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チャイコフスキー:交響曲第5番
ユーリ・テミルカーノフ(指)ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
BMG
BVCC-9357
廃盤

82876-557812
(6CD)
録音年:1989年9月19,22,25日 ロンドン・オール・セインツ教会 【デジタル録音】
演奏時間: 第1楽章 16:43 / 第2楽章 14:27 / 第3楽章 6:13 / 第4楽章 12:56
カップリング(BVCC-9357)/スラブ行進曲、イタリア奇想曲
カップリング(82876-557812)/交響曲全集(第1番〜第6番)、幻想序曲「ロメオとジュリエット」、バレエ「白鳥の湖」(抜粋)、幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」、スラヴ行進曲、幻想曲「運命」、イタリア奇想曲
“民族色と洗練がバランスよく同居した充実のチャイ5”
ロイヤル・フィルには、ロシアのオケのように十分染みこんでいる演奏スタイルの癖がない分、テミルカーノフの音楽センスが如実に現われる結果になっています。ロシア的な粘着質のフレージングや、重心の低いさ、テンポのメリハリなど、テミルカーノフらしい志向が空回りしてしまうのでは、という心配もありましたが、オケが実にその意図を汲んで、全身で指揮者と同じ共感の厚さでもって弾きとおしており、充実の内容になっています。第2楽章では、洗練された歌のセンスが十分に感じ取れ、決して馬力で誤魔化すのではない真摯な姿勢が見事。第3楽章では、冒頭からフレージングのスパンを短くして、ワルツのニュアンスを強調する配慮が独特ですが、RPOの技量も手伝って実に自然に響きます。終楽章もロシア的な推進力と迫力を感じるのですが、ここでは残響の多さが足を引っ張り、せっかくエネルギーを凝縮した最強音が拡散してしまい、手応えが希薄になってしまっているのがなんとも残念です。オケの全パートに渡って、テミルカーノフがイメージする音色で完全に統一されているとまでは行きませんが、明確な表現意思を貫き通した、立派な演奏であることは確かです。ちなみに、カップリングの2曲は、平凡な出来です。
第1楽章のツボ
ツボ1 超粘着質。全ての音価をたっぷりと確保し、スローテンポで濃密に歌わせる。弦とクラリネットのブレンドが美しく、2本クラリネットの音色も絶妙。強弱にもニュアンスが伴っている。
ツボ2 冒頭の弦は静かながら微妙に凄みを湛える。テンポは通常よりやや遅め。クラリネットとファゴットの融合が見事!フレージングも入念。
ツボ3 軽く勢いをつけて跳ね上がる
ツボ4 ほぼ楽譜どおりだが、複符点2分音符のところでかなり音量を弱める。その下行ラインが美しい
ツボ5 響きの凝縮力が極めて強い。
ツボ6 特に大きなテンポ変動はない。フォルティッシモも強調はしていない。
ツボ7 クラリネットの音色がロシア的。
ツボ8 まさに極めて表情豊かに歌っている。フレーズを繰り返すたびに表情を変え、弱音でのすすり泣きも嫌味がなく、気品さえ漂う。
ツボ9 前の部分からテンポは変えない。16分音符は多少聞こえる。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦の導入は、独特の分厚く充実した響きで統一。テンポは過度に物々しくなるのを避けるよう標準的。ホルンは間延びのずにしっかり歌いぬき、技術も安定。その雰囲気を崩さないように登場するオーボエのセンスも素晴らしい。
ツボ11 絶叫型ではなく、洗練味を湛えながらの豊かなフレージング。
ツボ12 クラリネットは、吹き始めからとても気負っている感じ。細身の音色も独特だが、楽譜の表情を見事に生かしている。
ツボ13 特に特徴なし。
ツボ14 冒頭でティンパニはかなり強打しているようだが、残響が多い成果、響きが拡散してしまっているのが残念。フォルテ4つの頂点への運びは見事。
ツボ15 繰り返す時に、本当に微妙ではあるが、表情の違いが見られる。
第3楽章のツボ
ツボ16 ほとんどテンポを落とさず吹き始める。技術は安定。
ツボ17 各パートの表情がかなり濃い。アクセントを確実に折込なら、ロシア的な雰囲気を表出。
ツボ18 やや曖昧。
第4楽章のツボ
ツボ19 粘着度は、第1楽章冒頭と同様。見事な威厳に変貌している。テンポは、標準よりもやや遅めに感じられる。
ツボ20 ホルンはほとんど裏方。オケ全体が遅いテンポにまったく弛緩を見せず、確実にリズムを築いているのが素晴らしい。
ツボ21 冒頭のティンパニはクレッシェンドを長く引っ張り、十分な音量に達したところで弦が刻み始める。トレモロは、62小節目で多少膨らます程度。ただ、ティンパニも、弦も、やや響きが軽め。テンポの快速ではあるが、ロシアのオケのような凄みはない。
ツボ22 わずかだが、アクセントを施している。
ツボ23 それなり張り出しているが、残響のせいで、細かい8分音符の動きは混濁。
ツボ24 ここから主部冒頭のテンポで一貫。
ツボ25 鈍い音。
ツボ26 ここもインテンポで突き進む。
ツボ27 速めのテンポを採用。金管のリズムが実に正確でスムース。3連音もセーフ。
ツボ28 本来の音価より長め。ティンパニのトレモロは、いかにもメタリックな音。最後に一打は置かない。
ツボ29 弦は威厳に満ちているが、重量感はやや不足。本当は重量感も相当あるとも思われるが、録音のせいで音が広がりすぎているのかもしれない。弦が弾き始める476小節で、符点4分音符を複符点くらいまで引っ張っているのが特徴的。全弦楽器がそのように弾いているのでテミルカーノフの意図によるものと思われる。このあとの小節では、普通に聞こえる。終始レガート。運命動機の繰り返し時に、湯を返さずに一息で弾きとおしている。
ツボ30 弦はレガート、トランペットもやや中途半端だがレガート気味に吹いている。
ツボ31 折衷型?501小節まではスコアどおりで、502小節だけ弦の音に合わせているように聞こえる。改定型かもしれない。
ツボ32 芯のある立派な響き。
ツボ33 快速のインテンポにエネルギーを十分に込めた熱いエンディング。ここでもティンパニハ頑張って強連打しているが、響きがペラペラしているのが惜しい。


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