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セルジュ・チェリビダッケ(指)ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
EMI
5565222[EM]
録音年:1991年5月29日、ミュンヘン・ガスタイク・ザール【デジタル・ライヴ録音】
演奏時間 第1楽章 18:15 / 第2楽章 16:34 / 第3楽章 6:35 / 第4楽章 14:19
“チェリの十八番!宇宙的規模と重量感を誇る名演”
58分にも及ぶ気の遠くなる低速テンポを基調として、チャイコフスキー独特の感傷と色彩美を徹底追及した凄演。呼吸の深さ、ダイナミックスの広さ、骨格の太さは極限に達しており、聴後はブルックナーを聴いたのと同様の深い余韻と充足感で満たされます。チェリの面目躍如たる、第1楽章展開部後半の壮麗さなど、聴き所がありすぎで全てを言い尽くせませんが、敢えてここでは第2楽章にご注目を!この楽章ではまずホルン・ソロの出来栄えに意識が行きがちですが、それを支える弦の分厚いハーモニーの発言力の凄さにまず鳥肌!こんなところでチャイコフスキーの天才的な和声感覚を引き出すなどという技をチェリ以外の誰にできるでしょうか。終楽章の運命動機の再現(179小節〜)で、ディミニュエンドする手法も健在。ただこれは、シュトゥットガルト時代の精妙を極めたスタイルにおいてなら意味を持って迫りますが、この晩年の肥大化したスケールを誇るスタイルおいてはやや唐突で、急に音楽が萎縮するように聞こえるのも否めません。この曲はチェリの得意中の得意曲だけに、海賊盤でも最も多くの録音盤が流通していましたが、正規に発売するにあたり、選ばれた録音は演奏技術的に瑕疵のないものが最優先された感があります。「演奏の充実度を最優先した」とライナーには書かれていますが、これ以上に彫琢が優り、チェリ晩年の美学がほぼ完璧な形で再現された録音が実際に存在するだけに、その点も悔やまれてなりません。全ての録音を聴き比べるわけにはいかないでしょうから、贅沢な願いではありますが…。
第1楽章のツボ
ツボ1 通常の演奏とかなり遅いのは事実だが、チェリには感覚的にもっと遅く感じる録音があるので、それ程異様さを感じさせない。クラリネットは太い線で明確に旋律を描くが、表情豊かというほどではなくえず、音色も単色的。強弱の振幅も大きく取っておらず、ここではむしろ、弦の表情の濃厚さが際立つ。全体の呼吸もチェリとしては万全とは言えず、次のフレーズに移行する際の間(ま)が浅い箇所もある。
ツボ2 チェリ晩年に顕著な、超低速による異様なヌメリを感じさせる弦の刻みに乗って、管のソロが切々の語り掛けるは、その遅さに管が絶えかねている面もなきにしもあらず。しかし、これ以上に管の先走りが目立つ録音もあるので、これは充分に敢闘賞もの。ファゴットは控えめ。
ツボ3 ほんのかすかにアクセントがつく程度。
ツボ4 独特の柔らかなスタッカートで、作曲者がスコアに込めた理想どおりと思われる美しい下降線を描く。この繊細さは、他に例をみないほど。
ツボ5 ここまでの流れが相当濃厚なので、ここで殊更豊かな表情付けをしているようには感じられないが、々とした大柄なカンタービレは、何度聴いても魅力的。
ツボ6 フォルティッシモの箇所は、テンポを約倍にまで落として徹底的に歌い上げるが、その流れが実に自然!各音符の立ち上がりがやっと判別できるすれすれのテヌートも印象的。
ツボ7 ピチカートから管の跳躍、アルコの部分に掛けてインテンポ。
ツボ8 徹底的に磨き上げたエスプレッシーヴォ!細かいフレーズごとに表情・テンポを変化させ、181小節目では停止寸前までリタルダンドして余情を醸し出す。
ツボ9 テンポ変動なし。16分音符も聴き取れるが、チェリならば、ここを明確に頭出しするために、フォルティッシモをもっと抑え気味にしてもよさそうなのだが…。
第2楽章のツボ
ツボ10 とうとうと流れる弦の大河と波長を合わせ、しっかり呼吸して美しく響かせている。多少強い音を出すとヒステリックになる。
ツボ11 晩年のチェリの真骨頂!怒涛のうねり!
ツボ12 クラリネットより、それに続くファゴットの歌い回しが素敵。
ツボ13 4分音符の音価を一定にせず、一つずつ意味を込め抜いて優しく弾くピチカート。続く117小節目からのクラリネットを太い音色で浮き立たせるのが特徴的。
ツボ14 強大な造型力が全開!
ツボ15 楽譜どおりだが、チェリならではの瞑想的なピアニッシモが堪能できる。
第3楽章のツボ
ツボ16 出だしが若干戸惑い気味。
ツボ17 弦と木管の連携が美しいのも、チェリらしいこだわりの表れ。
ツボ18 別段特徴なし。
第4楽章のツボ
ツボ19 実に荘厳かつカロリー価の高い響き。ピチカートの音型の浮き出しが実に効果的。
ツボ20 ホルンは終始裏方に徹している。
ツボ21 最初からかなり盛大に轟かせ、振幅を繰り返して、66小節目で一撃アクセントを置く。楽譜どおり。
ツボ22 特に強調していない。
ツボ23 攻撃性はないが、全体に調和する範囲内で強調。
ツボ24 ここから若干テンポを速める。シュトゥットガルト時代は、もっと急激にギアチェンジしていた。
ツボ25 強く打ち込んではいるが、やや不発。
ツボ26 若干リタルダンドして、提示部冒頭のテンポに戻る、多くの指揮者が取る手段。
ツボ27 大きくテンポを落としておいて、436小節から急速なテンポに転換。ここもシュトゥットガルト時代は、もっと目まぐるしい速さに変化していた。
ツボ28 やや8分音符の音価は長め。しかし、このスケールを受け止めるには、楽譜どおりの音価にこだわっていてはバランスが取れない。
ツボ29 悠然とスローテンポで進む。実に輝かしいトランペットが際立っている、
ツボ30 楽譜どおり。
ツボ31 旧来型の改変をするばかりか、全ての音にアクセント置くように吹かせて、完全にトランペット主導で進む。
ツボ32 トランペットとのバランスが良好。
ツボ33 超スローテンポのまま変化を付けずに終結。このテンポで締めくくるわりには、重量感がやや足らないようだ。


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