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チャイコフスキー:交響曲第5番
リッカルド・ムーティ(指)フィルハーモニア管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ/ マイケル・トンプソン
BRILLIANT
BRL-99792
(7CD)
録音年:1978年7月1-2日 ロンドン・キングスウェイ・ホール 【ステレオ録音】
演奏時間: 第1楽章 15:37 / 第2楽章 13:42 / 第3楽章 6:11 / 第4楽章 12:05
チャイコフスキー:交響曲全集
“ムーティの熱い歌心と構成力が見事に融合した名演”
原典主義者として知られるムーティですが、スコアを絶対視し過ぎることなく、あくまでもも楽想から得た自身のインスピレーションとの折り合いの付け方が実に巧い指揮者だということのこの演奏で痛感させられます。つまり、スコアの指示が自己の表現と合致したものは徹底遵守、そうでないものは排除するといった決断が実に潔いのです。ムーティにとって最初の「チャイ5」録音ですが、表現意欲はもちろん満点。気負うことなく確信に満ちた表現も、気心も知れたオケとの競演だけに全くブレを生じません。随所で見せるカンタービレの美しさと共感の深さもなかなかのもの。第2楽章ホルン・ソロの音楽的なセンスも同曲録音至上屈指の出来栄え。録音は全体にホルンのみがオン・マイクで拾われているので、煩く感じられる箇所もありますが、克明なティンパニの捉え方も含めて明瞭な音像。
第1楽章のツボ
ツボ1 たっぷりと情感たっぷりに歌い、明確な輪郭を伴ってクラリネットが奏でる。弦とのバランスも良好で、アゴーギクもツボにはまっている。
ツボ2 テンポは中庸。16分音符と8分音符のリズムを柔らかい感触で扱うところに、ムーティの楽想を捉えるセンスが窺える。全体にカラヤンのようにレガート主体だが、味わいがある。
ツボ3 入念かつデリケート。
ツボ4 スコアどおり。
ツボ5 このフレージングは独特。ここからテンポを落とし、よく聴かなければ分からないが、アーティキュレーションを細かく分けた上で、実に深い呼吸を盛り込んでいる。
ツボ6 これまでの流れを踏襲するように、あえてスフォルツァンドは無視し、陶酔的な雰囲気を表出。
ツボ7 縦の線が美しく揃い、機械的にならず、デリートに情感を維持。
ツボ8 第2楽章主題ほどではないが、ムラなく情感を盛り込み、フレージングに淀みがない点が素晴らしい。
ツボ9 インテンポ。16分音符は不明瞭。この終結部は徹底して楷書風の進行だが、無機質に陥らず、確信持った表現が印象に残る。
第2楽章のツボ
ツボ10 弦の序奏は、3小節と4小節の間でたっぷり間を取り、ここでもムーティの心の奥底からの歌心が滲み出る。ホルンのソロは絶品!一音ごとのニュアンスもさることながら、息の長いフレージングを深々感じ入りながらと進行させるセンスも兼ね備え。陰りのある音色も楽想に相応しい。
ツボ11 直前でテンポを溜め込んで、一気にフォルティシシモになだれ込むが、直情的な爆発は避け、ふくよかな高揚を優先。
ツボ12 クラリネットの音色はやや明るめ。9連音はもう少しゆっくと運指を行なえばニュアンスが膨らんだように思う。
ツボ13 中間部の開始(97小節〜)からテンポをチェリビダッケばりに落として壮大に歌い上げ、このピチカートの箇所から最初のテンポに戻る。このメリハリをしっかり打ち立てる点もムーティーらしいところ。ピチカートの表情は比較的淡白だが、その直後に奇跡的な美しいニュアンスが登場!113小節の最後の3つの8分音符が、なんと頬を撫でるような柔らかさ
ツボ14 「ツボ11」同様、思い切りテンポウィオ溜め込んでから突入。フォルテ4つの頂点まで見事に紅潮を続けるが、もう少し柔軟性が欲しい粋もする。
ツボ15 実に繊細で透き通るようなカンタービレ。
第3楽章のツボ
ツボ16 冒頭でテンポを落とす。
ツボ17 ムーティにしては大人しい表現で、特に木管群には煌くような色彩感が欲しいところ。
ツボ18 パーフェクト!!
第4楽章のツボ
ツボ19 標準的なテンポ。威圧的な表現は避けながらも静かな威厳は感じさせる。
ツボ20 ホルンは基本的に裏方に徹しているが、よく聞き取れる録音。
ツボ21 テンポはカラヤンに近い。ティンパニは58小節と62、66小節強打。注目すべきは、64小節のホルンのフォルティッシモをきちんと敢行している点。
ツボ22 全く無視。
ツボ23 不気味なほどバスが張り出すが、音の輪郭がより明確なら、もっと凄い迫力につながったことだろう。
ツボ24 テンポは一定。
ツボ25 重みはないが、強力な一撃。
ツボ26 ややテンポを落とし主部冒頭のテンポに一旦戻す。
ツボ27 ここからテンポ・アップ。上滑りがなく見事な進行。
ツボ28 楽譜の音価より長め。
ツボ29 最初の2小節はやや漫然とした響き。弦とトランペットが一体となって厳格に付点リズムを刻みだすと威厳が増す。
ツボ30 弦は決然と音を切っているが、トランペットはややテヌート気味。
ツボ31 改変なし。502小節の最高音でフルートを際立たせることでハーモニーの安定を図る技は見事
ツボ32 はっきり聞こえるが、あまりにもオン・マイクで不自然。
ツボ33 ティンパニの勇壮な響きと共に素晴らしい威容を湛えている。



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