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視聴記ひとりごと


N響アワーにピリス!
今日のN響アワーは懐かしの名演を振り返る回で、10年以上前の演奏で、ピリスのモーツァルト(指揮はブロムシュテット)をやってました。録画予約を忘れ、DVDレコーダーのメモリーも不足で、泣く泣く録画を断念せざるを得なかったのですが、曲目が17番のピアノ協奏曲!この曲、実は私が「チャイ5」と並んで偏愛している曲なのであります。この曲の第2楽章は、いつ聴いても他に例のない幻想的な世界が広がって、私の中ではこれほどモーツァルトの天才を痛感する曲はありません。ピリスの演奏は予想どうり骨格のガチッとした立派なもので、ブロムシュテットの棒もニュアンス満点でしたが、へブラーとワルベルクが共演による夢一杯の演奏(このDVD-Rは私の宝物!)もふと思い出しました。この曲は最近ご無沙汰していただけに、至福の時を過ごすことができました。

ネトレプコに陶酔! ノセダに感激!
BSハイヴィジョンでやっていた、ノセダ指揮BBCフィルのプロムス・ライヴを見ました。ネトレプコを今までしっかり聴いていなかったことを後悔。本当にまいりました!最初の「月に寄せる歌」でもうイチコロ。なんという風格美!声の張り出しはかなり強力ですが、喉の締め付け感がなく、音の着地の深さを自在に変化させる力量は、ちょっと信じられませんし、彼女が歌う半径何メートルかは、明らかに空気が違っているように感じたほどです。「ボエーム」の“ムゼッタのワルツ”も同様に格調高いスタイルなので、ちょっと戸惑いましたが、超一級の芸術を聴いた手ごたえは相当なものでした。歌い終わって喝采を受けている時は、素のお姉さんに戻るところも魅力的。DGのCD、DVDでもノセダと共演しているので、両者の息もぴったり。ジャナンドレア・ノセダのショスタコの5番も見事!やはり目が離せません!ギラギラした目の鋭さは、アーノンクールそっくり。音の引き締まり具合もなんとなくアーノンクールに近いものを感じましたが、音楽性、指揮ぶりは、師匠のゲルギエフを彷彿とさせますガ、師匠より洗練度は高い気がします。集中力も凄い(楽章間で団員に微笑んだりしない)。3月にはN響定期にも登場するので、これは行かねば!第3楽章に入る直前で、チロリン〜という間の抜けたベル音と共に「千葉でひき逃げ事件が発生して4人死亡」という速報が入ったのには、毎度のことながら愕然…。亡くなった人はお気の毒だと思いますが、このテロップと共に3楽章聴くのは、なんともいや〜な感じです。一体、速報を出す基準てどの辺にあるんでしょうね?(05.2.6)

自分を守り通せ! ハチャトゥリャン君!
今日は外は一段と寒さが凍みる一日でしたが、中身は本当にホットでした。宇野功芳氏とアンサンブルSAKURAの演奏の衝撃も冷めやらぬ中、ふとBSを見るとN響1531回定期演奏会の模様。モーツァルトのハフナー交響曲とストラヴィンスキーのダンバートン・オークス、そして最後にベートーヴェンのヴァイオリ協奏曲を置くという構成。最後に協奏曲をおくこと自体珍しいですが、ソロを務めるのが若干15歳の美少年、セルゲイ・ハチャトリャン君。この世紀の大曲をこの若者に託してプログラムの最後を締めくくるということは、余程すごい演奏なのでは?と期待に胸を膨らませて聴くと、これがとんでもなく感動的!私はこの曲が大好きなのですが、これほど隅々まで堪能した演奏は、本当に何年ぶりでしょう?彼のヴァイオリンは、「完成された大人の演奏」とか「少年らしい純真さ」といった言葉では収まりきらず、キーシンが登場した時のあの衝撃をふと思い出しました。とにかく最初の第1音が鳴り出した途端、完全に自分の世界を繰り広げ、決して自分をひけらかさず、丁寧なフレージングで確実に音楽の核心を紡ぎ出しているところから、体が硬直!バルシャイの老練な伴奏以上の存在感で彼のソロが立ち上がってくる瞬間は、一度や二度ではありません。長大な第1楽章を一貫して内面的な心の歌で覆い尽し、しかも安易にその歌に酔いしれるのではなく、絶妙な弓圧制御と精神集中力で確実に聴き手の心の底に食い入る音楽を届けてくれるのです。やや弱音寄りの美音を自分の体内でしっかり育み、音楽的な響きに変換するセンスも、単に腕が立つだけのヴァイオリニストには真似のできない芸当!終楽章もリズムが浮き足立つことなく、流麗なフレージングと強靭な精神が常に一体となって連綿と流れ、第2主題の歌わせ方の美しさと完璧なフォルムには、思わず背筋に電流が走りました!アンコールで弾いたバッハの無伴奏第2ソナタの「アンダンテ」も信じられません!これほど切々とファンタジーが香るバッハを聴けるとは!!作品の様式掌握力と音楽を感じる才能が、ビジネスのことしか考えていない大人たちによって破壊されないように心から祈らずにはいられません。さぁ、明日はエアロではしゃいで汗かこう!(1.22)

結局見てしまった、紅白…
本年もよろしくお願いします!NHKの例の不祥事があり、歌手もマンネリなので、今年はさすが見ないだろうと思っていましたが、他局も面白くないので結局10時くらいから紅白を見てしまいました。ちょうど紅白の旗上げ合戦の余興の最中で、なんとも寒い空気が漂っていてあらあらという感じでしたが、歌手では、藤あや子、長山洋子、中島美嘉、、ドリカム、和田アキ子がジーンと来ました。ドリカムは吉田美和の妙にパリッとした歌い方が生理的に苦手なんですが、今回は、その寒い旗揚げ合戦の直後だったせいか、とてもアーチスティックな歌で染みました。藤あや子は相変わらず独特の色香が魅惑的!曲も実にいい!一青窈はデビュー時から「本格派」とか言われていますが、「終わりますように…」という歌詞を“おー/わりーますーよーに〜”とありえない箇所で言葉を切ってしまうの絶対に許せません!そもそも、最近の歌手はこの辺がメチャクチャな人ばかりです。倉木麻衣も、「明日へ架ける橋…」という歌詞を“あしたへかけ/るーはし”と平気で歌えてしまうのは、周りのスタッフが誰も忠告しないことも含めてt情けない限りです。あの平井堅でさえ、この点は無神経です。「おじいさんの古時計」をもう一度聴いてみてください。これでこの曲に愛着があるというのですから呆れてものが言えません。こんな状況を藤山一郎が聴いたら烈火のごとく怒ったたことでしょう。一見歌が巧そうだけど、自分の歌にもかかわらず詩も曲もメチャクチャにして平気なんていう歌手は、つい10年前まではいなかったと思うんですがね〜。ああ、新年早々、楽しくないことを書いてしまいました。ラトルの「カルミナ」に期待しましょう!(1.1)

プロムス2004 ラスト・ナイト・コンサート
 毎年楽しみにしているプロムスのラスタ・ナイト・コンサートを堪能しました!第1部のパイアットののR・シュトラウスは、何としても見たかったのですが、うっかりしてて、気付いたら第2部直前でトホホ…。しかし、第2部のサー・トマス・アレンには感激!彼の格調高い歌いっぷりが以前から気に入っているのですが、久々に見た彼の姿はもうすっかり白髪。でも声の輝きは万全で、ポーター、サリヴァンなどの楽しい曲を披露してくれました。それにしても実にカッコイイ!ああいう風に年を取りたいものです。ポーターのミュージカル「キス・ミー・ケイト」からの“独身時代はいずこ”は、<若い頃から女に不自由したことがない…>と独身時代を懐かしむ歌で、あの「ドン・ジョヴァンニ」の名唱が思い起こされ、感慨もひとしおでした。
 ところで主席指揮者のスラトキン、今年でお別れとのこと。英国人でない彼のラスト・ナイトはやっぱりつまらない、という御尤もな意見もあったようですが、それよりも私にとっては、3年前に彼が初めてこの舞台に立ったときに振ったベートーヴェンの第9の終楽章に感動し、改めて彼の素晴らしい感性を再認識できたことは大きな収穫でした。ハイドンの交響曲のCDも本当に素晴らしいものでしたし、もっと彼の指揮する古典の曲をを聴きたくてうずうずしているのですが、なかなか耳にすることができません。
 それにしても、この会場の一体感は、日本ではなかなか実現しそうもありませんね。「国」という共通のバックボーンを共有しながら、同時に音楽も共有するのです!これが日本人に真似できるでしょうか?べつに真似しなくてもいいですが、日本人ならではの文化の共有の仕方ってあるでしょうか?誰かそれを「ビジネス抜き」でひねり出して欲しいものです。(12.19)

ギレリス晩年のモーツァルト
 確か去年の年末に放送する予定で延期になったままだった、晩年のギレリスの弾くモーツァルトの27番のコンチェルトの映像がやっとBSで放映されました。ユニテルに遺した第8番のソナタも素晴らしかったですが、この協奏曲も実に心に染み渡る名演でした。ピアノの弾き始めで、繊細でありながら神経質にならず、じっくりと音楽が滲み出るのは、ギレリスの晩年ならでは味でしょう。もう一つ印象的だったのは、前半に弾かれた2台ピアノの協奏曲。お相手は娘のエレーナ。DGにも父親同伴で録音しているとおり、ギレリスの子煩悩ぶりは終生変わらなかったのだなぁと思った次第です。ちなみに、中村紘子の『ピアニストという蛮族がいる』のなかで、ギレリスが娘のピアノ指導をフリエールに押し付け、あげげくにたいして才能がないので、フリエールは困り果てたという独特の暴露話が登場しますが、この演奏はなかなか素敵でした。もっともデビューから30年以上経ってますけど…。指揮者が、「悲愴」の名演で一躍話題になったオフチニコフというのも、興味深いものがありました。(12.10)

肉離れでトホホ…
 今年の5月からジムに通ってます。パッと見は太ってはいませんが、ベルト周りがどうもタプタプしてきたんで、これは今のうちに何とかせねばと思って週3回真面目に通い続けてますが、未だ効果なし!インストラクターの聞いてみると、「内蔵の脂肪はなかなか落ちないんですよ」とのこと。早く言ってよ!とは言いませんでしたが、最近はそれよりも、会社を辞めてから歩く距離が極端に減ったので、すぐに足のふくらはぎが肉離れを起してしまうのが困りもの。特に、ストレッチをろくにしないでエアロで調子に乗ってはしゃぐと、急にピリッと痛みが走ります。普段は自分の年齢のことなど全く頭の中にない私ですが、このときだけはトホホになります。皆さんも気をつけましょう!私だけすか?(12.5)

なんでCMが暗いの?
最近、妙に画像が暗いTV・CMが多いのが気になって仕方ありません。特に「マスター・カード」!イライラしながら見ていると、最後の最後で、カードのロゴがくっきりとした色彩で映し出されるのです。視聴者の脳裏にブランドを印象付けようとしているのでしょうが、こういう見え見えのやり方に、企業側は誰一人イヤラシさを感じないのでしょうか?バラエティ番組でも、スタッフの笑い声をわざと被せるのは当たり前。そうやって内容の浅さをごまかしていることを恥ずかしいと思わないのでしょうか?しかも最近は笑い声だけでは飽き足らず、笑いながらやたたと手を叩くく!おかげで街中でも、人間の形をした“猿のオモチャ”が増えるばかりです!ところが、プロの自覚がないのは、TVの世界だけではないのですよ、これが…。(11.1)

ネルロ・サンティの味
 NHK音楽祭が始りました。今年で2回目ですね。サンティの指揮で「シンデレラ」序曲を聴きましたが、いいですね〜。ぶっきら棒な棒に怖い顔…それとは裏腹にどんどんふくよかな音楽が溢れ出る。そのギャップがまたたまりません。今にもオペラの幕が開きそうな空気をパッと作ってしまう老練の職人芸!N響が惚れ込んでしまったのも無理からぬことでしょう。(10.24)

追悼・ハインツ・ワルベルク
 純粋・素朴な味で聴かせる巨匠が、また一人逝ってしまいました。ベートーベンの「英雄」は、古楽奏法などには全く無縁の昔ながらの伝統的な演奏で、第1楽章もコーダで朗々とトランペットを重ね、テンポは極めて中庸。一聴してすぐにその人と分かる強烈な個性もないですが、音の端々から滲み出る雰囲気で聴かせてしまう技は、かけがえのないものでした。「ロザムンデ」序曲や、クナ以上にティンパニを盛大に追加した「ブラ3」と共に、AltusあたりからCD化してもらいたいものです。(10.1)




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