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チャイコフスキー:交響曲第5番
ゲオルグ・ショルティ(指)パリ音楽院管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ: ルシアン・テーヴェ
ユニバーサル
UCCD-3783

録音年:1956年 パリ 【ステレオ録音】
演奏時間: 第1楽章 13:35 / 第2楽章 13:09 / 第3楽章 5:40 / 第4楽章 11:45
カップリング/交響曲第2番
“パリ音楽院の魅力とショルティらしさの激しい攻防!”
ステレオ最初期の録音なので、いかにも臨場感に乏しく、レンジも狭いので、パッと聴いただけではいかにもショルティらしい線のきついサウンドしか印象に残りませんが、聴けば聴くほど、ここでしか聴けない魅力が随所に散りばめられていることに気づきます。何と言ってもまず特徴的なのは、パリ音楽院管のカラッとした音色。冒頭の2本のクラリネットの音色が醸し出すニュアンスから心奪われます。第2楽章のテーヴェのホルン・ソロは一部のホルンファンでは有名ですが、その軽やかで夢のように浮遊するフレージングは、全ての音楽ファンに聴いて頂きたい超逸品です。そんな独特の味わいと個性を持つオケとショルティの剛直な音楽志向に大きな開きがあるのは明白ですが、ウィーン・フィルとの数々の録音でも分かるとおり、両者の個性がピタッと融合する部分と、片方の魅力が優先される部分が入り混じりながら進行するので、スリリングなことこの上ありません。リズムの縦の線をきっちり揃えることを至上命題に掲げ、アクセントも旋律線も露骨なまでに克明。味わいや余韻などを楽しもうとする聴き手を徹底的に排除する構えですが、オケとの一体感という点で聴き逃せないのが第2楽章。副次主題が弦で表れた頃から、ショルティとは思えないふくよかな呼吸に支えられた自在なアゴーギクが心に染み、実に感動的。ショルティがオケの自然体の魅力に抗し切れず、良い意味で緊張をほぐしたことによって生まれた至福とニュアンスが深々と流れるのです。ふと表れてしまうポルタメントも流石のショルティも制し切れなかったと見えます。しかし、これが別のオーケストラだったら、ショルティのあまりにも無慈悲な手法だけが浮き彫りになってしまい、それこそ味も素っ気もない演奏になっていたことでしょう。この録音の存在意義は、曲を味わうというよりも、40台半ばのショルティの音楽志向とパリ音楽院の魅力を知るということと、フランスのオケによる希少なチャイ5という点に集約されそうです。
第1楽章のツボ
ツボ1 2本のクラリネットの効用が生き切っている。この色彩の広がりには、それだけでうっとり。弦は、強靭なアクセントがショルティらしい。線はきついが、全体に意外なほど入念に歌っている。
ツボ2 テンポが感覚的にやや速めに聞える。それくらいリズムが小気味よい。16分音符の音価が極めて短いのは、オケの癖だろう。
ツボ3 多少アクセントが付く。
ツボ4 楽譜どおりだが、アタックが強い。
ツボ5 冒頭のスフォルツァンドが刃物のように鋭利。強弱の振幅にも力が漲る。
ツボ6 テンポを落としてよく歌っているが、アニマート以降もレガートにはならず、音符があくまでも縦割りで奏でられる。
ツボ7 物々しい強音で襲い掛かる。
ツボ8 時代を感じさせる上行ポルタメントが魅力的。タカ派的なショルティの音楽性とのギャップが面白い。
ツボ9 かなり速い。このオケの美音を全く考慮せず無慈悲に直進。
第2楽章のツボ
ツボ10 冒頭の低弦は、それ自体がテーマであるかのように強力に主張。アーティキュレーションも明快。濃厚なヴィブラートが特徴的なテーヴェのホルンが絶品!感覚的に異質に聞えるが、とろける美音と細やかなフレージングに恍惚!これが聴けるだけでもこのチャイ5の魅力は大きい。絡むクラリネットとオーボエも、史上最高クラスの巧さ!!
ツボ11 後年のショルティにあまり感じられないふくよかな呼吸感が魅力。オケの持ち味と一体となったせいか。
ツボ12 スコアどおり、ここからテンポアップしている。テンポ自体は速いが、クラリネットもファゴットも味わい深いフレージング。
ツボ13 これほど鋭利に強音で鳴らされた例はない!当然スコアにないが、徐々にディミニュエンドして、アルコの副次主題へつなぐ。
ツボ14 縦の線を意地でも合わせないと気が済まないショルティの志向が、ここで既に表れている。しかし、深く熱い呼吸は実に見事。フォルテ4つの手前でテンポを落とし、ルフロ・パウゼを置いてパワーを炸裂させるのがユニーク。
ツボ15 線はきついが、共感が確実に滲み出ている。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほとんどテンポを落とさない。
ツボ17 全パートが、音色自体が魅力で聴き惚れる。
ツボ18 音色美と共に、独特の語り掛けがある。これも他の演奏では類を見ないこと。
第4楽章のツボ
ツボ19 全ての音のアタックが強く、切る音とつなげる音を徹底的に区別。テンポはやや速めに聞える。
ツボ20 ホルンと木管は同等バランス。
ツボ21 クレッシェンドして、そのままの音量でトレモロを続ける。テンポは標準的だが、弦もトランペットも極度に鋭角的な響きで迫る。
ツボ22 ややアクセントが付く。
ツボ23 録音的に音を捉えきるのが困難であることを考えると、かなり強靭な方。ヴァイオリンとヴィオラのフォルティッシモを完全に遵守しながら、236小節目で急激に音量を落とすのがユニーク。
ツボ24 ややテンポを落とす。
ツボ25 鈍い。
ツボ26 主部冒頭のテンポに戻す。
ツボ27 やや速め。
ツボ28 本来の音価に忠実。後年の録音でも同様。
ツボ29 この楽章冒頭と同じく、ここでもアーティキュレーションが極度に明確。テンポは標準的だが、エキセントリック。
ツボ30 意外にも不統一。弦もトランペットもレガート風だったりテヌート風だったり…。
ツボ31 スコアどおりで改変なし。
ツボ32 均質の素晴らしいアンサンブル!張り出しも見事。
ツボ33 重量感は不足するが、やはり音色による説得力が優る。最後の4小節は若干テンポを落として、克明にリズムを打ち込むが、ガツンとはこない。


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