる自然な振動状態に近く、楽器がとても良いサウンドで響き、聴衆の耳に心地良い感覚を与えることができます。」と語ります。
本アルバムでは、シェーファーの奏でる輝かしいトランペットの音色と、歴史的オルガンが織り成す美しいハーモニーが、当時の聴衆が耳にしたであろう素晴らしき音楽の世界へと誘います。

Signum Classics
SIGCD-740(1CD)
スカルラッティ:ディキシット・ドミヌス&ミサ曲
フランチェスコ・スカルラッティ:16声と器楽のためのディキシット・ドミヌス(Tono 8)
16声と器楽のためのミサ曲(Toni 2)
アルモニコ・コンソート、
クリストファー・モンクス(指)

録音:2022年2月1日-2日、オール・ハロウズ教会(イギリス)
タリスの「40声のモテット」とストリッジョの「60声のミサ曲」を組み合わせたアルバム、「スーパーサイズ・ポリフォニー」(SIGCD--- 560)で大きな注目を集めたアンサンブル、アルモニコ・コンソート。Signum Classicsとの10枚目となるクリストファー・モンクス指揮のフランチェスコ・スカルラッティの声楽曲集は、この録音のためにF.スカルラッティの自筆譜のみから作成された特別な楽譜を使用しています。
2001年にクリストファー・モンクスを中心にルネサンスからバロックまでの音楽に情熱を持った学生たちによって生まれたアルモニコ・コンソートは、聴衆からその魅力的で想像力の富んだ解釈によって高い評価を得てきました。特に指揮者であるクリストファー・モンクスは後期ルネサンスからバロックの音楽に非常に精通しており、この演奏でも手腕を発揮しています。

Etcetra
KTC-1787(1CD)
コレッリ&ヘンデル:ローマでの出逢い〜オーボエ、弦楽とクラヴィオルガヌム
ヘンデル:オーボエ協奏曲 ト短調 HWV287
コレッリ:トリオ・ソナタ へ短調 Op.3-9
ヘンデル
:ハープシコード組曲 ニ短調 HWV428より前奏曲、アレグロ、アルマンド、クーラント
サンティアゴ・デ・ムルシア(1673-1739):イタリアのフォリア Saldivar Codex n4よりデスパシオ(抜粋)
コレッリ:ラ・フォリア Op.5-12、
 オーボエとヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 WoO4
ヘンデル
:オラトリオ「時と悟りの勝利」 HWV46aよりソナタ(序曲)のアダージョ、
 ハープシコード組曲 ニ短調 HWV428よりエアとドゥーブル、
 トリオ・ソナタ ト短調 HWV390よりアダージョ、アレグロ
コレッリ:トリオ・ソナタ ニ短調 Op.1-11
ヘンデル:オーボエ協奏曲「カッコウとナイチンゲール」 ヘ長調 HWV295
ムジカ・グローリア、
ベニャミーノ・パガニーニ(クラヴィオルガヌム&指揮)、
ネール・ヴェルトメン(オーボエ&指揮)

録音:2022年3月(ベルギー、ルーヴェン)
ベニャミーノ・パガニーニ(1994-)とネール・ヴェルトメン(1999-)が率いる若くて活気のある古楽アンサンブル、ムジカ・グローリア!
よく知られた名曲はもちろん、あまり知られていない曲も遠慮なく取り上げ、愛情深い演奏で聴かせるムジカ・グローリア、『ファッシュのオーボエ』『バッハ一族とフルート』に続く最新盤は、ヘンデルとコレッリの邂逅にインスピレーションを得た1枚! 1707〜1708年のヘンデルのローマ滞在中、オラトリオ「時と悟りの勝利」の初演にはコレッリが参加しており、両者の間で序曲に関する論争が起こったとされています。1999年生まれのネーレ・ヴェルトメンは、5歳の時にすでに古楽に魅了されていたといい、マルセル・ポンセールのクラスでバロック・オーボエの修士号を最優秀の成績で取得した気鋭の奏者。歴史的楽器を用い、歴史的情報に基づく色彩豊かで生き生きとした演奏をお楽しみください。

Aeolus
AE-10204(1CD)
デュパール:ハープシコードのための組曲全集
フランソワ・デュパール(シャルル・デュパール)(1676-1751):組曲第3番ロ短調/組曲第2番ニ長調/組曲第1番イ長調/組曲第4番ホ短調/組曲第5番ヘ長調/組曲第6番ヘ短調/組曲第7番ニ長調*/組曲第8番ニ短調*
ボブ・ファン・アスペレン(ハープシコード)

録音:2020年
*世界初録音
大バッハが感銘を受け楽譜を自ら筆写し、自身の創作にも取り入れたことなどで知られているフランソワ・デュパール(シャルル・デュパール)(1676-1751)の「クラヴサンのための6つの組曲」に、新たに発見、改訂された2つの組曲を加えた完全な全集が登場!
オランダ古楽界の大家ボブ・ファン・アスペレンは、デュパールの生涯やこの組曲の成り立ちと演奏法についての洞察、また大バッハらへ与えた影響について改めて研究し、多くの情報を加えて再定義した論文を2021年に発表。この研究の過程で新たに発見された2つの組曲がアスペレンの手によって改訂され、ここに初めて録音されました。作曲から3世紀もの時を経て初めて日の目を見るデュパールの知られざる遺産、古楽ファンは必聴です。
レオンハルトの高弟である世界的チェンバリスト、ボブ・ファン・アスペレンは、これまでAeolusレーベルに「バッハの鍵盤作品集」、「フローベルガー・エディション」、「ルイ・クープラン・エディション」など多くの重要なレコーディング・プロジェクトを世に贈り出しています。

NovAntiqua Records
NA-73(1CD)
ストゥルース
フィリップ・グラス:「グラス・ワークス」よりオープニング(1982)
カルロ・ジェズアルド:Tristis Est Anima Mea(1611)
タルクィニオ・メールラ:Canzonetta spirituale sopra alla nanna(1638)
バッハ:6声のリチェルカーレ(1747)
ゲオルギイ・イヴァノヴィチ・グルジエフ&トーマス・ド・ハルトマン:Kurd Shepherd Melody(1926)
マラン・マレ:聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘の音(1723)
クリストファー・タイ:3声のシット・ファスト(c.1550)、6声のイン・ノミネ(c.1550)
バッハ
:Stirb in mir, Welt, und alle deine Liebe(1738)
パーセル:歌劇「妖精の女王」よりシャコンヌ(中国の男女のための踊り)(1692)
アンナ・フセク(リコーダー、バロック・ヴァイオリン、ゴシック・ベル)、
アンサンブル・アルラウネ

録音:2018年8月
バロック時代の「多才な音楽家」の伝統を受け継ぎ、「リコーダーのロックスター」などとも評されるアンナ・フセクとアンサンブル・アルラウネによる、実験的な性格を持ったコンサート・インスタレーション『STRUES』を音盤化した1枚。「strues」はラテン語で蓄積、層、重なりなどを意味し、「築く、組み立てる」という動詞の未来形でもあります。16世紀、17世紀、18世紀、20世紀の4つの世紀の音楽が、最も複雑なポリフォニック形式からオスティナートまで、反復と組み合わせをキーに構造的に重ねられてゆきます。各作品は弦楽をメインとする古楽器のためにアレンジされており、越境古楽がお好きな方には特におすすめです。
NovAntiqua Records
NA-75(1CD)
ルネサンス時代のイタリアとフランスのリュート音楽
ジャン=ポール・パラダン、ピエール・サンドラン、クローダン・ド・セルミジ、ギヨーム・ド・モルレー、フランチェスコ・ダ・ミラノらの作品(全26曲)
マルコ・ペシ(Lute)

録音:2020年8月
フランドルのピエール・ファレーズ(c.1510-c.1575)は、イタリアとフランスのリュート作曲家の作品を集めた大規模なリュート音楽のアンソロジーを編集し出版した最初の人物として知られています。1568年に出版された『Luculentum』には163曲のリュート曲が収録されており、本作ではそこから26曲、幻想曲、舞曲、有名な声楽曲のリュート編曲など、ルネサンス期のリュート音楽のあらゆるジャンルを選び収録しています。
NovAntiqua Records
NA-76(1CD)
中世の歌と器楽
コノン・ド・ベテュヌ、モニオ・ダラス、フランチェスコ・ランディーニ、ニコロ・ダ・ペルージャ、ギヨーム・デュファイ、ヨハンネス・チコーニアらの作品(全17曲)
エネア・ソリーニ(歌、打楽器、指揮)ほか

録音:2019年3月〜10月
12世紀から15世紀のさまざまな音楽を幅広く集め、古の時代の明確なイメージを伝えてくれる1枚。エネア・ソリーニ(1975-)は音楽のみならず美術も学び、歌手だけでなく楽器奏者、レコード製作者としても活躍するマルチなアーティストです。
NovAntiqua Records
NA-82(1CD)
17世紀ボローニャのバスのためのカンタータ集
ジョヴァンニ・パオロ・コロンナ、アッティリオ・アリオスティ、ジャコモ・アントニオ・ペルティ、フランチェスコ・アントニオ・ピストッキの作品
ガブリエーレ・ロンバルディ(Br)、
トーマス・キジョーニ(Vc)、
エリザ・ラ・マルカ(テオルボ)、
ミケーレ・ヴァンネッリ(ハープシコード)

録音:2020年7月(イタリア、ボローニャ)
17〜18世紀の音楽の発展にとって重要な中心地であったイタリア・ボローニャに縁のある低声と通奏低音のためのカンタータを集めた1枚。チェロのための独奏曲の最も古い例のひとつであるドメニコ・ガブリエッリの無伴奏チェロ・ソナタも収録されています。歌唱はリナルド・アレッサンドリーニのコンチェルト・イタリアーノや、クラウディオ・カヴィーナのラ・ヴェネクシアーナをはじめとする名門古楽アンサンブルとの共演も多いガブリエーレ・ロンバルディです。

ACCENTUS Music
ACC-30598CD(1CD)
ライプツィヒ1723〜テレマン、グラウプナー、バッハ
バッハ:カンタータ「イェス 十二弟子呼びて言いたもう」BWV 22
グラウプナー:カンタータ「主を讃えよ、すべての異邦人よ」GWV 113/23b
テレマン:カンタータ「Ich mus auf den Bergen weinen und heulen」TVWV 1:591
グラウプナー:カンタータ「主よ、深き淵より、われ汝を呼ぶ」 GWV 1113/23a
バッハ:カンタータ「汝まことの神にしてダヴィデの子」 BWV23
Albgut(声楽アンサンブル)
[イザベル・シッケタンツ(S)ステファン・クナス(A)フローリアン ジーヴァース (T)マルティン・シッケタンツ(Bs)]
カペラ・イェネンシス(バロック・アン サンブ ル )

録音:2022年7月、パウル・ゲルハルト教会、ライプツィヒ
12世紀の聖トーマス教会完成とともに創設された、聖トーマス教会少年合唱団。バッハは1723年から1750年まで、この教会のトーマスカントル(音楽監督) を務めていました。その伝統は現在も引き継がれ、現在は第18代目のトーマスカントルとしてアンドレアス・ライズがその任に就いています。バッハが活躍してい た18世紀当時、ドイツの音楽家にとってはこの「トーマスカントル」の地位は名誉ある重要な仕事であり、1722年にヨハン・クーナウが死去すると、後任として 多くの候補者が現れました。市の評議会が第1候補として名前をあげたのは、当時ハンブルクの5つの主要教会の音楽監督を務めていたテレマンでした。しかし待 遇面で折り合いがつかず断念。次にダルムシュタットの宮廷楽長で、クーナウの弟子であったグラウプナーを当たったものの、雇い主のヘッセン公が辞任を許可せ ずまたもや断念。ライプツィヒ市は最終的にバッハを選ばざるを得なくなり、1723年バッハはトーマスカントルに就任し、1750年に亡くなるまでその任を務めあ げました。 本盤は、バッハがカントル採用試験の際に提出したカンタータ23番や、初録音のグラウプナーのカンタータ「主を讃えよ、すべての異邦人よ」、そしてテレマンの未 出版のカンタータ「Ich mus auf den Bergen weinen und heulen」など、聴き手が審査員になったつもりで、この歴史的なこの任命を巡る争いを聴くこ とができます。演奏は気鋭の歌手4人による声楽アンサンブルAlbgutと、若きバロック・アンサンブル、カペラ・イェネンシスの初共演です。 (Ki)
ACCENTUS Music
ACC-30620C(1CD)
キリスト復活の物語
シュッツ:『善良な羊飼いはよみがえられた』 SWV469
 『復活祭オラトリオ(イエス・キリスト復活の物語)』 SWV50
ミヒャエル・プレトリウス:『ハレルヤ、キリストはよみがえり』
アンサンブル・ポリハルモニーク

録音:2022年2月、ベルリン、イエス・キリスト教会
KING INTERNATIONAL U-21ハインリヒ・シュッツ(1585-1672)は、初期バロックを代表する作曲家。バッハが1685年生まれなので、ちょうど100年前の生まれの人。ガブリエリやモン テヴェルディらイタリア・バロックの華やかな要素と、後期フランドル楽派の対位法的な技巧を、ドイツの教会音楽の伝統の中に巧みに結合させた作風で、プロテス タントの精神を音楽に投影したという意味では、バッハと並び、歴史上最高の音楽家と呼べる存在と言えるでしょう。 本盤に収録されている、最初のオラトリオとされる『イエス・キリストの復活の物語(復活祭オラトリオ)』は、1623年にドレスデン王宮の礼拝堂で復活節第3主 日晩課に初演されました。シュッツの初期の代表作でヴェネツィア留学での複合唱様式体得を生かし、洗練された手法で復活という神秘性を音楽で表現していま す。演奏は、ルネサンスとバロック時代の音楽を専門に、歴史的作品の演奏を行っているアンサンブル・ポリハルモニーク。シュッツとプレトリウスのイースターを祝 う作品集です。 (Ki)

H.M.F
HMN-916119(1CD)
ルイーズ夫人のための音楽
■[田舎の音楽]
ジョン・フロウ(1649-1708):羊飼いよ、みなおいで Come shepherds all (『ヴィーナスとアドニス』より)
リュリ:漁師のためのエア (アルチェステ、またはアルシードの勝利 LWV 50より)
 歌え、踊れQue l’on chante (アティス LWV 53より)
 ブレー(ヴェイルサイユの王の大喜遊曲 LWV 38)
マシュー・ロック (ca. 1621-1677):Lilk (テンペストより)
パーセル:それゆえ、あなたのつまらない神と Hence with your trifling deity (アテネのタイモン Z. 632)
作曲者不詳:おろかな英国 De foolish English nation (The Comical History of Don Quixote)
ジョン・ブロウ:この甘い木立で In these sweet groves (Venus and Adonis)
■[ソフトな音楽]
リュリ:みな、眠れDormons, dormons tous (アティス LWV 53)
パーセル:エア (Bonduca, or the British Heroine, Z. 574)
ホーンパイプHornpipe (Bonduca, or The British Heroine, Z. 574) 1’21
準備せよ、祭りが始まる Prepare, the rites begin (テオドシウス、または愛の力 Z. 606より)
 見よ、夜だってそこに (妖精の女王 Z. 629より) EL 4’27
サムエル・エイクロイド(1684-1706頃に活躍):フランスから最近来たにやけた男が歌う新しい歌(A new song sung by a fop newly come from France)
ジョン・ブロウ:フルートのための楽曲(ヴィーナスとアドニス)
ヴィーナス!アドニス!(ヴィーナスとアドニス)
マシュー・ロック:ヴィーナス降臨のためのシンフォニー(Symphony for the descending of Venus)(プシケ)
■[狂気の歌]
リュリ:この芝のなんという緑!Que ces gazons sont verts ! (Roland, LWV 65)
マシュー・ロック:悪魔と怒りの歌(プシケより)
リュリ:黄泉の国の祭りのエアAir de la fete infernale (Alceste ou le Triomphe d’Alcide, LWV 50)
作曲者不詳:暗黒の牢獄からForth from the dark and dismal cell
ジョン・エックレス(1668-1735):Oh! Take him gently from the pile (Cyrus the Great, or The Tragedy of Love)
■[嘆きの歌]
リュリ:天よ!私をつつむ空気 Ciel ! Quelle vapeur m’environne (Atys, LWV 53)
ルシル・テシエ(リコーダー、バロック・オーボエ 、バロック・バスーン)、
アンサンブル・レヴィアタン

録音:2021年9月、サル・コルトー、パリ
フランスのマルチ楽器奏者、ルシル・テシエ率いるアンサンブル・レヴィアタン(リヴァイアサン、海中の聖獣のこと)による、17世紀英国の音楽集。17世紀英国、 といってもその切り口は実に興味深いもので、当時活躍した女スパイゆかりの音楽集となっています。
ルイーズ・ド・ペナンコエ・ド・ケルアイユ(ルイーズ夫人)は、ルイ14世に雇われたスパイで、チャールズ2世(1630-1685、王位1660-1685)の愛人 でした。最初はチャールズ2世の王妃キャサリン付きの女官としてロンドンの宮廷に入り込み、チャールズ2世の寵愛を受け、ポーツマス侯爵夫人という称号まで 与えられます。彼女はルイ14世から、太陽王の影響がイギリスにも及ぶように命じられていました。チャールズ2世はたいへんなフランス趣味で、王位につくと、 ルイ14世にならって弦楽合奏団(24のヴァイオリン)を結成、宮廷や礼拝堂では、フランス人や、フランスで学んだ音楽家を雇いました。また、英国の音楽家をフ ランスに派遣したりと、フランスの芸術を英国に取り入れようとしました。そんな中ルイーズも、独自の音楽施設まで与えられ、そこでリュリのオペラからの楽曲を 楽員に演奏させるなど様々な催しを開いていました。チャールズ2世はこれを喜びましたが、彼がますますフランス趣味になることはルイ14世の意図と合致。ルイー ズは非常にうまく立ち回りながら、文化的・政治的な目的を遂行したのです。さらに音楽家たちも、チャールズ2世宮廷の動向を、フランスに報告したりもしてい たようです。しかしそんなルイーズのおかげもあって、英国でも豊かで華麗、かつ表現力豊かなレパートリーが生み出されることとなったのです。こうした視点から プログラムされた音楽を聴いていると、海峡で隔てられた国同士の音楽でも、器楽の編成や書法などに似た部分が感じられ、大変興味深いです。
ルシル・テシエはパリ国立高等音楽院やバーゼル音楽院などで学んだ、様々な楽器を演奏でき、さらに歌も歌えるプレイヤー。コンセール・スピリチュエル、レザー ル・フロリサンなどでも活躍しています。さらに、2016年からソルボンヌ大学で「英国の舞台音楽の狂気」について研究もしています。2015年、アンサンブル・ レヴィアタンを設立。17世紀の英国の舞台音楽を中心としたレパートリーで活動をスタートさせますが、現在ではイタリア、ヘンデル、フランス音楽など、主にバロッ ク期の作品に多く取り組んでいます。

Passacaille
PAS-1097(1CD)
青の間 〜17世紀パリのサロン音楽
ロベール・ド・ヴィゼー(c.1650-1665?after1732):前奏曲 ニ短調
セバスティアン・ル・カミュ(1610?1677):愛しい人よ、残酷なる愛しい人よ
ヴィゼー:パッサカリア ニ短調
セバスティアン・ル・カミュ:今でも愛するこの素敵な場所
作者不詳:あなたを愛することで、そう思っていた
ヴィゼー:アルマンド『おしゃべり』
ミシェル・ランベール(1610?1696):恋人の影
カミュ:平穏な日々を過ごしていました
カミュ:この木立の中では、もう愛せない
ヴィゼー:前奏曲 ハ短調
シャルパンティエ(1643?1704):かなしい砂漠
ヴィゼー:サラバンド ハ短調
ヴィゼー:前奏曲 イ短調
ヴィゼー:アルマンド イ短調
シャルパンティエ:ああ、夢見させておくれ
ヴィゼー:ロンドー『仮面舞踏会』
シャルパンティエ:私に苦悩をくれるもの
ヴィゼー:シャコンヌ イ短調
カミュ:夜が続くままに
シャルパンティエ:この森で恐れもせず
デボラ・ カシェ(S)
ソフィー・ファンデン・エインデ(テオルボ)

録音:2022年7月9-10日/ベルギー、ヘント、カペル・テルハーゲン
17世紀フランスで最大のサロンを抱えていたランブイエ侯爵夫人。その寝室は青を基調とした独特のもので「青の間 Chambre Bleu」と呼ばれました。また 彼女のサロンに出入りする女性たちは「プレッシューズ Precieuses」と呼ばれ、国境を越えたエレガントな空間で、洗練された会話を交わしていました。2人の 女性奏者が、この優美な世界を音楽で再現します。暗い色調の歌が多く、ふかみのある表現が特徴的です。 (Ki)
Passacaille
PAS-1126(1CD)
テレマン:低音のないヴァイオリン作品集
メランテ氏による4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:201
『忠実な音楽の師』より 第20課 二重奏曲 ト長調 TWV 40:111
メランテ氏による4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:202
6つの二重奏曲第2巻より 第1番ト長調 TWV 40:124
6つの二重奏曲第2巻より 第3番ロ短調 TWV 40:126
テレマン氏による4つのヴァイオリンのためのソナタ ハ長調 TWV 40:203
6つの二重奏曲第2巻より 第2番イ短調 TWV 40:125
二重奏のための6つのカノン風ソナタより 第3番 ニ長調 TWV 40:120
二重奏のための6つのカノン風ソナタより 第1番 ト長調 TWV 40:118
低音を伴わないソナタ集より 第1番二重奏曲 ニ長調 TWV 40:103
イマジナリウム・アンサンブル “THE SHARP BAND”
[メンバー]
エンリコ・オノフリ(音楽監督、ヴァイオリン)
使用楽器:18世紀初頭イタリア、作者不明/タルティーニの弓を複製したP.ジェルモーネ製のバロック弓
アレッサンドロ・タン ピ エーリ(第 2ヴ ァイオリン )
使用楽器:2014年ラヴェンナ、M.ミノッツィ製/1730年頃のイギリス・モデルに基づくM.ゴッテロ製のバロック弓
ボリス・ベゲルマン(第 3ヴァイオリン)
使用楽器:2009年ローマ、E.アッティリ製/F.ウンベルト・ドロス製のバロック弓
マリア・クリスティーナ・ヴァシ(第4ヴァイオリン)
使用楽器:1791年ウィーン、マティアス・ティール製/1730年頃のイタリア・モデルに基づくR.アシュメッド製のバロック弓

録音:2022年8月14-17日/イタリア、モンダイーノ、テアトロ・ディモーラ・ラルボレート
「Sharp violins proclaim... 鋭いヴァイオリンの音色が、嫉妬と絶望、怒りと憤り、苦痛と情熱を歌う。美しく気高い貴婦人のために―」ジョン・ドライデンの『聖 セシリアの日のための歌』にある言葉からアイデアを喚起されたエンリコ・オノフリが、さまざまな感情による対照的なムードをヴァイオリンのみで表現する意欲的な アルバムを発表。彼の組織するイマジナリウム・アンサンブルは一時的に低音不在となり、少数のヴァイオリンがすべてを担う「シャープ・バンド」に姿を変えました。
テレマンは通奏低音のない室内楽作品を数多く残しています。なかでもヴァイオリン4本のみによる協奏曲は他に類をみない珍しい編成の作品であり、また様々な 楽器で演奏可能な二重奏曲も、多様なスタイルと深い表現力が組み込まれた逸品ぞろい。近い音域でぶつかり合い火花を散らしながら駆け抜けたかと思えば、美し い和声に支えられ綿々たる歌を綴っていく、鋭くかつどこまでも繊細、まさにシャープな音楽の饗宴です。今回オノフリが目指す世界にうってつけの作品が選ばれま した。
古楽ヴァイオリン界で人気・実力ともにひとつの頂点を成すオノフリと共演するメンバーは、タンピエーリ、ベゲルマン、ヴァシの3人。いずれもオノフリと長い付 き合いがあるお馴染みの奏者で、もはや以心伝心と言えるアンサンブルの妙に驚嘆させられます。
「メランテ氏による」という作品がありますが、これはテレマン(Telemann)のアナグラムによる別名(Melante)。イタリア受けを狙った遊び心ある署名です。 (Ki)

APARTE
AP-269(2CD)
リュリ:『アシとガラテー(アシスとガラテア)』 LWV 73 [プロローグ]
アンブロワジーヌ・ブレ:ディアーヌ
ベネディクト・トーラン:ラバンダンス(豊かさ)
ロベール・ゲッチェル:コモス
シリル・オヴィティ:アポロン
デボラ・カシェ:森の妖精
フィリップ・エステフ:森の精霊
[パストラル]
シリル・オヴィティ:アシ(アシス)
アンブロワジーヌ・ブレ:ガラテー
エドウィン・クロスリー=メルセル:ポリフェーム
デボラ・カシェ:アマント、ナイアス
ベネディト・トーラン:シッラ、ナイアス
ロベール・ゲッチェル:テレーム
エンゲラン・ド・イス:ティルシス、ジュノンの従者
フィリップ・エステフ:ネプチューン

録音:2021年7月16-18日、ジャン=バティスト・リュリ音楽院、プトー(フランス)
リュリ最後のオペラ「アシスとガラテー」。リュリとしては13年ぶりのパストラル(悲劇でない)作品で、初演当時から賛否両論を巻き起こしながらも何度も上演 が重ねられた傑作です。30年ほど前にミンコフスキが全曲録音して以来、久々の全曲録音の登場となりました。演奏陣は、フランス・バロックの要、クリストフ・ル セ率いるレ・タランリリク、そして歌唱陣も今最前線で活躍する歌手が顔をそろえた超強力盤。海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋、そして嫉妬深い、ポリフェー ムの暴力を描いたドラマティックな物語にリュリがつけた音楽は、どの瞬間を切り取っても美しく心揺さぶられる瞬間の連続。美しい旋律、器楽作品の繊細さなど、 作品の魅力をルセがこれ以上ないかたちで引き出しています。
『アシとガラテー』は、アネ城での祝祭のために書かれました。悲劇の形式をとっていないのもそのためで、リュリとしては13年ぶりの、悲劇のスタイルから離 れたかたちの作品となります。物語は、海の妖精ガラテアと羊飼いアシスとの恋が、嫉妬深いポリフェームの暴力に脅かされながらも実っていく様子が描かれてい ます。台本は、長年タッグを組んでいたキノーが健康上の理由で仕事ができなかったため、コメディ=フランセーズで大変な評判を呼んでいたジャン・ガルベール・ ド・カンピストロンが担当しました。アネ城で城の構造をうまく使いながら行われた初演は大成功で、13日までにほぼ毎晩行われました。 (Ki)

Hortus
HORTUS-207(1CD)
「東方への旅〜フランシスコ・ゲレーロのセビリャからエルサレムへの旅路をたどって」
フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599):宗教的カンシオンとヴィラネスカ集(1589年ヴェネツィア)より10曲、他、ビザンチン&オリエント音楽と即興を交えて。
ル・バンケ・デュ・ロワ
ヘルトゥルディス・ベルガラ(S)、ヤニック・ルボッセ(C.T)、ジョルジュ・カミル・アブラッラー(バリトン、オリエント&ビザンチン歌唱)、サミル・ホムシ(ウード、リック、ダルブーカ)、ジュリー・デサン(ヴィオラ・ダ・ガンバ) ブノワ・タントテュリエ(コルネット、リコーダー)、エマニュエル・ヴィニュロン(バス・ドゥルシアン、リコーダー)
オリヴィエ・グラドフェル(ヴィオラ・ダ・ガンバ、ボンバルド、テノール・ドゥルシアン、リコーダー&音楽監督)

録音:2021年8月24-27日/サン=ブノワ=デュ=ソー(アンドル県)
モラレス、ビクトリアと並ぶスペイン・ルネサンス時代の大作曲家フランシスコ・ゲレーロ(1528-1599)は、スペインやポルトガルの各地で、神聖ローマ皇帝 マクシミリアン2世などの王侯貴族の宮廷や教会に主に仕えていましたが、1588年、エルサレムへの旅を決意、セビリアを発ちました。その帰途に二度にわたっ て海賊の襲撃を受け、金品を奪われあげく人質としてとらえられ、やがて釈放されるも一文無しとなり、身代金も負わされ、負債者監獄へと収監されてしまいまし た。その後、セビリアの雇用主に救われることになるのですが、1590年に、こうした旅の顛末を書き記した著作「エルサレムへの旅」を出版、ベストセラーになっ たそうです。この書物を基に、ゲレーロの旅路を音楽でたどる企画によるこのアルバムには、ゲレーロの世俗音楽、教会音楽に加え、旅の途中でゲレーロが触れた であろうオリエントやビザンチンの音楽が収録されています。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のオリヴィエ・グラドフェルが結成したフランスの古楽アンサンブル、ル・バ ンケ・デュ・ロワは、多様な文化的・音楽的背景を持ったメンバーで構成されており、演奏に当たっては、文献研究はもちろん、口承による伝統までも参照した多 角的なアプローチをしている個性的なグループです。このアルバムでも、伸びやかなソプラノとカウンターテナーによる歌唱に、リコーダー、ドゥルシアン、コルネッ トなどが重なる、正統的古楽演奏で聴かせるトラックと、ビザンチン唱法を取り入れたり、アラブ音楽での使用されるウード(リュートに似た楽器)、リック(タンバ リンの一種)、ダルブーカ(太鼓の一種)などの民族楽器を取り入れたりするなどのオリエント的アプローチによるトラックが入り混じり、不思議な雰囲気を醸し出 しています。16世紀末のスペインとオリエントの音楽の雰囲気を伝える魅惑のアルバムです。 (Ki)
Hortus
HORTUS-209(1CD)
神のごときチプリアーノ・デ・ローレ〜チプリアーノ・デ・ローレ:マドリガーレ集
チプリアーノ・デ・ローレ(?-1565):マドリガーレ集(別れの時には、麗しの乙女、他) 〜ジョローラモ・ダッラ・カーザ、ジョヴァンニ・バッサーノ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ボヴィチェッリらによるディミニューションをまじえて
アドリアン・ヴィラールト(1490-1562):リチェルカール第10番
マルコ・ダッラクィッラ(1480?-1538?):リチェルカール(リュート独奏)、他
アンサンブル・イル・バッロ
ヴェロニク・ブーラン(S)
カミーユ・アントワネ(Vn)
ブノワ・タンテュリエ(コルネット、ミュート・コルネット、バス・リコーダー)
イザベル・デュモン(各種ヴィオラ・ダ・ガンバ)
スタンレー・スミス(バス・ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アンヌ・デュモン(チェンバロ、サックバット)
レオナルド・ロレード・デ・サ(リュート、テオルボ&音楽監督)

録音:2021年4月22&23日/サン=ブノワ=デュ=ソー(アンドル県)
「神のごとき」(IL DIVINO)と称されたルネサンス後期の作曲家チプリアーノ・デ・ローレのマドリガーレを、それらを基としたディミニューションをまじえて 歌唱・演奏したアルバム。デ・ローレはネーデルラント出身で。主にイタリアで活躍、半音階の使用など情感表現豊かなマドリガーレを作曲し、後世に大きな影響を 与えました。あのモンテヴェルディもデ・ローレの作品から強い影響を受けたとされています。このアルバムは、デ・ローレの、ペトラルカの詩に付けられたマドリ ガーレを中心に集められています。面白いのは、それらのマドリガーレを基にした他の同時代作曲家たちの器楽によるディミニューションをまじえて歌ったり、演奏 したりしているところ。デ・ローレの原曲を豊かに装飾するディミニューションを加えることで、より色彩豊かな音楽として再現しています。ここに同時代のリュート 独奏曲や器楽曲が加わることで、さらにデ・ローレの音楽の先進性を際立たせるアルバム構成となっています。リュート奏者レオナルド・ロレード・デ・サが主宰す るフランスの古楽アンサンブル、アンサンブル・イル・バッロは、主に、16&17世紀のイタリア音楽をレパートリーとした声楽&器楽のグループです。伸びやかなソ プラノの歌唱を中心に、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、コルネット、サックバット、リコーダーを奏でる器楽奏者たちも即興的装飾を豊かに加えながら、美しく 演奏しています。演奏にもプログラムにも工夫が凝らされた魅力的なチプリアーノ・デ・ローレ・アルバムとなっています。 (Ki)

arcantus
ARC-22038(1CD)
レスピロ〜「ベネチアのアックア・アルタ」
(1)ガブリエリ:「神の祝福」(10声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(2)ガブリエリ:5声のカンツォーナ
(3)ガブリエリ:「聖なるマリアよ」(7声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(4)シュッツ:「主に感謝します」 BWV 267〜コルネット、3声と通奏低音のための
(5)ガブリエリ:「キリエ」(5声)〜サクラ・シンフォニア集第2巻より
(6)ガブリエリ:「神は御名によって」(8声)
(7)ローゼンミュラー:「天よ、上からしたたらせよ」〜2つのコルネット、ソプラノと通奏低音のための
(8)ガブリエリ:6声のカンツォーナ
(9)シュッツ:「見よ、いちじくの木を」BWV 394
(10)ガブリエリ:「主よわれをあわれみたまえ」(6声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(11)ガブリエリ:「主よ、聞きたまえ」(7声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
(12)ガブリエリ:「われ主をたたえん」(10声)〜サクラ・シンフォニア集第1巻より
アンサンブル・レスピロ、
アンドレーアス・ノイハウス(指)

録音:2021年10月/聖マルティーニ教会(ミンデン)
ヨーロッパ第一級の音楽の中心地として、多くの重要な音楽家たちの活動の場でもあったベネチア。サン・マルコ大聖堂はベネチアの中でも最も海抜の低い場所 に位置し、昔から浸水被害(「アックア・アルタ」満潮を意味するイタリア語で、北アドリア海における異常潮位現象をさします)に悩まされてきました。
ジョヴァンニ・ガブリエリ(1554?57?-1612)は叔父のアンドレアとともに同大聖堂のオルガニストを努めてきました。ルネサンス音楽よりバロック音楽への 橋渡しをしたガブリエリの作品は、華やかさの中に巧みに考えられた音響効果抜群の音楽を残しました。
アンサンブル・レスピロは当アルバムで17世紀に活躍したシュッツ、ガブリエリ、ローゼンミュラーの音楽を通し、同時代の音楽的な繁栄を再現します。 (Ki)

arcantus
ARC-22037(1CD)
「ボッケリーニの夢」〜チェロとハープシコードのための作品集
(1)スプリアーニ:トッカータ第10番
(2)ボッケリーニ:ソナタ ハ長調 G.17
(3)パスクィーニ:フォリアによるパルティータ
(4)スプリアーニ:トッカータ第1番
(5)カベソン:騎士の歌
(6)ボッケリーニ:ソナタ ト長調 G.5
(7)ストラーチェ:チェンバロのためのパッサカリア
(8)スプリアーニ:トッカータ第11番
(9)カベソン:パヴァーヌ
(10)スプリアーニ:トッカータ第6番
(11)ボッケリーニ:ソナタ ハ長調 G.6
ミメ・ヤマヒロ・ブリンクマン(バロックVc)、
マリアンジョーラ・マルテッロ(ハープシコード)

録音:2021年1月31日-2月3日/ストックホルム
名手ミメ・ヤマヒロ・ブリンクマンがマリアンジョーラ・マルテッロとアルバム「ボッケリーニの夢」をリリースします。ミメ・ヤマヒロ・ブリンクマンは桐朋学園大 学でモダン・チェロを学んだ後、ハーグ王立音楽院でバロック・チェロとヴィオラ・ダ・ガンバを学びました。ラ・プティット・バンド、バッハ・コレギウム・ジャパン、 ターフェルムジーク・バロック・オーケストラなどと共演し、ソリストとしても活躍する才能あふれる古楽奏者で、これまでARCANTUSレーベルより「バッハ: 無伴奏チェロ組曲(全曲)」(ARC-19014)をBISレーベルより「チェロ・ライジング」(BIS SA-2214)などをリリースしております。
アルバム「ボッケリーニの夢」では、スプリアーニ、パスクィーニ、カベソン、ストラーチェ、ボッケリーニの作品を、まるで地中海の陽光のように、名手2人が新鮮 かつ喜びに満ちた演奏で届けてくれます。当録音のプロデューサーとサウンド・エンジニアはBISレーベルの数多くの名録音でも知られるマリオン・シュヴェーベ ルが担当しております。 (Ki)

ALIA VOX
AV-9952(1CD)
EROS&SUBTILIATAS〜エロスと繊細
1. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:La Gamba
2. フィリップ・ヴェルデロー:Dormendo un giorno
3. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:Dormendo un giorno
4. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、フィリプ・ヴェルデロー:Dormendo un giorno
5. ト調のパヴァーヌ(アルカート城所蔵手稿譜)
6. ト調のサルタレロ(アルカート城所蔵手稿譜)
7. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、ジャック・アルカデル:Quand’io penso al martire
8. ジャン・ゲロ:Madonna io v’amo
9. イ調のリチェルカール(アルカート城所蔵手稿譜)
10. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:Lieti felici spirti
11. ニ調のパヴァーナ(アルカート城所蔵手稿譜)
12. ニ調のサルタレッロ(アルカート城所蔵手稿譜)
13. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:Gentil mia donna
14. ト調のリチェルカール(アルカート城所蔵手稿譜)
15.ドメニコ・フェッラボスコ:Io mi sono gioveneta(アルカート城所蔵手稿譜)
16. ジャック・アルカデル:O felici occhi miei
17. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、ジャック・アルカデル:O felici occhi miei
18. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:La Disperata
19. ヴィンチェンツォ・ルッフォクレマン・ジャヌカン:Martin menoit
20. ハ調のパヴァーナ(アルカート城所蔵手稿譜)
21. ハ調のサルタレッロ(アルカート城所蔵手稿譜)
22. ヴィンチェンツォ・ルッフォ:El Cromato
23. ヴィンチェンツォ・ルッフォ、ジャック・アルカデル・Da’ bei rami scendea
タスト・ソロ【アンネ=カトリン・オルセン(S)、リッカルド・ピサーニ(Br)、ベルトラン・キュイエ(ルネッサンス・チェンバロ)、ベレンジェル・サルダン(ルネッサンス・ハープ)、ポー・マルコ(ヴィオラ・バスタルダ)、ボル・ズリヤン(ルネッサンス・リュート)】
ギエルモ・ペレス(オルガネット&指揮)

録音:2021年11月、フランス
ALIA VOXから、サヴァールがおすすめするアンサンブル、タスト・ソロのタイトルが発売されます。ヴィンチェンウォ・ルッフォ(1508頃〜1587)とその同 時代の作曲家たちによる作品をプログラムしたものです。ルッフォは16世紀イタリアの様々な土地の聖堂(教会)で活躍した作曲家で、ヴェローナにいた頃にはモ ンテヴェルディの師匠であったマルカントニオ・インジェニエーリを指導したともされています。当時のイタリアではダンスから派生した音楽スタイル(舞曲)が非常 にさかんに生み出されていましたし、リチェルカール(リチェルカーレ)と題されたファンタジアの作曲技法など、様々なスタイルの作品が大いに発展しました。当時 はまた、器楽・声楽演奏についての研究もさかんで、器楽同様、声楽にも様々な超絶技巧を要する楽曲が生み出され、それに関する論文も多数書かれました。演 奏者たちはこれらの論文にもあたりながら、ここでは、初期ルネッサンス期のイタリアの室内楽の演奏でスタンダードであった編成(高音域にダンパーを持たない小 型チェンバロ、非常にシンプルなハープ、ヴィオラ・ダ・ガンバとリュート)をとっています。非常に緻密で美しいタペストリーのように音楽が紡がれていきます。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-092(1CD)
『暗闇と深淵』 〜独唱と通奏低音によるルソン・ド・テネブル、18世紀フランス語圏から
エクトール=ジョゼフ・フィオッコ(1703-1741):第1の哀歌
ジャン=バティスト・フォルクレ(1699-1782)またはアントワーヌ・フォルクレ(1672-1744):三つのヴィオールのための組曲
ピエール=ルイ・ポリオ(1724-1796):『エレミア哀歌』による聖土曜日のための第1ルソン
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ:通奏低音を伴わない三つのフルートのためのソナタ(バスーン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロと通奏低音による演奏)
ジョゼフ・ミシェル(1688-1736):エルサレム、エルサレムよ 『高音部、チェロおよびバスーンと通奏低音による-聖週間第2日のための第3ルソン』より
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):聖金曜日のための第3ルソン
ウジェーヌ・ルフェーヴル(S)
アンサンブル・ルヴィアタン(古楽器使用)【カミーユ・デュポン(Vc、バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオール、ヴィオローネ)、クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)、ロリス・バリュカン(Org)】
リュシル・テシエ(バスーン、指揮)

録音:2022年5月2-4日 ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
キリスト教社会で春の日曜日に祝われる復活祭に先立ち、救世主イエスが現世で十字架にかけられ苦しみぬいて絶命したことを思い返し ながら、人類の罪深さを考え直す「聖週間」。バロック期のフランス語圏では、この時期の夜明け前に行われていた祈りの時間帯をずらし、日 中に小編成の峻厳・清廉な音楽を通じて行うルソン・ド・テネブル(暗闇の朝課)の儀式があり、そのために書かれた楽曲が多く現存していま す。その特質上、華美な響きを避けてオルガン一つ、ないしそこに低音楽器を添える程度で独唱者が歌う小編成の音楽に仕上げられます が、ここではフランス古楽シーン最前線で活躍する若き名手たちが、バスーン、ヴィオール(ガンバ)、ヴィオローネ、チェロという4種の低音楽器 を用い、クラヴサンやオルガンとともに、趣深いくすんだ響きで18世紀初頭の祈りの場を再現。近年発見された手稿譜によるフォルクレ父子ど ちらかの組曲や人気作曲家ボワモルティエの名品編曲など器楽トラックも充実していますが、躍進めざましい独唱者ウジェーヌ・ルフェーヴル の温もり豊かな独唱がこれらの古楽器の響きと実によくなじむ一連のルソンは、演奏機会の少なさが不思議なほど魅力的に聴こえ興趣が尽 きません。ブリュッセルのイタリア系作曲家フィオッコやブルゴーニュ地方ディジョンのジョゼフ・ミシェルなど、フランス王室に縛られない選曲で視野 を広げてくれるプログラムも好感度大。ヴェルサイユ宮殿の小礼拝堂の穏やかな音響をよく捉えた自然派録音でお楽しみください。

ARCANA
A-541(1CD)
カプスベルガー、アンブロジーニ:テオルボ作品集
〔環境音〕昔日の防波堤ムラッツィの傍らで
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(1580頃-1651):無題の独奏曲
クラウディオ・アンブロジーニ(1948-):Tastata タスタータ (2017)
カプスベルガー:コルレンテ
アンブロジーニ:Tastata riflessa 水面の煌めきのタスタータ (2017)
〔環境音〕川に入る歩み 〜2019年の高潮
カプスベルガー:トッカータ 第1番
アンブロジーニ:Toccata トッカータ (2018)
カプスベルガー:ガリアルダ
アンブロジーニ:Aria アリア (2017)
〔環境音〕ヴェネツィア・ビエンナーレ庭園入口に停泊するゴンドラ群
カプスベルガー:無題の独奏曲
アンブロジーニ:Canzone カンツォーネ (2018)
カプスベルガー:リチェルカータ
アンブロジーニ:Canzone in eco こだまを返し合うカンツォーネ (2018)
〔環境音〕停泊するクルーザー群
カプスベルガー:ヴェネツィア風アリア
アンブロジーニ:Sarabanda サラバンダ (2018)
カプスベルガー:バッターリャ(戦い)
アンブロジーニ:Ciaccona チャッコーナ (2017)
〔環境音〕サン・マルコ広場の高潮、鐘の音とカモメの合唱
カプスベルガー:トッカータ 第2番
アンブロジーニ:Ricercare リチェルカーレ (2018)
カプスベルガー:ロマネスケ
環境音〕フラーリ教会(モンテヴェルディの墓所)の近くにいた子供たち
アンブロジーニ:Arpeggiata アルペッジャータ (2018)
ステファノ・マイオラーナ(テオルボ)

録音:2021年2月1-6日 グラッシ宮殿小劇場、ヴェネツィア
歴史ある水の都ヴェネツィアという「場」に焦点を当て、そのサウンドスケープの中に佇む歴史的建造物の中でかつて愛奏されていた古楽器テ オルボを用い、17世紀の作曲家カプスベルガーと現代作曲家アンブロジーニの独奏曲の魅力に迫るアルバム。低音側に弦を多く追加した リュートの一種テオルボは、17世紀初頭にオペラ歌手たちを支える通奏低音楽器として重宝されただけでなく、当時から独奏にも使われ、 特に「テオルボのドイツ人」の綽名で知られたローマ暮らしのドイツ系作曲家カプスベルガーの作品は各地で筆写されて人気を誇りました。他 方アンブロジーニはフランスの若手登竜門ローマ賞やヴェネツィア・ビエンナーレでの受賞経験を持つ1948年生まれの作曲家。早くからバロッ ク以前の音楽に関心を示し、16世紀ヴェネツィアの音楽を現代の響きの中でアレンジするなど、ダラピッコラや(彼自身も私淑した)マデルナ などイタリア20世紀の先人たちにも通じる古楽再発見と新作創出を並列的に行う作曲スタイルで知られています。ヴェネツィア音楽院で学 び、この水の都に限りない愛着を寄せるアンブロジーニが自ら同地で録った環境音(各20〜40秒程度)が「場」への憧憬を誘う中、時に静 謐・繊細に、時にダイナミックに重ねられる古楽器の撥弦が、様式感確かな両作曲家の音楽それぞれの味わい深さをじっくり引き出してゆく1 時間。現代ギター奏者にも馴染み深いスペイン・バロック作曲家サンティアゴ・デ・ムルシアの作品集(A484)も注目されたステファノ・マイオ ラーナの解釈が光ります。

ARCANA
A-540(2CD)
NX-D09
フランチェスコ・ドゥランテ:弦楽のための協奏曲集
協奏曲第8番イ長調「ラ・パッツィア(狂気)」
協奏曲第4番ホ短調
協奏曲第2番ト短調
協奏曲第9番変ロ長調
ニコラ・フィオレンツァ(1700頃-1764): 4部のヴァイオリンと通奏低音のためのシンフォニア ハ短調
ドゥランテ:協奏曲第7番ハ長調
ドゥランテ:協奏曲第5番イ長調
ポルポラ(1686-1768):チェロ協奏曲 イ短調
ドゥランテ:協奏曲第6番イ長調
協奏曲第3番変ホ長調
協奏曲第1番ヘ短調
アッカデーミア・デラヌンチアータ(古楽器使用)
 コンサートマスター:カルロ・ラッザローニ(Vn)
 マルチェッロ・スカンデッリ(Vc)
リッカルド・ドーニ(チェンバロ、オルガン、指揮)

録音:2021年10月10-14日、2022年5月2-6日 サン・ベルナルディーノ教会、アッビアーテグラッソ(イタリア北部ミラノ県)
ナポリ楽派のオペラ作曲家たちがヨーロッパを席巻した18世紀にあって、A.スカルラッティ亡き後のナポリで数々の音楽院の院長を歴任し、 夭逝の天才ペルゴレージを筆頭に数々のすぐれた作曲家を育てたフランチェスコ・ドゥランテ。作曲家としての評判もイタリア半島の外にまで 広まり、同世代の大バッハはライプツィヒで彼の作品を上演しましたが、その楽譜の完成度の高さから後々までバッハ本人の作とされたものも ありました。教会音楽を中心に声楽曲で注目されてきた作曲家ながら、器楽では明確なソロを持たない4声部の協奏曲を1730〜40年 代に多く作曲、録音でも散発的にとりあげられてきました。今回のように体系的な録音はコンチェルト・ケルンの取り組み(Capriccio)など大 変少なく、しかも作曲家と同じイタリアの最前線団体による古楽器演奏で聴けるのは嬉しい限り。アッカデーミア・デラヌンチアータは、チェロの 名手マリオ・ブルネロをソロに迎えてのバッハ協奏曲集というユニークな企画(A535/NYCX-10364)をリリースしたばかり。今回も地中海の 息吹を感じさせる深い作品解釈を聴かせ、個々の作品の味わいをじっくり解き明かしてゆきます。短くもさまざまな楽章構成を持つドゥランテ 作品は、ナポリ楽派ならではのカンタービレの魅力とドゥランテの真骨頂である対位法の妙が併存する興味深い音作りの連続。同世代のポ ルポラによる魅惑のチェロ協奏曲と、破天荒な性格で問題も起こしつつスリリングな傑作を多く残したフィオレンツァの異色編成作を併録、そ の作風の違いも楽しめる構成も魅力です。

Paradizo
PA-0020(1CD)
英国ルネサンスのリコーダー・コンソート集
 第1のコンソート
1. イングランド王ヘンリー8世(1491-1547): Consort コンソート
2. ヘンリー8世:Taunder Naken ライン河のほとりアンデルナハで
3. ヒュー・アシュトン(1485頃-1558):Hugh Ashton’s Maske ヒュー・アシュトンのマスク
 第2のコンソート:ダウランド『ラクリメ、または七つの涙ほか』(1604)より
4. ダウランド:LaCHR-imae Antiquae いにしえの涙
5. ダウランド:Captaine Digorie Piper his Galiard ダイゴリー・パイパー大尉のガリアード
6. ダウランド:The Earle of Essex Galiard エセックス伯のガリアード
7. ダウランド:Mrs. Nichols Almand ニコル嬢のアルマンド
8. ダウランド:M. George Whitehead his Almand ジョージ・ホワイトヘッド氏のアルマンド
 第3のコンソート
9. ヒューム(1569頃-1645):A Maske マスク/The Earle of Sussex delight サセックス伯の喜び
10. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より): Muscadin マスカディン
11. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より):The Irish Ho Hoane アイリッシュ・ホー・ホーン
 第4のコンソート
12. ウィリアム・バード(1540頃-1623):Browning ブラウニング/The LeAV-es by Green 葉よ生い茂れ
13. アルフォンゾ・フェラボスコ2世(1575-1628):四つの音によるパヴァーン
14. トーマス・レイヴンズクロフト(1588頃-1635):おお人よ、忘れるなかれ
15. レイヴンズクロフト:The Three RAV-ens 3羽の大鴉
 第5のコンソート
16. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より): Praeludium プレルディウム
17. 作者不詳(『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より): Watkins Ale ワトキンズのエール
18. ヒューム:My joyes are coming 楽しみが次々訪れる/The Lady of Bedfords Delightベッドフォードの奥方の喜び
 第6のコンソート
19. クリストファー・タイ(1505頃-1572頃): In Nomine ‘Crye’ イン・ノミネ「呼び声」
20. ジョン・ボールドウィン(1560-1615):A Browning ブラウニング
21. ヘンリー・ストニングズ(生歿年不詳、16世紀末〜17世紀初頭に活躍):愛しきブラウニング
 第7のコンソート:ホルボーン『パヴァーン、ガリアード、アルメインおよびその他の商品集』(1599)より
22. アントニー・ホルボーン(1545-1602):PAV-an. Spero パヴァーン「スペロウ(わたしは期待する)」
23. ホルボーン:ガリアード「それは聖なる降誕祭前夜のことだったが」
24. ホルボーン:Galliard. Heigh ho holiday ガリアード「ヘイ・ホー、休日だ」
25. ホルボーン:Almaine. The Night Watch アルメイン「不寝番」
 第8のコンソート
26. ジャイルズ・ファーナビー(1563頃-1640): For Two Virginals 2台のヴァージナルのために
27. ロバート・ジョンソン(1583頃-1633):Alman アルメイン
28. 作者不詳:Almande Guerre gay アルマンド「陽気な戦い」
     (『フィッツウィリアム・ヴァージナル・ブック』より)/ソロモン王が良くなかったことには(『ダブリン・ヴァージナル写本』より)
 第9のコンソート:ホルボーン
    『パヴァーン、ガリアード、アルメインおよびその他の小品集』(1599)より
29. ホルボーン:PAV-an. Heres Paternus パヴァーン「父方の子孫」
30. ホルボーン:Galliard (#32) ガリアード(第32曲)
31. ホルボーン:ガリアード「ムイ・リンダ(とても愛らしい)」
32. ホルボーン:Almaine. The Fruit of Love アルメイン「愛の果実」
33. ホルボーン:Almaine (#57) アルメイン(第57曲)
34. ホルボーン:PAV-an Funerals パヴァーン「葬送」
レゾナンス・コンソート(古楽器使用)
 ジュリアン・マルタン、マリーヌ・サブロニエール、エヴォレーヌ・キーナー、ピエール・ボラーニョ、ブノワ・トイゴ (各種リコーダー)
スキップ・センペ、オリヴィエ・フォルタン、
エマニュエル・フランケンベルフ (ヴァージナル、チェンバロ)

録音:2021年
ルネサンス期の英国で、ヴィオラ・ダ・ガンバ(ヴァイオル)と同じように合奏を愉しむ楽器として愛されていたリコーダー。高音部から低音部まで 大小さまざまな同属楽器を集めた合奏は「ホール・コンソート」と呼ばれ、多くの作曲家たちの作例が当時そのような編成で実演されていたに もかかわらず、リコーダーのホール・コンソートを集めたアルバムは意外に多く出てきません。その渇を癒してあまりある新録音が、21世紀最高 のチェンバロ奏者のひとりスキップ・センペのプライベートレーベルParadizoから登場。名手ジュリアン・マルタンを筆頭に、センペ率いるカプリッ チョ・ストラヴァガンテをはじめフランス語圏の一流アンサンブルで活躍をみせてきた俊才5人が聴かせるサウンドは、リコーダー同士の音が溶け 合うコンソートならではの響きの妙もさることながら、各パートの動きが活発な曲ではそれぞれの個性や個々の音色の温もりが自由闊達に際 立ち、平穏な古楽のイメージを良い意味で覆すスリリングな聴き応えに事欠きません。センペらが古雅な鍵盤の音色を響かせるトラックとの 対比も絶妙のプログラムは、音楽ほか諸芸術の嗜みで知られる英国王ヘンリー8世やクリストファー・タイが手がけた16世紀の佳品の数々か ら「処女王」エリザベス1世の治世末期を彩った巨匠たちの有名作まで名品続々。この分野をよく知るリスナーも古楽ビギナーも必ずや惹か れるであろう要素がそこかしこに秘められた好企画です。

Dynamic
CDS-7982(1CD)
NX-B03
マウロ・ダライ(1687-1757):ドレスデン協奏曲集
協奏曲 ニ短調 ? 2つのヴァイオリンのために
協奏曲 ニ長調*
協奏曲 変ロ長調*
協奏曲 変ロ長調「アンナ・マリアのために」*
協奏曲 ヘ長調(伝:カルロ・ズッカーリ作) **
協奏曲 ニ長調「アンナ・マリアのために」(オーケストラ・パートはエミリオ・ゲッツィによる) **
レアーレ・コンチェルト(古楽器使用)
ダニエレ・ファンフォーニ(ソロ・ヴァイオリン)[ジョフレード・カッパ 1690年製 …*]
ルカ・ファンフォーニ(ソロ・ヴァイオリン)[ロレンツォ・ストリオーニ1778年製 …**]
アントネッラ・タネッティ(Vn1)[マリヌス・カピッキオーニ 1928年製]
フランチェスコ・フェッラーティ(Vn1)[パオロ・アントニオ・テストーレ 1723年製]
ダヴィデ・クアリア(Vn2)[ジャン=バティスト・ヴィヨーム 1840年製]
ミケーレ・ブラギニ(Va)[製作者不詳 18世紀]
マッシミリアーノ・ファンフォーニ(Vc)[ジローラモ・アマティ 1600年頃製]
アントニーノ・アンジェロ・アリベルティ(室内オルガン、bourdon at 8’)
 [フランチェスコ・ジベリーニ 2010年製]

録音:2022年1月22-25日
世界初録音
パルマ出身のヴァイオリニスト・作曲家マウロ・ダライ。1712年から1726年及び1730年から1739年にサンタ・マリ ア・デッラ・ステッカータ大聖堂に仕えていたこと以外、彼の経歴はほとんど知られておりませんが、スペイン王フェリペ 5世の宮廷に仕え、スペイン王妃となったエリザベッタ・ファルネーゼのお気に入りとしてかなりの富と名声を得たとされ ています。彼はフェリペ5世から下賜された1718年製のストラディヴァリウスを生涯大切にし、ヴァイオリン曲を中心 に、ソナタやカンタータなど、いくつかの作品を残しました。このアルバムに収録された協奏曲の譜面はドレスデンのザ クセン国立図書館に所蔵されているため「ドレスデン協奏曲」と呼ばれており、ヴィヴァルディ作品をモデルとしながら も、スタイルはより自由で、時にはギャラント様式も取り入れたモダンなものとなっています。作品が捧げられた「アン ナ・マリア」とは当時ヴェネツィアでヴィルトゥオーゾ奏者として活躍したヴィヴァルディの弟子アンナ・マリア・デッラ・ピエ タのことです。前作「ヴァイオリン協奏曲第1番-第12番(CDS-7892)」と同じくダニエレ・ファンフォーニとルカ・ファン フォーニを中心としたアンサンブル「レアーレ・コンチェルト」が演奏しています。


CPO
CPO-555435(1CD)
NX-B02
アダルベルト・ギロヴェッツ(1763-1850):フルート四重奏曲集 Op. 37
四重奏曲 ハ長調 Op. 37No. 1
四重奏曲 ト長調 Op. 37No. 2
四重奏曲 ニ長調 Op. 37No. 3
アルディンゲロ・アンサンブル【カール・カイザー(Fl)、アンネッテ・レーベルガー(Vn)、ゼバスティアン・ヴォールファルト(Va)、マルティナ・イェッセル(Vc)】

録音:2020年8月15-17日
ボヘミア出身の作曲家アダルベルト・ギロヴェッツのフルート四重奏曲集。父親から音楽の教育を受け、プラハでは 法学を学び、不動産の管理人として働くうちに、雇い主のフランツ・フォン・フュンフキルヒェン伯爵に楽才を認めら れ宮廷楽団で演奏するという変わった経歴を持っています。その後はヨーロッパを演奏して巡り、ハイドンやモーツァ ルトの音楽に影響を受けた作品を書き上げ名を広めました。フランス革命時にはイギリスに向かい、ここでハイドン と邂逅、補佐を務めるという栄誉に浴し、その後ウィーンに定住。数多くの舞台音楽を遺しています。 ここに収録されたフルート四重奏曲はどれも演奏時間20分余りの充実した規模をもつもの。全て急緩急の3楽 章で書かれ、各声部にヴィルトゥオーゾ的な見せ場があります。アルディンゲロ・アンサンブルは古典派からロマン派 の室内楽に取り組むグループで、特にハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと同時代の作曲家の紹介に努めてい ます。フルートを吹くカール・カイザーはフライブルク・バロック・オーケストラやラ・スタジョーネ・クランクフルトのメンバー としても活躍する大ベテラン。
CPO
CPO-555528(1CD)
NX-B02
フローリアン・レオポルト・ガスマン(1729-1774):オーボエ四重奏曲&五重奏曲 他
歌劇「アモールとプシュケー」による五重奏曲 変ロ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H571
歌劇「アモールとプシュケー」による五重奏曲 変ロ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H573
四重奏曲(ディヴェルティメント) 変ホ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H482
四重奏曲(ディヴェルティメント) 変ホ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H483
四重奏曲(ディヴェルティメント) ニ長調- オーボエ、弦楽四重奏のために H486
カッサシオ- 2つのイングリッシュ・ホルン、ファゴットと2つのホルンのために H532
ラヨシュ・レンチェス(オーボエ/イングリッシュ・ホルン)
レナ・ゲルスバッハー(イングリッシュ・ホルン)
ヴォルフガング・ウィプフラー(Hrn)
ヨゼフ・ヴァイスタイナー(Hrn)
リボール・シーマ(Fg)
シゲティSQ

録音:2021年6月5-6日、2021年10月3日
ボヘミア出身、ドイツで活躍した作曲家レオポルド・ガスマンの室内楽作品集。 ボローニャでジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニに師事したとされますが、詳細は分かっていません。イタリアの様 式による22作の歌劇をはじめ、数多くの室内楽作品や宗教曲を書き、グルックの後継者としてウィーンに招かれ、 1772年には宮廷楽長に任命されています。ガスマンの功績の一つに、1765年、旅行先のヴェネツィアで サリエリ の才能を見抜き、ウィーンに連れて行き教育を施したことが挙げられます。 現在では彼の歌劇を耳にする機会があまりありませんが、存命中には高い人気がありました。このアルバムに収録 された作品中、2つの五重奏曲は大ヒットした歌劇「アモールとプシュケー」からとりわけ人気が高かったアリアを編 曲したもの。他の作品も彼を重用した皇帝ヨーゼフ2世のお気に入りでした。これらの美しい響きに富んだ作品 に、名手ラヨシュ・レンチェスとその仲間たちが新しい息吹をもたらしています。
CPO
CPO-555540(1CD)
NX-B10
ウィリアム・スメザーゲル(1751-1836):序曲集第1集
序曲第1番ニ長調 Op. 5No. 1*
序曲第2番変ロ長調 Op. 5No. 2
序曲第3番ト長調 Op. 5No. 3*
序曲第4番変ホ長調Op. 5No. 4*
序曲第5番へ長調 Op. 5No. 5*
序曲第6番イ長調 Op. 5No. 6*
プフォルツハイム南西ドイツ室内O
ダグラス・ボストック(指)

録音:2021年6月3-5日
*…世界初録音
イギリスの作曲家ウィリアム・スメザーゲルの作品集。ロンドンで洗礼を受け、1770年からオール・ハロウズ・バ イ・ザ・タワー教会、1775年からはセント・メアリー・アット・ヒル教会、この2か所のオルガニストを同時に50年 間にわたって務めるとともに、ロンドンの遊園地ヴォクソール・ガーデンズのオーケストラでヴィオラ奏者を務めて いたことも知られています。 この6つの序曲(シンフォニアと表記されることもあり)はハイドンの作品を思わせる華麗な作品で す。とりわけ第1番では管楽器に多彩な活躍の場を与え、ソリストとして目立たせています。他の曲もどれも 魅力的でウィットに富んでいます。

Pentatone
PTC-5187047(1CD)
「麗しき柔和さ」〜17世紀イギリスの歌曲集
(1)パーセル:音楽が愛の糧ならば Z.379a
(2)ジョン・ブロウ(169-1708):かわいらしいセリーナ
(3)パーセル:薄紫の薔薇(ヨークシャーの祝祭歌「その昔、勇者は故郷に留まるをよしとせず」より)Z.333
(4)ペルハム・ハンフリー(C.1647-1674):父なる神への讃歌(「罪を許してくださいますか」)
(5)ジョン・ブロウ:「ヴィーナスとアドニス」序曲
(6)パーセル:暗く陰気な絶望の迷宮の中で Z.190
(7)パーセル:ようこそ、偉大なる陛下(チャールズ2世の歓迎歌「失せよ、不敵な反逆者よ」1683年より)Z.324
(8)ウィリアム・ウェッブ(c.1600-1657):力強きモーフィアス
(9)パーセル:目覚めよ、わがミューズ(メアリー女王の誕生日のためのオード「目覚めよ、わがミューズ」1690年 Z.320)
(10)パーセル:輝かしき夜の女王が(ヨークシャーの祝祭歌「その昔、勇者は故郷に留まるをよしとせず」より)Z.333
(11)ジョン・ブロウ:パーセルが現れ、ライヴァルは勝ち誇るのをやめた(「ヘンリー・パーセル氏の死に寄せるオード」より)
(12)パーセル:主よ、守り給え(「テ・デウムとユビラーテ」より)Z.232
(13)パーセル:シャコンヌ(「アーサー王」より)
(14)パーセル:おお、私を泣かせてください(「妖精の女王」より嘆きの歌)Z.629
(15)麗しき柔和さで(メアリー女王の誕生日のためのオード「いまや、輝かしき日は来たる」1689年より)Z.332
(16)ジョン・ブロウ:かわいそうなセラドン、無駄にため息をつくばかりで
(17)パーセル:祭壇を飾れ(メアリー女王の誕生日のためのオード「この祝祭を祝え」より)Z.321
(18)ペルハム・ハンフリー:眠りよ、ぬくき眠りよ、来たりて、我が目を閉じよ(夕べのためのアンセム)
(19)パーセル:夕べの讃歌(いまや日はその光を覆い隠し)Z.193
ティム・ミード(C.T)
デイヴィッド・ベイツ(指&Org)、
ラ・ヌオヴァ・ムジカ

録音:2022年3月22-27日/諸聖人教会、ロンドン(イギリス)
デイヴィッド・ベイツ率いる、2007年結成のイギリスの優れた古楽グループ、ラ・ヌオヴァ・ムジカのPENTATONEレーベル3枚目のアルバムは、現代屈指の カウンターテナーの一人、ティム・ミードを迎えての17世紀イギリスの歌曲集。パーセルの歌曲やオード、劇音楽などからの歌を中心に、同時代の作曲家であるブ ロウ、ハンフリー、ウェッブの作品を収録しています。比較的録音の珍しい作品が集められていますが、イギリス古楽の持つ、抑制された美と深い情感を持つ楽曲ば かりで、ティム・ミードの美声と卓越した歌唱技術は、そうした楽曲の数々の魅力を存分に伝えてくれます。ベイツ率いるイギリスのピリオド楽器の名手たちによる 器楽も丁寧な表現で歌を見事にサポート。思わず、聴き入ってしまうこと請け合いです。パーセルの楽曲をカウンターテナーのレパートリーとして現代に蘇らせた往 年の名歌手、アルフレッド・デラー以来の伝統を受け継ぐ、優れた17世紀イギリス・アルバムの登場です。 (Ki)

Signum Classics
SIGCD-736(1CD)
ラヴシック
ウィリアム・ローズ(c.1602-1645):I’m sick of love:O let me lie/ゲール語による伝承曲(ロバート・A・スミス編):There’s none to soothe my soul to rest
エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):Enfin la beaute que j’adore
ウィリアム・ローズ:Perfect and endless circles are
パーセル:When Orpheus sang all nature did rejoice、「キング・アーサー」より組曲
ジョン・ブロウ(1649-1708):Tell me no more you love; in vain
マルク・アントニオ・チェスティ(1623-1669):あこがれの人のまわりに
ヘンリー・ローズ(1596-1662):私は起き上がり、深く悲しむ
アイルランドの伝承曲(ジョン・パイク・ハラー編):真夜中に
パーセル:恋していると彼女はもう告白する
ダウランド
:Complaint: Fortune my foe、Time stands still
ブロウ:The self-banished
スコットランドの伝統的なバラード(リチャード・ラングドン編):メアリーの夢
パーセル:O, lead me to some peaceful gloom
イギリスの伝統的なバラード(トマス・レイヴンズクロフト編):三羽のカラス
不詳:Packington’s Pound
ピエール・ゲドロン(c.1570-c.1620):Cesses mortels de soupirer
伝統的なスコットランドのバラード(ジョン・ジェイコブ・ナイルズ編):Black is the colour of my true love’s hair
パーセル:O solitude, my sweetest choice
ランドール・スコッティング(C.T)、
スティーヴン・スタッブス(Lute)

録音:2020年11月2日-3日、アレグロ・レコーディングス(アメリカ)
そのスタイリッシュで美しい歌声、そしてカリスマ的なステージでの存在感で活躍の場を拡げ、ロイヤル・オペラ・ハウスやメトロポリタン歌劇場、そしてバイエルン国立歌劇場にも出演している大注目のカウンターテナー、ランドール・スコッティングのSignum Recordsへのアルバム第2弾が登場!デビュー・アルバムとなった前作「王冠〜セネジーノのための英雄的アリア集(SIGCD-719)」は、BBCミュージックマガジン誌にて絶賛され5つ星を獲得しました。
失恋や喪失感をテーマにしたこのアルバムでもその美しい魅惑的な声とデビュー・アルバムで証明された表現力で歌い上げています。

CORO
COR-16195(1CD)

PCOR-16195(1CD)
国内盤仕様
日本語解説&歌詞訳&日本語曲目表記オビ付き
目を凝らしてじっと見つめ〜バード、クレメンス、デ・モンテ、タバコヴァ、ファン・ヴィルダー
ウィリアム・バード(c.1540-1623):主よ、起きて、安息所におはいりください
フィリップ・ファン・ヴィルダー
(c.1500-1554):おお甘美な眼差し
バード:主よ、ひどくお怒りにならぬように
バード:あなたの聖なる町々は荒野(あらの)となり
フィリップ・デ・モンテ(1521-1603):おお甘美で優しい人、イエス・キリストよ
ドブリンカ・タバコヴァ(b.1980):主よ、起きて、安息所におはいりください
ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ(c.1510/15-1555/56):悲しみと苦悩が
バード:悲しみと苦悩が
バード:おお主よ、どうかわれらの捕らわれの状態を変えてください
ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ:わたしは野の花
タバコヴァ:おお主よ、どうかわれらの捕らわれの状態を変えてください
デ・モンテ:バビロンの川のほとりに
バード:異国の地で主なる歌を歌えようか?
バード:目をさましていなさい
ザ・シックスティーン、
ハリー・クリストファーズ(指)

録音:2022年11月9日-11日、セント・ハロウズ教会(ゴスペル・オーク、ロンドン)
※国内盤:解説:ハリー・クリストファーズ、アンドルー・スチュワート(日本語訳:SOREL)
英国合唱界の至宝、ザ・シックスティーンの最新アルバムは、ザ・シックスティーンの中心的行事の一つであるイギリス・ツアー「合唱巡礼(Choral Pilgrimage)」の2023年プログラムを収録した「目を凝らしてじっと見つめ(A Watchful Gaze)」。2023年で記念すべき没後400周年となるイギリス・ルネサンスの大家ウィリアム・バード(c.1543-1623)の作品を中心に、クレメンス・ノン・パパ、フィリップ・デ・モンテ、フィリップ・ファン・ヴィルダーなどバードに影響を与えてきた作曲家たちの音楽が組み合わされています。そして世界初録音となるのは、1980年ブルガリア出身、11歳からロンドン在住で国際的に活躍する作曲家、ドブリンカ・タバコヴァの2作品。バード没後400周年を記念してザ・シックスティーンから委嘱された新作で、バードの音楽遺産を受け継ぎつつ、現代的なポリフォニーの美しさが際立つ作品となっています。

Christophorus
CHR-77468(2CD)
来たれ、時よ、わたしを解き放ってください 〜ドイツ・バロックの聖歌集
フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ(1657-1714):来たれ、時よ
ヨハン・ヒルデブラント(1614-1684):ああ神よ!
ヨハン・ショップ(c.1590-1667):涙のパヴァーヌ
ヨハン・ヒルデブラント:ああいと高き神よ
ゲオルク・ベーム:Mein Herz tichtet ein feines Lied
ヨハン・ヴォルフガング・フランク(1644-c.1710):Las, O Herr, dein Ohr sich neigen
スウェーリンク(1562-1621):もしも運命の女神に愛されるなら
ヨハン・クリーガー(1652-1735):Hier lieg ich in der Noth
ウィリアム・ヤング(c.1610-1662):アリア
ガスパーロ・カサーティ(c.1610-1641):天にましますわれらの父よ
アントニオ・ベルターリ(1605-1669):5声のソナタ
ヨハン・アウグスティン・コベリウス(1674-1731):Ich furchte keinen Tod auf Erden
CD2〜ジョヴァンニ・アントニオ・リガッティ(1613-1648):めでたし天の后
ハインリヒ・イグナツ・フランツ・ビーバー:4声のための嘆きのバレット
フェルディナント3世(1608-1657):賛歌「イエスよ、乙女らの花冠」
ジョヴァンニ・レグレンツィ(1626-1690):ソナタ第6番
ハインリヒ・バッハ(1615-1692):ああ、私の頭が水で満ちていたなら
ダヴィッド・フンク(1648-1701):組曲
クリスティアン・ガイスト(c.1650-1711):主の祈り
ヨハン・ルドルフ・アーレ(1625-1673):イエスの甘き思い出
クレメンス・ティーメ(1631-1668):ヴィオールのためのソナタ ニ短調
ヨハン・フィリップ・クリーガー(1649-1725):我は平安に入りて
フランツ・ヴィッツム(C.T)、
バーゼル・カプリコルヌス・コンソート(CD1)、
レゼスカパード(CD2)

録音:2011年2月28日-3月3日(スイス/CD1)、2008年10月1日-4日(ドイツ/CD2)
ドイツの男声ヴォーカル・アンサンブル、シュティムヴェルクのメンバーで、その優れた歌声と詩の解釈で国際的な称賛を得ているカウンターテナー、フランツ・ヴィッツム。バーゼル・カプリコルヌス・コンソート、レゼスカパードと共演した彼の最初の2枚のソロ・アルバムが、この度2枚組CDとなって新たに発売されます。ドイツ・バロックで特にその真価を発揮する声質を持つヴィッツムは、この2枚のアルバムで三十年戦争(1618-1648)当時の聖歌に専念し、澄み切った歌声、洗練されたノンビブラート唱法を聴かせています。

Glossa
GCD-921633(2CD)
アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ:音楽悲劇「アンドロマケ」 エルヴェ・ニケ(指)、
コンセール・スピリチュエル、
ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho、カリーヌ・デエ(ソプラノ/アンドロマケ)、マリア・リッカルダ・ウェッセリンク(メソ・ソプラノ/ヘルミオネ)、セバスティアン・ゲーズ(テノール/ピュロス)、タシス・クリストヤニス(バリトン/オレステス)

録音:2009年10月18日-19日、シャンゼリゼ劇場(フランス)&ブリュッセル・ボザール・パレス(ベルギー)
日本の聴衆に衝撃を与えた2008年の来日公演における大編成でのヘンデルや、2010年のパーセルの歌劇「アーサー王」の上演などで群を抜いた演奏能力を示し、その音楽性が高く評価されてきたエルヴェ・ニケとコンセール・スピリチュエル。ヴェルサイユ・バロック音楽センターとパラツェット・ブル・ザネの協力を得て、フランス・バロックの埋もれた音楽悲劇(トラジェディ・リリック)の復活再演を実現させてきた彼らが2009年に録音し翌年にリリースされた、アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ(1741-1813)の音楽悲劇「アンドロマケ」のディスク(GCD-921620)は長らく廃盤で入手できなくなっていましたが、この度新装再発売が決定!
ベルギーのリエージュで生まれ、18世紀後期のフランス・オペラ界に大きな功績を遺したグレトリが作曲した唯一の音楽悲劇「アンドロマケ」は、17世紀フランスの名作家ジャン・ラシーヌ(1639-1699)の「アンドロマケ(アンドロマック)」を原作とした作品。マリー・アントワネットの庇護を受け、ナポレオンからはレジオン・ドヌール勲章を授けられるなど栄華を極めたグレトリの生涯や、ギリシャ神話やギリシャ悲劇に登場する「アンドロマケ」を主役としたストーリーの知名度の高さとは相反するかのように、ほとんど知られてこなかった音楽悲劇の“音楽”の部分が、マレやデトシュ、リュリの音楽悲劇を見事に蘇演させてきたニケ&コンセール・スピリチュエルの手腕で見事に蘇った重要盤です。

Urania Records
LDV-14097(1CD)
オラツィオ・アルバーニのリュート・ブック
作曲者不詳:トッカータ、フォリア、コレンテ、ガリアルダ、鳥の歌、ファンタジア、Se mai amor[Villanella]、ヴォルタ、フランスの歌、バレット
ロレンツィーノ・トラチェッティ(c.1550-1598):Preludium overo Tochata、ファンタジア、ガリアルダ
ヴィンチェンツォ・ピンティ(1542-1608):Romanesca del Sig.r CAV-aliere、ガリアルダ
アンドレア・ダミアーニ(Lute)

※全曲世界初録音
イタリアはウルビーノにあるアルバーニ図書館が所蔵するオラツィオ・アルバーニ(1576-1653)のコレクションから、16世紀のローマで最も有名なルテニストであったロレンツィーノ・トラチェッティ、ヴィンチェンツォ・ピンティの作品と、作曲者が判明していない埋もれていた作品を組み合わせて収録した1枚。ローマ時代のポリフォニーの伝統とバロック音楽の様式が交わるわずかな瞬間をとらえています。全曲世界初録音。

BIS
BISSA-526(1SACD)
『コルネットと鍵盤楽器のための音楽』
(1)ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ第3番
(2)フレスコバルディ:カンツォーナ第3番「ラ・ルッケジーナ(ルッカの女)」
(3)アンニーバレ・パドヴァーノ(1527-1575):第6旋法によるトッカータ
(4)ダリオ・カステッロ(? - c.1658):ソナタ第1番
(5)ガブリエーリ(c.1532/33-1585):「キ・ラ・ディーラ」によるフランス風カンツォン
(6)ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(c.1580-1651):シンフォニア第13番
(7)アンドレア・ファルコニエーリ(c.1585-1656):ラ・モナルカ(君主)
(8)リッカルド・ロニョーニ(c.1550-before 1620):陽気な羊飼い
(9)アンジェロ・ノターリ(1566-1663):ああ、いつもの情熱が燃えあがってくる
(10)作者不詳:旅立ちの歌
(11)ジローラモ・ダッラ・カーサ(d. 1601):ある日シュザンヌが
(12)ジョヴァンニ・サルヴァトーレ(1611-1688):第9旋法によるトッカータ第2番
(13)ジョヴァンニ・マルティーノ・チェザーレ(c.1590-1667):ラ・フォッカリーナ
(14)フランチェスコ・ロニョーニ・タエッジョ(after 1580-after 1626):恋人よ、あなたは美しい
(15)ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ(1571-1630):ソナタ第2番
(16)ビアージョ・マリーニ(1594-1663):オルガンとヴァイオリンまたはコルネットのためのソナタ
セイチェント・ストラヴァガンテ【ダーヴィド・ブルッティ(コルネット)、ニコラ・ラモン(オルガン、チェンバロ)】
[楽器 Cornetto:Straight Cornetto by Andrea Inghisciano 2019/Curved Cornetto by Paulo Fanciullacci 2018/Mute Cor-netto by Andrea Inghisciano/Organ:Anonymous Organ built in Venice around 1660/Regal:Nicola
Ferroni 2017/Harpsichord:Romain Legros after Giovanni Battista Giusti, 1681]

録音:(2)(3)(8)(10)-(15)2019年11月14-17日/パッロキアーレ・ディ・モンテ・サン・ジョヴァンニ教会(ボローニャ)、
(1)(5)(6)(7)(9)2020年6月24&25日 サン・マルティーノ・ヴェスコヴォ教会(ヴェーシャ、ペルージャ)、
(4)(16)2020年8月26&27日/サン・バルトロメオ教会(カプリーレ、ベッルーノ、イタリア)
ルネサンスの時代には声楽曲を楽器で演奏することがよく行われたと言われています。「言葉がないと、甘美な音楽に流れる感情はどう 表現されるだろう」。このアルバムは、そうした「素晴らしくバロック的な思いつき」から作られました。フォンタナの2つの「ソナタ」、パドヴァーノとサルヴァトーレ の「トッカータ」、カプスベルガーの「シンフォニア」などの間に、ヴェネツィアのオルガニスト、アドリアン・ガブリエーリが、アドリアン・ヴィラールトのシャンソン「Qui la dira la peine de mon coeur(わが心の痛みを誰が語れよう)」を編曲した「「キ・ラ・ディーラ」によるフランス風カンツォン」といった曲をはさむプログ ラム。
「セイチェント・ストラヴァガンテ Seicento Stravagante」(贅沢な17世紀)は、コルネット奏者のダーヴィド・ブルッティと鍵盤楽器奏者のニコラ・ラモン がルネサンスと初期バロックの音楽を演奏するために結成したデュオ。2018年6月のラヴェンナ音楽祭期間中にサン・ヴィターレ聖堂で3回のコンサートを行っ てデビューし、高い評価を獲得しました。ブルッティはこのアルバムで、ストレート・コルネット、カーブド・コルネット、ミュート・コルネットの3種の楽器を使い分 けています。 (Ki)

MIRARE
MIR-624(1CD)
レシ
組曲ニ調
(1)ジャック・ボワヴァン:レシ・グラーヴェ
(2)アンリ・デュモン:アルマンド
(3)マラン・マレ:鐘あるいはカリヨン
(4)同:人間の声
(5)アンリ・デュモン:デュモン氏のパヴァーヌ
組曲ホ調またはト長
(6)ジャン=アダム・ギラン:ティルセによるレシ
(7)同:トリオ
(8)マラン・マレ:ジグ「もめごと」
(9)同:嘆き
(10)同:シャコンヌ
(11)ジャン=アダム・ギラン:ディアローグ
(12)マラン・マレ:昔のリュート作曲家の流儀によるパヴァーヌ
組曲イ調
(13)ダンドリュー:ティルセによるレシ
(14)アンリ・デュモン:オルガン・タブラチュアによるアルマンド
(15)ルイ・クープラン:ピエモンテ人
(16)マラン・マレ:サラバンド
(17)同:花嫁
(18)同:ファンタジー
組曲ニ調
(19)ルイ・マルシャン:レシ
(20)ピエール・デュ・マージュ:バス・ド・トロンペット
(21)ルイ・クープラン:クープラン氏のサラバンド
(22)ピエール・デュ・マージュ:プラン・ジュ
サロメ・ガセラン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
エマニュエル・アラケリヤン(Org)、
マティアス・フェレ、アンドレアス・リノス、コリンナ・メッツ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
ジャスティン・テイラー(Cemb)

録音:2021年9月 聖アポリネール・ド・ボラン教会(ベルギー)、12月 サン・トゥルザンヌ教会(スイス)
サロメ・ガセランはアンジェとナントの音楽院で学んだ後、リヨンとデン・ハーグで研鑽を積んだ若きヴィオラ・ダ・ガンバ奏者。才色兼備の音楽家ながら、ラグ ビー選手も考えたという異色の経歴を持っています。
ルイ14世治下のフランスではクープランらの鍵盤音楽が台頭しましたが、同時にマラン・マレらの活躍でヴィオラ・ダ・ガンバが独奏楽器として華開きもいまし た。それで生まれた魅力的な作品を集めました。調性ごとにいろいろな作曲家の小品を組曲にして変化をもたせています。 (Ki)

Hyperion
CDA-68415(1CD)
ジョスカン・デ・プレ:千々の悲しみ*
モラレス:ミサ曲 「千々の悲しみ」#、
 ミサ曲 「千々の悲しみ」(1535/7年初稿版より サンクトゥス、
 ベネディクトゥス、アニュス・デイ)#、第1旋法によるマニフィカト
作者不詳(16世紀スペイン):Desilde al cavallero*
モラレス:ミサ曲 「Desilde al cavallero」+
デ・プロファンディス、
ロバート・ホリングワース(指)*#、
イーモン・ドゥーガン(指)+、
マーサ・マクロリナン(A)*、
リンダ・セイス(リュート、ビウエラ)*

録音:2022年5月2日-4日、セント・ジュード・オン・ザ・ヒル教会(ロンドン)
イ・ファジョリーニやケンブリッジ・タヴァナー合唱団のメンバーとして活動したマーク・ドゥーリッシュによって2011年に結成され、その独創的な活動で注目を浴びるルネサンス音楽専門の男声ヴォーカル・アンサンブル、デ・プロファンディス。 Hyperionからは「ベルナルディーノ・デ・リベーラ」(CDA68141)、「セバスティアン・デ・ビバンコ」(CDA68257)、「フアン・エスキベル」(CDA68326)と、知られざるスペイン・ルネサンスの音楽を精力的にレコーディングしてきたデ・プロファンディスのHyperion第4弾は、クリストバル・デ・モラレス(c.1500-1553)の2つのミサ曲とマニフィカトを収録。 モラレスはジョスカン・デ・プレの死後、パレストリーナとラッススが台頭する間の時代に活躍した、スペイン・ルネサンスの大家であり、おそらく当時もっとも有名な作曲家です。これまでの録音(デ・リベーラ、デ・ビバンコ、エスキベル)に比べれば著名な音楽家ですが、本格的な調査・研究は途上であり、今回収録されるミサ曲やマニフィカトの録音も限られていました。メインとなるミサ曲「千々の悲しみ(Mille regretz)」は、天正遣欧少年使節団が帰国後に豊臣秀吉に聴かせたというエピソードでも有名なジョスカンの「千々の悲しみ」で知られる、フランスのシャンソンを元にしたパロディ・ミサ。ミサ曲「Desilde al cavallero」は、今日ではあまり知られておりませんが、カベソンやゴンベールの作品にも用いられている当時のスペインの流行歌を基にしており、いずれもモラレスの比較的早い時期に書かれたであろうと考えられています。 決まった音楽監督置かず、プロジェクトごとにその道のスペシャリストを指揮者に招くというのもデ・プロファンディスの特徴の1つです。今作では、イ・ファジョリーニの創設者ロバート・ホリングワースと、ザ・シックスティーンのアソシエイト・コンダクターであり、Coroレーベルでは知られざるポーランド・バロックの録音シリーズでその手腕を発揮してきた実力者、イーモン・ドゥーガンがそれぞれ指揮を担当。ジョスカンの「千々の悲しみ」と「Desilde al cavallero」の原曲もマーサ・マクロリナンの歌で収録し、ミサ曲「千々の悲しみ」は、サンクトゥス〜アニュス・デイの部分は1544年版と1535/7年初稿版の両ヴァージョンを収録するなど、隙の無いプログラム構成も大きなポイントです。

Da Vinci Classics
C-00658(1CD)
ジュリオ・サン・ピエトロ・デル・ネグロ(ca.1570-a.1620):モテット集「愛への憧れ」(世界初録音) スコラ・カントルム・バレンシス、
ジルベルト・スコルダーリ(オルガン&指揮)、
トーマス・チギオーニ(Vc)

録音:2022年4月、キエーザ・デル・アマルティファーナ(モノポリ、イタリア)
17世紀初頭における「前衛作曲家」と位置付けられるジュリオ・サン・ピエトロ・デル・ネグロの音楽的存在感については、未だに十分な考察がなされていません。
しかしながら、近年の研究や彼の伝記によって、同時代の音楽文化の枠組みの中でデル・ネグロが果たした役割が再認識されつつあります。
今回収録された15曲のモテットは、「セコンダ・プラティカ」と呼ばれる音楽様式で作曲されており、デル・ネグロの真価の再評価の一端を担うことでしょう。
Da Vinci Classics
C-00653(1CD)
ギターのためのドイツ・バロックの音楽
ブクステフーデ:組曲ホ短調 BuxWV.237
フローベルガー:組曲イ長調 FBWV.608
バッハ:パルティータ ハ短調 BWV.997
ヴァイス:ソナタ第13番ニ長調 WEISSSW.18(ロンドン・マニュスクリプト)
フランチェスコ・モルメンティ(G)

録音:2021年7月、サン・ミケーレ・ア・カノーヴァ教会(イタリア)
撥弦楽器の中で、バロック時代を代表する楽器といえば、リュートとチェンバロ。
この2つの楽器のために書かれた音楽の演奏にギターで取り組んだフランチェスコ・モルメンティは、イタリアのギタリスト兼音楽学者。
2015年のアジア・インターナショナル・ギター・フェスティヴァル&コンクールでも第2位を獲得するなど、世界各地で活発に活動を続けています。

ARCANA
A-539(1CD)
モッシとモンタナーリ、18世紀ローマのヴァイオリン音楽
アントニオ・モンタナーリ(1676-1737):ドレスデン・ソナタ ニ短調
ジョヴァンニ・モッシ(1680頃-1742):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 Op.6-4*
モンタナーリ:ドレスデン・ソナタ ホ短調
モッシ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ長調 Op.6-5*
モンタナーリ:ドレスデン・ソナタ イ短調*
モッシ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調 Op.5-6*
ガブリエーレ・プロ(Vn、指揮)
 使用楽器:クレモナのジュゼッペ・グヮルネリ・デル・ジェズ1730年製作モデルによるラヴェンナのマルコ・ミンノッツィ2018年製作の再現楽器
アニマ&コルポ(古楽器使用)【マリア・カルヴォ(Vc)、シモーネ・ヴァッレロトンダ(アーチリュート、バロックギター)、クリスティアーノ・ガウディオ(Cemb)】

録音:2021年7月18-21日サンタゴスティーノ教会講堂、サン・ジネジオ(イタリア南東部マチェラータ県)
*=世界初録音
バロック期を通じ、芸術愛好の貴族や高位聖職者たちによって豊かな音楽文化が育まれていた永遠の都ローマ。17世紀末にはボローニャ で腕を磨いたヴァイオリンの名手コレッリが拠点を構え、作曲・演奏の両面で大いに活躍をみせました。その影響力は諸外国にも及んだ一 方、地元ローマでもコレッリ亡き後なお数多くのすぐれたヴァイオリン奏者=作曲家が活躍していたことは見過ごせません。イタリア屈指の古楽 レーベルARCANAが世に問うこのアルバムは、その中でも特に注目すべきモッシとモンタナーリの二人に光を当てたもの。コレッリの影響を色 濃く残しながら、流麗な歌心を通奏低音とヴァイオリン一つで紡ぎ出すモッシのソナタ、歯切れの良さとコントラストの明快さ、着想の多様さが 魅力的なモンタナーリの「ドレスデン・ソナタ」、両者ともコレッリに師事したかは定かでないながら、いずれ劣らぬ充実ぶり。楽都ローマの器楽 面での充実が彼らによって担保されていたことがよくわかります。ヴァイオリンのガブリエーレ・プロが端正に奏でる主旋律もさることながら、シモー ネ・ヴァッレロトンダの小気味良い撥弦をはじめ、味わい深い音色を聴かせる通奏低音の立ちまわりも聴きどころに事欠きません。

Linn
CKD-708(1CD)
よく整えられたヴィオール合奏曲集 第3巻』 バッハ:ヴィオール合奏による作品集 3
バッハ:3声のシンフォニア 第1番 ハ長調 BWV 787〜『インヴェンションとシンフォニア』より
われらの主キリスト、ヨルダン川に来り BWV 684〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第3番嬰ハ長調 BWV 872〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
すべての世の慰めなるキリストよ BWV 673〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第24番ロ短調 BWV 893〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
われらみな唯一の神を信ず BWV 680〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第15番ト長調 BWV 884〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
プレリュード 第18番嬰ト短調 BWV 863〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より*
フーガ 第18番嬰ト短調 BWV 863〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より*
「これぞ聖なる十戒」によるフゲッタ BWV 679 〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第2番ハ短調 BWV 847〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より
プレリュード 第12番ヘ短調 BWV 881〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
フーガ 第12番ヘ短調 BWV 881〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
3声のシンフォニア 第8番ヘ長調 BWV 794〜『インヴェンションとシンフォニア』より
フーガ 第23番ロ長調 BWV 892〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
フーガ 第11番ヘ長調 BWV 880〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
「イエス・キリスト、われらが救い主」によるフーガ BWV 689〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第21番変ロ長調 BWV 866〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より
キリエ:永遠の父なる神よ BWV 669〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第18番嬰ト短調 BWV 887〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
キリエ:永遠の父なる神よ(別のやり方で)BWV 672〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
キリエ:聖霊なる神よ BWV 674〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第20番イ短調 BWV 889〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より
「いと高き天にいます神にのみ栄光あれ」によるフゲッタ BWV 677〜『クラヴィーア練習曲集 第3巻』より
フーガ 第8番嬰ニ短調 BWV 877〜『平均律クラヴィーア曲集 第2巻』より*
フーガ 第5番ニ長調 BWV 850〜『平均律クラヴィーア曲集 第1巻』より
ファンタジア ト長調 BWV 572

無印:原調による演奏
*:半音または全音低く移調して演奏
ファンタズム(古楽器使用)【ローレンス・ドレフュス(ディスカント・ガンバ、指揮)、エミリア・ベンジャミン(ディスカント・ガンバ)、ジョナサン・マンソン(テノール・ガンバ)、ハイディ・グレーガー(バス・ガンバ、ヴィオローネ)、マルック・ルオラヤン=ミッコラ(バス・ガンバ)】

a=415Hz

録音:2022年5月23-26日アルトグリーニッケ教区福音教会、ベルリン
『マタイ受難曲』やブランデンブルク協奏曲第6番、チェンバロを伴う3曲のソナタなど、バッハは18世紀初頭すでに廃れはじめていた古い弓奏 弦楽器ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)をさまざまな名曲で活躍させました。この種の楽器の全盛期は16〜17世紀で、ディスカント(高音域) の小型楽器からバス、時には最低音域を受け持つヴィオローネまで大小揃えたコンソートは教会奏楽の伴奏から貴人たちが愉しむ合奏ま で、さまざまな局面に活躍の場を見出していました。オルガンをはじめ鍵盤楽器の独奏用に書かれた曲をヴィオール合奏に編曲して弾く習慣 も古くからあり、英国を代表するヴィオール合奏団ファンタズムはその史実に倣うかのごとく、バッハの『平均律クラヴィーア曲集』の収録曲をヴィ オール合奏で演奏したアルバムをこれまでに2作LINN RECORDSに録音してきました。好評を受けての第3弾は、この演奏形態の歴史的 ルーツにも触れるオルガン作品『クラヴィーア練習曲集 第3巻』や『インヴェンションとシンフォニア』からの作品も多数収録。バッハが生まれた 17世紀のドイツに息づいていた伝統の息吹も感じさせながら、名手揃いのファンタズムならではの気品漂う解釈は今回も深い余韻を残す演 奏に仕上がっています。本来の楽器での演奏とはまた違った角度から光が当たることで、それぞれの曲に潜む思わぬ奥深さにも気づかされま す。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-088(1CD)
フランス・バロックのカンタートの世界
クレランボー(1676-1749):カンタート「オルフェ」((1710年パリ刊/同年の手稿譜〔フランス国立図書館所蔵〕による演奏)
シャルル・ピロワ(1670頃-1724):カンタート「ユリディスの冥府への再送還」(1717年パリ刊)
ダンドリュー(1682-1738):オルフェのリラ((『クラヴサン曲集 第2巻』〔1728年パリ刊〕より)
ラモー:カンタート「オルフェ」(1721年の手稿譜〔フランス国立図書館所蔵〕による演奏)
マラン・マレ:人間の声((『ヴィオール曲集 第2巻』〔1701年パリ刊〕より))
ウジェーヌ・ルフェーヴル(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
ザッカリー・ワイルダー(ターユ〔テノール〕)
エティエンヌ・バゾラ(バス・ターユ〔バリトン〕)
ジョゼフ・コッテ、ルイ・クレアック(Vn)
トマ・ルコント(フラウト・トラヴェルソ)
ヴァレリー・バルサ=ジャフレ(フラウト・トラヴェルソ、バロック・ピッコロ)
アントワーヌ・トゥーシュ(Vc)
マティルド・ヴィアル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ロナン・カリル(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ティボー・ルーセル(テオルボ、リュート)

録音:2022年3月14-17日プティ・トリアノン宮殿礼拝堂、ヴェルサイユ、フランス
「フランスにはフランスならではの音楽を」と、自国の音楽を何より優先させた太陽王ルイ14世が世を去ったのが1715年。その少し前から、イ タリア人作曲家たちの室内カンタータを手本にフランス独自の発展をみせていたフランス語歌詞によるカンタートの数々は、時としてヴァイオリン やフルートを加えた編成で充実した音楽描写が聴かれ、個々に小さなオペラのような魅力が詰まっています。カンプラやクレランボーの傑作群 は録音も多くなされてきましたが、ヴェルサイユ宮殿の催事部門Chateau de Versailles Spectaclesが主宰するレーベルで制作されたこ のアルバムでは、フランス最前線でソロ及びアンサンブルで活躍する実力派ばかりが居並ぶ充実編成が目を引きます。テーマは古代神話の 詩人音楽家オルフェウスの物語。クレランボーの傑作に始まり、その人気をふまえた続編として出版されたピロワの珍しい作品、作曲者の知 名度に反して意外に録音が多くないラモーの『オルフェ』といった充実選曲を、バロックのオペラや宗教曲で広範に活躍する3人の歌手が細や かな解釈で歌い上げる一方、アンサンブル経験豊かなソリスト続々の器楽勢も随所で耳を惹く立ちまわりをみせ、聴きどころに事欠きませ ん。最後を飾るのは、ネヴァーマインドのルイ・クレアック、ピグマリオンやアンサンブル・コレスポンダンスのジョゼフ・コッテという、フランス第一線の 古楽団体で活躍する俊才ヴァイオリニスト2人。「歌なし」で締めくくられる最終トラックがもたらす余韻も実に味わい深いものがあります。

H.M.F
HMM-902712(2CD)
ビーバー:ロザリオ・ソナタ
[CD1]
「喜びの秘蹟」
第1番ニ短調「受胎告知」,第2番イ長調「訪問」,第3番ロ短調「降誕」,
第4番ニ短調「拝謁」,第5番イ長調「神殿のイエス」
「苦しみの秘蹟」
第6番ハ短調「オリーヴの山で苦しみ」,第7番ヘ長調「鞭打ち」,
第8番変ロ長調「いばらの冠をのせられ」,第9番イ短調「十字架を背負う」
[CD2]
第10番ト短調「磔刑」
「栄光の秘蹟」
第11番ト長調「復活」,第12番ハ長調「昇天」,第13番ニ短調「聖霊降臨」,
第14番ニ長調「聖母被昇天」,第15番ハ長調「聖母の戴冠」、第16番「守護天使」(パッサカリア)
アマンディーヌ・ベイエ(Vn)
使用楽器:第1, 10, 16番/1996年製ピエール・ジャケ製(アマティ・モデル)*
第2,4,6,11,14番/2015年シャルル・リシェ製、ヤコブス・シュタイナー・モデル)**
第3,7,8,12番/2011年マルセロ・ヴィアナ・クルス製、ジョヴァンニ・バッティスタ・グァダニーニ・モデル)**
第3,7,8,15番/2021年マルセロ・ヴィアナ・クルス製、ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ・モデル)*
弓:1998年アントニーノ・アイレンティ製*、2005年エドゥアルド・ゴル製**
バルドメロ・バルシエラ/ヴィオラ・ダ・ガンバ 、ヴィオローネ
フランチェスコ・ロマノ/アーチリュート
ナチョ・ラグナ/テオルボ
アンナ・フォンターナ(チェンバロ、ポジティブ・オルガン)

録音:2022年9月
17世紀のヴァイオリン音楽の至難の名曲、ビーバーのロザリオ・ソナタ。多様なスコルダトゥーラ(変則調弦)が指定されている上に、自身ヴァイオリンの 名手でもあったビーバーが、自身の腕前を披露するために各曲に高い技術と深い内容を盛り込んだ超難曲です。数多くの名盤が存在しますが、ここで、ベイエ による、きらりと光る名演の登場。ビーバーが見事に楽譜に書き起こした即興性に満ちたパッセージや旋律が、躍動的なリズムとともに生きもののように聴き手 に迫ってきます。どの曲も高い技術で演奏されているのはもちろん、ひとつのフレーズの中でも下降音型と上行音型で表情がまったく異なる歌にみちているなど、 細部まで美しい表情に満ちていて、非常に人間味にあふれています。通奏低音のメンバーと織りなす美しいアンサンブルも聴きものの充実の演奏です。
注目なのが、この録音が生まれるきっかけ。それはベルギーの国際的ダンス・カンパニー、ローザスの公演でした。2022年2月にベルギーで初演された 「Mystery Sonatas/ for Rosa」の公演では、ビーバーのロザリオ・ソナタの楽曲をバックにローザスのダンサーが踊りましたが、その音楽演奏をベイエら が担当しました。聖書の物語に基づく音楽ではありますが、楽曲にはクーラントはサラバンドなどの舞曲も含まれており、舞曲の要素も多分に含まれるロザリオ のソナタ。ダンサーたちはバラの花びらや棘を思わせる動きをしながら作品が進行、美しい照明もあいまって、舞台は絶賛されました。そこでの体験はベイエにとっ て大変大きなもので、ぜひ録音を、ということで実現したのがこのディスクです。ダンサーたちの動きに合わせて演奏しているかのような、抜群のリズムと躍動 感に満ちたこの名演奏の理由のひとつといえるでしょう。ジャケット写真もローザスの公演のものとなっております。 (Ki)

Evil Penguin Records
EPRC-0050(1CD)
イン・メモリアムI
シューベルト:「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲 D802Op.160(原曲:フルートとピアノ)
ソナタ イ長調 D574Op.post.162(原曲:ヴァイオリンとピアノ)
ロンド ロ短調 D895Op.70(原曲:ヴァイオリンとピアノ)
幻想曲 ハ長調 D934(原曲:ヴァイオリンとピアノ)
ピーター・ウィスペルウェイ(Vc)
パオロ・ジャコメッティ(P)

録音:2014-2017年
2023年にウィスペルウェイが発表する「イン・メモリアム」シリーズの第1弾。今作は過去にリリースされたシューベルトとブラームスの録音プロジェクトから、 シューベルトの作品を抜粋して再構成したアルバムです。どれも元は別の楽器のために書かれた作品でありながら、チェロの音色にも非常にマッチする美しい名品 ばかり。ウィスペルウェイが厚い信頼を寄せるピアニスト、パオロ・ジャコメッティの伴奏も息ぴったりです。シューベルトの音楽は、音楽愛好家だったウィスペルウェ イの息子にも大きな影響を与えたそうです。
「2022年、60歳の誕生日を迎える半年前に、息子のドリアンが亡くなりました。私も家族もたいへんなショックを受け、毎日が根底から揺らいでいる状態です。 音楽を通して、前向きで建設的な癒しをもたらすことが、私の進むべき道だと思います。」(ピーター・ウィスペルウェイ)
2023年10月頃に「イン・メモリアムII」として、バッハとコダーイのソロからの新録音をリリース予定。 (Ki)

Initiale
INL-13(1CD)
スフマート
コレッリ(編曲者不詳):ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタOp.5
ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタRV47〜前奏曲
ジャコギルボベ・チェルヴェット:トリオ・ソナタOp.1の3
マラン・マレ:組曲ト短調〜前奏曲
マルチェッロ:2つの低音のためのソナタOp.6の2
ジャン=バティスト・バリエール:チェンバロ・ソナタ第4番〜アダージョ
 チェロ・ソナタ第6番
ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタRV47〜ラルゴ
ジャン=バティスト・バリエール:チェロ曲集第3巻〜ソナタ第2番
セ・テトランジュ・エクラ【ゴーチエ・ブルタン(Vc)、アニエス・ボワソンノ=ギルボ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、クロエ・リュカ(ヴィオローネ)、ノラ・ダルガザンリ(チャンバロ)】

録音:2020年10月26-29日ボン・スクール・ルター派教会(パリ)
セ・テトランジュ・エクラは低弦だけの編成による若き古楽器団体。パリ音楽院の学生で結成され、17-8世紀の低弦レパートリーに興味と情熱を燃やしていま す。グループ名はアラゴンの詩からとられ、「長く残る香り」を意味します。18世紀の聴衆を驚かせたオーディオ効果をお楽しみください。 (Ki)

H.M.F
HMM-902709(1CD)
鳥たちのコンサート
(1)パーセル:鳥への前奏曲〜「妖精の女王」より
(2)ファン・エイク:イギリスのナイチンゲール〜「笛の楽園」より
(3)テオドール・シュヴァルツコップ:ナイチンゲールとカッコウの模倣によるソナタ:アレグロ/ジーグ
(4)クープラン(ラ・レヴーズ編):恋のナイチンゲール〜「クラヴサン曲第3巻」より
(5)ジャン=バティスト・ブセ(ラ・レヴーズ編):どうして、甘いナイチンゲール〜「エール第14巻」より
(6)モンテクレール:さえずり〜2本のフルートのためのコンセール第5番
(7)クープラン(ラ・レヴーズ編):嘆くホオジロ〜「クラヴサン曲第3巻」より
(8)コレット:カッコウ
(9)サン=サーンス(ヴァンサン・ブショ編):森の奥のカッコウ〜「動物の謝肉祭」より
(10)ブリテン(ヴァンサン・ブショ編):カッコウ〜「金曜の午後」より
(11)ラモー(ヴァンサン・ブショ編):雌鶏
(12)サン=サーンス(ヴァンサン・ブショ編):雌鶏と雄鶏〜「動物の謝肉祭」より
(13)ラヴェル(ヴァンサン・ブショ編):女王の陶器人形レドロネット〜「マメール・ロワ」より
ヴァンサン・ブショ:絶滅危惧種の謝肉祭
(14)前奏曲:センザンコウの悲しみ
(15)アルマンド:ジャワスローロリス
(16)クーラント:昔の家禽ドードー
(17)間奏曲:レソミラ63
(18)サラバンド:白フクロウと黒フクロウ
(19)ガヴォット:インドガビアル(ワニ)
(20)間奏曲:レソミラ92
(21)ヴァルス・ツイスト:ナマコ
(22)ジーグ:人類、その進化
ラ・レヴーズ【セバスティアン・マルク(リコーダー、フラジオレット)、野崎剛右(フラジオレット、リコーダー、ミュゼット、ゲムスホルン)、フローランス・ボルトン(バス・ヴィオール、パルドゥシュ・ヴィオール)、バンジャマン・ペロー(テオルボ、バロックギター)、ジャン・ミゲル・アリスティサバル(Cemb)、シルヴァン・ルメートル(マリンバ、ヴィブラフォン、打楽器)】

録音:2022年6月/サン=ジャン=ド=ブレイ・カトリック教会(1)-(13)、2022年1月/シテ・ドゥ・ラ・ミュジーク(パリ)(14)-(22)
鳥は人類が音楽を始めるはるか昔からさえずっていました。人間が計算し考え抜いた完璧な音楽を作る間に、鳥は妙なる調べを自然に繰り出します。
作曲家たちは自然現象やある種の騒音を表現する試みをしてきましたが、鳥のさえずりは世界中で音楽化され、それぞれが工夫を見せています。ルネサンス、バ ロックはもとより、サン=サーンス、ラヴェル、ブリテンらの近代手法による鳥描写も楽しめます。
さらにヴァンサン・ブショがサン=サーンス作品をもじって作った「絶滅危惧種の謝肉祭」が聴きもの。古典組曲の様式であまり親しみのない動物たちを描き、最 後「人類」で閉めているのも意味深長でいろいろ考えさせられます。ブックレットはフルカラーで各種鳥類や動物の詳細な説明もあり愛蔵したくなる美しさです。
ラ・レヴーズはフローランス・ボルトンとバンジャマン・ペローにより2004年に創設された古楽器団体。17-8世紀作品が中心ですが、音楽と時事問題を組み 合わせたテーマで作品を構成し話題となっています。 (Ki)

BONGIOVANNI
GB-2602(2CD)
ピッチンニ:歌劇『ディドン』 デニア・マッツォラ・ガヴァッツェーニ(ディドン)
ゴナ・ジョン(エリーゼ)
シュザンナ・ハコブヤン(フェニス)
後田翔平(エネー)
ジョルジョ・ヴァレリオ(イアルベ)
フルヴィオ・オッテッリ(アラスペ/アンキセスの影)
アブ・ハルモニアエcho
オルケストラ・フィラルモニカ・イタリアーナ
ダミアーノ・チェルッティ(指)

録音:2021年5月/カストレッツァート、オーディトリアム・カヴァッリ・ムジカ
イタリアからパリに渡り、グルックと対立させられ論争に巻き込まれるほどの名高いオペラ作曲家として活躍したニコロ・ピッチンニ(1728-1800)。ジャン・ フランソワ・マルモンテルのフランス語の台本による3幕の叙情悲劇『ディドン』は、1783年10月16日にフォンテーヌブローでルイ16世とマリー・アン トワネットの立会いのもと初演されたオペラで、その後も何回も演奏された名作です。同じ題材を用いたベルリオーズの『トロイアの人々』にも影響を与えた とされています。 (Ki)
BONGIOVANNI
GB-2259(2CD)
パイジェッロ:歌劇『空想のソクラテス』 クラウディア・マルキ(ドンナ・ローザ)
ヨランダ・アウヤネット(エミーリア)
ダニエラ・スキッラーチ(ラウレッタ)
リンダ・カンパネッラ(チッラ)
フィリッポ・ピーナ・カスティリョーニ(イッポリート)
ドメニコ・コライアンニ(マストロ・アントニオ)
クリストフォロス・スタンボーリス(ドン・タンマーロ・プロモントリオ)
マッテオ・ペイローネ(カランドリーノ)
サヴォナ・G.マンツィーノ劇場cho
サヴォナSO
ジョヴァンニ・ディ・ステファノ(指)

ライヴ録音:1998年11月5・7・8日/サヴォナ、キアブレラ劇場
ジョヴァンニ・バッティスタ・ロレンツィと、啓蒙主義者のフェルディナント・ガリアーニが手がけた台本による3幕の喜劇『空想のソクラテス』。1775年10月 にナポリのヌオーヴォ劇場で初演され、大成功を収めたオペラです。内容は古代の哲学にかぶれソクラテスに心酔しすぎた男ドン・タンマーロ・プロモントリオが、 自身をソクラテスだと信じ込んでしまいソクラテスの生き方をなぞってしまうがために起こすドタバタ劇。指揮者ジョヴァンニ・ディ・ステファノ自らの校訂譜を使 用。
同品番で出ていた商品が、品番を変えずバーコードのみ変わって廉価再発売。ブックレットはトラックリストのみ。以前のバーコード(8007068225927)の 商品は廃盤になります。

CPO
CPO-555459(2CD)
NX-D1
シャイン(1586-1630):イスラエルの泉(1623)
【CD1】
イスラエルの泉 第1部 1-13
【CD2】
イスラエルの泉 第2部 14-26
オペラ・ムジカ【イザベル・シッケタンツ(ソプラノ1)、ハイディ・マリア・タウベルト(ソプラノ2)、スザンネ・ラングナー(A)、トビアス・フンガー(T)、フリーデマン・クロス(Bs)】
ティルマン・シュタインヘーフェル(ヴィオローネ)
グレゴール・メイヤー(指揮&ポジティフオルガン)

録音:2021年1月15-18日
ハインリヒ・シュッツ、ザムエル・シャイトと共にドイツ初期バロック音楽の隆盛に貢献したヨハン・ヘルマン・シャイン。ワ イマールの宮廷楽長やライプツィヒの聖トーマス教会の楽長を務め、ルター派の教えを魅力的な音楽で伝えるとと もに、ヴェネツィア楽派のコンチェルタート様式による教会音楽の発展に貢献しました。 この1623年に出版された5声と通奏低音からなる26曲のマドリガーレ集「イスラエルの泉」はライプツィヒ時代にお ける彼の代表作であり、ドイツ・オランダのモテットの伝統に、イタリアのマドリガーレの様式を融合させた意欲作。ド イツ17世紀のプロテスタントの心情も的確に反映された荘厳かつ美しい曲集です。演奏は2011年に指揮者グ レゴール・メイヤーによって設立されたオペラ・ムジカ。実力派の歌手たちをメンバーとするアンサンブルです。

Resonus
RES-10308(1CD)
NX-B05
イングランド王政復古期の歌曲集
ジョン・ブロウ(1649-1708):The Glorious Day is Come
Couch’d by the pleasant Helliconian spring
パーセル:『Dioclesian ダイオクリージャン』 Z.627, Act V- Oh, the sweet delights of love
3. A New Ground 新しいグランド ホ短調 ZT. 682
歌劇「妖精の女王」 Z. 629, Act V - O let me weep
歌劇「妖精の女王」 Z. 629? 序曲
Celebrate This Festival この祝祭を祝え Z. 321- Crown the altar, deck the shrine
Love’s Goddess Sure Was Blind 愛の女神は確かに盲目だった  Z. 331- Many such days may she behold
ブロウ:Laudate Nomen Domini
ブロウ:The Queen’s Epicedium
パーセル:O dive custos Auriacae domus 「徳」らに命じよ Z.504
フランチェスコ・コルベッタ(1615-1681):シャコンヌ
パーセル:She loves and she confesses too
 彼女は恋し、愛をうちあける Z.413
ジョン・エクルズ(1668-1735):Haste, give me wings
ブロウ:組曲第2番ニ短調- グラウンド
パーセル:乙女の最後の祈り Z. 601- No, resistance is but vain
 パーセル:組曲第6番ニ長調 Z. 667より【16. Prelude/ Almand/ [Hornpipe]】
パーセル:ドン・キホーテの滑稽な物語 Z. 578 - From rosy bow’rs
パーセル:歌劇「妖精の女王」 - If love’s a sweet passion
チェルレオ(古楽器使用)【エミリー・オーウェン(S)、ジェニー・ハーパー(S)、トビー・カー(テオルボ&バロック・ギター)、ケイト・コンウェイ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
サトコ・ドイ=ラック(Cemb)】

録音:2022年1月6-8日
2014年にギルドホール音楽演劇学校の生徒たちが結成した古楽アンサンブル、チェルレオ。メンバーは在学中に接したイングランド王政復古時代の 音楽に魅了され「誰もがパーセルの「ダイドーとエネアス」に感激した」といいます。彼らのCD第一作は原点ともいうべきパーセルとブロウの音楽集。二 人のソプラノはともにボーイ・ソプラノにも通じる澄んだ声質で、若き日のエマ・カークビーの声を思い出させます。同じ古楽歌手といってもフランスやイタリ アの歌手たちとは微妙に違ったイギリスらしい声で聞かせます。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-086(2CD)
NX-D09
リュリ:「プシュケ」 〜序幕付全5幕の抒情悲劇(全曲) プシュケ/苦悩する女…アンブロワジーヌ・ブレ(S)
美の女神ヴェニュス/ミューズ…ベネディクト・トーラン(S)
恋の神/アグロール/ニンフ…デボラ・カシェ(S)
花の女神フロール/シディプ/ニンフ/ミューズ…ユジェーヌ・ルフェーヴル(S)
ヴェルテュムヌ/青年に扮した恋の神/メルキュール…シリル・オヴィディ(オートコントル〔高音テノール〕)
火の神ヴュルカン/苦悩する男/憤怒の鬼…ロバート・ゲチェル(T)
パレモン/海の精シレーヌ/西風の精ゼフィール/憤怒の鬼/酒の神バッコス…ファビアン・イオン(T)
アポロン/西風の精ゼフィール/サティール…ザッカリー・ワイルダー(T)
大神ジュピテール/苦悩する男/サティール…フィリップ・エステーフ(Br)
リカス/王/モミュス/川の神/憤怒の鬼…アナス・セガン(Br)
軍神マルス…マチュー・エム(Br)
合唱のみ…ドミニク・ボヌタン、ブノワ・プロシェロ(オートコントル)
レ・タラン・リリク(古楽器使用)
クリストフ・ルセ(クラヴサン〔=チェンバロ〕、指揮)

録音:2022年1月29-31日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
18世紀以前の知られざる音楽劇蘇演に大きな貢献をみせてきたフランスの古楽歌劇カンパニー、レ・タラン・リリク。特にフランス語台本のオ ペラは、指揮者ルセほか多くのメンバーにとって日常言語の延長上にあるといってもよい言葉と音楽性の相性の良さが抜群のパフォーマンスに 繋がります。17世紀、ルイ14世の治世下にあって演劇と音楽の融合を追求し続けた王室音楽総監督リュリの劇音楽は、そんな彼らの本 領がここぞとばかりに発揮される領域。Aparteから2019年に「イシス」を、また2022年秋には「アシスとガラテー」をリリースしたのも記憶に新 しいところ、今度は抒情悲劇第6作「プシュケ(プシシェ)」が堂々登場!音楽入り演劇のあり方を巡って決裂する直前の劇作家モリエールと の共作による同題のトラジェディ=バレから7年後、悲劇作家ピエール・コルネイユの弟トマ・コルネイユと長命で知られるフォントネルの台本を もとに披露された牧歌的神話劇を、本場ヴェルサイユの王室歌劇場を舞台に鮮やかに現代に甦らせます。同作の全曲録音はcpoにも先 行盤(777367)がありますが、フランスの演奏陣によるものはこれが初。シリル・オヴィディやデボラ・カシェらフランス古楽界で押しも押されもせ ぬ活躍をみせる名歌手らの存在感もさることながら、自身プシュケをテーマにした歌曲アルバムも発表しているアンブロワジーヌ・ブレが喜怒哀 楽の機微を鮮やかに歌い上げる題名役も見事なもの。リコーダーのセバスティアン・マルクや低音弦のエマニュエル・ジャック、無孔ナチュラルト ランペットを吹きこなすジャン=フランソワ・マドゥーフら器楽勢の充実ぶりにも目を見張らされます。同レーベルの常どおり解説も充実(原文フ ランス語、英独訳付)。

RICERCAR
RIC-446(1CD)
『夜が来るたび』 〜独唱とリュートによるルネサンス世俗声楽曲
●黄昏〜
1. フィリップ・ヴェルドロ(1480/85-1530/52): おお、甘美なる夜
2. バルトロメオ・トロンボンチーノ(1470頃-1525以降): 眠ってしまうのか、わたしはむしろ
●恋人の不在〜
3. 伝フランシスコ・ゲレロ(1528-1599):こうも夜が暗くては
4. ジャン=ポール・パラダン(またはジョヴァンニ・パオロ・パラディーノ 1500-1566):ファンタジア第1番(リュート独奏)
5. 作者不詳:そうした夜はあまりに長い〜『ウプサラの歌集』より
6. ディエゴ・ピサドール(1509/10-1577以降): こうも夜が暗くては
7. 作者不詳:夜、誰もが休んでいるというのに〜オッタヴィアーノ・ペトルッチ編『フロットラ集 第4巻』(1505)より
●夢〜
8. パレストリーナ(1525/26-1594): どうか、決して私の心から
9. ラッスス:夜が来るたび
10. クレマン・ジャヌカン(1485頃-1558):夜が来るたび
11. トマ・クレキヨン(1505頃-1557)/編曲者不詳:夜が来るたび 〜ピエール・ファレーズの曲集より(リュート独奏)
12. クレキヨン:夜が来るたび
●月の輝き〜
13. パラダン:ファンタジア第2番(リュート独奏)
14. クレキヨン:月が、恋人たちの悩みの種なら
15. フアン・バスケス(1500頃-1563):月が上ったら
16. パレストリーナ:ああ、わたしが月の恋人であれば
17. 作者不詳:おお、輝かしい月よ〜『ウプサラの歌集』より
18. パラダン:ファンタジア第4番(リュート独奏)
19. ジョスカン・デプレ(1450頃-1521):恋の悩みはあまりにも大きく
●夜明け〜
20. ラッスス:夜は冷え込み、また暗くもあり
21. 作者不詳:夜には朝が続くもの〜ペトルッチ編『フロットラ集 第8巻』(1507)より
22. パラダン:ファンタジア第3番(リュート独奏)
23. ピエール・ド・マンシクール(1510-1564) :見よ、太陽と夜が
24. 作者不詳:夜明けにおいでなさい、恋人よ〜『ウプサラの歌集』より
25. ジョン・レノン(1940-1980)&ポール・マッカートニー(1942-): ブラックバード
ドゥルセス・エクスヴィエ【ロマン・ボクレール(Br)、ボル・ズリヤン(Lute)】

使用楽器:7コースのリュート:ヴェネツィアのG.イエベル(ヒーバー)1580年頃製作のモデルに基づくロンドンの
スティーヴン・ゴットリーブ1984年製作の再現楽器
 6コースのリュート:ボローニャのH.フレイ1530年頃製作のモデルに基づくアレアウ(ブラジル)のセサ
ル・アリアス2018年製作の再現楽器

録音:2022年5月 サンテーユ聖母教会(南仏エロー県)
16世紀には、パレストリーナやラッススらによる教会音楽はもとより、ヴェルドロやジャヌカンらの世俗音楽も、多くの場合は3〜5声が別々のメ ロディを歌いあわせるポリフォニー楽曲として作曲されました。しかし当時のさまざまな史料から、そうした歌もリュート1挺を従えた独唱で演奏 される機会が少なからずあったことも判っています。既にジョスカン・デプレの世俗歌曲群をその手法で、多くの声部をリュートで受け持って見 事なアルバム(RIC403/国内仕様盤NYCX-10071)を制作している、スロヴェニア出身の新世代名手ボル・ズリヤンとフランスの古楽歌 手ロマン・ボクレールのタッグは今回、たった一人で過ごす夜に去来する恋の悩みを歌ったイタリア語マドリガーレやフランス語シャンソン、および スペイン語歌曲を集め、黄昏から夜明けまでの時の流れを追ったプログラムを二人だけでじっくり解釈。幾人もの歌手が歌うよりも現代人の 感覚に近いと言ってもよい孤独感を鮮やかな演奏に結晶させました。温もりあるボクレールの美声もさることながら、ジェズアルドのマドリガーレ をリュート独奏で演奏した驚くべきアルバム(RIC434/NYCX-10311『レコード芸術』誌特選)で新たに注目を浴びたズリヤンの細部まで 行き届いた解釈も見事なもの。一連の切ない詩句による歌の末、不意にアンコールのように盛り込まれたビートルズの「ブラックバード」もあま りに自然な美しさではっとさせられます。

INVENTA
INV-1005(1CD)
NX-B05
世界一の富豪のための16世紀のヴィオール音楽集
イザーク(1450頃-1517):Las rauschen
イザーク:Fortuna - Bruder Conrat
ピエール・ド・ラ・リュー(1452頃-1518):Ain frolich wesen
アダム・レナー(1485頃-1520頃):Ach ainigs ain
ジョスカン・デ・プレ(1450頃/1455-1521):Entre iesuis
 私はもの思いに沈んだ
ド・ラ・リュー:Carmen
イザーク:Zart liebster frucht
作者不詳:Plus oultre pretens
作者不詳:Vil gluck und hayl
パウル・ホフハイマー(1459-1537):On frewdt verzer ich
アントワーヌ・ブリュメル(1460頃-1512/1513):アンデルナハで
ピエール・アラミレ(1470頃-1536):T'Andernacken
作者不詳:Ways nit
イザーク:La la ho ho
ルートヴィヒ・ゼンフル(1486頃-1543):Carmen in la
ゼンフル:Carmen in re
ゼンフル:Alles regres
ジョスカン・デ・プレ:Plus miltz regretz
ド・ラ・リュー:Tous les regretz
ド・ラ・リュー:Jouyssance vous donneray "Iam sauche, Jani sauche"
ド・ラ・リュー:Carmen
ホフハイマー:Fro bin ich dein
イザーク:Guretzsch
レナー:Jetzt hat volbracht
ゼンフル:Dem ewigen Gott
 Albrecht mirs schwer
 In lieb und freid hab ich mein bscheid
リナロール・コンソート(ヴィオール・アンサンブル)【デイヴィッド・ハッチャー、森川麻子、アリソン・キンダー、クレア・ホラチェク】

録音:2020年2月11-13日
フレットワークなどで活躍するデイヴィッド・ハッチャーや森川麻子といった日本の古楽ファンにもなじみ深いメンバーが参加する「リナロール・アンサンブル」 がInventa Recordsにデビュー。このアルバムのタイトルとなっている「世界一の富豪」とはドイツのアウクスブルクを拠点としたフッガー家の当主ヤーコ プ・フッガー(1459-1525)のこと。フッガー家は15世紀から16世紀にかけて貿易や鉱山経営で巨大な富を築き、神聖ローマ帝国のメインバンク同 然の地位に君臨、ヤーコプは貴族に叙せられ「世界一の富豪」と呼ばれました。彼の宮廷で演奏された音楽はオーストリア国立図書館に大量の手 稿譜の形で収蔵されており、それを目にしたデイヴィッド・ハッチャーが校訂して現代譜に起こし、今回の録音に臨みました。収録曲は主に16世紀初 頭のドイツ語圏やフランドルのものです。
INVENTA
INV-1010(1CD)
NX-B05
世界一の富豪のための16世紀のヴィオール音楽集 Vol.2
ゲオルク・ブランケンミュラー(1480頃-?):Inn stetter hut*
コンラート・ルプシュ(1475頃-1530頃):Nun bit wir den hayligen geist*
ルートヴィヒ・ゼンフル(1486頃-1543):M. dein bin ich/Es taget vor dem walde das drit*
ゼンフル:in bin ich das erst*
パウル・ホフハイマー(1459-1537):Die prunlein die da vliessen
ゼンフル:Die prunlein die da fliessen*
 Fortuna/Nasci pati mori
 Fortuna/Ich stund an ainem morgen
イザーク(1450頃-1517):Maudit soyt
作者不詳:Carmen Hercules
ゼンフル:Ich armer man/mein herz ist alles/ ach got wem soll ichs clagen
ノエル・バウルデヴェイン(1480頃-1509-13活躍):Ach got wem soll ichs clagen
ゼンフル:Fortuna/Helena desiderio*
ゼンフル:Fortuna/Virgo prudentissima*
イザーク:File vos
ゼンフル:Carmen Lamentatio*
ブランケンミュラー:Kein clag hab ich*
ゼンフル:M. dein bin ich/Es taget vor dem walde das viert*
ゼンフル:Ich sag und clag das ander*
作者不詳:Naves pont*
イザーク:Carmen
ゼンフル:Unseglich schmerz entpfindt mein hertz
バルトロメ・ジンガー(1520代頃活躍):Ain diernlein zart
ゼンフル:Kain sach mir nye auff erden*
バウルデヴェイン:Ach hulff mich layd
イザーク:Carmen
ゼンフル:Warhafftig mag ich sprechen wol
イザーク:Wolauff gut gsell von hinnen
ゼンフル:On allen schertz*
*…手稿譜からの小品
リナロール・コンソート(ヴィオール・アンサンブル)【デイヴィッド・ハッチャー、森川麻子、アリソン・キンダー、クレア・ホラーチェク、ティム・リン】
ジェイムズ・ギルクリスト(T)

録音:2021年10月
このアルバムのタイトルとなっている「世界一の富豪」とはドイツのアウクスブルクを拠点としたフッガー家の当主 ヤーコプ・フッガー(1459-1525)のこと。フッガー家は15世紀から16世紀にかけて貿易や鉱山経営で巨大 な富を築き、神聖ローマ帝国のメインバンク同然の地位に君臨、ヤーコプは貴族に叙せられました。芸術を庇 護したので多くの芸術家が集まり、その宮廷で演奏された音楽はオーストリア国立図書館に大量の手稿譜の 形で収蔵されています。ここに録音されたのは当時のドイツ、フランドル、フランスで高い名声を得ていた作曲 家たちによる作品で、当時の流行歌をヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)合奏用に編曲したもの。一部の曲に はテノールのジェイムズ・ギルクリストが参加して「元唄」を歌っています。当時の流行歌は各地の宮廷に同じも のが流布していましたが、トラック1-4,6,13,14,16-20,24,29は当コレクションでしか見られない 貴重な曲です。

CPO
CPO-555497(1CD)
NX-B02
18世紀の室内楽作品集
フェリーチェ・ジャルディーニ(1716-1796):オーボエ四重奏曲 ハ長調 Op. 23No. 6
ヨハン・クリスティアン・バッハ:フルート、オーボエ、ヴァイオリン、チェロとチェンバロのための五重奏曲 ニ長調 Op. 22No. 1W. 876
ジャルディーニ:チェンバロと弦楽三重奏のための四重奏曲 ハ長調 Op. 21No. 6
ジャルディーニ:チェンバロと弦楽三重奏のための四重奏曲 ヘ長調 Op. 21, No. 1
J. C. バッハ:五重奏曲 ニ長調 Op. 11No. 6W. B75
ラストレー(古楽器アンサンブル)

録音:2021年6月14-16日
17世紀から19世紀にかけて"トリノ音楽アカデミー"は英国貴族たちの憧れの的でした。ロンドンとトリノを結ぶネッ トワークが強化され、トリノには英国貴族とその教師たちが在籍するとともに、イギリスを発祥とする友愛団体として のフリーメイソンの教義もヨーロッパ諸国へと広まっていきます。また逆にイタリアの文学者、画家、彫刻家、音楽家 たちはイギリスに渡り、新たな文化を吸収しました。このアルバムではイギリスで活躍し2つの文化の懸け橋となった 2人の作曲家フェリーチェ・ジャルディーニとヨハン・クリスティアン・バッハの作品を収録。ジャルディーニはチェンバロ、 ヴァイオリン奏者としてヨーロッパで活躍したのち、1752年にロンドンのキングス劇場でのイタリア・オペラの上演で 成功、興行者としても注目された作曲家。かたやJ.C.バッハは大バッハの末息子で、イタリアで学んだ後、ロンドン に移住。様々な作品を発表し成功を収めました。 17-18世紀のレパートリーを歴史的解釈に基づいて古楽器で演奏するアンサンブル、ラストレーの演奏で彼らの 作品を楽しめます。
CPO
CPO-777882(1CD)
NX-B10
テレマン:ヴァイオリン協奏曲全集 第8集
協奏序曲(組曲) ト短調 TWV 55:g8
2つのヴァイオリンのため協奏曲 変ロ長調 TWV 52:B2
2つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 52:G2
2つのヴィオレッタのための協奏曲 ト長調 TWV 52:G3
3つのヴァイオリンのための協奏曲 ヘ長調 TWV 53:F1
エリザベス・ウォルフィッシュ(Vn/ヴィオレッタ&指)
ウォルフィッシュ・バンド(古楽アンサンブル)

録音:2013年10月5-8日
cpoの人気シリーズ、テレマンのヴァイオリン協奏曲集の第8集は、2つまたは3つのヴァイオリンをソロ楽器とする協 奏的作品を収録しています。これらはアイゼナハ時代(1708-1712)及び1730年代の作品で、荘重な序曲で 始まる組曲や「ヴィオレッタ」というソロ楽器を指定したTWV 52:G3はフランス風の表情記号を持つ楽章で構成 される一方、TWV 52:B2とG2は緩急緩急、TWV 53:F1は急緩急とイタリア的な構成。テレマンの作曲技 法やアイディアの豊かさにあらためて感心させられる1枚です。バロック時代に「ヴィオレッタ(ヴィオレット)」と呼ばれた 楽器は多種多様で実態は不明ですが、このディスクではフランス・バロックに見られる2種類の変則調弦を施した バロック・ヴィオラを使っているとのこと。

Dynamic
DYNDVD-37936(DVD)
NX-D03

DYNBRD-57936(Bluray)
NX-D03
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):歌劇「アンジェリカ」 オルランド…テレーザ・イエルヴォリーノ(Ms)
メドーロ…パオラ・ヴァレンティーノ・モリナーリ(S)
アンジェリカ…エカテリーナ・バカノヴァ(S)
リコーリ…ガイア・ペトローネ(Ms)
ティティロ…セルジョ・フォレスティ(Br)
ティルシ…バルバラ・マッサーロ(S)
ファットリア・ヴィッタディーニ(ダンス・カンパニー)
ラ・リラ・ディ・オルフェオ(古楽器使用)
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)
演出、舞台美術、衣装:ジャンルカ・ファラスキ


収録:2021年7月30日~8月3日 第47回ヴァッレ・ディトリア音楽祭
ドゥカーレ宮殿、マルティーナ・フランカ(イタリア)
収録時間:147分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/Dolby Digital 5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS-HD Master Audio 5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・ドイツ語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面二層ディスク 1080i High Definition
ナポリ楽派を代表する作曲家のひとり、ニコラ・ポルポラの歌劇(セレナータ)「アンジェリカ」は、宮廷の慶事を祝う機会音楽として作曲され、その台本が劇作 家メタスタージオの一作目であるとともに、後年「ファリネッリ」としてその名声を馳せるカストラートのカルロ・ブロスキが、歌手デビューを飾った作品としても知ら れています。そのロンドン時代はヘンデルのライバルと目され、ウィーン時代にはハイドンが師事したポルポラの音楽は、華やかな色彩と豊かな楽想に満ちたも の。演出・舞台美術・衣装は著名な服飾デザイナー、ジャンルカ・ファラスキが担当。題名役のエカテリーナ・バカノヴァ、オルランド役のテレーザ・イエルヴォ リーノら粒ぞろいの歌唱陣と、ラ・リラ・ディ・オルフェオ(ラッファエーレ・ペー主宰)が古楽演奏を中心に活躍する名匠フェデリコ・マリア・サルデッリのタクトのもと 躍動感と抒情に溢れる演唱を繰り広げます。
Dynamic
CDS-7936(2CD)
NX-C09
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):歌劇「アンジェリカ」 オルランド…テレーザ・イエルヴォリーノ(Ms)
メドーロ…パオラ・ヴァレンティーノ・モリナーリ(S)
アンジェリカ…エカテリーナ・バカノヴァ(S)
リコーリ…ガイア・ペトローネ(Ms)
ティティロ…セルジョ・フォレスティ(Br)
ティルシ…バルバラ・マッサーロ(S)

ラ・リラ・ディ・オルフェオ(古楽器使用)
指揮:フェデリコ・マリア・サルデッリ
録音:2021年7月30日~8月3日  第47回ヴァッレ・ディトリア音楽祭
ドゥカーレ宮殿、マルティーナ・フランカ(イタリア)
ナポリ楽派を代表する作曲家のひとり、ニコラ・ポルポラの歌劇(セレナータ)「アンジェリカ」は、宮廷の慶事を祝う機会音楽として作曲され、その台本が劇作 家メタスタージオの一作目であるとともに、後年「ファリネッリ」としてその名声を馳せるカストラートのカルロ・ブロスキが、歌手デビューを飾った作品としても知ら れています。そのロンドン時代はヘンデルのライバルと目され、ウィーン時代にはハイドンが師事したポルポラの音楽は、華やかな色彩と豊かな楽想に満ちたも の。題名役のエカテリーナ・バカノヴァ、オルランド役のテレーザ・イエルヴォリーノら粒ぞろいの歌唱陣と、ラ・リラ・ディ・オルフェオ(ラッファエーレ・ペー主宰)が古 楽演奏を中心に活躍する名匠フェデリコ・マリア・サルデッリのタクトのもと躍動感と抒情に溢れる演唱を繰り広げます。

Glossa
GCD-923536(1CD)
愛しき星たちよ〜アンナ・マリア・ストラーダのためのアリア集
ヴィヴァルディ:歌劇「試練の中の真実」よりアリア「Con piu diletto il mio Cupido」
ドメニコ・サッロ:歌劇「ティベリウス・センプロニウス・グラックス」よりアリア「Aria Se veglia, se dorme, l’amante mio core」
ヘンデル:歌劇「ロタリオ」よりアリア「Scherza in mar la navicella」
レオナルド・ヴィンチ:歌劇「エラクレア」よりレチタティーヴォ「Io gelosa non sono」、アリア「Il ruscelletto amante」
レオナルド・レーオ:歌劇「シロのアキレス」よりレチタティーヴォ「Ma per pieta」、アリア「Non vedi tiranno ch’io moro d’affanno」
ヘンデル:歌劇「アルチーナ」よりアリア「Ah! Mio cor!」
レオナルド・レーオ:歌劇「パルミラの女王ゼノビア」よりアリア「Quando irato il ciel s’oscura」
ガルッピ:歌劇「シリアのアドリアーノ」よりアリア「Infelice in van mi lagno」
レオナルド・レーオ:歌劇「シロのアキレス」よりアリア「No, ingrato, amor non senti」
ヘンデル:歌劇「アルミニオ」よりアリア「Scaglian amore e sangue」
ジョヴァンニ・アルベルト・リストーリ:歌劇「シリアのアドリアーノ」よりアリア「Oh Dio, mancar mi sento」
ニコラ・ポルポラ:歌劇「ティリダート」よりレチタティーヴォ「Non so piu dov’io sia」、アリア「Vi conosco amate stelle」
マリー・リス(S)、
アプコルディス・アンサンブル、
アンドレア・ブッカレッラ(指)

録音:2019年10月18日-22日(バーゼル、スイス)
バロックオペラ・チェスティ・コンクール2018およびベルカント国際コンクール・ヴィンチェンツォ・ベッリーニ2017で第1位を獲得したスイスの若きソプラノ、マリー・リスの初めてのソロ・アルバムは、1730年代のロンドンでヘンデルのプリマドンナを演じた名ソプラノ、アンナ・マリア・ストラーダのために書かれたアリア集。ローザンヌ高等音楽院とロンドンの王立音楽院で学んだリスは既にドミトリー・シンコフスキー、マクシム・エメリャニチェフ、ミシェル・コルボといった著名な指揮者と共演しており、中でもファビオ・ビオンディ指揮のエウローパ・ガランテとの共演でヴィヴァルディの長らく失われていた歌劇「アルジッポ」を演奏したヨーロッパ・ツアーで大きな成功を収め、各方面から賞賛を浴びました。今後ますますの活躍が期待される注目の若手ソプラノが、自身が共同設立したアンサンブル、アプコルディス・アンサンブルと共にバロック時代の知られざるオペラ・アリアを歌い上げます。

Glossa
GCD-924207(1CD)

PGCD-924207(1CD)
国内盤仕様
税込定価
チャッコーナ!
パーセル:ファンタジア, グラウンド上の3声 Z.731
アントニオ・ベルターリ:3声のチャッコーナ
タルクィニオ・メールラ:チャッコーナ(教会と室内のための協奏的ソナタによるカンツォン Op.12より)
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー:チャッコーナ
ザムエル・カプリコルヌス:2声のチャッコーナ(Vnとガンバのための)(パルティトゥーアブーフ・ルートヴィヒ 第37番より)
ベルターリ:チャコーナ
パーセル:3声のソナタ Op.12-6
ニコラ・マッテイス:リチェルカータ、Diverse bizzarrie Sopra la Vecchia Sarabanda o pur Ciaccona from "Ayres for the violin", book I
パーセル:シャコンヌ(ほどかれたゴルディウスの結び目 Z.597より)
ヴィターリ:3声のチャッコーナ Op.7-3
ニコラ・マッテイス・ジュニア:アリア・ファンタジア(シュランク2世のコレクションより)
作曲者不詳:シャコンヌ(シュランク2世のコレクションより)
コレッリ:3声のソナタ Op.2-12
トマゾ・アントニオ・ヴィターリ:無題(アダージョ・パート)(シュランク2世のコレクションより)
パッヘルベル:カノンとジグ
ライラ・シャイエーク(バロックVn、指)
、ラ・チェンティフォリア

録音:2022年6月、リーエン(スイス)
スイスが誇る古楽専門の音楽大学「バーゼル・スコラ・カントルム(SCB)」で古楽界の大御所キアラ・バンキーニに学び、2010年からはバンキーニの後任として自身もSCBでバロック・ヴァイオリンの教授を務めながら、バンキーニのアンサンブル415やラ・リゾナンサ、コンチェルト・ケルンなどのメンバーとして様々なコンサートや録音で存在感を示してきたバロック・ヴァイオリニスト、ライラ・シャイエーク(レイラ・シャイエ)。
2021年のリリースをもって3巻からなるルクレールのヴァイオリン協奏曲集を完結させたシャイエークの新録音は17世紀に書かれたシャコンヌ集!遅くとも16世紀には南米からスペインに伝わったとされその後瞬く間にヨーロッパ全土に広がり、ポピュラー音楽の基礎ともなったといわれるシャコンヌ(チャッコーナ、チャコーナ)。本アルバムではドレスデンのシュランク2世の有名なコレクションから、ベルターリ、パーセル、シュメルツァー、マッテイス、コレッリといった作曲家の作品を収録。そしてアルバムの最後を飾るのはパッヘルベルの「カノンとジグ」。カノンだけが飛びぬけて知名度が高く単独で演奏されることも多いですが、ここでは通常無視されてしまっているジグも合わせて収録しています。
このアルバムがデビュー盤となるラ・チェンティフォリアは2019年にシャイエークが設立したアンサンブル。Glossaレーベルでもおなじみのエヴァ・サラディンをはじめ、朝吹園子、ダニエーレ・カミニティ、ジョナサン・ペセク、ヨハネス・ケラーといったそれぞれが古楽界で大活躍する名手たちで構成され、バロック時代の音楽を主に演奏しています。

Da Vinci Classics
C-00631(1CD)
2本のリュート〜ルネサンス時代のリュート二重奏のための傑作選
トーマス・ロビンソン(c.1560-c.1610):プレイン・ソング、パッセメッツォ・ガリアルド、女王の真夜中
フランチェスコ・ダ・ミラノ(1497-1543):ファンタジア、カノン、ラ・スパーニャ
ホアン・アンブロージオ・ダルサ(FL.1508):サルタレッロ、ピヴァ
ジョン・マーチャント(FL.1588-1611):ファンタジー
ジョン・ジョンソン(c.1545-1594):フラット・パヴァン、フラット・ガリアルド
ヴィンチェンツォ・ガリレイ(c.1520-1591):二重奏のファンタジア、コントラプント第1番、コントラプント第2番
オルランド・ディ・ラッソ:ファンタジア第10番、ファンタジア第4番、ファンタジア第9番
ジョン・ダウランド:ウィルビー卿ご帰館
アルフォンソ・フェッラボスコ1世(1543-1588):スペインのパヴァン
ジョン・ジョンソン:ロジェーロ
ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィ(c.1545-1594):クラウディオ・ダ・コレッジオのカンツォーネ
フランチェスコ・トマージ(Lute)、
ファブリツィオ・カルタ(Lute)

録音:2020年5月-2022年5月、360DBスタジオ(ローマ、イタリア)
ルネッサンス期には、トーマス・ロビンソン、フランチェスコ・ダ・ミラノ、ヴィンチェンツォ・ガリレイ、ジョヴァンニ・アントニオ・テルツィらによるリュート・デュオのための作品が比較的多く作曲されており、このアルバムにはそれらのほとんどが収められています。
これらのデュオ作品は、ルネッサンス期のリュート音楽の技法、雰囲気、ジャンル、スタイルのパレット全体を引き出しており、2つの楽器が互いに対話することによって、さらにその効果を高めています。
フランチェスコ・トマージとファブリツィオ・カルタは、忠実な歴史公証と当時の演奏法への敬意を持って見事なアンサンブルを奏でています。

CRD
CRD-3542(1CDR)
カノン
テレマン:6つのカノン風ソナタ TWV40:118-123
モーツァルト:4声または5声のカノン集、
 2声, 3声または多声部のカノン集、
 カノン「謎」 K.89
マヤ・マガブ(Vn)、他
マヤ・マガブはイギリスのヴァイオリニストで現在ロサンゼルスで活動しています。彼女はパーセル・スクールと王立音楽院の奨学生となり、ケンブリッジ大学のゴンヴィル・アンド・キーズ・カレッジで音楽学位を取得しました。ソリストまたは室内楽奏者として活動していた彼女は、エリザベス女王から招待を受けバッキンガム宮殿で演奏を行ったり、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズのメンバーとしても活躍していました。
このアルバムは非常に特殊な形の録音方法を実践しており、いわば「リモート室内楽」の形で作成されました。その際カノン形式は非常に有効的で次の旋律を次のプレイヤーへまるで音楽の手紙の様につなげていくことが出来たのです。また録音も音源をマイクに非常に近づけなくてはならず、その結果非常にクリアな音で収録されています。
※当タイトルは、高品質メディア(SONY DADC/Diamond Silver Discs)を使用した、レーベル・オフィシャルのCD-R盤となります。

Challenge Classics
CC-72926(1CD)
変奏の技法〜スウェーリンク(1562-1621):世俗作品集
大公の舞踏会 SwVW 319
フィリッピのパヴァーヌ SwVW 329
わが青春の日は既に過ぎ SwVW 324
緑の菩提樹の下で SwVW 325
私はライン川を渡る SwVW 322
スペインのパヴァーヌ SwVW 327
そうでなくては SwVW 330
もしも運命の女神に愛されるなら SwVW 320
マルスの神 SwVW 321
涙のパヴァーヌ SwVW 328
愚かなシモン SwVW 323
アルマンド・グラティエ SwVW 318
ファビオ・アントニオ・ファルコーネ(Cemb)

録音:2021年10月25-28日/スイス、ヌーシャテル美術・歴史博物館
オランダ古楽の巨匠作曲家スウェーリンクの、世俗的な歌と踊りによる変奏曲集。宗教作品とは異なる軽妙な筆致で書かれ、時にユーモラスな一面さえ垣間見え る、めっぽう楽しい作品群です。ほとんどの楽曲は人生の最後の20年間に書かれたとされており、成熟したスタイルで完成度高く作られているのも注目すべきポ イントです。
演奏しているファルコーネは、ルネサンスと初期バロック専門の古楽奏者。通奏低音奏者として自らのアンサンブルも立ち上げ器楽・声楽両方のレパートリーを 探求しており、ここに収録されたスウェーリンク作品を弾く土壌がしっかりとある、おあつらえの奏者と言えるでしょう。楽器はヌーシャテル美術・歴史博物館所蔵 のルッカース・チェンバロ(1632/1745年製)を使用しています。 (Ki)

ARCANA
A-538(1CD)
『若きモーツァルトとミラノでの出会い』 〜モテット、詩篇曲、マニフィカト
ヨハン・クリスティアン・バッハ: 詩篇109番「主は言われた(ディクシット・ドミヌス)」 W E15*
モーツァルト:奉献唱「憐れんでください、主よ」K. 222
 モテット「喜び踊れ、汝幸いなる魂よ(エクスルターテ・ユビラーテ)」 K. 165
ジョヴァンニ・アンドレア・フィオリーニ(1715/16-1778):モテット「おお、聖なる饗宴」 *
メルキオッレ・キエーザ(1740以前?-1799以降):モテット「雷鳴轟く天をもって」*
アンブロジオ聖歌
アンティフォナ「わたしの霊は神に歓喜し」
J. C. バッハ:マリアの讃歌「わたしの魂は主を崇め(マニフィカト)」 W E22
ロビン・ヨハンセン(S)
カルロ・ヴィストーリ(アルト=カウンターテナー)
ギスリエーリcho
独唱…上記ソリストが参加しない曲中のソロ
 フェデリーコ・フィオリオ(男声ソプラノ)
 マヒミリアーノ・バニョス(アルト=カウンターテナー)
 ラファエーレ・ジョルダーニ(T)
 アレッサンドロ・ラヴァジオ(Bs)
ギスリエーリ合奏団(古楽器使用)
コンサートマスター:マルコ・ビアンキ(Vn)
ジュリオ・プランディ(指)
スコラ・グレゴリアーナ・ギスリエーリ
レナート・カデル(指)

録音:2022年3月13-16日 マーラー・ホール(エウレジオ文化センター )、ドッビアーコ(イタリア北東部ボルツァーノ県)
*=世界初録音
オペラの本場イタリアを10代の頃から何度か訪れ、本格的な声楽作法を血肉としていったモーツァルト。そこで当時、水の都ヴェネツィアやカ トリックの総本山ローマ、南のナポリと並んで見過ごせない音楽拠点になっていたのが、オーストリアのハプスブルク皇室が支配者だったミラノで した。イタリア古楽シーン最前線をゆくギスリエーリ合奏団は今回、中世以来の独特な聖歌の伝統もあるこの古都に注目。徹底した音楽研 究と豊かな音楽性を通じて、18世紀中盤から後半にかけ同地で活躍した作曲家たちの優れた教会音楽作品を集め、モーツァルトが同地 で作曲・披露した有名な独唱モテットK. 165と組み合わせたアルバムを制作しました。アルバム冒頭と末尾を飾るのは、天才少年がロンド ンで出会い刺激を受けた大バッハ末男ヨハン・クリスティアンのミラノ時代の2傑作(「マニフィカト」では気鋭の男声ソプラノ歌手フェデリーコ・フィ オリオが、圧巻のソロで18世紀のカストラート歌唱を彷彿させます)。古楽器演奏シーンで着々と存在感を高めているソプラノのロビン・ヨハン センが聴かせる晴朗なモーァルト作品もさることながら、キエーザやフィオリーニら今では知名度の低い作曲家たちの秘曲も聴き応えがありま す。古典派前夜のイタリアに花開いたオペラさながらの歌心あふれる傑作群を、驚くべき名唱で聴かせてくれる本格派の18世紀流解釈で す。

Lauda
LAU-023(1CD)
カルロス・パティーニョ(1600-1675):スペイン語による声楽作品集
1. 思慮よ、溜息の前に幸せがあると思うな
2. 恋では、至上の洗練にはたどりつけない
3. 奥ゆかしき野の花よ
4. エスパニョレータス(器楽/ルカス・ルイス・リバヤス〔1626-1667〕作曲)
5. 恋の神は、花の精に想いを伝えたいのだが
6. 海の精は、夜明けの白い輝きを打ち負かそうと
7. パバーナ(器楽/リバヤス作曲)
8. うんざりするほど長い夜に
9. 麗しきお嬢さん、きみがカスティーリャに帰ってくれば
10. ラ・ボルハ(器楽/アンドレア・ファルコニエーリ〔1585/86-1656〕作曲)
11. ロエチェスにひとり、農家の娘がおりました
12. 高く伸びたポプラ並木の蔭で
13. だめ、眠らないで
14. あなたの眼差しの輝きがわたしを追い
15. さあ踊ろう、界隈の娘たちよ!
特記のないトラックは全てパティーニョ作曲
ラ・グランド・シャペル(声楽&古楽器アンサンブル)【ホネ・マルティネス、アウロラ・ペーニャ、ロレーナ・ガルシア(S)、ガブリエル・ディアス・クエスタ(C.T)、ヘラルド・ロペス・ガメス(T)、マリア・アレハンドラ・サトゥルノ(ビウエラ・デ・アルコ〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、サラ・アゲラ(ダブルハープ)、マヌエル・ミンギロン(テオルボ、バロックギター)、ホルヘ・ロペス=エスクリバノ(Org)】
アルベルト・レカセンス(指)

録音:2021年9月29日-10月1日 サント・ドミンゴ王室修道院、トレド
セビーリャ大聖堂の少年聖歌隊に連なり巨匠アロンソ・ロボ門下に学び、後年スペイン王室の聖歌隊で長く活躍をみせた教会音楽の作曲 家カルロス・パティーニョ。その作曲歴は宗教曲だけに留まらず、俗世向けのスペイン語による声楽作品も多く書いていたことが明らかになって います。音楽学者で古楽指揮者のアルベルト・レカセンスは今回のアルバムで、そうしたパティーニョの世俗作品を集め、コンチェルタンテ様式 が全盛だった欧州諸国を横目にユニークな発展を遂げた17世紀スペイン音楽の世界へ聴き手を誘います。イタリア晩期ルネサンスのマドリ ガーレにも通じる精巧な多声処理の中、詩句に潜む変幻自在のニュアンスを捉えて美しい響きへと昇華させてゆく演奏は、その一貫した高 雅さで聴く人を深く魅了してやみません。LAUDAの常通りライナーノートはモノクロながら図版も多く充実しており(西・英・仏・独語、歌詞は 西語、英・仏語訳付)、黄金時代末期のスペイン芸術の素顔に高い解像度で迫れる好企画となっています。

Capella de Ministrers
CDM-2254(1CD)
地中海諸国、中世からルネサンス音楽のグロテスク趣味
1. 作者不詳(13世紀):コンドゥクス「東方ヨリ驢馬ゾ来タリテ」
2. 作者不詳(14世紀):ホケトゥス「幾百年モ先マデ」
3. 作者不詳(16世紀):愛しきカボチャの君、どうしたものか 〜『王宮の歌集』(1505-20頃)より
4. 作者不詳(16世紀):糸紡ぎを失くしてしまった、紡錘もない 〜『王宮の歌集』より
5. 作者不詳(1500年頃):エンサラーダ「おお学者のホアン・ベリェ!お願いだから」
6. フアン・デル・エンシーナ(1568/69-1530/33):今はよく食べ、酒を飲もうじゃないか〜『王宮の歌集』より
7. アロンソ・ペレス・デ・アルバ(生年不詳-1503):聖マルティンは、糸紡ぎの女を一目でも見ようと〜『王宮の歌集』より
8. 作者不詳(16世紀):ハンス・ハント 〜『王宮の歌集』より
9. 作者不詳(16世紀):見たまえ、あの顔色の悪い痩せた修道士を 〜『王宮の歌集』より
10. 作者不詳(15世紀):聖なるかな、聖なるかな、智天使を統べるお方よ
11. マテオ・フレチャ1世(1481-1553):サン・サバヤ・ググルンベ 〜エンサラーダ「黒人女」より
12. トワノ・アルボー(1520-1595)/ミヒャエル・プレトリウス:モレスカスとカナリアス
13. ジョヴァンニ・ドメニコ・ダ・ノーラ(1510/20頃-1592):我ら三人、目は見えぬ
14. アドリアン・ヴィラールト(1490頃-1562):怠け者の年増女たちよ
15. オルランドゥス・ラッスス:アッラーに祈れ、おお奴隷よ!
16. ロレンツォ・デ・メディチ“イル・マニーフィコ”(1449-1492):我らはバレンシアの艶男
17. ロレンツォ・デ・メディチ:コンフォルティーニ菓子の歌
18.アドリアーノ・バンキエーリ:さあ滑稽な話の始まりだ、籠から鳥たちが逃げてゆくんだ〜『謝肉祭最終日の祝祭』(1608)より
カペリャ・デ・ミニストレルス(声楽&古楽器アンサンブル)【デリア・アグンデス(S)、ウゴ・ボリバル(アルト=カウンターテナー)、ホルヘ・モラータ(T)、アントニオ・サブコ(Br)、ロベルト・カセス(ルネサンスギター)、ミゲル・アンヘル・オレロ(打楽器)】
カルレス・マグラネル((指)ヴィオラ・ダ・ガンバ)

録音:2021年2月15-18日 サンタ・マリア教会、レケナ(スペイン東部バレンシア地方)
音楽は長い間、美しい響きと調和こそ理想とされてきた芸術領域。かつて文学学者フィリップ・トムソンは自著『グロテスク』(1972)で、よほど 拡大解釈しない限り「グロテスクという概念があてはまりそうな音楽作品は一切見いだせない」と言明したそうですが、半世紀の後その主張に アルバム1枚をかけて圧巻の雄弁さをもって反駁したのが、スペイン東部バレンシア地方に拠点を置く古楽集団カペリャ・デ・ミニストレルス。 中世末期からルネサンス末期にかけての膨大な現存作品から18の事例をあげ、美術や文学などと全く同じように、音楽もまたその本来の 魅力を全く手放さずに劇場的・文学的な醜悪さを体現できることを、驚くほど起伏に富んだ演奏実践を通じて例証してみせました。詩句や 音使いに潜む時としてユーモラスな醜さの側面を、ある時は卓越した演奏を通じ、またある時はラジオドラマさながらの演劇性豊かな解釈で 伝えるその巧みさは、さながら千変万化の表情描写で人間心理の闇を暴き出しつつも鑑賞者を魅了せずにはおかない、盛期ルネサンスの 画家たちの至芸のよう。スペインのエンサラーダやイタリアのヴィラネスカ、マドリガーレ・コメディアなど、美だけでなく荒唐無稽を描出できてこそ の曲種の数々を、技量充分の感性豊かな歌唱と古楽器演奏で味わい尽くせます。音の輪郭をよく伝えるCdMレーベルならではのエンジニ アリングも絶妙。「グロテスク」の語源や意味変遷にも迫った解説文(バレンシア=カタルーニャ語/英西仏語訳付)も読みごたえがあります。

Hyperion
CDA-68399(1CD)
マショー:運命の妙薬
Qui n’aroit autre deport/Tieus rit au main/Joye, plaisance/En amer a douce vie/Dame, de qui toute ma joie vient 2vv /Dame, a vous sans retollir/Dame, mon cuer en vous remaint/Dame, de qui toute ma joie vient 4vv
オルランド・コンソート〔マシュー・ヴェンナー(C.T)、マーク・ドーベル(T)、アンガス・スミス(T)、ドナルド・グレイグ(Br)〕

録音:2021年11月2日-4日、洗礼者聖ヨハネ教区教会(ラフトン、エセックス)
1988年にイギリス国立古楽センターで結成された男声ヴォーカル・クヮルテット、オルランド・コンソート。
かつてアンドルー・カーウッドが在籍し、現在はタリス・スコラーズのメンバーでもあるドナルド・グレイグが低声部を支える精緻な歌声で、中世ポリフォニー音楽の最高峰として活動しています。
ギヨーム・ド・マショーの録音プロジェクトでも注目を浴びてきたオルランド・コンソートの新録音は、「運命の妙薬」。男性から女性への愛が歌われ、その詩を作ったのは誰かという問いかけをするというものです。それを各パート一人ずつという編成で正確に歌い上げるオルランド・コンソートの見事なアンサンブルをご堪能ください。

Arte dellarco Japan
ADJ-069(2CD)
日本初のモンテヴェルディのマドリガーレ全集・完結編
モンテヴェルディ
■CD1
マドリガーレ集第9巻『2声と3声のマドリガーレとカンツォネッタ』(1651)
1.「すてきな羊飼いさん」
2.「西風が戻り」
3.「誰も私に忠告しないように」
4.「愛の神は常に、楽しんでもよいと」
5.「お前の胸に」
6.「愛したくない」
7.「今日、そよ風はなんと甘く」
8.「踊りへ、喜びへ、楽しみへ」
9.「なぜ、僕を嫌ってたのに」
10.「そう、可愛らしく美しい」
11.「ほらほら、幼く愛らしい羊飼いたちよ」
12.「愛する人よ、命の人よ」

■CD2
「薄情な女たちのバッロ」〜マドリガーレ集第8巻『戦いと愛のマドリガーレ』(1638)より
プルート:小笠原美敬
ヴィーナス:鈴木美登里
愛の神:染谷熱子
薄情な女:森川郁子
地獄の霊たち:上杉清仁、谷口洋介、中嶋克彦、小笠原美敬
4人の薄情な女たち:森川郁子、染谷熱子、鈴木美登里、上杉清仁
■CD1
ラ・フォンテヴェルデ【鈴木美登里・染谷熱子(S)、布施奈緒子(Ms)、上杉清仁(C.T)、谷口洋介・中嶋克彦(T)、小笠原美敬(Bs)】
金子浩(リュート / バロック・ギター)、伊藤美恵(バロック・ハープ)、上尾直毅(Cemb)

■CD2
若松夏美・荒木優子(Vn)、成田寛・佐藤駿太(Va)、山本徹(Vc)
西澤誠治(ヴィオローネ)、金子浩(Lute)、伊藤美恵(バロック・ハープ)、上尾直毅(チェンバロ / オルガン)

録音:2013年10月7-9日、2014年9月21-23日、2016年5月15-18日、2017年5月15-18日、
2017年9月11-14日、2018年4月8-10日、2018年7月23-25日、2018年12月4-6日/秩父ミューズパーク音楽堂
鈴木美登里を中心に結成された本格派声楽アンサンブル、ラ・フォンテヴェルデ。6年の歳月をかけたモンテヴェルディのマドリガーレ全集、そのアルバム最終章 はマドリガーレ集第9巻『2声と3声のマドリガーレとカンツォネッタ』と第8巻『戦いと愛のマドリガーレ』より「薄情な女たちのバッロ」を収録。ここに完結いた します!
日本人としてははじめてで、ヨーロッパでもほとんど例のない貴重な試みであるこの一大企画では、作曲家の成長と作風の変化に焦点を当て、モンテヴェルディ の生涯に沿ってプロジェクトを進めていく形を取っています。もっぱらオペラなどの大作で知られる作曲家の半世紀をかけたライフワークが今ここに巻を追って響 きとなります!
モンテヴェルディは『オルフェオ』や『ポッペアの戴冠』などのオペラで一世を風靡し、バロックの扉を開いた作曲家です。しかし彼がライフワークとしていたのは、 16世紀から17世紀にかけてヨーロッパ全土で流行したマドリガーレでした。1587年に出版されたマドリガーレ第1巻から1651年の第9巻に至るまで、彼は 実に半世紀以上の年月をその創作に費やし、新しい作曲技法や様式を追求し続けました。第9巻は1630年頃流行した舞踏歌と同じスタイルの三重唱が多数でそ の多くが有節歌曲です。巨匠のライフワーク、今ここに完結いたします! (Ki)

PAN CLASSICS
PC-10444(1CD)
オスティナート
ビーバー:ソナタ第6番
ゲオルク・アーノルド(1621-1676):カプリッチョ
ビーバー:ソナタ第75番
アントニオ・ベルターリ(1695-1669):チャッコーナ
ハインリヒ・デーベル(1651-1693):ソナタ イ長調
ヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイアー(1663-1722):ソナタ(スコルダトゥーラ b- es'- b''-es'')
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー(c1623-1680):チャッコーナ
グナール・レツボール(指)
アルス・アンティクヮ・アウストリア

録音:2021年12月16-19日オーストリア、ザンクト・フローリアン修道院
古楽ヴァイオリン音楽の伝道師・レツボールによる「オスティナート」をテーマとしたアルバムです。「オスティナート」(ラテン語でobstinatus:頑固な)は絶 えず繰り返されるフレーズのことで、執拗低音とも言われます。このバスの動きは即興的な音楽展開に最適で、通奏低音を伴うバロック時代にうってつけの形式で あったため、数々の名品が生み出されました。
シュメルツァーとベルターリのチャッコーナはこのジャンルの代表格。現代ポップスにも通用するコード進行を持ち、シンプルな骨格から耳に楽しい音楽が沸き上 がってくる佳曲です。これにヴァイオリンの名手ビーバーによるオスティナートを主体とした2つのソナタと、アーノルド、デーベル、ヴィルスマイアーといったあまり 知られていない作曲家の作品を絡めた、レツボールならではの技ありの構成。めくるめくオスティナートの世界を堪能できます。
このアルバムでレツボールは、ビーバーが楽長を務めたザルツブルクの宮廷では特別な通奏低音があったという研究結果のもと、リュート、キタッラ・アッティオ ルバータ、コラシオーネという豪華な音響効果を持った通奏低音編成を採用しています。
PAN CLASSICS
PC-10443(1CD)
ジュゼッペ・サンマルティーニ:リコーダー・ソナタ集
1-3ソナタ ト長調 Sibley No. 25(GSM 1324)
4-6ソナタ ニ短調 Sibley No. 20(GSM 1319)
7-9ソナタ ニ長調 Sibley No. 17(GSM 1316)
10-12ソナタ ト短調 Sibley No. 14(GSM 1313a)
13-16ソナタ ヘ長調 Sibley No. 27(GSM 1326a)
タマル・ラロ(リコーダー)
ダニエル・オヤルサバル(チェンバロ、オルガン 1-7, 9-16)
ジャドラン・ダンカム(リュート 1, 3, 4, 6, 8, 9, 11, 15, 16)
エイアル・ストリート(ファゴット 1-4, 6, 13, 14, 16)
ホセチュ・オブレゴン(Vc 7-9)
イスマエル・カンパネロ(ヴィオローネ 1, 3)

録音:2021年11月/スペイン、ラス・ロサス・デ・マドリード
イスラエル人リコーダー奏者タマル・ラロによるソロ・デビュー盤。ジュゼッペ・サンマルティーニは1720年頃にロンドンで大活躍したオーボエ奏者・作曲家。 当時のオーボエ奏者はリコーダーも演奏するのが一般的で、サンマルティーニは30曲以上のリコーダー・ソナタを残しています。そのほとんどは「シブリー手稿譜 Sibley manuscript」と呼ばれる写本に収められており、このアルバムに収録された作品もその写本によっています。後期バロックにあたる時代、リコーダーは だんだんと忘れられていく古い楽器になりつつありました。そんな中、時代と共に大きく発展した器楽書法を駆使して書かれたこれらのソナタは、自由で大胆な創 意に基づく、リコーダー音楽の頂点ともいえるものになっています。 (Ki)

ACCENT
ACC-24386(1CD)
ビーバー:祭壇または宮廷用のソナタ集(ザルツブルク 1676年)〜2つのトランペット、2つのヴァイオリン、3つのヴィオラ、通奏低音のための
二重奏曲第10番(トランペット2)[C 135]
ソナタ第1番(8声:クラリーノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 114]
ソナタ第2番(6声:ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 115]
ソナタ第3番(6声:ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 116]
二重奏曲第7番(トランペット2)[C 132]
二重奏曲第8番(トランペット2)[C 133]
二重奏曲第9番(トランペット2)[C 134]
ソナタ第4番(5声:クラリーノ、ヴァイオリン、ヴィオラ2、通奏低音)[C 117]
ソナタ第5番(6声:ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 118]
ソナタ第6番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 119]
二重奏曲第2番(トランペット2)[C 127]
二重奏曲第4番(トランペット2)[C 129]
二重奏曲第5番(トランペット2)[C 130]
ソナタ第7番(5声:クラリーノ2、ヴァイオリン2、通奏低音)[C 120]
ソナタ第8番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 121]
ソナタ第9番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 122]
二重奏曲第11番(トランペット2)[C 136]
二重奏曲第12番(トランペット2)[C 137]
ソナタ第10番(5声:クラリーノ、ヴァイオリン、ヴィオラ2、通奏低音)[C 123]
ソナタ第11番(5声:ヴァイオリン2、ヴィオラ2、通奏低音)[C 124]
二重奏曲第1番(トランペット2)[C 126]
二重奏曲第3番(トランペット2)[C 128]
二重奏曲第6番(トランペット2)[C 131]
ソナタ第12番(8声:クラリーノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ3、通奏低音)[C 125]
フロリアン・ドイター、
モニカ・ワイズマン(Vn 、指 )
アルモニー・ウニベルセル

録音:2021年5月31日、6月4日ドイツ、ニーダーエーエ、聖レオデガル教会
優れたヴァイオリン奏者として名をとどろかせたザルツブルクの宮廷楽長ビーバー。宗教・世俗どちらの機会でも演奏できるように書かれた12曲からなる「祭 壇または宮廷用のソナタ集」は、ビーバーが多くの演奏機会を持つ人気奏者であったからこそ生まれたもので、聖俗が高い次元で融合されたみごとな名作です。2 本のトランペットを伴う編成が目を引きますが、これは当時ザルツブルク宮廷における祝祭的な場でトランペット二重奏によるファンファーレが習慣的に演奏されて いたことからきていると思われます。このアルバムではそこからアイデアを発展させ、12曲のソナタの中にビーバーが書いた12曲のトランペット二重奏を挿入し て演奏しています。 (Ki)

Andre Charlin
AMS-82HR(1CD)
2022年リマスタリング
カンプラ:モテット「主がシオンの繁栄を回復したもうとき」(詩篇125番)
クリスマス・オラトリオ「われらの主イエス・キリストの降誕」
エディット・ゼーリヒ(S)、エリック・タピー(T)、ジャック・エルビヨン(Br)、マック・シェーファー(Org)
ストラスブール音楽院cho、
ストラスブール・コレギウム・ムジクムO、
ロジェ・ドゥラージュ(指揮)

録音:1966年サン・ルイ教会(ストラスブール)
デジタライゼーション&リマスタリング:ブリュノ・ゴリエ(2022年
18世紀初頭、リュリとラモーの時代の狭間の世代を代表する音楽家カンプラ。とりわけ「優雅なヨーロッパ」のような歌劇作品で知られるカンプラですが、宮廷 だけでなく教会で活動を行っていたこともあり、教会音楽作品も多く残しています。今回は彼の教会作品の中からクリスマス・オラトリオと詩篇を収録。器楽伴奏 に乗って歌われるクリスマス・オラトリオは、聖夜を祝うにふさわしい壮大な響きにあふれています。2曲目の詩篇はカンプラ初期の作品。重厚で厳格な雰囲気と いうよりも、しなやかで軽快な響きが印象的な作品で、フランス・バロックならではの魅力を存分に感じられる作品といえましょう。2曲ともフランス舞曲のリズム が頻繁に使用されており、心地良いテンポ感に心満たされます。テノールを担当するのはスイスの世界的テノール歌手タピー。その他、世界的に活躍する名手達の 共演にも注目の1枚です! (Ki)
これまでリリースされていたCDは16bit/44KHzでしたがこの度24bit/96KHzでリ リースされます。リマスタリングのエンジニアは半世紀以上シャルランの音に惚れこみ、シャルラン・レーベルの存続に大きく貢献してい る名エンジニア、ブリュノ・ゴリエです。ゴリエはシャルランの録音についての研究だけでなく、シャルランに関わるものの収集など「シャ ルラン愛」に満ちた人物。シャルランの遺産を後世に伝えるべく、並々ならぬ思いでマスタリングしており、実に生々しく、驚くべき熱量 で蘇ります!

Stradivarius
STR-37199(1CD)
テレマン:12の幻想曲TWV 40:14-25
〜通奏低音なしのヴァイオリンのための
アンカ・ヴァシーレ・カラマン(Vn)

録音:2021年7月1日 イタリア ロンバルディア州 イゼーオ
テレマンのヴァイオリン曲の代表作の一つである、無伴奏ヴァイオリンのための幻想 曲集全12曲の新録音。アンカ・ヴァシーレ・カラマンはルーマニア生まれのヴァイオリニ スト。4歳からヴァイオリンを始め、ブカレストで学んだ後、2006 年にローマのサンタ・チ ェチーリア国立アカデミアに留学。そしてイタリアを中心に国際的に活躍しています。ここ でのテレマンはモダン楽器による丁寧な演奏で、テレマンの創意が伝わって来る。 カラマンの無伴奏作品シリーズは「パガニーニ:24 のカプリース(STR37193)」「バッハ:ソナタとパルティータ(全曲)(STR37196)」、「イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集 Op.27(STR37200)」の3タイトルが発売になっています。

MDG
MDG-92622776
(1SACD)
ヴィルトゥオーゾの芸術 Vol.1〜ソロ・コンチェルト集
ヴィヴァルディ:リコーダー協奏曲(RV441)ハ短調
ニコラ・フィオレンツァ:チェロ協奏曲 ヘ長調
ヨハン・ゴットリープ・グラウン:ヴィオラ協奏曲(Cv:VIII:116) 変ホ長調
ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ:ホルン協奏曲(QV 5)嬰ニ長調
ヨハン・メルヒオール・モルター:ティンパニとオーケストラのための交響曲
カテルヴァ・ムジカ【スザンヌ・ホッホシャイト(リコーダー)、イモーラ・ゴンボス(Vc)、ヴォルフガング・.ファブリ(Va)、O.ニコライ(Hrn)、F.コッホ(ティンパニ)】
ドイツのルール地方の西部に位置するヴェストファーレンで活動する古楽アンサンブル、カテルヴァ・ムジカのMDG初アルバムがリリースされます。同団は、1998 年にエルケ・ファブリ、ヴォルフガング・ファブリ夫妻によって設立。オリジナル楽器による演奏で、歴史的な音楽をただ蘇らせるだけではなく、現代的なアプローチ を取り込んだ生き生きとした演奏で定評があります。 第1弾は、18世紀の技巧的な5つのソロ協奏曲を収録。ドイツの前古典派の作曲家ヨハン・ゴットリープ・グラウンのヴィオラ協奏曲。18世紀ヨーロッパ屈指の名フ ルート演奏家であったヨハン・ヨアヒム・クヴァンツによるなんと嬰ニ長調のホルン協奏曲。ドイツ後期バロックから前古典派に至る過渡期の作曲家ヨハン・メルヒオー ル・モルターによる交響曲はティンパニがソロ楽器として登場します。あまり知られていない18世紀ナポリの作曲家・ヴァイオリニストのニコラ・フィオレンツァのチェ ロ協奏曲はソロ楽器を効果的際立たせた華麗な作品。そしてヴィヴァルディのリコーダー協奏曲は、生き生きとしたリコーダーのトリルが伸びやかに響きます。 (Ki)

MarchVivo
MV-007(1CD)
NX-B10

NYCX-10367(1CD)
国内盤仕様
税込定価
クープラン一族のクラヴサン音楽
ルイ・クープラン(1626頃-1661):組曲 イ短調〜『ボーアン写本』(17世紀後半-18世紀初頭)より
 ブランロシェ氏のトンボー(追悼曲)
 シャコンヌ
フランソワ・クープラン:.『クラヴサン奏法』(1716)より
  第7のプレリュード
  第3のプレリュード
  第1のプレリュード
  第4のプレリュード
  第2のプレリュード
 アルマンド
  第5のプレリュード
  第8のプレリュード
  第6のプレリュード
 第14組曲より〜『クラヴサン曲集 第3巻』(1722)より
  恋する夜啼鶯
  驚き怯えるヒワ
  嘆いてばかりのムシクイ
  シテール島の鐘
  ささやかなものごと
アルマン=ルイ・クープラン(1727-1789):.『クラヴサン曲集』(1751)より
 シェロン/苦悩/フランス風
フランソワ・クープラン:神秘の障壁〜『クラヴサン曲集 第2巻』(1717)第6組曲より
ルイ・クープラン:クープラン氏のシャコンヌ ヘ長調
バンジャマン・アラール(クラヴサン〔=チェンバロ〕)
使用楽器:アントウェルペンのアンドレアス・リュッケルス1646年製作、パリのパスカル・タスカン1780年拡張改造モデルに基づくキース・ヒル2001年製作の再現楽器

録音:2020年2月1日フアン・マルク財団、マドリード (ライヴ/セクションごとに拍手入り)
※国内仕様盤解説日本語訳:白沢達生
フランスの名手バンジャマン・アラールが、若き古楽器演奏家たちの登竜門ブリュッヘ(ブルージュ)国際古楽コンクールを制したのが2004年。 翌年パリのサン=ルイ=アン=リル教会に新設されたオーベルタン・オルガンの専属奏者となり、この足鍵盤の音栓まで充実した楽器をはじ め各地のオルガンで堂々たるバッハ演奏を聴かせる一方、録音でもチェンバロとオルガンの双方を等しく弾きこなし、ALPHAやHarmonia Mundi Franceでバッハの鍵盤作品を続々と録音してきました。逆にバッハ以外を演奏するアラールの様子に触れる機会は滅多にありませ んでしたが、2022年5月の来日公演アンコールではスカルラッティのソナタの驚くべき解釈を披露、バッハ作品へのこだわりが彼の適性や嗜好 の限界を示すものではなかったことを明らかにしました。そのことをさらに裏付ける驚くべき録音が意外にもスペインのレーベルMarch Vivoから 登場。2020年2月1日にマドリードで行われた演奏会の記録で、フランス音楽史に名高いクープラン一族の最も重要な3人の作品を厳選 したプログラム。3人それぞれの作風は大きく違いますが、そのいずれにおいてもごく自然な佇まいで様式感を捉え、曲ごとの個性を描き分け てゆく解釈の妙は圧巻の一言。彼のバッハ演奏を特徴づける寛いだ安定感はここでも健在で、ライヴの臨場感に貫かれていながら危うさとは 全く無縁、各作曲家の音楽世界にじっくり浸らせてくれます。イタリア屈指の古楽器奏者たちの名録音を数多く手掛けてきたロベルト・キネッ ラートのマスタリングで、現代最高峰の域にあるクラヴサン音楽の比類ない境地をじっくりお楽しみ頂けます。

Naive
E-7545[NA](1CD)
ジョアン・アンブロシオ・ダルツァ:saltarello ala ferrarese/piva ala ferrarese/caldibi castigliano/caldibi saltarello (ホプキンソン・スミスによる再構築版)/pavana ala ferrarese/poi che volse la mia stella/pavana ala venetiana/saltarello ala venetiana/piva ala venetiana/poi che’l ciel contrario adverso/calata ala spagnola ditto terzetti di zuan ambroso dalza/tastar de corde
フランチェスコ・スピナチーノ:リチェルカーレ第6, 13, 23, 4, 25, 15, 12, 9番
マルケット・カーラ:io non compro piu speranza
ホプキンソン・スミス(6弦リュート/ヨエル・ファン・レネプ、1977年ボストン製)

録音:2021年4月、フランス
至高のリュート詩人として世界が絶賛するホプキンソン・スミス。音楽が素晴らしいことはもちろん、歴史に関する膨大な知識と探求心で、歴史に埋もれてしまっ た楽譜を熱心に掘り起こしてもいます。このたび、歴史上(1507-1508、ベニス)初めて印刷(出版)されたタブラチュア譜から、リュートの楽器の最初期の作品 と考えられる楽曲を録音しました。「私の音楽の再構築を異端視する批評家もいるかもしれないが、スピナチーノの作品で現在まで残されているものの多くがひど く混乱した状態であることから、再構築が必要だと私は考えた。作品をそのまま演奏されない運命のままとしてしまうか、素晴らしいタペストリーのほつれた糸を 引き締めて芸術作品として再提示するかのどちらかだ」とはスミスの言葉。スミスはこれらの繊細なポリフォニーを、15世紀後半の伝統に基づいて作られた6弦 のリュートで奏でています。調弦も、15-16世紀の論文などを考慮したもの。中世という遠い時代と幻想を呼び起こす神秘的な魅力に満ちた作品が、リュートとい う楽器を持った至高の語り部によって、現代に響きます。舞曲の形式によるものから自由な形式によるものまで、ホプキンソン・スミスという最高の語り部を得た 作品がよみがえりました。
Naive
OP-7365(2CD)
モンテヴェルディ:マドリガーレ集第7巻
マドリガーレ集第7巻〜1,2,3,4&7声のための作品、およびその他の作品
[CD1]
1. プロローグ
2. シンフォニア
3. “Il luogo de’ suoi amori”
4. “Perche fuggi tra salci”
5. “Vorrei baciarti, o filli”
6. “Tornate, o cari baci”
7. “Eccomi pronta ai baci”
8. “Se i languidi miei sguardi”
9. “Ecco vicine, o bella tigre, l’hore”
10. “Al lume delle stelle”
11. “Non e di gentil core”
12. “Non vedro mai le stelle”
13. “Oh viva fiamma”
14. “Augellin, che la voce al canto spieghi”
15. “Amor, che deggio far”
[CD2]
1. Entrata grave (B. Marini)
2. “Con che soavita”
3. “Dice la mia bellissima licori”
4. “Parlo, miser, o taccio?”
5. “Se’l vostro cor, madonna”
6. “oh, come sei gentile”
7. “Interrotte speranze, eterna fede”
8. “Ohime, dov’e il mio ben?”
9. “Soave libertate”
10. “Vaga su spina ascosa”
11. “Io son pur vezzosetta pastorella”
12. “Ah, che non si conviene”
13. “Tu dormi? Ah, crudo core”
14. “Se pur destina e vole”
15. “Chiome d’oro, bel tesoro”
リナルド・アレッサンドリーニ(Cemb・指)、
コンチェルト・イタリアーノ

録音:2020年10月
アレッサンドリーニのモンテヴェルディ最新録音の登場です。アレッサンドリーニはこれまでにマドリガーレ集第2巻、第3巻、第4巻、第5巻、第6巻、第8巻と 録音しているほか、オルフェオなどの重要作品も録音。モンテヴェルディにかけてはひとしおの思い入れをもっています。ここでも、音楽自体がテキストの世界を物 語るようなモンテヴェルディのドラマティックな作風を見事にとらえ、よい意味で非常になまめかしい演奏を展開しています。歌い手たちの、たいへん表情豊かな 歌唱力に圧倒されると同時に、器楽アンサンブルの面々による繊細かつ絶妙な歌とのバランスも見事です。 (Ki)

ALIA VOX
AVSA-9951(1SACD)
ラス・ウエルガス写本〜聖なる動物寓話と象徴
CODEX LAS HUELGAS-Bestiaire et symboles du divin

1. Iocundare, plebs fidelis, cuius Pater est in celis
2. Audi pontus, audi tellus
3. Aterni numinis
4. Kyrie, fons bonitatis
5. Gaude, Virgo, plena Deo
6. Alpha, bovi et leoni / [Domino]
7. Virgines egregie Virgines sacrate
8. Cum sint difficilia Salomoni tria
9. Virgo sidus aureum
10. O Maria, maris stella / O Maria, Virgo davitica
11. Flavit auster
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ、
エスペリオンXXI
ジョルディ・サヴァール

録音:2021年7月15日、フォンフロワド修道院内礼拝堂、ナルボンヌ、フランス(ライヴ録音)
サヴァールはこれまでに220タイトル以上のリリースを世に送り出しています。最近ではベートーヴェンやシューベルトの交響曲でも世界をうならせていますが、 ここで再び中世作品を録音しました。 1325年に編纂されたラス・ウエルガス写本は、1904年に初めて「再」発見されました。写本というのは様々な理由で持ち出されたりし、歴史の中でその所在 を点々とすることが多いですが、このラス・ウエルガス写本は、本来あるべき場所(=巡礼の道の途中にある、スペイン北部のシトー会修道院=)にずっと留まって いたという意味でも、奇跡的な写本です。編纂されたのが1325年、実際に掲載されている作品は、それより3世紀ほど前の音楽であり、西暦1000年前後の音 楽世界への手がかりとなる貴重な写本です。サヴァールは、186ある作品の中から11をセレクト。最古の多声部による楽曲や、独立したメロディを同時に歌うよ うな楽曲など、のちに発展する多声音楽の萌芽のような作品も見られるなど、作品の美しさだけでなく歴史的にもきわめて貴重な作品が収録されています。また、 テキストは、動物が信仰の象徴として描かれたもので、鷲、子羊、魚、さらにはキリストの犠牲の象徴であるペリカンや、未知の世界との境界を守る存在である竜な ど、様々な動物も登場します。サヴァールが、1000年以上もむかしの音楽の世界をこれ以上なく魅力的に味わわせてくれます。 (Ki)

Coviello
COV-92202(1CD)
14の厳粛な歌 〜ガンバにのせて
ヒューム(1569-1645):Humorous Pavin
マショー(1377没):Douce dame
アンドレーアス・グリューフィウス(1616-1664):Mein sind die Jahre nicht
フリードリヒ・ヴィルヘルム・マルプルク(1718-1795):Lebe, liebe, trinke, larme
コンスタンティン・クリスチャン・デデキント(1628-1715):Wir sind ein Traum der Zeiten
ヨハン・ジギスムント・ショルツ(1705-1750):Alles eilt zum Untergange
伝ハイドン:uberliefert Bonny Barbara Allan
パーセル:Strike The Viol
シューベルト:Der Tod und das Madchen
ブラームス:Denn es gehet dem Menschen wie dem Vieh
ブラームス:O Tod, wie bitter bist du
アダム・クリーガー(1725-1666):Nun sich der Tag geendet hat
トリュステット(1944-):Ach ich
後奏曲
ニコラス・トリュステット(ヴィオラ・ダ・ガンバ、歌)

録音:2020年11月24-27日
弾き語り」とは最も古い演奏形態の一つであり、古代神話のオルフェウスから中世のトルバドゥール、現代の多くのスターまで脈々と続いています。古楽器の専 門家であるニコラス・トリュステットが様々な時代の歌を弾き語りで披露、歌だけでなく語りも入った、不思議な感触のアルバム。 (Ki)

Chandos
CHAN-0828(1CD)
アルティッシマ〜ハイ・バロック時代のトランペット作品集
ゴットフリート・ライヒェ(attrib.)(1667-1734):Abblasen
クリストフ・グラウプナー(1683-1760):トランペット、2挺のヴァイオリン、ヴィオラと通奏低音のための協奏曲 ニ長調 GWV308
ロマヌス・ヴァイヒライン(1652-1706):2本のトランペット、2挺のヴァイオリン、2挺のヴィオラと通奏低音のための8声のソナタ ハ長調 Op.1-1
ゴットフリート・フィンガー(c.1660-1730):トランペット、オーボエと通奏低音のためのソナタ ハ長調
ヨハン・ザムエル・エンドラー(1694-1762):トランペット、2本のホルン、ヴァイオリン、オーボエ、バスーン、ティンパニ、弦楽と通奏低音のための7声のシンフォニア CobE13(ピリオド楽器による初録音)
テレマン:トランペット、2本のオーボエと通奏低音のための協奏曲ニ長調 TWV43:D7
フィリップ・ヤーコプ・リトラー(c.1637-1690):2本のトランペット、ヴァイオリン、3挺のヴィオラ、チェロと鍵盤楽器のための7声のチャッコーナ
カペル・ボンド(1730-1790):トランペット、4挺のヴァイオリン、ヴィオラ、チェロと通奏低音のための協奏曲第1番ニ長調
ジョシュ・コーエン(バロック・トランペット)、
アンサンブル・スプレッツァトゥーラ、
ダニエル・エイブラハム(指)

※使用楽器:Baroque trumpets in D, C, and F by Matt Martin (Norwich Natural Trumpets), 2017, after Kodisch, c.1700
録音:2020年1月6日ー10日、スペンサーヴィル・アドベンチスト教会(メリーランド、アメリカ)
ワシントンD.C.出身のバロック・トランペット奏者、ジョシュ・コーエンのChandosデビュー盤。コーエンは、ターフェルムジーク・バロックO、ワシントン・バッハ・コンソート、モントリオール古楽スタジオ、アポロズ・ファイアなど、北米の古楽器アンサンブルや古楽器オーケストラの首席奏者やソリストとして共演するなど、北米で最も人気のあるクラリーノ(Tp)奏者のひとりとして活躍しています。
これまでにアンサンブル・カプリスとの共演で、高い演奏技術を要するブランデンブルク協奏曲の録音を残しているコーエン。Chandosデビューを飾る本アルバムでは、17世紀後半から18世紀半ばにかけて作曲されたバロック・トランペットのための幅広いレパートリーを取り上げています。現在のバルブやピストンが開発される遥か以前、1500年代から使用されるようになったとされるバロック・トランペットは、モダン・トランペットが誕生する1800年代後期にかけて、宗教作品、オーケストラ作品、独奏作品と多岐にわたり用いられました。バルブ機構が存在しないため、倍音以外の音を出すための唇の絶妙なコントロールなど、より高い演奏技術が求められるこの楽器を、現代のヴィルトゥオーゾの妙技で華々しく奏でます。

Etcetra
KTC-1764(2CD)
フランソワ・クラフト(1729-1795):ソナタ、ディヴェルティメント、メヌエット 〜ハープシコード作品集
ディヴェルティメント ト長調 Op.5-2
ソナタ ト長調 Op.4-1/12のメヌエット(第1番〜第3番)*/ソナタ ニ長調 Op.4-2/12のメヌエット(第4番〜第6番)*/ソナタ ハ長調 Op.4-3/ディヴェルティメント ヘ長調 Op.5-6/ソナタ 変ロ長調 Op.4-4/12のメヌエット(第7番〜第9番)*/ソナタ ヘ長調 Op.4-5/12のメヌエット(第10番〜第12番)*/ソナタ ト長調 Op.4-6
ヤン・デフリーハー(ハープシコード)、
アン・クノップ(Vn)*
バロック期から次の音楽の時代へという過渡期に活躍したフランソワ・クラフト(1729-1795)の作品は、その内容の素晴らしさにもかかわらず、知られざる作品となってしまいました。そこに注目したのがベルギーのリコーダー、ハープシコード、通奏低音奏者であり、コンサート・プレゼンター、作曲家として活動するヤン・デフリーハー。これまでにも自身がリーダーを務めるアンサンブル、レ・グーゾータンティクなどを率いて知られざるバロックの音楽家たちを広める活動を行っています。
クラフトのハープシコード作品集の「全曲盤世界初録音」盤は登場です。

CPO
CPO-555437(2CD)
NX-D11
テレマン:フランス風典礼歴カンタータ集 1714/1715第2集
ただ愛する神の摂理にまかす者 TVWV 1:1593
無邪気さと良心TVWV 1:1440
聖なるキリストはよみがえり給えり TVWV 1:1136
そして彼らはお互いに会話をして TVWV 1:1438
われらの救い主イエス・キリスト TVWV 1:976
シオンの民よ雄々しくあれ TVWV 1:1606
われは知る、わが救い主は生きておられることを TVWV 1:874
偉大な神よ、私たちはあなたの前に横たわる TVWV 1:1668
われは知る、わが救い主は生きておられることを TVWV 1:876
ザビーネ・ゲッツ(S)
リーゼロッテ・フィンク(A)
ファビアン・ケリー(T)
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(Bs)
ユリー・グルツカ(S)
ルカ・ゼッガー(A)
ハンス・イェルク・マンメル(T)
ゴットホルト・シュヴァルツ(Bs)
グーテンベルク・ソロイスツ(声楽)
ノイマイヤー・コンソート(器楽)
フェリックス・コッホ(指)

録音:2021年11月22-26日、2021年12月13-14、22-23日
テレマン作品の復興に力を注ぐcpoレーベル、このアルバムは1714/15の教会歴(典礼歴)のために作曲された 規模の大きな編成によるカンタータ全72曲の録音プロジェクトの第2弾にあたります。 今作の2枚組には「死者の日曜日(Laetare)、四旬節の日曜日(Oculi)、復活祭、三位一体後の第22から 第24日曜日のカンタータを9作収録、場面、機会に即したテレマンの優れた音楽表現を楽しむことができます。 フェリックス・コッホの指揮によるこのプロジェクトは、ハンス・クリストフ・ベーゲマンやハンス・イェルク・マンメルといった バロック歌唱に実績のあるヴェテラン歌手とともに、このプロジェクトのために選抜された若き歌手たちが組織する ヴォーカル・アンサンブル「グーテンベルク・ソロイスツ」の演奏。テレマン・ファンだけではなく多くの人にお聴きいただき たい1枚です。
CPO
CPO-777991(1CD)
NX-B10
フランツ・クサヴァー・リヒター: 6つの交響曲集 Op. 2
交響曲 ニ長調 Op. 2No. 1
交響曲 ヘ長調 Op. 2No. 2
交響曲 ハ長調 Op. 2No. 3
交響曲 変ホ長調 Op. 2No. 4
交響曲 ト長調 Op. 2No. 5
交響曲 ニ長調 Op. 2No. 6
南西ドイツ・プフォルツハイム室内O
ヨハネス・メーズス(指)

録音:2019年9月5-7日
モラヴィア生まれの作曲家、フランツ・クサヴァー・リヒターは、ヨハン・シュターミッツと並んで、マンハイム楽派の創始 者であり、プファルツ選帝侯カール・テオドールの高名な宮廷楽団に1747年に加わり、作曲家、ヴァイオリニスト、 バス歌手として活躍したことで知られています。この作品番号2の6つの交響曲は1759年にオランダ、アムステルダ ムのフンメル社から出版され、カール・テオドールに献呈されています(作品番号はリヒター自身が附番したのではな く、出版社が付けたものであるため、決して初期の作品というわけではありません)。作品は全て急-緩-急の3楽 章で構成されており、これは当時流行していた歌劇の「序曲=シンフォニア」に倣ったものです。総譜には管楽器 パートが書かれていますが、これは「ad libitum(好みにあわせて)」とされており、必ずしも必要なわけではありま せん(この演奏では使われています)。第4番だけは例外的に終楽章にメヌエットが置かれており、こちらはリヒター の実験的な試みが成功しています。 なお、この録音は、ハイデルベルク科学アカデミーの南西ドイツ宮廷音楽研究センターによる新版で演奏されてい ます。

EVIDENCE
EVCD-088(1CD)
ジャケ・ド・ラ・ゲール:ユディット&セメレ
(1)聖書カンタータ「セメレ」
(2)トリオ・ソナタ第4番ト短調
(3)聖書カンタータ「ユディット」
(4)組曲ト長調(Vnでも演奏可能なクラヴサン小品集)
エロイーズ・ガイヤール(指)
アンサンブル・アマリリス、
マイリス・ド・ヴィユトレイ(S)

録音:2021年11月5-7日/ラ・クロワ(アントルーグ=シュル=ラ=ソルグ)
17世紀フランスを代表するクラヴサンの名手にして女性作曲家エリザベート・ジャケ・ド・ラ・ゲール。フランス・バロックの作曲家ダカンが夫の甥で、彼のクラヴサン曲にも影響を及ぼしています。
ジャケ・ド・ラ・ゲールはクラヴサン曲のみならず、世俗・神聖両カンタータも多数残しています。そのなかから旧約聖書に登場するふたりの女性、勇気と美徳を体現したユディト、節度と尊厳を体現したセメレを描いた2篇をエロイーズ・ガイヤール率いるアンサンブル・アマリリスが美しく再現。ジャケ・ド・ラ・ゲールの天性のドラマ的感覚が光ります。アンサンブル・アマリリスは1994年結成の女性団体。
器楽作品であるトリオ・ソナタ第4番は、半音階や大胆な和声などコレッリの影響を感じさせる新しい楽器法と、彼女ならではのフランス的な装飾技法の融合が興味深い作品。アンサンブル・アマリリスのフレッシュな演奏で味わえます。 (Ki)

H.M.F
HMM-902315(1CD)
マラン・マレ:作品集
1. プレリュード*
2. ガヴォット*
3. ミュゼット(ヴィオール曲集第4巻、組曲イ短調より)
4. スペインのフォリアのクプレ(ヴィオール曲集第2巻より)
5. ラ・レヴーズ(夢、夢想、夢見る女)(ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)
6. ファンタジー*
7. グラン・バレ*
8. サラバンド*
9. 膀胱結石手術図(ヴィオール曲集第5巻)
10. クーラント*
11. 作者不詳(伝:マラン・マレ):Les Regrets(後悔)(ヴィオール曲集第2巻 組曲ホ短調より)
12. プレリュード(ヴィオール曲集第2巻 組曲ニ短調より)
13. サラバンド・グラーヴ(ヴィオール曲集第2巻 組曲ニ短調より)
14. きわめて速く-遅く(マレ風ソナタ)
15. ル・バディナージュ(ヴィオール曲集第4巻、異国趣味の組曲より)[ピアノ・ソロ編曲]
16. ジグ - ドゥーブル*
17. アルマンド*

*=ヴィオール曲集第3巻 組曲イ短調より
ケラス&タローcVictor Toussaint
ジャン=ギアン・ケラス(Vc/ジョフレド・カッパ、1696年製)
アレクサンドル・タロー(P/YAMAHA CFXグランドピアノ)
ギョーム・ガリエンヌ(コメディ・フランセーズ会員/9)

録音:2022年8月、大ホール、アルセナル・ド・メス(フランス)
ケラスとタローが、マラン・マレを録音しました。モダン・チェロとピアノによるマラン・マレというだけでも興味津々なうえ、ふたりによる演奏となれば、黙っ て通り過ぎるわけにはいきません。ケラスはその圧倒的なうまさと音楽で、洋の東西、時代を問わずに演奏活動を展開、そしてタローはラモーのクラヴサン曲集 のピアノによる演奏で世界をあっといわせた存在。そんなふたりによるマレ!ひとつの組曲を核に、さまざまなキャラクターの小曲を合間にちりばめた、1枚をと おしてたのしめるプログラムも魅力。ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロで演奏するとどちらかといえばゆったりと典雅、内省的な印象すらあるマレ。ケラスと タローによる演奏は、フレーズひとつひとつに満ちる歌、さりげない装飾音にただよう繊細なエレガンスが美しく、そしてスタイリッシュ。かと思うと、ワールド ミュージックを聴いているような感覚になるような場面もあるなど、1曲1曲が実に新鮮。膀胱結石手術図の患者役にはコメディ・フランセーズの役者をゲスト に迎えた力の入りよう。タローのソロも、ラモーやクープランにつづき、衝撃の美しさに心がふるえます。そしてスペインのフォリアでの、ケラスの圧倒的うまさ!! 絶対注目です!!! (Ki)

Signum Classics
SIGCD-731(1CD)
トム&ウィル〜ウィールクス&バード
没後400周年記念アルバム

1. ウィリアム・バード:諸々の異邦人よ、主をほめまつれ/2. バード:If Women Could be Fair/3. トマス・ウィールクス:Say Dear, When Will Your Frowning Leave/4. ウィールクス:Like Two Proud Armies/5. ウィールクス:パヴァン第3番/6. ウィールクス:Thule, the Period of Cosmography/7. ウィールクス:What Joy so True/8. ウィールクス:In Nomine a4/9. バード:Ye Sacred Muses (1)/10. ジェイムズ・マクミラン:Ye Sacred Muses (2)(世界初録音)/11. ウィールクス:In Nomine a5(1)/12. ウィールクス:Hark all ye Lovely Saints Above/13. ウィールクス:Death Hath Deprived Me/14. ロデリック・ウィリアムズ:Death, be not Proud(世界初録音)/15. ウィールクス:In Nomine a5(2)/16. バード:Who Made Thee Hob/17. バード:This Sweet and Merry Month of May/18. バード:Browning (The Leaves Be Green)/19. バード:Alack, When I Look Back/20. バード:O Lord Make thy Servant Elizabeth
キングズ・シンガーズ
〔パトリック・ダナキー(C.T)、
エドワード・バトン(C.T)、
ジュリアン・グレゴリー(T)、
クリストファー・ブリュートン(Br)、
ニック・アシュビー(Br)、
ジョナサン・ハワード(Bs)〕
フレットワーク

録音:2022年1月13日ー15日、セント・バーソロミュー教会(サフォーク、イギリス)
ルネサンス・ポリフォニーからジャズ・ポップスまで、2000曲以上ものレパートリーを誇り、2018年に結成50周年を迎えた男声ア・カペラ・グループのレジェンド、キングズ・シンガーズ。エドワード・バトン(C.T)、ニック・アシュビー(Br)が加わった新メンバー(2019年7月来日公演時のメンバー)による2022年の新録音は、森川麻子やリチャード・ブースビーら、名ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者達によって1986年に創設され、2021年で35周年を迎えた世界最高峰のヴィオール・コンソート、フレットワークとの共同企画。
本アルバムでは、ともに1623年に没し、2023年に没後400周年を迎えるウィリアム・バードとトマス・ウィールクスというエリザベス朝時代の作曲家に焦点を当てています。有名な作品はもとより、これまでに演奏される機会が少なかった貴重な作品まで幅広く取り上げており、イギリス・ルネサンスの最盛期の中で活躍した、この偉大な作曲家たちの作品の深淵に迫ります。また、バード、ウィールクスの精神を引き継ぎ書かれた、ジェイムズ・マクミラン、名バリトンとしても知られるロデリック・ウィリアムズの新作をカップリング。これまでに、べリオ、リゲティ、ペンデレツキ、武満徹、ウィテカーなど各時代を代表する現代作曲家から200を超える作品を捧げられてきたキングズ・シンガーズの新たなレパートリーにも注目です。

Ars Produktion
ARS-38619(1CD)
鳥愛好家の喜び
ジョン・ウォルシュ(1666-1736):ムクドリ
パーセル:鳥の前奏曲、ソナタ ハ長調 Z.808
ウィリアム・ウィリアムズ(1675-1701):SONATA SECUNDA
アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ(1615-1681):パッサカリア ト長調
ジャック=マルタン・オトテール:甘い眠り、POURQUOY DOUX ROSSIGNOL
ラモー:LE RAPPEL DES OISEAUX
マルコ・ウッチェリーニ(1603/10-1680):SONATA DECIMA SETTIMA A TRE、ARIA SOPRA ‘LA BERGAMASCA’
モンテヴェルディ:O COME SEI GENTILE, CARO AUGELLINO
ウィリアム・ウィリアムズ:SONATA SESTA IN IMITATION OF BIRDS
アンサンブル・ソノリタ:IMPROVISATION ‘IN THE FOREST’
タルクィニオ・メールラ(1595-1665):シャコンヌ
アンサンブル・ソノリタ

録音:2021年10月17日-21日
アンサンブル・ソノリタは、リコーダー2本、ハープシコード、チェロ、アーチリュートまたはバロック・ギターで編成されたピリオド・アンサンブルです。彼らによって演奏されるイギリス、フランス、イタリアのバロック作曲家の作品には鳥の声が描写されていたり、自然の風景からインスピレーションを受けていたことが窺えます。「自然」と「芸術」の切っても切り離せない関係性を垣間見ることの出来る興味深いアルバムです。

Footprint Records
FR-127(1CD)
2つの管弦楽組曲と3つのアリア
テレマン:序曲(組曲) ハ長調 TWV 55:C6
ヘンデル:言いなさい、わたしの心の人よ(歌劇 「アルチーナ」 から)
ヴィヴァルディ:凍りつく血潮が(歌劇 「ファルナーチェ」 から)
ヘンデル:戻ってきて、また私を喜ばせて(歌劇 「アルチーナ」 から)
バッハ
:管弦楽組曲(序曲)第1番ハ長調 BWV 1066
ヘレーナ・エーク(S)、
カールソン・バロック、
ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルの木管楽器奏者たち、
ヨーラン・カールソン((指)チェンバロ)

録音:2021年6月21日-24日、クヴィル教会(フィエールバッカ、スウェーデン)
カールソン・バロックは、ヨーラン・カールソンが結成したヨーテボリを拠点に活動する15人のプレーヤーの古楽アンサンブルです。2009年に最初のコンサートを行い、2014年にアルバム第1作『Characters』(FR076)をリリース。コレッリ、ジャン=フェリ・レベル、ヴィヴァルディ、チャールズ・アヴィソン、テレマンという多彩なプログラムの演奏は、各国のメディアから注目され、好意的な評を獲得しました。2作目のアルバムでは、ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルの木管楽器奏者が加わったテレマンの「ダルムシュタット序曲」の 「ハ長調」 の作品と、バッハの4つの「管弦楽組曲(序曲)」の 「第1番ハ長調」、そして、へンデルとヴィヴァルディの歌劇のアリア3曲を演奏しています。アリアのソロを歌うソプラノのヘレーナ・エークは、カールソンをはじめとする古楽アンサンブルや現代音楽の音楽家たちとコラボレーションを行い、フレードリク・シクステンの 「スウェーデン・クリスマス・オラトリオ」(FR069)でも歌いました。

Perfect Noise
PN-2204(1CD)
エスパニョレタス〜スペイン黄金時代のサウンド(1600年代のミンストレルの音楽)
アントニオ・デ・カベソン:パヴァーヌとそのグロサ
シャイト
(1587-1654):ガリアルダ
エルナンド・デ・カベソン(1541-1602):甘き思い出
ガスパル・サンス(1640-1710):カナリオス
バルトロメオ・デ・セルマ・イ・サラベルデ(c.1595-after1638):カンツォン第4番
アントニオ・デ・カベソン:「牝牛の番をしておくれ」の主題によるディフェレンシアス
スヴェーリンク(1562-1621):スペインのパヴァーヌ
アントニオ・ヴァレンテ(c.1520-c.1581):イントルチャの踊り
ディエゴ・オルティス(c.1510-1570):レセルカーダ第1番、第4番、第7番、第2番
アンドレア・ファルコニエーリ(c.1585-1656):3声のパッサカリア
アントニオ・マルティン・イ・コル(c.1680-1734):Bayle Del Gran Duque
フランシスコ・コレア・デ・アラウホ(1584-1654):Gaybergier de Toma Crequilion
アントニオ・マルティン・イ・コル(c.1680-1734):マリサパロス
サンス
:エスパニョレタス
アントニオ・マルティン・イ・コル:フォリア
ティールマン・スザート(1510/15-1570):スペインのパヴァーヌ
シャイト:音楽の遊戯より ガリアード、クーラント
プレトリウス
:スパニョレッタ
コンシエルト・イベリコ〔アンナ・シャル(ソプラノ&テノール・コルネット、ミュート・コルネット、リコーダー)、イネス・ピナ・ペレス(ルネサンス・リコーダー)、フアン・ゴンサレス・マルティネス(ルネサンス・トロンボーン、音楽監督)、エスター・ファン・デル・ヴェーン(ドゥルシアン)、フェルナンド・オリバス(スパニッシュ・ギター、テオルボ)、リア・スーター(オルガン/エーファース製作)、ノラ・ティーレ(パーカッション)〕

録音:ヴァルンフリート教会(ドイツ)
オランダのハーグ王立音楽院で研鑽を積み、カペラ・クラコヴィエンシス(ポーランド)、ル・セルクル・ド・ラルモニー(フランス)など、ヨーロッパ全土で有名な古楽オーケストラやアンサンブルとの共演を重ねて来たトロンボーン奏者、フアン・ゴンサレス・マルティネスによって、2017年に結成された若き古楽器アンサンブル、「コンシエルト・イベリコ」。
14世紀から18世紀にかけてヨーロッパ全土で活躍し、宮廷や教会、一般の人々のための娯楽としても、その高い演奏技術を生業とした職業音楽家(ミンストレル)。本アルバムでは、彼らの文化が最も繁栄し、スペインの美術、音楽、文学隆盛の時代にあたる「スペイン黄金世紀」の音楽を収録。当時の広く親しまれてきた華やかな音楽を、現代の若き名手達による解釈で伝えます。

Tactus
TC-700703(1CD)
ジョヴァンニーニ:ミサ・ア・クワトロ・ブレーヴェ・コンチェルタータ (1762) カペラ・ムジカーレ・ディ・サンタ・マリア・イン・カンピテッリ

録音:2018年7月
18世紀イタリアのカンピテッリにあるサンタ・マリア教会の楽長であったフランチェスコ・ジョヴァンニーニ(1709/11-1775)の作品をメインとしたアルバム。聖母修道院に遺されてたジョヴァンニーニのアーカイヴから発掘されたミサ曲を再現するために最良な方法は何か。そのためには18世紀当時行われたミサを再現することだと結論に至りこのアルバムは収録されました。当時の慣習に従い、ミサ曲の合間に朗読やグレゴリオ聖歌、その他にもベルナルド・パスクィーニの作品、ドメニコ・ツィポーリの作品も収録されており、リスナーはこのアルバムを通してジョヴァンニーニの時代に行われたミサを追体験することが出来ます。

QUERSTAND
VKJK-2109(1CD)
ビーバー&ムッファト:ヴァイオリン作品集
ビーバー:ソナタ第3番ヘ長調〜ヴァイオリンと通奏低音のた
めの
ビーバー:ロザリオのソナタ〜磔刑
ムッファト:「音楽とオルガンの資料」〜パッサカリア ト短調
ビーバー:ロザリオのソナタ〜パッサカリア
ムッファト:ソナタ ニ長調 ヴァイオリンと通奏低音のための
ビーバー:ソナタ第 1番イ長調〜ヴァイオリンと通奏低音のための
ドーラ・シラージ(バロック・ヴァイオリン)
フローラ・ファーブリ(Cemb)

録音:2021年9月6-8日 ドイツ フライブルク
今注目のハンガリー出身の二人の女性演奏家によるビーバーとムッファトのヴァイオリン 作品集。ドーラ・シラージはブダペストのフランツ・リスト音楽大学を修了後、フライブルクに移 ってゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ(フライブルク・バロックオーケストラのリーダー)に学 ぶ。バロックの室内楽を中心に活動しつつ、バロック・ヴァイオリンのソリストとしても名声を築 きつつある。ドイツ仕込みの折り目正しい格調高い演奏を基本にしつつ、時折見せつ熱っぽ さが素敵だ。フローラ・ファーブリはブダペストで学んだ後、ミュンヘンでクリスティーネ・ショ ルンスハイムに学んだチェンバロ奏者。彼女はマンハイム歌劇場などの歌劇場でコレペティ トゥーア(練習伴奏ピアニスト)も務めているからか、伴奏の勘所が非常に良く、ここでもシラ ージのヴァイオリンを絶妙に引き立てています。選曲も良くビーバーとムッファトの魅力をたっぷ り楽しめる。
QUERSTAND
VKJK-2110(1CD)
フランスのヴィオル作品集
フォルクレ:ルクレール
 ラボルド/ブロン
マレ:人間の声
フォルクレ:摂政/トロンシャン
サント=コロンブ:コンセール第44番トンボー「悔い」
ウデリンヌ:組曲 ニ短調
マレ:スペインのフォリア
アンサンブル・アルト・デコー【ユリアーネ・ラーケ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、イレーネ・クライン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、カーステン・ローフ(Cemb)、マグヌス・アンデション(Lute)】

録音:2021年9月6-9日 ドイツ ベルリン ヴァンゼー
ユリアーネ・ラーケ率いるアンサンブル・アルト・デコーによる新録音は、フランスのヴィオ ルの三大作曲家、アントワーヌ・フォルクレ(1672-1745)、マラン・マレ、サント =コロンブ(1640頃-1690頃)の作品。さらに17 世紀の謎多きヴィオル奏者、ルイ・ウデリン ヌの組曲も収録。ラーケのヴィオラ・ダ・ガンバはいつもながら雄弁。フランスバロックというこ とで華やかさもあるものの、やはりドイツ風の理路整然とした趣も残っていて、伴奏含め完 成度の高い仕上がりになっています。
QUERSTAND
VKJK-2201(1CD)
「ヴルピウス:モテット集第4巻〜聖歌集第2集
ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中(ルカによる福音書第10 章)
神よ、私の心は定まりました(詩篇108)
キリストが昇天した時
今日、聖霊降誕の日が来た
誰かが 私の主を取り去った(ヨハネによる福音書第 20章,マタ
イによる福音書第28章)
復活のいけにえに
エルサレムよ大きな喜びで喜べ
見なさい、何という幸せ、何という喜び
イエスはナインという町に行った
イエスはエルサレムへ行く時
民よ、主に喜びの声をあげに走って来なさい
主の聖所で主を称えなさい
言葉は肉となり
ルネ・ミヒャエル・レーダー(指揮,オルガン)
カペラ・ダレミンツィア
カペラ・ヴォカーレ・ヴァルトハイム

録音:2017年8月21-26日 ドイツ ザクセン州 ヴァルトハイム
querstand によるメルヒオール・ヴルピウス(1570 頃―1615)のモテット集の第 4巻。今回 は1603 年に出版された聖歌集 Cantiones Sacrae 第2 巻から、8声、10声、12声、14声 のモテットを収録しています。ヴルピウスは 1596年からワイマールのカントールを務めた歌 手、作曲家。高名な作曲家だったが45歳ほどで亡くなり、その作品は長らくザクセンのヴァ ルトハイムの教会図書館に所蔵されたままだった。2002 年からこれらの作品の研究が進 み、それを受けてルネ・ミヒャエル・レーダー率いるカペラ・ダレミンツィアによって網羅的な 録音が進んでいます。今回は多声作品が多いので演奏も充実したもの。

GENUIN
GEN-22802(1CD)
ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ(1732-1795):オラトリオ「ラザロの復活」(1773) アンドレアス・ミチュケ(指)
ゲッレールト・アンサンブル

録音:2021年11月19-20日パウル・ゲルハルト教会、ライプツィヒ(ライヴ録音)
「ラザロの復活」はバッハの息子、ヨハン・クリストフ・フリードリッヒ・バッハと詩人ヨハン・ゴット フリート・ヘルダーのコラボレーションにより完成したドラマティックなオラトリオで新約聖書の軌 跡的な物語を題材にした、色彩豊かでニュアンスに富んだ作品。歴史的な演奏の実践を最 高レベルで実現したドイツ中部の若手演奏家たちによる感動的な気迫のライヴ録音です。

TYXart
TXA-19126(1CD)
ヤコブ・フリードリヒ・クラインクネヒト(1722-1794):2つのフルートと通奏低音のためのトリオ・ソナタ集
ソナタ ト長調 Ms238*
ソナタ ト長調 Op.2-1
ソナタ ト短調 Op.2-2
ソナタ ニ長調 Op.2-3
ソナタ ハ長調 *
アンサンブル・ラ・カントナーダ 【白井美穂、ジュジャ・チゲ(フラウト・トラヴェルソ) 、マリー・コロンバ(Vc) 、ニクラス・ハイネケ(チェンバロ、スピネット*)】

録音:2019年5月
※すべて世界初録音
知られざるドイツの作曲家、ヤコブ・フリードリヒ・クラインクネヒト(1722-1794)のフルートのためのトリオ・ソナタ集。当時は広く知られロンドンやパリに まで作品が普及していたというクラインクネヒト。バロックから古典への転換期にあり、その作風は伝統的な対位法やテレマン風の混合趣味、C.P.E.バッハを思わ せる疾風怒濤感などさまざまな要素が渦巻いています。
バロック音楽アンサンブル「ラ・カントナード」は、フランクフルト音楽大学の在学中に知り合ったメンバーによって結成されたアンサンブル。フランス語の「parler a la cantonade」(観客に向かって話す)から名前を取り、知られざる作品の紹介に力を注いでいます。

TUDOR
TUD-7210(1CD)
テューダー朝の教会音楽集〜英国国教会のイースター典礼の音楽集
1. キダーミンスター(16世紀):前奏曲*
2. ウィリアム・バード(1539頃/40-1623):Sing joyfully
3. ウィリアム・スミス(1603-1645):The Preces
4. ギボンズ(1583-1626):Awake up, my glory
5. ギボンズ:テ・デウム
6. ギボンズ:ベネディクトゥス
7. スミス:The Responses
  ロバート・ストーン(1516-1613):The lord’s Prayer
8. トマス・ウィールクス(1576-1623):グローリア
9. タリス(1505頃-1585):Veni Redemptor*
10. タリス:If ye Love me
11. バード:キリエ
12. トムキンズ(1572-1656):Creed
13. ジョン・レッドフォード(1500頃-1547): Lucem tuam*
14. ジョン・タヴァナー(1490頃-1545):サンクトゥス
15. タヴァナー:ベネディクトゥス
16. バード:アニュス・デイ
17. タリス:グローリア
18. タリス:テ・デウム*
19. ウィリアム・マンデイ(1529頃-1591):
O Lord, the Maker of all thing
20. バード:The Preces
21. バード:When Israel came out of Egypt
22. トムキンズ:Interlude (A short verse)*
23. バード:マニフィカト
24. バード:ヌンク・ディミティス
25. バード:The Responses
26. ロバート・ホワイト(1538頃-1574):O praise God
27. リチャード・オルウッド(16世紀):In nomine *
*…オルガン独奏
オスカー・ピーター(ポジティヴ・オルガン)
ロンドン・アンブロジアン・シンガーズ
ジョン・マッカーシー(指)

録音:1968-69年
イギリス・ルネサンス音楽の黄金時代とされるテューダー朝の教会音楽を集めた1枚。 この時代の最初期の作曲家とみなされるのはロバート・フェアファックスとヒュー・アストンとされています。この2人は後 世の作曲家たちに強い影響を与え、とりわけジョン・タヴァナーは彼らの作風を引き継ぎ発展させました。その後はオ ルガン奏者としても名高いトマス・タリスが登場し、自身はカトリックでありながら、プロテスタント向けの英語の詞を 用いた作品を書き上げています。同じくカトリックであったウィリアム・バードはイギリス国教会からの弾圧を受けながら も、エリザベス1世の庇護の下、カトリック教会のための作品を数多く書いています。オーランド・ギボンズほか、バード の次世代の作曲家たちは更に国教会のために曲を遺しました。そして17世紀半ばまで生きたトマス・トムキンズは 「テューダー朝の教会音楽」の最後の作曲家と見なされます。ロンドン・アンブロジアン・シンガーズの歴史的録音で す。

Orchid Classics
ORC-100208(1CD)
NX-B03
新スペイン、大聖堂の音楽
ダヴィド・ペレス(1711-1778):交響曲ニ長調「海の嵐」
イグナシオ・デ・エルサレム(1707-1769):Si aleve fortuna
ルイス・ミソン(1720-1766):Sinfonia en Sib 交響曲変ロ長調
サンティアゴ・ビリョーニ(1700頃-1763):Por que Pedro?
エルサレム:どんな痛み、どんな悲しみ
ホセ・エランド(1680-1763):交響曲ニ長調
エルサレム:Sube a gozar
エステバン・サラス・イ・カストロ(1725-1803):空と星々
カメラータ・アントニオ・ソレール(古楽アンサンブル)
ハビエル・ホセ・メンドーサ(指)
モリー・ネッター(S)
ダヴィド・トリージョ(T)
ホセ・エルマンデス・パストル(C.T)
ラウラ・ケサダ(Fl)
エレアノール・ラニー=メンドーサ(S)

録音:2022年6月
新スペイン(ヌエバ・エスパーニャ)とは、1519年から1812年まで存在した北アメリカ大陸、カリブ海、太平洋、ア ジアにおけるスペイン帝国の副王領を指す名称のこと。このアルバムでは18世紀にこの地で活躍した作曲家たち の作品を聴くことができます。ナポリで生まれリスボンの宮廷作曲家になったダヴィド・ペレス、スペインで生まれ100 曲以上の歌曲を書いたルイス・ミソン、優れたヴァイオリン奏者であり、この楽器のために多くの作品を書いたホセ・ エランドをはじめ、イタリア出身の音楽家として初めて新スペインの教会音楽家となったサンティアゴ・ビリョーニや、 やはりイタリア出身でメキシコシティで活躍したイグナシオ・デ・エルサレムなど、イタリアの伝統を受け継ぎながらも、 新スペインの文化や儀式に影響を受けたユニークな作品が並びます。また収録されている3曲の交響曲はどれも イタリア・オペラの序曲の形式で書かれており、ここでも独特の進化を遂げた文化の折衷を知ることができます。カ メラータ・アントニオ・ソレールと指揮者ハビエル・ホセ・メンドーサの演奏で。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

ANALEKTA
AN-28911(1CD)
パッヘルベル:マニフィカト=フーガ 〜チェロ・コンソートによる作品集〜
パッヘルベル:第3旋法によるマニフィカト=フーガ 第7番P 300*
第3旋法によるマニフィカト=フーガ 第5番P 298*
パルティータ第5番ハ長調 P 374〜『音楽の快楽』より Sonata/ Aria/ Trezza*/ Chaconne
第4旋法によるマニフィカト 第2番P 307
第4旋法によるマニフィカト 第5番P 310*
第4旋法によるマニフィカト 第7番P 312*
サラバンド「溜息まじりに恋する男」(パッヘルベル作と同定)
第5旋法によるマニフィカト 第7番P 320*
第5旋法によるマニフィカト 第9番P 322
第5旋法によるマニフィカト 第3番P 316*
チャコーナ(シャコンヌ) ヘ短調 P 43*
第8旋法によるマニフィカト 第9番P 352*
第8旋法によるマニフィカト 第6番P 349*
カノン ニ長調 P 37
第1旋法によるマニフィカト=フーガ 第1番P 257*
第1旋法によるマニフィカト=フーガ 第4番P 260*
第1旋法によるマニフィカト=フーガ 第17番 P 273*
第1旋法によるマニフィカト=フーガ 第2番P 258*
マクシム・マッキンリー(1979-):ボロメオの環
パッヘルベル:第6旋法によるマニフィカト=フーガ 第1番P 326*

* 編曲:アマンダ・ケースマート
スペース・タイム・コンティヌオ(古楽器使用)
【アマンダ・ケースマート(Vc、5弦チェロ、指揮)、アンドレア・ステュアート(Vc)、カミーユ・パケット=ロワ(Vc)、エリナー・フライ(Vc、チェロ・ピッコロ)、シルヴァン・ベルジェロン(アーチリュート)、リュク・ボーセジュール(Org)】


録音:2022年1月20-22 サン=ジョゼフ教会、リヴィエール=デ=プレリー(モントリオール郊外)
ターフェルムジーク・バロック・オーケストラやアリオン、レズィデー・ユルーズなど、カナダ第一線の世界的古楽器アンサンブルのメンバーとして活 躍しつつソロでも注目を集めてきた通奏低音の達人たちによるスペース・タイム・コンティヌオ。満を持してのANALEKTAレーベルからの第一 弾リリースは、幼少期の大バッハにも大きな影響を与えたパッヘルベルの作品集です。イタリアのコレッリと同じ年にニュルンベルクで生まれ、オ ルガンの大家として活躍したパッヘルベルの音楽の根幹は教会音楽にあり、ここでは当時のドイツ音楽の伝統に鑑み、この作曲家の数多い オルガン音楽を構成するポリフォニーを弦の合奏に編曲したコンソート編成で演奏しています。多くはルター派典礼でも重視されてきた「マニ フィカト」の伝統的な旋律をもとに、全ての教会旋法に合わせて書かれたオルガン向けプレリュード群が原曲ですが、注目すべきはチェロに類 する中低音弦楽器ばかりが使われている点。当時はチェロがまだ今の形に定まっておらず、本盤の奏者たちは曲に応じてチェロ・ピッコロや五 弦チェロなど比較的高い音域まで対応した楽器も使用、トリオ・ソナタ編成向けに書かれたパルティータではヴァイオリン・パートをそうした小 型チェロで演奏。透明感とグルーヴ感が併存する現代カナダの作曲家マッキンリーの作品も収録しつつ、重苦しさとは無縁なバロック中低音 弦コンソートに耳が慣れたタイミングで、不意に有名な「カノン」もさりげなく聴かせる曲順も好感度大。単なる歴史探訪に終わらない古楽器 演奏の「今」を示す、カナダ古楽界の成熟あればこその良盤です。

Passacaille
PAS-1088(2CD)
ビーバー:ロザリオ・ソナタ
[CD1]
「喜びの秘蹟」 ソナタ第1番〜第5番
「苦しみの秘蹟」 ソナタ第6番〜第10番
[CD2]
「栄光の秘蹟」 ソナタ第11番〜15番
「パッサカリア」 ソナタ第16番
平崎真弓(Vn)
[使用楽器]
Giuseppe Gaffino (Paris, c. 1750) …ソナタ第6・15番
Klotz Family (Mittenwald, late 18th century) …ソナタ第11番
Johannes Loescher (Cologne, 2019) …ソナタ第3・7・8・9・12番
Christian Sager (Zurich, 2003) …ソナタ第1・4・10・16番
Workshop environment of Tielke (Hamburg, c. 1700) …ソナタ第2・5・13・14番
[弓]
Richard Moser (Cologne, 2019)
Daniel Koop (Cologne, 2016& 2017)
ヤン・フライハイト(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ミヒャエル・フライムート(アーチリュート、テオルボ)
ヨハネス・レッシャー(ヴィオローネ)
クリスティーネ・ショルンスハイム(Cemb)

録音:2020年9月14-18日、2021年4月7-10日/ケルン、ドイツ放送カンマームジークザール
ケルン在住、コンチェルト・ケルンのコンミスを務めるなど数々の名門古楽オケで演奏し、ソロでも意欲的な活動を続けるヴァイオリニスト平崎真弓。前作アル バム『スコルダトゥーラ(変則調弦)の技法』(PAS-1080/KKC-6314)が「レコード芸術」誌で特選盤になるなど国内でも高い評価を受け、一躍スコ ルダトゥーラのスペシャリストと目されています。そんな彼女にスコルダトゥーラの可能性をとことん掘り下げて書かれた『ロザリオ・ソナタ』はまさにうってつけ、 待ってましたと叫びたくなる好企画の登場です。
この一種異様な、技巧的にも楽器的にも扱いづらい演奏者泣かせの曲集に対して、平崎は複数のヴァイオリンを使用。各ソナタとの相性を吟味しながらしっか りと納得のいく全体を組み立てていきます。無数の調弦が織り成す緊張度と色彩、豊かな音楽性が、揺るぎない土台と煌めくファンタジーによって鮮烈かつ華 麗に鳴り響く、考え抜かれた本格演奏。ソロの素晴らしさはもちろんのこと、共演陣もショルンスハイムはじめ腕に覚えありの名人ぞろいで、ハイレベルなアンサ ンブルにも注目です。

Christophorus
CHR-77466(1CD)
パストラーレ〜クリスマスのためのバロック器楽作品集
(1)フランチェスコ・マンフレディーニ:シンフォニア「聖なるクリスマスのために」 ニ短調 Op.2-12
(2)伝承曲:カラブリアのパストラーレ
(3)ジョバンニ・バッティスタ・フェッランディーニ:シンフォニア・パストラーレ ニ長調
(4)テレマン:トランペット協奏曲 ニ長調 TWV 51:D7
(5)パヴェル・ヨゼフ・ヴェイヴァノフスキー:降誕のソナタ
(6)ヘンデル:ピファ(田園交響曲)(メサイアより)
(7)バッハ:シンフォニア(クリスマス・オラトリオより)
(8)ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァー:トリオ・ソナタ 「ラ・パストラーレ」
(9)ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 ヘ短調「冬」 RV297
(10)ヨハン・メルヒオール・モルター:コンチェルト・パストラーレ ト長調
(11)ジョヴァンニ・ザンボーニ:パストラーレ
(12)ヨハン・プファイファー:パストラーレ(序曲 ト長調より)
(13)コレッリ:クリスマス協奏曲 Op.6-8
(1)バーゼル・カプリコルヌス・コンソート
(2)ラボラトリオ'600、フランコ・パヴァン(指)
(3)アルモニー・ユニヴェルセル
(4)ジャン=フランソワ・マドゥフ(Tp)、ラ・プティット・バンド、シギスヴァルト・クイケン
(5)アルス・アンティクヮ・アウストリア、グナール・レツボール(指)
(6)ムジカ・フィオリタ、ダニエラ・ドルチ(指)
(7)ムジカ・フィオリタ、ダニエラ・ドルチ(指)
(8)ヨラビリント、エンリコ・ガッティ(指)
(9)ライラ・シャイエーク(Vn)、ムジカ・フィオリタ、ダニエラ・ドルチ(指)
(10)ムジカ・フィオリタ、ダニエラ・ドルチ(指)
(11)ラボラトリオ'600、フランコ・パヴァン(指)
(12)バツドルファー・ホーフカペレ
(13)イタリア音楽院国立バロック・オーケストラ、パオロ・ペッローネ(指)
作曲家がクリスマスを主題に作曲を本格的に始めたのはバロック期からでした。その多くはクリスマス・オラトリオやカンタータといった声楽を伴うものですが、このアルバムでは器楽作品のみを、Christophorus、Glossa、Accent、Pan Classicsなど様々なレーベルの音源から集めました。演奏もダニエラ・ドルチ&ムジカ・フィオリタを中心として、バロック音楽のエキスパートたちの名演揃いです。クリスマス・キャロルとはまた違ったバロック期のクリスマス音楽をたっぷりとお楽しみいただけます。

Urania Records
LDV-14094(2CD)
エマニュエル・シプルティーニ(c.1730-1790):チェロ・ソナタ集 Op.3& 5
6つのチェロと通奏低音のためのソナタ Op.3
6つのチェロと通奏低音のためのソナタ Op.5
クラウディオ・ロンコ(Vc)、
エマヌエラ・ヴォッツア(Vc)ピリオド楽器使用
エマニュエル・シプルティーニは、モーツァルトの父レオポルトが才能を認めるほどのチェリストであり作曲家でした。1750年頃にオランダで演奏会を行った記録が残っていますが、数年後にはロンドンに移り住んでおり、そこでコンサートでの演奏やチェロの教師として活躍し、またワインの商人でもありました。彼は7冊のチェロ・ソナタを残しており、それらはモーツァルトに影響を与えたと考えられています。
クラウディオ・ロンコは、1980年にクレマンシック・コンソート(クレメンチッチ・コンソート)のソロ・チェロ奏者に就任し、アンサンブル415やエスペリオンXXでも活躍。さらには、セビリア古楽音楽祭をはじめとするヨーロッパの著名な古楽音楽祭から定期的に招聘されるなど、現在のイタリア古楽界における重鎮の1人。
現在は2001年に出会ったボローニャのアンサンブDSGとルサン・ペトロニオ・カペラ・ムジカーレで首席チェロ奏者を務めていたエマヌエラ・ヴォッツアと夫婦デュオを組み、コンサートやレコーディングに精力的に取り組んでいます。

DUX
DUX-1761(1CD)
テレマン:組曲&協奏曲集
序曲-組曲 ニ長調 TWV 55:D18/序曲 イ短調 TWV 55:a4/ポーランド協奏曲 ト長調 TWV 43:G7/序曲 ニ長調 TWV 55:D23
アルトベルク・アンサンブル、
ペーター・ファン・ヘイへン(指)

録音:2021年7月(ポーランド、ワルシャワ)
ベルギーのリコーダー奏者・指揮者で、ルネサンスおよびバロック音楽の歴史的演奏の分野で国際的に認められたスペシャリスト、ペーター・ファン・ヘイへン率いるアルトベルク・アンサンブルによるテレマンの作品集。テレマンがリュリやラモーの作品を手本にしたフランス風序曲や、ポロネーズのリズムを取り入れ民族楽器の音色を模した「ポーランド協奏曲」を収録しています。

Etcetra
KTC-1763(1CD)
ジャコモ・サルクーニ:器楽を伴う5声のミサ ラ・ヒスパノフラメンカ、
ル・パヴィヨン・ド・ミュジク、
アン・クノップ(Vn、指揮)

録音:2021年10月3日-5日
ラ・プティット・バンドの元第1ヴァイオリンを務め(他に、イル・フォンダメント、エウローパ・ガランテ、バッハ・コンツェントゥスなどの著名なアンサンブルでも活動)、ハノーファーのピリオド・オーケストラ「コンチェルト・フォスカリ」のコンサートマスター、SQ「QUATUOR "a4"」の第1ヴァイオリンなどとしても活躍するベルギーの名女流ヴァイオリニスト、アン・クノップが2020年に設立したアンサンブル、「ル・パヴィヨン・ド・ミュジク(Le Pavillon de Musique)」。バロックから初期古典派の知られざる音楽に焦点を当てて活動するル・パヴィヨン・ド・ミュジクによる今回のアルバムは、18世紀ナポリで音楽教師兼作曲家として名声を博したジャコモ・サルクーニ。サルクーニに関してはまだ研究が始まったばかりですが、大司教区の合唱団の監督であったと伝えられています。

Avie
AV-2574(2CD)
バード:パヴァンとガリアード、変奏曲とグラウンド集
パヴァン ハ短調 MB 29a/ガリアード ハ短調 MB 29b/パヴァン ト長調 MB 71a/ガリアード ト長調 MB 71b/パヴァン イ短調 MB 14a/ガリアード イ短調 MB 14b/パヴァン ハ長調 MB 30a/ガリアード ハ長調 MB 30b/ パヴァン ハ短調 MB 31a/ガリアード ハ短調 MB 31b/パヴァン ハ長調 MB 32a/ガリアード ハ長調 MB 32b/セリンジャーのラウンド MB 84/ホーンパイプ MB 39/おお、わが恋人よ MB 83/ ジョン、今すぐ私にキスして MB 81/カリーノ・カスチュラーミ MB 35/パヴァン〜カノン2in 1MB 74/パヴァン イ短調 MB 17/パッサメッツォ・パヴァン MB 2a/パッサメッツォ・ガリアード MB 2b/Rowland, or Lord Willoughby’s Welcome Home MB 7/Qui Passe:for my Lady Nevell MB 19/ヒュー・アシュトンのグラウンド もしくは トレジャンのグランド MB 20/貴婦人ネヴェルのグラウンド MB 57/パヴァン〜サー・ウィリアム・ピーター MB3a/ガリアード〜サー・ウィリアム・ピーター MB 3b/ガリアード〜Mistress Mary Brownlow/パヴァン 〜ソールズベリー伯爵 MB 15a/ガリアード 〜ソールズベリー伯爵 MB 15b/第2ガリアード 〜ソールズベリー伯爵 MB 15c/Go from my Window Now/第2グラウンド MB 42/The Woods so Wild MB 85/ウォルシンガム MB 8/鐘 MB 38/クァドラン・パヴァン MB 70a/クァドラン・ガリアード MB 70b/カーマンの口笛 MB 36
ダニエル=ベン・ピエナール(P)

録音:2020年1月27日-30日、ポットン・ホール(イギリス)
南アフリカ出身、現在はロンドンを拠点に華麗な演奏活動を行い、英国王立音楽アカデミー(RAM)のフェローとロンドン大学の教授としても活躍する天才ピアニスト、ダニエル=ベン・ピエナール。ヴァイオリニストの川畠成道や、トランペッター&プロデューサーのジョナサン・フリーマン=アットウッドとの共演でも知られています。
Avieレーベルにバッハやベートーヴェン、モーツァルト、シューベルトらバロック〜古典派の偉大な作品を録音する傍ら、『長い17世紀』と題された凝ったアルバム(レコード芸術海外盤REVIEW、英グラモフォン誌、英BBCミュージック・マガジンで、それぞれ特選盤に選定)でも非凡な才覚を発揮しているピエナールの新たな録音は、2023年のウィリアム・バード没後400周年記念を目前とした時期にバードの2枚組にわたる様々な鍵盤音楽をモダン・ピアノ(スタインウェイ モデルD)で録音するという極めて興味深いアルバムが登場。
16世紀のエリザベス朝でもっとも人気のある作品を含む舞曲と変奏曲の優れたセットで何世代にもわたってイギリスの鍵盤音楽のスタンダードを確立したバード。「第1パヴァン(MB29)」や「セリンジャーのラウンド」といったよく耳にする作品から、あまり知られていない逸品まで幅広く収録し、驚くべきヴィルトゥオージティでスタインウェイの豊かな色彩とテクスチュアを引き出して披露します。

Signum Classics
SIGCD-705(1CD)
フォルツァ・アズーリ!
ロレンツォ・ガエタノ・ザヴァテッリ(1690-1764):弦楽と通奏低音のための序奏 ト長調 Op.1-1
サンマルティーニ:リコーダー協奏曲 ヘ長調
エヴァリスト・フェリーチェ・ダッラーバコ(1675-1742):弦楽と通奏低音のための協奏曲第12番 ニ長調 Op.6
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 イ長調 RV353、
 ソプラニーノ・リコーダーのための協奏曲 ハ長調 RV443、
 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 RV281
ジュゼッペ・アントニオ・ブレシャネッロ(c.1690-1758)(エイドリアン・チャンドラーによるセカンド・ヴァイオリンの再構築版):弦楽と通奏低音のための序曲-組曲 ニ長調
ラ・セレニッシマ、
エイドリアン・チャンドラー(ディレクター、ヴァイオリン)、
タベア・デブス(リコーダー)

録音:2021年6月2日-4日&2022年2月14日&16日、シーダーズ・ホール、ウェルズ(イギリス)
イタリア・バロック期の音楽聴こうと思うと、容易にヴィヴァルディの作品に出会うことが出来ます。それほどまでにヴィヴァルディは非常に多くの作品を残しています。しかし当時ヴィヴァルディの作品だけでイタリア全土の教会などの音楽のニーズに応えられたかというと、もちろんそのようなことはありません。そのためには他の多くの作曲家の作品が必要でした。このアルバムではヴィヴァルディと同時期に活躍したザヴァテッリ、サンマルティーニ、ダッラーバコなどのイタリア・バロック期の傑作を、ピリオド・アンサンブル、ラ・セレニッシマの演奏で収録しています。
ラ・セレニッシマは1994年にイギリス屈指のバロック・ヴァイオリニストであるエイドリアン・チャンドラーによって創設されたピリオド・アンサンブル。赤毛の司祭ヴィヴァルディを中心とする18世紀ヴェネツィアとその周辺の作曲家たちの知られざる作品や、再発見された作品の世界初録音を続々と世に送り出し、2度のグラモフォン賞に輝いています。
ゲスト・ミュージシャンとして、2019年に権威あるリコーダー・コンクールの1つ、MOECKコンクールで優勝し、タイムズ紙からは「カリスマ的ヴィルトゥオーゾ」と称された注目のリコーダー奏者、タベア・デブスが参加しています。

Signum Classics
SIGCD-728(1CD)
マシュー・ロック:リトル・コンソート集
組曲第1番ト短調/組曲第6番ヘ長調/組曲第2番 ハ長調/組曲第7番ト短調/組曲第3番ニ短調/組曲第8番 イ短調/組曲第4番変ロ長調/組曲第9番変ロ長調/組曲第5番 ホ短調/組曲第10番ニ短調
フレットワーク〔森川麻子、エミリー・アシュトン、ジョアンナ・レヴァイン、リチャード・ブースビー〕、
セルジオ・ブチェリ(アーチリュート、テオルボ)、
サイラス・ウォルストン(Cemb)

録音:2021年3月8日-10日、聖マグダラのマリア教会、グロスタシャー(イギリス)
フレットワークは、森川麻子やリチャード・ブースビーらの名ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者達によって1986年に創設され、2021年で35周年を迎えた世界最高峰のヴィオール・コンソート。
400年前に生まれたイギリスの作曲家マシュー・ロック(1621-1677)は、現在ではあまり演奏される機会がなく知られざる作曲家となってしまいましたが、その音楽はウィリアム・バードのように強い音楽的個性を持ち、優れた作曲技巧に溢れた作品で、イギリス最高の作曲家の一人と言えます。またイギリスで最初にオペラを作曲し、ヘンリー・パーセルの幼少期に影響を与えたと伝えられています。イギリスのバロック期を代表するマシュー・ロックのリトル・コンソートを集めたこのアルバムは、当時の最高峰の音楽を伝えてくれます。

PAN CLASSICS
PC-10442(8CD)
ガリードのモンテヴェルディ3大オペラ

(1)歌劇『オルフェオ』
(2)歌劇『ウリッセの帰還』
(3)歌劇『ポッペアの戴冠』
(1)ビクトル・トーレス(オルフェオ)
アドリアーナ・フェルナンデス(エウリディーチェ)、グロリア・バンディテッリ(シルヴィア&使者)、マリア・クリスティーナ・キール(希望&音楽)、アントニオ・アベーテ(カロンテ)、フリオ・ザナージ(プルトーネ&牧人IV)、ロベルタ・インヴェルニッツィ(プロセルピナ&ニンファ)、マウリツィオ・ロッサーノ(アポッロ)、ゲルト・テュルク(牧人I)、ファビアン・ショフリン(牧人II)、ジョヴァンニ・カッカーモ(牧人III&精霊I)、サルヴァトーレ・スーテラ(精霊II)

(2)フリオ・ザナシ(ウリッセ)、グロリア・バンディテッリ(ペネローペ)、マリア・クリスティーナ・キール(ミネルヴァ、運命)、ジャン=ポール・フシェクール(テレーマコ)、ファビアン・ショフリン(ピザンドロ、ウマーナ・フラジリタ)、マルチェッロ・ヴァルゲット(アンティノオ、時)、アドリアーナ・フェルナンデス(ジュノーネ、愛)、ギレメッテ・ロランス(メラントー)、ギアン・パオロ・ファゴット(イーロ)、ジョヴァンニ・カッカーモ(ジョーヴェ、アンフィーノモ)、マリオ・チェッケッティ(エウリーマコ)、ロベルト・アッボンダンツァ(エウメーテ)、アリシア・ボルヘス(エリクレーア)、アントニオ・アベーテ(ネットゥーノ)

(3)ギルメット・ロランス(ポッペア)、フラヴィオ・オリヴェール(ネローネ)、グロリア・バンディテッリ(オッタヴィア)、イヴァン・ガルシア(セネカ)、ファビアン・ショフリン(オットーネ)、エマヌエラ・ガッリ(ドルシッラ、徳)、アドリアーナ・フェルナンデス(ダミジェッラ、愛の神、キューピッドたちの合唱)、マルティン・オーロ(小姓、キューピッドたちの合唱)、エレーナ・チェッキ・フェーディ(アルナルタ)、アリシア・ボルジェス(乳母、パッラーデ)、フリオ・ザナッシ(自由奴隷、第1の執政官、第2の兵士)、マリオ・チェッケッティ(ルカーノ、第1の兵士、第1の護民官)、フィリップ・ジャルスキー(メルクリウス、第1のセネカの友人、キューピッドたちの合唱)、ベアトリス・ランツァ(富、ヴィーナス)、マルチェッロ・ヴァルジェット(検察官、第2の執政官、第3のセネカの友人)、ジョヴァンニ・カッカーモ(第2のセネカの友人、第2の護民官)、ピッチ・フェラーリ(キューピッドたちの合唱)

ガブリエル・ガリード(指)
アンサンブル・エリマ
アントニオ・イル・ヴェルソcho

録音:(オルフェオ)1996年7月18-23日、(ウリッセ)1998年7月19-28日、(ポッペア)2000年7月24日-8月2日/シチリア島エリーチェ、聖マルティヌス教会
K617レーベルより発売されていたガブリエル・ガリードによるモンテヴェルディ3大オペラがセットになって再発売。アルゼンチン出身の古楽奏者ガリード率い るアンサンブル・エリマは強烈な色彩感覚と迫真の演奏で知られ、メンバーも通奏低音が半数を占めるという鮮烈ぶりでモンテヴェルディ・サウンドにもってこい。 歌手陣も強力で『ポッペア』にはジャルスキーも参加。忘れてはならない大名演です! (Ki)
※同内容を含む2016年発売のセット(ACC-24328)は廃盤となっております。

Challenge Classics
CC-72913(1CD)
ランバッハ修道院の室内楽〜アマンダス・イヴァンシズ(1727-1758):作品集
ディヴェルティメント ハ長調(Vn、ヴィオラ、チェロ)
シンフォニア イ長調(Vn2、バス)
シンフォニア ト長調(Vn2,ホルン2、ヴィオラ、バス)
コンチェルティーノ 変ホ長調 (Vn、ヴィオラ、バス)
3声のソナタ 変ロ長調(Vn、ヴィオラ、バス)
4楽器のためのシンフォニア ニ長調(Vn2、ヴィオラ、バス)
アルス・アンティクヮ・アウストリア
グナール・レツボール(Vn、指)
ニーナ・ポーン(Vn)
マルクス・ミーゼンベルガー(Va)
ヤン・クリゴフスキー(8フィート・ヴィオロー ネ)
ミハエル・ゼルナー(Hrn)
アダルベルト・ハイツィンガー(Hrn)

録音:2022年3月10-12日/ランバッハ、ベネディクト修道院
1767年から何度かモーツァルト父子が訪れ、『ランバッハ交響曲』と呼ばれることになる楽譜を残していったランバッハ修道院。その少し前にこの地で活躍し、 31年という短い生涯にもかかわらず300以上の作品を残したのがアマンダス・イヴァンシズです。ホルンと弦楽のために書かれた、交響曲の前身のような楽曲 を収録。どれもバロックより古典派に向いた音楽で充実した書法をもっています。若き日のモーツァルトの耳にも入ったかもしれない音楽。知られざる音楽を次々 と発掘して我々にもたらしてくれるレツボール&アルス・アンティクヮ・アウストリア、今作も注目です。 (Ki)

CPO
CPO-555418(1CD)
NX-B02
バッハ一族のモテット集
ハインリッヒ・バッハ(1615-1692):キリエ 6声
ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703): 正しき者は滅びしも 5声
ヨハン・ミヒャエル・バッハ(1648-1694):Unser Leben wahret siebzig Jahr 5声
バッハ:コラール「汝、おお美しき世界」 4声
ヨハン・クリストフ・バッハ:人よ、女より生まれし者 5声
ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ(1677-1731): われらが不幸 5声
C.P.E.バッハ:4つのモテット 4声より Wq. 208-3
ヨハン・クリストフ・バッハ:アリア「わが命、今やつき」 4声
ヨハン・エルンスト・バッハ(1722-1777): 深き淵より 4声
ヨハン・バッハ(1604-1673):アリア「わが死のために泣くな」 4声
アダム・ドレーゼ(1620-1701):アリア「Nun ist alles uberwunden」 4声 - Altbachischen Archivより
ヨハン・ミヒャエル・バッハ(1648-1694): 愛する日よ、ようこそ 6声
ヨハン・ミヒャエル・バッハ:主よ、我汝だけをもち得るなら 5声
バッハ:キリエ ヘ長調 5声 BWV 233a
アンサンブル・ポリハルモニーク(声楽アンサンブル)
テアトロ・デル・モンド(古楽アンサンブル)
アンドレアス・キュッパース(指)

録音:2021年2月14-16日
1735年にバッハが作成した『音楽家バッハ一族の起源』をはじめ、多くの文献にバッハ音楽一家の結束の固さが記載されています。 一族のメンバーたちは音楽にかかわる職業に就いていた者が多く、一年に一度は定期的に集まる機会を設け、コラールや即興歌を歌い、職業上の話題を 交換していたとされています。各地で活躍した彼らのおかげで「バッハ一族」という名前は、そのまま音楽家の代名詞として用いられ、そのイメージは18世紀 末までも残るほどでした。 アンサンブル・ポリハーモニークとテアトロ・デル・モンド、そして音楽監督のアンドレアス・キュッパースは今作でバッハ一族が相互に与えた影響を追求し、キュッ パースが彼らの出発点とみなした「17世紀初頭のバッハ一族作品集」から6曲をセレクト、ここに18世紀後半までのバッハたちの作品を加えることで、4世代 にわたる作品の比較とその時代に及ぼした影響を知ることができます。 選ばれた曲はどれも4〜6声の声楽パートと通奏低音を持つ編成であり、先人の作品がC.P.E.バッハら18世紀生まれの後人の作品にもたらした影響も感 じることができるでしょう。
CPO
CPO-555464(1CD)
NX-B10
ディートリヒ・ベッカー(1623頃-1679):宗教的協奏曲集とソナタ集
1. O hilf, Christe, Gottes Sohn…世界初録音〜 ソプラノ/バス、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音
2. Schaff‘ in mir, Gott, ein reines Herz…世界初録音〜 テノール、2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音
3. 4声のソナタ イ短調〜 2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音
4. Selig sind die Toten…世界初録音
ソプラノ/テノール/バス、4つのヴァイオリンと通奏低音
5. 4声のソナタ イ短調〜2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音
6. Es ist ein groser Gewinn…世界初録音〜ソプラノ/テノール/バス、4つのヴァイオリンと通奏低音
7. 4声のソナタ ニ短調〜 2つのヴァイオリン、2つのヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音
8. Wer unter dem Schirm des Hochsten sitzt…世界初録音〜 ソプラノ、2つのヴァイオリン、6つのヴィオラと通奏低音
ハンナ・ツムザンデ(S)…1、4、6、8
リーザ・フロレンティーネ・シュマルツ(S)…4、8
ミルコ・ルートヴィヒ(T)…2、4、6
クヌート・ショッホ(T)…6
クラウス・メルテンス(Bs)…1、4、6
ハンブルク・ラーツムジーク(古楽器アンサンブル)
シモーネ・エッケルト(ヴィオラ・ダ・ガンバ&指揮)

録音:2021年2月11-13日
ハンブルクで1623年頃に生まれたとされるディートリヒ・ベッカーの作品集。若い頃の活動についてはほとんど知ら れておらず、わずかにアーレンスブルクでオルガニストを務めたことが記録に残っています。 その後はヴァイオリニストとして活動、多くの器楽曲を作曲しこれらが高く評価されました。 このアルバムには世界初録音となるベッカーの5曲の声楽曲を収録。充実した弦楽パートと、テキストを明確に再 現することに注力した声楽パートを持つこれらの作品は、当時の宗教的コンチェルトと共通したスタイルを持ってい ます。クラウス・メルテンスらドイツのバロック歌手たちの端正な歌唱をお楽しみください。器楽曲はベッカーの真骨 頂であり、活力ある音楽が繰り広げられます。

Temperaments
TEM-316068(1CD)
バルバストル(1724-1799):鍵盤のためのノエル集
『四つの組曲にまとめられた変奏付ノエル集』(1770)

ノエルによる第1の組曲〔クラヴサンまたはフォルテピアノによる演奏〕
ノエルによる第2の組曲〔クラヴサンまたはフォルテピアノによる演奏〕
ノエルによる第3の組曲〔オルガンによる演奏〕
ノエルによる第4の組曲〔オルガンによる演奏〕
オリヴィエ・ボーモン(クラヴサン〔=チェンバロ〕、フォルテピアノ、オルガン)
 クラヴサン:パリのブノワ・ステラン(またはベネディクト・シュテーリン)1750年製オリジナル
 フォルテピアノ:パリのアンリ・ブロド(またはハインリヒ・ブロート)1798年製オリジナル
 オルガン:クリストフ・ムーシェレル&ピエール・ド・モンブラン1741年建造オリジナル

録音:1999年12月28-29日、アントワーヌ・レキュイエ美術館、サン=カンタン(フランス北部ピカルディ地方)
2000年5月16-17日、サントガベル教会(フランス南部オー・ガロンヌ県)
ノエルとは、フランス語圏で教会とは関係ない俗世で歌い継がれてきたクリスマスシーズンの伝統俗謡の総称(英語圏のキャロルと同様の音 楽)。かつては多くの人が暗唱できたほど有名なもので、18世紀のフランスでは教会のオルガン奏者たちがその旋律をもとに変奏を展開、 人々を喜ばせました。オーケストラ音楽と宗教音楽の定期演奏会として長く人気だったパリのコンセール・スピリチュエルでも、年末近くには会 場備え付けのオルガンでノエルが披露されましたが、そこで大きな話題を呼んだのが名手バルバストルの名演奏。評判が高まりパリのノートル ダム大聖堂から専属オルガン奏者の座に迎えられた彼は、フランス革命期に多くの教会備品が壊されてゆく中、自分が長年弾き続けた大 聖堂のオルガンで「ラ・マルセイエーズ」を鮮やかに演奏、貴重な銘器を破壊計画から救っています。バルバストルのノエル集は今なおオルガン の定番名曲として抜粋演奏されていますが、フランス古楽界を牽引してきたクラヴサンの名手ボーモンは、この作曲家が若い頃クラヴサン奏 者としても活躍し、有名なクラヴサン曲集も出版していること、また活躍期にピアノの普及が始まっていたことを踏まえ、ノエル曲集全曲をオル ガンだけでなく、クラヴサンとフォルテピアノも使い分けて録音。パイプを組み合わせて多彩な音色美が愉しめるフランス古典期のオルガン音楽 としての魅力だけでなく、オルガンだけでは気づきにくいロココ風・古典派風の音運びの魅力にも気づかせてくれます。2000年の初出時(初 出品番TEM316022)から高い評価を博したレファレンス的録音、ジャケット変更による待望のカタログ復活です。

APARTE
AP-296(1CD)
パーセル:作品集
(1)歌劇「ディドとエネアス」
(2)付随音楽「キルケ」
ジョナス・デスコット(指)レ・ザルゴノート
ディド(1):カミーユ・アレラー(S)
エネアス(1)第2司祭(2):レナート・ドルチーニ(Br)
ベリンダ(1)、第2の魔女(2):ジュリー・ロレ(S)
魔法使い(1)、第3司祭(2):アンテア・ピシャニク(C.A)
第2の女(1)、第1の魔女(2):アナ・ヴィエイラ・レイテ(S)

録音:2021年9月/シェヌ=ブジュリー寺院(スイス)
ジュネーヴを本拠とする古楽団体レ・ザルゴノート。指揮者ジョナス・デスコットの創設で、ギリシャ神話で金羊毛を求めて出帆した歴史上最初の船アルゴ船の英 雄たちになぞらえています。
彼らの新譜はパーセル唯一の完全なオペラ「ディドとエネアス」。彼30歳の作で、ドラマティックかつ美しいメロディにあふれています。近年注目される若手歌 手カミーユ・アレラー、ジュリー・ロレ、アンテア・ピシャニクらが芸達者ぶりを示し至福の時を味わえます。
カップリングは同時期の付随音楽「キルケ」。こちらもフレッシュな解釈を聴かせてくれます。 (Ki)
APARTE
AP-302(1CD)
愛 私の怖れを追い払って
(1)グレトリー:歌劇「立派な人」
(2)クレランボー:ラ・フォンテーヌの「寓話」〜鹿/イタチ/蛙と牛/狼と子羊/狐とカラス/鷺/アリとキリギリス
(3)ダレラック:歌劇「皆既日食」
エレーヌ・クレール=ミュルジエ & ポリーヌ・ワルニエ(指)
コンパニー・レ・モン・ドゥ・ルイユ
ジャンヌ・ザエプフェル(S)
ハドゥム・トゥーンチ、ルイソン・コステ(S)、
ギヨーム・グティエレス(T)

録音:2022年4月7-10日/シクステ教区館(ランス)
2021年はフランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの生誕400年にあたり、フランスでは彼がらみの催や出版が続きました。このアルバムは翌2022年 4月の録音ですが、フォンテーヌ作品に基づく3つの音楽を収録した好企画。
風刺と皮肉に満ちたラ・フォンテーヌの原作を3人の作曲家がオペラ化。「井戸に落ちる占星術師」によるニコラ・ダレラック(1753-1809)の「皆既日食」 は最初のコミック・オペラと称されるもので貴重なリリース。
2007年にエレーヌ・クレール=ミュルジエとポリーヌ・ワルニエにより創設されたコンパニ・レ・モン・ドゥ・ルイユ。ランスを本拠に18世紀の知られざる作 品の発掘で独自性を示し注目されています。指揮者なしのオーケストラで、ミステリー作家としても知られるチェンバロ奏者クレール=ミュルジエが率い、ワクワクす るような世界を作り上げています。 (Ki)

ALIA VOX
AVSA-9939(3SACD)
マラン・マレ:歌劇『アルシオーヌ』(全5幕) アルシオーヌ(風の神エオルの娘):レア・デザンドル(S)
セイクス:シリス・オヴィティ(T)
ペレ(セイクスの友人):マルク・モイヨン(Br)
パン、フォルバス(魔術師):リサンドロ・アバディ(Br)
フォスフォルス:ガブリエル・ジュブラン(C.T)ほか

合唱&管弦楽:ル・コンセール・デ・ナシオン
(マンフレード・クレーマー/コンチェルティーノ&指揮アシスタント;ダヴィド・プランティエ(ソロ・第2ヴァイオリン))
ジョルディ・サヴァール(指)

録音:2017年4-5月、ライヴ録音/パリ、オペラ・コミック
マラン・マレの大傑作オペラ『アルシオーヌ』をサヴァールが録音しました(ライヴ録音)。「アルシオーヌ」は1706年に初演された、ルイ14世時代最後 のトラジェディ・リリック。神話に題材をとり、君主の栄光を讃え、舞踊と舞台すべてに贅を尽くした、スペクタクルのきわめつけの作品といえます。サヴァー ル自身も行っているように、器楽(管弦楽)曲を抜粋して組曲として演奏・録音する機会はありますが、歌劇としての録音は貴重。映画「めぐりあう朝」でマ ラン・マレの名と音楽を世界に再認識させた立役者であるサヴァールが、1771年に上演されて以降約250年の時を経て、2017年に初めてパリで上演した 際のライヴ録音です。この歴史的な作品に、期待を裏切らない名演が登場しました。
当時、音楽が、ダンスやほかのエンターテイメントに移行しつつあったにもかかわらず、『アルシオーヌ』はオペラ座で1719年、1730年、1741年、1756年、 1757年、1771年と、長きにわたって何度も再演されました。特に嵐のシーンは絶大な人気を誇り、リュリ、カンプラものちにこの場面を引用しています。 この音楽はのちのベートーヴェンの『田園』へと続く描写音楽の先駆けとなったともいえます。また、合唱の場面で当時の人々が広く知っていた民謡が引用さ れていることも、この作品が広く熱狂的に受け入れられた理由のひとつだったようです。登場人物たちの繊細な感情を美しく繊細に描く管弦楽は見事。現代の 巨匠サヴァールとサヴァール率いるル・コンセール・デ・ナシオン、そして世界的に活躍する歌手たちによる最高の演奏をおたのしみいただけます。 (Ki)

Coviello
COV-92218(2CD)
ゲッティンゲンのクリスマス・カンタータ
[CD1]
ゲオルク・フィリップ・クレス(1719-1779):序曲 ニ長調
ヨハン・フリードリヒ・シュヴァイニッツ(1708-1780):「JAUCHZET IHR VOLKER」 JFS-WV1
カール・フリードリヒ・ルドルフ(1749-1796):「SINGET DEM HERRN EIN NEUES LIED」 CFR-WV0/ 「ERWACHET ZUR FREUDE DER STERBLICHEN CHORE」 CFR-WV1
ベルンハルト・クリストフ・キュンメル(1756-1836):ERHEBET DEN HERRN
[CD2]
ヨハン・ニコラウス・フォルケル(1749-1818):シンフォニア 変ホ長調 FoWV129 / 「DIE HIRTEN BEY DER KRIPPE ZU BETHLEHEM」 FoWV103
ケ ル スティン・ディートル(S)
ヨハンナ・クーデ ル(A)
マグ ヌス・ディートリヒ(T)
ヘンリク・ベーム(Bs)
アントニウス・アダムスク(指)
ゲッティンゲン・バロックO

録音:2022年/ゲッティンゲン
18世紀半ば、ゲッティンゲンにゲオルク・アウグスト大学が設立され、学問・芸術がこの地で栄えることになります。この大学に最初に入学した一人がヨハン・ フリードリヒ・シュヴァイニッツ。ライプツィヒ出身で、バッハが指揮していた「コレギウム・ムジクム」に参加していたとされる人物です。このシュヴァイニッツ によるクリスマスのためのカンタータ「JAUCHZET IHR VOLKER」を収録。バッハの「クリスマス・オラトリオ」によく似た曲があり (Ki)
Coviello
COV-92214(1CD)
光の子供たち 〜トーマス・ゼレ(1599-1663):作品集
前奏曲 Sit pacis dives / Eusebia Fulcrum / Aula quid exultas / Flos meus / Magna Die bonitas / Illustri natus / Dona Dei / Und der Herr lobet / Beatus qui miseretur / Aus der tieffe / Die Gute des Herrn / 終曲 Sit pacis dives
アン・シュナイダー(S)
ピア・ダヴィラ(S)
フロリアン・シーヴァース(T)
ステファン・シェルペ(T)
ゼン ケ・タムズ・フライヤー(Bs)
モニ カ・マン デラルツ(指)
ミュゼズ・フェローズ

録音:2021年4月14-18日
1634年に出版された、2声と通奏低音のための声楽コンチェルト『Concertuum binis vocibus』を収録。近代的なイタリア書法がみられ、高度にヴィルトゥ オーゾな声楽パートが活躍します。 (Ki)

KLARTHE
KLA-060(1CD)
「ヴィア・ドロローサ」
ウィリアム・バード:アヴェ・ヴェルム・コルプス
アントニオ・ロッティ:十字架に架けられて
ドメニコ・スカルラッティ:スターバト・マーテル
パーセル:主よ、われらの罪を思い出したもうことなかれ
グレゴリオ・アレグリ-トンマーゾ・バイ:ミゼレーレ
アンサンブル・ゼーネ、
ブリュノ・ケレ=ボジャール(指)

録音:2017年4月25-27日ベネディクト修道院、ボン・セクール(パリ)
ルネサンスとバロックの見事な融合といえるスカルラッティの10声のための「スターバト・マーテル」は、新約聖書の4つの福音書の記述やキリスト教の伝承な どから想定されるイエスの最後の歩みを意味する「ヴィア・ドロローサ」の代表的な作品です。当アルバムは聖母マリアの苦悩をめぐる瞑想的な旅をテーマに「ス ターバト・マーテル」を中心にパーセル、ロッティ、バード、アレグリで構成。あたかも聖母マリアの受難曲のような雰囲気をアンサンブル・ゼーネのこの上なく清く 透き通る歌声で作り出しています。 (Ki)

Diapason
DIAP-151(1CD)
ペルゴレージ:スターバト・マーテル&奥様女中

(1)スターバト・マーテル

(2)歌劇 「奥様女中」
(1)ジェンマ・ベルタニョッリ(S)、サラ・ミンガルド(C.A)、コンチェルト・イタリアーノ、リナルド・アレッサンドリーニ(指)
録音:1998年

(2)レナータ・スコット(ソプラノ/セルピーナ)、セスト・ブルスカンティーニ(バス・バリトン/ウベルト)、ローマ合奏団、レナート・ファザーノ(指)
録音:1960年
フランスの世界的クラシック音楽専門雑誌である「ディアパゾン(DIAP-ason)」が音楽史に輝く名曲の歴史的名演を選出し、新たなマスタリングを施して復刻するシリーズ『レ・ザンディスパンサーブル・ド・ディアパゾン 〜ディアパゾンが選んだ決定盤』。シリーズ第151巻では、26歳で短い生涯を終えた18世紀の天才作曲家、ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレージの2つの傑作を収録! ペルゴレージ最期の作品となった名宗教作品「スターバト・マーテル(悲しみの聖母)」は、数多くの競合盤のなかから、1998年に録音されたリナルド・アレッサンドリーニ&コンチェルト・イタリアーノの名録音を選択。ソリストの二人もイタリアの名歌手を採用しています。
そして、ペルゴレージがオペラ作曲家としての名声を確立した代表作「奥様女中」では、レナート・ファザーノとローマ合奏団(イ・ヴィルトゥオージ・ディ・ローマ)による1960年の音源を採用。こちらもレナータ・スコット、セスト・ブルスカンティーニといったイタリアの伝説的歌手たちの参加もポイントです。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-082(1CD)
クープラン:修道院のためのミサ
キリエ(憐れみの讃歌)
グローリア(栄光の讃歌)
オフェルトリウム(奉献唱)
サンクトゥス(感謝の讃歌)
アニュス・デイ(平和の讃歌)
主よ、我らが王を救い給え (ギヨーム=ガブリエル・ニヴェール〔1632-1714〕作曲〔1687〕)
イテ・ミサ・エスト(閉祭)

※聖歌部分出典:アンリ・デュ・モン(1610-1684)作曲「第6旋法によるミサ曲」 〜『聖職従事者たちのための、全ての固有文を含む単旋律聖歌による五つのミサ:通称“王のミサ集”』(1669)
オリヴィエ・ラトリー(Org)
使用楽器:ロベール・クリコ&ジュリアン・トリビュオ1711年建造
(復元:ジャン=ルー・ボワソー&ベルトラン・カティオ〔1995〕)

クレマンス・カリ、マルト・ダヴォスト、ジャンヌ・ルフォール(S)
シリル・エスコフィエ(T)
マルク・モイヨン、ジャン=マルク・ヴィエ(Br)
ジャン=イヴ・エモズ(指)

録音:2022年1月5-9日、4月4-6日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
数々の一流オーケストラとの共演でも知られ、2019年火災に遭ったパリ・ノートルダム大聖堂のオルガンの正規奏者として、被災前最後の 録音も制作している名手オリヴィエ・ラトリー。古楽から現代作品まで、常に演奏曲目の本質を見据え、音響環境をよく見定めて楽器の魅 力を最大限に引き出す解釈を聞かせてきた彼が、フランス・バロック最大の鍵盤音楽の大家F.クープランによるオルガン曲の大作と向き合い ました。しかも録音場所は、この大家が仕えたルイ14世の治世下で長年にわたる計画の末に完成されたヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂。現 存するクープラン唯一のオルガン曲集に収録されている『修道院のためのミサ』は、ミサの祈祷文の朗誦と交互にオルガン演奏を挟んでゆく当 時の礼拝習慣にあわせて書かれた長大な作品。詩節ごとに細かく分かれた楽章の数々には使う音色が曲題として明記され、明瞭な音の 動きの中でフランス音楽ならではの色彩感豊かな響きが味わえる内容。ラトリーはフランス古楽シーン有数の歌手たちによる比類なく玄妙な 歌唱を得て、同じく王室礼拝堂に仕えた17世紀の大家デュモンやニヴェールの歌を交え、当時の礼拝の文脈に乗せてこの傑作を「いま」に 甦らせます。ヴェルサイユ王室礼拝堂のオルガンは設置当初の形に復元されており、クープラン自身の演奏でも味わえたであろう音響を追体 験できるのも貴重。ALPHAレーベル初期の名盤群で知られる録音技師ユーグ・デショーが、礼拝堂の残響や佇まいを自然に伝える美しい エンジニアリングで、オルガンと歌声の交錯を鮮やかに伝えてくれます。

RICERCAR
RIC-443(1CD)
ドイツの礼拝音楽の伝統〜1600年代から1800年代へ
1. ベートーヴェン: エクアーレ第1番WoO 30-1
   /イグナーツ・フォン・ザイフリート(1776-1841): 私を憐れんでください
     ATTB、4トロンボーン
2. ベートーヴェン:エクアーレ第3番WoO 30-3
   /ザイフリート:私をもっと洗い清めてください
     ATTB、4トロンボーン
3. ハインリヒ・シュッツ(1585-1672):
    おお、わが魂よ、なぜ打ちひしがれているのか SWV 419
     SSATTB
4. ヨハン・ゲオルク・アーレ(1651-1706):歓喜の歌
     SS、2ツィンク、3トロンボーン、テオルボ、オルガン
5. シュッツ:わが子アブサロム SWV 269
     B、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
6. シャイト(1587-1654):悲しみのパドゥアーナ SSWV 42
     ヴァイオリン、ヴィオール、ツィンク、3トロンボーン、テオルボ、オルガン
7. デブクステフーデ: 嘆きの歌 BuxWV 76-2
     S、2ヴィオール、オルガン
8. マルティン・マイヤー(1642頃-1709/12): ここに一日が終わり
     SA、8トロンボーン、テオルボ、オルガン
9. ラッスス(1530/32頃-1594): 輝く曙の光が
     SATTB、2ツィンク、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
10. ベートーヴェン/ザイフリート:生きて憩いを得る者よ
   (原曲…エクアーレ第2番WoO 30-2)
     ATTB
11. クリーガー(1649-1725): わたしはシャロンの薔薇
     SS、ヴァイオリン、テオルボ、オルガン
12. クリストフ・シュトラウス(1575/80頃-1631): 今日この日に
     ATT、2ツィンク、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
13. バッハ
    おおイエス・キリスト、わが命の光 BWV 118
     SSATB、ツィンク、3トロンボーン、2コルノ・ダ・ティラルシ、オルガン
14. シャイン(1586-1630): おおイエス様、わたしのイエス様
     SS、トロンボーン、オルガン
15. ディートリヒ・ベッカー(1623-1679):ヨハン・ヘルム氏の葬送と埋葬のための音楽
     SATB、ヴァイオリン、ヴィオラ、2バス・ヴァイオリン、ツィンク、
     3トロンボーン、テオルボ、オルガン
16. バッハ:われ心よりこがれ望む BWV 727
     ツィンク(ミュート・コルネット)、オルガン
17. シュッツ:汝の若き時よりの妻に喜びを抱け SWV 453
     SSATTB、2ツィンク、4トロンボーン、テオルボ、オルガン
声楽…S(S)、A(アルト=カウンターテナー)、T(T)、B(Bs)
インアルト(古楽器&声楽アンサンブル)
ランベール・コルソン(ツィンク〔木管コルネット〕、指揮)

録音:2021年9月ジェディンヌ聖母教会(ベルギー中南部ディナン県)
オペラや器楽曲など多くの音楽は、人々の好みに合わせて流行が移り変わり、バロックから古典派へ、ロマン派へ……と時代ごとに様相が変 わってきました。しかし教会音楽には意外なまでに古い伝統が残り続け、19世紀にあってなおバロック初期の音楽伝統が息づいていたようで す。その確かな礎がどのように築かれ継承されていったのか、ドイツ語圏に焦点を絞り、17世紀前後のさまざまな作曲家たちの作例を中心に 検証するプログラムを提案するのは、古楽先進国ベルギーに集う名手集団インアルト。あえてプログラムの冒頭にベートーヴェンのトロンボーン 四重奏のためのエクアーレを置き、これが教会旋法による伝統的な祈りの詩句の朗誦ときわめて親和性の高い旋律であったことを、楽聖に 関する証言者としても知られるザイフリートの編曲を交え、17世紀音楽との関連で鮮やかに示します。インアルトが得意としてきたバロック金 管合奏の古雅な響きは、各パートの動きも明瞭な古楽歌唱によって説得力豊かに響く詩句をよりニュアンス豊かに聴かせ、ドイツ三大Sや ブクステフーデのような比較的知られた作曲家の作品に限らず、全ての収録作品の魅力を最大限に引き出して聴きどころが尽きません。バッ ハのBWV 118ではリトゥース(高音金管楽器)のパートに、スライドを付けて半音階進行を可能にしたホルン「コルノ・ダ・ティラルシ」を使用 (ソロ・アンサンブルとも名録音の多いアンネケ・スコットらの演奏)。バッハの時代を経てベートーヴェンの頃まで脈々と受け継がれてきたドイツ 語圏の伝統の礎を、実例を通じて深く体感できるRICERCARならではの好企画です。

RAMEE
RAM-2105(2CD)
NX-D09
フィオッコ(1703-1741):聖週間の哀歌
【DISC 1】
1-6. 聖水曜日のための第1の哀歌
7-8. 聖水曜日のための第2の哀歌(ルソン)
9-13. 聖水曜日のための第3の哀歌(ルソン)
14-17. 聖木曜日のための第1の哀歌
18-21. 聖木曜日のための第1の哀歌(レティオーネ)
【DISC 2】
1-5. 聖木曜日のための第2の哀歌(ルソン)
6-10. 聖木曜日のための第3の哀歌(ルソン)
11-14. 聖木曜日のための第3の哀歌(レクツィオ)
15. 聖金曜日のための第1の哀歌
16-21. 聖金曜日のための第2の哀歌(ルソン)
22-26. 聖金曜日のための第3の哀歌
アンサンブル・ボンヌ・コルド(古楽器&声楽アンサンブル)

アナ・ヴィエイラ・レイテ(S)…DISC 1:1-13/DISC 2:15-21
アナ・キンタンス(S)…DISC 1:14-18/DISC 2:1-10
ウーゴ・オリヴェイラ(Br)…DISC 2:11-14,22-26
ディアナ・ヴィナグレ(Vc&指揮)
レベッカ・ローゼン(Vc)
マルタ・ヴィセンテ(Cb)
フェルナンド・ミゲル・ジャロト(Org)

録音:2021年11月2-7日メニーノ・デウス教会、リスボン、ポルトガル
中世末期以来、ハプスブルク家支配のもとカトリックの伝統が息づく場所として、豊かな文化が培われてきたネーデルラント南部(現在のベル ギー)。この地が一時バイエルン選帝侯の所領となった18世紀初頭には、選帝侯がミュンヘンから連れてきた作曲家たちの活躍を通じ、フラ ンス宮廷音楽に加えて最新のイタリア様式が大きな影響を及ぼしました。イタリア人の宮廷作曲家を父にベルギーで生まれたフィオッコは、そ の短い生涯の中で後期バロックの伊仏両様式をともに咀嚼吸収、独自の美しい音楽世界を紡ぎ出した重要人物。復活祭前の聖週間に 行われる静謐な礼拝のために彼が作曲した小編成教会音楽の数々は、フランス式の作曲分野でありながらイタリア流儀の歌心にあふれ、 その才覚をじっくり堪能できる充実作ばかりです。ヨーロッパ各地で活躍するポルトガル出身の古楽プレイヤーたちが集うアンサンブル・ボンヌ・ コルドは、その魅力の粋を追求すべく、フィオッコが書いた聖週間のための哀歌を2枚のCDで網羅。ブリュッセルとアントウェルペンで作曲され た11篇全てを収めた録音はこれが初めてです。控えめながら印象的な美しさに貫かれたメロディアスな独唱部はイタリア風、復活祭前の節 制期間に伴奏楽器を低音部のみに絞る流儀や装飾音の扱いはフランス風に仕上げられた11篇は、複楽章の曲もあれば長めの単一楽章 の曲もあり、同時代のヘンデルやヴィヴァルディにも比肩しうる魅力がたっぷり。チェロが独立した立ちまわりを演じる局面も多く、ガット弦の低 音の響きと歌声の交錯をじっくり味わえます。

CARPE DIEM
CD-16329(1CD)
1700年頃製のクラヴィコードで聴く昔日のオーストリア鍵盤楽曲

1. フェルディナント・トビアス・リヒター(1651-1711): トッカティーナ ニ短調
2. コレッリ/編曲者不詳:カプリッチョまたはガヴォッタ〔ガヴォット〕ニ短調 〜ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタOp.5-7より(1721)
3-4. パウル・ポイエル(1570-1625):パドゥアン、舞曲とナーハタンツ 〜『4声および6声のパドゥアン、イントラーダ、様々な舞曲とガリアルダ集』(1611年ニュルンベルク刊)より
 3. パドゥアン ニ短調
 4. 舞曲とナーハタンツ ニ短調
5. ムッファト(1653-1704):パッサカリア ト短調 〜『オルガン奏者必携之書』(1690年ザルツブルク刊)より
6. フランツ・マティアス・テヒェルマン(1649-1714): ウィーン包囲解放の喜びのアルマンド ハ長調 〜『オルガンならびにチェンバロで奏でるためのトッカータ、カンツォーネ、リチェルカーレ、およびその他の様々な楽曲』(手稿譜)より
7-8. フックス(1660頃-1741): 楽長フックスのアルペジオとフーガ
 7. アルペジオ
 8. フーガ ト長調
9. フックス:フックス氏のメヌエット第9番 ト短調
10-13. フローベルガー: 組曲第11番(1653年レーゲンスブルクで作曲)
 10. フェルディナント4世、ローマ王に推挙されての戴冠に寄せて書かれたアルマンド (遅く控えめに弾くこと)
 11. 若き皇女御生誕の日に書かれたクラント
 12. マントヴァ公女としてお生まれになった皇妃エレオノーラの戴冠に寄せて書かれたサラバンド
 13. ジグ
14-15. ヨハン・ミヒャエル・シュタインバッハー(1700頃-1750頃): プレリュードとカプリッチョ
 14. プレリュード イ短調
 15. カプリッチョ イ短調 〜「チェンバロのためのパルティア」(手稿譜)より
16-17. ヘンデル: プレリュードとカプリッチョ
 16. プレリュード HWV Anh. B 607-1
 17. カプリッチョ ハ長調 HWV Anh. B deest II
18. L・モーツァルト: 「三月に」 アダージョと変奏曲 〜『12の鍵盤曲』(1759年アウクスブルクにて作曲)
19. アントン・フェルディナント・パリス(1744-1809): アレグロ ヘ長調
20. ヨーゼフ・アントン・シュテファン(またはヨセフ・アントニーン・シチェパーン 1726-1797):プレリュード 変ロ長調 〜『さまざまな調による40のプレリュード』(1762年ウィーン刊)より
21. M・ハイドン:無題のクラヴィコード曲 変ホ長調
22. モーツァルト: アレグロ・モルト ハ長調 KV deest(1780年頃作曲)〜個人所蔵の手稿譜による
アレクサンダー・ゲルゲリフィ(クラヴィコード)
 使用楽器:作者不詳、1700年頃オーストリア製のオリジナル楽器(アドモント修道院所蔵)

録音:2022年2月9-13日アドモント修道院小ホール(オーストリア南部シュタイアーマルク地方)
大バッハやその息子たちが愛奏していたことで知られるクラヴィコードは、小型で卓上に置け持ち運びもしやすい古くからある鍵盤楽器。小片 で弦を突き上げて音を出す構造のため、打鍵した瞬間やその後鍵盤を押さえている指の力しだいで音にニュアンスがつけられ、表情豊かな 演奏ができるかわり奏者自身のごく周辺にしか音が届かず、プロ音楽家が大人数相手に演奏することが増えた19世紀以降に音楽史の表 舞台から姿を消しました。しかしオルガニストの練習用などプライベート空間でこれを愛奏した音楽家は欧州各地に多く、モーツァルトも旅先 で鍵盤練習ができる旅行用の楽器を持っていたことが知られています。その伝統を踏まえ、1700年前後から残るオーストリアでは現存最古 のオリジナル楽器を用い、バロック以前の音楽から多くを学んだ18世紀の音楽家たちの個人的な演奏空間の響きに迫ったのがこのアルバ ム。楽器は全て製作者の地元周辺で切り出された木材で出来ており、共鳴弦型で同時に鳴らせない音が生じるため奏者も工夫が必要で すが、リンツ生まれの若き名手アレクサンダー・ゲルゲリフィは巧みにニュアンス豊かな演奏で、300年以上前から残る楽器の素材感豊かな味 わいを引き出してゆきます。楽器そのものの微音を間近で克明に捉えたエンジニアリングで、モーツァルトも学んだバロックの巨匠フックスやムッ ファトの多声書法から、ドイツ語圏南部のロココ期ならではの典雅な鍵盤曲まで、多様な音楽様式を通じての音による歴史旅行をお楽しみ 下さい。

CARPE DIEM
CD-16330(1CD)
テノール独唱による17世紀ドイツ北部の教会音楽
1. クリスティアン・フロール(1626-1697):I我が救世主の腕の中に
2. ヨハン・フリードリヒ・マイスター(1638-1697): ああ主よ、怒りにまかせてわたしを苛まないでください *
3-7. ゴットリープ・フィリップ・フロール(1682-1723): 歌い合うがよい、竪琴と讃美の歌をもって *
8. ブクステフーデ: 主よ、わたしはあなたさえいてくだされば
9. フランツ・トゥンダー(1614-1667):バビロンの流れのほとりに
10. ブルーンス(1637-1718): 泣け、ああ今こそ泣いて務めを果たすがよい
11. C. フロール:これで果たされた、主よわたしの魂を
12. ヨハン・マッテゾン(1681-1764):ああアブサロム、わが息子よ
13. トゥンダー:ああ主よ、どうかあなたの愛しき御使いを
アンサンブル・ラ・シッラ(古楽器&声楽アンサンブル)【リヒャルト・レッシュ(T)、フランツィスカ・アンナ・ハイドゥ(Vn1)、ウーヴェ・ウルブリヒ(Vn2、ヴィオラ)、イレーネ・クライン、リアム・バーン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、キット・スコットニー(ヴィオローネ)、ジャンルーカ・ジェレミア(テオルボ)、ザビーネ・エルトマン(Org)】

録音:2022年1月25-29日福音聖十字架教会、ベルリン
*…世界初録音
ルネサンス〜バロックに軸足を置きながら19世紀に至る宗教曲の演奏でも注目を集めるドイツ新世代のテノール歌手、リヒャルト・レッシュを 中心に、バッハ以前の重要な音楽潮流であるドイツ17世紀の小編成教会音楽を集めたプログラム。リューベック、ハンブルク、メクレンブルク など、ドイツ北部各地で活躍した作曲家たちが知名度にかかわらずバランスよく集められ、ベッシュの丁寧かつ安定感ある歌唱と対話する古 楽器奏者たちの細やかな解釈で、作品の持ち味が最大限に引き出されてゆきます。バッハの教会カンタータのような大規模な音楽が生み 出される前の、祈りの詩句を細やかに伝えてゆくことに心を砕いて作曲された独唱作品の数々は、奏者各員の個性が際立つ室内楽編成 でこそ映えるということが改めて実感される名演。ドイツ語圏内外で多忙な活動を続ける名手たちが集うアンサンブル・ラ・シッラの妙技を 隅々まで、Carpe Diemの自然な佇まいを活かしたエンジニアリングで収めている好感度抜群のアルバムです。

AMBRONAY
AMY-316(1CD)
イタリア17世紀の器楽曲と声楽曲
1. Iイントロダクション*
2. ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー(1580頃-1651):白いバラ
3. バルバラ・ストロッツィ(1615-1687):第1舞踏曲
4. ルイージ・ロッシ(1597頃-1653): 美しいまなざしよ、何を言うのか?*
5. ピッチニーニ(1566-1638): 第5トッカータ
6. ピッチニーニ:第4コルレンテ
7. ピッチニーニ変奏曲型式によるチャッコーナ
8. メールラ(1595頃-1665):夜も昼も、弓を手に*
9. マリオ・サヴィオーニ(1608-1685):閉じるがいい、両の目よ*
10.リッカルド・ロニョーニ(1550頃-1620):チプリアーノ・デ・ローレの「別れの時」に基づくディミヌツィオーネ
11. ジョヴァンニ・サルヴァトーレ(生年不詳-1688):第1コルレンテ
12. サルヴァトーレ: 第2コルレンテ
13. ロッシ:オスマン帝国後宮の寵姫の嘆き*
14. ロッシ:ルイージ氏のパッサカリア
15. ロッシ:長く傷に苦しんだ後で*
16. ストロッツィ(1615-1687): マスカーラ」〜ナポリ王宮の騎士たちが最もよく奏で踊った曲
17. アンジェロ・ミケーレ・バルトロッティ(1615-1681): プレリュード
18. メールラ:ある晩、わたしは君と朝まで過ごしたくて*
19. ベッレロフォンテ・カスタルディ(1580頃-1649:第1ソナタ
20. モンテヴェルディ: アリアンナの嘆き*
21. ジョルジュ・ブラッサンス(1921-1981): 幸せな愛などない*


*は声楽曲、無印は器楽曲
ラ・パラティーネ(古楽器&声楽アンサンブル)
 マリー・テオレル(S)*
 ノエミ・レノフ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 ニコラ・ワティンヌ(テオルボ、バロックギター)
 ギヨーム・アルデンワング(チェンバロ、オルガン)
ローラン・ソーロン(打楽器)

録音:2022年4月15-18日C.J.ボネ文化センター、ジュジュリュ(フランス南東部ローヌ地方)
ル・ポエム・アルモニーク、アンサンブル・エリマ、レザール・フロリサンなどフランス最前線のアンサンブルで活躍する新世代の古楽プレイヤーたち が集まって2019年に誕生した若きアンサンブル、ラ・パラティーネ。打楽器奏者ローラン・ソーロンの協力を得て、エッジの聴いたバロックギター のかき鳴らしや緩急自在のヴィオラ・ダ・ガンバ、躍動感と歌心に満ちたチェンバロや静謐なオルガンの響きとともに、人間の生々しい心情描 写に迫った17世紀イタリアの声楽曲の機微を鮮やかに伝えるのは、高音域までみずみずしい美質に貫かれたマリー・テオレルの歌声。器楽 トラックでは各楽器の味わいが活かされたナンバーが続き、イタリア貴族たちが愉しんだ宮廷舞踏や楽器演奏のひとときを彷彿とさせます。全 編を通じて寛いだ佇まいの音作りが心地良く、詩へのリスペクトが高く一体感に貫かれた演奏に仕上がっており、最後の(そしてアルバムの表 題にもなっている)20世紀シャンソンの大家ブラッサンスの名曲へと自然に繋がる流れは実に魅力的。テオルボ、チェンバロ、ガンバの音色が 20世紀の歌と難なく共存し、詩の朗読や演説と切っても切り離せなかったバロック音楽の本質に気づかせてくれます。フランスの古楽シーン の成熟を改めて印象づけてくれる最前線からのアルバムの登場です。

Gramola
GRAM-99279(1CD)
バロック・アラベスク
1. ジュリオ・カッチーニ:Dalla porta d’oriente
2. セファルディ伝承曲:Yo me enamore de un aire*
3. アタナシスウス・キルヒャー(1602-1680):Antiodotum Tarantulae*
4. キルヒャー:タランテッラ「Modo Hypodorico」*
5. ヘンデル:歌劇「アルチーナ」 - Tornami a vagheggiar
6. ケヴセル・ハヌム(1887-1963):Nihavend longa
7. バルバラ・ストロッツィ(1619-1677):Amor dormiglione*
8. タレガ:Capricho arabe*
9. ヴィターリ(1663-1745):ソナタ Op. 4-12 - ラ・フォリア
10. 伝承曲:Uskudara gideriken*
11. セファルディ伝承曲:Scalerica de oro*
12. フランソワ・クープラン:Les barricades mysterieuses 神秘的なバリケード
13. セファルディ伝承曲:Yo era nina*
14. ギリシャ伝承曲:Dance from the Black Sea
15. セファルディ伝承曲:Adio querida*
フィオーリ・ムジカーリ・オーストリア【オズレム・ブルト(歌/ウード)、ユリア・カインツ(バロック・ヴァイオリン)、ピア・ピルヒャー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、パット・フェルトナー(パーカッション)、マリンカ・ブレチェリ(チェンバロ、アレンジ*)
オルワ・サレハ(ウード)】

録音:2021年12月&2022年1月
"アラベスク"とはイスラム美術発祥の幾何学模様で、その多くは絡み合う植物の蔦や茎を図案化したものです。 このアルバムでは西洋のバロック音楽、特に中南部ヨーロッパの音楽と、中東の音楽、イベリア半島のセファルディ 伝承の音楽を組み合わせ、その地域間の民族移動などの関係性を探っていきます。例えばヘンデルがイギリス ではなくスペインに移住していたとすれば・・・そんな観点から編曲が施された歌劇「アルチーナ」のアリアなどは聴き 手の想像力に強く働きかけることでしょう。他にもチェンバロ奏者のマリンカ・ブレシェリが趣味のよいアレンジを施し た哀愁漂うセファルディ伝承曲やギリシャの伝承曲など多彩な音楽が並べられています。演奏するフィオーリ・ム ジカーリ・オーストリアは古楽器とさまざまなパーカッション、歌によるアンサンブル。今作ではワールド・ミュージックの 分野でも名高いウードの名手、アルワ・サレハも演奏に参加、更なる彩りを加えています。

CD ACCORD
ACD-297(1CD)
NX-C03
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア
1. ファンタジア 第1番変ロ長調 TWV 40:14
2. ファンタジア 第2番ト長調 TWV 40:15
3. ファンタジア 第3番ヘ短調 TWV 40:16
4. ファンタジア 第4番ニ長調 TWV 40:17
5. ファンタジア 第5番イ長調 TWV 40:18
6. ファンタジア 第6番ホ短調 TWV 40:19
7. ファンタジア 第7番変ホ長調 TWV 40:20
8. ファンタジア 第8番ホ長調 TWV 40:21
9. ファンタジア 第9番ロ短調 TWV 40:22
10. ファンタジア 第10番ニ長調 TWV 40:23
11. ファンタジア 第11番ヘ長調 TWV 40:24
12. ファンタジア 第12番イ短調 TWV 40:25
マウゴジャタ・マルケ(バロック・ヴァイオリン)…Claude Pierray, 1719年製

録音:2020年11月2、3日、12月7、8日、2021年1月11、12日
ポーランドを代表するバロック・ヴァイオリン奏者マウゴジャタ・マルケ。2000年代から古楽演奏に興味を持ち、ア ンサンブル「エクステンポーレ」のメンバーとしてテレマンの室内楽作品(DUXレーベル)をリリース、今作ではテレマン の最高傑作のひとつ「無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア」全曲を披露しています。この曲集はテレマン が一時期滞在していたポーランドの民俗音楽の要素が反映されており、マルケはこの影響を探ることで作品をよ り深く知ることができたと語ります。テレマンが宮廷作曲家として仕えたプロムニッツ家の歴史的な邸宅、プシュチナ 城の博物館にて、クロード・ピエレーが1719年に制作した歴史的オリジナル楽器を用いてのこの録音は、テレマ ン活躍当時の響きを可能な限り再現しています。

ATHENE
ATH-23214(1CD)
NX-B07
17世紀の無伴奏ヴァイオリン作品集
ヴィターリ: ヴァイオリンのためのさまざまなソナタによるパルティータ集(1680頃)
ジュゼッペ・コロンビ(1635-1694):スコルダトゥーラとさまざまな作品
I. Tromba da violino solo, Mus. F.283e Mus. E.282
II. A corde doppie, Mus. E.34
III. Allemanda [1], Mus. F.283(scordatura ADae)
IV. Corrente, Mus. F.283
V. Corrente a due corde, Mus. F.283e Mus. E.280
VI. Allemanda [2], Mus. F.283
VII. Allemanda [3], Mus. F.283
VIII. Sarabanda [1], Mus. F.283(scordatura GDGB)
IX. Giga, Mus. F.283(scordatura GDGB)
X. Sarabanda [2], Mus. F.283(scordatura GDGB)
XI. Allemanda [4], Mus. F.283(scordatura AEae)
XII. Scordatura, Mus. F.283e Mus. E.282
XIII. Ciacona a solo, Mus. E.282
XIV. Barabano, Mus. F.283
作曲者不詳[フランツ・ロスト(1640-1688)による写本より]
Allemanda a violino solo sine basso (scordatura Adad)
Allemanda a violino solo sine basso (scordatura AEae)
Allemanda a violino solo sine basso (scordatura AEae)
Sonatina a violino solo (versstimbt) (scordatura AEac♯)
2022年に英国王立ノーザン音楽大学の名誉教授に任命されたピーター・シェパード・スケアヴェズ。バロック期から現代作品まで幅広いレパートリーを持つヴァイオリニス ト、音楽学者です。このアルバムでは17世紀末にイタリアのモデナで活躍した2人の作曲家の無伴奏作品をメインに採り上げ、2種類の歴史的銘器を用いて演奏して います。 ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィターリは、1666年にアカデミア・フィラルモニカ・ディ・ボローニャが設立された際の創設メンバーの一人。「ヴィターリのシャコンヌ」で知られるトマ ソ・アントニオ・ヴィターリの父親で、トリオ・ソナタの発展に貢献しコレッリやパーセルらに影響を与えた作曲家です。この「パルティータ集」はこれまでアンサンブル形式での 録音はありましたが、無伴奏での録音はこれが初めてとなります。一方、ジュゼッペ・コロンビはモデナ大聖堂の楽長として活躍しながら数多くの作品を遺しました。この 「Scordatura e Composizioni Varie」はスコルダトゥーラ(変則調弦)を用いた作品を含むさまざまな舞曲集で、こちらも無伴奏での録音は初となります。最後に置 かれた4つの作品は17世紀の作曲家フランツ・ロストが編纂した156曲のコレクションに収められた曲。どれもスコルダトゥーラが用いられており、当時のヴァイオリンにおけ る超絶技巧の用法が窺える興味深い作品です。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

CPO
CPO-555524(1CD)
NX-B10
エルンスト・ヴィルヘルム・ヴォルフ(1735-1792): クリスマス・カンタータ集
1. Willkommen, du sehnlich erbetener Tag ようこそ、待ちに待った日
2. Seid bose, ihr Volker 怒れ、民衆よ
3. Auf, jauchzet, ihr Christen 喜べ、すべてのキリスト教徒よ
4. Willkommen, du schonster der Tage ようこそ、最も美しい日
ベアテ・モルダル(S)
エルヴィラ・ビル(A)
ゲオルク・ポプルッツ(T)
マティアス・フィーヴェク(Br)
アンドレイ・アフメトフ(Bs)
ケルン・アカデミー
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指)

録音:2022年4月5-7日
バロック後期のドイツで活躍した作曲家エルンスト・ヴィルヘルム・ヴォルフのクリスマスのためのカンタータ集。幼い 頃からチェンバロ演奏に秀でていた彼は、アイゼナハとゴータのギムナジウムで当時名を馳せていたカール・フィリッ プ・エマヌエル・バッハとカール・ハインリヒ・グラウンの音楽に初めて触れたことで作曲家として開眼。とりわけC.P.E. バッハの作品に魅了され大きな影響を受けました。バッハもヴォルフの作品を高く評価し、以降二人はよい関係を 結んでいます。 イェーナ大学在学中に数多くの作品を作曲、大学卒業後はワイマールの宮廷音楽家になり、1772年にはカペ ルマイスターに昇進しました。この4曲のカンタータは、バロック期から古典派への橋渡しを担うにふさわしい端正な 作風によるもので、バッハ以降のプロテスタント教会音楽の質の高さを証明するものと言えるでしょう。前作と なるヴォルフの受難オラトリオ(777999)で見事な解釈を披露したミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズとケルン・ア カデミーが、独唱者たちとともにクリスマスを迎える喜びを高らかに歌い上げます。
CPO
CPO-555491(1CD)
NX-B10
中部ドイツのバロック・クリスマス・カンタータ
ヨハン・シェレ(1648-1701):いと高きところ神に栄光あれ
クリスティアン・リーベ(1654-1708):新たに生まれしみどり児
フィリップ・ハインリヒ・エルレバッハ(1657-1714):言葉は肉となり
ヨハン・ローゼンミュラー(1619-1684):われわれに幼子が生まれた
リーベ:最愛のイエスがおいでになる
ゴットフリート・フォーゲル(1650-1711):アレルヤ、キリストこそ恵みの太陽
アンネ・シュタートラー(S)
ドロテア・ヴァグナー(S)
シュテファン・クナート(C.T)
アレクサンダー・ビショフ (T)
フェリックス・シュヴァントケ(Bs)
ザクセン声楽アンサンブル
バーツドルファー・ホーフカペレ
マティアス・ユング(指)

録音:2021年6月11-13日 
「Mirabile Mysterium」と題されたクリスマス・アルバム(555318)の続編となる1枚。このアルバムに収録されて いるのは、ドイツ中部、ザクセンのグリマにある聖アウグスティン教会音楽学校に所蔵されているルター派教会音楽 コレクションから、1700年前後に活躍した中部ドイツ出身の作曲家の手による教会カンタータ6曲です。その多く はトランペットが活躍する祝祭的で壮麗な雰囲気を持ち、まさにクリスマスの喜びを表現するにふさわしいもの。現 在ではほとんど名前が忘れられてしまった作曲家の作品も、その見事な作曲技術に驚きを感じるばかりです。

SUPRAPHON
SU-4315(1CD)
トゥーマ:テ・デウム(1745)
シンフォニア
ミサ「貧しき者の父」(1736)
ロマナ・クルジーコヴァー(S)、パヴラ・ラドストヴァー(S)、モニ カ・ヤゲロヴァー(A)、ヤクブ・クビーン(T)、
イジー・ミロスラフ・プロチャーツカ(Bs)
チェコ・アンサンブル・バロックcho
チェコ・アンサンブル・バロック、
ロマン・ヴァーレク(指)

録音:2022年6月16-20日聖ミカエル教会(ズノイモ)
名団体チェコ・アンサンブル・バロックによるフランティシェク・イグナーツ・アントニン・トゥーマ(1704-1774)の作品の世界初録音。前作「レクイエム、ミ ゼレーレ」(SU-4300)に続く当アルバムはテ・デウム(1745)、シンフォニア、ミサ「貧しき者の父」(1736)です。トゥーマはゼレンカやムファットと並ぶフッ クスの最も優れた弟子の1人として知られ、当時の政治的、社会的エリートと肩を並べる存在で、ウィーンではトゥーマの作品がハイドンやモーツァルトなど当時の 若手作曲家の手本となるなど、高い評価を得ていました。
1745年作曲の「テ・デウム」は、オーバーエスターライヒのシトー会ヴィルヘリング修道院のために作曲され、聖体祭の祝典で当時何度も演奏されていた記録 があります。シンフォニアは晩年、プレモントレ修道会のために作曲されました。ここに収録した祝祭音楽は、トゥーマの豊かな才能を証明する特筆すべき作品です。

Audite
AU-97808(1CD)
「第2集:レクイエム」
グレゴール・ヨーゼフ・ヴェルナー(1693-1766):Der verlorene Sohn III/6,Introductio
In monte oliveti(アイゼンシュタット)
Absalon III/3, Introductio
Ecce vidimus eium(アイゼンシュタット)
Job III/7, Introductio
レクイエム ハ短調 III/37
ソナチネ ト短調 III/272
神よ、我を憐れみたまえIII/264
マグダレーネ・ハラー(S)
アンネ・ビアヴィルト(A)
トビアス・フンゲル(T)
マルクス・フライク(Bs-Br)
ヴォクテット・ハノーファー(8人の声楽アンサンブル)
ラヨシュ・ロヴァトカイ(指)
ラ・フェスタ・ムジカーレ

録音:2022年1月21-24日聖ヨハニス市立教会(ハノーファー)
古楽の名人集団ラ・フェスタ・ムジカーレによるヴェルナーの作品集第2弾は「レクイエム」です。オーストリア生まれのグレゴール・ヨーゼフ・ヴェルナー (1693-1766)はウィーン古典派の誕生に貢献した作曲家。1728年からエスターハージ家の宮廷楽長に就任し、以後生涯この座を務めました(ヴェルナーの 歿後、あのハイドンが当宮廷の楽長に就任しています)。多作曲家として知られるヴェルナーですが、その多くは教会音楽に関係する声楽曲です。当アルバムには 1763年作曲のレクイエムを主軸に、受難節のモテット、器楽によるオラトリオの序曲などを収録。ハイドン以前の対位法の芸術ともいえるヴェルナーの音楽は絶品 そのものです。
当団の指揮者ラヨシュ・ロヴァトカイは長きに渡りヴェルナーの作品を研究しており、当録音はまさに満を持して行われました。ドラマティックな旋律が魅力のヴェ ルナーの作品をバロック音楽に精通した豪華歌手たちが歌います。第1集「サルヴェ・レジナとパストレッラ」(AU-97799)と併せてお楽しみください。

TYXart
TXA-21166(1CD)
ナポリとヴェネツィア、1730年頃のイタリアのリコーダー・ソナタ集
イグナツィオ・ジーバー(ca1680-ca1757):フルート・ソナタ第10番 ト短調
サンマルティーニ:ソナタ第1番ハ長調 *
ジャコモ・フェッロナーティ(?-1767):フルートと通奏低音のためのシンフォニア *
アレッサンドロ・スカルラッティ:フルートと通奏低音のためのシンフォニア ト長調 *
ヴィヴァルディ:フルートとチェンバロのためのソナタ ト長調 RV806
ジュゼッペ・サンマルティーニ:フルート・ソナタ第3番ホ短調
フランチェスコ・マンチーニ(1672-1737):フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調
サブリナ・フレイ(リコーダー)
フィリップ・グリスヴァール(Cemb)

録音:2021年6月
*世界初録音
リコーダーとチェンバロのためのソナタを集めたアルバム。それぞれの楽譜は今やヨーロッパ各地からアメリカなど散逸していますが、どれも30年の間にイタリ アで作曲された作品です。
長年にわたって共演しているリコーダー奏者のサブリナ・フレイとチェンバロ奏者のフィリップ・グリズヴァールによる、こなれた演奏。世界初録音を含む楽曲が 時代的な統一感をもって奏でられます。 (Ki)

MDG
MDG-92122526
(1SACD)
D.スカルラッティ:ソナタ選集
1.ソナタ ニ短調K.77
2.ソナタ ニ短調K.9
3.ソナタ ニ長調K.490
4.ソナタ ロ短調K.87
5.ソナタ ヘ短調K.462
6.ソナタ 変ホ長調K.193
7.ソナタ ハ長調K.308
8.ソナタ ヘ短調K.69
9.ソナタ ハ長調K.132
10.ソナタ イ短調K.451
11.ソナタ イ長調K.208
12.ソナタ イ長調K.24
13.ソナタ ト長調K.144
14.ソナタ ト短調K.8
15.ソナタ ト長調K.260
16.ソナタ 変ロ長調K.544
17.ソナタ ニ短調K.18
18.ソナタ ニ短調K.32
タチアナ・ヴォロビヨワ(Cemb)
バッハ、ヘンデルと同じ1685年に生まれ、バッバ家と同様に音楽一家の出身である、ドメニコ・スカルラッティ。ナポリ楽派の大家であった父アレンサンド ロの名声に隠れ、その才能が世に知られるようになったのは40歳を過ぎてから、ポルトガルのマリア・バルバラ王女との出会いが転機となったといいます。ドメ ニコ・スカルラッティの創作において需要なジャンルは550曲を超える鍵盤楽器のためのソナタです。その多くは王女マリア・バルバラのレッスンのために書かれ たと言われていますが、民謡、カスタネット、かき鳴らすギターなど、彼が後世を過ごしたイベリア半島の独特の雰囲気を湛え、機知に富み、創意工夫を図った作品 群です。 この録音は、ラトヴィア出身のチェンバロ奏者タチアナ・ヴォロビヨワがドメニコ・スカルラッティのソナタから技巧性,抒情性が高い作品を選曲し収録しています。 (Ki)

BONGIOVANNI
GB-2600(1CD)
愛は裏切り者
ドイツの作曲家によるイタリア語カンタータ集

バッハ:カンタータ「裏切り者なる愛よ」 BWV203
ラインハルト・カイザー:L’OCCASO DI TITONE ALL’AURORA ORIENTE (*)
バッハ:イタリア協奏曲 BWV971
フランチェスコ・アントニオ・ピストッキ:IL POLIFEMO da Scherzi Musicali Op.2(*)
ヨハン・ダヴィド・ハイニヒェン:LUCI VOI SIETE QUELLE S.184(*)
ジョヴァンニ・ベネデット・プラッティ:チェロ・ソナタ第1番
ヘンデル:恋の戦から HWV102
マウロ・ボルジョーニ(Br)
ロレンツォ・フェデル(Cemb)
ジュリオ・パドイン(Vc)

録音:2021年3月11-13日
*=世界初録音
ドイツ・バロックのイタリア語カンタータ集です。バッハのカンタータは通奏低音のみの伴奏による簡潔なものですが、珍しくチェンバロの右手にオブリガートが与 えられており、細かな動きが「イタリア協奏曲」と響き合います。 (Ki)

GENUIN
GEN-22793(1CD)
黄金時代の音楽
アッリゴーニ:マンドリンと通奏低音のためのソナタ
ヴィヴァルディ:マンドリン協奏曲 ハ長調 RV425
ル・コック:バロック・ギターノタメノシャコンヌ
カステッロ:ソプラノ(・マンドリン)独奏のためのソナタ第1 番
ウッチェッリーニ:ベルガマスカに基づくアリア
D.スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.90
ムルシア:マリサパロス
マレ:スペインのフォリア
シクスティ1ストリングズ【カテリーナ・ソロヴェイ(バロック・マンドリン)、コンスタンツェ・クス(スペイン・バロック・ハープ)、ネギン・ハビビ(バロック・ギター)】

録音:2021年9月9日-10月1日 ドイツ ・ハノーファー クレーフェルト
3か国の女性3人によるシクスティ1ストリングズ sixty1strings の第2弾で撥弦楽器3台に よるバロック音楽。彼女らの演奏は、気品高く落ち着きがあって安らぐ素晴らしいもの。朝の目 覚めにも、午後の安らぎにも、夜の憩いにも打って付け。(第 1集はサン=サーンス〜現代も のまでGEN20694) カテリーナ・ソロヴェイは、ソ連のスヴェルドロフスク(現在のロシアのエカテリンブルク)生まれ のマンドリン奏者。2010年にケルン音楽大学に編入し、瞬く間に若い世代の筆頭マンドリン 奏者になった。コンスタンツェ・クスはドイツの音楽一家に生まれ、5 歳からハープを学んでい るという筋金入りのハープ奏者。様々なオーケストラでハープ奏者として活躍する一方、ロック やポップスにも参加する多才人。ネギン・ハビビは 1982年、イランのテヘラン生まれのギター奏者。12 歳からギターを学び、2001年にライプツィヒのフェリックス・メンデルスゾーン・バルト ルディ音楽舞台大学に入学。現在は欧米で幅広く活躍している。
GENUIN
GEN-22804(1CD)
〜ドイツ音楽コンクール2021年受賞者〜
マックス・フォルバース(リコーダー)

バッハ(フォルバース編):フルートのためのパスティッチョ協奏曲 ハ長調
モンテヴェルディ:「天も地も風も黙る今こそ」に基づくソナタ
パレストリーナ:あなたは美しい、私の愛しい人よ
サケラリディス:どうか地下に入ってください
 パーセルの「妖精の女王」のシャコニーによる幻想曲
ディユパール:第3組曲
パレストリーナ:丘や野原にまとわせる(野山は花の賑わい)
シャイン:私たちに教えてください
ヴィヴァルディ(フォルバース編):フラウティーノのための協奏曲 ト長調 RV312
マックス・フォルバース(リコーダー)
アルフィア・バキエヴァ(Vn)
ジョナタン・ポネ(Vn)
マルティン・シュナイダー(Va)
吉田亜莉紗(Cb)
アクセル・ヴォルフアーチリュート)
ロバート・スミス(Vc,ヴィオラ・ダ・ガンバ)
アンネ=ズーゼ・エンスレ(ファゴット,リコーダー)
アレクザンデル・フォン・ハイゼン(Cemb)
エリーザベト・ヴィルト(リコーダー)
フェリックス・グーチ(リコーダー)
ヨナタン・フォルバース(リコーダー)

録音:2022年2月27日-3月2日 ドイツ ノイマルクト・イン・デア・オーベルプラッツ
GENUIN 恒例のドイツ音楽コンクールの受賞者(このコンクールは複数受賞)による CD、 2021年の受賞者の一人、リコーダーのマックス・フォルバースのデビューCD。リコーダーの腕 前が見事なのはもちろん、既に指揮者としても活躍している彼の音楽は実に生き生きしてお り、両面において先々が楽しみな人材。選曲も 16世紀の音楽もあればバッハ、ヴィヴァルデ ィもあり、さらには 1995年生まれの作曲家の 2020年の作品も含まれるという攻めた内容。な おコントラバスに東京芸術大学卒で、現在ウィーンの21 世紀アンサンブルでコントラバス奏者 を務める吉田亜莉紗が参加している。

299 MUSIC
NIKU-9048(1CD)
税込定価
親愛なるザクセン人》ハッセ・ヘンデル作品集
ヘンデル1685-1759):カンタータ「わたしの心は脈打つ」HWV 132c
 リコーダー・ソナタ ト短調HWV 360
J.A.ハッセ(1699-1783):カンタータ「美しき人よ、わたしは去る」
伝 G.F.ヘンデル:カッセル・ソナタ第3番 ヘ長調
J.A.ハッセ:リコーダーのためのカンタータ 変ロ長調
青木洋也(C.T)
高橋明日香(リコーダー)
武澤秀平(Vc)
瀧井レオナルド(テオルボ)
山縣万里(Cemb)

録音:2022年4月5-7日 埼玉芸術劇場
日本だけではなく世界的にみても演奏機会が少なくあまり知られていないハッセ。同時代に生きたヘンデルと共にイタリア 人から「親愛なるザクセン人」と呼ばれるほどオペラ作曲家として名声を博す存在であったが、小規模な楽曲も多数残し、貴族 を中心に広く親しまれていた。青木洋也、高橋明日香を中心としたアンサンブルがハッセの知られざる魅力に光をあて、当時 の息遣いを呼び覚ます。

Glossa
GCD-924013(1CD)

PGCD-924013(1CD)
国内盤仕様
税込定価
シャルル=ユベール・ジェルヴェ(1671-1744):グラン・モテ集
神よ, 我が祈りをお聞き届けください(詩篇第54篇)
子らよほめまつれ(讃美歌)
神よ, われを裁きたまえ(詩篇第42篇)
いつまで, 主よ, わたしを忘れておられるのか(詩篇第12篇)
テ・デウム(讃美歌)
ジュルジ・ヴァシェジ(指)、
オルフェオO、パーセルcho
オリヴィア・ドレイ(S)、
カタリン・ストレーイ(S)、
シリル・デュボワオートコントル)、
マティアス・ヴィダル(T)、
ダヴィット・ヴィチャック(Br)
20世紀末まで顧みられることのなかった数々の知られざるフランス・バロック作品を蘇らせ、次々と世に発信して注目を集めてきたハンガリー出身の奇才ジュルジ・ヴァシェジと、彼が結成したオルフェオO&パーセル合唱団の新たなリリースは、カンプラやデトゥシュと同世代の作曲家、シャルル=ユベール・ジェルヴェのグラン・モテ(グランド・モテット)集!以前にもジェルヴェの代表的な音楽悲劇「イペルムネートル」(GCD924007)を取り上げた彼らは次なるステップとしてこの作曲家の宗教音楽に目を向け、5つの壮大な詩篇と讃美歌からなるグラン・モテ集を完成。ジェルヴェはフランス・バロックの大家リュリに学び、シャルトル公(後のオルレアン公)フィリップ2世の下で楽長、音楽長官を務め、国王のシャペル付き楽団の副楽長にも任命された経歴を持ち、ラモーの舞台作品へと続く道を切り拓いてきた作曲家。今回のリリースはジェルヴェがオペラの作曲だけに秀でていたわけではないことを十分に示す貴重な録音です。
これまでもヴァシェジとの厚い信頼関係で質の高い演奏を聴かせてきた手兵オルフェオO&パーセル合唱団の大胆なハーモニーと軽快なテクスチュアを備えた演奏に、オリヴィア・ドレイ、カタリン・ストレーイ、シリル・デュボワ、マティアス・ヴィダル、ダヴィット・ヴィチャックという豪華なソリストたちが花を添えます。

RUBICON
RCD-1101(1CD)
7楽章〜バッハとサント=コロンブ親子
サント=コロンブ:前奏曲、組曲、
 シャコンヌ
バッハ:組曲 BWV1011、
組曲 BWV1012
サント=コロンブ2世:前奏曲、幻想曲とロンド
ヨハンナ・ローゼ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
パンドルフォに師事したドイツ出身のヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、ヨハンナ・ローゼの最新作は、バッハとサント=コロンブ父子の音楽を組み合わせて組曲にした、ユニークな1枚!
3つの組曲うち2つはバッハの無伴奏チェロ組曲にサント=コロンブの前奏曲やシャコンヌを加えて7楽章形式にしたもので、残りの1つはサント=コロンブ父子の音楽をローゼ自身が組曲に仕立てたものです。彼女はヨーロッパにおける古楽教育の総本山バーゼル・スコラ・カントルムでパオロ・パンドルフォに師事し、スペインの鬼才ファミ・アルカイが率いるスペインのピリオド・アンサンブル、アカデミア・デル・ピアチェーレのメンバーとしても活躍する今注目のガンバ奏者。これまでにRubiconからリリースしたマラン・マレRCD1041)やC.P.E.バッハRCD1019)のアルバムは、いずれも批評家から高い評価を受けています。

Delphian
DCD-34295(1CD)
テューダー朝の音楽の後世
トマス・タリスc.1505-1585):I call and cry to thee, O Lord
ニコラス・ラドフォード(c.1485-c.1557):ミサ・フェリア第4番より キリエ*
ジョン・タヴァナーc.1490-1545):Quemadmodum desiderat cervus/ラドフォード:ミサ・フェリア第6番より キリエ*
タヴァナー:Alleluia. Veni electa mea
ジョン・シェパード(c.1515-1558):O Lord, with all my heart and mind(詩篇第9篇)*
ヤコブ・クレメンス・ノン・パパ(c.1510-1555/6):Job tonso capite
シェパード:I trust in God(詩篇第11篇)*
ジャコティン・ル・ベル(d.1529) or クローダン・ド・セルミジ(c.1490-1562):Aupres de vous
シェパード:Help, Lord, for Good and Godly men(詩篇第12篇)*
フィリップ・ファン・ヴィルダー(c.1550-1553):Si de becoup je suis aymee**
シェパード:All laud and praise(詩篇第30篇)*
ラッスス
:Decantabat populus**
シェパード:Attend, my people(詩篇第78篇)*、Illustrissima omnium*
ラドフォード:ミサ・フェリア第5番より Alleluia. Veni electa mea*
シェパード:Igitur O Jesu*、Singularis privilegii*
ジョン・タヴァナー&クリストファー・タイ(c.1505-1572/3):O splendor gloriae
ロバート・パーソンズ(c.1535-1572):When I Look Back*
アンサンブル・プロ・ビクトリア、
トビー・ウォード(指)

録音:2022年2月28日-3月2日、オール・ハロウズ教会(ゴスペル・オーク)&2022年4月21日、セント・ジェイムズ&セント・バジルズ教会(ニューカッスル・アポン・タイン)
*=世界初録音
**=この合唱版による世界初録音
アンサンブル・プロ・ビクトリアは、2015年にケンブリッジ大学でハンフリー・トンプソンとトビー・ウォードによって設立された古楽アンサンブル。主にOVPPの歌手と器楽奏者の柔軟な編成で、イベリアのポリフォニー、宗教改革前のテューダー朝の音楽、初期バロック音楽に焦点をあてて活動しています。共同創設者兼芸術監督のトビー・ウォードは、ケンブリッジ・キングズ・カレッジや英国王立音楽カレッジなどで学び、国立音楽家教会やセント・セパルカー教会のオルガニスト、ロイヤル・カレッジ・オヴ・オルガニスツのアソシエイト、テネブレ合唱団のテノール・アソシエイト・アーティストなどを務めています。
2021年にリリースしたロバート・フェアファックスの没後500周年記念盤(DCD34265)が英グラモフォン賞にノミネートするなど、その真摯な学究的内容と演奏クオリティの高さが評価されているアンサンブル・プロ・ビクトリア。Delphianからのリリース第2弾では、テューダー朝(チューダー朝)の音楽の忘れられた「後世」の音楽を集成。リュートのタブ譜にのみ残された宗教改革以前の巨大な作品の断片、英国国教会の詩篇のもっとも古いセットの復元と世界初録音、かつてイギリスで流行したフランスのシャンソンとモテット、ラドフォードの女性ミサ楽章の中のオルガン即興、タリスの愛される賛歌の英語版、歌詞が失われ器楽曲として伝わっているモテットの復元など、宗教、社会、音楽を大きく変化した時代のあまり開拓されていない領域の幅広いコレクションに大胆にアプローチしてゆきます。

Urania Records
LDV-14092(1CD)
クラシコ・イン・ラグーナ〜18世紀後半の作曲者不詳のヴェネツィアのソナタ集 マリウス・バルトッチーニ(フォルテピアノ)
マリウス・バルトッチーニはこれまでにフォルテピアノ奏者、ハープシコード奏者そして指揮者として500以上のコンサートを行っています。彼はこれまでにシギスヴァルト・クイケン、フェデリコ・マリア・サルデッリなど著名なアーティストとも共演しており、 Brilliant ClassicsからもCDをリリースしています。今作は18世紀後半に作られた軽やかで洗練されたメロディと繊細なフレージングを併せ持ったいわば「ヴェネツィアの古典派」の作曲家たちによる匿名のソナタを集め、世界初録音しています。
Urania Records
LDV-14093(1CD)
ガルッピ:ソナタ集
ソナタ ハ長調 R.A1.01.07*/ソナタ ト短調 R.A.1.12.03/ソナタ イ長調 R.A.1.14.10/ソナタ 変ロ長調 R.A.1.16.15/ソナタ ト短調 R.A.1.12.08/ソナタ ハ長調 R.A.1.01.25/ソナタ ニ長調 R.A.1.03.14/ソナタ ホ長調 R.A.1.06.07/ソナタ ニ長調 R.A.1.03.02
アルヴィーゼ・デ・ピエーロ(ハープシコード)

世界初録音*
「イル・ブラネッロ」とも呼ばれたバルダッサーレ・ガルッピによるソナタ集。オペラ・ブッファの作曲家として知られていますが、ハープシコード用のの作品も多数残しています。その中から1曲世界初録音の作品を含めて、1974年生まれのハープシコード奏者アルヴィーゼ・デ・ピエーロが奏でます。多数の国から影響を受けたガルッピは当時ヴェネツィアで最も著名な作曲家として知られていました。

Audax Records
ADX-11205(1CD)
匿名の恋人〜ザルツブルクの修道士のラヴ・ソング
1. すべての中で最も美しい最愛の人(W7)(フィリップ・ランプレヒト編)/2. Weib aller frewden uberkron(W41)/3. W49からの朗読/4. Pey perlin und pey spangen(W17)(ランプレヒト編)/5. Traut allerliebstes frewlein czart(W28)(ランプレヒト編)/6. West du es recht liebs frewlein czart(W46)/7. W46のエスタンピ(アンネ=ズーゼ・エンスレ編)/8. W46からの朗読/9. W26のエスタンピ(エンスレ編)/10. Ain mensch erfreut all mein natur(W9)/11. W41のエスタンピ(エンスレ編)/12. Iv ich jag nacht und tag(W31)(ランプレヒト編)/13. Ob allen wundern wundert mynn(W12)(ランプレヒト編)/14. Phuech, ruemer, lugner, klaffer(W45)(ランプレヒト編)/15. Wenn ich betracht die gueten nacht(W20)/16. Vil maniger geud von sweigen sich(W32)(エンスレ編)/17. Wer ich ain stund, das ich von mund(W49)(エンスレ編)/18. W2からの朗読/19. Gar leis in senfter weis(W2)(ランプレヒト編)
デュオ・エンスレ=ランプレヒト〔アンネ=ズーゼ・エンスレ(リコーダー)、フィリップ・ランプレヒト(パーカッション、ヴォーカル)〕、スザンヌ・アンソルグ(中世フィドル、レベック)4,12、アンドレ・ヒンダーリヒ(朗読)3,8,18

録音:2021年12月18日-21日、プロクルス・ミュージアム
デュオ・エンスレ=ランプレヒトが描く中世の愛の世界!14世紀に書かれ、写本に残されたザルツブルク修道士たちの詩を、デュオ・エンスレ=ランプレヒトがアレンジした独自の旋律にのせて蘇らせます。
2008年にザルツブルクで結成されたリコーダーとパーカッションによるアンサンブル、「デュオ・エンスレ=ランプレヒト」。初期の笛、様々な打楽器を使用した幻想的な演奏で、中世の神聖な音楽を現代に再現します。リコーダーは、2013年にロンドンのSRPメック国際リコーダー・コンクール(ドロテー・オーバーリンガーを排出したことでも知られる名門コンペティション)で最優秀賞を受賞した1988年ドイツ生まれの若き名手、アンネ=ズーゼ・エンスレ。2017年にリリースした「Tesserae」(ADX13712)はICMA(国際クラシック音楽賞)2017にノミネートされました。

Audax Records
ADX-11204(1CD)
旅のコンチェルト
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調(初期稿) BWV.1050a(ハープシコード、フルート、ヴァイオリン、弦楽と通奏低音のための)
ヨハン・ヤーコプ・クレス(1685-1728):ヴァイオリン協奏曲第3番ヘ長調(Vn、弦楽と通奏低音のための)*
ヨハン・ゲオルク・ピゼンデル(1688-1755):室内協奏曲変ロ長調(Vn、弦楽と通奏低音のための)*
ヨハン・ダヴィド・ハイニヒェン:協奏曲ニ長調 Seibel 226(Vn、フルート、オーボエ、テオルボ、チェロ、弦楽と通奏低音のための)
ピゼンデル:室内協奏曲ヘ長調(Vn、弦楽と通奏低音のための)*
パウル・カール・ドゥラント(1712-1769):協奏曲ハ長調(ハープシコード、リュート、チェロ、弦楽と通奏低音のための)*
ヨハネス・プラムゾーラー(Vn)、
アンサンブル・ディドロ

録音:2022年3月1日-4日、マーラー・オーディトリアム(トブラッハ、イタリア)
*=世界初録音
南チロルから世界へと羽ばたいた"21世紀世代"のバロック・ヴァイオリニスト、ヨハネス・プラムゾーラーは、アンサンブル・ディドロやインターナショナル・バロック・プレーヤーズを主宰し、師であるレイチェル・ポッジャーのブレコン・バロックのメンバーとしても活躍する次世代の名手。2013年に自身のレーベルAudax(オーダックス)を立ち上げ、数々の知られざるバロック・レパートリーを発掘してきたプラムゾーラー。最新アルバムは「旅のコンチェルト(Travel Concertos)」と題し、当時の名手たちが国境を越えた演奏旅行等で披露したと考えられる様々な作品を集成。主に小編成で、(現地の音楽家がすぐに演奏できるように)伴奏も平易でありながら、ソロの見せ所やトゥッティの効果が十分に発揮される佳曲が集められています。唯一有名曲である大バッハの「ブランデンブルク協奏曲第5番」は絶えず改訂され続けていた作品で、本アルバムでは1717年にバッハがドレスデンで飾ったデビュー・コンサートにおいてチェンバロ奏者としての腕前を披露したであろうと考えられている初期稿の編成で収録。その他、トレッリやヴィヴァルディに学び、バッハやテレマンの友人であった18世紀のヴィルトゥオーゾ、ヨハン・ゲオルク・ピゼンデルや、ピゼンデルの同僚で宮廷楽長であったヨハン・ダヴィド・ハイニヒェン、ダルムシュタットのコンサートマスターであったヨハン・ヤーコプ・クレス、プレスブルク(現ブラティスラヴァ)出身で詳細な経歴は殆ど知られていないパウル・カール・ドゥラント(カルロ・パウロ・ドゥラント、ポール・シャルル・デュラン)ら、歴史に埋もれた知られざる作品(バッハとハイニヒェン以外の作品は世界初録音)に光を当ててゆきます。

Delphian
DCD-34278(1CD)
夜〜クリスマスの夜のための協奏曲&パストラーレ集
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲 RV.104 「夜」
ビーバー:ソナタ 「パストレッラ」
ヴェイヴァノフスキーc.1630s/40-1693):喜びのソナタ(ソナタ・ラエティティアエ)(2本のヴァイオリン、3本のヴィオールと通奏低音のための)
ヨハン・ゲオルク・ラウヒ(1658-1710):ソナタ第10番 「パストレッラ」(3本のヴァイオリンと通奏低音のための)
作曲者不詳:ソナタ 「輝く曙の明星のいと美しきかな」(Minoritenkonvent Wien, MS XIV.726, No. 87)、ソナタ 「時計仕掛けの音楽」(Minoritenkonvent Wien, MS XIV.726, No. 68)
ゴットフリート・フィンガーc.1655/60-1730):パストラール(3本のヴァイオリンと通奏低音のための)
ヨハン・ハインリヒ・シュメルツァーc.1620/23-1680):3声のソナタ 「パストラーレ」(Sacro-Profanus Concentus Musicusより)
ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 RV.270a 「安らぎ〜聖なるクリスマスのために」
ボヤン・チチッチ(Vn&ディレクター)、イリュリア・コンソート〔キンガ・ウイサーシ(Vn)、ヘンリー・トング(Vn)、レイチェル・バート(Va)、ジョゼフ・クラウチ(Vc)、ピート・マッカーシー(バス・ヴィオール)、サリー・ホルマン(バスーン)、市瀬礼子(バス・ヴィオール)、ヘンリク・パーソン(ヴィオール)、シヴォーン・アームストリング(Hp)、デイヴィッド・ミラー(テオルボ)、スティーヴン・ディヴァイン(ハープシコード)〕

録音:2022年3月16日-18日、セント・マーティン教会(イースト・ウッドヘイ、イギリス)
ブレコン・バロックやフロリレジウム、アルカンジェロ、エンシェント室内O、EUバロックOのコンサートマスターや中心メンバーとして活躍してきた古楽界のライジング・スターであり、新世代のバロック・ヴァイオリニストの旗手の1人、ボヤン・チチッチ。17〜18世紀の知られざる音楽を探究するためにチチッチが結成したピリオド・アンサンブル、イリュリア・コンソートの新録音は、ボヤン・チチッチの鮮やかな技巧で彩るヴィヴィッドなクリスマス・アルバム。17世紀カトリックのヨーロッパで祝われてきたクリスマスとその前後の関連する祝祭日の伝統に、羊飼いの音楽を起源とするパストラーレを組み込んだ秀逸なプログラムで、ヴィヴァルディの作品を冒頭と最後に配置し、知られざる作曲家やウィーンの手稿譜に残された作者不詳の音楽を組み込み、再発見の喜びに満ちた演奏を響かせます。
ストラスブール大聖堂のオルガニストを務めたドイツの作曲家ヨハン・ゲオルク・ラウヒの作品と、ヴィヴァルディのオペラの発見などで知られる音楽博士・バレエ教師オリヴィエ・フーレが再構築したRV.270aのアンダンテ(第2楽章)は世界初録音です。

Etcetra
KTC-1779(1CD)
忠実な羊飼い
ニコラ・シェドヴィル/ヴィヴァルディ:ミュゼットと通奏低音のためのソナタ集 「忠実な羊飼い」 〔ソナタ第1番、ソナタ第2番、ソナタ第3番、ソナタ第4番、ソナタ第5番、ソナタ第6番〕
ジャン=ピエール・ファン・ヘース(ミュゼット)、
リュク・ポネ(オルガン、ハープシコード)、
ロナン・ケルノア(Vc)
20世紀後半にヴィヴァルディの真作なのかどうか大いに議論を呼んだソナタ集 「忠実な羊飼い」。出版時に商業的な理由から数多くの楽器で演奏できることを表記することもあり、真偽がはっきりする以前からフルート、オーボエそしてヴァイオリンなど様々な楽器で演奏されてきましたが、このアルバムでは、恐らく作曲された当初に想定されていたであろうミュゼット(バグパイプ)を用いて録音しています。真偽の結果に関してはヴィヴァルディの作品の一部を用いたり倣って作られたもので、実際にはヴェルサイユ宮廷で活躍した18世紀の作曲家、オーボエ&ミュゼット(バグパイプ)奏者であり、ミュゼット製作家としても大きな貢献を果たしたニコラ・シェドヴィル1705-1782)が大部分を作曲したものだということが判明しています。
ジャン=ピエール・ファン・ヘースは、60年代からベルギーの伝統的な音楽やミュゼット(バグパイプ)の復元、演奏技術の革新(バグパイプの2つ目のサムホールの発明等)などを行ってきたスペシャリストです。
Etcetra
KTC-1753(1CD)
ビンダーとクラヴサン・ロワイアル〜ドレスデン宮廷の室内楽
クリストリープ・ジークムント・ビンダー(1723-1789):鍵盤楽器、2つのヴァイオリンとコントラバスのための四重奏曲 ヘ長調 MUS.3117-Q-3*
三重奏曲 ニ長調 MUS.3117-Q-5
鍵盤楽器、2つのヴァイオリンとコントラバスのための四重奏曲 イ長調 MUS.3117-Q-4*
三重奏曲 ニ長調 MUS.3117-Q-2*
リカルド・マグヌス(クラヴサン・ロワイアル)、アンサンブル・クラングシュメルツェ

※使用楽器:ケアスティン・シュヴァルツ2019年製作 ヨハン・ゴットリープ・ヴァークナー(1741-1789)製のクラヴサン・ロワイアルのレプリカ
世界初録音*
ドイツの作曲家クリストリープ・ジークムント・ビンダー(1723-1789)によるクラヴサン・ロワイアルのための室内楽作品集。クラヴサン・ロワイアルとは、ドイツ製の大型のスクエアピアノです。
アルゼンチンのハープシコード奏者であるリカルド・マグヌスは、ルツェルン音楽祭やライプツィヒ・ゲヴァントハウスなど世界的なホールに招かれており、近年ではハープシコードの演奏だけでなく、指揮者としても活躍しています。

ARCANA
A-531(1CD)
ジュゼッペ・アグス(1722-1798):『チェンバロによる通奏低音を添えた6つのヴァイオリン独奏曲』 Op. 1(1751)
ソナタ 第1番イ長調
ソナタ 第2番変ロ長調
ソナタ 第3番ハ長調
ソナタ 第4番ト長調
ソナタ 第5番へ長調
ソナタ 第6番ホ長調
アルマンド集(1767)〔ニ長調/ニ長調/ニ長調/ト長調/ヘ長調/ヘ長調〕
ヴァンヴィテッリQ(古楽器使用)【ジャン・アンドレア・グエッラ(Vn)、ニコラ・ブロヴェッリ(Vc)、マウロ・ピンチャローリ(アーチリュート)、ルイージ・アッカルド(Cemb)】

録音:2021年12月3-6日 エルフォ・スタジオ、タヴェルナーゴ(イタリア北西部ピアチェンツァ県)
バロックから古典派にかけてのレパートリー開拓に意欲的な名歌手チェチーリア・バルトリとの共演や、躍進めざましい古楽器集団コレギウム 1704の一員としての活躍で現場経験を積んだバロック・ヴァイオリン奏者ジャン・アンドレア・グエッラを筆頭に、イタリア最前線の古楽器奏者 4人が集まり2017年に結成されたヴァンヴィテッリ四重奏団。これまで主に18世紀初頭の知られざる演目を発掘・紹介することに情熱を傾 けてきた彼らが、その豊かな経験をもとに新たに光を当てたのは、ヘンデル後期からJ.C.バッハ渡英期までのロンドンで活躍をみせた謎多き俊 才ヴァイオリン奏者=作曲家アグスの最初のソナタ集。サルデーニャ島で生まれロンドンに渡り、後年はパリに拠点を移して時流を踏まえた音 楽を書き続けたアグスが1751年に「ヴァイオリンのための6つの独奏曲」との題のもと出版した曲集は、イタリア最前線の歌心を備え、ポスト =コレッリ流儀の堅固な曲作りを叩き込まれた作曲家がみせる極上の前古典派音楽で、全て長調による6曲のソナタは艶やかさと軽快さを 湛える充実した曲作りが魅力。タルティーニやガルッピ、ポルポラなどバロックと古典派の間で活躍した他の作曲家たちにひけをとらない、じっく り聴き込みたい味わいに満ちており、1751年の初版から10年と措かず1760年に再版されたのも頷けます。アグスの正体をめぐる研究略 史を踏まえた解説(英・仏・伊語)も充実。未知の音楽に対するヴァンヴィテッリ四重奏団の知的探訪が新たな実を結んだ歓迎すべき1枚で す。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-079(1CD)
『ペルシャの祭典』 〜2台のクラヴサンによるラモー歌劇名場面集
ラモー:抒情悲劇「ゾロアストル」(1749年初演版)による組曲
歌劇「ボレアド」(1764年作曲・生前上演なし)による組曲
英雄舞踏劇「優雅なインドの国々」(1735年初演)による組曲
英雄舞踏劇「ザイス」(1748年初演)による組曲
ロリス・バリュカン(クラヴサン)
使用楽器:パリのグージョン1749年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

クレマン・ジョフロワ(クラヴサン)
使用楽器:パリのアントワーヌ・ヴァテール(アントン・ファーター)1732年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

録音:2021年12月6-9日 サン・ピエール教会、パリ
2020年に『「ユリス」の登場人物たち』と題したアルバム(CVS021)をリリース、18世紀パリきっての人気作曲家ボワモルティエの作品やルベ ル「四大元素」など、ロココ期を飾った名作群を2台のクラヴサン(Cemb)で鮮やかに披露してみせたバリュカン&ジョフロワのクラヴサン・ユ ニットが、今度はラモーの傑作群に光をあてた新しいデュオ・アルバムをリリース。使われているクラヴサンはどちらも名工エミール・ジョバンが、ラ モーの時代のフランスで作られたモデルをもとに克明に再現製作した逸品で、吉田 研氏による細やかなエンジニアリングが収めたその美音の 響きがまず耳を捉えます。ラモーのダイナミックなオーケストラ語法の持ち味がクラヴサンを通じて伝わる精彩鮮やかなその演奏は、この楽器が タッチ如何で強弱のつかない機構であることなど忘れさせるほど変化に富んだスリリングな魅力がたっぷり。「ペルシャの祭典」とタイトルにある 通り、古代まで遡り東洋を舞台としたオペラを中心に、原作別に四つの組曲にまとめたプログラム構成も的確で、管弦楽や声楽家たちの魅 力でともすると逆に見えなくなってしまう、ラモーの音楽作りの骨太な魅力が浮き彫りになります。18世紀直送の気配を感じさせる、何度でも 再訪したくなる1枚。

Musique en Wallonie
MEW-2201(1CD)
『晩課のために』 〜ランベール・ド・セーヴと16〜17世紀のリエージュ楽派
1. アンドレア・ガブリエーリ1533-1585):トッカータ
2. 単旋律聖歌:神よ、わたしを救いに来てください
3. ジル・エーヌ(1590-1650):アヴェ・マリア
4. マチュー・ロマラン、通称マテオ・ロメロ(1575-1647): 8声の詩篇曲「主は言われた」
5. 単旋律聖歌:あなたの香り高さに
6. ランベール・ド・セーヴ(1548-1614):8声の詩篇曲「わたしは嬉しかったのです」
7. 単旋律聖歌:わたしは慎ましき者ですから
8. ランベール・コーレン(ランベルト・クーレン 1585-1654):おお、栄光の母よ
9. ピーター・フィリップス1560-1628):ファンタジア
10. アンリ・ド・ルムシャン(1585-1639):ごきげんよう、高貴なる擁護者アンナ
11. 単旋律聖歌:あなたは生え抜きの方として創られ
12. ド・セーヴ:8声の詩篇曲「主が建ててくださらなければ」
13. 単旋律聖歌:麗しき母よ
14. コーレン:8声の詩篇曲「おお、いともやさしき母よ」
15. 単旋律聖歌:わたしを裁き定めてください
16. ド・セーヴ:8声の詩篇曲「讃えよ、エルサレムよ」
17. ド・セーヴ:おお、なんと素晴らしき取引か
18. スヴェーリンク1562-1621): こだまのファンタジア
19. 単旋律聖歌:あらゆる世代の人々が、わたしにお祝いの言葉をくださるでしょう
20. ド・セーヴ:8声の讃歌「わたしの魂は主をあがめ(マニフィカト)」
21. 単旋律聖歌:お認めください、あなたの下僕であるわたしたちと
22. 単旋律聖歌:主を祝福して迎えよ
23. レオナール・ド・オデモン(1575-1639): 8声のモテット「元后あわれみの母(サルヴェ・レジーナ)」
24. コーレン:8声のモテット「これは天使のパン」
25. コーレン:ゆえにわたしたちは首を垂れるのです
アンサンブル・ポリアルモニーク(声楽アンサンブル)【マグダレーネ・ハラー、チュン・ジュウォン(S)、アレクサンダー・シュナイダー、アンドレア・ガヴァニン(アルト=カウンターテナー)、ヨハンネス・ガウビッツ、セーレン・リヒター(T)、マティアス・ルッツェ、コルネリス・ウーレ(Bs)、クラウス・アイヒホルン(Org)】

コンチェルト・インペリアーレ(古楽器使用)【フリートヨフ・スミス(木管コルネット)、ルイーゼ・マンスケ(ドゥルツィアン)、ダニエル・セラフィーニ、ラファエル・ロベインス、ヨーレン・エルセン(サックバット)、ァビアン・ムラール(サックバット、オルガン、指揮)】

録音:2021年10月20-22日聖セバスティアン教会、スタヴロ(ベルギー東部リエージュ州)
2022年2月25日 聖ヤコブ教会、リエージュ
現在のフランス語圏ベルギー最大の都市、同国東部に位置するリエージュ。後にフランクやイザイ、グレトリーといった作曲家たちを生んだこの 地は、昔からリエージュ司教を君主としながら地元の聖堂参事の発言力や市民の力も強く、西のフランドル地方とはやや違った歴史を歩み ました。ここではスペインのビクトリアやイタリアのG.ガブリエーリ、マレンツィオなどと同世代で、リエージュ司教領を離れ神聖ローマ皇室の人々 に仕え大きな成功をおさめたランベール・ド・セーヴと、リエージュを拠点に長く活躍をみせたランベール・コーレンの作品を中心に、ネーデルラン ト楽派晩期から17世紀前半にかけて活躍したリエージュ育ちの作曲家たちの妙技を概観できる好企画。グレゴリオ聖歌をはさみながら晩 課の音楽礼拝を再現する形で、フランス王太后マリー・ド・メディシスの葬送音楽で知られるオデモン(オドモン)、リエージュでの活躍の後ドイ ツのノイブルクに活路を見出したエーヌ、スペイン王室のネーデルラント楽派最後の栄光を飾ったロマラン(ロメロ)など、複合唱形式やコンチェ ルト様式が発展をみせてゆく末期ルネサンス〜バロック初期に花開いたリエージュ楽派の古雅な魅力を堪能できます。ヘレヴェッヘやリリング、 ラーデマンらとの共演でも知られるシュナイダーやルッツェら名歌手が集い、RAUMKLANGに好企画盤多数のアンサンブル・ポリアルモニーク と、多忙な活躍をみせる実力派古楽器奏者たちの充実解釈に、Musique en Wallonieレーベルならではの図版満載解説(仏・英・蘭・ 独語)も頼もしい1枚です。

ACCENT
ACC-24387(1CD)
サイレント・ダンス ハープ小品集
パーセル:組曲第4番イ短調 Z.663 / ホーンパイプ ホ短調 Z.T685(「老いた独身者」より)
ダウランド:ファンシー/ 彼女は僕の過ちを許してくれるか【マーガレット・ケール編】 / 蛙のガリアルド【マーガレット・ケール編】 / 常にダウランド、常にドーレンス(嘆いて)
パーセル:メヌエット ニ短調 Z.T688(「高らかに歌え」より) / 組曲第7番ニ短調 Z.668
ダウランド:流れよ、わが涙【マーガレット・ケール編】 / ダウランドのガリアルド
パーセル:新しいグラウンド ホ短調 Z.T682【マーガレット・ケール編】(「来たれ、歓喜よ」より「ここに神々はよしとし給う」に 基 づく)
ダウランド:さようなら
パーセル:新しいスコットランドの調べ Z.655 / リリブルレロ、新しいアイルランドの調べ Z.646
ダウランド:涙のパヴァーヌ【メルヒオール・シルト編】
パーセル:メヌエット イ短調 Z.650/ 組曲第2番 ト短調 Z.661より 前奏曲 / ディドの嘆き【マーガレット・ケール編】
マーガレット・ケール(ウェールズ・トリプル・ハープ)

録音:2022年6月9-11日/クロイツベルク、エールベルク教会
イギリスの作品を、ウェールズのトリプル・ハープで演奏したアルバム。使用された楽器はシュヴァーベン出身のハープ製作者エリック・クラインマンが2020年 に製作したもので、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館が所蔵している歴史的名器、1736年デイヴィッド・エヴァンス製ハープのコピーです。
イギリスには長いハープの伝統があるにもかかわらず、この時代のハープのオリジナル作品は残っていないため、リュートや鍵盤楽器の作品をアレンジして演奏 しています。ダウランドやパーセルの作品は、当時流行していたメランコリックな雰囲気と、軽快なダンスの性格を併せ持つのが特徴。楽譜にほとんど手を入れず 弾けるものもあり、ハープの音色によく合った音楽が並んでいます。 (Ki)

Hanssler
HC-22034(6CD)
クリスマス・オラトリオ&協奏曲集


■CD1&■CD2
ヘルツォーゲンベルク1843-1900):「キリストの誕生」
■CD2
アルノルト・マティアス・ブルンクホルスト1670-1725):「クリスマスの歴史」
■CD3
テレマン:オラトリオ「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者である神、主」 TWV2:6

■CD4
(1)ニコライ:クリスマス序曲「高き天よりわれは来れ」
(2)シュッツ1585-1672):クリスマス・オラトリオ「われらの主イエス・キリストの生誕」SWV435

■CD5
(1)サン=サーンス:クリスマス・オラトリオ Op.12
(2)ヨハン・クリスティアン・ハインリヒ・リンク(1770-1846):クリスマス・カンタータ Op.73
(3)ヨハン・ニコラウス・バッハ1669-1753):ミサ・ブレヴィス「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」

■CD6
(1)バッハ:ブランデンブルク協奏曲第2番 ヘ長調 BWV1047
(2)コレッリ:合奏協奏曲第8番「クリスマス協奏曲」 ハ短調 Op.6-8HWV326
(3)テレマン:トランペット協奏曲 ニ長調
(4)バッハ:リュート組曲 ホ長調 BWV1006a
(5)ジェレマイア・クラーク1674-1707):組曲 ニ長調
■CD1&CD2
 レジーナ・シューデル(S)、アンケ・エッガース(A)、ペーター・マウス(T)、エルンスト=ゲロルト・シュラム(Bs)、ルドルフ・ハイネマン(Org)、クリスチャン・グルーベ(指)、アンサンブル・オリオル、ベルリン芸術大学室内cho
録音:1988年1月26-28日、イエス・キリスト教会(ベルリン)
■CD2
アンドレア・ホルヌング-ベーセン(S)、ライナー・ザイフェルト(A)、ディートリヒ・ヴラーゼ(T)、 ゼバスティアン・マットミュラー(Bs)、フライブルク・ムジカ・ポエティカ・アンサンブル、ハンス・ベルクマン(指)
録音:1999年8月9-12日/聖シュテファヌス教会(ギュッティンゲン)
■CD3
モニカ・マウヒ(S)、ラルフ・ポプケン(A)、アンドレアス・ポスト(T)、アルブレヒト・ペール(Bs)、ウルリヒ・シュテッツェル(指)、コレギウム・ヴォカーレ・ジーゲン、トランペット・コンソート・フリードマン・インマー、ハノーヴァー宮廷楽団
録音:2004年10月21&22日/マルティニ教会(ジーゲン)
■CD4
(1)カルヴ・アウレリウス少年cho、ロイトリンゲン・ヴュルテンベルクPO、オラ・ルードナー(指)
録音:2011年6月15-17日/ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー・スタジオ
(2)ミュンヘン・ハインリヒ・シュッツ・アンサンブル、ミュンヘン・モンテヴェルディO、ヴォルフガング・ケルバー(指)
録音:1994年/ミュンヘン
■CD5
(1)ヴェレーナ・シュヴァイツァー(S)、エディス・ウィーンズ(S)、ヘレナ・ユングヴィルト(A)、フリードリヒ・メルツァー(T)、クルト・ヴィトマー(Bs)、ハンス=ヨアヒム・バルチュ(Org)、バルバラ・ビーアマン(Hp)、マインツ・バッハcho、マインツ・バッハO、ディートハルト・ヘルマン(指)
録音:1976年/マインツ
(2)ペーター・ショル(Org)、コレギウム・ヴォカーレ・ジーゲン、ウルリヒ・シュテッツェル(指)
録音:2006年/ジーゲン
(3)アーリーン・オジェー(S)、ウタ・シュプレケルセン(S)、ヘレン・ワッツ(A)、エリカ・シュミット=ヴァレンティン(A)、クルト・エクヴィリス(T)、アルド・ボールディン(T)、ヴォルフガング・シェーネ(Bs)、ニクラウス・テューラー(Bs)、シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム、シュトゥットガルト・ゲヒンガー・カントライ、ヘルムート・リリング(指)
録音:1981年/シュトゥットガルト
■CD6
(1)オレゴン・バッハ音楽祭室内O、ヘルムート・リリング(指)
録音:1994年7月11&12日/ハルト・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ(オレゴン)
(2)アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ、アイオナ・ブラウン(指)
録音:1996年/ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン)
(3)ゲルト・ツァップ(Tp)、フランツ・ムール(Org)
録音:1983年
(4)ヨアヒム・ヘルト(Lute)
録音:2013年1月7-10日/救世主教会(ファーレンドルフ)
(5)ゲルト・ツァップ(Tp)、フランツ・ムール(Org)
録音:1983年
独ヘンスラー・レーベル音源を中心としたお買い得なオムニバス・アルバム・シリーズ。当セットではクリスマスにまつわる、あまり知られていない作品も含む絶 品ばかりを集めた6枚組です!
ブラームスと多くの書簡を交わすほど親交厚い関係であったことでも知られるドイツ・ロマン派の作曲家、ハインリッヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルク1843-1900)。生涯を通して幅広いジャンルに作品を残しましたが、愛妻を亡くしてからはプロテスタントの宗教音楽にますます感銘を深めていくようになります。晩年 の1894年頃に作曲されたオラトリオ「キリストの誕生」は、ソリスト、合唱、オーケストラという編成からなる壮大なクリスマス・オラトリオで、パイプオルガンとオー ケストラの荘厳な伴奏に乗って、ソリストと合唱隊が救い主の降誕を高らかに歌い上げます。
この他、ブルンクホルスト、テレマン、シュッツ、サン=サーンス、リンク、バッハ、コレッリ、クラークなどのオラトリオ、協奏曲、器楽曲をリリングをはじめとす る名手の演奏でお楽しみいただけます、 (Ki)

Challenge Classics
CC-72924(1CD)
黄金の冠
ニコラ・ポルポラ(1686-1768):オラトリオ『ネポムクの聖ヨハネの殉教』
Agitato da piu venti / Cura che di timor ti nutri e cresci… / L’aureo serto e il ricco manto
オラトリオ『ゲデオーネ』
part II:Sinfonia / O Figlio, o Gedeone… / O beato, fortunato
セレナータ『アンジェリカ』
Oh strani agli occhi nostri… / Folle chi sa sperar
オラトリオ『ダヴィドとベルサベア』
M’hai sprezzato
歌 劇『アグリッピーナ』
Insomma il far l’amore… / Vuole il musico la donna
歌 劇『 ポーロ』
Del rivale all’aita… / E ver che all’amo intorno
セレナータ『デジャニラ、イオーレ、エルコーレ』
Overture of the serenata / Idre, arpie, draghi e leoni / Ho gia la mente ingombra… / Ombre oscure
セルジョ・フォレスティ(Br)
アンドレア・ブッカレッラ(指)
アブコルディス・アンサンブル

録音:2021年11月29日〜12月2日/スイス、ランドガストフ・リーエン
こだわりのプログラムで古楽を聴かせるバリトン歌手、セルジョ・フォレスティによるChallenge Classics3枚目のアルバム。今回はナポリの偉大な作曲家ニ コラ・ポルポラに着目。さまざまな雰囲気と性格のアリアを収録しており、ポルポラの音楽世界を飽きることなくたっぷりと楽しめます。力強いバリトンの歌声に ブッカレッラ率いるオーケストラが痛快に呼応。 (Ki)

arcantus
ARC- 21025(1CD)
「ヘンデル氏、パブにて」
(1)作者不詳/伝承曲:No-Body's Jigg - Mr Lane's Magot - Fantomenland - Fig for a Kiss
(2)パーセル:3声のためのソナタ8番
(3)パーセル:Well's Humour
(4)即興「Faronell's Ground」
(5)コレッリ:ラ・フォリア
(6)ニコラ・マッテイス:Ground after Scotch Humour
(7)ヘンデル:フルートとチェンバロのためのソナタ HWV367a
(8)ヘンデル:エア(ホーンパイプ)ニ短調 HWV461
(9)作者不詳/フランチェスコ・バルサンティ/ウィリアム・マクギボン:The Mad Buckgoat ? Lord Aboyne's Welcome
or Cumbernauld House ? Katherine Ogie ? Logan Water ? The Rocky Road to Dublin
アンサンブル・ゼフィレリ

録音:2020年11月/聖ユルゲンス教会(リリエンタール)
アンサンブル・ゼフィレリのアルバム「ヘンデル氏、パブにて」ではバロック音楽と民族音楽を演奏。主軸となるヘンデルの作品はフルート・ソナタと民謡風のホー ンパイプで、このアルバムのテーマでもある“芸術性”と“民族音楽”との融合を表したこれらの作品を中心に据え、パーセルのソナタ、さらにはスコットランドの民 族舞踊といった作品まで様々な顔をのぞかせます。 (Ki)
arcantus
ARC-22031(1CD)
マルチヌス・レース(1702-1766):フルート・ソナタ集第2集
(1)フルート・ソナタ第8番イ長調
(2)フルート・ソナタ第9番変ロ長調
(3)フルート・ソナタ第10番ニ長調
(4)フルート・ソナタ第11番ハ短調
(5)フルート・ソナタ第1番ハ長調
(6)フルート・ソナタ第3番ロ短調
(7)フルート・ソナタ第4番ニ短調
(8)フルート・ソナタ第5番イ短調
(9)フルート・ソナタ第6番ニ長調
クララ・グルベルグ・ラヴン(リコーダー)、アンナ・パラディソ(チェンバロ、クラヴィコード)、マッツ・オロフソン(Vc)、ユーナス・ヌードベリ(アーチリュート)

録音:2021年8月23-27日/デューヴブー教会(スンドビュベリ、スウェーデン)
デンマークのリコーダー奏者クララ・グルベルグ・ラヴンによるマルチヌス・レースのフルート・ソナタ集第2弾の登場!当フルート・ソナタはギエーデ・コレクショ ン(第8番〜11番)とシュヴェリーン写本(第1番、第3〜6番)のからの作品。ラヴンの繊細な演奏とともにアンナ・パラディソ、ユーナス・ヌードベリ、マッツ・ オロフソンといったBISレーベルでもおなじみの名手との共演により演奏が一層光り輝きます。同第1集(ARC-20015)と併せてお楽しみください。 (Ki)
arcantus
ARC-22033(1CD)
「素晴らしい繊細さ」〜ヴァレンティン・シュトローベルのリュート曲集
作者不詳:前奏曲 ニ短調
ヨハン・ガンプレヒト:「シュトローベル氏のトンボー」
ヴァレンティン・シュトローベル:組曲 ト短調
シュトローベル:組曲 ト長調
シュトローベル:組曲 イ短調
シュトローベル:組曲 イ長調
シュトローベル:組曲 ニ短調
ガンプレヒ:「シュトローベル氏のトンボー」2重奏
トビアス・ティッツェ(11弦コース・リュート)

録音:2021年11月/ヴィルハーディ教会(ブレーメン)
通奏低音の奏者として数多くの録音に参加しているリュート奏者トビアス・ティッツェの独奏アルバムの登場!世界初録音となるヴァレンティン・シュトローベルの リュート組曲を素晴らしく繊細なタッチで表現豊かに奏でます。 (Ki)

Channel Classics
CCSSA-44422(1SACD)
NX-C03
『Tutta sola 全てひとりで』 〜無伴奏ヴァイオリンのためのバロック作品集
バッハ(チャド・ケリー編):トッカータとフーガ ニ短調(イ短調に移調) BWV 565
ヨハン・ヨーゼフ・フィルスマイア(1663-1722):パルティータ第6番〜無伴奏ヴァイオリンのための『室内向けの技巧豊かなる協和』(1715)より
ニコラ・マッテイス2世(1690頃-1737):ファンタジア ハ短調:控えめに
ペドロ・ロペス・ノゲイラ(生歿年不詳、1720頃活躍):ノゲイラ写本』より
  プレルーディオ〔プレリュード〕
 ファンテジア〔ファンタジア〕
 ィリョータ〔少女〕
作曲者不詳:『クラーゲンフルト写本』(1680年代中盤)より
 クラント/ドゥーブル 〜組曲 ト短調より
 サラバンド/ドゥーブル 〜組曲 ト短調より
 ジグ 〜組曲 ト短調より
ヨハン・パウル・フォン・ヴェストホフ(1656-1705):伴奏のないヴァイオリン独奏のための組曲 イ長調
ジョン・ウォルシュ(1666頃-1736)編)):『[無伴奏の]ヴァイオリンのためのプレリュードとヴォランタリー選集』より
アルカンジェロ・コレッリ〔1653-1713〕 のプレリュード
 フランチェスコ・ジェミニアーニ〔1687-1762〕のプレリュード
 トマゾ・アントニオ・ヴィターリ〔1663-1745〕のプレリュード
 カルロ・アンブロージオ・ロナーティ〔1645頃-1710頃〕のプレリュード
 ヘンリー・パーセル〔1659-1695〕のプレリュード
ジュゼッペ・タルティーニ
30-34.[無伴奏ヴァイオリンのための]:第17番 ニ長調 B. D2〜『30のソナタ』より
レイチェル・ポッジャー(Vn)
使用楽器:ジェノヴァのアントニオ・ペザリーニ1739年製作オリジナル楽器

録音:2022年3月セント・メアリー&セント・アーンスワイト教区教会、フォークストーン(英国南東部ケント州)
バッハやテレマンの無伴奏ヴァイオリン作品全曲録音で高い評価を博すにとどまらず、2013年には彼らの先駆者ビーバーのパッサカリアの副 題をタイトルに掲げたアルバム『守護天使』(CCSSA35513)をリリース、バロック期の無伴奏ヴァイオリン音楽の多様さを鮮やかに示してみせ た英国随一のバロック・ヴァイオリン奏者レイチェル・ポッジャー。彼女は今やモーツァルトやベートーヴェンのソナタ解釈でも注目すべき実績を 上げていますが、その活動の柱として早くから高い評価を得てきたバロック作品での演奏が、いかに魅力的な誠実さに貫かれていながら自在 であるか、改めて強く実感させてくれる新しい無伴奏アルバムが登場します。17世紀後半、バッハ以前の無名作品から古典派前夜のタル ティーニに至るまで、シンプルでありながら確実に聴き手の耳を捉える魅力が凝縮されている作品を厳選、各作品の持ち味をじわじわと引き 出す端正な演奏が続くプログラムは虚飾ない高雅さに満ちており、聴き深めるほどに気づかされる音楽の味わいがバロックの多様さ・広大さを 改めて印象づけてやみません。近年しばしば無伴奏ヴァイオリンでも演奏される(原作が無伴奏ヴァイオリン作品だったのではと主張する人も いる)バッハのオルガン作品『トッカータとフーガ』のユニークかつ様式感を捉えた編曲版から、アルバム全編を通じてさりげない驚きが詰まった充 実の仕上がり。CHANNEL CLASSICSならではの絶妙な高音質録音でその味わいを隅々までお楽しみいただけます。

INVENTA
INV-1009(1CD)
NX-B05
マヌエル・ロドリゲス・コエーリョ(1555-1635):音楽の花束 第1集(1620)
1. Terceiro Tento do 8o tom 第8旋法による第3テント
2. Primeiro Kyrio do 4o tom por E la mi 第4旋法による第1キリオ
3. Kyrie eleison quarti toni I 第4旋法によるキリエ・エレイソン I
4. Segundo Kyrio do 4o tom por E la mi 第4旋法による第2キリオ
5. Christe eleison quarti toni I 第4旋法によるクリステ・エレイソン I
6. Terceiro Kyrio do 4o tom por E la mi 第4旋法による第3キリオ
7. Christe eleison quarti toni II 第4旋法によるクリステ・エレイソン II
8. Quarto Kyrio do 4o tom por E la mi 第4旋法による第4キリオ
9. Kyrie eleison quarti toni II 第4旋法によるキリエ・エレイソン II
10. Quinto Kyrio do 4o tom por E la mi 第4旋法による5第キリオ
11. Magnificat primi toni 第1旋法によるマニフィカト: Magnificat
12. Primeiro Verso do 1o tom para se cantar
  第1旋法による第1ベルソ
13. Primeiro Verso do 1o tom 第1旋法による第1ベルソ
14. Segundo Verso do 1o tom para se cantar
 第1旋法による第2ベルソ
15. Segundo Verso do 1o tom 第1旋法による第2ベルソ
16. Terceiro Verso do 1o tom para se cantar
  第1旋法による第3ベルソ
17. Terceiro Verso do 1o tom 第1旋法による第3ベルソ
18. Quarto Verso do 1o tom para se cantar
  第1旋法による第4ベルソ
19. Quarto Verso do 1o tom 第1旋法による第4ベルソ
20. Quinto Verso do 1o tom 第1旋法による第5ベルソ
21. Magnificat primi toni 第1旋法によるマニフィカト: Gloria Patri
22. Sexto Verso do 1o tom 第1旋法による第6ベルソ
23. Pange lingua パンジェ・リングァ(more hispano)
24. Pange lingua パンジェ・リングァ do tiple
25. Pange lingua パンジェ・リングァ do contralto
27. Pange lingua パンジェ・リングァ do contrabaixo
28. Genitori genitoque 御父と御子に(more hispano)
29. Magnificat octavi toni 第8旋法によるマニフィカト: Magnificat
30. Primeiro Verso do 8o tom para se cantar 第8旋法による第1ベルソ
31. Segundo Verso do 8o tom para se cantar 第8旋法による第2ベルソ
32. Magnificat octavi toni 第8旋法によるマニフィカト: Quia fecit mihi
magna
33. Terceiro Verso do 8o tom para se cantar 第8旋法による第3ベルソ
34. Primeiro Verso do 8o tom 第8旋法による第1ベルソ
35. Quarto Verso do 8o tom para se cantar 第8旋法による第4ベルソ
36. Magnificat octavi toni 第8旋法によるマニフィカト:
 Esurientes implevit bonis
37. Segundo Verso do 8o tom 第8旋法による第2ベルソ
38. Terceiro Verso do 8o tom 第8旋法による第3ベルソ
39. Magnificat octavi toni 第8旋法によるマニフィカト: Gloria Patri
40. Quarto Verso do 8o tom 第8旋法による第4ベルソ
41. Primeiro Kyrio do 3o tom por E la mi re 第3旋法による第1キリオ
42. Kyrie eleison tertii toni 第3旋法によるキリエ・エレイソン I
43. Segundo Kyrio do 3o tom por E la mi re 第3旋法による第2キリオ
44. Christe eleison tertii toni I 第3旋法によるクリステ・エレイソン I
45. Terceiro Kyrio do 3o tom por E la mi re 第3旋法による第3キリオ
46. Christe eleison tertii toni II 第3旋法によるクリステ・エレイソン II
47. Quarto Kyrio do 3o tom por E la mi re 第3旋法による第4キリオ
48. Kyrie eleison tertii toni II 第3旋法によるキリエ・エレイソン II
49. Quinto Kyrio do 3o tom por E la mi re 第3旋法による第5キリオ
セルジオ・シルバ(Org)
マリアーナ・モルダン(S)
マリア・デ・ファティマ・ヌニェス(Ms)
オルガン…エルバス大聖堂
メイン・オルガン…Pascoal Caetano Oldovino (1762)
ポジティフ・オルガン…Pascoal Caetano Oldovino (1758)

録音:2021年12月1、2日、2022年4月2日
ポルトガル・ルネサンス期のオルガニスト、作曲家マヌエル・ロドリゲス・コエーリョの現存する唯一の作品集 「Flores De Mvsica 音楽の花束」。1620年に印刷され、スペイン王フィリペ3世に献上された500ページ以 上にもなるこの曲集は、17世紀に印刷された音楽作品としては最大級のものです。中には24のティエント、 101のオルガン伴奏による賛美歌など、コエーリョ作品に加えて当時の作曲家たちの作品も収録しています。コ エーリョの作品は込み入った対位法を用いることなく、比較的単純なハーモニーで明快に書かれているのが特徴 で、同時代のスウェーリンク作品を思わせる見事な仕上がりを見せます。 曲集の初版発行400年記念となるこ のアルバムは、最新の研究結果を盛り込んだ新しい楽譜を用いて、生前のコエーリョがオルガニストを務めていた エルバス大聖堂で録音。オルガンのソロ曲はメインのオルガンで、歌を伴う曲では小型のポジティフ・オルガンで演 奏しています。

INVENTA
INV-1008(1CD)
NX-B05
最後の審判のための15世紀のポリフォニー
オケゲム(1410頃-1497):レクイエム:Domine Jesu Christe
作者不詳:Exultet celum laudibus
作者不詳:Clare sanctorum senatus
ヨハネス・レギス(1425頃?1496頃):Missa L’homme arme ミサ「武器を持つ人」/Dum sacrum mysterium:Kyrie
作者不詳:Ut queant laxis
マルティーニ(1430頃?1497):Magnificat マニフィカト(Mode IV)
作者不詳:Venite benedicti patris
作者不詳:Urbs beata Jerusalem
アントワーヌ・ブリュメル(1460頃-1512頃/13):レクイエム:Dies irae
ファウント&オリジン(声楽アンサンブル)
ジェイムズ・トムリンソン(音楽監督)

録音:2022年1月16-18日
このアルバムは、初期フランドル地方の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(1400頃-1464)の多翼祭壇画 「最後の審判」を音楽で表現しようとしたものです。この祭壇画は、中央のもっとも高い位置にキリストが描かれ、 その左側には剣(Sword)、右側には聖母の象徴である百合(Lily)が配置され、各々の絵には聖書から引用 された言葉が記されており、細部まで色鮮やかに描き込まれた人物たちとともに、世界の終わりの瞬間がさまざま な寓意を込めて描かれています。このアルバムでは、15世紀に活躍した作曲家たちによる、祭壇画に描かれた 場面に関連した歌詞を持つ曲を収録しています。演奏するファウント&オリジンはこのアルバムがデビュー作。 2018年にジェイムズ・トムリンソンが設立したアルト2、テノール3、バリトン1、バス2で構成された声楽アンサンブ ルで、中世後期の作品を得意としています。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

PIERRE VERANY
PV-721051(1CD)
セバスティアン・デ・アルベーロ(1722-1756):ソナタ集
ソナタ第1番ハ長調/ソナタ第2番ハ長調/ソナタ第3 番ニ長調/ ソナタ第4番ニ短調/ソナタ第5 番イ短調/ソナタ第6番イ短調/ ソナタ第7 番ヘ長調/ソナタ第8番ヘ長調/ソナタ第9番ト長調/ ソナタ第10番ト長調/ソナタ第11番ニ短調/ソナタ第12 番ニ長調/ ソナタ第13番変ロ長調/ソナタ第14 番変ロ長調/ソナタ第15番ト短調
マリオ・ラスキン(Cemb)

録音:2020年6月 フランス ヴァル=ドワーズ県 ショシ
チェンバロ・ファン待望、セバスティアン・デ・アルベーロのソナタ集の CD。セバス ティアン・デ・アルベーロ(1722-1756)はスペイン最北部、ロンカル生まれのの作曲 家。アントーニオ・ソレールより 7歳上で、共にドメニコ・スカルラッティの強い影響を 受けた世代。とはいえアルベーロの音楽は繊細かつ新鮮でとても魅力的。残念なこ とにアルベーロは僅か33歳で早世し、残された作品も少なく、これまでドメニコ・スカ ルラッティの周辺の作曲家という扱いばかり、単独の CD すら僅か。ベテランのチェ ンバロ奏者、マリオ・ラスキンが現存する 30のソナタのうち前半分を録音。アルベーロのソナタがこれだけまとまったのはおそらく初めてでしょう。スカルラッティのソナタを 愛聴する人ならアルベーロのソナタも大いに気にいるだろうし、18 世紀後半のスペ イン器楽音楽を牽引したであろう才能の早世を惜しむことでしょう。 パリから北西に50Km ほど離れたヴィラルソー城所蔵の、クリスチャン・クロル(1745-1782)が 1776年に製作した貴重なチェンバロを使用。コピーではないオリジナルの 銘器の響きも楽しめる。

ALPHA
ALPHA-891(3CD)
NX-E02
ラモー:「ゾロアストル」 〜全5幕の抒情悲劇(1749) アメリート…ジョディ・デヴォス(S)
エリニス…ヴェロニク・ジャンス(S)
ゾロアストル…レイナウト・ファン・メヘレン(オートコントル)
アブラマーヌ…タシス・クリストヤニス(Br)
アベニス、オロスマード、憤怒の鬼…マティアス・ヴィダル(T)
ゾピール、アリマン、精霊ジェニー、復讐の鬼…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
セフィ、セニード…グヴェンドリーヌ・ブロンデール(S)
ゼリーズ、妖精、憤怒の鬼…マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
憤怒の鬼…ティボー・レナールツ(テノール、合唱指揮)
ナミュール室内cho
レザンバサドゥール、ラ・グランド・エキュリー(古楽器使用)
アレクシ ・コセンコ(指)

録音:2022年4月ナミュール・コンサート・ホール、グランド・マネージュ、ナミュール、ベルギー
バッハやヘンデルとほぼ同世代で、遅咲きながらフランス王室のみならずパリ市民の音楽シーンを牽引する存在となっていった大御所ラモー。 リュリの歿後、少しずつ時代遅れになりつつあった全5幕形式のフランス正統派歌劇(抒情悲劇)に新たな活況を呼び込んだのも彼で、「ダル ダニュス」から10年のブランクを経て1749年に発表した「ゾロアストル」は、初演こそ意欲的・先進的な構成が無理解にさらされ失敗に終 わったものの、1756年の改訂版上演以降はフランスの人々にも受け入れられ喝采を浴びました。そして今回ここに登場するのは、ヴェルサイ ユ・バロック音楽センターの全面協力を得て実現した幻の初演版!映像含め既存録音もいくつかある改訂版では音楽構造の分かりやすさ を優先させたため失われてしまった、ラモーと台本作家カユザックによる当初の哲学的・先進的アイデアを本来の姿のままに辿れる、最新校 訂の楽譜による貴重な初録音です。初演当時のオペラ座の編成に合わせ管楽器奏者を増やし、低音を左右に振り分けるなど楽器配置 も当時流にこだわりながら、故マルゴワールから音楽監督の座を受け継いだ名門楽団ラ・グランド・エキュリーを加えた大編成でこの録音に臨 むのは、トラヴェルソ奏者コセンコのもとALPHAやAparte、SONYなど多くのレーベルで名盤を連発しているレザンバサドゥール。頼もしい通 奏低音勢に支えられながら、題名役のファン・メヘレンを筆頭に、デヴォス、ジャンスら世代を越えての注目女声歌手、そしてヴィダルにクリスト ヤニスと、欧州歌劇界の大御所たちが演技力たっぷり織り上げてゆく物語。序曲から絶好調のオーケストラも、随所の聴きどころでの強い求 心力で存在感を発揮します。素顔のラモー芸術の真価を知らしめる新たな名演の登場と言ってよいでしょう。
ALPHA
ALPHA-895(1CD)

NYCX-10347(1CD)
国内盤仕様
税込定価
『フランクール兄弟とその周辺』 〜フランス18世紀、ヴァイオリンとクラヴサンのための作品集
フランソワ・フランクール(1698-1787)&フランソワ・ルベル(1701-1775):ミューズたちと喜びの精たちのガヴォット: 優美に 〜ディヴェルティスマン「トロフィ」(1745)より
第2のエール 〜ディヴェルティスマン「トロフィ」(1745)より
 戦士たちのエール 〜抒情悲劇「ピラムとティスベ」(1726)より
 「舞台は暗くなり、雷鳴が聞こえてくる」〜ディヴェルティスマン「アウグストゥスの臣下たち」(1744)より
ジャン=ジャック・バティスト・アネ(1676-1755):ヴァイオリン独奏と通奏低音のためのソナタ 第11番ハ短調(1724)
F. フランクール&F. ルベル:ミュゼット 〜ディヴェルティスマン「アウグストゥスの臣下たち」(1744)より
F. フランクール:ヴァイオリン独奏と通奏低音のためのソナタ ト短調 Op.2-6(1730)
F. フランクール&F. ルベル:
16. 「舞台に光がさす」〜ディヴェルティスマン「アウグストゥスの臣下たち」(1744)より
ルイ・フランクール(1692-1745):ラルゴ 〜ヴァイオリン独奏と低音部のためのソナタ ロ短調 Op.1-6(1715)より
F. フランクール&F. ルベル:ロンド:優美に 〜抒情悲劇「タルシスとゼリー」(1728)より
 第1、第2エール 〜音楽悲劇「スカンデルベルク」(1735)より
L. フランクール:ヴァイオリン独奏と通奏低音のためのソナタ ホ短調 Op.1-4(1715)
ルイ=ジョゼフ・フランクール(1738-1804):叔父に捧げるシャコンヌ
テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト:ヴァイオリンによるプレリュード(即興演奏)
F. フランクール:ヴァイオリン独奏と通奏低音のためのソナタ ト長調 Op.1-10(1720)
ジャン・デュロシェ(生歿年不詳、18世紀に活躍):プレリュード 〜第1組曲 ハ長調(1733)より
テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト(Vn)
 使用楽器:ヤーコプ・シュタイナー1668年製作のオリジナル楽器
ジュスタン・テイラー(クラヴサン〔=チェンバロ〕)
 17世紀リヨン製(製作者不詳)、ジョゼフ・コレス1747年鍵盤拡張によるオリ
ジナル楽器 (修復:ローラン・スマニャ、2003年)

録音:2021年12月、フランス銀行トゥルーズ館「黄金の間」、パリ
※ 国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
フランス新世代を担うクラヴサン奏者ジュスタン・テイラーの快進撃が止まりません。独奏者としての注目度もさることながら、声楽家との共演や室内楽への関 心の高さは録音活動にもよく表れています。彼とともにアンサンブル「ル・コンソート」を創設したバロック・ヴァイオリン奏者テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト(ス ワルト)も同様に躍進めざましい新世代名手で、こちらはharmonia mundi franceでの大御所ウィリアム・クリスティとの二重奏盤も話題を呼びました。こ の若き俊才2人が阿吽の呼吸で紡ぎ出す演奏が、いかに瑞々しい音楽のひと時を生むかを強く印象づけるアルバムが登場。フォルクレ、ラモーと「一族」単位 で音楽遺産を追ってきたテイラーの録音活動の一環として、今回はクライスラーの偽作で名前だけは有名なフランクールを紹介。フランソワ・フランクールは『四 大元素』で有名なジャン=フェリ・ルベルの息子フランソワ・ルベルとオペラで共作を続け、マリー=アントワネット婚礼祝典でリュリの作品を古典派風に改作す るなど世紀後半まで活躍しましたが、若い頃にはヴァイオリン奏者として鮮烈なソナタも続々発表。彼の兄や甥などの作品を交え、共作舞台音楽の足跡も 追う体系的な選曲は、全く未知の作品ばかりであるにもかかわらず、たおやかに伸縮するラングロワ・ド・スヴァルトの弦の魅力、これに呼応するテイラーの優美 というほかないタッチの妙で、次へ、また次へ……と聴き進めずにおれません。フランス古楽シーンの充実を圧倒的に印象づける鮮烈な1枚、ALPHAならでは の見逃せないリリースです。

ARCANA
A-536(1CD)
『恋の詩』 〜ジャケス・デ・ヴェルト:後期のマドリガーレとカンツォネッタ
ジャケス・デ・ヴェルト(またはジャック・ド・ウェルト、1535-1596):
1. V心に安らぎが欲しくなって
2. ある日、わたしはスミレを摘みに
3. 囀る美しき小鳥よ、さあ
4. 黒い瞳よ、何のために
5. 祝福に満ちた我が運名よ
6. やりたい奴は言え
7. リチェルカーレ (ヴィンチェンツォ・ガリレイ〔1520/33-1591〕作曲)
8. 恋の神よ、わたしの生きざまを知っているからには
9. 恋の神がわたしを毒の矢で射た
10. 甘やかにさえずる夜啼鶯が
11. 何をしている、魂よ 〜7声の対話
12. 安らがせてくれ、わが思考よ
13. 哀れね、わたしはどれほど時間をむだにしたのだろう
14. きみが歌えば、わたしも歌う
15. わたしを知らないというのか〜6声のこだま
16. わたしは去ろう、ああなんと残酷な運命
ヴォーチェス・スアーヴェス (古楽器&声楽アンサンブル)

録音:2021年7月2-6日 ラントガストホーフ・リーエン、スイス
早くからフェラーラのエステ家やパルマのファルネーゼ家といったイタリアの文化的名家に見出され、後年はマントヴァのゴンザーガ家に仕え若き モンテヴェルディの同僚になった後期フランドル楽派の重要人物、ジャケス・デ・ヴェルト。ミュンヘンのバイエルン選帝侯家に仕えたラッススとほ ぼ同世代ですが、その活躍の舞台は主として北イタリアで(一時は神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世にも仕えていました)、貴婦人たちと浮名 を流し醜聞も呼びながら、即興演奏と多声音楽作曲に長けた音楽家として時代に名を刻みました。マドリガーレは彼が大きな貢献を果たし た曲種の一つで、年長の大家チプリアーノ・デ・ローレと後輩のモンテヴェルディやマレンツィオの間にあって、詩句の繊細な表現を音にして精 巧な多声の綾へと織り込んでゆく技芸は多くの同業者たちにも刺激を与えました。タッソやグヮリーニといった詩人たちとの知遇を通じて育まれ た明敏な感性は、後に14世紀の詩人ペトラルカの美しい詩を音楽化するにあたっての新しい視点にも繋がります。そうしたジャケス・デ・ヴェ ルト後年の充実作を重点的に集め、時にリコーダーやヴィオラ・ダ・ガンバ、撥弦楽器などを交えた自在な編成でこの作曲家の真髄に迫るの は、古楽研鑚の一大拠点バーゼルで学んだ俊才たちによるヴォーチェス・スアーヴェス。一本筋の通った多声音楽再現への情熱が、意外に も少ないこの作曲家単体でのアルバムを瑞々しくも確かな解釈で満たしています。イタリア後期ルネサンスの宮廷音楽に通じた音楽学の大 御所イアン・フェンロンによるライナーノート(英・仏・独語)も端的かつ充実した内容。

RICERCAR
RIC-444(1CD)
『おお幼子イエスさま』 〜ドイツ17世紀のルター派音楽による降誕祭オラトリオの再現
〜第1部〜
 <開会の合唱(聖母の戴冠)>
1. ヴォルフガング・カール・ブリーゲル(1626-1712): 今日は歓喜の日
 <受胎告知>
2. アンドレアス・ハンマーシュミット(1611/12-1675):マリアさん、恵みを授けられた方よ
3. ヨハン・シェッレ(1648-1701):来ませ、異邦人の救い主よ(器楽合奏)
 <天使たち>
4. クリストフ・ベルンハルト(1628-1692):怖がらなくてよいのです
5. ハンマーシュミット大いに喜べ、大いにだ
6. ミヒャエル・プレトリウス: 一輪の薔薇が花を咲かせた
 <羊飼いたち、飼葉桶の前での礼拝>
7. クリスティアン・フロール(1626-1697):羊飼いたちよ、急いでベツレヘムへ
8. ハンマーシュミット:ああ、心から愛するイエスさま
9. フランツ・トゥンダー(1614-1667):小さな幼子がわたしたちのもとに生まれた
10. M.プレトリウス:ベツレヘムで幼子がお生まれになった
11. ハインリヒ・シュッツ(1585-1672):おお善きイエス、マリアの子
〜第2部〜
12. トーマス・ゼッレ(1599-1663):天使はヨセフに言いました
 <東方三博士の礼拝>
13. ブクステフーデ: 暁の星いと美しきかな(第1節のみ/器楽合奏)
14. ハンマーシュミット:わたしがどれほど心から喜んでいることか
15. ハンマーシュミット: どこにおられるのですか、生まれたばかりのユダヤの王様は
 <幼子イエスのエルサレム神殿での浄め(神殿奉献)>
16. ヨハン・ルドルフ・アーレ(1625-1673): 主よ、あなたの下僕に旅立ちをお許しください
 <エルサレム神殿で説法する少年イエス>
17. ザムエル・カプリコルヌス(1628-1665): 第1楽章 〜八つの楽器のためのソナタより(器楽合奏)
18. ハンマーシュミット: わが子よ、どうしてわたしたちをこんな目に遭わせたのだね
 <結び>
19. ダーフィト・ポーレ(1624-1695):インマヌエル生まれぬ
20. ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703): おお歓喜の時、驚くべき夜
クレマチス (古楽器&声楽アンサンブル)
 カピュシーヌ・ケレール、ユリア・ヴィシニェフスキ(S)
 ポラン・ビュンドゲン(C.T)
 ザカリー・ワイルダー(T)
 フィリップ・ファヴェット(Bs)
 ステファニー・ファイー(Vn、指揮)
 フローランス・マルゴワール(Vn)
 エリー・ミメロスキ、ヨルレン・ベガ・ガルシア(ヴィオラ、ヴァイオリン)
 サラ・ファン・アウデンホーフェ(バス・ガンバ)
 アナイス・ラマージュ(リコーダー、 バスーン、クルムホルン)
 エルザ・フランク(シャルマイ、リコーダー、クルムホルン)
 ジェレミー・パパセルジオー
   (バスーン、クルムホルン、バス・ボンバルド、ランケット )
 ジェローム・ルジュヌ(クルムホルン、選曲、構成)
 ブリス・サイー(オルガン、指揮)
録音:2021年12月 グラン・マネージュ、ナミュール、ベルギー
フランス語圏ベルギーで早くから古楽専門のレーベルRICERCARを主宰、最前線のプレイヤーたちとともに古楽通を唸らせるアルバム制作を 続けてきた録音技師=音楽学者ジェローム・ルジュヌが、自身の知見と確かな古楽人脈を通じてユニークなクリスマス・アルバムを制作しまし た。ヴァイオリンの俊才ステファニー・ファイーやフローランス・マルゴワール、鍵盤のブリス・サイーに楽器学でも演奏能力でも破格の管楽器奏 者ジェレミー・パパセルジオーといった実力派古楽器奏者たち、中世音楽でも実績の多いポラン・ビュンドゲンやザカリー・ワイルダーら名歌手 5人とともに、ルジュヌ自身も一部クルムホルンを吹き臨んだ本盤は、17世紀ドイツ語圏各地で書かれた礼拝音楽を少しずつ抜粋、クリスマ スシーズンの礼拝習慣を辿るプログラムを通じて、バッハ前夜のドイツ語圏で活躍した重要な作曲家たちの技芸を新たな視野から概観でき る好企画。パパセルジオーの最新研究が反映されたダブルリード楽器の多彩さ(シャルマイ、クヴィント・ファゴット、バス・ボンバルド……)や各 プレイヤーの高い演奏能力とあいまって、どのトラックでも古楽に触れる喜びを深く実感させてくれます。いくつかの器楽トラックにはこの時代な らではのモテットやオルガン音楽を、リコーダーや弦楽器が映える合奏向けにアレンジしたものも含まれ、自然な物語展開に味わい深いアクセ ントを与えています。

B RECORDS
LBM-046(1CD)
ラ・フォンテーヌの『寓話』とフランス・バロックの宮廷音楽
1. フランソワ・クープラン:プレリュード 〜王宮のコンセール第4番より
2. ラ・フォンテーヌの寓話「セミと蟻(蟻とキリギリス)」(朗読)
3. クレランボー: 蟻とバッタ(蟻とキリギリス)
4. ムリニエ(1599-1676):さあみんな、スペインとフランスのワインに酔いしれよう
5. ラ・フォンテーヌの寓話「カラスと狐」(朗読)
6. クレランボー:カラスと狐
7. ルイ・ド・ケー・デルヴロワ(1677-1759): 蝶々
8. ラ・フォンテーヌの寓話「酪農家の娘と牛乳の器」(朗読)
9. クレランボー:酪農家の娘
10. ガブリエル・バタイユ(1574-1630):美しい女(ひと)よ、わたしは昼が憎い
11. ラ・フォンテーヌの寓話「世捨てネズミ」(朗読)
12. クレランボー:チーズの中のネズミ
13. ミシェル・ランベール(1610-1696):楽しもう、この穏やかな急速を
14. ラ・フォンテーヌの寓話「熊と二人の仲間」(朗読)
15. クレランボー:熊と二人のガスコーニュ男
16. クープラン:恋の夜啼鶯
17. ラ・フォンテーヌの寓話「ライオンの宮廷」(朗読)
18. クレランボー:ライオンの宮廷
19. クープラン:葦
20. ラ・フォンテーヌの寓話「樫と葦」(朗読)
21. クレランボー:樫と葦
22. リュリ: このような場所から離れて
23. ラ・フォンテーヌの寓話「亀と二羽の鴨」(朗読)
24. クレランボー:亀とワシ
25. ケー・デルヴロワ:バッタ
26. ラ・フォンテーヌの寓話「ウサギと亀」(朗読)
27. クレランボー:ウサギと亀
28. バタイユ:頭痛を追い払いたい者はいるか
29. ラ・フォンテーヌの寓話「大きくなりたがるカエル(カエルと牛)」(朗読)
30. アントワーヌ・ボエセー(1587-1643):ついに、羊飼いの娘は
31. ラ・フォンテーヌの寓話「ライオンとネズミ」(朗読)
32. クレランボー:ライオンとネズミ
33. ランベール:素敵な夜
マリー=クロード・シャピュイ(Ms)
ティエリー・ペトー(朗読)
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器使用)
ジュヌヴィエーヴ・ピュニエ(フラウト・トラヴェルソ)
ヴァランタン・トゥルネ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕、指揮)
バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ)
ベランジェール・サンドラン(バロックハープ)

録音:2021年10月6日エストラン、ギデル(フランス北西部ブルターニュ地方) ライヴ
バッハの声楽曲やラモーのオペラなど大がかりなプロジェクトを次々と成功させ、彗星のごとく登場した当時からインパクトのあった存在感に、 近年ますます輝きが増しつつあるフランス新世代の古楽指揮者ヴァランタン・トゥルネ。ヴィオール(ガンバ)の演奏家でもある彼は自ら指揮す るラ・シャペル・アルモニークで、大規模作品での評判に安んじることなく、自身も楽器を手に取って小編成の注目すべきプログラムも提案し つづけています。その最先端でライヴ録音されたこのアルバムは、劇作家モリエールやラシーヌ、大画家ルブランやミニャール、音楽家リュリや シャンボニエールらと同じように、ルイ14世の宮廷を虜にした詩人ラ・フォンテーヌ(1621-1695)の名高い『寓話』がテーマ。日本でも良く知 られている「蟻とキリギリス(蟻とセミ)」や「牛より大きくなりたがる蛙」などの詩を、バロック歌手でもあるティエリー・ペトーが数トラックごとに演技 力たっぷり明瞭な朗読で詠み上げています。これに関連する17〜18世紀のフランス宮廷音楽が、声楽・器楽を織り交ぜ精妙な古楽器演 奏で織り上げられてゆくのですが、通して聴いているとペトーの声の美しさと味わいもあり、さながら朗読も音楽の一部のよう。ライヴ収録で客 席のほどよい笑い声も時折漏れ聴こえてくる中、さながら17世紀の機知に富んだフランス宮廷人たちのサロンに居合わせてしまったかのような 臨場感を味わうことが出来ます。本場直送だからこそのこの気配、バロック・ファンならずとも虜になってしまうのではないでしょうか。思わずワイ ンを開けたくなる1枚です。

DB Productions
DBCD-205(1CD)
リュート・ソングの黄金時代
トーマス・モーリー(1557-1602):手をつないで*
 わたしの美しい宝石をごらん
 ラ・コラント*
ダウランド:歌曲集 第1巻 - もしも私が受けた苦しみが
 夢 P. 75*
 歌曲集 第4巻 - “巡礼者の慰め":
 去れ夜ごとの悩み、安らぎの敵よ
ジグ P. 78*
トマス・フォード(1580-1648):Musicke of Sundrie Kindes: Faire, sweet, cruell
ジョン・ダニエル(1564-1626):Thou Pretty Bird, How do I See
ダニエル:Like as the Lute Delights
トマス・キャンピオン(1567-1620):歌曲の本 第2巻 - Never weather-beaten saile more willing bent to shore
トバイアス・ヒューム(1569-1645):エア集第1巻 - No. 7. My Hope Is Decayed*
キャンピオン:What if a Day
ダウランド:“音楽の饗宴”: 君よ、それほど私を困らせたいなら
 歌曲集 第1巻 - 彼女は私の過ちを許してくれるだろうか
 涙 P. 15*
 歌曲集 第4巻- “巡礼者の慰め”:
 疲れた私の命、私は死にたい
フランシス・ピルキントン(1570-1638):Rest Sweet Nimphs
ダウランド:歌曲集 第1巻 -おお、今こそ別れねばならぬ

*…器楽のみ
アンナ・サンダー(Ms)
マリア・リンドル(Vn)
ケレン・ブルース・ヴェスタルンド(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
カール・ニリン(Lute)

録音:2021年3月13-15日
イギリスでリュート歌曲が黄金時代を迎えていたエリザベス朝にフォーカスしたアルバム。ダウランドと同時代人によるリュート歌曲を主体に、「間奏」のように器 楽曲を織り交ぜ、即興も加えています。その器楽部分には「エリザベス朝のスタイルによる」アレンジも独自に加えており、有名な「涙のパヴァーヌ」を無伴奏 ヴァイオリンで演奏しているのが特に注目されます。エマ・カークビーやナイジェル・ノースに学んだアンナ・サンダーをはじめ、古楽演奏の盛んなスウェーデンの 演奏家たちによるメランコリックでありながら生き生きとした演奏が魅力です。 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

Rondeau
ROP-6237384(4CD)
モンテヴェルディ:歌劇 「ポッペーアの戴冠」(1651ナポリ稿) アンドレアス・ライツェ(指)、カントゥス・フィルムス・コンソート、ピア・ダヴィラ(ソプラノ/ポッペーア)、エルヴィラ・ビル(メゾ・ソプラノ/ネローネ)、ジェネヴィエーヴ・チューミ(メゾ・ソプラノ/オッターヴィア)、ヤン・ベルナー(カウンターテナー/オットーネ)、リサンドロ・アバディ(バス/セーネカ)、カトリン・ホッティガー(ソプラノ/フォルトゥーナ〔幸運〕、パッラーデ、ダミジェッラ)、ユリア・ゾフィー・ヴァークナー(ソプラノ/ヴィルトゥ〔美徳〕、ドゥルジッラ、ヴェーネレ)、マリオン・グランゲ(ソプラノ/アモーレ〔愛〕、ヴァレット)、セバスティアン・モンティ(テノール/乳母、アルナルタ)、ミヒャエル・フェイファー(テノール/兵士1、ルカーノ、執政官)、ハンス・イェルク・マンメル(テノール/兵士2、解放奴隷、執政官)、トビアス・ヴィッキー(バス/メルクーリオ、警吏)

録音:2021年8月14日-21日、ゾロトゥルン(スイス)
2021年の9月からライプツィヒの伝統ある聖トーマス教会のカントル(トーマスカントル/楽長)に就任し、カトリックのスイス人であったこと(これまでのトーマスカントルはプロテスタントのドイツ人であった)なども話題を呼び、新時代のカントルとして大きな注目を浴びているスイスのオルガニスト&指揮者、アンドレアス・ライツェ(アンドレアス・ライゼ)。バッハから数えて18人目となるトーマスカントルの重責と偉大な伝統を担うライツェが、自身が結成したピリオド楽器アンサンブル「カントゥス・フィルムス・コンソート」を率いて、モンテヴェルディの晩年の傑作 「ポッペーアの戴冠」(ポッペアの戴冠)という大作を録音!
『ポッペーアの戴冠』はオリジナルの自筆譜が残されておらず、いわゆる「ヴェネツィア稿」と「ナポリ稿」の2つの筆写譜(筆者不明で声楽と通奏低音のみ)によって知られています。これまでラ・ヴェネクシアーナなどナポリ稿の録音も行われてきましたがカットされている部分もあり、ここでは「1651年のナポリ稿に基づくヴァージョンの完全版初録音(First complete recording of the Naples Version from 1651)」と銘打たれた貴重なレコーディングが実現しました。ナポリ稿とヴェネツィア稿では音楽もテキストも異なる部分が多く、ポッペーアとネローネ(皇帝ネロ)の物語を新鮮かつ刺激的に体験することができます。
アンドレアス・ライツェが音楽監督を務める「バロック様式のヴァルデック城で行われるオペラ(Opera at the Baroque Castle Waldegg)」で行われたプロダクションの枠内で2021年の夏に録音されました。

Da Vinci Classics
C-00601(2CD)
ジュゼッペ・ガエターノ・ボニ:12のディヴェルティメンティ Op.2
ソナタ第1番/ソナタ第2番/ソナタ第3番/ソナタ第4番/ソナタ第5番/ソナタ第6番/ソナタ第7番/ソナタ第8番/ソナタ第9番/ソナタ第10番/ソナタ第11番/ソナタ第12番
アッカデミア・デッリ・エッランティ、
ダヴィデ・フェレッラ(マンドリン)

録音:2021年12月、パラッツォ・チーゴラ・マルティノーニ(チーゴレ、イタリア)
現在でもあまりその名を知られていない18世紀前半のイタリアの音楽家ピエトロ・ジュゼッペ・ガエターノ・ボニは、サン・ペトロニオ教会のオルガニストだったジャコモ・アントニオ・ペルティからアルカンジェロ・コレッリに紹介され、その実力が認められるなど、特にボローニャ近郊において足跡を残したことが知られています。
ヴァイオリン、ヴィオローネ、シンバル、フルート、マンドラ(マンドリンより一回り大きいマンドリン属の楽器)のための12のディヴェルティメンティは、おそらく1720年から30年の間に書かれたものであり、非常に多彩で豊かな音の宇宙が広がっている知られざる素晴らしいソナタ集です。
アッカデミア・デッリ・エッランティはヒストリカル・マンドリン奏者のダヴィデ・フェレッラを中心として結成された古楽アンサンブル。マンドリンを伴う17〜18世紀の作品を得意としています。
Da Vinci Classics
C-00440(1CD)
テレマン:無伴奏フルートのための12の幻想曲 TWV.40:2-13 リタ・ダルカンジェロ(Fl)

録音:2020年16日-17日、アンドレアス教会(ベルリン、ドイツ)
テレマンの傑作「無伴奏フルートのための12の幻想曲(ファンタジア)」を奏でるのは、かつて兵庫県立芸術文化センターOの首席フルート奏者を務めた経歴を持つイタリアの女流奏者リタ・ダルカンジェロ。
リタ・ダルカンジェロは、テレマンが要求している高い理想像を深く分析し、高度なテクニックに基づく優雅な名人芸で快活かつ正確に演奏しています。
Da Vinci Classics
C-00607(1CD)
スカルラッティ:鍵盤楽器のためのソナタ集
ソナタ ニ短調 K.1/ソナタ イ短調 K.7/ソナタ ロ短調 K.27/ソナタ ロ短調 K.87/ソナタ ニ長調 K.96/ソナタ ホ短調 K.98/ソナタ イ長調 K.101/ソナタ ト短調 K.108/ソナタ ホ長調 K.135/ソナタ イ短調 K.188/ソナタ ロ短調 K.197/ソナタ ト長調 K.260/ソナタ 嬰へ長調 K.319/ソナタ ホ長調 K.380/ソナタ ハ長調 K.487
マリア・クレメンティ(P/スタインウェイ D-274)

録音:2021年12月、スタインウェイ・ピアノ・ギャラリー(ブレッシャ、イタリア)
ドメニコ・スカルラッティが遺したカークパトリック番号付きの555曲のソナタの中から初期から後期までの15曲を選び、スタインウェイのピアノで録音に臨んだイタリアの女流コンポーザー=ピアニスト、マリア・クレメンティ。
マリア・クレメンティは、このディスクで紹介されているソナタを極めて深く分析し、原典とスタイルに忠実な解釈、ファンファーレ、音の速い繰り返し、手の交差などを行い、稀に見る洗練さでピアノによるスカルラッティ演奏の模範を披露してくれています。
Da Vinci Classics
C-00609(1CD)
ルネッサンス・ファンタジア〜ヨーロッパを横断する16世紀のリュート作品集
カピローラ:リチェルカーレ第4番
ムダーラ:ルドビコのハープを模したファンタジア
ミラン:ファンタジア第10番、ファンタジア第11番
ダ・ミラノ:ファンタジア第81番&84番&第40番、ファンタジア・ディヴィーナ、ファンタジア第51番
トラチェッティ:ファンタジア第2番(世界初録音)
ダウランド:ファンタジア P.5
メルテル:ファンタジア第25番(世界初録音)
モリナーロ:ファンタジア第5番
ユエ:ファンタジア
ヴァレ:ラ・メンディアンテ・ファンタジー
メルテル:前奏曲第197番、ファンタジア第108番(世界初録音)
ダウランド:ファンタジア P.1
バチェラー:プレリュード=ファンタジー
ドゥゴライ:フィナーレ
ダウランド:ファンシーP.7
フランチェスカ・トレッリ(Lute)

録音:2021年10月、レッジョ・エミリア(イタリア)
16世紀にリュートのために書かれたヨーロッパ各地の重要な「ファンタジア」をまとめたアルバムは、意外と数少ない珍しいプロジェクト。
ロンドンのギルドホール音楽院で名匠ナイジェル・ノースの師事したイタリアの女流奏者フランチェスカ・トレッリは、ルネサンス期のリュート奏者になりきり、音楽家、作曲家、そしてバロックと呼ばれる次の時代への過渡期の精神を、「ファンタジア」という形式を通じて巧みに表現しています。

Hyperion
CDA-68393(1CD)
ペドロ・デ・クリスト:マニフィカト
ペドロ・デ・クリスト(c.1550-1618):第8旋法のマニフィカト
サルヴェ・レジナ(ようこそ天の女王)*
ミサ曲「サルヴェ・レジナ(ようこそ天の女王)」
クアエ・エスト・イスタ(この方は誰ぞ)*
アルマ・レデンプトリス・マーテル(恵み深き救い主の母よ)*
アヴェ・レジナ・チェロールム(幸いなるかな天の女王)
スターバト・マーテル*
レジナ・チェリ(天の女王)
ベアタ・デイ・ジェニトリクス(祝福されし神の御母)
サンクタ・エト・インマクラータ(神聖にして汚れなき乙女)*
ベアタ・ヴィセラ・マリエ(祝福されしマリアの御胎)
アヴェ・マリス・ステラ(めでたし海の星)
ヴィルゴ・プルデンティッシマ(いと聡明なる乙女)
アヴェ・マリア
クペルチノス、
ルイス・トスカノ(指)

録音:2021年8月14日-17日、ボム・ジェズ教会(ブラガ、ポルトガル)
*世界初録音
ルイス・トスカノは、ブラバント・アンサンブル、アルス・ノヴァ・コペンハーゲン、ムジカ・フィクタなどのアンサンブルに参加するポルトガルのテノール。2009年にクペルチノ・デ・ミランダ財団によって設立されたクペルチノス(元:Cappella Musical Cupertino de Miranda)は、コインブラ大学とのパートナーシップ、ディレクターのルイス・トスカノ、音楽学者のホセ・アブレウらの研究によって、広大なポルトガルのポリフォニー音楽を専門的に取り上げています。
Hyperionからリリースされたファースト・アルバム「カルドーゾのレクイエム」(CDA-68252)が、いきなり2019年度のグラモフォン賞古楽部門賞を受賞してしまうという快挙を達成し一躍その名を世界に轟かせたクペルチノス。ドゥアルテ・ロボの世界初録音となる2つのミサ曲と8つのクリスマス・レスポンソリウム集を収録したセカンド・アルバムでもその更なるポテンシャルを示しました。待望のサード・アルバムとなる今作では16世紀〜17世紀ポルトガルの作曲家、ペドロ・デ・クリストを取り上げます。ポルトガルでは1834年の修道会解散以降およそ100年もの間資料が適切に管理されずに書籍や写本が大きなダメージを受け、ペドロ・デ・クリストの写本も多くは失われてしまったとされています。しかし2021年、コインブラ大学はクペルチノ・デ・ミランダ財団の寛大な支援を受け、ここに収録されたレパートリーを構成するのに不可欠な4つの主要な写本を修復。ダメージを受けた作品の大部分を完成させました。作品の誕生から400年の時を経て、ポルトガルの音楽史に名を刻む偉大なポリフォニストの音楽が甦ります。

BIS
BISSA-258
(1SACD)
「カストラポリス」〜ナポリのカンタータとアリア
ヨハン・アドルフ・ハッセ:「Non piangete, amati rai(泣かないで、愛しい目よ)」〜歌劇『認められたキュロス(Ciro riconosciuto)』(1751)第1幕より
ジュゼッペ・ポルジーレ(1680-1750):歌劇『ウリッセの祖国への帰還(Il ritorno di Ulisse alla patria)』よりエルヴィラのアリア「Sventurato chi piagato(哀れ、心を射られた者)」(第2幕第19場)
  クレオンテのアリア「Tu sei crudel cosi(おまえはなんと残酷な)」(第2幕第10場)
  テレーマコのアリア「Apri Cirene lumi(目を開けろ、キュレネ)」(第1幕第8場)
  テレーマコのアリア「Fiero sdegno dell’alma guerriero(戦士の魂の高慢な侮蔑が)」(第1幕第15場)
  クレオンテのアリア「Quel volto vezzoso(あの美しい顔が)」(第2幕第5場)
  テレーマコのアリア「Mi preparo a trionfar(勝ち誇る準備はできています)」(第3幕第7場)
アレッサンドロ・スカルラッティ:カンタータ『かの心地よき平安は(Quella pace gradita)』
ドメニコ・アウレッタ(1723-1753):協奏曲 ハ長調〜チェンバロ、2つのヴァイオリンと通奏低音のための
●朗読「Dimmi bel neo che fai(話しておくれ、美しいほくろよ)」
ドメニコ・ナターレ・サッロ(1679-1744):カンタータ『Dimmi bel neo che fai(話しておくれ、美しいほくろよ)』
伝承曲「ガルガーノのタランテラ(Tarantella del Gargano)」〜声とバロック・ギターのための
ニコロ・バルドゥッチ(C.T)
アンナ・パラディーゾ(チェンバロ、共同音楽監督)
ドルチ・アフェッティ【
 ダン・ラウリン(第1リコーダー)、ケート・ハーン(第2リコーダー)、 シェシュティン・フローディン(第1オーボエ)、イーア・ノイミュラー(第2オーボエ)、 マッツ・クリングフォシュ(Fg)、マリア・リンダール(Vn、リーダー)、カロリーナ・ウェーバー・エークダール(Vn)、ヨエル・スンディーン(Va)、
通奏低音:
アンナ・パラディーゾ(Cemb)、ケート・ハーン(Vc)、トゥーマス・イェットンソン(Cb)、ドーヒョ・ソル(アーチリュート、バロック・ギター)
ダン・ラウリン(音楽監督)】
スウェーデンのバロック・アンサンブル「ドルチ・アフェッティ」のアルバム第1作がリリースされます。リコーダー奏者のダン・ラウリン と夫人のアンナ・パラディーゾが、ナポリ音楽院図書館の所蔵するナポリ音楽コレクションを探求する目的で結成。ヴァイオリンのマリア・リンダールやオーボエの シェシュティン・フローディンといったスウェーデンのバロック音楽シーンで活躍する音楽家たちが参加しました。
ナポリのカンタータとアリアを歌ったアルバム。フランスの小説家ドミニク・フェルナンデスが1974年の小説『ポルポリーノ(Porpolino ou les mysteres de Naples)』で「数多くのカストラート・ソプラノが結集した南の首都」を表すために使った言葉「カストラポリス」が、アルバム・タイトルに採られました。
プログラムの最初は、アレッサンドロ・スカルラッティに学ぶためナポリを訪れたヨハン・アドルフ・ハッセがメタスタージオの台本に作曲した「認められたキュロ ス」から、リコーダーとオーボエを2つずつともなって歌われる〈Non piangete, amati rai(泣かないで、愛しい目よ)〉。ジュゼッペ・ポルジーレの「ウリッセ の祖国への帰還(ウリッセの帰還)」は、当時23歳だったカストラート歌手のドメニコ・ゴッツィがプロ・デビューで歌った作品です。モンテヴェルディの歌劇と同 じホメロスの『オデュッセイア』の物語を題材にしながら、別の作家による台本に作曲されています。アレッサンドロ・スカルラッティの「かの心地よき平安は」は、 リコーダーの他、ソロ・ヴァイオリン、チェロと通奏低音をともなう、ソプラノのためのソロ・カンタータです。
ドメニコ・アウレッタは、ナポリで生まれ、30歳で没しました。チェンバロ、2つのヴァイオリンと通奏低音のための「協奏曲 ハ長調」は、ナポリ音楽院図書館が 楽譜を保存している作品です。ドメニコ・ナターレ・サッロは、トラーニで生まれ、サントオノフリオのナポリ音楽院で学びました。声と通奏低音のためのカンター タ「話しておくれ、美しいほくろよ」も、ナポリ音楽院図書館の所蔵する作品です。カンタータの演奏に先立って最初のレチタティーヴォ「Dimmi bel neo che fai」の朗読がはさまれます。
アルバムの最後、サッロ、カストラート歌手ファリネッリ、アンナ・パラディーゾ、ニコロ・バルドゥッチが生まれたアプリア(プーリア)地方に伝わる「タランテラ」 が歌われます。
バロック音楽を得意とするソプラニスタ、カウンターテナーのニコロ・バルドゥッチは、1999年、イタリアのカノーザ・ディ・プーリア生まれ。ソプラノ歌手アンア・ マリア・ステッラ・パンジーニに最初に教わり、マテーラの音楽院の学士号を、バロック歌唱をジェンマ・ベルタニョッリに学んだヴィチェンツァ音楽院の修士号を 取得しました。ヴェネツィアのジョルジョ・チーニ財団やヴィテルボのストラデッラ音楽祭に招かれ、第1位に選ばれたニコロ・ピッチンニなどのコンペティションに 参加してきました。ヴィテルボの「フェスティヴァル・ストラデッラ」でダン・ラウリンと出会ったことが、2020年から2021年のシーズンのコンサートへの出演 とこの録音につながりました。 (Ki)

FIRST HAND RECORDS
FHR-125(1CD)
マルコ・ウッチェリーニ(c.1640-1680):ヴァイオリン・ソナタ集 Op.3〜5より
カンツォーネによるソナタ集 Op.5より
第1番ヴァイオリン・ソナタ ニ長調『ラ・ムジカ』
ソナタ、コレンテとアリア集 Op.4より
第1番ヴァイオリン・ソナタ イ長調『凱旋』
第2番ヴァイオリン・ソナタ ト短調『幸せなルチミーニア』
第3番ヴァイオリン・ソナタ ホ長調『既婚の猶太人』
第4番ヴァイオリン・ソナタ ハ短調『有徳の紫陽花』
ソナタ、アリアとコレンテ集 Op.3より
第4番2つのヴァイオリンのためのソナタ ト長調『変容』*
ソナタ、コレンテとアリア集 Op.4より
第5番ヴァイオリン・ソナタ ハ短調『輝くラウラ』
第12番ヴァイオリン・ソナタ イ長調
ソナタ、アリアとコレンテ集 Op.3より
第1番ヴァイオリン・ソナタ イ短調『ラ・ポッジャ』
ソナタ、コレンテとアリア集 Op.4より
第18番2つのヴァイオリンのためのソナタ イ長調 +
カンツォーネによるソナタ集 Op.5より
第5番ヴァイオリン・ソナタ イ短調『嘘』
ソナタ、アリアとコレンテ集 Op.3より
第5番『ラ・ベルガマスカ』によるアリア
ノックスワード・アンサンブル
コナー・グリスマニス((指)ヴァイオリン Andrea Amati in 1572)
  クレア・エドワーズ(Vn)+
  ヨナタン・ボウト(ギター、テオルボ)
  ミリアム・ノール(Vc、指揮)
  ジョシー・ジョビンズ(ヴィオローネ)

ボヤン・チチッチ(Vn)*
ティモシー・ロバーツ(チェンバロ、オルガン)

録音:2021年8月、ロンドン
イギリスの若手ヴァイオリニスト、コナー・グリスマニスと、彼が2018年に結成した古楽アンサンブル、ノックスワードによるデビュー盤。イタリア初期バロックの 作曲家、ウッチェリーニのヴァイオリン・ソナタを収録しています。ウッチェリーニはヴァイオリン奏法の発展に大きく寄与した作曲家で、広い跳躍やハイ・ポジショ ンの駆使、疾走感あふれる走句など現代まで通じるヴァイオリン語法がたっぷり。またその音楽様式は「スティルス・ファンタスティクス」と呼ばれる、自由な霊感 に従って書かれた当時におけるまったく新しい音楽。感情の変化や節回しに予想のつかない展開があり、とてもキャッチーな旋律ながら、その大胆な即興性で驚か せてくれます。魅力的な掛合いが続く2つのヴァイオリンのためのソナタも耳に楽しい作品。バロック時代に花開いていく器楽の大繁栄をまざままざと感じるアル バムです。
この録音でグリスマニスは「完全に演奏可能な世界最古のヴァイオリン」といわれる、1572年製のアンドレア・アマティを演奏。450年前、ウッチェリーニ以前 の時代に作られた貴重な楽器です。 (Ki)

Hanssler
HC-22022(1CD)
カール・フリードリヒ・アーベル(1723-1787):協奏曲集
(1)協奏曲 ハ長調 WKO 60〜チェロ独奏、2本のオーボエ、2本のホルン、弦楽と通奏低音のための(1782)
(2)協奏交響曲 変ロ長調 WKO42〜オーボエ、ヴァイオリン、チェロ、2本のオーボエ、2本のホルン、弦楽と通奏低音のた
めの(1775)*
(3)協奏交響曲 ニ長調 WKO43〜オーボエ、ヴァイオリン、チェロ、2本のオーボエ、2本のホルン、弦楽と通奏低音のため
の(1782)*
(4)協奏曲 変ロ長調 WKO 52〜チェロ独奏、弦楽と通奏低音のための(1755-1759))
ブリュノ・ドルプレール(チェロ/マッテオ・ゴフリラー製作)
ベルリン・バロック・ゾリステン
【 クシシュトフ・ポロネク(コン サートマスター 、指揮 )、町田琴和、ドリアン・ジョジ、アレッサンドロ・カッポーネ(1)(2)(3)、ヨハンナ・シュテムラー(4)、ライマー・オルロフスキー、マリー・ラーダウアー=プランク、イン・チャン、ヤンクン・カク(1)(2)(3)、エヴァ・マリア・トマジ(4)(Vn)、ヴァルター・キュスナー、マシュー・ハンター(Va)、ジョアン・バシュ、クレメンス・ヴァイゲル(Vc)、ウルリヒ・ヴォルフ(ヴィオローネ)、ラファエル・アルパーマン(1)(4)、ゲルト・アメルング(2)(3)(Cemb)、クリストフ・ハルトマン、ヒョンジュン・ソン(2)(3)、ヴィオラ・オルロフスキー(Ob)、バ ル バラ・ケーリク(Fg)、ヨハネス・ラモトケ(1)(2)、シュテファン・ドゥ・ルヴァル・イェジエルスキ(3)、アンドレイ・ジュスト(Hrn)】
A'=442Hzセッション

録音:2022年1月17、18、21-23日/テルデックス・スタジオ(ベルリン)
*=世界初録音
BPO第1ソロ・チェリスト、ブリュノ・ドルプレールがベルリン・バロック・ゾリステンとともに世界初録音を含むカール・フリー ドリヒ・アーベル(1723-1787)の協奏曲を録音しました!
アーベルの父クリスティアン・フェルディナンドはバッハが楽長を務めていた時代のケーテン宮廷楽団の首席ヴィオラ・ダ・ガンバ&チェロ奏者として活躍し た演奏家でした。またカール・フリードリヒはバッハの推薦で、ドレスデンのヨハン・アドルフ・ハッセの宮廷楽団に入団することができた、バッハとゆかりのある 演奏家です。アーベルはヨハン・クリスティアン・バッハとともにロンドンにて「バッハ=アーベル・コンサート」を開催したことでも知られます。当アルバムでは世 界初録音を含むチェロと弦楽のための協奏曲を収録。同時代に生きた音楽から多くを吸収したことのわかる、煌びやかで優雅な作品が実に魅力的です。 (Ki)

APARTE
AP-278(1CD)
北の王たち
(1)トマス・アーン:「アルフレッド」序曲
(2)ヘンデル:「ロデリンダ」〜暴虐が彼に国を与えた
(3)ルーマン:「音楽の宴」〜平和を与えたまえ、王の魂よ
(4)シュールマン:「ルドヴィクス・ピウス」〜汝に金冠を授けん
(5)カイザー:「フレデグンダ」〜私はあなたを黙らせねばなるまい
(6)ヘンデル:「アルミーラ」〜クーラント
(7)ハイニヒェン:「カムベルクの平和」〜独りを怖れる
(8)アリオスティ:「裏切りの誠実」〜この危険な命の海のなかで
(9)ヘンデル:「オットーネ」〜コンチェルト
(10)同:「イングランド王リチャード一世」〜邪悪な欺瞞
(11)カイザー:「クロイソス」〜神々よ憐みたまえ
(12)ヘンデル:「アルミーラ」〜メヌエット
(13)カイザー:「寛大なオクタヴィア」〜ああ、ネロはもはやネロでない
(14)テレマン:「当節流行の恋人ダモン」〜あなたが裂け目を壊す
(15)バッハ:世俗カンタータ「太鼓よ轟き、ラッパよ響け」BWV214〜王冠と称讃で飾られた御方
トマーシュ・クラール(Br)
ヤロスワフ・ティール(指)
ヴロツワフ・バロック・オーケストラ

録音:2021年7月24-27日/ヴィロツド・ルトスワフスキ国立フォーラム(ヴロツワフ)
北ヨーロッパはバッハやヘンデルはもとより、バロック期にも優れた作曲家を輩出しました。しかし南ヨーロッパの同時代人に比べ、ハイニヒェン、シュールマン、カ イザー、テレマンらの華麗なオペラを聴くことはめったにありません。彼らのオペラのなかで、怖ろしくも強い君主を描いた作品から低音アリアを存分に楽しめます。
バリトンのトマーシュ・クラールはブルノ出身のチェコ期待の星。独特の美声で、お国ものに加え古楽の世界でも注目されています。ポーランドの若手古楽団体ヴ ロツワフ・バロック・オーケストラの生気あふれる演奏も聴きものです。 (Ki)

BAM International
BAM-21604(1CD)
世界への愛の祈り
ヒルデガルド・フォン・ビンゲン:Ave Generosa (ソプラノ独唱)
バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番 ロ短調より ドゥーブルII
 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番ホ長調より プレリュード
 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調より アダージョ
ヒルデガルド・フォン・ビンゲン:O Tu Suavissima Virga(ソプラノ独唱)
 O Virtus Sapientiae(ソプラノとハーモニック・ベース)
キャサリン・ルイーズ・ギーチ(Vn 、ソプラノ)
キャサリン・ルイーズ・ギーチはロンドンの王立音楽院を卒業したヴァイオリン奏者、ソプラノ歌手。1994年に内戦中のカンボジア南西部のカンポットに伝統音 楽と舞台芸術の学校を設立し、文化の保存と発展につとめています。
音楽のみならず哲学、神学、詩、あらゆる分野ですぐれた才能を示したヒルデガルト・フォン・ビンゲンの声楽曲は、崇高な神秘性と調和に満たされた無二の音 楽。その深遠なる祈りを捧げるために、ギーチは膝をついて録音に臨んだそう。そしてこの世界に対峙しうる音楽といえばバッハの無伴奏。歌と楽器、双方のある 種究極の美が一堂に会したアルバムです。

Challenge Classics
CC-72911(1CD)
ピーテル・ヘレンダール(1721-1799):6つの合奏協奏曲 Op.3
第1番ト短調
第2番ニ短調
第3番ヘ長調
第4番変ホ長調
第5番ニ長調
第6番ヘ長調
リーデウェイ・ヴァン・デル・ヴォールト(コンサートマスター)
マイク・フェントロス(指)
ラ・スフェラ・アルモニオーサ

録音:2021年10月7日/ロッテルダム、聖ローレンス教会(ライヴ)
作曲家ピーテル・ヘレンダールは1721年ロッテルダム生まれ。1740年頃パドヴァでタルティーニにヴァイオリンと作曲を学び、アムステルダムに滞在したの ち1751年にロンドンへ渡り、1762年から亡くなる1799年までケンブリッジで過ごしました。
18世紀ロンドンにおける音楽の流行はコレッリを頂点とするイタリア音楽で、ジェミニアーニやヘンデルの合奏協奏曲がこの地で「当たった」のはコレッリの様 式を受け継いだ作品であったから。そしてヘレンダールもまた、先人に倣って合奏協奏曲を発表します。
1758年にウォルシュ社から出版された「6つのグランド・コンチェルト 作品3(Concerto Grosso=合奏協奏曲を英語で表記している)」は現存するヘレン ダール唯一のオーケストラ作品。編成は弦楽合奏のみで、コンチェルティーノは先人の作品のように3人ではなく、ヴァイオリン2・ヴィオラ・チェロの4人で構成 されています。序曲ありフーガあり舞曲あり、偉大な先人の名作に負けず劣らずの充実作となっており、短調作品の真に迫る強烈さなど、予想以上のおもしろさを 魅せつけてくれる曲集です。知られざる作品を素晴らしく生き生きとしたライヴ演奏で聴かせるラ・スフェラ・アルモニオーサの腕前にも感服。 (Ki)

FIRST HAND RECORDS
FHR-132(1CD)
未来は女性にあり 第2集「ダンス」
ジャケ・ド・ラ・ゲール(1665-1729):クラヴサン組曲(1687)より 第1番ニ短調(抜粋)
クララ・シューマン:変奏曲 Op.20(1853)
タイユフェール:パルティータ(1957)
ゼノビア・パウエル・ペリー(1908-2004):ラプソディ(1960)
マデリーン・ドリング(1923-1977):色の組曲(1963)より IV.真昼の空気 Blue Air、V.夢想 Brown Study
ベッツィ・ジョラス(1926-):シのタンゴ(1984)
エレナ・カッツ=チェルニン(1957-):ペギーのラグ(1996)
メレディス・モンク(1942-):サンクトペテルブルク・ワルツ(1997)
ガブリエラ・オルティス(1964-):前奏曲と練習曲 第3番(2011)
テレサ・ウォン(1976-):彼女はヤシの木の下で裸で踊る(2019)※世界初録音
サラ・ケイヒル(P)

録音:2021年8月15-28日/カリフォルニア、ベルヴェディア、聖シュテファン教会
女性作曲家に焦点を当てたシリーズの第2弾。第1弾(FHR-131)に続き、世に広まるべき女性作曲家と作品はまだまだあると思わせる内容。 (Ki)

CPO
CPO-555216(1CD)
NX-B10
モウンス・ペーザスン(1585頃-1623):Pratum spirituale 魂の牧場(モテットと賛歌集)
1. Nu bede vi den Heiligaand
2. Kyrie ? Gloria
3. Jesus Christ vor Freisermand
4. Victimae paschali laudes
5. leg raabert til dig o Herre Christ
6. Laudate Dominum
7. Allen til dig Herr Jesu Christ
8. Credo
9. Min Siel nu loffue herren
10. Ad te levavi
11. Aff dybsens noed raaber til dig
12. Sanctus
13. Loffuer Gud i fromme Christne
14. Deus misereatur
15. Beholt oss Herre ved dit ord
16. Forlae oss med fred naedelig
ブレーメン・ヴェーザー=ルネサンス(古楽アンサンブル)
マンフレート・コルデス(指)

録音:2017年11月17-19日
モウンス・ペーザスン(モーエンス・ペデルセン)は16-17世紀に活躍したデンマークの作曲家。クリスチャン4世の宮廷楽団のメンバーで後に宮廷楽長となった メルヒオール・ボルヒグレヴィンクの弟子で、1599年には師がヴェネツィアのジョヴァンニ・ガブリエリのもとに留学するのに随行、1605年からは自身もガブリエリ に師事。1608年には後期ルネサンス様式のポリフォニックな様式によるマドリガーレを出版しています。このCDでは、1620年に出版された「Pratum spirituale 魂の牧場」から16曲を収録。この曲集は、この曲集には、5声の賛歌が21曲、ミサ1曲、モテット3曲、さらに多くのレスポンソリウムが収められて おり、賛歌の中には、クリスマス、イースター、ペンテコステという3つの重要な祝祭日に演奏するためのものもあれば、デンマーク独自の伝統から生まれた賛歌 やルター派の強い影響が見て取れるものもあります。オルガニストとしての経験や、イタリアで学んだマドリガルの様式、一時期滞在していたイングランドで知っ たコンソート音楽など、ペーザスンならではの国際的な知見が幅広く生かされた曲集を、この時代の音楽のスペシャリスト、マンフレート・コルデスとブレーメン・ ヴェーザー=ルネサンスの演奏で。

Chateau de Versailles Spectacles
CVS-075(1CD)
ボワモルティエ:「公爵夫人家のドン・キホーテ」(1743)〜3幕の舞踏音楽喜劇(全曲) ドン・キホーテ…マティアス・ヴィダル(T)
サンチョ・パンサ…ジャン=ガブリエル・サン=マルタン(Br)
公爵夫人=アルティジドール…シャンタル・サントン=ジェフェリ(S)
モンテジノ、メルラン、通訳…ニコラ・ブローイマンス(Bs)
農婦、恋する女性、使用人の女…カミーユ・プール(S)
恋する男性…シャルル・バルビエ(C.T)
ル・コンセール・スピリチュエル(声楽&古楽器アンサンブル)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2020年12月22-23日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
フランス・バロック復興の勢いを数十年にわたり第一線の演奏シーンで支え、今やバロックのみならずロマン派以降のフランス音楽でも名演を 連発している鬼才指揮者エルヴェ・ニケ。作曲家の現在の知名度にこだわることなく、演奏機会の少ない作品の発掘にも意欲的に取り組 んでいますが、18世紀に誰よりも早くフリーランス作曲家として自活を達成した人気作曲家ボワモルティエには「同世代のラモーより先をゆく 先進的作曲家」と絶賛を惜しみません。彼が早くから入れ込み実演でも頻繁にとりあげてきた「公爵夫人家のドン・キホーテ」は、NAXOSに 録音している(8.553647)ほかALPHAで映像もリリースしていますが(ALPHA711)、今回はヴェルサイユでCDを再録音しました。従者サ ンチョ・パンサとともに所領に迷い込んだドン・キホーテをからかうべく公爵夫人が素人芝居を開催、恋するアルティシドールやニッポンの女帝に 扮して二人を翻弄する荒唐無稽な物語を、ロココ期のフランス音楽ならではの典雅な魅力たっぷりに聴かせてくれます。コロナ禍によるスケ ジュール変更の間隙をぬって実現したという贅沢布陣の録音で、主人公のドン・キホーテと公爵夫人はそれぞれヴィダルとサントン=ジェフェリ という現代フランス最前線を行く名歌手が鮮やかに演じ切り、合唱と合奏が織りなす連携の面白さもル・コンセール・スピリチュエルの俊才陣 によってひときわ魅力的に響きます。旧盤CDから四半世紀をへて、ニケ自身も解釈の深まりを自負する名演で、起伏に富んだ物語の面白 さをじっくり堪能できます。
Chateau de Versailles Spectacles
CVS-068(3CD)
NX-E02
ルクレール:歌劇「シラとグロキュス」〜序幕付全5幕の抒情悲劇 グロキュス…マティアス・ヴィダル(T)
シラ…キアラ・スケラート(S)
シルセ…フロリー・ヴァリケット(S)
民衆の首長、リカス、エカト、森の精の男性…ヴィクトール・シカール(Br)
ヴェニュス、ドリーヌ、プロペティード、森の精の女性、少女2…セシル・アシル(S)
恋の神、テミール、シチリアの女性、プロペティード、羊飼いの女性、少女1…リリー・エモニノ(S)
イル・ジャルディーノ・ダモーレ(声楽&古楽器アンサンブル)
 コンサートマスター…ルドミラ・ピェストラク(Vn)
ステファン・プレフニャク(指)

録音:2021年4月12-17日、ワルシャワ
ローマの巨匠コレッリの系譜をひく名手ソミスに師事、フランスでいち早く独自のヴァイオリン芸術を確立した稀代の名手=作曲家ルクレール。 一時はオランダで過ごし、同世代のイタリア出身の名手ロカテッリと親交を結んで技芸に磨きをかけた後帰国、演奏家としても作曲家として も高い名声を得ながら、最期は謎の刺殺事件の犠牲者として世を去りました。ヴァイオリンのための作品は古楽器奏者たちも数多く録音し てきましたが、彼がオランダから戻って間もなくルイ15世の皇太子の結婚祝賀として書いた唯一のオペラ「シラとグロキュス」は意外に音源に恵 まれない作品。セバスティアン・デラン指揮の録音がALPHAで最近出るまではジョン・エリオット・ガーディナーによる1986年の録音があるだけ だったこの作品に、ヴィダル、スケラート、ヴァリケットらフランス歌劇界の最前線をゆく名歌手たちによる瑞々しい新録音が登場したのは実に 歓迎すべきことと言えるでしょう。海の精シラに思いを寄せる海の神グロキュスに恋をした魔女シルセが、ひとたび魔法で虜にしたグロキュスに 去られ恐ろしい復讐を果たす全5幕の堂々たる抒情悲劇。ヨーロッパで最も古楽が盛んな国になりつつあるポーランドの実力派楽団の好サ ポートを得て、名歌手たちは今書かれたばかりのような生々しい演奏解釈で作品の味わいを細部に至るまでじっくり味わわせてくれます。指 揮のステファン・プレフニャクはバロック・ヴァイオリン奏者としても数々の名盤を世に送り出してきた名手。イタリア音楽への抜群の適性の傍ら、 フランス音楽でも妥協ない解釈を聴かせる俊英であることを改めて実感させてやみません。

AMBRONAY
AMY-315(1CD)
マテオ・フレチャ1世、通称“老フレチャ”(1481頃-1553?): エンサラーダ集
エンサラーダ 「炎」
エンサラーダ 「牛」
エンサラーダ 「戦争」
エンサラーダ 「正義」
エンサラーダ 「爆弾」
全地よ歓呼して神を迎えよ
高き天に栄光あれ、嬰児がお生まれになった
カントリア(声楽アンサンブル)【イネス・アロンソ(S)、オリオル・ギメラ(アルト=カウンターテナー)、ホルヘ・ロサナ(テノール、指揮)、バレンティン・ミラリェス(Bs)】

録音:2022年2月14〜18日 エスパス・クルチュレル・C.J.ボネ、ジュジュリュー(フランス南東部ローヌ地方)
フランドル楽派の巨匠たちが王室礼拝堂で活躍し多声音楽が発展する一方、異教徒たちが暮らしていた時代の名残をとどめる世俗音楽 もユニークな広がりをみせていた16世紀スペイン。イベリア半島東部のアラゴン王国で活躍したカタルーニャ人の修道士作曲家フレチャは、カ ルロス1世(皇帝カール5世)の娘たちに仕えながら、さまざまな言語によるポリフォニー音楽を作曲。特にエンサラーダ(スペイン語で「サラダ」の 意)と呼ばれる滑稽・妖艶な内容の起伏に富んだスペイン語の世俗音楽は他に類をみない味わいで、これまでにも多くの古楽歌手たちが演 奏を手がけてきました。同じイベリア半島で活躍する4人の気鋭歌手たちによるこの新録音は、歌詞の味わいをよく伝える明瞭な聴き取りや すさとスリリングな音楽展開をどちらも楽しめる充実解釈に仕上がっており、パレストリーナ、ラッスス、ガブリエーリといった他地域の作曲家たち によるポリフォニー音楽とは一味違った、スペイン特有のルネサンス音楽の奥深さを改めて実感させてくれます。アルバム後半にはラテン語とス ペイン語によるクリスマス音楽も2曲収録。フレチャという作曲家の個性をじっくり楽しめる1枚です。

INVENTA
INV-1007(1CD)
NX-B05
師匠と弟子〜モンテヴェルディが受け継いだもの、伝えたもの
1. モンテヴェルディ: 音楽の戯れ - Balletto SV 245
2. ジョスカン・デ・プレ(1450/1455-1521):御母よ No.15
3. モンテヴェルディ:音楽の戯れ - Damigella tutta bella SV 235
4. ジャン・ムートン(1459頃-1522):Qui ne regrettoit le gentil Fevin
5. チプリアーノ・デ・ローレ(1515頃-1565):O Sonno おお、眠りよ
6. モンテヴェルディ:主は言われた SV 192
7. サラモーネ・ロッシ(1570頃-1630):シンフォニア・グラーヴェ
8. モンテヴェルディ:リディア、私の心の刺 SV 244
9. ロッシ:ソナタ第12番「ベルガマスカによる」
10. ジョヴァンニ・ガブリエリ(1553-1612):乙女マリア 10声 C.35
11. ジョヴァンニ・リガッティ(1613頃-1648):シンフォニア
12. リガッティ:Kyrie キリエ
13. リガッティ:Gloria グローリア
14. アンドレア・ガブリエリ(1532/1533-1585):第5旋法によるイントナツィオーネ
15. マルカントニオ・インジェニェーリ(1535-1592):喜び飛び跳ねなさい
16. ジャケス・デ・ヴェルト(1535-1596):Tirsi morir volea
セスティーナ・ミュージック(声楽アンサンブル&古楽器使用)
マルク・チェンバース(指)

録音:2021年10月13-15日
音楽はかつて、師匠から弟子へと知識や技術が受け継がれていく"徒弟制度"のようなものであり、このアルバムのタイトルである「師匠と弟子」とは、16〜17 世紀、作曲家たちがヨーロッパ各地を巡り、他の音楽家や作曲家を指導したり、技術を磨いていた時代に由来するものです。 アルバムでは、初期バロックの大作曲家クラウディオ・モンテヴェルディに焦点を当て、彼自身がジョスカン・デ・プレやムートン、デ・ローレら師匠、先達から受け 継いだ膨大な遺産と、彼がリガッティやロッシらの弟子たちに与えた影響を探っていきます。 演奏する"セスティーナ・ミュージック"は2011年にマーク・チェンバースによってベルファストに設立されたアンサンブル。アルバムの主題である「師匠と弟子」の 関係そのままに、経験豊かな音楽家のもとで若い音楽家を学ばせるという手法により、これまでの11年間に数多くの才能ある演奏家を育てています。彼ら による15世紀から17世紀にわたる音楽様式の変遷を見事に表現した演奏に耳が奪われます。 編成:ソプラノ4、アルト4(うちカウンターテナー2)、テノール4、バス6 ヴァイオリン/ヴィオラ2、ヴィオローネ1、ドゥルシアン1、木管コルネット2、サックバット2、オルガン1、テオルボ/ギター1、ハープ1 ペア・ノアゴーとヨーン・ストルゴーズ

King International
KKC-090(1CD)
ファン・エイク:「笛の楽園」より
(1)第133番 ラ・ヴァレット
(2)第53番 サラバンダ
(3)第33番 おいで、もう一度
(4)第17番 愛の急使
(5)第89番 前奏
(6)第65番 新曲「春がやってきた」
(7)第40番 王子たちは願いを持っているけれど
(8)第28番a ナイチンゲール第2(作者不詳)
(9)第28番b イギリスのナイチンゲール
(10)第126番 詩篇15番「主よ、どのような人があなたの幕屋に宿り」
(11)第113番 気狂いシメン
(12)第101番 郵便馬車の御者
(13)第123番 起きろ、起きろ、狩りへ行くぞ
(14)第100番 おいおい起きろ、私のビーグルとグレイハウンド
(15)第116番 第1バレ、または、飛ぶが如き狩りの妖精
(16)第118番 第2バレ、または、ああ羊飼いよ聞け
(17)第143番 新曲(酒飲み歌)
(18)第144番 山羊の足(牧神)
(19)第137番 あの頃私は愛に溺れていた
(20)第61番 美しい娘ダフネ
濱田芳通(リコーダー、コルネット)
高本一郎(Lute)(2)(4)(7)(15)(16)

録音:2020-21年/キング関口台第2スタジオ
第53回(2021年度)サントリー音楽賞を受賞した濱田芳通。今や円熟期を迎えた古楽器集団アントネッロのリーダーにして世界最高のリコーダー、コルネット 奏者である彼が、「リコーダーの旧約聖書」といわれるファン・エイクの「笛の楽園」を最新録音。
ヤコブ・ファン・エイク(1590頃-1657)はオランダの作曲家。1646-54年に刊行された「笛の楽園」は約150曲から成り、リコーダー音楽のなかでも特 に重要な作品のひとつ。大半が無伴奏で、多くは当時の流行歌や民謡、舞曲に基づき、エンターテイメント性も兼ね備えた曲集でした。リコーダーを学ぶ人のみなら ず観賞曲としても魅力的なメロディや巧みな描写を楽しめます。
リサイタルやディスクで数曲が彩を添える材料のように奏されることが多いものの、近年は全曲演奏・録音に挑む名手が現れています。そのなか濱田芳通が満 を持して録音を開始。リコーダーという単声の楽器ながら、濱田ならではの活気と新鮮さで神業のように自在な世界を繰り広げます。これまでも聴衆を釘付けにし てきましたものがディスクで登場。
濱田の超絶的テクニックと表現力によればどの曲も引き込まれますが、楽譜を仔細に研究のうえリコーダーも数種使い分け、コルネットも用いています。また曲 よってはリュートの伴奏を付け、典雅な音世界を作り上げます。
ルネサンス音楽は学問の世界のような印象を持たれがちですが、濱田の音楽は当時の人々の楽しみが活き活きと蘇るようなエネルギーとオーラに満ち、目から 鱗が落ちます。 (Ki)

OBSIDIAN
OBSCD-720(1CD)
D.スカルラッティ:ヴァイオリン・ソナタ集
D.スカルラッティ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 K.90/ ヘ長調 K.78/ ト長調 K.91
A.スカルラッティ:チェンバロのためのトッカータ第7番『フォリア・モデラート』
D.スカルラッティ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 K.89/ ト短調 K.88/ ホ短調 K.81
A.スカルラッティ:チェロと通奏低音のためのソナタ ニ短調 *
D.スカルラッティ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 K.77/ イ短調 K.61
ボリス・ベゲルマン(Vn)
アルセナーレ・ソノーロ[アレクサンドラ・コレネワ(Cemb)、ルドヴィコ・ミナージ(独奏チェロ*)、クリスティーナ・ヴィドーニ(Vc)]

録音:2020年2月3-5日/パドヴァ、サラ・デッラ・カリタ
左右の手の交差や素早いアルペジオを駆使した、技巧的かつ華麗な単一楽章のチェンバロ・ソナタを大量に残したドメニコ・スカルラッティ。しかし中にはピアニ スティックな定石書法が影を潜めた、旋律楽器と通奏低音バスの2声部を想起させるテクスチュアのソナタもあります。それがこのアルバムに収録された楽曲たち であり、譜面こそ鍵盤楽器で弾けるように記譜されいるものの、実はヴァイオリン・ソナタとして演奏できるように書かれたとされる作品群なのです。旋律にはヴァ イオリンにふさわしい音域とフレーズが巧みに使われ、その表情の雄弁さはスカルラッティがヴァイオリン書法にもたいへん造詣が深かったことを物語っています。 8曲中7曲が多楽章形式で、残り1曲(K.61)は変奏曲形式という、スカルラッティには珍しい形をとっているのも特徴です。
こちらもあまり聴かれない、父アレッサンドロの器楽作品をカップリング。チェンバロ曲はラ・フォリア変奏曲で、ドメニコの変奏曲との比較が面白いです。チェロ・ ソナタの旋律も美しく、親子そろってメロディの才が光っています。
ボリス・ベゲルマンはモスクワ生まれ。チャイコフスキー音楽院卒業後にパレルモのスカルラッティ音楽院でバロック・ヴァイオリンを学び、優秀な成績で卒業。 あらゆる古楽オーケストラでコンサートマスターやソリストを務め、2017年からはアレッサンドリーニ率いるコンチェルト・イタリアーノのコンサートマスター。また 2014年にアンサンブル「アルセナーレ・ソノーロ」を設立し、DHMへのレコーディングで高い評価を得ました。 (Ki)

Pentatone
PTC-5187006(1CD)
1650年ごろのアントウェルペンのレクイエム〜フィリップス・ファン・ステーラント:2つのレクイエムとミゼレーレ
フィリップス・ファン・ステーラント(1611-1670):『死者のためのミサ曲』〜6声と5声の器楽のための(1650年ごろ)
『神よ、我を憐れみたまえ』〜5声と5声のヴィオールのための(4声のリピエーノ合唱を伴う)(1656年ごろ)
『死者のためのミサ曲』〜6声と6声のリピエーノ合唱のための(1656年ごろ)
フランク・アグステリッベ(指&Cemb)
カントルクス(声楽アンサンブル)
ビーロック・オーケストラ(ピリオド楽器オーケストラ)

録音:2022年1月/「慈善修道女会」修道院、ゲント(ベルギー)
ルクセンブルクで2010年に結成された声楽アンサンブル、cantoLXとPENTATONEレーベルでルネ・ヤーコプスとシューベルトの交響曲全集を完成させた ベルギーのピリオド楽器オーケストラ、ビーロック・オーケストラの共演による17世紀アントウェルペン(アントワープ)で作られた知られざるレクイエムの録音です。
17世紀のアントウェルペンは、バロック絵画の巨匠ルーベンスが絵画工房を、全ヨーロッパで名声を勝ち得ていたチェンバロ製作一族ルッカースが製作工房を 構えるなど、芸術都市として栄えていました。そのアントウェルペンの聖ヤコブ教会のオルガニストだった人物がフィリップス・ファン・ステーラントでした。ステー ラントはアントウェルペンの音楽家の一族に生まれ、聖ヤコブ教会のオルガニストを25年務めた、当時のアントウェルペンの音楽界の中心人物で、聖俗様々な作品 を残したといいます。その作風はイタリア音楽の強い影響を受けています。特に1650年ごろ作曲された『レクイエム』は、コンチェルトタント様式の作品で、独唱、 重唱、合唱、合奏が様々に組み合わされた驚くべき楽曲。このレクイエムは、1650年4月9日にアントウェルペンの聖ヤコブ教会で行われたアントウェルペンの有 力政治家フィリップス・ヘレマンスの妻バルバラ・フェケマンスの葬儀のために作曲されたもので、この葬儀は教会へ向かう道中は60ものトーチで彩られ、教会が 質の高いサテンのクロスで装飾された豪華なものだったといいます。この葬儀の白眉だったステーラントのレクイエムは聖ヤコブ教会の常設アンサンブルに大幅な 増強がなされ、3群の合唱、合奏隊に寄って演奏されたといいます。
カントルクスは、それぞれの歌手の質が高く、アンサンブルも精緻。指揮者フランク・アグステリッベが、スコアを眺めていると「ルーベンスの絵画を鑑賞している ように感じた。」と語るステーラントの作品の魅力を十全に伝えてくれています。様々なピリオド楽器グループから引く手あまたとなっているヴァイオリン奏者チェ チーリア・ベルナルディーニがトップを務めるビーロック・オーケストラは、この録音ではコルネット2、バスーン4、トロンボーン4まで加え、カントルクスの歌唱をしっ かりと支えています。まるで歌うかのようなその演奏は、声楽との一体感を与えています。新型コロナウィルスのオミクロン株が猛威をふるっていた中での録音は 困難を極めたようですが、演奏者たちは、この知られざる作品の質の高さに驚きと発見の連続で、高いモチベーションを維持できていたそうです。
ルーベンスと時代も国も同じくした作曲家の知られざる傑作教会音楽をすばらしい演奏で聴くことのできる稀有な1枚です。 (Ki)

Paraty
PTY-7221120(1CD)
ピエール・コラン〜ルネサンスの忘れられた宝
(1)ミサ・エスタンス・アッシス
(2)第7旋法によるマニフィカト
(3)モテット〜真の殉教者ここに眠る/エルサレムを照らすため立ち上がれ/使徒なる民と神のしもべ/われらが過ぎ越しのハレルヤ/納得すれば目は口ほどに物を言う
(4)ミサ・アヴェ・グロリオーサ
シモン・ギャロ(指)
ラ・ノート・ブレーヴ

録音:2021年/ジゴール・エ・ロズロンの教会(ドローム)
ピエール・コラン(1538頃-1572)はフランスの作曲家でオルガニスト。ジョスカン・デ・プレに続く世代を代表する作曲家ながら、「ルネサンスの忘れられた 宝」と称されるほど生涯がよくわかっていません。
彼はほぼ生涯をブルゴーニュのオータンで送ったとされますが、彼のミサ曲はイタリアのボローニャやトレヴィーゾの大聖堂に写譜が残されている点から、各地で 演奏されていたことを示すとされています。
それながら人間像が不明なコランについて、シモン・ギャロ率いるラ・ノート・ブレーヴはいくつかの作品を研究、演奏することで光を当てようとしています。
ラ・ノート・ブレーヴは日本人のポジティフ・オルガンと声楽5人から成る古楽団体。南仏ドローム地方ジゴール・エ・ロズロンの中世風教会で静かなひなびた 歌唱を聴かせてくれます。後のセヴラックやカントルーブにつながる精神世界を感じさせます。 (Ki)

CORO
COR-16193(2CD)
バード:詩篇、歌曲およびソネット集(1611)
鷲の力は飛ぶ鳥を征服する/甘い言葉でうれしがらせる話には用心なさい/冬の寒さに木や茂みは葉を落とし/Whereat an ant/眺める者は飛び上がり/われらが主に新しき歌を歌え/かつてわれは若かりき/水晶の塔と/この心地よく楽しい五月/のろのろと眠らずに/うわべだけの友は/目覚めるのだ、我が目よ/やって来い、陽気な若者たちよ/人生とは何なのか/ファンタジア/われら来たりて主に喜びの声をあげん/退け、我が心よ/主よ、起き上がり、安息の地へと進みたまえ/来たれ、悲しみに沈んだオルフェウスよ/われら陽気にわれらが力成る神に向かいて歌わん/Blow up the trumpet/花の冠をかぶった美しいアマリリスを僕は見た/欲望に執着するのは愚かなこと/全地よ、神に向かいて歓呼せよ/おお神よ、われをあわれみ/ファンタジア/今日キリストは生まれたまいぬ/おお、快い太陽を導く神よ/すべての国々よ、われらの主をたたえよ/おお主よ、われらをとらわれの身より/ああ、内気な心よ/死ぬべき人間がする苦労というのは何とむなしいことか
ザ・シックスティーン、
フレットワーク、
ハリー・クリストファーズ(指)
1979年にハリー・クリストファーズが設立し、それ以来世界最高クラスの合唱団として活動し続けている英国合唱界の至宝、ザ・シックスティーン。イギリスのルネサンス期を代表するウィリアム・バード(c.1543-1623)の没後400周年に向けた記念盤に、世界最高のヴィオール・コンソート、フレットワークが参加し収録!
これまでもその完璧なアンサンブルで美しい歌声を披露してきたザ・シックスティーンによるバードの最後の出版物である「詩篇、歌曲およびソネット集」(1611)。神聖な音楽と、世俗的な音楽の両方を含み、バードの音楽知識が散りばめられ彼の作品の中でも最も幸福感に満ちた穏やかな作品に仕上がっています。

Christophorus
CHR-77463(1CD)
ゼレンカ:独唱のためのモテット集
野蛮、残忍にして冷酷な ZWV 164
救い主のうるわしき母 ZWV 126
ヒポコンドリア ZWV 63
キリストよ、憐れみたまえ ZWV 29
哀歌 V-2ZWV 53-6
シンフォニア ハ短調 ZWV 63
おお、大いなる神秘 ZWV 171
気をもむ炭鉱夫 ZWV 209
アレックス・ポッター(C.T)、
カプリッチョ・バロック・オーケストラ、
ドミニク・キーファー(指)

録音:2012年2月6日-9日
1710年頃からドレスデンのザクセン選帝侯アウグストの宮廷で活躍した作曲家ゼレンカによる独唱のためのモテット集。ゼレンカは、主に宮廷での教会音楽を担当しましたが、世俗的な器楽作品も作曲するなど幅広い分野で活躍し、バッハからも称賛されました。
カウンターテナーのアレックス・ポッターは、イギリスのサザーク大聖堂の聖歌隊でそのキャリアをスタートさせました。その後バーゼル・スコラ・カントルムでゲルト・テュルクに師事し研鑽を積み、特に17世紀と18世紀の作品を得意としています。近年ではフィリップ・ヘレヴェッヘ指揮によるバッハの「ロ短調ミサ」に参加し、その他にもトーマス・ヘンゲルブロック、ジョルディ・サヴァールといったバロック演奏のスペシャリストたちと共演し、期待のカウンターテナーとして注目されています。

Musica Ficta
MF-8035(1CD)
デュポンシェル:アッシジの聖フランチェスコのための晩課
ジョヴァンニ・バッティスタ・ファゾーロ (c.1598-post1664):リチェルカータ第5番
ジャック・デュポンシェル(c.1630-1685):Deus in adiutorium meum intende、Franciscus vir catholicus、Dixit Dominus Domino meo
ジュリアン・ド・スピール(d.c.1250):Coepit sub Innocentio
デュポンシェル:Confitebor tibi Domine
スピール:Hunc sanctus praelegerat
デュポンシェル:Beatus vir qui timet
ファゾーロ:Brevis modulatio loco Antiphonae
デュポンシェル:ほめたたえよ、神のしもべたちよ
スピール:Hic creaturis imperat
デュポンシェル:諸々の国よ,主を褒め称えよ、Beatus vir qui inventus
ファゾーロ:Himnus In Festo Sancti Patris mei Francisci
デュポンシェル:マニフィカト
ファゾーロ:Post Magnificat loco Antiphonae brevis modulatio
フランチェスコ・フォッジャ(1604-1688):サルヴェ・レジーナ
ハルモニア・サクラ、
ヤニック・ルメール(指)

録音:2021年11月23日-26日
フランスのドゥエー出身でフランチェスコ会のオルガン奏者兼作曲家として活躍したジャック・デュポンシェル(ca1630-1685)。デュポンシェルが作曲した声楽作品は主に宗教音楽作品でイタリア様式とフランコ・フランドル楽派の巧みな対位法を組み合わせています。
ハルモニア・サクラは、オーストラリアで作曲を学び、現在はウェールズのカーディフ大学室内合唱団などで指揮者を務めているピーター・リーチが、後期ルネサンス時代、バロック時代、そして近現代の合唱作品の演奏を目的として2009年に創設した室内合唱団(今作では器楽も加えられています)。今作は1665年にローマのアポストリ教会で行われたアッシジの聖フランチェスコのための晩課を再現した世界初録音であり、このアルバムを通してフランチェスコ会の音楽的特徴を聴くことが出来ます。

SUPRAPHON
SU-4317(1CD)
「茨の中の百合」
(1)アレッサンドロ・グランディ(1586-1630):「めでたし、海の星(アヴェ・マリア・ステラ)」
(2)アダム・ヴァーツラフ・ミフナ(1600頃-1676):『聖母マリアのためのチェコ音楽』
(3)ビーバー:ソナタ第1番ニ短調(ロザリオのソナタ―聖母マリ
アの生涯から15の秘蹟)
(4)カプスベルガー(1580頃-1651):カンツォーネ第1番
(5)ヴィンチェンツォ・アルブリチ(1631-1687):2つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ
(6)サミュエル・カプリコルヌス(1628-1665):ソナタ第4番
ハナ・ブラシコヴァ(ソプラノ、ハープ)
コレギウム・マリアヌム【ヤナ・セメラードヴァー(フルート、指揮)、レンカ・トルゲルセン(バロック・ヴァイオリン)、ヴォイチェフ・セメラード(バロック・ヴァイオリン、ヴィオラ)、ハナ・フレコヴァー(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、カテジナ・ガヌーディ(バロック・ハープ)、ヤーン・プリエヴォズニーク(ヴィオローネ)、ヤン・クレイチャ(テオルボ)、フィリプ・ハルビー(ポジティフ・オルガン)】

録音:(3)(5)(6)2020年8月5&6日聖シモン教会、(1)(2)(4)2022年3月6&7日クレメンティヌム礼拝堂「鏡の間」
17世紀のボヘミアでは詩人アダム・ヴァーツラフ・ミフナの作品が広く歌われていました。特にクリスマスの歌は高い人気を誇り、その作品は同時代のチェコ音 楽で重要な位置を占めた『聖母マリア』を讃えた賛美歌でした。色彩感あふれるこれらの作品はこの上なく美しい旋律が魅力です。
このアルバムではミフナの『聖母マリアのためのチェコ音楽』を主軸にグランディ、アルブリチ、ビーバー、カプリコルヌスの作品を収録。彼らはいずれもイエズス 会と密接に関わり、その精神性からインスピレーションを得て作曲しました。これらの作品を名歌手ハナ・ブラシコヴァとコレギウム・マリアヌムが演奏。彼らは「ゼー リング〜バロック期プラハの教会でのクリスマスの音楽」(SU-4174)のアルバムでも高い評価を得ました。今回の収録場所はイエズス会の居住地であったクレメ ンティヌム礼拝堂「鏡の間」で行うなど、こだわりも一入です。当時のボヘミア王国で人気を博した深遠さと美しさを追求した作品をご堪能ください。 (Ki)

H.M.F
HMM-905325(2CD)
マシュー・ロック(ca.1621-1677):歌劇『プシュケ』 セバスティアン・ドセ(指),チェンバロ、再構成)
アンサンブル・コレスポンダンス
ルシール・リシャルドー(Ms)、デボラ・カシュ(S)、マルク・モイヨン(T)、アントニン・ロンドピエール(T)ほか

録音:2020年7月28-8月5日、ジェズイット教会、サントメール
イギリスのオペラ史初期における重要な傑作『プシュケ』の登場!フランスでリュリ、モリエール、コルネイユ、キノーが共同で創作した『プシュケ』(プシシェ) (1671)の大成功をうけて制作された、ロックの『プシュケ』(1675)は、ヨーロッパ大陸のオペラに負けぬようにと、演劇、歌、ダンスといった要素のほか、装 置や背景といった実際の舞台面もこのうえなく豪華な上演がなされた作品です。歌唱パートはもちろん、器楽、そして合唱すべてが非常に充実して書かれており、 聴きごたえ満点です。
英国で、ロックの『プシュケ』が生まれるきっかけとなったのは、フランスでルイ14世の肝いりで制作され大成功をおさめたリュリ作曲の『プシュケ』(プシシェ) (1671年初演)。モリエール、キノー、コルネイユ、リュリという当時の最高峰の芸術家たちが中心となり、わずか数週間という期間で完成されました。1671年 の実際の上演にあたっては何百人もが雇われ、膨大な費用がかかったそうですが、それに見合うだけの大きな成功を収め、観客に感動と興奮を与えました。この作 品の成功と素晴らしさはすぐに海峡の向こう側にも伝わり、テキストは英語に翻訳されました。そして、1673年、ヨーク公(のちのジェームス2世)の結婚を祝う ために、この英訳されたテキストをもとにイギリス初のオペラを創造せよと、トーマス・シャドウェル、マシュー・ロックとドラーギの三名に白羽の矢が立ちました。 1675年2月に初演されましたが、この初演は、イギリスのオペラの歴史の中でももっとも重要なイベントとして今も英国史に輝いています。初演と同じ1675年 に、台本と楽譜が出版されました。楽譜はロックが出版したため、ドラーギが担当した音楽が含まれておらず、現在ドラーギが担当した部分は消失、という形となっ ています。しかしながら、台本自体にきわめて詳細に、場面場面での楽曲、楽器編成から歌手の立ち位置、繰り返しに至るまでの指示が記されていました。この楽 曲指示とロック出版の楽譜を照らし合わせて、楽譜に載っていない楽曲が、ドラージが担当した部分と考えられます。ドセは、こうした消失した楽曲(おもに場面転 換の器楽曲)にふさわさいい作品を、まず初めにドラーギの現存する作品から捜索しましたが、既存作品を移調することなども含めて試行錯誤してもうまくいきま せんでした。そこでドセは、リュリとロックの既存の作品から、場面にふさわしいものを注意深く選び、この英国版『プシュケ』を再構成して完成させています。
プシュケのあらすじは、3人姉妹の一番下でもっとも美しいプシュケが主人公。彼女の美しさに嫉妬した姉たちが恋の神クピードに卑しい男とプシュケを結婚さ せるよう唆すが、クピードは誤って自分を矢で傷つけてしまい、プシュケとクピードは夫婦となります。その後プシュケが誤ってクピードをやけどさせてしまって、その介 抱で衰えた自分の美しさを取り戻すために黄泉の女王プロセルピナのもとを訪れる、そこで、絶対に開けてはいけないと言われながら美しい金色の箱を受け取り、 それを開けてしまい、神々の仲間入りを果たす、といった物語。ここではプシュケ自身には歌はなく、姉妹やほかの女神など、他の登場人物たちおよび合唱によっ て、物語が進行されますが、非常に大規模で完成されたアンサンブルに驚かされます。物語の進行に何役も買っている合唱のパートの充実した美しさも印象にのこ ります。 (Ki)

ARCANA
A-534(1CD)
『ヴェネツィアへのグランド・ツアー』 〜ドレスデン宮廷楽団におけるヴェネツィア楽派の影響〜
ヴェラチーニ:序曲 第6番ト短調 〜オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
ピゼンデル(1687-1755):ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 JunP I.7〜独奏ヴァイオリン、オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
ロッティ(1667-1740):歌劇「アスカニオ」序曲(1718)〜オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
ハイニヒェン:2つのオーボエのための協奏曲 ホ短調 Seibel 222〜オーボエ2、弦楽、ファゴット、通奏低音
ゼレンカ(1679-1745):7声部のための序曲(組曲)ヘ長調 ZWV 188〜オーボエ2、ファゴット、弦楽、通奏低音
ヴィヴァルディ:ドレスデンの楽団のための協奏曲 ト短調RV 577〜リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、ヴァイオリン独奏2、弦楽、通奏低音
ゼフィーロ(古楽器使用)
アルフレード・ベルナルディーニ(オーボエ、指揮)

録音:2021年5月19-22日 ビビエーナ劇場、マントヴァ(イタリア)
かの大バッハが、ライプツィヒ聖トーマス教会の楽団よりはるかに確かな楽員たちの腕前を羨んだドレスデン宮廷楽団。その音楽活動の素晴 しさは、ピゼンデルやゼレンカ、ハイニヒェンといった当時の宮廷作曲家たちの名作群からも推察されるところ。彼らは楽団に欧州随一の名声 をもたらした稀代の演奏家でもありましたが、同時にヨーロッパ最先端の流行をふまえた作曲センスでも比類ない技量を誇っていました。その センスが大きく伸びたのは1710年代半ば、後のザクセン王フリードリヒ・アウグスト2世のグランド・ツアー(主に学業や見分を広めるために、数 年に渡って国外を旅行するもの)で音楽の本場ヴェネツィアを訪れた際、中心メンバーの何人かが同地で名匠ヴィヴァルディの教えを受ける など意義ある刺激を受けてきたことと無縁ではありませんでした。経験豊かなイタリアの古楽器奏者たちが集うゼフィーロは、そんなヴェネツィア からの“西風”をふまえ、ドレスデン宮廷を訪れたヴェラチーニやロッティらの作品も含め、この宮廷楽団が18世紀当時どれほどイタリア音楽に 多くを負っていたかを解き明かす充実プログラムを届けてくれました。主宰者アルフレード・ベルナルディーニをはじめ管楽器奏者たちを中心 に、今回も味わい深く伸びやかな音作りが圧巻。バッハの同時代を知る上で一人として欠かせない実力派作曲家たちの妙技をご堪能くださ い。

ALPHA ALPHA-876(1CD)
『ラモー、ポンパドゥール夫人の庇護下で』 〜「アストレの帰還」と「シバリスの住民たち」
ラモー:アストレの帰還 〜「愛の驚き」1748年初演版に添えられた序幕(世界初録音)
シバリスの住民たち(1753)〜「愛の驚き」1757年版第2幕の未出版初期稿
アストレ、エルシリード…マリー・ぺルボ(S)
フィロエ…ウジェニー・ルフェビュール(S)
快楽の精…アンヌ・アムザル(S)
ヴュルカン…フィリップ・エステーフ(Br)
時の神、アストール…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
アジス…クレマン・ドビュヴル(オートコントル〔高音テノール〕)
アンサンブル・レ・シュルプリーズ(古楽器&声楽アンサンブル)
ルイ=ノエル・ベスティオン・ド・カンブラ(指)

録音:2021年8月オディセー劇場、ペリグー(フランス南部アキテーヌ地方)
1733年、齢50の年に初めてのオペラ「イポリートとアリシ」で物議を醸して以来、遅咲きながら瞬く間にフランスで最も話題の舞台音楽作曲 家となったラモー。独自の作風を見出し名声の絶頂を迎えた彼の評判は間もなくルイ15世の王室に届き、1740年代には王の公妾となった 稀代の文化人ポンパドゥール夫人からの愛顧を受けつつ、独特な作風をより洗練されたものへと進化させてゆきます。フランス最前線の古楽 シーンから届いた今回の録音では、そんな時期にポンパドゥール夫人の肝煎りで複数回上演された音楽劇「愛の驚き」から、過去に録音さ れることのなかったプロローグ(序幕)と、1757年の再演時に新たに挿入された第2幕の原型となった「シバリスの住民たち」を収録。すでに名 歌手ヴェロニク・ジャンスとの共演盤『PASSION』(ALPHA747/国内仕様NYCX-10234)でフランス古楽との抜群の相性を印象づけたア ンサンブル・レ・シュルプリーズが、俊才歌手たちとともに、両作品の細部にいたるまで徹底的に吟味した解釈で比類ない名演に昇華。詩句 の味わいを活かした歌唱もさることながら、無孔ナチュラル・トランペットを吹きこなすマドゥーフ兄弟やボンポルティ国際コンクール優勝者でもあ るヴァイオリンの出口実祈など、注目すべき演奏家たちが多数揃った器楽勢の頼もしい共演も見事です。ラモー特有の音使いのユニークな 魅力を心ゆくまで味わえる一編です。

RICERCAR
RIC-447(1CD)
『菩提樹の下で』 〜中世ドイツのミンネゼンガーの歌
コンラート・フォン・ヴュルツブルク(1225/30-1287):そこでわたしは弦を鳴らして Do ich mich ubt der seiten klang
ハインリヒ・フォン・マイセン、通称フラウエンロープ(1250/60-1318):象は強いものとして知られ Gar starc bekannt ist der helffant
アルブレヒト・レッシュ(生年不詳-1393):雲の向こうに続く道 Zuch durch die wolken
修道士ヴェルンヘア(1225-1250):わたしは一軒の家を建て Ich buwe eyn hus
ディートマール・フォン・アイスト(1115-1171):冬という季節は、わたしにとって Der Winter waere mir ein zit
タンホイザー(生歿年不詳、1245-1265頃活躍):アヴィアヌスなる自由人の詩人が Avianus der frey poet
コンラート・マルナー(1270-歿年不詳):あなたは一匹の小さな蟻を引き合いに Ir schauwent an die cleyn ameys
フラウエンロープ:聖ルカはまた別の章で Lucas vns melt im anderen capitel
デア・ウンフェルツァクテ(1280-歿年不詳):ルドルフ王とは身元確かなる騎士の名よ Der kvninc Rodolp
ロビン(生歿年不詳、13世紀に活躍):かつて誰が讃えただろうか Nieman tzv vro sol prysen
フォーゲルヴァイデ(1170-1230):菩提樹の下で Under der Linden
アンサンブル・セラドン(古楽器&声楽アンサンブル)【クララ・クトゥリ(S)、ポラン・ビュンドゲン(カウンターテナー、指揮)、ノルウェン・ル・ゲルン(弓奏ヴィエル〔中世フィドル〕、クルース)、カロリーヌ・ユイン・ヴァン・クスアン (オルガネット〔ポルタティーフ・オルガン〕)、フローラン・マリー(中世リュート)、グウェナエル・ビアン(各種笛 )】

録音:2022年4月サン=ルイ=サン=ブリュノ校礼拝堂、リヨン(フランス南東部ローヌ地方)
かつてドイツ・ロマン主義の芸術家たちも憧れ、ワーグナーやレーヴェ、ブラームスら大作曲家たちも作品の題材をもとめたドイツの中世世界。 「タンホイザー」や「ニュルンベルクのマイスタージンガー」にも歌合戦の場面が出てきますが、そこで聴けるのは19世紀ドイツの音楽ですし、民 謡に根差したレーヴェのバラードなども多くはピアノ伴奏のロマン派音楽です。生の中世ドイツ人たちは、実際どのような音楽を耳にしていたの でしょう?中世〜ルネサンスを専門領域に持ち、さまざまなアンサンブルで活躍を続ける古楽プレイヤーが集うアンサンブル・セラドンは、徹底 した史料研究と豊富な演奏経験に裏付けられた抜群の解釈で、数百年前のドイツに花咲いたミンネザング(宮廷恋愛歌)の生々しい素顔 を鮮やかに現代に甦らせます。ウェールズの民俗弦楽器クルースや中世リュート、オルガネットなど異界感抜群の響きを奏でる器楽をバック に、名歌手ビュンドゲンの艶やかな高音歌唱は中世写本を彩る色彩豊かな細密画を思わせる美しさ。人文主義の萌芽を感じさせる古代 テーマの詩句もあれば、動物寓意物語に取材した独特な自然観が垣間見える歌もあり、聴き深めるほどにドイツ文化のルーツの深さにも唸 らざるを得ません。ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデやタンホイザーなど、後世の中世テーマ創作に登場する詩人歌手たちの真相に も迫れる1枚です。

Linn
CKD-694(1CD)
ヴィセンテ・ルシターノ:モテット集
ヴィセンテ・ルシターノ(ポルトガルのヴィセンテ 生年不詳-1561以降):8声のモテット「この世のことわりを越えて」
5声のモテット「天の女王」
5声のモテット「ご覧ください、主よ」 Aspice Domine
5声のモテット「ごきげんよう、我らの希望たる神の母よ」
6声のモテット「ごきげんよう、憐れみ深き母なる方」
4声のモテット「ああ主よ、わたしは大きな罪を犯してしまいました」
5声のモテット「よりよい生き方を心がけよう」
6声のモテット「聖なるマリア様」
5声のモテット「聖なる母よ、そのとおりになさってください」
8声のモテット「あなたは汚されず、全き純潔を保っておられます」
マリアン・コンソート(ソプラノ2・アルト4〔女声3・男声1〕・テノール4・バス5)
ローリー・マクリーリー(アルト=カウンターテナー、指揮)

録音:2021年11月15-19日ロンドン、オール・ハローズ教会、ゴスペル・オーク(ロンドン郊外)
イベリア半島からイスラム教徒の支配地が一掃され、ヨーロッパがルネサンス最盛期へと向かう16世紀。当時は世界的大帝国だったポルト ガルもすぐれた文化人を多く輩出し、精緻なポリフォニー音楽を紡ぎ出す作曲家も多く現れましたが、本盤の主人公ヴィセンテ・ルシターノ(こ の呼称は「ポルトガルのヴィセンテ」という意味に過ぎず、本名はまだ突きとめられていません)はそうした時代に諸国をまたにかけ活躍した天 才の一人。しかも記録によれば母方の祖先はアフリカ系で、ヨーロッパで楽譜を出版した最古の黒人作曲家とも目されています。晩年はプロ テスタントに改宗しシュトゥットガルトの宮廷ともコンタクトを取った形跡があるものの、音楽活動の大半はローマ・カトリックの教会音楽世界で 行われ、理論家・作曲家としての評判はローマ教皇庁の中枢部にまで及んでいました。現存する唯一の曲集『第一小品集 Liber primus epigramatum』は1551年ローマで刊行されており、本盤ではそこから10曲の名品を厳選。歌詞の聴き取りやすさを保ちながら も、4声の緊密さから8声のボリューム感までア・カペラの魅力が尽きません。パレストリーナやラッスス、ヴィラールト、ヴィチェンティーノら同時代 の大物たちの傍ら、多くの人を魅了した格調高いポリフォニーの綾を、古楽に名盤が多い英国随一のレーベルDELPHIANで大活躍をみせ てきたマリアン・コンソートの精緻な歌唱で聴けるのは大きな喜びと言えるでしょう。

NAXOS
NAX-2.110733(DVD)
NX-C09

NBD-0152V(Bluray)
NX-C09
モンテヴェルディ:歌劇「オルフェオ」 音楽/エウリディーチェ…ルチアーナ・マンチーニ(Ms)
オルフェオ…マルク・モイヨン(Br)
使者…サラ・ミンガルド(C.A)
希望/プロセルピナ…マリアンネ・ベアーテ・キーラント(Ms)
アポロ…フリオ・ザナージ(Br)
カロンテ/プルトーネ…サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
羊飼い I/地獄の霊 II…ビクトル・ソルド(T)
ニンファ…リズ・ヴィリセル(S)
羊飼い II/地獄の霊IV…ガブリエル・ディアス(C.T)
羊飼いIII/地獄の霊 I/木霊
 …アレッサンドロ・ジャングランデ(C.T)
羊飼いIV/地獄の霊 III…ヤニス・フランソワ(Bs-Br)
ダンサー…ヤニック・ボスク、ロイク・ファケ、グザヴィエ・ペレス
 
ラ・カペラ・レイアル・デ・カタルーニャ
ル・コンセール・デ・ナシオン
ジョルディ・サヴァール(指)
演出:ポリーヌ・ベール

収録:2021年6月9日、10日 パリ・オペラ=コミック座(フランス)
収録時間:118分
音声:イタリア語
PCMステレオ2.0/DTS 5.1(DVD)
PCMステレオ2.0/DTS Master Audio 5.1(Blu-ray)
字幕:日本語・イタリア語・英語・ドイツ語・フランス語・韓国語
画角:16/9 NTSC All Region
DVD…片面二層ディスク
Blu-ray…片面二層ディスク 1080i High Definition