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チャイコフスキー:交響曲第5番
ペーター・マーク(指)ローマRAI交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
ARTS
ARCHIEV-430372
録音年:1967年3月15日 ローマ 【ステレオ・ライヴ録音】
演奏時間 第1楽章 15:36 / 第2楽章 13:23 / 第3楽章 5:58 / 第4楽章 9:42
カップリング/「くるみ割り人形」〜小序曲、クリスマス・ツリー、行進曲、魔法の始まり、くるみ割り人形と二十日鼠の王様との戦い、松雪のワルツ、中国の踊り、トレパーク、あし笛の踊り、こんぺい糖の踊り、タランテラ、コーダ(トリノRAI響、1982年ステレオ・ライヴ)
“まるでモーツァルト!マークだけが現出可能な幻想世界!”
ヤブロンスキーが弾くチャイコのピアノ協奏曲の伴奏者としてマークの名を見たときも、あまりにも意外でしたが、まさか交響曲を指揮していたとは驚きです。そもそも、ホルストの「惑星」(いわゆる駅売りCDですが、超感動的!)まで振っているくらいですから、本来レパートリーの広い人だったのではないでしょうか?ただ、どんな曲も器用にこなすタイプではなく、大きな交響曲をソナタ形式に沿って揺るぎなく構築するという点でも、万全と言い難いことをこのチャイ5で再認識しました。とは言え、閃きの人、マークのこと。全体に個性的解釈がてんこ盛りで、その全てが耽溺の極み!突き刺すような迫力を避け、あのモーツァルトやメンデルスゾーンと同じトーンで描かれたチャイコフスキーにはは一瞬戸惑いますが、全てのニュアンスが本物であると感じると、最後まで聴き入ってしまう、そんな不思議な魅力が秘められているのです。第1楽章は、どのフレーズをとっても暗くすすり泣いているのは、イタリアのオケとオケということを考えると驚きです。第2楽章の副次旋律のカンタービレは、それこそイタリア的気質とマークの感性ががっちり手を結んだ結果得られた究極の美しさ!終楽章はなんとケンペンやセルのケルン盤と同じカットを敢行!このパターンのカットを採用した演奏としては今のところ最も年代の新しいものですが、マーク自身も構築力の弱さを自覚してのことか、ここではそのカットは賢明な選択のようなも感じられます。聴いた後も、体にずっしりとのころといった種類の演奏ではないのですが、器用だけど何も残らない演奏と比べるまでもなく、この演奏の価値は無視できないと思います。一方の「くるみ割り人形」は、構築力云々ではなく、多くの人がただただマークのイマジネーションの豊かさに感服することでしょう!“行進曲”の粋なリズム!トロンボーンの音型の後半を静かに沈静させるセンス!!“くるみわり人形とねずみ王の戦い”のおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさなど魅力は尽きませんが、白眉は“雪のワルツ”。甘美な音色、チャーミングな語り口に加え、人数を抑えてほとんどノンヴィヴラートで絶妙な距離感から耳に届く女声合唱と一体となった幻想性と言ったら、もう信じられません!もちろん、録音もチャイ5より雰囲気満点。
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットは翳りが濃厚。それを打ち消すかのように弦がやや唐突に覆いかぶさる。主部に入るまで、クラリネットと弦は、それぞれが独自の表情で歌いぬいているのが特徴的。
ツボ2 やや遅め。これまた伏目がちで孤独感一杯。
ツボ3 たっぷりとヴィヴラートを聴かせて粘着質に歌う。
ツボ4 インテンポだが機械的にならず、共感たっぷり。
ツボ5 最初のタイを異様に長く伸ばす(再現部でも同じ)。先へ進むのを拒むかのよう。
ツボ6 アニマート直前は、息も絶え絶えといった感じ。こういう「泣き」のフレーズは、マークならではの迫真の妙技!
ツボ7 テンポが曖昧。
ツボ8 ロマンの香気にむせ返る!ここでも弦が艶かしくヴィヴラートを効かせ、会場全体というより、たった一人だけに囁くような風情は、類例がない。
ツボ9 16分音符は聞き取れる。インテンポで決然と進むが、表情も響きもうやや曖昧。
第2楽章のツボ
ツボ10 導入の弦は、意外と普通。ホルンは独特の訛りのようなイントネーションが珍妙だが、心はこもっている。オーボエはいかにもイタリア的に明るいが、切々とした歌を聴かせてくれる。
ツボ11 粉砕力のあるフォルティシシモではなく、大きな愛で包み込むようなスケール感が見事!
ツボ12 クラリネットは、直前までの独特の瞑想感を受け止め切れていない。その後のファゴットは泣かせる!
ツボ13 直前のティンパニの威力は、マークとは思えない豪快さ!ピチカートが出るまでかなり長い間をあけている。冒頭主題を奏するアルコの弦の歌が心に迫る。
ツボ14 老巨匠風の熟成されたアゴーギク!感覚的な迫力こそ不足するが、フォルテ4つの直前のリタルダンドは本当に切迫した緊張を孕んでいる。
ツボ15 ややドライな録音のせいで雰囲気が香るまでには至らないが、惰性で引いている箇所は皆無で、聴き手の心にはしっかり届く。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほんの少しテンポを落とす。
ツボ17 全パートがしなやかに連動するというまでには至っていない。
ツボ18 芯の抜けたような弱々さ。
第4楽章のツボ
ツボ19 テンポはやや速め。低弦の末端まで響ききった立派な威厳をかもし出している。これもあまり垣間見られないマークの一面。
ツボ20 ホルンは、オーボエとほぼ同等に主張。その後のトランペットの符点のリズムは、いかにもイタリア的に弾む。ここまで、やや速めのテンポを貫いているが、ティンパニが静かにトレモロを刻み始める直前で、突然倍にテンポを落とす!
ツボ21 冒頭でティンパニが激烈にクレッシェンド。その後は一定音量のトレモロ。テンポはごく標準的。70小節目でフルートの音型を徹底表出するのも、マークらしい配慮。
ツボ22 全く無視。
ツボ23 210小節から再現部の315小節まで演奏カット。
ツボ24              〃
ツボ25              〃
ツボ26              〃
ツボ27 テンポは中庸だが、渾身の熱い響き!ティンパニむ含め、全体が見事に凝縮されている。
ツボ28 8分音符の音価はやや長め。
ツボ29 やや早め。リズムは軽妙にスウィングしている。
ツボ30 弦もトランペットも、音をつなげている。
ツボ31 音量は控えめながら改訂版を採用。
ツボ32 特に強力ではないが明快に聴こえる。546小節から、なんと金管の音型と全く同じリズムをティンパニが連打!そのまま延々とたたき続けるので単なるミスとは思えない。それとも、収拾が付かなくなってヤケになったか?
ツボ33 やや速めのインテンポを貫徹。最後の4つのティンパニも強固にキマッっている。


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