湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



Chateau de Versailles Spectacles
(フランス)


活性化めざましいフランスの古楽シーンと密接な連携を続けてきたヴェルサイユ宮殿が、より広範で自在なコラボレーションへ向けて立ち上げたレーベル。すでにAlphaをはじめとするフランス最前線のレーベルでもたびたびロゴを見かけてきた組織ですが、ヴェルサイユ宮殿は旧王室礼拝堂や旧王室歌劇場などが近年コンサート活動にも積極的に提供されており、ヴェルサイユ・バロック音楽センターなど専門家たちの協力を得て抜群のクオリティを誇る上演プロジェクトが続々成功をみてきたところ。最前線の古楽シーンを賑わせる俊才や大御所たちの「いま」にいち早く、洗練された制作ポリシーの音盤で出会える機会が増えそうです。


※表示価格は全て税込み。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
内容 演奏者
CVS-001
NX-B08

NYCX-10014
国内仕様
税込定価
シャルパンティエ:『花咲ける芸術』〜音楽による牧歌劇 H.487 マイリス・ド・ヴィルトレ ...音楽の寓意像・ロズリー(S)
ヴィルジニ・トマ ...死の寓意像・花の女神(S)
ジョナタン・スピシェール ...絵画の寓意像(T)
アナイス・ベルトラン ...建築の寓意像(Ms)
ダヴィト・ヴィチャク ...不協和の寓意像(Br)
セシル・アシル...平和の寓意像(S)
ヴィルジル・アンスリ ...兵士(Bs)
アンサンブル・マルグリット・ルイーズ(古楽器使用)
総指揮:ガエタン・ジャリ

解説訳・補筆、歌詞訳:白沢達生
すでにAlphaレーベルとの提携でも数多くのプロジェクトを成功させている、ヴェルサイユ宮殿の文化催事プロジェクトチーム「シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタ クル」。彼らがこのたび、ついに独自のレーベルCVSを立ち上げました。伝説的エンジニアのニコラ・バルトロメーが立ち上げた録音スタジオ「リトル・トライベッカ」 の協力を得て、その新始動録音には17世紀フランスの不遇な大作曲家シャルパンティエによる『花咲ける芸術』(フランス古楽界にあっていちはやく歌劇方 面の土壌を用意した名団体、レザール・フロリサンの名の由来となった作品)を。若き才人集団マルグリット・ルイーズには大ヴェテランのリコーダー奏者セバス ティアン・マルクや、鬼才クラヴサン奏者ジャン・ロンドーを含む精鋭4人組「ネヴァーマインド」に名を連ねるヴィオールのロバン・ファロとトラヴェルソのアンナ・ベッ ソン...と頼もしい俊才がいたるところに!精妙にして優美なシャルパンティエの音世界はまさにフランスの「偉大なる世紀」ならでは――王室音楽総監督 リュリに疎まれ、王室での活躍から周到に遠ざけられていたシャルパンティエの才気が、のちの王宮ヴェルサイユにあらためて鳴り響く、比類なく贅沢なバロック・ アルバムの登場といえそうです。
CVS-002(2CD)
NX-D07
カンプラ:「優雅なヨーロッパ」 セバスティアン・デラン指揮
レ・ヌーヴォー・キャラクテール(古楽器使用)

カロリーヌ・ミューテル(ソプラノ/美の女神、スペインの女1、オリンピア、ロクサーヌ)
イザベル・ドリュエ(ソプラノ/不和の女神、酒屋の女1、後宮の女)
ヒザー・ニューハウス(ソプラノ/恩寵の化身、セフィーズ、スペインの女2、酒屋の女2)
アンデシュ・J.ダーリン(テノール/フィレーヌ、ドン・ペドロ、オクタヴィオ)
ニコラ・クルジャル(バス/シルヴァンドル、ドン・カルロス、ズリマン)
ジェレミー・デルヴェール(バリトン/トルコ近衛兵)
フランス王ルイ14世の肝煎りで17世紀に建造が始まり、王が住むようになってからも増築を重ね完成までに1世紀を費やした大宮殿、ヴェルサイユ――かつ てルイ王朝の人々に豪奢な心のうるおいを与えた劇場や王室礼拝堂は、近年この宮殿を活性化させる運営団体シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタクルによっ て、古楽パフォーマンスの絶好の演奏会場となっています。その最先端の賑わいを伝える独自レーベル第2弾リリースは、名匠アンドレ・カンプラの「優雅なヨー ロッパ」――1697年、フランス独自の劇音楽形式である「オペラ=バレ(舞踏歌劇)」をはじめて世に現出せしめた象徴的作品でありながら、全曲盤の新録音 は長らく登場せず、フランス古楽ファンをやきもきさせてきたこの傑作を、Alphaレーベルでのルクレール「シラとグロキュス」新録音はじめ、同国人ならではの繊細 にしてダイナミックなフランス・バロック解釈を旨とするセバスティアン・デランの楽隊がいま、みずみずしい演奏で現代によみがえらせてくれます。重要作だけに、解 説にも需要のある好企画です。
CVS-004
(1CD+PAL DVD)

NYCX-10022
(1CD+PAL DVD)
税込定価
ルソー (1712-1778):『村の占い師』 (1752)

■ボーナスDVD
公演の模様を全曲収録 (71'13)
カロリーヌ・ミュテル ...コレット (S)
シリル・デュボワ ...コラン (T)
フレデリク・カトン ...占い師 (Br)
レ・ヌヴォー・カラクテール (古楽器使用)
セバスティアン・デラン ...指揮&クラヴサン (Cemb)

録音:2017年7月1-2日、ヴェルサイユ旧王室歌劇場 (ライヴ収録)
※ DVDはPAL方式のため、対応機器及び設定されたPCでのみ再生可能です。日本国内の通常のプレイヤーでは再生できません。
国内仕様 解説日本語訳・補筆、あらすじ:白沢達生
ヴェルサイユ・バロック音楽センターやパリ、リヨンなどの音楽院との長年にわたる協力関係を背景に、近年ますます欧州最前線をゆくフランス 古楽シーンとの連携を強めているヴェルサイユ宮殿の催事企画チーム「シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタクル」。独自レーベルからリリースされ るアルバムはこれまでのところ、いずれ劣らぬフランス音楽史上を彩ってきた重要作品でありながら、録音機会に恵まれてきたとはいいがたい 秘曲ばかり。今回の新譜はなんと、啓蒙主義哲学者として歴史に名を残したジャン=ジャック・ルソーの重要作『村の占い師』...18世 紀当時の演奏様式をふまえたピリオド楽器での新録音は貴重というほかありません。すでにラモーがフランス歌劇に新風を呼び込んで久しい 1752年にヴェルサイユで初演、翌年パリで公にされたこのオペラは、イタリア音楽にも通じる覚えやすいメロディにフランス語をあざやかに乗 せ、ルソー自身の「フランス語はオペラに向かない」という説との矛盾さえきたす出来栄えに……マンハイム楽派の交響曲やイタリア最前線の オペラに慣れてきたフランスの人々のあいだで、この作品は初演時の妨害にもかかわらず大成功、のちに少年モーツァルトの『バスティアンとバ スティエンヌ』の下敷きになるなど数々の追従作も生んだほどでした。それほどの重要作でありながら、録音はめったになされず、Alphaレーベ ルなどでも成功実績のあるセバスティアン・デラン率いるフランス古楽シーンの俊才たちが初演場所と同じヴェルサイユ宮殿で新録音を問うこ とには大きな意義があると言えるでしょう。デランは楽団編成も合唱も的確に削り込み、室内楽的な味わいのなかで作品のシンプルかつ繊 細な魅力をあざやかに引き出してゆく解釈を意識しているようです。音楽史と密接にかかわる作品だけに、国内盤仕様に付く成立経緯やあ らすじを記した解説の訳も嬉しいところ。
CVS-006

NYCX-10043
国内盤仕様
税込定価
カヴァッリ:1660年の大ミサ
1.金管合奏*
2.トッカータ*
3.キリエ(MS)
4.グローリア(MS)
5.おお、善きイエスさま(SC)
6.クレド(MS)
7.カンツォーナ*
8.サンクトゥス(MS)
9.聖体奉挙の奏楽*(作曲者不詳)
10.アニュス・デイ(MS)
11.誉め讃えよ、歌えよ(SC)
12.金管合奏*
13.神を讃えよ、イェルサレムよ(VP)
「出典」
MS:『聖曲集 Musiche Sacre』(1656)より
SC:『聖なる冠Sacra Corona』(1656)より
VP:『詩篇曲集Vesperi』(1675)より
* は歌い手なしの器楽
独唱
ステファニー・レヴィダ(S)
パスカル・ベルタン(アルト=カウンターテナー)
マルシャル・ポリア(T)
ルノー・ブレス(Bs)
バンジャマン・シェニエ(指)
ガリレイ・コンソート(合唱&合奏/古楽器使用)
オディール・エドゥアール(コンサートミストレス)
フレディ・エシェルベルジェ(Org)

録音:2018年2月9〜11日
ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂

【国内盤】
解説・歌詞日本語訳:白沢達生
巨匠モンテヴェルディの高弟としてヴェネツィアで頭角をあらわし、すぐにイタリア・オペラ史を最先端でリードする大作曲家となった 名匠カヴァッリ。その豊かな実績は諸外国まで知れわたり、後年フランス王ルイ14世が隣国スペイン・ハプスブルク家との抗争に ひとたび終止符を打った1659年には、講和祝典のための音楽提供者として白羽の矢が立ちます。翌1660年1月にパリで 披露されたその祝典ミサ曲の演奏には、ヴェネツィアから随行した演奏陣のみならずパリ随一の歌手たちも集い、きわめてみごと な音楽と絶賛された記録が残っています。ここではリュリによるフランス叙情悲劇創出の前、この歴史的音楽イベント(詳細は 解説参照、国内仕様は日本語訳付)を振りかえるべく、フランスきっての声楽・器楽勢が集うガリレイ・コンソートが当時の様子 をしのぶプログラムを編作。管・弦入り混じっての壮麗なヴェネツィア様式の音楽を、ヴェルサイユ宮殿の旧王室礼拝堂に緻密 な解釈で響きわたらせます。往年の「三大カウンターテナー」盤でも名高いパスカル・ベルタンはじめ演奏陣の充実度も見事。フ ランス音楽はイタリアから何を受け取ったのか?ヴェネツィア楽派とのかかわりを解き明かしながら「リュリ前夜」のフランス王室にお ける教会音楽の真相に迫る、多声合唱と古楽器の交錯を十全に楽しめる注目盤です。
CVS-007

NYCX-10054
国内盤仕様
税込定価
エスプリ=ジョゼフ・アントワーヌ・ブランシャール(1696〜1770):テ・デウム、
フランソワ・コラン・ド・ブラモン(1690~1760):テ・デウム
高橋美千子(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
セバスティアン・モンティ、ロマン・シャンピオン(オートコントル〔高音部テノール〕)
シリル・コスタンゾ(バス=ターユ〔バリトン〕)
マルグリット・ルイーズ合唱団
ストラディヴァリア(古楽器使用)
ヴィルジニー・デシャルム(ヴァイオリン/コンサートミストレス)
クレマン・ジョフロワ(Org)
ジョスリーヌ・キュイエ(クラヴサン)
総指揮:ダニエル・キュイエ
録音:2018年6月30日、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
【国内盤】
解説・歌詞日本語訳、補筆:白沢達生
壮麗なオーケストラを伴う傑作が多い祝賀の讃歌『テ・デウム』。古くはシャルパンティエやリュリの傑作もあるところ、オーケストラ が発達してきた18世紀半ばの作品はさらなる豪奢な響きがたまりません。ヴェルサイユ宮殿の催事チームが本格的に携わり制 作を進めたこの最新新譜はまさにルイ15世時代の2傑作を収録。どちらの仕上がりに軍配をあげるかで王室が割れたほどの、 ラモー全盛期のオーケストラ語法を最大限に活かしたいずれ劣らぬ名品です。宗教否定のフランス大革命がなければ、19世 紀以後も延々演奏されていたに違いないクオリティを見出したのは、フランス中部の古都ナントに本拠を置き、40年以上にわた る活動期間を通じて本家ラ・フォル・ジュルネにも例年出演してきた古楽器集団ストラディヴァリア!少数精鋭の合唱とのバラン ス良い駆け引きが、スリリングに生の18世紀フランスの響きを伝えます。
CVS-008
「太陽王のミサ」
アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652-1730):笛と太鼓のための行進曲
ジャン=アダム・ギラン(1680-1739):第三旋法による組曲より「プラン・ジュ」*
ミシェル・リシャール・ドラランド(1657-1726):「主よ、われ御身をたたえまつらん」詩篇第24番
フランソワ・クープラン(1668 - 1733):「修道院のためのミサ曲」より 「グラン・ジュによるディアローグ」*
 「来れ、神を拝まん」
 「修道院のためのミサ曲」より「ティエルス・アン・ターユ」*
 「われ御身の家に入らん、主よ」 フランス王ルイのためのミサへの導入
リュリ:「主は汝の声を聞き」詩篇第19番
ガエタン・ジャリ((指)*=大オルガン)
マルグリット・ルイーズ

録音:2018年7月、ヴェルサイユ宮殿礼拝堂
2007年にガエタン・ジャリを中心に結成され、フランソワ・クープランの親族にして優秀な歌手だったというマルグリット・ルイーズの名を冠したグ ループによる、太陽王ルイ14世のためのミサを再現したアルバム。壮麗な行進曲と共に王が入場するところに始まり、ドラランドとリュリのグラ ン・モテ、その間を繋ぐクープランのプティ・モテがオルガンのインターリュードを挟んで並べられています。20人を超える声楽陣、13名の弦楽、6 名の木管、4本のトランペット、そしてバス・トランペット(名手マドゥーフが担当)、セルパンにティンパニ、通奏低音という豪華な編成で、こういっ たミサがまさに執り行われたであろうヴェルサイユ宮殿の礼拝堂にて録音されています。
CVS-009

NYCX-10097
国内盤仕様
税込定価
バッハ:『マニフィカト』変ホ長調(初演版)BWV 243a、
カンタータ『救世主に連なる者たちよ、刻みつけよ』BWV 63
ハナ・ブラジコヴァー(S)
マリー・ペルボスト(S)
エヴァ・ザイシク(A)
トーマス・ホッブズ(T)
ステファン・マクラウド(Bs)
エマニュエル・アラケリアン(Org)
アン=クリストフ・ディジュ(Cemb)
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器使用)
総指揮:ヴァランタン・トゥルネ

録音:2018年12月22日、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂(ライヴ収録)
【国内盤】解説・歌詞日本語訳:白沢達生
20世紀末以来、ヨーロッパの古楽シーンを牽引しつづけているフランスからは世界的名手が続々登場しますが、その背景には耳の肥えた聴 き手の多さと、ヴェルサイユ・バロック音楽センターやパリ音楽院など、世界中の気鋭奏者たちが集まる充実した教育体制があります。ラファエ ル・ピションやジャン・ロンドーなど近年も続々俊才が世界に羽ばたいているところ、ヴェルサイユ宮殿のレーベルは今回、なんと1996年生まれ の指揮者ヴァランタン・トゥルネの初録音盤を世に問うことに。その音楽がレーベルや宮殿の名声に寄与すると確信しての堂々リリースとみてよ いでしょう。 というのも、トゥルネはすでにここ数年フランスの古楽界のいたるところで話題になりつつある注目株。5歳の頃に映画『めぐり逢う朝』で衝撃を 受けヴィオラ・ダ・ガンバに開眼、ベルギーでフィリップ・ピエルロに、次いでパリ音楽院でクリストフ・コワンに薫陶を受け、若く才能あるガンバ奏 者として脚光を浴びてきた後、20代前半の若さでラ・シャペル・アルモニークを結成、今やバッハの大作受難曲の演奏で喝采を浴びる気鋭 指揮者となっています。演目はフランスで最も人気あるバッハ作品のひとつ「マニフィカト」初期稿と、降誕節のためのカンタータ……ソリスト陣 にはバッハ・コレギウム・ジャパンの名歌手としても知られるマクラウドやブラジコヴァーら実力派のほか、Alphaレーベルでソロ名義アルバムもあ るエヴァ・ザイシクの名も。見過ごせないバッハ新録音です!
CVS-011
(Bluray+DVD)
NX-D09
ガーディナー/ベルリオーズ没後150年
序曲「海賊」(1854)
カンタータ「クレオパトラの死」(1829)
歌劇「トロイヤの人々」(1863)より、「王の狩りと嵐」
歌劇「トロイアの人々」より、ディドのモノローグとエール
「ああ、私は死んでしまうでしょう…さようなら、誇り高き国」
幻想交響曲
ルシール・リシャルド(Ms)
エリオット・ガーディナー(指)
オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク

収録:2018年10月21日
ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:1時間47分
片面二層ディスク
映像:NTSC、All regions、16/9
音声:Stereo、Dolby Digital 5.1
(DVD、BD共に)
ガーディナーがオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークとの「幻想交響曲」映像を再収録。前作は1991年に、初演場所であるパリ旧音楽院に て収録されたものでしたが、今回は1848年10月29日にベルリオーズが指揮を行ったという、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場にて収録されています。メインの 「幻想交響曲」の前には序曲「海賊」のほか、フランスのメゾ、ルシール・リシャルドを迎えた「クレオパトラの死」と「トロイアの人々」から2曲を収録するという 盛沢山の内容。「幻想」での第2楽章のハープとコルネット、そして低音金管楽器の扱いなどは基本的に前作の路線を踏襲していますが、前プロを含めて 2か所ほどで驚きの演出も… 前掛かりの演奏そのものも素晴らしいですが、楽器の視覚的な面白さ、収録場所と映像の美しさも特筆もので、映像作品 としてたいへんクオリティの高い出来栄えとなっています。同内容のDVDとBlu-rayがセットの販売。
CVS-012(DVD)
NX-D09
リュリ:テ・デウム
ビーバー:53声部のザルツブルク大聖堂祝典ミサ曲
ヴァーツラフ・ルクス(指)
コレギウム1704(古楽器使用)
コレギウム・ヴォカーレ1704
ヴェスサイユ・バロック音楽センター少年少女cho

収録:2018年10月28日
サン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂、ローマ
収録時間:89分
片面2層ディスク
NTSC All-Regions
ドルビーデジタル5.1/ステレオ
近年急速に注目を浴びているチェコの指揮者ヴァーツラフ・ルクスと、彼が率いるピリオド・アンサンブル「コレギウム1704」が、古代の建築様 式を随所に残す世界遺産ローマのサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂にて、リュリとビーバーの大規模宗教作品を演奏した映像が登場。 正面とは別に参列席左右に陣取ったトランペットとティンパニの効果もあいまって、聖堂全体を華麗な響きで包み込みます。トランペット隊を 正面に集約し児童合唱を伴ったリュリも聴き応えたっぷり。煌びやかさだけでない、長い歴史を感じさせる壮大な演奏空間にも注目です。 彼らは2016年にも、ビーバーの53声部ミサ初演の地とされるザルツブルク大聖堂で当作品を演奏、話題となったほか、度重なる公演を 行っており、これだけの規模の作品ながら、その解釈はすっかり手中に収めているといった貫禄で聴かせています。また数々のピリオド楽器を 視覚で楽しめることも、こういった映像作品の醍醐味の一つ。テオルボには、世界的リュート奏者・野入志津子の姿も見ることができます。
CVS-014(DVD)
NX-D09
『マリー・アントワネット』
ハイドン:交響曲第6番『朝』
交響曲第7番『昼』
交響曲第8番『晩』
交響曲第73番『狩り』
グルック:歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』〜「精霊の踊り」

以上より抜粋
メラニー・レヴィ=ティボー(指)
バスクO

収録:2019年3月31日 ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
ブックレット:日本語、フランス語、英語、ドイツ語
片面二層ディスク
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
フランスの高級リゾート地ビアリッツを本拠地とするマランダン・バレエ・ビアリッツが、ヴェルサイユ宮殿の歌 劇場でマリー・アントワネットの生涯を表現したバレエを上演しました。使用される音楽はハイドンの交響 曲。衣装と振付は一見トラディショナルなものにコンテンポラリーの味付けを施した斬新なものとなっていま す。ネオクラシカルを代表する一人であるティアリー・マランダンによる独特の動きと映像の美しさを堪能で きます。レーベル製作による日本語解説付き。
CVS-015
(2CD+DVD)
NX-D11
リュリ:『ファエトン』 プロローグと5幕による叙情悲劇 (1683) エヴァ・ザイシク(Ms)…リビ
マティアス・ヴィダル(T)…ファエトン
エリザヴィエータ・スヴェシニコヴァ(S)…アストレ、第一の時
ヴィクトール・ビュメル(Ms)…テオーヌ
リザンドロ・アバディ(Bs)…サトゥルヌ、エパフェス、ジュピテール
レア・トロメンシュラーガー(S)…クレメーヌ
アレクサンドル・エゴロフ(Bs)…メロプス
ヴィクトル・シャポヴァーロフ(Br)…プロテー、属国の王
アルフィヤ・ハミドゥリーナ(S)…第二の時
シリル・オヴィティ(T)…トリトン、太陽、大地の女神
ムジカエテルナ(合唱と管弦楽/古楽器使用)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ヴァンサン・デュメストル(指)

収録:2018年6月、ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
ブックレット:フランス語、英語、ドイツ語
【CD】 収録時間TTL 2時間29分
【DVD】 片面二層ディスク 2時間33分
字幕:英語、ドイツ語
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
リュリの全盛期の傑作『ファエトン』に、ヴァンサン・デュメストル率いるル・ポエム・アルモニークと、クルレンツィスの楽団ムジカエテルナの共演盤が 登場。作品の初演場所でもあるヴェルサイユ宮殿の歌劇場での上演、ソリストには古楽界で今最も注目されるメゾの一人ザイシクも参加す るなどとにかく豪華。しかもBelAirレーベルとの共同制作の映像付きで、デュメストルの信頼篤い古典演劇演出の俊才ラザールによる、トラ ディショナルとモダンの折衷ながら作品の世界観を崩さない舞台を美しい映像で楽しむことが出来ます。
CVS-016
トン・コープマン、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガンを弾く
1-7)クレランボー:第1旋法による組曲 〜『第1オルガン曲集』より
1) グラン・プラン・ジュ
2) フーガ
3) デュオ
4) トリオ
5) 低音部と高音部でトロンペット管またはコルネ管、対話形式
6) クロモルヌ管とコルネ管のレシ、対話形式
7) グラン・ジュによる対話
8)ダカン:スイスのノエル
9-11)L.クープラン:三つのオルガン作品
9) ファンタジア
10) デュオ
11) ファンタジア
12)ダカン:異国のノエル
13)F.クープラン:聖体奉挙:中音域で三度管 〜『修道院のミサ』より
14)ダカン:降誕節の到来〔ノエル〕
15)バッハ:われ汝の名を呼ぶ、主イエス・キリストよ BWV 639
16-22)クレランボー:第2旋法による組曲 〜『第2オルガン曲集』より
16) プラン・ジュ
17) デュオ
18) トリオ
19) 低音部でクロモルヌ管
20) フリュート管を使って
21) ナザル管のレシ
22) グラン・ジュによるカプリース
トン・コープマン(Org)
使用楽器:ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン
手鍵盤4段+足鍵盤/a’=415Hz
ロベール・クリコ1710年建造
(ジャン=ルー・ボワソー、ベルトラン・カティオー1994年復元)

録音:2019年5月19〜23日、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
ヴェルサイユ宮殿という歴史的建造物にある芸術的遺産は数知れず存在しますが、なかでも注目に値するのが旧体制時代にフランス王室 が宗教儀式に使っていた礼拝堂のオルガン。ロベール・クリコとその一族によって調えられてきたこの楽器は19世紀以降、カヴァイエ=コルや ゴンザレーといった近代の名建造家たちによってロマン派型に改築されてきましたが、1994〜95年に設置時のフランス古典型に復元されて います。ロマン派型のオルガンにも確かな歴史的存在意義があり、その状態で残されている楽器も多いフランスにあって、クリコが王室のため に手がけた楽器の響きを味わえるのはきわめて貴重なことです。 そんな近年の修復をへて、300年前の人々が聴いた音響を取り戻したヴェルサイユ王室礼拝堂の楽器を用いて、すでに巨匠の風格さえ漂 う名手トン・コープマンが、まさにバロック期当時のフランス音楽を厳選して演奏したアルバムが登場します。調律はパリ・ノートルダム大聖堂が 火災に見舞われる少し前、その歴史的オルガンも調整した関口格氏。1710年にこの楽器の落成記念演奏を手がけたフランソワ・クープラ ンの作品をはじめ、クレランボーの二つの組曲やルイ・クープランの稀少な小品など、豊かな経験を経た「今のコープマン」がみせる闊達にして 精妙な解釈で、みずみずしく甦るフランス音楽をお楽しみください。
CVS-017(DVD)
NX-D09
『ルイ14世の戴冠式』〜1654年6月7日、ランス・ノートルダム大聖堂に於ける戴冠式の音楽を、ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂にて再現

◆主な収録作品
アントワーヌ・ボエセ:Anna Mater matris
エティエンヌ・ムリニエ:Beata Dei genitrix / Cantate Domino / Agnus Dei /
Flores apparuerunt
オルランド・デ・ラッスス:O rex vivat !
アンリ・デュモン:In lectulo meo
カヴァッリ:Dixit Dominus / Sonate a douze、ほか
バスティアン・ドゥセ(指)
アンサンブル・コレスポンダンス(合唱、アンサンブル/古楽器使用)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター少年合唱団

収録:2019年6月 ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂
収録時間:1時間48分 日本語字幕無し 片面二層ディスク
映像:NTSC 16:9 All Regions
音声:Dolby Digital 5.1 & Stereo
様々なレーベルで多彩な録音を行っているアンサンブル・コレスポンダンス。Harmonia Mundiレーベルでリリースしたルイ14世を讃える『夜の 王のバレ』が大きなヒットとなった彼らがついに、その戴冠式の音楽を映像で収録しました。しかもルイ14世ゆかりのヴェルサイユ宮殿旧王室 礼拝堂での収録です。演奏陣もセルパンのパトリック・ヴィバールを初め、ソリスト級のアーティストが多数参加。曲は「ルイ13世の結婚式のた めのパヴァーヌ」による王の入場で始まり、当時の式典での演奏慣例曲を伝承曲も多く含んで式が進行され、最後は戴冠した王のために聖 堂の扉が開き、モテ「喜びなさい、大いに喜びなさい」が歌われて終わります。フランス王朝全盛期にあって、いまだ「フランス宮廷音楽」が産声 をあげはじめたにすぎなかった時代ならではの選曲となっており、イタリア感覚まじりの音楽に、より古い時代の伝統を感じさせるラッスス作品な ども出てきます。歴史遺産の宮殿で収録された映像ならではの、絢爛豪華な音楽物語をお楽しみください。
CVS-018(DVD)

NYDX-50065(DVD)
国内盤仕様
税込定価
モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り レア・デザンドル、エヴァ・ザイシク(S)
リュシル・リシャルド(A)
オリヴィエ・コワフェ、エミリアーノ・ゴンサレス・トロ、ザッカリー・ワイルダー(T)
ニコラ・ブローイマンス、ルノー・ブレ、ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
ピグマリオン(古楽器使用)
ラファエル・ピション(指)

収録:2019年2月 ヴェルサイユ宮殿旧王立礼拝堂
字幕:仏・英・独
収録時間:117分
音声:Dolby digital 5.1&Stereo
NTSC All-Regions 片面二層
【国内盤】
解説・歌詞日本語訳:白沢達生
今や、幼少の頃はじめて手に取る楽器がヴィオラ・ダ・ガンバやリュートであることも珍しくない古楽先進国フランス。その最前線をひた走る若 き敏腕指揮者ラファエル・ピションが信頼できる音楽仲間を集めたピグマリオンは、今もっとも来日が望まれている古楽グループのひとつ――そ の技量はおもに18世紀作品で発揮されてきましたが、ここに登場するライヴ映像にふれてみれば、いかに彼らがバロックの真髄をものにし、モ ンテヴェルディ特有の音楽世界ともこのうえなく相性抜群だったかがわかることでしょう。 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂のバロック内装を背景に彼らが繰り広げるモンテヴェルディ代表作のライヴは、教会での祈祷に供される作品本来 のあり方を意識させる映像冒頭の祈りから一転、序曲を成すトッカータとともに照明が変わり、礼拝を越えた音楽の力をいかんなく伝えてや みません。独唱者陣には今をときめくザイシクやトロも加わり、合唱に対して小ぶりに揃えられた器楽陣営の存在感も格別。目にする機会の 少ない古楽器の貴重な演奏図であることさえ忘れかかるほどの、惚れ惚れするような躍動感豊かな演奏……何度も聴きたくなる一作、今 こそ見ておきたい古楽映像です。
CVS-019(DVD)
NX-D09
『愛の気まぐれ』〜1600年前後、メディチ宮でのオペラの誕生

収録された作曲家:クラウディオ・モンテヴェルディ、ジュリオ・カッチーニ、クリストフォロ・マルヴェッツィ、ジローラモ・ファンティーニ、マルコ・ダ・ガリアーノ、ルカ・マレンツィオ、ヤーコポ・ペリ、アレッサンドロ・オロロジオ、ロレンツォ・アッレーグリ、ピエトロ・アントニオ・ジラーモ、ジョヴァンニ・バッティスタ・ブオーナメンテ、エミーリオ・デ・カヴァリエリ

構成:フランソワ=ルネ・マルタン
第1の幕間『愛の気まぐれ』
第2の幕間『アポロンの伝説』
第3の幕間『オルフェオの嘆き』
第4の幕間『恋人たちの踊り』
レア・デザンドル、エヴァ・ザイシク(S)
リュシル・リシャルド(A)
ダヴィ・コルニロ、エミリアーノ・ゴンサレス・トロ、ザッカリー・ワイルダー(T)
ニコラ・ブローイマンス(Bs)
合唱&管弦楽:ピグマリオン(古楽器使用)
コンサートマスター ジェローム・ヴァン・ワールベーケ(ヴァイオリン&リラ・ダ・ブラッチョ)
指揮:ラファエル・ピション

収録:2019年2月 ヴェルサイユ宮殿 鏡の間 (ライヴ)
字幕:仏・英・独
収録時間:107分
音声:Dolby digital 5.1&Stereo
NTSC All-Regions 片面二層
一般に音楽史をひもとくと、1600年前後にフィレンツェの芸術同人会カメラータがオペラを誕生させ…と語られますが、本作はそれよりもさらに 手前、1589年に行われたメディチ家の結婚式での音楽幕間劇『ラ・ペッレグリーナ』まで時間を遡り、オペラ前史が16世紀もかなり早い段階 から始まっていたという前提でプログラムを構成、モンテヴェルディはオペラ史がかなり展開したあと登場したことを示す選曲にしている点が注目 です。そうしたオペラ誕生の物語をライヴ映像で確認できる好企画です。 ルネサンス以降、フィレンツェのメディチ宮で行われる様々な出し物は、その豪華さでヨーロッパ中に有名なものでした。それらの幕間では音楽 と詩を組み合わせた質の高い劇が行われ、イタリア・オペラの土台が築かれたといえるでしょう。これを受け継ぎ、さらに深い表現と内在的な美 しさ、高い完成度で組み上げられたものが、1607年にモンテヴェルディが作曲した『オルフェオ』です。今回ピションは1600年頃の音楽から特 に華麗なものを選び、当時メディチ宮で行われた幕間劇を再現することを試みています。さらにはヴェルサイユ宮殿の鏡の間で収録されたこと で、さながら当時の栄華の只中にいるような感覚を味わうことの出来る、素晴らしい作品となっています。

CVS-020(DVD)
NX-D09

NYDX-50075(DVD)
国内盤仕様
ベルリオーズ:歌劇『ベンヴェヌート・チェッリーニ』〜ヴェルサイユ宮殿における演奏会形式ライヴ マイケル・スパイアーズ(T)…ベンヴェヌート・チェッリーニ
ソフィア・ブルゴス(S)…テレザ
マウリツィオ・ムラーロ(Br)…ジャコモ・バルドゥッチ
リオネル・ロット(Br)…フィエラモーザ
テレク・ナズミ(Bs)…教皇クレメンス7世
アデル・シャルヴェ(Ms)…アスカニオ
ヴァンサン・デルーム(T)…フランチェスコ
アシュリー・リッチェス(Bs)…ベルナルディーノ
ダンカン・ミードウズ…ペルセウス像
モンテヴェルディcho
オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティーク(古楽器使用)
ジョン・エリオット・ガーディナー(音楽総指揮)

収録:2019年9月8日、ヴェルサイユ旧王室歌劇場
字幕:日本語、仏語(歌唱言語)、英語、独語
収録時間:2時間53分
片面二層ディスク、NTSC、All Regions
画像:16:9
音声:ステレオ
ベルリオーズ復権に長く精力を傾けてきたピリオド系指揮者ガーディナー。歳を重ねてなお深みと輝きを増す音楽性そのまま、ロンドン交響楽 団との共演でも実績をあげている彼がヴェルサイユ宮殿に再び登場、19世紀作品のピリオド解釈に圧倒的アドバンテージを持つ自らの古楽 器集団オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティークとともに、作曲家が思い描いた「当時の響き」で宿命のオペラのライヴ収録に臨みま した。現代楽器でもなかなか全曲録音が出ない作品だけに、作曲者生前のモデルをふまえた古楽器での充実した演奏で映像化されるのは きわめて貴重です。 『幻想交響曲』の成功から数年後、自らを音楽に駆り立てた世界でもあるオペラの作曲に取り組んだベルリオーズが1838年に発表した『ベ ンヴェヌート・チェッリーニ』は、イタリアの伝説的彫刻家に光をあてた意欲作。しかし難局が多く初演は惨憺たるありさまで、その後リストによる ヴァイマール上演やロンドンでの上演などもありましたが、作曲家の生前には成功に至りませんでした。失敗の理由が演奏上の留意点の多さ にあったとすれば、ガーディナーをはじめ才人たちの意欲的な取り組みが実を結んだこの収録は、復権に大きく寄与しうる充溢度。あえての演 奏会形式で演出上の困難を回避しながら、ステージ上にピリオド楽器の楽団がそのまま配され、ベルリオーズが招かれ演奏した当時の内装 を復元した旧王室歌劇場のステージで演奏を繰り広げるという演出も見事です。歌手勢の迫真の歌にも息をのむ、映像作品であればこそ の好企画です。
CVS-021
ルベル、ボワモルティエ:2台のクラヴサンによる組曲
ルベル:音楽悲劇『ユリス』からの組曲
 舞踏さまざま/四大元素
ボワモルティエ:村のバレ 第1番
歌劇『ダフニスとクロエ』からの組曲
ルベル:田園の楽しみ
ロリス・バリュカン (クラヴサン)
クレマン・ジョフロワ (クラヴサン)
使用楽器:アントウェルペンのヨハンネス・リュッケルス1628年製(パリのニコラ・ブランシェにより1706年に拡張改修)/パリのフランソワ=エティエンヌ・ブランシェ1746年製

録音:2019年3月20-23日 ヴェルサイユ宮殿
フランス・バロック最盛期に活躍した二人の作曲家による作品を、2台のクラヴサン(Cemb)で演奏したアルバム。18世紀中盤にかけ、フラ ンス・クラヴサン音楽の語法が格段に華やかになってゆく時期の音楽の魅力が、歴史的楽器で最大限に伝えられます。使われている楽器は 2台ともヴェルサイユ宮殿に伝わるもので、ルイ15世の娘でクラヴサン演奏を愛したヴィクトワール王女の居室だった場所に置かれています。う ち1台は18世紀フランスで名高かったアントウェルペンのリュッケルス製。早い時期にヴェルサイユに持ち込まれ、やがてフランス・バロック型へ大 きな改修(ラヴァルマン)を受けています。もう1台の楽器にはパリの楽器製作者フランソワ=エティエンヌ・ブランシェによる1746年の署名があ り、ルイ15世の治世のパリにおける典型的な楽器。2台のクラヴサンがたいへん豪華に響き、『四大元素』の冒頭「カオス」の有名な不協和音 のインパクトも絶大です。
CVS-022

NYCX-10147
国内盤仕様
税込定価
マルティーニ(1741〜1816):ルイ16世に捧ぐレクィエム(1811) エルヴェ・ニケ指揮
ル・コンセール・スピリチュエル(合唱&合奏/古楽器使用)
コンサートミストレス:シュシャーヌ・シラノシアン/弦楽編成:6/6/5/5/3
アドリアーナ・ゴンザレス(S)
ジュリアン・ベール(T)
アンドレアス・ヴォルフ(Bs)

録音:2019年6月、ヴェルサイユ旧王室礼拝堂(フランス)
【国内盤】 日本語解説・歌詞訳付
ヴェルサイユ宮殿が推進するフランス音楽復興プロジェクトは、現代において滅多に名前が知られていない作曲家の復権にも大きな貢献を 果たしつづけています。予算をかけて録音に踏み切るということは、知らしめる意義がそこにあると関係者一同が認識してのこと。秘曲発掘に 実績ありのエルヴェ・ニケが新たに録音した今回のアルバムもまさにそうした実績に連なる1枚と言ってよいでしょう。この指揮者が手がけてき た知名度の低い作曲家たちのアルバムをひとつでもご存知の方なら、その意味は十二分にご理解いただけるに違いありません。 マルティーニという名の作曲家は18世紀に何人かいますが、ここに登場するのは不滅のヴォーカル・ナンバー「愛の喜びPlaisir d’amour」を 書いたことで知られるフランス随一の人気オペラ作曲家。マルティーニというのは筆名で本人はバイエルン生まれのドイツ人ですが、1765年に パリに出て以来飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を得、王室にも愛されながら革命期にも迫害を避けつつ第一線で活躍、あまりの人気にメユー ルやカテルら同時代人たちに妬まれ歌劇界を追われたものの、教会音楽で根強い支持を得ました。『レクィエム』はナポレオン治世下で書か れながら、王政復古後ルイ16世の遺骸再埋葬時に演奏され注目を集めた傑作。バス独唱の活躍もさることながら、充実した金管の響き などピリオド楽器でこそ真価のわかる音楽内容には、まさにニケという解釈者が絶好というほかありません。
CVS-023
ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン Vol.2 〜 ジャン=フランソワ・ダンドリュー(1681-1738):オルガン作品集 Vol.1〜マニフィカト、ノエルとその他のオルガン小品集
1-5.マニフィカト 第1番ニ短調
6.中音域に三度管 イ長調
7.ミュゼット ト長調
8-13.マニフィカト 第2番ト短調
14.「クリスマスがやってくる」
15.「ヨゼフよ、よく聞け」
16.「さて、マリアがわれらに言うには」
17.カリヨン、あるいは鐘
18-24.マニフィカト 第8番ト長調
25.半音階的フーガ
26.フーガ 「めでたし、星の海」
27-32.マニフィカト 第3番
33.復活祭のためのオフェルトリウム「主の息子ら、娘らよ」
ジャン=バティスト・ロバン(Org)

録音:2019年6月8-11日 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
1710年に完成したヴェルサイユ王室礼拝堂の大オルガン。1721年、その公式オルガニストの一人に任命されたジャン=フランソワ・ダンド リューによる、主に宗教的題材に基づく作品集。二度の大改修を含む度重なる改造で、当初の姿から大きく変化したオルガンも1995年に は可能な限り建造当時の形へと復元され、ここではダンドリュー自身が想定したであろう響きでそのノエル(クリスマスの俗謡にもとづくオルガン 曲)やマニフィカトなどを楽しむことができます。チェンバロ独奏曲以外はめったに演奏されないダンドリューの、オルガニストとしての本領を知るこ とができる貴重な企画です。 ここでオルガンを奏でるロバンは1976年生まれのフランス人。NAXOSにもオルガニストとしてクープランの作品集(8.557741)を録音している ほか、作曲家として残したアルバム(8.570892)も高く評価された多才なアーティストです。ここでもダンドリューの意図と楽器の特性を深く理 解し、たいへん聴き応えのある演奏を聴かせてくれています。
CVS-024
ヴェルサイユ宮殿旧王立礼拝堂の大オルガンによる、フランス・バロックの花束
ルイ・マルシャン(1669-1732):グラン・ディアログ ハ長調 - オルガン作品集第3巻 より
ラモー:コントルダンスとロンドー - 歌劇「レ・ボレアド」 より
賑やかなコントルダンス - 歌劇「レ・ボレアド」 より
ダンドリュー(1682-1738):復活祭のためのオフェルトリウム「主の息子ら、娘らよ」 - オルガン作品集第1巻より
フランソワ・クープラン:第1キリエ - 修道院のためのミサ曲 より
ニコラ・ド・グリニー(1672-1703):第3のレシ - オルガン作品集第1巻 グローリア より
リュリ:歌劇「アティス」 序曲
ミシェル・コレット(1707-1795):アレグロ - 協奏曲 第2番Op. 26 イ長調 より
アダージョ - 協奏曲 第2番Op. 26 イ長調 より
ジーグ アレグロ - 協奏曲 第2番Op. 26 イ長調 より
ダングルベール(1629-1691):リュリの歌劇「アルミード」によるパッサカーユ
ラモー:ラ・リヴリ 優雅なロンドー - コンセールによるクラヴサン曲集 第1巻 より
未開人たち - 歌劇「優雅なインドの国々」 より
リュリ:眠りのエール「眠れ、みんな眠れ」 - 歌劇「アティス」 第3幕 より
シャルパンティエ:前奏曲 - テ・デウム H146 より
パーセル:わたしが地中に横たえられた時 - 歌劇「ダイドーとイニーアス」 より
ヘンデル:シンフォニア「シバの女王の入場」 - オラトリオ『ソロモン』 より
ガエタン・ジャリ (Org)

録音:2019年6月23-25日 ヴェルサイユ宮殿旧王立礼拝堂
1710年に完成したヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン。二度の大改修を含む度重なる改造で、当初の姿から大きく変化したオルガン も1995年には可能な限り建造当時の形へと復元されました。ヴェルサイユ宮殿のレーベルで続くそのオルガンの素晴らしさを伝えるシリーズ に、自ら主宰するアンサンブル、マルグリット・ルイーズと共に素晴らしい声楽作品をこれまでリリースしてきたガエタン・ジャリが登場。オルガンのた めのオリジナルから管弦楽や声楽曲の編曲まで、フランス・バロックの名曲をたっぷりと聴かせています。ラストにはパーセルとヘンデルの作品も 収録し、伝えきらなかったオルガンの特性を引き出しました。礼拝堂全体を派手に鳴らすものから、繊細な綾を表現する作品まで、バロック音 楽の多様さとヴェルサイユの歴史あるオルガンの魅力が詰め込まれたアルバムです。
CVS-025
ヴェルサイユ旧王室礼拝堂の大オルガン Vol.3『ヴェルサイユのバロック・クリスマス』
ピエール・ダンドリュー(1664-1733):家畜にえさを与えよ
クロード・バルバストル(1724-1799):陽気な羊飼いはいずこへ行くのか
 :ヨゼフはよい妻をめとり
 さて、マリアがわれらに言うには
ジャン・フランソワ・ダンドリュー(1681-1738):果てしない願いを擁く者たちよ
ルイ・クロード・ダカン(1694-1772):救い主イエス・キリストよ
 幼い娘
クロード・バルバストル:クリスマスがやってくる
ミシェル・コレット(1707-1795):シャトルの市民たちはみな
ルイ・クロード・ダカン:アダムはあわれな男でした
ガエタン・ジャリ(Org、指)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター少年少女cho

録音:2019年6月23-25日 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
1679年、ヴェルサイユ宮殿内の新しい王室礼拝堂に据えるため、ルイ14世の命により建造が計画された大オルガン。しかし礼拝堂そのもの の建築の遅れや中断、計画の変更に伴いオルガンの様式も変更を余儀なくされ、遅れに遅れて1710年に落成し、フランソワ・クープランの 演奏でお披露目がなされました。このオルガンはその後、二度の大改修を含む度々の改修と修復が行われ当初の姿からはだいぶ変わってし まっていましたが、1989年に一旦取り外されたのち、1994年から95年にかけて可能な限り1710年の状態に戻す修復が行われています。 このアルバムは、そんなヴェルサイユ宮殿のかつての王室礼拝堂にあるオルガンの魅力をフルに伝えようという企画の第3弾。今回は器楽のみ ならず声楽陣も含めた古楽合奏団マルグリット・ルイーズを主宰するガエタン・ジャリによるオルガン演奏と、高い歌唱技術に支えられた美しさ と素朴な明るさを併せ持つ子供たちの合唱との共演により、フランス・バロックのクリスマス合唱作品を雰囲気たっぷりに味わうことができます。
CVS-026(3CD)
NX-D07
ラモー:「レ・ボレアド」(1763) 全5幕の叙情悲劇 アルフィーズ…デボラ・カシェ (S)
セミル…カロリーヌ・ウェイナンツ (S)
アバリス…マティアス・ヴィダル (T)
カリシス…ベネディクト・クリスティアンソン (T)
アダマス…ブノワ・アルヌール (Br)
ボリレ…トマーシュ・シェルツ (Bs-Br)
ボレ…ニコラス・ブローイマンス (Bs)
アポロン…ルーカシュ・ゼマン (Br)
愛…ヘレナ・ホゾヴァ (S)
ポリムニ…パヴラ・ラドストヴァー (S)
第1のニンフ…アンナ・サヴィシャ (S)
第2のニンフ…テレザ・マリチュカヨヴァー (S)
ヴァーツラフ・ルクス(指)
コレギウム1704(管弦楽と合唱/古楽器使用)

録音:2020年1月23-25日 ヴェルサイユ宮殿旧王立歌劇場
1763年、七年戦争終結の祝賀のために作曲された「レ・ボレアド」は、その素材をギリシャ神話から取っており、北風の神ボレアスを信奉する ボレアドと呼ばれる人々の女王が、身分違いの恋を貫いた末にそれを勝ち得るという物語。どうしたわけか初演はキャンセルされ、その後すぐに 当時のオペラ座(サル・デュ・パレ・ロワイヤル)が火災に見舞われたうえ、翌1764年にはラモーが亡くなってしまい、上演の機会を得られないま ま国立図書館に200年ものあいだ眠ることとなりました。その初演は1964年、フランスの放送局ORTFにてラモーの没後200年記念事業と して放送。舞台での初演は1982年にジョン・エリオット・ガーディナーの手によって行われ、同年録音もなされています。2003年にはウィリア ム・クリスティ指揮による舞台の映像収録もありましたが、管弦楽のみの組曲版ではない全曲録音はそれ以来現れず、今回のヴァーツラフ・ル クスによる録音はその後の研究成果をふまえての貴重なものです。また、ヴェルサイユ宮殿内の歌劇場(その完成はこの歌劇の作曲より後と はいえ)での録音という点でも意味のあるものと言えるでしょう。古典派時代と言ってよい頃の作ということもあり、クラリネットやホルン、打楽器 などを動員したラモーならではの管弦楽センスが映える、当時としては最大編成のオーケストラを生き生きとした古楽器演奏で聴ける点も魅 力。独唱陣は、近年活躍目覚ましくル・ポエム・アルモニークによる「アレグリ:ミゼレーレ」(ALPHA438/NYCX-10093)でもソプラノのトップ を堂々務めたデボラ・カシェを始め、レオナルド・ガルシア・アラルコンやセバスティアン・ドゥセらの信頼篤いカロリーヌ・ウェイナンツなどの実力派を 揃えており、その瑞々しい歌唱がラモー最晩年の不遇の傑作に若々しい躍動感とキレを与え、作品の真価を問う素晴らしい演奏に仕上げて います。
CVS-027
リュリ:クロード・バベロン(不明-1715):王の親衛隊のための行進曲
抒情悲劇「プシュケ」 LWV 45
第5幕 最終場 - トランペット群と弦楽によるエコー形式の前奏曲
牧歌劇「ヴェルサイユの洞窟」 LWV 39(1667あるいは1668年ヴェルサイユ/台本: フィリップ・キノー)
抒情悲劇「プシュケ」 LWV 45 第5幕 最終場
- マルス神の信奉者による第1のエール
抒情悲劇「プシュケ」 LWV 45 第5幕 最終場 - 同、第2のエール
コメディ=バレ「ジョルジュ・ダンダン、あるいはやり込められた夫」 LWV 68(1668年6月18日ヴェルサイユ/台本:モリエール)
「ヴェルサイユの洞窟」
ダヴィッド・ヴィチャック(Br)…シルヴァンドル
アントナン・ロンドピエール(T)…コリドン
フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)…メナルク
ジュリエット・ペレ(S)…イリス
ダヴィド・ギラルディ(T)…ダフニス
ランセロ・ラモット(T)…リカス
セシル・アシール(S)…第1の女羊飼い/エコー
ヴィルジニー・トマ(S)…第2の女羊飼い
「ジョルジュ・ダンダン」
カロリーヌ・アルノー(S)…クリメーヌ
ヴィルジニー・トマ(S)…クロリス
フランソワ=オリヴィエ・ジャン(T)…-ティルシス/羊飼い
ダヴィッド・ヴィチャック(Br)…フィレーヌ
ヴィルジル・アンスリ(Bs-Br) -バッコス神の仲間
カロリーヌ・アルノー, ジュリエット・ペレ, ダヴィド・ギラルディ,
ギヨーム・グティエレス(T)…恋神に従う者たちの合唱
マルグリット・ルイーズ (合唱/管弦楽 古楽器使用)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年2月26-28日 ヴェルサイユ宮殿、十字軍の間
17世紀フランス宮廷で宮廷楽長として絶大な地位を誇ったリュリによる、モリエールとキノーという17世紀屈指の劇作家たちの演劇2作に添 えられた音楽を中心としたアルバム。いずれも演劇として物語が進行する合間にリュリの音楽が挟まれていくという趣向で、そのための音楽部 分のみを収録しています。演奏機会もそれほど多いとは言えない貴重な作品を、初演時の王室とゆかりの深いヴェルサイユ宮殿で制作され たフランス古楽器勢による新録音で聴けるのは貴重です。「ヴェルサイユの洞窟」は、宮殿内にある人工洞窟にまつわるお話で、台本はリュリ と組んで多くの傑作を生んだ詩人フィリップ・キノー、「ジョルジュ・ダンダン」は成り上がりものの主人公が、頭は切れるが浮気者の若妻にさんざ ん振り回されるという喜劇で、台本は人気作家のモリエール。彼は初演時に自ら主人公ダンダン氏役で舞台にあがり、劇中に挿入された牧 歌劇を歌う歌手たちと共演しました。「プシュケ」からの景気の良い音楽も取り混ぜて、ガエタン・ジャリ率いるマルグリット・ルイーズによる華麗 極まりない演奏でお楽しみいただけます。録音も、豪華絢爛な装飾で知られるヴェルサイユ宮殿内の「十字軍の間」で行われたものです。
CVS-028
(1CD+DVD)
NX-D07
アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリ(1741-1813): 「獅子心王リシャール(リチャード)」 全3幕のオペラ・コミーク (1784) ブロンデル…レミ・マチュー(テノール/DVD)、エンゲルラン・ド・イス(テノール/CD)
リシャール…レイナウト・ファン・メヘレン(T)
ローレット…メロディー・ルルジャン(S)
アントニオ、伯爵夫人…マリー・ペルボー(S)
ウイリアム…ジョフロワ・ビュフィエ(Bs)
ユルバン、フロレスタン、マチュラン…ジャン=ガブリエル・サン=マルタン(Br)
ギヨー、シャルル…フランソワ・パルダイレ(T)
マチュラン夫人…セシル・アシール(S)
執事…シャルル・バルビエ(C.T)
コレット…アガート・ブデ(S)
ベアトリクス…ヴィルジニー・ルフェーヴル(S)
ル・コンセール・スピリチュエル(合唱、管弦楽/古楽器使用)
王立歌劇場舞踏団
エルヴェ・ニケ(指)

収録:2019年10月 ヴェルサイユ宮殿王立歌劇場
【CD】 収録時間:73分
【DVD】
収録時間:87分 NTSC All regions 片面二層ディスク
字幕:仏語、英語、独語
音声:Stereo & Dolby Digital 5.1
18世紀後半のフランスで最も愛された作曲家で、マリー=アントワネットの寵を受けながらフランス革命後も絶大な人気を保った、ベルギー出 身のグレトリ。19世紀以降も衰えなかった人気は、ユーロ導入前の故郷ベルギーで高額フラン紙幣にその肖像が使われたり、フランコ・ベル ギー派の作曲家ヴュータンのヴァイオリン協奏曲第5番にその旋律が使われていたことにも示されています。そのヴュータン作品の典拠になった ほか、ベートーヴェンがピアノのための変奏曲に仕上げたブロンデルのロマンス「燃える情熱」、チャイコフスキーが歌劇「スペードの女王」で引用 したローレットのアリア「夜になるとあの人と話すのが怖い」、フランス革命のなか王政主義者の間で歌われたブロンデルのアリア「おおリシャー ル、おお我が王」などを含む音楽史上の重要作品が、彼の代表作のひとつ「獅子心王リシャール」。戦いと冒険に明け暮れたと伝わるイングラ ンド王リチャード1世、通称獅子心王リチャード(フランス読みでリシャール)の救出劇を描いたこの作品は、台詞をはさんで進行するオペラ・コ ミーク初期を代表する記念碑的作品にもかかわらず、録音・映像が意外なほど出てきませんでした。今回のアルバムは滅多に表れない古楽 器での録音としてもきわめて貴重で、18世紀フランス語オペラに名盤多数のニケのチームがこれを手がけている意義は計り知れません。しかも 今回はCDとDVDのセットで、映像の舞台演出は古典的演出に定評のあるピンコスキという豪華さです。ニケの演奏も力強さ漲る素晴らしい もの。豪華な歌手陣と詳細な時代考証に支えられた躍動感溢れる力演をお楽しみください。
CVS-029
(1CD+DVD)
『国王御就寝』 〜ルイ14世の寝室に響いた「入眠の宮廷音楽」〜
1. プレリュード〔ヴェルサイユの写本より〕(ド・ラランド)
2. 王の偉大なる楽曲〔『美しき合奏曲さまざま』(1695)より〕(ド・ラランド)
3. プレリュード〔ワルシャワ音楽協会図書館の『クラクフ写本』より〕(ルモワーヌ)
4. 薄暗く、人の気配なく〔『さまざまな作曲家による第1エール集』(1659)より〕(伝ランベール)
5. アティスの嘆き〔フランス国立図書館の写本より〕(リュリ/編曲者不詳)
6-12. 組曲 ト長調〔『アティス』『アルセスト』『愛の勝利』『ミューズたちの舞踏劇』抜粋
 フランス国立図書館の写本、および『リュリ氏の合奏組曲とトリオ』(1713)より
 一部フィリドールのトリオ[11]を含む〕(リュリ/フィリドール編)
13. 陽気なアルマンド「ラ・ミュティーヌ(反乱者)」〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
14. ああ! 誰が大人しく待っておれましょう〔『さまざまな作曲家による第11エール集』(1668)より〕(ル・カミュ)
ラ・コンヴェルサシオン(語らい)〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
マルクス=アントニウスとクレオパトラの対話〔『1、2、3、4声のための通奏低音付エール集』(1689)より〕(ランベール)
プレリュード〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
嘆き〔『トリオによる作品集』(1694/1707)より〕(ド・ラ・バル)
町人貴族』のアルルカンたちのシャコンヌ〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(リュリ/編曲者不詳)
ジグ、リゴードンとブランル(『トリオによる作品集』(1692)より)(マレ)
パッサカーユ〔『ヴォドリ・ド・セズネ写本』(1699)より〕(ド・ヴィゼー)
夜は好きに過ごさせて〔『2、3声のためのエール集』(1678)より〕(ル・カミュ)
子守唄、または揺り籠に寄り添う恋の神〔『クラヴサン曲集 第3巻』(1722)より〕(クープラン)

【DVD】
1. プレリュード (ド・ラランド)
2. 王の偉大なる楽曲 (ド・ラランド)
3. エール「夜は辛く長いので」(ド・ラランド) *
4. プレリュード (ド・ヴィゼー)
5. 薄暗く、人の気配なく (伝ランベール)
6. 四重奏ソナタ 作品1より(ドルネル) *
7. エール「ああ!辛苦のあまりの激しさに」(ランベール) *
8. トリオ・ソナタ第 4番ヘ短調 Op.3-4 (オトテール) *
9. エール「愛されているためには」 (ランベール) *
10. アティスの眠りのサンフォニー (リュリ)
11. 夜は好きに過ごさせて (ル・カミュ)
12. 子守唄、または揺り籠に寄り添う恋の神 (クープラン)
*=CD未収録作品
ダナエ・モニエ、ユジェニー・ルフェビュール**(S)
マルク・モイヨン*、エティエンヌ・バゾラ**(Br)
ジョゼフ・コッテ、川久保洋子、ビルジット・ゴリス**、バトリス・リノン**(Vn)
トマ・ルコント、ヴァレリー・バルサ(フラウト・トラヴェルソ)
ミリアム・リニョル、マティルド・ヴィアル(ドシュ&バス・ド・ヴィオル)
ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオル)
アントワーヌ・トゥーシュ(バス・ド・ヴィオロン)**
カロリーヌ・リービ(バロックハープ)**
セバスティアン・ドゥセ(クラヴサン)
ロマン・ファリク(テオルボ風リュート、バロックギター)*
ティボー・ルーセル(テオルボ、バロックギター、総指揮)
*CDのみ **DVDのみ

CD録音:2019年7月15-18日、ヴェルサイユ宮殿 (74分)
DVD収録:2020年6月22日、ヴェルサイユ宮殿(カラーNTSC、All regions、片面二層、59分)
ルイ14世は洗練された文化人たちを王室に集め、建築や美術、練兵や服飾のみならず音楽においても最高級の粋に囲まれました。しかも その宮廷生活を公に披露し、衆人見守るなか絢爛な音楽を奏でさせ食事をしたり、寝室に向かったりしています。そして最後はマレやド・ヴィ ゼーらごく数人の秀でた楽人たちだけを寝室に連れ、眠りに落ちるまで音楽を奏でさせたそうです。本盤はそこで王が聴いたであろう、昔日の 栄光と安らぎを演出する楽曲を入念に選曲。フランス語圏の古楽界で多忙な活躍を続けてきた実力派たち(トラヴェルソのヴァレリー・バルサ やヴァイオリンの川久保洋子など多くの一流アンサンブルで見かける奏者ばかりです)が本気で「昔日の安らぎ」を追求した演奏を、Alpha初 期の名盤群で知られる自然派録音技師ユーグ・デショーによるエンジニアリングで生々しく収録しました。結果それが王者の豊かさで快眠をも たらすか、むしろ脳を刺激されて聴き入ってしまうかはあなた次第……ヴェルサイユ・バロック音楽センターの碩学トマ・ラコントによる充実解説 (英独訳付)のほか、絢爛の極致ともいうべき史跡ヴェルサイユ宮殿でのライヴを収録したDVDが添えられているのも嬉しいところです。
CVS-030
(2CD+DVD+Bluray)
NX-D11
モーツァルト:歌劇「魔笛」
フランス語歌唱
台本…エマヌエル・シカネーダー
パミーナ…フローリー・ヴァリケット(S)
タミーノ…マティアス・ヴィダル(T)
パパゲーノ…マルク・スコフォニ(Br)
夜の女王…リザ・モスタン(S)
ザラストロ…トミスラフ・ラヴォワ(Bs)
パパゲーナ…ポリーヌ・フェラッチ(S)
モノスタトス…オリヴィエ・トロマンシュラーゲル(T)
夜の女王の侍女1…シュザンヌ・ジェローム(S)
夜の女王の侍女2…マリー・ゴートロ(Ms)
夜の女王の侍女3…メロディ・リュヴィオ(C.A)
神託の声…マチュー・ルクロアール(Br)
神官1…マチュー・シャピュイ(T)
神官2…ジャン=クリストフ・ラニエス(Br)
童子1…エマ・ド・ラ・サル(S)
童子2…タニーナ・ラウス(S)
童子3…ガランス・ラポルト・デュリエ(S)
幼少のタミーノ…デジレ・リュベク(Boy-S)
ル・コンセール・スピリチュエル (合唱、管弦楽/古楽器使用)
エルヴェ・ニケ(指)
演出…セシル・ルーサ、ジュリアン・リュベク

収録:2020年1月、ヴェルサイユ王室歌劇場
収録時間:142分11秒(CD)/2時間29分(DVD&Blu-ray)
【DVD&Blu-ray】
字幕:フランス語、英語、ドイツ語
NTSC Region All
映像:16:9
音声:STEREO & 5.1ch (詳細不明)
バロックの知られざる声楽曲の大作を数多く蘇演し、ヘンデル、ボワモルティエ、リュリ、デトゥーシュ、ヴィヴァルディ、カテル……と有名無名にか かわらず痛快なステージや録音に仕上げるフランス古楽界の異才エルヴェ・ニケ。近年はサン=サーンスやダヴィドなど19世紀フランス・ロマン 派の舞台作品でも鮮烈な演奏で多くの人々を魅了していますが、その圧倒的なパフォーマンスは舞台演出や映像との相性も抜群。今回の 「魔笛」は近年躍進めざましい演出家ルーサ&リュベクによる、バンド・デシネ(フランス大衆漫画)のアニメーションも組み込んだ独特なステー ジになっていますが、何より注目すべきはニケが自らの母語であるフランス語の台本でこの傑作をとりあげたこと。言語が変わるだけで一転、 モーツァルトの古典美にケルビーニの革命期オペラやグレトリーのオペレッタにも通じるフランス的色彩感とスリルが加わり、演奏陣の物語への傾 倒ぶりとあいまって痛快な演奏効果がもたらされます。夜の女王を演じるリザ・モスタンも堂々の歌唱。モノスタトス役のオリヴィエ・トロマンシュ ラーゲルが繰り出す古典発音のおかしみも独特の趣きを演出に添えています。傑作のありようを問い直す、古楽系指揮者の真骨頂発揮とも 言えるプロジェクト。映像とCDが揃ったセットでの発売です。
CVS-031(2CD)
NX-D07
ラモー:『優雅なインドの国々』 序幕付き全3幕の舞踏歌劇(1761年版) アンナ・カンタンス(S)…エベ(婚礼の女神)、ジマ
エマニュエル・ド・ネグリ(S)…エミリー(女奴隷)、ファニ
ジュリー・ロゼ(S)…アモール(恋の神)
マティアス・ヴィダル(T)…ヴァレール、ドン・カルロス、ダモン
アレクサンドル・デュアメル(Br)…ウアスカル
エドウィン・クロスレ=メルセ(Br)…ベローヌ(諍いの神)、ドン・アルヴァル
ギヨーム・アンドリュー(Br)…太守オスマン、アダリオ
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器使用)&cho
ヴァランタン・トゥルネ(指)

録音:2019年11月14-16日&2020年6月26-27日 ヴェルサイユ宮殿、フランス
最も若い世代からシーンを瞠目させるグループが続々登場するフランス古楽界ですが、大規模なプロジェクトを続々成功させ専門家たちの注 目を急速に集めつつある1996年生まれの俊才ヴァランタン・トゥルネが率いるラ・シャペル・アルモニークはまさにその最注目株といっても過言 ではないでしょう。各地の音楽祭から次々と招かれ、バッハの『マニフィカト』初稿版(CVS009/日本語解説・訳詞付NYCX-10097)で CDデビューしたのが2019年。そのときのパートナーでもあったヴェルサイユ宮殿主宰のレーベルから、まさに彼らの自家薬籠中のレパートリーと も言うべきフランス18世紀作品の、それも名曲中の名曲の注目新録音が登場します。齢50を過ぎて歌劇作曲家としてデビューしたばかりの ラモーに大きな名声をもたらし、18世紀の間も幾度となく再演された傑作『優雅なインドの国々』(「インド」とは18世紀フランスの人々にとって の「異国」あるいは「異教徒の世界」という意味で、南米やトルコ、アフリカ大陸などが舞台になりながら実際のインドは出てきません)……ラ モー晩年の1761年に再演された時の「インカとペルー」の幕から始まる異版が使われているのも特徴のひとつです。フランス語話者たちならで はの音楽の造形への親和性が活きる、その丁寧な解釈から立ち上る香気と豊かな活気はまさに今の彼らならではのもの。細部まで聴き深め 甲斐のある充実の演奏に仕上がっています。
CVS-032
『怒りの日』 ジャン=バティスト・リュリ: グラン・モテ集Vol.1
怒りの日 LWV 64
おお涙よ、信徒の涙よ LWV 26
深き淵より LWV 62
ステファーヌ・フュジェ指揮 レゼポペー(古楽器使用)【クレール・ルフィリアトル(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
シリル・オヴィティ、セルジュ・グビウ(オートコントル〔高音テノール〕)
マルク・モイヨン(ターユ〔テノール〕)
ブノワ・アルヌー(バス=ターユ〔バリトン〕〕他】

録音:2020年7月10-12日 ヴェルサイユ宮殿 旧王室礼拝堂
グラン・モテとは17世紀のフランスで発祥した、合唱に比較的大規模な合奏が加わる教会声楽曲のこと。太陽王ルイ14世の宮廷楽団総 監督となったリュリが手がけたものは、洗練された手法で弦楽器や管楽器の響きを重ね、劇的起伏に満ちた素晴しい音世界がくり広げられま す。その栄華の現場でもあったヴェルサイユ宮殿の王室礼拝堂を拠点に、かの大作曲家が残したグラン・モテの数々を体系的に録音してゆく シリーズがスタート。本場フランスの古楽シーンでも定評あるステファーヌ・フュジェのもと、弦楽パートは大小のヴィオラやバス・ド・ヴィオロンなど、 フランス17世紀ならではの楽器を巧みに奏でる総勢22人の大編成。管楽器ではリコーダー奏者7人(うち4人はオーボエまたはバスーン持ち 替え)に低音楽器セルパンが加わり、重厚にして味わい深い響きをオルガン、クラヴサン(Cemb)と2挺のテオルボまで動員した通奏低音 勢が支える合奏。21人からなる合唱団には、ル・ポエム・アルモニークの初期メンバーとしても知られるルフィリアトル、グビウ、アルヌーといった 超実力派たちが参加しています。一聴して「本場」を感じる求心力の強い演奏は、並み居る競合盤を顔色なからしめるほどの存在感にあふ れたもの。「Vol.1」と銘打たれていることに早くも頼もしさを感じる充実の録音で、指揮者自ら書き下ろした解説文(英訳あり)も読みごたえ 十分です。
CVS-033

NYCX-1020
国内盤仕様
税込定価
ペルゴレージ:スターバト・マーテル(悲しみの聖母)
ヴィヴァルディ:モテット「いとも正統なる怒りに燃え」 RV 626
 ヴァイオリン,オルガンとチェロのための協奏曲 ハ長調 RV 554a
 スターバト・マーテル(悲しみの聖母) RV 621
サミュエル・マリーニョ(男声ソプラノ)
フィリッポ・ミネッチア(アルト=カウンターテナー)
マリー・ファン・レイン(Org&指)
ヴェルサイユ旧王室歌劇場O(古楽器使用)
ヨセフ・ジャーク(Vn)
アリス・コカール(Vc)

録音:2020年6月19-20日、ヴェルサイユ宮殿旧王室礼拝堂
【国内盤】日本語解説・歌詞訳付き
バロック後期の傑作、26歳で早世したナポリの天才作曲家ペルゴレージによる「スターバト・マーテル」。その絶大な人気の一端を支えたのが パリで、18世紀中盤以降この作品は定期演奏会コンセール・スピリチュエルで最も頻繁に取り上げられた曲目の一つでした。当時の教会音 楽は男声で歌われることが圧倒的に多く、イタリア・オペラの舞台を賑わせた人気のカストラート(去勢男声高音歌手)たちに抵抗感を示す 人が多かったフランスでさえ、ルイ15世の礼拝堂歌手だった男声歌手たちがこの作品を歌って大成功を収めたほど。ベネズエラ出身で欧州 各地の歌劇場を沸かせており、先ごろORFEOからソロ・デビュー盤(C998201)もリリースしたサミュエル・マリーニョと、カウンターテナー界で着 実に知名度をあげつつあるフィリッポ・ミネッチアの二人が歌うこの傑作、ヴェルサイユに集う精鋭古楽陣が検証の末たどり着いた小編成による 演奏もみごとな仕上がり!併録作にヴィヴァルディの独唱のためのモテットと「スターバト・マーテル」、さらにオルガンが弦楽器のソロとわたりあう 珍しい協奏曲まで収録されているのも嬉しいところです。解説にも作品成立背景が端的に説明されており、18世紀の傑作が当時の人々に どう聴こえたのか、ヴェルサイユの歴史的会場の響きで追体験できる充実企画です。
CVS-034

NYCX-1021
国内盤仕様
税込定価
F.クープラン&ド・ラランド
フランソワ・クープラン:聖水曜日のための第1ルソン
 聖水曜日のための第2ルソン
 聖水曜日のための第3ルソン
ミシェル=リシャール・ド・ラランド(1657-1726):第4の賛歌: 正しき者たちの幸福と見放された者たちの不幸について
フランソワ・クープラン:謝肉祭主日のためのモテ: 甦った救世主の勝利
ソフィー・ユンカー(S)、
フロリー・ヴァリケット(S)
ヴェルサイユ旧王室礼拝堂O(古楽器使用)【リュシル・ブーランジェ(バス・ド・ヴィオル)、リス・コカール(バス・ド・ヴィオロン)、ピエール・リンデルクネシュト(テオルボ)】
ステファーヌ・フュジェ(クラヴサン、オルガン・指揮)

録音:2020年6月13-17日 ヴェルサイユ旧王室礼拝堂
※ 国内盤には日本語解説・歌詞訳付き
クラヴサン(Cemb)音楽の大家として知られるクープラン。生前はオルガニストとしても活躍し、教会音楽でも傑作を少なからず残していま す。そのなかでも出色の名品として名高い『ルソン・ド・テネブル』は、復活祭前の節制期間である受難節の最後の週、未明に唱えられてい た旧約聖書『哀歌』の詩句にもとづく静謐な音楽。受難節の音楽はできるだけ楽器を減らして質素にとりおこなうのが常だった当時、通奏低 音だけを伴った独唱・二重唱で驚くほど豊かな音世界が紡がれるこの名品3編は過去にも録音が少なくないところ、フランス古楽界で活躍 する精鋭がヴェルサイユに集いじっくり録音した今回のアルバムは、その馥郁たる香気漂う響きで強い魅力を放っています。クープランと同時 代を生き、リュリの後を受けてルイ14世の王室礼拝堂をまとめたド・ラランドの貴重なプティ・モテが併録されているところも魅力。古楽の世界 でも欧州歌劇界でも着実に注目度を高めつつあるベルギー出身のソフィー・ユンカー、ALPHAレーベルにソロ録音も多いヴィオルのリュシル・ ブーランジェら注目のプレイヤーたちを、フランスの古楽器世界で確かな信頼を集めるステファーヌ・フュジェがあざやかにまとめています。また、 国内盤はかなり稀少な作品です。
CVS-035
F.クープラン:ヴィオール作品集
組曲 ホ短調
幸せな思いつき(テオルボ独奏版)
ラ・メザンジェール(二つのヴィオールとテオルボ版)
ティク=トク=ショクまたはオリーヴ圧搾機:ロンド(二つのヴィオール版)
ラ・シャゼ(ヴィオール、クラヴサンとテオルボ版)
森の精たち(ロベール・ド・ヴィゼー〔1655-1732〕編曲によるテオルボ独奏版)
ラ・メヌトゥー:ロンド(ヴィオール、クラヴサンとテオルボ版)
組曲 イ短調
ねんね、または揺り籠の天使:ロンド(ヴィオールとテオルボ版)
マティルド・ヴィアル、ルイーズ・ブド=マレ(バス・ド・ヴィオール)
ティボー・ルーセル(テオルボ、バロックギター)
セバスティアン・ドゥセ(クラヴサン)

録音:2019年6月24-27日 ヴェルサイユ宮殿「ヴィクトワール王女の大広間」
フランス古楽の世界において、パリやストラスブールと並ぶ古楽教育の拠点として知られる南仏リヨンの音楽院で、名手マリアンヌ・ミュレールに 師事したヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)奏者マティルド・ヴィアルが、同門のルイーズ・ブド=マレ、多忙な古楽撥弦楽器奏者ティボー・ルーセ ル、そして音楽学者としてもバロック声楽の指揮者としても世界的な信望を集めているクラヴサン(Cemb)奏者、セバスティアン・ドゥセという 豪華な共演陣を得ておくる、フランソワ・クープランのヴィオール作品集。クラヴサン独奏曲の数々で知られるクープランは、フランス生粋の室内 楽伝統に連なるヴィオールと通奏低音のための組曲集も刊行しましたが、ここでは二つの組曲のほかにクラヴサン独奏曲を原曲とするメンバー による編曲も数多く収録。ルーセルの細やかな撥弦が光る独奏曲も交え、クープランの作品がいかに弓奏弦楽器でもなじみやすいものであっ たか、さまざまな角度から解き明かしてゆきます。有名な「オリーヴ圧縮機」で二つのヴィオールの弓使いから繰り出される規則的な音の重な り、「ねんね、または揺り籠の天使」での撥弦と弓奏の優しい寄り沿い合いなど、フランス古楽勢ならではの作品との親和性でこのうえなく優美 なバロック世界が展開してゆく見過し難いアルバムです。
CVS-036
(2CD+DVD+Bluray)
NX-D11
コリリアーノ:歌劇「ヴェルサイユの幽霊」 フローレスティン…エミリー・ミシュ(S)
スザンナ…カイラ・シエンビーダ(Ms)
パトリック・オノレ・ベジャールス…クリスチャン・サンダース(T)
マリー・アントワネット…テレサ・ペロッタ(S)
ボーマルシェ…ジョナサン・ブライアン(Br)
レオン…スペンサー・ブリテン(T)
アルマヴィーヴァ伯爵…ブライアン・ウォーリン(T)
ルイ16世…ピーター・モーガン(Bs-Br)
フィガロ…ベン・シェーファー(Br)
ロジーナ…ジョアンナ・ラティーニ(S)
グリマーグラス・フェスティバルcho、ダンサーズ
ヴェルサイユ王室歌劇場O
ジョセフ・コラネリ(指)

収録:2019年12月7、8日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:145分75秒(CD) (CD1…75分43秒/CD2…70分2秒)
2時間29分(DVD、Blu-ray)

【DVD/Blu-ray】
字幕…英語(歌唱言語)、フランス語、ドイツ語
NTSC All-region 片面二層ディスク Stereo(2.0ch)
1991年、メトロポリタン歌劇場の委嘱により書かれた「ヴェルサイユの幽霊」。「セビリアの理髪師」「フィガロの結婚」に続く第三作として、ボー マルシェによって書かれた「罪ある母」を下地に、舞台をフランス革命後の荒廃したヴェルサイユ宮殿に置き換え、マリー・アントワネットやルイ16 世、そして当のボーマルシェらの幽霊のほか、オペラでもお馴染みのフィガロ、スザンナなどが入り乱れて繰り広げられるシュールな物語。ドタバタ ながらも原作が持つ重い内容も反映しています。アメリカの「グリマーグラス・フェスティバル」とヴェルサイユの共同制作となっているこのアルバム では、アメリカやカナダを中心とした歌手陣とヴェルサイユのミュージシャンが共演。まさに”作品の舞台”となっている舞台に掛けられるという、類 まれな状況を生み出しました。世に出ているディスクの内容からバロック・オペラの印象が強いヴェルサイユ王室歌劇場が、シンセサイザーを含 むモダン楽器の響きに震えているのも面白いところ。国を超えたアーティストたちの力演をお楽しみいただけます。
CVS-037(2CD)
NX-D07
リュリ:歌劇「カドミュスとエルミオーヌ」 カドミュス…トマ・ドリエ(Br)
エルミオーヌ…アデル・シャルヴェ(Ms)
メリス、慈愛の女神…エヴァ・ザイシク(Ms)
アルバス、牧神…リザンドロ・アバディ(Br)
乳母、田園の神…ニコラス・スコット(T)
巨人ドラコ、軍神マルス…ヴィルジル・アンスリ(Bs)
神官、ジュピテール…ギレン・ヴォルムス(バス=バリトン)
アグラント、聡明の女神パラス、結婚の女神、パレス…
マリーヌ・ラフダル=フラン(S)
第1のティルスの君子、太陽神…アンゲラン・ド・イス(T)
第1のアフリカ人、妬みの神…ブノワ=ジョゼフ・マイエル(T)
第2のアフリカ人、エシオン…カエリグ・ボシェ(T)
ジュノン、恋愛の神…ブレンダ・プパール(Ms)
第2のティルスの君子…オリヴィエ・フィシェ(Br)
ニンフ、美の女神ヴェニュス…アガート・ブーデ(S)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
アンサンブル・エデス(合唱/合唱指揮:マチュー・ロマノ)
指揮:ヴァンサン・デュメストル

録音:2019年11月25-28日、ヴェルサイユ宮殿
フランス古楽界の最前線にあって、伸縮自在の編成で多彩な音楽世界を紡ぎ出してきたル・ポエム・アルモニーク。カリスマ・レーベルALPHA の看板グループとして21世紀初頭から注目を集めてきた彼らは、すでに歴史考証をふまえた演出家バンジャマン・ラザールとのコラボレーション による”照明は蝋燭のみ”の意欲的な映像でリュリの「カドミュスとエルミオーヌ」をDVDでリリースしています。それから15年以上の年月を経て CDに新たに刻まれたこの演奏では、主役ふたりにトマ・ドリエとアデル・シャルヴェ、さらにエヴァ・ザイシクやリザンドロ・アバディらフランス語圏の 古楽界で確実に存在感を強めつつある名歌手たちを集めての新たな境地に。1673年、王室音楽総監督としてルイ14世の宮廷における 舞台音楽上演の一切を掌握したリュリが、フランス語を使ってイタリアのオペラにも比しうる劇音楽形式を模索した「カドミュスとエルミオーヌ」 は、カルタゴ建国の歴史を軸としながら惹かれあう男女の恋が高雅な音楽展開に昇華され、フランス語の朗読がそのまま音楽となったかのよう な自然な音運びで演劇・音楽・舞踏の融合が達成された傑作。のちに抒情悲劇(トラジェディ・リリーク)と呼ばれることになる序幕付き全5幕 の「型」を確立した作品ともなりました。リュリ以前のフランス音楽でも高い評価を得たヴァンサン・デュメストルの作品解釈は、多くの演奏経験 を経て、前収録時よりもさらに深められています。
CVS-038(2CD)
アンドレ・カルディナル・デトゥーシュ(1672-1749):歌劇「セミラミス」(1718) セミラミス…エレオノール・パンクラズィ(S)
アメストリス…エマニュエル・ド・ネグリ(S)
アルサーヌ…マティアス・ヴィダル(オートコントル)
ゾロアストル…ティボー・ド・ダマス(Br)
神官/葬儀監督役の男…ダヴィド・ヴィチャク(Br)
バビロニアの女/女祭司…ジュディト・ファ(S)
バビロニアの男/精霊…クレマン・ドビューヴル(オートコントル)
レゾンブル(古楽器使用)
通奏低音:マルゴー・ブランシャール(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
 クレール・ゴートロ(Vc)
 ジェレミー・パパセルジオー(バスーン)
 ヴァンサン・フリュッキガー、エティエンヌ・ガルティエ(テオルボ、バロックギター)
 ブリス・サイー(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ル・コンセール・スピリチュエルcho(合唱指揮: エルヴェ・ニケ)
シルヴァン・サルトル(指)
総指揮:マルゴー・ブランシャール&シルヴァン・サルトル

録音:2020年3月4日、ヴェルサイユ王室歌劇場
かつてホグウッドがルベル『四大元素』を録音した際、同じテーマによるデトゥーシュの作品がカップリングされたことで、この作曲家の名をご存知 の方も少なくないはず。クープランとヴィヴァルディの間くらいの生まれ年で18世紀半ばまで生き、ラモーが台頭する前から「リュリ後」のフランス 音楽劇界をカンプラとともに大いに盛り上げたデトゥーシュの才覚には、21世紀に入りエルヴェ・ニケらが次々と送り出した録音で再評価の目 が集まりつつあります。彼はリュリの影響がまだ大きかった17世紀末にルイ14世に気に入られ、ラモーがパリを席巻する前のフランス語舞台音 楽に新たな活況をもたらした立役者の一人。1713年からパリの王室音楽アカデミー歌劇場監督、さらに大御所ド・ラランドの後任として 1726年から王室音楽総監督となった彼の「セミラミス」は1718年の作で、充実した管弦楽をバックに女声・男声ともに活躍する手法で大成 功を収めました。ロッシーニ「セミラーミデ」(1823)の原作となったヴォルテールの戯曲『セミラミス』(1746)より早い作例ですが、そのヴォルテー ルが『シャムのデトゥーシュ』という小説を1767年に書いている事実からも、歿後なお長く続いたデトゥーシュの名声の大きさが窺い知れます。 古代バビロニアの女王セミラミスの悲運をめぐる二転三転の物語には、嵐の場面もあれば心揺さぶる恋の場面もあり聴きどころ満載!本場 ヴェルサイユの王室歌劇場を舞台に、主人公アルサーヌを演じるマティアス・ヴィダルをはじめ歌手勢は実力派揃い。フランス古楽界の粋が集 う俊才集団レゾンブルの拡大編成に、合唱をニケ指揮のル・コンセール・スピリチュエルが受け持つ頼もしい布陣。多くのフランス・バロック・ファ ンを唸らせる演奏内容です。
CVS-039
『勝利のラモー』 〜ヴェルサイユ王室歌劇場で聴く男声エール傑作選〜
ジャン=フィリップ・ラモー
1. 「ポリムニの祭典」序曲
2. 「ダルダニュス」ここはどこだ、いかなる神がわたしをここへ
3. 「ダルダニュス」ダルダニュスのエール「急げ、栄光に向かえ」
4. 「ゾロアストル」ゾロアストルのエール「急ぎ来たれ、華やぐ青春よ」
5. 「ダルダニュス」タンブラン1&2〔器楽〕
6. 「ダルダニュス」たおやかなエール「気持ちを落ち着けて」
7. 「ダルダニュス」快活なガヴォット〔器楽〕
8. 「ダルダニュス」勝利のエール/夢の三重唱「急ぎ武具をとる時が来た」
9. 「遍歴騎士」アティスのエール「突き進め、恋の神よ」
10. 「優雅なインドの国々」アフリカの奴隷たちのエール〔器楽〕
11. 「優雅なインドの国々」ヴァレールのエール「者共、さっさと陸に上がれ」
12. 「プラテー」嵐の場面〔器楽〕
13. 「ゾロアストル」荘重なエール:地獄の霊たちの舞踏
14. 「ナイス」ネプチューンのエール「やめろ、陸地を荒らすな」
15. 「ナイス」コントルダンス〔器楽〕
16. 「栄光の神殿」バッコスのエール「ティルスの治世よ、とこしえに」
17. 「ポリムニの祭典」快活なエール〔器楽〕
18. 「ピグマリオン」ピグマリオンのエール「勝ち誇れ、恋の神よ」
19. 「ダルダニュス」シャコンヌ〔器楽〕
20. 「ピグマリオン」ピグマリオンのエール「君臨するがいい、恋の神よ」
21. 「カストールとポリュクス」競技者たちのエール〔器楽〕
22. 「カストールとポリュクス」ポリュクスのエール「聴け、高らかな喇叭の音を」
23. 「ボレアド」カリシスのエール「たっぷり味わおう、麗しき年月を」
24. 「ボレアド」ポリムニのアントレ〔器楽〕
25. 「プラテー」テスピスのエール「皮肉の神よ、恋の神よ、理性の神よ」
26. 「プラテー」テスピスの独唱と合唱「新たな舞台を仕立てよう」
27. 「プラテー」コントルダンスとロンド「歌おう、バッコスよ」
28. 「ポリムニの祭典」アンティオクスのエール「恋の相手は全てが愛しい」
29. 「ポリムニの祭典」優美なエール〔器楽〕
30. 「ポリムニの祭典」「幸せな民よ、わたしのところへ集え」
マティアス・ヴィダル(オートコントル)
アンサンブル・マルグリット・ルイーズ(声楽&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ指揮

録音:2020年11月1-3日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
その音楽史上の存在意義や、いくつかの限られた傑作の素晴らしさは広く知られているものの、本領が発揮されているジャンルがオペラというこ ともあり日本では真価がなかなか伝わりにくいフランスの大作曲家ラモー。本盤のような独唱曲の抜粋はそうした認識を改めるのに絶好です が、なぜかラモーのアリア(エール)集はめったに出てきません。その渇きを癒してあまりあるリリースが、ヴェルサイユ宮殿主宰のChateau de Versaillesレーベルから登場します。フランス古楽の本拠ともいえる昔日の王室歌劇場を舞台に、ラモーのオーケストレーションとリズム感覚が きわだつ管弦楽トラックも数多く盛り込みながら贈るこのアルバムの主人公は、近代作品まで幅広い演目に出演しながら18世紀音楽をこと のほか得意とする多忙な名歌手、マティアス・ヴィダル。フランス古楽にはオートコントルと呼ばれる、テノールというには高すぎる音域までカ ヴァーするパートが存在するところ、ヴィダルはそうした高音でも悠々と歌いこなせてしまうことが本盤でも最大の強みとなっています。1730〜 40年代のラモーの躍進期の傑作を中心としたプログラムを通じ、ヘンデルやバッハ、ナポリ楽派の天才たちが大活躍していたのと同じ頃、フラ ンスではいかにユニークかつエキサイティングな音楽世界が発展していたのか、フランス古楽勢の精鋭たちによって実感させられます。ラモーを知 るならまずこの1枚!と自信を持って薦められるアルバムです。
CVS-040(2CD)
NX-D07

NYCX-10225
国内盤仕様
税込定価
バッハ:バス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)による『無伴奏チェロ組曲』(全6編)
組曲 第3番 ニ長調 (原調 ハ長調) BWV 1009
組曲 第2番 ホ短調 (原調 ニ短調) BWV 1008
組曲 第4番 ト長調 (原調 変ホ長調)BWV 1010
組曲 第6番 ハ長調 (原調 二長調)BWV 1012
組曲 第5番 ニ短調 (原調 ハ短調)BWV 1011
組曲 第1番 イ長調 (原調 ト長調)BWV 1007
ミリアム・リニョル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ピッチ A=400 Hz

録音:2020年11月16-21日 シテ・デ・ラ・ヴォワ、ヴェズレー、フランス
※ 国内盤には日本語解説付き
バッハの『無伴奏チェロ組曲』は、イタリア由来の楽器であるチェロのための作品ながら、ヴェルサイユに宮廷を構えたフランス王室に由来するフ ランス流の舞踏組曲形式で構成されています。17世紀にリュートやヴィオール、クラヴサンなどの演奏家=作曲家たちが好んだ形式ですが、 この点について徹底してフランス古楽の側からアプローチを試みたユニークかつ高水準なアルバムが登場しました。ルイ14世やバッハの時代に も使われていたフランスの歴史的建造物を録音の舞台に、バス・ド・ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)を用いてこの作品全曲を録音したのは、フ ランス出身の名手ミリアム・リニョル。ヴィオール界の大御所フィリップ・ピエルロの主宰するリチェルカール・コンソートや、フランス古楽シーンの最 前線を行く気鋭団体ピグマリオン、アンサンブル・コレスポンダンスなどで中心メンバーとして活躍中であるほか、川久保洋子、ジュリアン・ヴォル フスらとの室内楽グループ「レ・タンブル」の一員としても数々のディスクで高評価を博してきた俊才です。これらの組曲が「なぜヴィオールで演 奏されるのか」については、ライプツィヒ・バッハ協会の名誉会員ジル・カンタグレルやリニョル本人による解説でも説明されていますが、何より演 奏解釈そのものが圧倒的な説得力に満ちていて、さながらバッハが当初からこの楽器とフランス音楽らしさを意識していたのではないかと思え てくる仕上がり。考え抜かれた曲順も効果絶大で、このあまりに有名な傑作を新たな角度から見つめ直す絶好の機会となるでしょう。20年 ほど前にリリースされた、イタリアの名手パオロ・パンドルフォによるガンバ版とも異なる視点からの「フランス流儀のバッハ無伴奏」。ALPHAレー ベルで創設初期から活躍してきた敏腕技師アリーヌ・ブロンディオの適切なエンジニアリングも光る逸品です。 ※各組曲は移調されていますが、ピッチが標準よりもほぼ全音低いため、第1、2、3、5組曲については、ほぼ原調で響きます。
CVS-041
ヴェネツィアに栄光あれ! 〜ジョヴァンニ・ガブリエリ、ヴェルサイユに響き渡る〜
メールロ(1533-1604):「わたしの魂は主をあがめ(マニフィカト)」
ガブリエリ(1557-1612):4声の第3カンツォン
ガブリエリ:7声の「わたしは言った、主よ憐れんでくださいと」
ガブリエリ:8声の「主の定めに従い道を全うする者は幸いである」
ジョセフォ・グアーミ(1542-1611):フランス風カンツォン「ラ・ルッケジーナ」
ガブリエリ:6声の「わたしに耳を傾けてください、主よ」
ガブリエリ:10声の「おお偉大なる玄義、褒むべき秘跡」
ガブリエリ:4声の第4カンツォン
ガブリエリ:8声の「全地よ神を歓呼して迎えよ」
ガブリエリ:10声の「神よ、わが神よ」
ガブリエリ:オルガン独奏のためのリチェルカール
ガブリエリ:10声の「主よ、わが祈りを聞き届けてください」
アドリアン・ヴィラールト(1490-1562):「わが心にのしかかる重い責務が」
ガブリエリ:10声の「善き羊飼いは甦った」
ガブリエリ:第2カンツォン
ガブリエリ:6声の「麗しきは乙女マリア」
ガブリエリ:4声のカンツォン「ラ・スピリタータ」
ガブリエリ:12声の「天使は羊飼いたちにこう告げた」
ラッスス:「皆の者、さあ日も暮れた」
ラ・ギルド・デ・メルスネール(声楽&古楽器アンサンブル)【ヴィオレーヌ・ル・シュナーデク、アナイス・ベルトラン(S)、マルニクス・ド・カット(C.T)、マルク・モイヨン、ルノー・ブレ(バス=バリトン)、マルク・ビュネル(Bs)】

アドリアン・マビル(木管コルネット&指揮)
ブノワ・タンテュリエ(木管コルネット)
フアン・ゴンサレス・マルティネス、アルノー・ブルトシェル、アベル・ロールバック(サックバット)
ジャン=リュク・オー(Org)

録音:2019年10月8-11日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
17世紀後半に入り、王室音楽総監督リュリが独特の音楽劇様式をもって確立したと言っても過言ではない「フランス古典音楽」=フランスの バロック音楽様式。しかし実のところ、この政治的立ち回りにも才能を発揮したフィレンツェ出身の巨匠が頭角を表す前まで、フランス王室は 別の流れをたどってイタリア最先端の音楽様式を積極的に吸収していたのです。教皇庁に連なる枢機卿マザリーノがローマの音楽を伝えたの もその一端でしたが、その17世紀ローマ楽派にも大きな影響をおよぼし、かつリュリ登場直前に俊才カヴァッリを介してフランス宮廷音楽の大 きな素地にもなったのが、16〜17世紀のヴェネツィアの作曲家たち。政治的な事情からヴェネツィア共和国がフランス王室に急接近していた 当時、かの水の都の分割合唱形式はフォルメーやブジニヤックなどリュリ前夜のフランス教会音楽にも大きな影響を及ぼしていました。そのルー ツに立ち返るべく、ヴェネツィアの巨匠ガブリエリの作品を中心としたプログラムを、ヴェルサイユ王室礼拝堂の響きで聴く画期的なアルバムがこ ちら。しかも演奏陣は近年躍進めざましい古楽鍵盤奏者オー、巧みなバロック歌唱で多忙な活躍を続けるル・シュナーデク、幅広い声域と細 やかな解釈で中世まで遡る広範な音楽を歌いこなすモイヨン……と、それぞれ異なる古楽フィールドで存在感を強めている異才ばかりが集う 精鋭集団。ほどよい残響のなか各パートの動きがよく味わえる録音で、先入観を排してフランス音楽の真相を見極めるにも意義深く、かつバ ロックの金管と声楽とが自然に隣り合うヴェネツィア楽派の本分をよく伝える絶好の仕上がりになっています。楽器や収録曲についての解説 (仏・英・独語)も興味深い内容。
CVS-042(2CD+DVD)
NX-D11
『四季』
【CD 1】
ヴィヴァルディ:『四季』
【CD 2】
ジョヴァンニ・アントニオ・グイード(1675頃-1729):『四季』〜「四季」によるスケルツォ・アルモニコ
【DVD】
CD1、CD2と同内容
アンドレス・ガベッタ(ソロVn、指)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)

収録:2020年12月18-23日ヴェルサイユ宮殿 (CD)
2020年12月21日ヴェルサイユ宮殿「鏡の間」 (DVD)
【DVD】 (93分28秒)
画像:16:9 NTSC All Regions
音声:2ch Stereo
ヴィヴァルディの『四季』は18世紀フランスでも大きな人気を博し、モーツァルト父子がパリを訪問した1763年頃まで「春」が現役レパートリーと して演奏されていたほど。チェリストのソル・ガベッタの兄でバロック・ヴァイオリンの名手アンドレス・ガベッタを中心に、フランス古楽界の俊才がヴェ ルサイユ宮殿に集って録音されたこのアルバムは、そうした18世紀フランスの人々の感覚そのままに、「四季の移ろい」という題材を音楽で辿る 好企画です。ユニークな解釈のヴィヴァルディに加え、彼と同世代でナポリでの修業の後フランスに来たヴァイオリン奏者・作曲家グイードの”も うひとつの”『四季』も収録。グイードの作品はヴィヴァルディの翌年ないし数年内に楽譜出版がなされていますが、これはルイ14世が推奨した フランス音楽絶対主義に反して王の存命時からイタリア音楽を支持し、数多くのイタリア人音楽家の活動を後援したオルレアン公フィリップの 宮廷で発表された合奏曲で、ヴィヴァルディ作品と同じく作者不詳の詩を音楽化したもの。ルベルやラモーを思わせる舞踏音楽劇のような構 成と、ヴィヴァルディにも通じるイタリア趣味で、変幻自在のダイナミックな音楽が繰り広げられる逸品。対するヴィヴァルディ『四季』もここでは 18世紀の習慣に従い、管楽器を加えた編成で色彩感豊かなサウンドに。「春」での牧歌的なリコーダー(実力派セバスティアン・マルクの演 奏)、「秋」での狩猟ホルンやのどかなオーボエの響きがたまりません。演奏陣にはハーディ・ガーディに俊才ステファーヌ・フュジェ、リュートの一人 にアンドレ・アンリクなど名手たちの名も。フィリップ・ジャルスキーのアンサンブル・アルタセルセで活躍するクラヴサンの中村葉子、ラ・ムジカ・コッ ラーナのメンバーでもあるヴァイオリンの依田幸司が加わるなど、欧州を拠点に活躍する日本出身の新世代古楽プレイヤーの存在も光ります。
CVS-043
『サント=コロンブとマラン・マレ』〜2つのヴィオールのための作品集
ジャン・ド・サント=コロンブ(1640頃-1700頃):コンセール 第60番「荘厳」
コンセール 第44番「哀しみのトンボー」
コンセール 第61番「多彩」
コンセール 第21番「村人」
マラン・マレ:2つのヴィオールのための組曲 ニ短調(1686)
エティエンヌ・ルモワーヌ(1680-1723に活躍):ト調のプレリュード (フランス国立図書館所蔵の写本1106より)/テオルボ独奏
マレ:2つのヴィオールと通奏低音のための組曲 ト長調(1686-1689)
ルイ・マルシャン(1669-1732):二調のプレリュード - クラヴサン曲集第1巻(1702パリ)より/クラヴサン独奏
マレ:フォリア - ヴィオール曲集第2巻(1701)より /2つのヴィオール、テオルボとバロック・ギター、クラヴサンによる
ミリアム・リニョル、マティルド・ヴィアル(バス・ド・ヴィオール)
ティボー・ルーセル(テオルボ、バロック・ギター)
ジュリアン・ヴォルフス(クラヴサン)

録音:2020年6月10-14日 ラ・サル・デザクト、コレージュ・ヴィクトル・ユーゴー、ブザンソン
いずれもフランス出身のミリアム・リニョルとマティルド・ヴィアル、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)を操る同年代の名手2人による、サント=コロンブ とマラン・マレの師弟をテーマとしたアルバム。ヴェルサイユの自主レーベルから自身がメインとなるアルバムのリリースは、2人ともこれが2枚目と なります。ヴィオールならではの細やかな表情がぴったりと重なる息の合ったデュオが大きな魅力で、前半はフランス古来の伝統どおり通奏低 音なしで2つのヴィオールのみ、後半ではテオルボが加わってマレのト長調の組曲、さらにクラヴサン(Cemb)が加わり「フォリア」へと繋ぐ構成 となっています。この2人の作曲家の関係を描いた映画『めぐり逢う朝』でも印象的に使用された「フォリア」は、元々ヴィオール独奏と通奏低 音を想定した作品ですが、ここに収められた演奏ではヴィオール2人の立場が随所で入れ替わり、独奏が引っ張るよりもアンサンブルが一体と なった音楽づくりが、好感の持てる新しさです。
CVS-044
(1CD+DVD)
NX-D07
ニコロ・アントニオ・ツィンガレッリ(1752-1837):歌劇「ジュリエッタとロメオ」(1796) (抜粋)
1. 序曲
2. 第1幕 第1場「さあ、優しいお嬢さん」(合唱)
3. 第1幕 第1場「わたしは捨てられたのね、どうして」(ジュリエッタ)
4. 第1幕 第7場「お願いだよ、こっちを見て」(ロメオ)
5. 第1幕 第9場「あなたのいうことを大事にするわ」(ジュリエッタ)
6. 第1幕 第10場「亡霊たちと死神が支配する王国で」(エヴェラルド)
7. 第1幕 第11場「冥府の川の憤怒の鬼たちよ」(テオバルド/合唱)
8. 第1幕 第12場「まずは怒りを鎮めて、今はわかってくれ」(ロメオ)
9. 第1幕 第14・15場「ぼくは下劣でくだらない人間さ!」(ロメオ/テオバルド、ジルベルト、合唱)
10. 第2幕 第2場「ああ神よ!この苦しみが」(ロメオ/エヴェラルド)
11. 第2幕 第6場「どれほど嬉しいことか、心を誓った人の名を呼ぶだけで」(ロメオ)
12. 第2幕 第7場「急に身震いが」(ジュリエッタ)
13. 第3幕 第1場「ここがそうか(葬儀の場面)」(ロメオ/合唱)
14. 第3幕 第1場「ぼくの心の偶像よ」(ロメオ)
15. 第3幕 第1場「もはや生きていることが疎ましい(ロメオの死)」(ロメオ/ジュリエッタ)
16. 第3幕 第3場「悲しみにくれる哀れな娘よ」(合唱/エヴェラルド、ジュリエッタ)
フランコ・ファジョーリ(カウンターテナー/ロメオ)
アデル・シャルヴェ(メゾソプラノ/ジュリエッタ)
フィリップ・タルボ(テノール/テオバルド、エヴェラルド)

録音:2021年3月30日-4月3日ヴェルサイユ宮殿
DVD:NTSC 1時間30分
大革命からナポレオンの時代にかけ、フランスではロマン派の先駆けとも言える注目すべき音楽シーンの盛り上がりがありました。近年めざまし い再発見が進むこの時期から新たな発見がまた一つ、ナポレオン歿後200周年にあたる2021年を記念して登場するのは、かのコルシカ生 まれの風雲児が偏愛したイタリア人作曲家ツィンガレッリの歌劇《ジュリエッタとロメオ》。モーツァルトより4歳年上でオペラの本場ナポリ出身の この作曲家、イタリア半島でも高い人気を誇り、一時はヴァチカンのシスティーナ礼拝堂で活躍し、ナポレオンに気に入られ皇室でも活躍を みせました。1813年以降はナポリ音楽院の院長もつとめつつ、ナポレオン退陣後までパリのイタリア歌劇場でも高い人気を保ち続けます。 《ジュリエッタとロメオ》は1796年にミラノ・スカラ座で初演された後パリでもたびたび上演され、ナポレオンも大いに愛した傑作。シェイクスピア の『ロミオとジュリエット』と同じ物語に取材したイタリア語台本によるオペラで、ヴァッカイやベッリーニの作品の先駆ともいうべき見過ごせない作 品です。人気カストラートのクレシェンティーニと女性アルト歌手グラシーニの名演で絶賛を博した名品を、現代最高のカウンターテナーの一 人フランコ・ファジョーリと、味わい深い声で欧州シーンを賑わせるアデル・シャルヴェらが鮮やかに再現。ロッシーニ前夜のオペラ世界を席巻し たツィンガレッリの音使いの魅力を、ヴェルサイユに集う古楽器オーケストラと共に克明に伝えてくれます。重要な場面を中心とする抜粋ながら 物語の起伏は充分すぎるほど伝わる好企画。解説も充実しています。ヴェルサイユ王室歌劇場で行われた、演奏会形式による同内容の (ある意味では貴重な)無観客公演の模様を収めたDVD付。またボーナス映像として、ヴェルサイユ宮殿所蔵の名画「ナポレオン一世の戴 冠式」の前で、ファジョーリが本編には収められていない第1幕のアリアを歌うシーンも収録しています。
CVS-045
ジャン=フランソワ・ダンドリュー(1681-1738):オルガン独奏の為のオフェルトワールと室内楽作品
トリオ・ソナタ 作品1-1
オルガン独奏の為のオフェルトワール(聖体奉献曲)ニ短調*
トリオ・ソナタ 作品1-2
オルガン独奏の為のオフェルトワール ニ長調*
トリオ・ソナタ 作品1-3
オルガン独奏の為のオフェルトワール ト短調*
トランペット管のデュオ(オルガン独奏)*
ヴィヴァ-チェ -ヴァイオリン独奏と通奏低音の為のソナタ 作品2-6より
オルガン独奏の為のオフェルトワール イ長調*
トリオ・ソナタ 作品1-4
アレグロ ト長調 -ヴァイオリン独奏と通奏低音の為のソナタ 作品3より
オルガン独奏の為のオフェルトワール ト長調*
トリオ・ソナタ 作品1-5
オルガン独奏の為のオフェルトワール イ短調*
トリオ・ソナタ 作品1-6
*ジャン=バティスト・ロバン(Org)
アンサンブル・イル・カラヴァッジョ(古楽器使用)【フィオナ・エミリー・プパール(Vn1)、アンヌ・カミッロ(Vn2)、ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)、バンジャマン・ナルヴェ(テオルボ)】
カミーユ・ドラフォルジュ(オルガン、クラヴサン〔チェンバロ〕、指揮)

録音:2019年7月8-11日&12月17-19日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
近年Alphaレーベルからも室内楽作品集が制作されたフランス・バロックの作曲家ダンドリュー。テレマンと同い年のこの作曲家は、これまでク ラヴサンの為の独奏曲ばかりが着目されていましたが、近年は王室オルガニストとしての生前の活躍にも光が当たるようになり、さまざまな作 品に注目が集まりつつあります。5歳の頃にはもうルイ14世の前で巧みにクラヴサンを弾き、若い頃にオルガニスト採用試験でラモーを押しの ける実績をあげて教会専属奏者にもなり、1721年からはルイ15世のフランス王室礼拝堂で正規オルガニストとなったダンドリューの作品で は、フランスの伝統をよく受け継いだ面とイタリア音楽からの影響がほどよく交錯。ここではイタリア的な作風をよく示す一連の室内楽と、フラン スの伝統を受け継いだオルガン作品とを交互に収録し、フランス古楽界の頼れる名手たちによってその才覚をじっくり味わえる構成になってい ます。オルガン曲は1739年、つまりヘンデルのオルガン協奏曲集と同時期に出版されており、こちらは同国の古楽作品の解釈に通じた才人 ジャン=バティスト・ロバンがヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂の歴史的楽器をあざやかに駆使。美しい響きをよく捉えたエンジニアリングは、室 内楽曲での各楽器の動きの輪郭も明確に浮かび上がらせ、古楽を味わう喜びをひときわ盛り上げてくれます。
CVS-046(2CD)
NX-D07
マラン・マレ:『異国風の組曲』(全33曲) 〜ヴィオール曲集 第4巻(1717)より
【DISC 1】
1. タルタリア風行進曲
2. アルマンド/3. サラバンド
4. ラ・タルタリーヌ(タルタリア風)とドゥーブル(変奏)
5. ガヴォット/6. 田園の祝祭
7. ジグ「ラ・フルセル」/8. ロンドー「宝石」
9. つむじ風
10. 画一性 -続き1-続き2
11. ラメリケーヌ(新大陸風)
12. 主題はアルマンド、低音部はジグ
13. アルマンド「喘息わずらい」
14. ラ・トゥルヌーズ(移り気)
15. ミュゼット
16. 気まぐれ、あるいはソナート
【DISC 2】
1. 迷宮 /2. サルタレッロ
3. 落ち着きの無さ/4. アルマンド「奇妙」
5. 愛想笑い /6. アルマンド「異質」
7. アラベスク(アラビア風)
8. アルマンド「至高」/9. 夢見る人
10. 行進曲/11. ジグ
12. リュート風小品 /13. ジグ「腐食性」
14. たわむれ
ロバン・ファロ(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
アンサンブル・プレ・ド・ヴォートレイユ(古楽器使用)【ロナルド・マルティン・アロンソ(バス・ド・ヴィオール/通奏低音)、シモン・ワデル(テオルボ)、ティボー・ルーセル(テオルボ、バロックギター)、ロリス・バリュカン、ロナン・カリル(クラヴサン〔チェンバロ〕、ポジティフオルガン)】

録音:2020年9月7-12日ヴィルファヴァール農園(フランス中南部リムーザン地方)
異能のチェンバロ奏者ジャン・ロンドーが一員であることで知られる古楽器アンサンブル「ネヴァーマインド」の一員であり、Ricercarレーベルで 進行中のマラン・マレ全曲録音シリーズでも通奏低音奏者として水際立った活躍を示しているフランスのヴィオール奏者ロバン・ファロ。フラン ス・バロックの演奏と研究の中心となりつつあるヴェルサイユ宮殿のレーベルが、この俊才を中心とした名手揃いのアンサンブルによるマレ・アル バムを制作したことは大いに注目に値します。17-18世紀のフランスで最も愛された弦楽器の一つヴィオールを手に、500もの作品をこの楽 器のために作曲した名手=作曲家マラン・マレの曲集から、作風が充実の極みに達した後期の第4曲集に含まれる『異国風の組曲』は、来 たるべきオリエンタリズムの先駆としても見過ごせないバロック後期の異色作。2人の鍵盤奏者がオルガンとクラヴサンを使い分け、撥弦楽器 奏者も複数起用した精彩に満ちた解釈でその全貌に触れられるのは貴重。フランス・バロックの多彩な振れ幅は、「迷宮」や「たわむれ」など 比較的知られた作品での妙技においても、また知名度は高くないながら、個々にいわくありげなタイトルが添えられた作品の輝きを浮かび上 がらせるにおいても、この解釈の深さと新鮮な録音でこそ満喫できると言えるでしょう。2020年代フランス古楽界の充実度を示す注目のアル バムです。
CVS-047
『頼もしき名手』〜ルイ13世と、17世紀前半のフランス・クラヴサン音楽
ニ調の組曲
1. 作者不詳/アンドレ・ダニカン・フィリドール(1652頃-1730)採譜&アルノー・ド・パスクアル編)):三つのアントレ -「ロビネットの舞踏劇」(1611)より*
2. アントワーヌ・ボエセー(1586-1643):この上なく優美な魅力に事欠かないお相手
3. シャルル・ボケ(1570頃-1615以前)クラント
4. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 第2アントレ-「シビロの舞踏劇」(1611)より
5. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): ラ・ロンド、インドの人々-「ラ・ロンドの名で知られたる高級娼婦の舞踏劇」(1613)より*
6. 作者不詳(カッセルの写本より):ア・ムネ
7. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): エール -「アルルカンの舞踏劇」(1613)より
8. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 大舞踏曲 -「ラ・ロンドの名で知られたる高級娼婦の舞踏劇」(1613)より*
9. クロード・ル・ジュヌ(1525/30頃-1600): この美しい目はどうなってしまったのか
10. ボエセー:パルテニスの幸福な滞在
11. エティエンヌ・ムリニエ(1599-1676):ヴィオール合奏の為のファンタジア
12. 作者不詳(カッセルの写本より):フランスの歌
13. ミヒャエル・プレトリウス(1571-1621): クラント
ハ調の組曲
14. ルイ・クープラン(1626頃-1661):プレリュード
15. ジャック・シャンピオン・ド・シャンボニエール(1601/02-1672):アルマンド「ムティエ(修道院教会)」(L.クープランによるドゥーブル付)
16. ルネ・メザンジョー(1568頃-1638):サラバンド
17. ムリニエ:ついに、私が心を寄せる美しさが
18. シャンボニエール:クラント
19. L.クープラン:シャコンヌ
20. フランス王ルイ13世(1601-1643)/ピエール・シャバンソー・ド・ラ・バル3世(1592-1656)編)):美しい太陽よ、このうららかな春の日に
21. シャンボニエール:パスカリア(パサカーユ)
ヘ調の組曲
22. ボケ:プレルディウム
23. L.クープラン:バスク地方のブランル
24. 作者不詳/A.D.フィリドール編)):ガヴォット -『ルイ13世の音楽会』より
25. シャンボニエール:ヴォルト
26. ギヨーム・デュマノワール(1615-1697): アルマンド
27. シャンボニエール:ブリュスク(唐突)
28. シャンボニエール:ロンド
29. シャンボニエール:パヴァーヌ
30. シャンボニエール:クラント
31. シャンボニエール:サラバンド
ト調の組曲
32. ムリニエ/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): ル・ブーフ(牛) -「ピエール・ド・プロヴァンスと美しきマグロンヌの舞踏劇」(1638)より*
33. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): アルクールの君子/農夫 -「即興芸人たちの舞踏劇」(1636)より*
34. ボエセー/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 廷臣たち -「王の舞踏劇、または古き宮廷」(1635)より
35. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): エジプトの人々 -「諸国民の舞踏劇」(1638)より*
36. ムリニエ/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 謎の医者たち -「ピエール・ド・プロヴァンスと美しきマグロンヌの舞踏劇」(1638)より
37. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 町人たち「即興芸人たちの舞踏劇」(1636)より*
38. 伝ルイ13世/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 農夫たち-「メルレゾン(つぐみ狩り)の舞踏劇」(1635)より
39. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): パンタロン -「諸国民の舞踏劇」(1638)より
40. 作者不詳/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): イタリア人たち -「諸国民の舞踏劇」(1638)より*
41. ボエセー/A.D.フィリドール採譜&ド・パスクアル編)): 祭りの道化師たち -「王の舞踏劇、または古き宮廷」より*
アルノー・ド・パスクアル(クラヴサン〔=チェンバロ〕)
*フランソワ・ゲリエ(第2クラヴサン)

使用楽器:バルバスト(フランス)のフィリップ・ユモー2005年製作のイタリア型チェンバロ
エミール・ジョバン製作のフランドル型チェンバロ

録音:2019年9月3-6日 モンジュルー城(フランス中部イル・ド・フランス地方)
太陽王ルイ14世がフランス王として君臨した17世紀後半、その文化政策でリュリやマレなど才能ある作曲家たちが活躍し、国際的に注目 されたフランス様式の音楽が花開いたことは広く知られていますが、その発展は「無」から生まれたわけではありません。フランスの宮廷文化は 先代のルイ13世の時代に新たな躍進を遂げていたのです。音楽面では、王室に弦楽合奏団「王の24のヴァイオリン」を創設させたのもルイ 13世ですし、それまでリュートとオルガンが圧倒的に重要だった独奏器楽の世界にクラヴサンが参入、前二者の音楽様式を模倣しながら発 展し始めたのもこの時期。その背景として、ルイ13世が自らクラヴサンを愛奏し、王室に楽器を置いていたことは見逃せません。近年フランス 古楽界で通奏低音奏者として広範な活躍をみせているアルノー・ド・パスクアルがここで紹介するのは、そうした音楽文化振興者でもあった 「頼れる名手」ルイ13世時代の作例を中心としたフランス・クラヴサン音楽の数々。声楽曲のアレンジのほか、リュート曲・オルガン曲の翻案 も巧みで、同時代のイタリア初期バロックや英国の末期ルネサンスとも趣きがやや異なる、フランス特有の洗練のありようをつぶさに確かめられ ます。ルイ13世も一部作曲に加わったという、その治世下で演奏された宮廷舞踏の為の合奏音楽は、後世の採譜をもとに演奏者ド・パ スクアル自身が当時流に編曲。16世紀生まれのルジュヌやボエセーの歌曲の編曲からシャンボニエールやルイ・クープランの独奏曲に至るま で、広く知られたクラヴサン楽派の「前史」を、フランス式の楽器が発展する前であるこの時代に重宝されていたイタリア型やフランドル型のチェ ンバロを使った精妙な演奏でお楽しみ下さい。
CVS-048

NYCX-10251
国内盤仕様
税込定価
ド・ラランド(1657-1726):『王の晩餐のためのサンフォニー集』
王の偉大なる楽曲 〜ルイ14世の頻繁に所望せる曲
組曲 ト短調
プレリュード 〜トランペット合奏曲集より
組曲 ニ長調
組曲 ホ短調

※管弦楽復元:リュカス・ペレス、ェラール・ジェー、トマ・ラコント
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
フィオナ=エミリー・プパール(首席ヴァイオリン)
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2020年11月21-24日 ヴェルサイユ王室歌劇場、フランス
※国内盤には日本語解説付
日本語解説…白沢達生
バッハやヘンデルが活躍する前から、ヨーロッパ音楽の一大潮流として影響力を誇ったフランス。そのオーケストラ芸術の原点ともいうべきド・ラ ランドの貴重な曲集が、作品成立の場にあたるヴェルサイユ宮殿での、フランス最前線で活躍する名手たちによる録音で登場! 宮殿の主だったルイ14世は、外交で訪れた賓客たちを洗練された芸術作品や調度品で圧倒、王室独自の音楽をいたるところで奏でさせ てはフランス文化の威光を印象づけましたが、自らの晩餐まで音楽とともに公開したことも有名。その音楽はリュリ亡き後の宮廷音楽総監督 として活躍した若き天才ド・ラランドが手掛け、王の歿後にまとめられた楽譜によって現代に残っています(「サンフォニー=シンフォニー」は18 世紀以降「交響曲」の意味で使われることになる単語ですが、この時点では単に「合奏曲」という意味)。これらはルイ14世の宮廷音楽でも ユニークな存在で、録音も決して多いとは言えない中、このアルバムは久しぶりにフランス古楽界から出た本格録音として注目必至。なにし ろ指揮はド・ラランドの大規模声楽曲やリュリのオペラの指揮で実績を築いたヴァンサン・デュメストル!ル・ポエム・アルモニーク名義では珍し い管弦楽のみの編成は比較的大規模で、バロック・バソンの才人でニケ指揮『水上の音楽』などでも活躍したジェレミー・パパセルジオーを筆 頭に重要奏者続々。フランス式の3種のヴィオラも用いた楽隊はテオルボ奏者二人を含め弦24+管6+打楽器・鍵盤各1という構成。現 存譜の補筆にも専門家たちがあたり、ライナー解説も充実しています。王の食欲を刺激し芸術愛好家たちを陶然とさせた名作の数々を本 場直送の響きで味わえる注目の一枚。
CVS-049
ヘンデル:オルガン協奏曲とモテット
オルガン協奏曲 ヘ長調 Op. 4-4 HWV 292
サルヴェ・レジーナ」 HWV 241
オルガン協奏曲 ニ短調 Op. 7-4 HWV 309
「たとえ暴虐の中に地は荒れ狂おうとも」 HWV 240
オルガン協奏曲 ト短調 Op. 4-1 HWV 289
キアラ・スケラート(S)
ガエタン・ジャリ(独奏オルガン、指)
アンサンブル・マルグリット・ルイーズ(古楽器使用)

録音:2020年6月11-14日ヴェルサイユ宮殿、王室礼拝堂、フランス
オルガンの名手であり、アンサンブル・マルグリット・ルイーズを率いてのフランス・バロック声楽作品演奏の数々で高く評価されるガエタン・ジャリ が、ヴェルサイユ宮殿の礼拝堂でヘンデルのオルガン協奏曲を演奏したアルバム。しかし礼拝堂が誇る1710年建造の有名な大オルガンで はなく、新たに据えられたカンタン・ブリューメンレーダー製造の大ぶりなポジティフ・オルガンを敢えて用いているのが特徴で、劇場での大規模 な声楽作品の幕間にヘンデル自身がソロを担当して演奏されたという、これらの作品本来の親密な表情を上手く伝えています。協奏曲の 間には、オラトリオの代わりに小規模な独唱モテットを収録。ソロを担当するキアラ・スケラートはスイス出身でパリ国立高等音楽院に学んだ ソプラノで、バロックから現代まで幅広いレパートリーを持ち、近年ヨーロッパを中心に注目されています。ボルドー国立歌劇場の「ペレアスとメ リザンド」(ALPHA752/NYCX-10240)のメリザンド役でも大きな注目を浴びました。ここでも高い技術に裏打ちされた奥深い表現を聴く ことが出来ます。これらの作品が英国で生まれたことに由来すると思われるジャケットも、遊び心が効いたもの。
CVS-051
ピエール・ロベール:フランス王室礼拝堂の為のグラン・モテと「雅歌」
ピエール・ロベール(1622頃-1699):聖体奉挙の為のモテ「わたしの恋人がやってきて」(1686)
アンリ・デュモン(1610-1684):聖体奉挙の為のモテ「王が休んでいる間」(1677)
ロベール:聖体奉挙の為のモテ「わたしは野の花」(1686)
 聖体奉挙の為のモテ「わたしの肌の色に怯えないでください」(1686)
オリヴィエ・シュネーベリ(指)
レ・パージュ・エ・レ・シャントル(ヴェルサイユ・バロック音楽センターcho)
コンチェルト・ソアーヴェ(古楽器使用)【マリーヌ・ラフダル=フラン(S)、クレマン・ドビューヴル(オートコントル)、アントナン・ロンドピエール(T)、ダヴィト・ヴィチャク(Br)、ジャン=マルク・エメース(Org)】

録音:2020年1月31日-2月1日ヴェルサイユ宮殿、王室礼拝堂、フランス
フランス17世紀の教会音楽を牽引した重要人物でありながら、めったに体系的録音が現れない大家ピエール・ロベールの作品集が、満を 持してヴェルサイユ・バロック音楽センターの俊才たちによって制作されました。しかも録音場所はヴェルサイユ宮殿。本場直送の充実アルバ ムです。 イタリア様式と並ぶバロック期の二大潮流の一つフランス様式は、ルイ14世の王室に連なる音楽家達によって培われました。とりわけ舞踏劇 の作曲にすぐれ、抒情悲劇と呼ばれるフランス語歌劇の正統な形式を大成に導いた王室音楽総監督リュリの存在は重要ですが、この時 代の音楽活動は彼が担った舞台音楽など、社交催事や王の私生活を彩る俗世向けのものばかりではなく、教会音楽もまた非常に重要で した。この分野でもリュリの作品は多いとはいえ、王室礼拝堂は基本的に彼の管轄外。その音楽様式の土台を形作ったのが、1660-80年 代に礼拝堂の共同副楽長(「楽長」は高位聖職者の名誉職だったため、副楽長たちが実質上の音楽監督)だったデュモンと、リュリより10 歳ほど年上の本盤の主人公ピエール・ロベールだったのです。イタリア風のコンチェルタンテ様式を下地に、合唱と独唱の鮮やかな対置を合奏 が彩るグラン・モテの数々から、ここでは礼拝のハイライトの一つでもある聖体奉挙の折に唱えられていた曲を選曲。旧約聖書『雅歌』から歌 詞が選ばれているそれらの大作が、フランス語圏育ちのアンサンブルによる堅固にしてふくよかな解釈で瑞々しく蘇ります。

CVS-050(1CD+DVD)
NX-D07
『21世紀の三大カウンターテナー、ヴェルサイユに集う』 〜カストラートの為の作品集
ポルポラ(1686-1768):三重唱「わが軽蔑を恐れるがいい」〔SM/FM/VS〕〜歌劇「ジェルマニアのジェルマニコ」(1732)第2幕第12場
グラウン(1704-1759): アリア「恐ろしい嵐の只中で」〔SM〕〜歌劇「チェーザレとクレオパトラ」(1742)第1幕第8場
ハッセ(1699-1783):アリア「賢い者の手は」〔FM〕〜歌劇「寛大なスパルタの女」(1743)第1幕第2場
.レオナルド・ヴィンチ(1690-1730):アリア「わたしは容赦なく荒れる海をゆく」〔SM〕〜歌劇「アルタセルセ」(1730)第1幕第15場
ヘンデル: シバの女王の入場〜オラトリオ「ソロモン」(1749)第3幕第1場
ヘンデル:アリア「棘に触れないよう」〔VS〕〜オラトリオ「時と真実の勝利」(1708)
ヘンデル:二重唱「わたしの愛があなたの喜びであったなら」〔SM/FM〕〜歌劇「エジプトの女王ベレニーチェ」(1730)第1幕第11場
ヘンデル:アリア「野蛮なる憤怒の鬼たちよ」〔VS〕〜歌劇「セルセ」(1737)第3幕第14場
アッティリオ・アリオスティ(1666-1729): 序曲〜歌劇「ヴェスパシアーノ」(1724)
ポルポラ:アリア「気高き大神よ、あなたの恵みと徳をもって」〔FM〕〜歌劇「ポリフェーモ」(1732)第3幕第5場
ポルポラ:三重唱「不滅の喜びが」〔SM/FM/VS〕〜歌劇「ポリフェーモ」(1732)第3幕フィナーレ
パーセル:二重唱「喇叭を轟かせよ」〔FM/VS〕〜聖女セシリアに捧ぐオード「来たれ、芸術の子ら」(1694)
モンテヴェルディ: 三重唱「ただあなたを見つめて」〔SM/FM/VS〕〜歌劇「ポッペアの戴冠」(1642)第3幕第8場
サムエル・マリーニョ〔SM〕、
フィリッポ・ミネッチア〔FM〕、
ヴァレル・サバドゥス〔VS〕(C.T)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ステファン・プレフニャク(Vn、指揮)

録音:2021年1月27-31日、ヴェルサイユ宮殿、フランス
映像収録:2021年1月31日、ヴェルサイユ宮殿「鏡の間」、フランス
収録時間:CD…72分15秒、DVD…1時間15分
DVD 片面二層ディスク
映像:NTSC、All-Regions
音声:Dolby Digital2.0
字幕:仏・英
バロック音楽の華やぎは、古楽器演奏など当時の様式をふまえた解釈に盛り込まれる細やかな装飾音の味わいもさることながら、やはり 「場」の空気あればこそ!と再認識させてくれる映像つきCDが、当時の重要な世界遺産であるヴェルサイユ宮殿「鏡の間」から届けられまし た。ルネサンスの多声芸術から一転、歌手一人の声の魅力を独唱で存分に味わえるようにした様式の誕生は、以後400年以上続くことに なる歌劇という芸術形態の軸を形作るものとなりましたが、本盤ではそうしたバロック期のイタリア・歌劇からの抜粋を中心に、歌声の魅力を 最大限に輝かせることをよく知っている上り調子の歌手3人が、その味わいを余すところなく堪能させてくれます。いずれ劣らぬ新世代カウン ターテナー歌手たちによる21世紀版の「三大カウンターテナーの饗宴」!今世紀にはカウンターテナー芸術はさらなる進化を遂げ、イタリア出 身のフィリッポ・ミネッチアガ味わい深いアルトの音域で魅力的な歌を響かせたかと思えば、サバドゥスとマリーニョは男声でありながらソプラノ音 域に達するカストラートさながらの名歌唱をごく自然に披露。付属のDVDでは「鏡の間」ならではの絢爛な内装をバックに、バロック歌唱の豪 奢さがひときわ引き立って感じられること必至です。厳選されたバロック後期の名作からなるプログラムは、ヘンデルだけがバロック・歌劇の巨 匠ではなかったことにも随所で気付かされる逸品揃い。発見多き耳と目の快楽を存分にお楽しみ下さい。
CVS-052
ラモー:グラン・モテ マルグリット・ルイーズ合奏団(古楽器使用)&cho
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年11月13-16日、2021年3月28-30日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
20世紀後半におけるフランス古楽再発見の流れは、ラモーの作品に対する認識を大きく変えました。今やラモーはクラヴサン(Cemb)のた めの音楽だけでなく、齢50を越えてから続々発表した歌劇やバレ、ディヴェルティスマンなど一連の舞台音楽においてどれほど注目すべき存 在だったか、世界的に知られるようになっています。しかしそうした領域の影で、フランス・バロックのもう一つの重要な側面である宗教曲におけ るラモーの活躍には、今なお光が当たる機会が多いとは言えません。しかし教会のオルガン奏者でもあった彼は、パリ以外の土地を転々とし ていた30代までの時期に充実したグラン・モテをいくつか書いており、それらにも後年の開花を予感させる豊かな才能が窺えるのです。ヴェル サイユ宮殿が企画するレーベルからの待望の新録音には、現在知られている4作全てのモテが収録され、このルイ14世の居城で数々の名 演を繰り広げてきた気鋭グループ、マルグリット・ルイーズが声楽・器楽とも大活躍。ヴァイオリンのほかフランス・バロック流儀の大小ヴィオラ群 にチェロやコントラバスなどイタリア由来の弦楽器も交え、イタリアとも近い南仏を活躍の舞台とした若き日のラモーが思い描いた響きの真相を 明らかにしてゆきます。バスーン奏者4人に鍵盤奏者2人が加わる通奏低音勢が支える響きは実に豊饒、起伏に富んだ音楽作りは同時期 のバッハやヘンデル、ヴィヴァルディとは確実に違っており、ユニークな音楽世界の虜にさせてくれます。
CVS-053
リュリ:「町人貴族」 〜モリエールの音楽舞踏喜劇の為の音楽 LWV 43 音楽教師の弟子…ポール=アントワーヌ・ブノ=ジヤン(オートコントル)
女性音楽家…エヴァ・ザイシク(S)
音楽家1、ポワトゥーの男1…シリル・オヴィティ(T)
音楽家2、料理人3…ティボー・ド・ダマス(Bs)
料理人1…ニコラス・スコット(オートコントル)
料理人2、ガスコーニュの男1、ポワトゥーの男2、噂好きな町人の老女…ザカリー・ワイルダー(T)
トルコ太守、陽気なスペインの男1、上流階級の紳士…ヴィルジル・アンスリ(Bs)
陽気なスペインの男2、ガスコーニュの男2…セルジュ・グビウ(T)
上流階級の婦人、イタリアの女性音楽家…クレール・ルフィリアトル(S)
噂好きな町人の老人…マルク・モイヨン(T)
イタリアの音楽家、スイスの男…ジョフロワ・ビュフィエール(Bs)
陰気なスペインの男…ダヴィド・トリクー(オートコントル)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年3月23-27日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
ルイ14世時代の前史にあたる17世紀初頭のフランス音楽を広く世に知らしめたことで注目された後、満を持してフランス・バロック舞台音楽 の世界に臨み快進撃を続けてきたヴァンサン・デュメストル。21世紀のフランス古楽界を魅了し続けてきたこの最前線の俊才は、2004年に DVDリリースしたリュリ&モリエールの音楽舞踏喜劇「町人貴族」で世界を驚かせ、バロック解釈の重要人物として一躍注目を集めるところと なりました。その後録音を続けてきたリュリの抒情悲劇群とは違い、この作品はモリエールの戯曲の重要な部分を音楽が彩る、つまり演劇部 分が多くを占めているため、音楽だけの抜粋では物語の全容を辿れないのですが、しかし映像作品だけではデュメストルの絶妙解釈は一部 の人にしか伝わりません。そこで今回、ヴェルサイユ宮殿を舞台に満を持して「音楽のみ」のCD録音が登場!しかもルフィリアトル、グビウ、モ イヨンといった初期ル・ポエム・アルモニークの顔役たちが個性豊かな役柄を演じ歌うほか、リュリが要所で独唱を充てた役柄にはエヴァ・ザイシ クやシリル・オヴィディといったスターたちを起用。フランス古楽界のさまざまな側面の良さがきわだつ絶妙アルバムに仕上げました。前作『王の 晩餐の為のサンフォニー集』(CVS048/NYCX-10251)で好演を聴かせた俊才古楽器プレイヤーたち多数参加のオーケストラも絶好 調。有名なトルコの儀式や精彩あふれる「諸国民の舞踏劇」など、聴きどころ満載のアルバムとなっています。
CVS-054(3CD)
NX-D11
ラモー:レ・パラダン(遍歴騎士たち) アルジー…サンドリーヌ・ピオー(S)
ネリーヌ…アンヌ=カトリーヌ・ジレ(S)
騎士アティス…マティアス・ヴィダル(オートコントル)
オルカン…フロリアン・センペ(Br)
アンセルム…ナウエル・ディ・ピエロ(Bs)
妖精マント…フィリップ・タルボ(オートコントル)
ラ・シャペル・アルモニーク(古楽器&声楽アンサンブル)
ヴァランタン・トゥルネ(指)

録音:2020年12月17-20日 ヴェルサイユ宮殿 戦闘の回廊
2010年代後半飛躍的に注目を集め、フランス古楽シーンの最前線で快進撃を続ける1996年生まれの指揮者ヴァランタン・トゥルネ。ピエ ルロ、コワン、サヴァールら巨匠たちのもとでガンバを学んだのち指揮に転向、ピエール・カオとフィリップ・ヘレヴェッヘの薫陶を受けながら、パリ音 楽院在学中の2017年に結成したラ・シャペル・アルモニークとの演奏は絶賛をもって迎えられ、2019年にはヴェルサイユ宮殿のレーベル Chateau de Versaillesからバッハ『マニフィカト』初演版でCDデビューしました。その後の『ヨハネ受難曲』への取り組み含め、競合多き バッハ作品の解釈で世界を唸らせた末、彼が今回向き合ったのは同国人ラモー。後期の重要作「レ・パラダン」全曲をヴェルサイユ宮殿で名 歌手たちと録音、躍動感と深い抒情に彩られた音世界を披露します。1760年の初演こそ失敗に終わりましたが、このラモー晩年の意欲作 はホルンやミュゼット(鞴式バグパイプ)が独特の効果を上げるオーケストレーションもユニークで、妖精や騎士たちが活躍する中世風の恋物 語を彩る音楽は起伏に富み、作品全体に興趣が尽きません。それぞれソロ・アルバムでも活躍をみせているピオーとヴィダル、あるいは絶好 調のジレといった21世紀屈指の名歌手たちが鮮やかに歌い上げる独唱パートもさることながら、ラモーが繰り出す複雑な和声を巧みに捉え 劇的展開を描き出す合唱や管弦楽の一体感がこの上ない素晴しさで、聴き進めるほどに引き込まれる名演に仕上がっています。ピグマリオ ンの後に続く気鋭集団ラ・シャペル・アルモニークの頼もしさを十全に伝える新録音で、古典派黎明期のパリの人々を戸惑わせた異色作の 真価を存分にお楽しみください。
CVS-055

NYCX-10280
国内盤仕様
税込定価
17-18世紀フランス歌劇における舞踏音楽
リュリ:「町人貴族」(1670) より
1. 序曲/2. 舞踏教師たち:グラヴマン
3. 舞踏教師たちのカナリー
4. 第1アントレ:トルコ人の儀式のための行進曲
5. 歓喜(イタリア風シャコンヌ)
ルベル:舞踏さまざま(1715)
6. プレリュード/7. クラント
8. ムニュエ/9. ブーレ
10. シャコンヌ/11. サラバンド
12. ジグ/13. リゴードン
14. パスピエ/15. ガヴォット
16. ソナート(ソナタ)/17. ルール
18. ミュゼット/ 19. ソナート
ラモー:「ピグマリオン」より
20. 序曲/21. さまざまな個性のエール
22. 優美なガヴォット
23. ムニュエ(メヌエット)
24. 明朗なガヴォット
25. 快活なシャコンヌ
26. きわめて荘重なルール
27. 快活なパスピエ
28. 快活なリゴードン
29. サラバンド/30. タンブラン
31. 明朗なエール
グルック:「オルフェとユリディス」(1774) より (「オルフェオとエウリディーチェ」〔1762〕パリ版)
32. 序曲/33. 無言劇
34. マエストーゾ
35. 憤怒の鬼たちのエール
36. 精霊の踊り/37. 快活なエール
モーツァルト:「イドメネオ」のための舞踏劇音楽 K. 367
ヴェルサイユ王室歌劇場O
ラインハルト・ゲーベル(指)

録音:2021年2月2-6日 ヴェルサイユ王室歌劇場

※国内盤解説日本語訳…白沢達生
バレエ音楽の重要な源泉の一つであるだけでなく、オーケストラ音楽の発展にも大きく寄与したのがフランス17-18世紀の舞台音楽。太陽 王ルイ14世(1638-1715)の宮廷で王室音楽総監督リュリが作り上げた様式をもとに、フランスの劇場では18世紀を通じて舞踏の場面 に大きな比重が置かれたオペラが人気を博しました。それらはイタリアの歌唱芸術と双璧をなす模範として諸外国にも影響を及ぼし、オーケ ストラを使った多様な音楽実験の場としても機能、古典派音楽の進展を脇から支える役割も果たします。そんなフランス舞踏音楽の勃興 を時系列で振り返るアルバムが、ルイ14世の居城ヴェルサイユに本拠を置くレーベルで制作されました。しかも指揮はリュリと太陽王を主人 公にした映画『王は踊る』(2000/2001)で音楽を受け持ったラインハルト・ゲーベル!自身の団体ムジカ・アンティクヮ・ケルンの解散後も指 揮者として(古楽器・現代楽器を問わず)豊かな経験を積んできたゲーベルならではの音作りは、彼自身によるライナーノート解説(国内仕 様では日本語訳付)とともに重要なレファレンス的存在になりそうです。リュリの後を受けフランス楽壇を賑わせたカンプラやラモー、ルベルに聴 く典雅さも、フランス歌劇の刺激で生まれたグルックやモーツァルトによる優美と迫力も、ヴェルサイユに集う古楽器奏者たちとゲーベルによって 共に活き活きと現代に甦ります。
CVS-056
『ヴェルサイユ=ウェストミンスター』 〜オルガンとクラヴサンによる英仏音楽の17世紀〜
パーセル:「妖精の女王」(1692)より
1. 入場の踊り
2. 夜に従う者たちの踊り
3. グラウンド(Z. D221)*
ギヨーム=ニコラ・ニヴェール(1632-1714): 第5旋法による組曲〜『あらゆる教会旋法による100曲を収めた第1オルガン曲集』(1665)より
4. プレリュード
5. 低音部でディミニューションを
6. 低音部でヴォワ・ユメーヌによるフーガを
7. デュオ
8. クロモルヌ管によるレシ
9. コルネ管〔による楽曲〕
10. グラン・ジュ〔による楽曲〕
11. プラン・ジュ〔による楽曲〕
リュリ/ジャン=アンリ・ダングルベール(1629-1691)編)): 序曲 〜歌劇「カドミュスとエルミオーヌ」LWV 49より*
13-16. パーセル:「妖精の女王」より
13. グリーンマンの踊り
14. ジグ
15. 妖精たちの踊り
16. ヴォランタリー(Z. 720)
ルイ・クープラン:ファンタジア-低音部でレシ
L.クープラン:デュオ
リュリ/ダングルベール編)):心地良い夢が 〜歌劇「アティス」LWV 53第3幕第4場より*
リュリ/ダングルベール編)):パサカーユ 〜歌劇「アルミード」LWV 71第5幕第2場より*
パーセル:ダブル・オルガンの為のヴォランタリー ニ長調 Z. 719
ニコラ・ルベーグ(1631-1721):第1旋法による組曲〜『第1オルガン曲集』(1676)より
22. プレリュード
23. デュオ
24. 中音域でクロモルン管を使って〔の楽曲〕
25. 低音部でトロンペット管を
26. 三つの鍵盤によるトリオ
27. 中音域でティエルスを
28. ディアローグ
パーセル:ハープシコード組曲 第4番イ短調 Z. 663
29. プレリュード*
30. アルマンド*
31. クラント*
32. サラバンド*
L.クープラン:クロモルヌ管によるフーガ
ジョン・ブロウ(1649-1708):コーネット・ヴォランタリー イ短調
パーセル:恋する者は何と幸せなことか 〜「アーサー王」Z. 628(1691)第4幕より
コンスタンス・タヤール(オルガン&クラヴサン〔=チェンバロ〕)
*=クラヴサンを使用
【使用楽器】
ヴェルサイユ王室礼拝堂の大オルガン:ジュリアン・トリビュオ1711年建造、ルイ=アレクサンドル・クリコによる1736年の改修とフランソワ=アンリ・クリコによる1762年の改修を踏まえた状態に復元 (復元建造: ジャン=ルー・ボワソー&ベルトラン・カッティオ、1995年)
クラヴサン:フランソワ=エティエンヌ・ブランシェ1世&ヨハン・コンラート・ピクシウス1746年製オリジナル(修復: アラン・アンセルム)

録音:2020年12月21-23日 ヴェルサイユ王室礼拝堂、フランス
ルイ14世が生涯をかけて建造に情熱を傾け、ルイ15世の時代に現在の姿へと調えられていったヴェルサイユ宮殿。そこには1995年に18世紀当時の状態ま で復元された王室礼拝堂の歴史的オルガンと、ルイ15世時代に愛奏されていた2台のクラヴサンがありますが、ここではそのクラヴサンのうち18世紀半ばに作 られた方の楽器と、王室礼拝堂のオルガンとを同じ奏者が使い分け、英仏の作曲家たちが残したバロック期の鍵盤音楽の真相に迫ります。演奏は現在フラ ンス語圏スイスの古楽拠点ジュネーヴで教鞭を取るコンスタンス・タヤール。選曲の軸にあるのは、17世紀英国の早世の天才ヘンリー・パーセル。宮廷の主た る英国王が王政復古前にフランスに亡命していたため、当時の英国王室ではルイ14世が好んだ様式に強く影響を受けた音楽が愛されていましたが、タヤー ルはブルボン王室の巨匠たちの音楽の只中にパーセルやその師匠ブロウの作品を配することにより、彼らの英国音楽がいかにフランス音楽と連続性のあるもの だったかを鮮やかに浮き彫りにしてゆきます。オルガンだけでなく、適宜クラヴサンの為の楽曲を交え、礼拝堂向けの音楽と俗世の劇場向けの音楽とを行き 来する選曲になっているのも興味深いところ。それぞれに別扱いされやすい各種の音楽に一貫性を感じることができるのは、オルガンとクラヴサンをどちらも鮮や かに弾きこなせる名手タヤールの存在に負うところが大きいと言わなくてはなりません。精緻な解釈と周到なプログラムで、「国」と「文化」の感覚が今とはかなり 違っていたバロック期の感覚を生々しく体感できる1枚です。
CVS-058
『後宮の寵姫』 〜18世紀ヨーロッパの東洋趣味とフランス音楽
グレトリー(1741-1813):序曲 〜歌劇「カイロの隊商」(1783)より
 ゼミールのアリエット「ウグイスは雛鳥を連れて」 〜歌劇「ゼミールとアゾール」(1771)より
 奴隷女のエール「わたしだって囚われの身よ」〜歌劇「カイロの隊商」より
 全員の踊り 〜歌劇「カイロの隊商」より

モーツァルト:歌劇「後宮からの逃走」K. 384(1782)(1799年出版のフランス語版による歌唱)より
 コンスタンツェのアリア「愛しい人から遠く離れて(ああ、わたしは恋をして本当に幸せでした)」
 ベルモンテとコンスタンツェの二重唱「辛くともきみを忘れず(わたしのために死なねばならぬとは)」
グルック:歌劇「思いがけない出会い、またはメッカの巡礼」(1763)より
 序曲
グレトリー:エジプトの踊り 〜歌劇「カイロの隊商」より
 ゼミールのアリエット「大好きな薔薇、愛しい花」 〜歌劇「ゼミールとアゾール」より
フィリドール(1726-1795):歌劇「美しき奴隷女」(1788)より
 ゼイラのアリエット「ああ神様! まさか、この残忍な人間たちがわたしの痛みに同情するなど」
グレトリー:歌劇「ゼミールとアゾール」より
 パスピエ
グルック:歌劇「思いがけない出会い、またはメッカの巡礼」より
 アミーヌのアリエット「わたしは寄って立つところを失い」
 レジアのアリエット「ああ!素敵ね、つらい別離のあと再会できるのは」
モンシニー(1729-1817):歌劇「ゴルコンドの王妃アリーヌ」(1766)より
 アンダンテ、ジグとコントルダンス
グレトリー:歌劇「カイロの隊商」より
 フランスの奴隷女のエール「わたしたちは奴隷になるよう生まれつき」
グルック:歌劇「思いがけない出会い、またはメッカの巡礼」より
 アリとレジアの二重唱「せめて、恋する人と同じ鎖に繋がれたい」
ポール=セザール・ジベール(1717-1787):歌劇「ソリマン2世、または三人の寵姫」(1761)より
 ロクスラーヌのアリエット「軍神マルスがあなたを無敵にしたのだから」
フロリー・ヴァリケット(S)
ニコラ・スコット(T)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年12月20-23日、ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
古くからイスラム圏の文化に異国情緒と憧れを見出してきたヨーロッパ人たちですが、ヴェルサイユ宮殿を舞台に録音されたこの最新盤が光 を当てているのは古典派時代のフランス語オペラ。イスラム太守の後宮に囚われた(多くはキリスト教徒の)女性にかかわる場面を厳選、一 貫性あるプログラムで聴き手をロココの歌劇界へと誘います。パリ中を魅了しヴェルサイユの王室の人々にも愛されたグレトリーの東洋趣味作 品「カイロの隊商」や『美女と野獣』の原作を元にした「ゼミールとアゾール」をはじめ、革命後も第一次大戦前まで人気演目だったジベール の「ソリマン2世」、生前の名声に比して驚くほど録音が少ないモンシニーの作など秘曲も収録。さらにドイツ語圏のフランス音楽愛好から生ま れたグルックの隠れ名作「メッカの巡礼」からも多くのナンバーが選ばれている上、後宮といえば……なモーツァルトの傑作も同時代のフランス 語訳台本による演奏で味わえるのは貴重(歌詞が直訳でなく微妙に違っており、意外なくらい新鮮)。演奏陣はヴェルサイユに集うフランスの 精鋭たち。同時発売のカンプラ「新世紀の運命」(CVS061)にも出演する躍進中の名歌手フロリー・ヴァリケットの美声がとびきりの存在感 ですが、器楽陣もスタイリッシュかつ一体感に満ちた演奏で、序曲や舞曲などの器楽トラックも聴きごたえ十分。来日公演でも話題を振りま いた新世代の旗手マクシム・パスカルのアンサンブル「ル・バルコン」でも活躍するクララ・イザンベールが古楽器ハープで奏でる最終トラックで は、この弦楽器を愛奏していたマリー=アントワネットの時代ならではの雰囲気も味わえることでしょう。
CVS-059

NYCX-10278
国内盤仕様
税込定価
リュリ:ミゼレーレ、なにゆえ諸国の民は群れをなし、全地よ歓喜して神を迎えよ
リュリ:グラン・モテ
わたしを憐れんでください、主よ(ミゼレーレ)
なにゆえ諸国の民は群れをなし
全地よ歓喜して神を迎えよ(ユビラーテ・デオ)
レゼポペー(古楽器&声楽アンサンブル)
ステファーヌ・フュジェ(指)

録音:2021年3月6-8日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂、フランス
※国内盤 歌詞日本語訳、解説日本語訳…白沢達生
「偉大なる世紀」と呼ばれるルイ14世治世下の17世紀フランスで、王の絶大な信頼のもとフランス宮廷音楽の理想形を作り上げた立役者 ジャン=バティスト・リュリ。しかしながら、近年復権めざましい彼のオペラ群に対し、器楽と声楽が比類なく美しい交錯をみせるグラン・モテ(宗 教曲)の数々は、後続世代の作曲家たちにも刺激を与えた重要な存在でありながら、意外なまでに録音が出てきません。その復権に意欲 的な俊才ステファーヌ・フュジェは今回のアルバムで、最初期・中期・後期から3曲を厳選。フランス生粋の古楽器楽団による本格新録音は いずれも実に貴重です。復元型の大型ヴィオラやバス・ド・ヴィオロンが活躍する総勢24名の弦楽合奏や古雅な低音管楽器セルパン、2台 ずつのテオルボと鍵盤の参加など、フランス17世紀流儀を妥協なく追求した彼らが作り上げる響きは『ミゼレーレ』の冒頭から本格的かつ圧 倒的なもの。風格漂う歌唱も隅々まで美しく、折々ソロを交えながらの声楽陣には、アラルコン指揮の「セメレ」(RIC437)でもキューピッド役 で登場しているグワンドリーヌ・ブロンデールや、実力派ブノワ・アルヌー、中世から現代まで歌いこなす異才マルク・モイヨンなど、新旧世代の 才人も多数参加。さらに、2021年12月の寺神戸亮指揮によるラモー『アナクレオン』(北とぴあ)に出演した湯川亜也子、フランスとベル ギーで多忙な活躍をみせる坂本久美など日本人歌手の参与も。ルイ14世の晩年に完成したヴェルサイユの礼拝堂に響きわたる充実解釈 を、自然な場の佇まいとともに収めた名技師フレデリク・ブリアンのエンジニアリングも見事です。
CVS-061
カンプラ:舞踏音楽劇(悲劇風幕間劇にもなる音楽による物語)「新世紀の運命」全曲 軍神マルス、時の神サテュルヌ…マルク・モイヨン(Br)
現世の叡智の化身…マティアス・ヴィダル(T)
平和の化身、運命の女神パルク…フロリー・ヴァリケット(S)
知恵と戦略の女神パラス、戦いの女神ベロンヌ、栄光の化身…クレール・ルフィリアトル(S)
火の神ヴュルカン、群衆の中の戦士…トーマス・ファン・エッセン(Br)
ラ・テンペスタ(古楽器使用)
エレーヌ・ウゼル(コンサートマスター&楽譜校校訂)
パトリック・ビスミュート(指)
ヴェルサイユ・バロック音楽センター合唱団

録音:2021年1月15-17日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
太陽王ルイ14世の治世末期、リュリ亡き後のフランス・オペラを大きく躍進させた作曲家アンドレ・カンプラ。バロック歌劇史に大きな転機をも たらした出世作「優雅なヨーロッパ」(1697)はじめ、フランス語カンタータ(カンタート)やプティ・モテなど人気作は古楽再発見の流れを受けて 続々復権、録音盤も多い作曲家ですが、ここへ来て幻の大作の世界初録音が登場! 筆写譜が数年前まで未校訂のまま埋もれていた ため長く忘れ去られていた1700年5月初演の重要作「新世紀の運命」全曲録音です。ハプスブルク系王家の断絶が間近に迫る隣国スペ インの王位継承をめぐり、戦争勃発も視野に入ってきたフランスで17世紀最後の年に初演された本作は、来たるべき世紀の平和を願う時 の神サテュルヌの期待に反して欧州が戦乱へと突入してゆくところを舞台にした寓意的音楽劇。詩句を鮮やかに音楽の調べに乗せながら、 フランス・バロック特有の舞曲ナンバーでも緩急自在な音作りを楽しませるカンプラ随一の傑作が、フランス古楽界の実力派たちによる確かな 解釈で甦ったのは大いに歓迎すべきことと言えるでしょう。バッハ無伴奏ヴァイオリン曲集の伝説的録音でも知られるフランスの異才パトリック・ ビスミュート率いるラ・テンペスタは20人程度まで編成を拡大させ柔軟かつ機微豊かな演奏を披露、中世音楽歌手としても知られるマルク・ モイヨンやル・ポエム・アルモニーク創設期の中心人物クレール・ルフィリアトル、仏歌劇界を牽引するマティアス・ヴィダルなど、歌手陣の充実も この名演の実現に繋がっています。
CVS-060
シャルル・デュパール(1667/70-1740):
『ヴァイオリンと縦笛に加え、バス・ド・ヴィオールおよびアーチリュートを添えた低音部のための合奏(コンセール)用に仕立てられた6つのクラヴサン組曲』(1701年アムステルダム刊)より
組曲 第4番ホ短調
組曲 第1番イ長調
組曲 第2番ニ長調
組曲 第6番ヘ短調
マリー・ヴァン・レイン(クラヴサン〔チェンバロ〕・指揮)
タミ・トロマン(バロック・ヴァイオリン)
ミリアム・リニョル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
エロイーズ・ガイヤール(リコーダー、バロック・オーボエ)
ピエール・リンデルクネヒト(テオルボ)

録音:2020年9月13-14日 ドメーヌ・ド・ヴィラルソー(フランス北部イル・ド・フランス地方)
バロック期にはイタリア様式と並ぶ影響力を誇ったフランス様式。18世紀に入るとその流行はさまざまな形で加速しますが、その大きな原動 力として、各地に影響力の強い人物が多かった鍵盤音楽の世界でフランス様式が広まったことは見過ごせません。フランソワ・クープランと同 世代のシャルル・デュパールは、その普及に大きく貢献した一人。彼は英国に渡りロンドンの人々にフランス最新様式を伝えただけでなく、 1701年には国際都市アムステルダムでクラヴサン組曲集を楽譜出版。サンドウィッチ伯爵夫人(料理名の元になった第4代サンドウィッチ伯 爵の祖母)に献呈されたこの曲集は、ロンドンから遠く離れたドイツ語圏中部で一生を終えた大バッハも筆写しており、その大きな影響は『イ ギリス組曲集』にはっきり表れています。プレリュードの代わりにオペラの序曲の様式を転用した楽章を冒頭に配したこれらの組曲は、すぐに ヴァイオリンやリコーダーを使ったコンセール(合奏)用にアレンジされて同じ版元から刊行されており、このアルバムでは合奏版を中心に、一部 の楽章をクラヴサン独奏で演奏。リコーダー(オーボエ持替)には実力派集団プルチネッラの主宰者エロイーズ・ガイヤール、ヴィオールにはこの 楽器でバッハ『無伴奏チェロ組曲』を全曲録音して話題を呼んだのが記憶に新しいミリアム・リニョルなど、フランス最前線で活躍する名手揃 いのメンバーが織りなす合奏は、楽章ごとの性質に合わせて細かく編成を変更。パリ国立高等音楽院とソルボンヌで研鑚を積みレザール・フ ロリサンの通奏低音奏者としても広く活躍、最近ではヴェルサイユ王室歌劇場Oの立ち上げにも大きく関わったフランスの名手マ リー・ヴァン・レインの香り高い独奏とともに、多様な古楽器の響きの交錯を味わえる内容となっています。
CVS-062

NYCX-10302
国内盤仕様
『新しい管弦楽の響き』 〜ラモーの舞台音楽における管弦楽の世界〜
ラモー:「カストールとポリュクス」(1737/1754年) 序曲
「ゾロアストル」(1749年版)より
ロンド形式によるたおやかなエール
「遍歴騎士」(1760年)より
 kトルバドゥールたちの大いに陽気なアントレ
独唱「これで私も復讐が果たせる」(オルカン)
憤怒の鬼たちのエール
「優雅なインドの国々」(1735年)より
 アフリカの奴隷たちのエール
 西風の精の第1エール
 西風の精の第2エール
 北風の精と薔薇の精のエール
独唱「太陽よ、そなたの素晴しき隠れ家はどれも壊され」(ウアスカル)/インカの人々のエール/ロンド形式によるルール/ペルーの人々のガヴォット
「アカントとセフィーズ、または共感」(1751年)より
 序曲
 狩猟に興じる人々のアントレ
 第1・第2・第3リゴードン
「オシリスの誕生」(1754年)より
 ミュゼットのエール
「ダルダニュス」(1739年版)より
 独唱「どこを見ても酷い場所だ/恐るべき魔物が」(アンテノール)
「ピグマリオン」(1748年)より
 彫像のサラバンド
「カストールとポリュクス」(1754年版)より
 スパルタ人たちのタンブラン
「カストールとポリュクス」(1737年版)より
 独唱「自然と恋愛がわたしの心をつかむ」(ポリュクス)
「カストールとポリュクス」(1754年版)より
 大いに陽気なエール
 シャコンヌ
ルーヴル宮音楽隊(古楽器使用)
コンサートマスター:ティボー・ノアイー(Vn)
マルク・ミンコフスキ(指)
フロリアン・センペイ(Br)

録音:2021年1月18-22日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
※ 国内仕様盤解説日本語訳、歌詞日本語訳…白沢達生
今や古楽器演奏の枠を越えて多角的な活躍をみせているマルク・ミンコフスキの縦横無尽の経験が最上の形で、その原点ともいうべきフラン ス18世紀音楽に活かされたアルバム。ミンコフスキとルーヴル宮音楽隊は、ラモーの管弦楽曲ばかりを集めたアルバム(『サンフォニー・イマジ ネール 空想の管弦楽曲』ARCHIVレーベル)を2003年に録音して高い評価を得ましたが、今回はその再来ともいうべき新企画。2021年 1月に予定されていたモーツァルトのダ・ポンテ・オペラ三部作の上演がコロナ禍により中止された折、その時間と会場を利用して行われた当 録音は、まさに指揮者ミンコフスキの確かな経験と、豊かな音楽性を誇るルーヴル宮音楽隊との信頼関係あればこそと言えるクオリティの高 さを聴かせます。ラモーの舞台音楽初期の傑作「優雅なインドの国々」に始まり、古典派時代に踏み込む晩期の異色作「遍歴騎士」まで、 彼がいかに時代に先駆けた管弦楽法の使い手であったかを示すナンバーを厳選。古楽器の達人たちが圧倒的な一体感で響かせる色彩溢 れるサウンドには、ピッコロやクラリネットなど当時まだ珍しかった管楽器も登場し、ナチュラルホルンやバスーンの音色の重なりも充実した響き を味わわせてくれます。オーボエのエマニュエル・ラポルト、クラヴサンのヨアン・ムーランなどソロで活躍する名手も参加。4曲の独唱トラックで は、Alphaレーベルのロッシーニ作品集(ALPHA791/NYCX-10301)でもミンコフスキと共演している新時代の俊才センペイが加わり、絶 好の演技力と歌唱力でアクセントを添えています。美しい写真多数のライナーノートの充実度(国内仕様盤は指揮者自身の解題訳など日 本語解説付)もChateau de Versailles Spectaclesレーベルならではのものがあります。
CVS-063
モンドンヴィル:グラン・モテ集
イスラエルはエジプトから出て In exitu Israel (1753)
主は美しく着飾りて統べぬ Dominus regnavit (1734)
天は神の栄光を語り Coeli enarrant gloriam Dei (1749)
マイリス・ド・ヴィルトレ、ヴィルジニ・トマ(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
マティアス・ヴィダル(オートコントル)
フランソワ・ジョロン、ニコラス・スコット(ターユ〔テノール〕)
ダヴィド・ヴィチャク(バス=ターユ〔バリトン〕)
マルグリット・ルイーズO・合唱団(古楽器&声楽アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(指)

録音:2020年11月13-16日&2021年3月28-30日ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
音楽界の中心にオペラがありながら、オーケストラを伴う教会音楽にも人々が喝采を送り続けた18世紀のパリ。ルイ14世の時代以降、王 室礼拝堂に出入りする作曲家たちが書いた大合奏を伴う合唱曲(グラン・モテ)の数々は、劇場が閉鎖されるキリスト教の節制期間にオペ ラ座の音楽家たちによってパリ市内でも演奏され、これを主たる演目として掲げた定期演奏会コンセール・スピリチュエルはフランス革命勃発 の頃まで高い人気を誇りました。当初はリュリやド・ラランドなど、ルイ14世お気に入りの往年の作曲家たちのモテが再演されていたこの演奏 会で、新作グラン・モテを次々披露し大いに賞賛を浴びたのが、C.P.E.バッハやグルックなどと同世代で、2022年が歿後250周年にあたる 南仏人モンドンヴィル。歌劇作曲家としても活躍しながら、異色の作風で賛否両論を醸した大家ラモーと並び称されたほど注目を集めまし た。ここではヴェルサイユ宮殿を舞台に大規模なバロック・プロジェクトを多数成功させてきたガエタン・ジャリ率いるアンサンブルが、モンドンヴィ ルの生前にも使われていた王室礼拝堂の豊かな残響を巧みに味方につけながら、彼のグラン・モテの傑作3篇をその真価に見合った充実解 釈で聴かせてくれます。1734年に作曲された後ルイ15世の治世が続く間に何度も再演され、ポンパドゥール夫人が「私が耳にしうる最も美 しい音楽」と絶賛した傑作の一つ『主は美しく着飾りて統べぬ』から、迫力ある短調の響きが印象的な1753年の『イスラエルはエジプトから 出て』まで、時代の開きを意識した選曲も絶妙。実力派を揃えた独唱勢や合唱の頼もしさもさることながら、コントラバス2人、ファゴット4人 を伴う低音の膨らみとアクセントも心地良く、モンドンヴィルならではの、華麗な旋律美とロマン派さえ予感させるメリハリの効いた音作りを十 全に味わえます。
CVS-065
ヴィヴァルディ:弦楽と通奏低音のための12の協奏曲(「パリ協奏曲集」)
協奏曲 第5番ハ長調 RV 114
協奏曲 第4番ヘ長調 RV 136
協奏曲 第11番ト長調 RV 150
協奏曲 第1番ト短調 RV 157
協奏曲 第12番イ長調 RV 159
協奏曲 第10番二長調 RV 121
協奏曲 第6番ト短調 RV 154
協奏曲 第7番イ長調 RV 160
協奏曲 第3番ハ短調 RV 119
協奏曲 第9番変ロ長調 RV 164
協奏曲 第8番ニ短調 RV 127
協奏曲 第2番ホ短調 RV 133
ステファン・プレフニャク(Vn&指揮)
ヴェルサイユ王室歌劇場O(古楽器使用)

録音:2020年12月2-6日、ヴェルサイユ宮殿「十字軍の広間」
水の都ヴェネツィアを拠点に、イタリア後期バロックの栄華を支えたヴァイオリンの名手アントニオ・ヴィヴァルディ。その業績はイタリア半島に留ま らず、遠くアルプス以南の諸外国にまで及びましたが、本拠ヴェネツィアは貿易経路の変化やオスマン帝国の脅威など困難続きで不安要素 が絶えず、加えて音楽の本場ならではの流行の変化の速さは大作曲家にとっても悩みの種でした。ヴィヴァルディは齢50を過ぎた頃から楽 譜出版より一点物の自筆譜をクローズドで高額販売する路線に変更、外国の顧客向けに「合奏(リピエーノ)のための協奏曲」を12曲まと めて浄書しており、これらは今日パリのフランス国立図書館に収蔵されていることから「パリ協奏曲集」と呼ばれています。バルトークの「弦楽 のためのディヴェルティメント」の遠い源流とも言うべきこれらの作品は、ソロがないにもかかわらずヴィヴァルディならではの周到・精巧な音運び で極めて精彩に富み、聴けば聴くほどその魅力の虜になる名曲揃い!後に神聖ローマ皇帝にもなったロレーヌ公が買い上げたと言われるこ の曲集を、ヴェルサイユに集う俊才古楽器奏者たちによる起伏鮮やかな最新録音で聴けるのは大きな喜びと言えましょう。弦楽編成は 3/3/2/2/1とコンパクトながら、通奏低音にはハープやバロックギター、リュートなどの撥弦楽器も加わり、たった4パートで長調・短調とも変 幻自在の音を紡ぎ出してゆくヴィヴァルディ随一のセンスに改めて唸らざるを得ません。最新研究を踏まえたライナーノート(仏・英・独語)も 充実しています。
CV-066

NYCX-10312
国内盤仕様
税込定価
『ルイ14世の婚礼』
●聖堂の門にて
リュリ:王のトランペット合奏のための合図音
●代表団の入場
ルイ・クープラン(1626頃-1661):前奏曲
リュリ:フランス王家の入場
 スペイン人たち
 バスク人たち
●平和の祝典
ジャン・ヴェロ(1600頃-1662):子らよ、ほめまつれ
リュリ:全地よ歓喜して神を迎えよ(ユビラーテ・デオ)
●婚儀
ギヨーム=ガブリエル・ニヴェル(1632頃-1714):全教会旋法の100の小品を含むオルガン曲集 より
 第三旋法によるプラン・ジュ
 第三旋法によるクロモルヌのレシ
サロモーネ・ロッシ(1570-1630):荘厳なシンフォニア
フランチェスコ・カヴァッリ(1602-1676):マニフィカト
●諸国民の歓喜と踊り
カヴァッリ:私を死なせて 〜Xerse 歌劇「セルセ」 より
アンドレ・デ・ロジェ(生没年不明、1634-1672の間に活躍):このように長い戦の後
ニコラ・メトリュ(1605頃-1663頃):おおフランスよ
フアン・イダルゴ(1614-1685):2人の女の子がやってきた〜歌劇「嫉妬は証拠がなくとも人を殺す」 より
アナ・キンタンシュ(S)、ヴィクトワール・ビュネル(Ms)、
ダヴィド・トリク(オートコントル)、セルジュ・グビウ(テナー)、
ヴィルジル・アンスリ(Br)
ル・ポエム・アルモニーク(古楽器使用)
ラ・タンペート(合唱)、シモン=ピエール・ベスティオン(合唱指揮)
ヴァンサン・デュメストル(指)

録音:2021年11月11-14日
ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
※国内仕様盤日本語解説…関根敏子、歌詞訳…原口昇平
1660年6月9日にサン=ジャン=ド=リュズで行われたフランス王ルイ14世とスペイン王女マリー・テレーズとの結婚式から音楽部分を、ヴァンサン・デュメスト ル率いるル・ポエム・アルモニークが、篤い信頼を置くソリストたちを揃え、ヴェルサイユの礼拝堂で再現したアルバム。古楽を中心に様々なステージや録音で 活躍する歌手たちが芸達者ぶりを発揮するほか、大オルガンを使用する独奏曲はジュスタン・テイラーが奏でています。
CVS-067
バッハ:モテット集
バッハ:モテット「主に向かって新しき歌をうたえ」BWV 225
 モテット「来たれ、イエスよ、来たれ」BWV 229
 コラール前奏曲「イエス、わが喜び」BWV 610(オルガン独奏)
 モテット「イエス、わが喜び」BWV 227
 モテット「恐れることなかれ、われ汝とともにあり」BWV 228
ヨハン・クリストフ・バッハ(1642-1703):モテット「愛しき主なる神よ、我らを奮い起こし給え」
バッハ:モテット「聖霊はわれらの弱きを助けたもう」BWV 226
 モテット「おおイエス・キリスト、わが命の光」BWV 118
ゼバスティアン・クニュプファー(1633-1676):モテット「神よ、我をば見出し給いて」
バッハ:モテット「主をたたえよ、すべての異教徒よ」BWV 230
独唱:
エレーヌ・ヴァルター、アンナ=レナ・エルベルト(S)
ウィリアム・シェルトン(A)
ベンヤミン・グラウビッツ(T)
クリスティアン・イムラー(Bs)
ラ・シャペル・アルモニーク(声楽&古楽器アンサンブル)

ダヴィド・プランティエ(Vn/コンサートマスター)
フランソワ・ゲリエ(Org)
ヴァランタン・トゥルネ(指)

録音:2021年7月2-5日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
2019年にバッハの『マニフィカト』初演版の録音(CVS009/NYCX-10097)で鮮烈なCDデビューを飾った、フランスの新世代指揮者ヴァ ランタン・トゥルネ率いるラ・シャペル・アルモニーク。Chateau de Versailles Spectaclesレーベルではその後ラモーの「優雅なインドの 国々」(CVS031)や「レ・パラダン(遍歴騎士たち)」(CVS054)といったオペラのみずみずしい録音も聴かせてくれた彼らですが、今回のモテッ ト録音もバッハ作品への深い愛が見事な結実を見せた注目すべき内容となっています。二重合唱で各パート2〜3人となる小規模編成の 声楽陣に、ヴァイオリン2・ヴィオラ2・チェロとコントラバス各1にオーボエ2・ターユ(中音域オーボエ)1・ファゴット1とオルガンからなる器楽が参 加。ヴァイオリンのダヴィド・プランティエやオーボエのブノワ・ローラン、オルガンのフランソワ・ゲリエらヴェテラン勢が加わった充実の器楽陣が、合 唱の単なる補助以上の効果をもたらし、色彩感溢れる多声部の絡み合いでア・カペラとは違う豊かな作品像を描き上げます。大バッハに大 きな影響をもたらした親族ヨハン・クリストフ・バッハのモテットではバロック期の一部の習慣に従い、器楽にカンマートーン(A=390Hz)、合唱 にコーアトーン(A=465Hz)とピッチを別々に設定、約短三度の音程差を音符の読みかえ(器楽陣が in E♭ 読み)することで補正し、当 時の音響感覚に迫るという興味深い試みも。また大バッハ自身が筆写した17世紀の作曲家クニュプファーも収録し、ドイツの伝統とバッハの 繋がりを浮き彫りにするプログラム構成も秀逸です。
CVS-068(3CD)
NX-E02
ルクレール:歌劇「シラとグロキュス」〜序幕付全5幕の抒情悲劇 グロキュス…マティアス・ヴィダル(T)
シラ…キアラ・スケラート(S)
シルセ…フロリー・ヴァリケット(S)
民衆の首長、リカス、エカト、森の精の男性…ヴィクトール・シカール(Br)
ヴェニュス、ドリーヌ、プロペティード、森の精の女性、少女2…セシル・アシル(S)
恋の神、テミール、シチリアの女性、プロペティード、羊飼いの女性、少女1…リリー・エモニノ(S)
イル・ジャルディーノ・ダモーレ(声楽&古楽器アンサンブル)
 コンサートマスター…ルドミラ・ピェストラク(Vn)
ステファン・プレフニャク(指)

録音:2021年4月12-17日、ワルシャワ
ローマの巨匠コレッリの系譜をひく名手ソミスに師事、フランスでいち早く独自のヴァイオリン芸術を確立した稀代の名手=作曲家ルクレール。 一時はオランダで過ごし、同世代のイタリア出身の名手ロカテッリと親交を結んで技芸に磨きをかけた後帰国、演奏家としても作曲家として も高い名声を得ながら、最期は謎の刺殺事件の犠牲者として世を去りました。ヴァイオリンのための作品は古楽器奏者たちも数多く録音し てきましたが、彼がオランダから戻って間もなくルイ15世の皇太子の結婚祝賀として書いた唯一のオペラ「シラとグロキュス」は意外に音源に恵 まれない作品。セバスティアン・デラン指揮の録音がALPHAで最近出るまではジョン・エリオット・ガーディナーによる1986年の録音があるだけ だったこの作品に、ヴィダル、スケラート、ヴァリケットらフランス歌劇界の最前線をゆく名歌手たちによる瑞々しい新録音が登場したのは実に 歓迎すべきことと言えるでしょう。海の精シラに思いを寄せる海の神グロキュスに恋をした魔女シルセが、ひとたび魔法で虜にしたグロキュスに 去られ恐ろしい復讐を果たす全5幕の堂々たる抒情悲劇。ヨーロッパで最も古楽が盛んな国になりつつあるポーランドの実力派楽団の好サ ポートを得て、名歌手たちは今書かれたばかりのような生々しい演奏解釈で作品の味わいを細部に至るまでじっくり味わわせてくれます。指 揮のステファン・プレフニャクはバロック・ヴァイオリン奏者としても数々の名盤を世に送り出してきた名手。イタリア音楽への抜群の適性の傍ら、 フランス音楽でも妥協ない解釈を聴かせる俊英であることを改めて実感させてやみません。
CVS-069(3CD)
NX-D11
モンテヴェルディ:歌劇「ウリッセの帰還」 ウリッセ…ヴァレリオ・コンタルド(T)
ペネローペ…リュシル・リシャルド(Ms)
運命の女神フォルトゥーナ、エリクレア、メラント、地上の合唱の一員…アンブロワジーヌ・ブレ(Ms)
大神ジョーヴェ、テレマーコ…フアン・サンチョ(T)
時の擬人像、海の神ネットゥーノ、アンティノー、海の民ファイアケスの合唱の一員、海の精の合唱の一員…アレックス・ローゼン(Bs)
知恵の女神ミネルヴァ、天界の合唱の一員…マリールー・ジャクアール(S)
愛の神アモーレ、婚礼の女神ジュノーネ、天界の合唱の一員…マリー・ペルボスト(S)
人間の弱さの擬人像、ピザンドロ、海の精の民ファイアケスの合唱の一員、海の合唱の一員…フィリッポ・ミネッチア(C.T)
エウメーテ、海の民ファイアケスの合唱の一員、海の精の合唱の一員…シリル・オヴィティ(T)
イーロ…イェルク・シュナイダー(T)
エウリマコ、海の精の合唱の一員…ピエール=アントワーヌ・ショーミアン(T)
アンフィノーモ、天界の合唱の一員…ファビアン・イオン(C.T)
レゼポペー(古楽器使用)
ステファーヌ・フュジェ(チェンバロ・指揮)

録音:2021年12月2-7日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
Chateau de Versailles Spectaclesレーベルでフランス・バロックの巨匠リュリの教会音楽の体系的録音を進め、その最新巻『ミゼレー レ』(CVS059/NYCX-10278)が『レコード芸術』誌で特選に輝いたのも記憶に新しいフランス古楽界の実力派指揮者=鍵盤奏者ステ ファーヌ・フュジェ。自身が結成したレゼポペーとの共演は歌詞の言語的魅力を最大限に活かした演奏を旨とし、バロック・オペラの指揮にも 高い適性を示してきましたが、今回は満を持してモンテヴェルディ後期の傑作に取り組みました。弓奏弦楽器奏者7人に管楽器・撥弦楽 器・鍵盤などが加わる総勢14人の器楽隊に、合唱まで含め全員がソリストからなる歌手陣には、近年レオナルド・ガルシア・アラルコン指揮 による同じ作曲家の「オルフェオ」(ALPHA720/NYCX-10243)で注目を集めたヴァレリオ・コンタルドを筆頭に、上り調子のリュシル・リシャ ルド、実力派シリル・オヴィティ、カウンターテナーのフィリッポ・ミネッチアなど広範な活躍をみせる名歌手が続々。台本の劇展開をよく捉えた精 緻な解釈はまさにレゼポペーならではで、確かな楽器選択による細やかな通奏低音に支えられた歌はまさに「歌いながら語る」バロック初期 の魂を伝えてやみません。神々の思惑に翻弄されながら異国をさまよい妻ペネローペの待つ故郷へ向かうウリッセ(ユリシーズ=オデュッセウ ス)の物語が、イタリア・バロック特有の造形のまま現代に甦る新たな名演の誕生です。
CVS-070(3CD)
NX-D11
フランチェスコ・サクラーティ(1605-1650):「狂気を装った女」全3幕の音楽劇 デイダミア…マリアナ・フローレス(S)
アキッレ…ポール=アントワーヌ・ベノス=ジアン(C.T)
ウリッセ…カルロ・ヴィストーリ(C.T)
ディオメデ…ヴァレリオ・コンタルド(T)
リコメデ…アレハンドロ・メーラプフェル(Br)
エウヌーコ…カツペル・シェロンジェク(C.T)
乳母…マルセル・ベークマン(T)
船長…サルヴォ・ヴィターレ(Bs)
暁の女神アウローラ、婚礼と豊饒の女神ジュノーネ…ジュリー・ロゼ(S)
海の妖精テティーデ、勝利の女神…フィオナ・マクガウン(Ms)
火の神ヴルカーノ、大神ジョーヴェ…アレクサンドル・ミミノシヴィリ(バス=バリトン)
栄誉の女神、叡智の女神ミネルヴァ…ノルマ・ナウン(S)
少女1…オーレリー・マルジョ(S)
少女2…アンナ・ピロリ(S)
少女3…サラ・ハウス(S)
カペラ・メディテラネア(古楽器使用)
レオナルド・ガルシア・アラルコン(チェンバロ/指揮)

録音:2021年6月9-13日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
アルゼンチンからヨーロッパに渡り、フランス語圏を中心に卓越したバロック・オペラ指揮者として活躍、とりわけイタリアやスペインなど地中海諸 国の音楽に抜群の適性を示している俊才レオナルド・ガルシア・アラルコン。これまでにもモンテヴェルディやカヴァッリなど比較的よく知られた巨 匠たちのオペラだけでなく、ザンポーニ、ファルヴェッティ、ドラーギなど今や知る人が少なくなってしまった作曲家たちの劇音楽作品も積極的に とりあげてきました。ヴェルサイユ宮殿の王室歌劇場を舞台に彼が新たに録音したのは、フランスで初めて上演されたオペラであるサクラーティ の「狂気を装った女」。ルイ13世の崩御後間もなく、イタリアから来た新宰相マザランの肝煎りで1645年12月に上演されたこのイタリア語オ ペラは、トロイア戦争の戦士アキレスにまつわるエピソードを扱ったもの。フランス王室での上演に際しては幼少の王ルイ14世を喜ばせるべく 本物の動物たちが活躍する場面も盛り込まれ、大いに歓迎されました。同世代のカヴァッリ同様ヴェネツィアを本拠に人気を博していたサク ラーティの精彩鮮やかな音楽を、アラルコンは多彩な通奏低音楽器群を含む15人編成のオーケストラ、マリアナ・フローレスら実力派歌手た ちの緩急自在の名歌唱とともに瑞々しく現代に甦らせます。器楽陣にレザール・フロリサンやルーヴル宮音楽隊を支えてきた打楽器奏者マ リー=アンジュ・プティ、百戦錬磨の撥弦奏者キート・ガート、ガンバの達人フアン・マヌエル・キンターナら実力派が加わっていることも、この名 演の勝因と言ってよいでしょう。
CVS-071
『ローマの勝利』 〜1686年、フランス王ルイ14世を讃えるローマの祝典の仮想的再現
コレッリ:トランペットによるシンフォニア 〜オラトリオ「聖女ベアトリーチェ・デステ」(ジョヴァンニ・ロレンツォ・ルリエル〔1662-1700〕との共作、1689)序曲より
トランペットを交えた大シンフォニア 〜合奏協奏曲 Op.6-7およびOp.6-1による
いとも甘美なるソナタ:アダージョ 〜トリオ・ソナタ Op.2-7より(合奏協奏曲形式による演奏)
弦楽合奏による悲しきシンフォニア 〜オラトリオ「聖女ベアトリーチェ・デステ」序曲および合奏協奏曲 Op.6-8「聖なる夜に」による
エコーを伴うソナタ 〜トリオ・ソナタ Op.1-9(合奏協奏曲形式による演奏)
メラーニ(1639-1703):夕暮れ時のための合奏付カンタータ「あの好戦的な響きは」〜コレッリのトリオ・ソナタOp.2-1からの抜粋を交えて*
コレッリ:あらゆる楽器を交えての勇壮なシンフォニア 〜合奏協奏曲Op.6-4およびOp.6-7による
エマニュエル・ド・ネグリ(S)*
アンサンブル・エクジ&アンサンブル・エミオリア(古楽器使用)
エマニュエル・レシュ=カゼルタ(Vn・指揮)

独奏群(コンチェルティーノ):
 エマニュエル・レシュ=カゼルタ、パトリツィオ・ジェルモーネ(Vn)
 クレール・ラムケ(Vc)
 ピエール・リンデルクネシュト(テオルボ)
 ディエゴ・フェルナンデス=ロドリゲス(Cemb)

録音:2021年6月15-19日 ヴェルサイユ宮殿「十字軍の間」
長きにわたる治世の間、ヨーロッパ全土に轟く覇権を確かなものとし続けたフランス王ルイ14世。カトリック総本山ローマは枢機卿マザランのか つての職場である上、中世のフランス王、ルイ聖王にちなんだサン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会のような場所もあり、ルイ14世とは決し て無縁の場所ではありませんでした。実際そこでは1686年にルイ14世に捧げられた音楽会も開かれており、フランスの古楽器奏者たちが ヴェルサイユに集って収録されたこのアルバムは、そのローマでの音楽祝典の再現を目指したもの。ローマを拠点に全欧州に名を轟かせ、フラ ンスの作曲家たちにも大きな影響を与えたコレッリの作品を中心に、サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会に仕えた作曲家メラーニのセレ ナータも交えて編まれたプログラムを、当時の記録や証言に基づき大編成で演奏しているのが大きな特色です。コレッリの室内編成向けトリ オ・ソナタは当時から大きな編成でも演奏されており、彼が100人規模の大編成を指揮していた記録もあるほど。ここではバロック・アンサンブ ルとしてはかなり規模の大きい弦楽編成に充実した通奏低音陣、曲によってはトランペット群とティンパニも加え、かの「永遠の都」に響いた 祝典の絢爛さを鮮やかに再現しており、その豪奢なサウンドがたまりません。金管陣には当時通りの指孔なしナチュラル・トランペットを吹きこ なすマドゥーフ兄弟らも参加。オーケストラ演奏の原点ともいうべき17世紀の音像に迫った注目すべきアルバムです。
CVS-072
ヘンデル:シャンドス・アンセム 第1・4・6番 ほか
シャンドス・アンセム第1番「主に向かって喜ばしき声をあげよ」HWV 247
ヴォランタリー第3番イ短調*
シャンドス・アンセム第4番「主に向かって新しい歌を歌え」HWV 249b
シャコンヌ ト短調 HWV 486*
シャンドス・アンセム第6番「鹿が清水を求めて喘ぐように」HWV 251b
マルグリット・ルイーズ(合唱&古楽器アンサンブル)
ガエタン・ジャリ(オルガン…*ソロ、指揮)
ソリスト:フロリー・ヴァリケット(S)、ニコラス・スコット(T)、ヴィルジル・アンスリ(Bs)

録音:2021年5月22-25日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
イタリアからドイツに戻った若きヘンデルは、ハノーファー宮廷での仕事を経て渡英、1710年代を通じて王都ロンドンの人々の心を着実に掴んでゆきました。そ の過程で、1717年からしばらく彼に作曲の場を与えたのが裕福な貴族のシャンドス公。当時ロンドン郊外に設営中だった公の邸宅キャノンズには、音楽演 奏に向いた大広間や礼拝堂も徐々に調えられ、ヘンデルはそうした場で公が聴き楽しめる音楽を続々と作曲します。こうして仕上がった作品群の中でも、10 曲あまりが残されている中規模声楽曲の数々は『シャンドス・アンセム』と総称され、イタリア風の声楽様式で英語の詩句があざやかに歌い上げられるその音 楽内容は作曲者の歿後、19世紀に楽譜刊行され世界的に知られるようになりました。ヴィオラを省いた弦楽編成、アルトを省いた合唱が独特の平明な構 成の面白さに繋がるこれらのアンセムに潜む、室内楽と大規模合唱の間をゆく独特の味わいを、ここではヴェルサイユ宮殿に集うフランス最前線の古楽アンサ ンブルがじっくり解釈。そもそもヘンデルの音楽はイタリア様式を下地にしていながら、序曲や舞曲などの形式、オーボエ群を活かした楽器編成などフランスから の影響も見られ、ガエタン・ジャリ率いるマルグリット・ルイーズの演奏解釈はそうした一面を玄妙な響きで浮き彫りにしてゆく味わい深さもあります。伸びやかな バロックオーボエのソロやテオルボを組み込んだ通奏低音の多彩さもさることながら、各パート5〜6人からなる3声の合唱が織り上げてゆく一体感に満ちた歌 唱も見事なもの。ヴォランタリーやシャコンヌでは指揮者ジャリのオルガン独奏で、18世紀オリジナルの形に復元されたヴェルサイユ王室礼拝堂の銘器の美音 も味わえます。逞しさよりも優雅さが際立つヘンデルの一面にはっとさせられる新録音です。
CVS-073
『ルイ14世のためのグラン・モテ』 〜シャルル=ユベール・ジェルヴェ: 王室礼拝堂のためのグラン・モテ集
シャルル=ユベール・ジェルヴェ(1671-1744):詩篇第137篇によるモテ「バビロンの流れのほとりで」
詩篇第100篇によるモテ「全地よ歓喜して神を迎えよ」(ユビラーテ・デオ)
詩篇第51篇によるモテ「わたしを憐れんでください、主よ」(ミゼレーレ)
マリー・ペルボスト、デボラ・カシェ(ドゥシュ〔ソプラノ〕)
ニコラ・スコット(オートコントル〔高音テノール〕)
パコ・ガルシア(ターユ〔テノール〕)
ブノワ・アルヌー(バス=ターユ〔バリトン〕)
レゾンブル(古楽器使用)
コンセール・スピリチュエルcho
シルヴァン・サルトル(指)

録音:2021年9月11-13日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
フランスならではの音楽様式が確立された太陽王ルイ14世の治世を経て、イタリア音楽のからの影響を色濃く反映した音楽が流行しはじめ た18世紀のパリ。太陽王亡き後ルイ15世の幼少期に摂政を務めたオルレアン公に音楽教師として仕えたジェルヴェは、1716年に発表した オペラ「イペルムネストル」が大きな成功を収め、後にはルイ15世の王室礼拝堂でベルニエやカンプラといった先輩作曲家たちと肩を並べるに 至りました。イタリア様式をフランス人好みに合わせてアレンジした混合様式の担い手の一人で、その才覚はヴェルサイユの儀礼を彩った大規 模な合唱・合奏向けのグラン・モテにも見事な結実を見せています。これまで録音もあまり出て来なかった作曲家ですが、ここでは濃やかなア ンサンブルを聴かせるレゾンブルの器楽合奏を得て、フランス古楽界の最前線をゆく歌手たちが緩急自在の音作りを聴かせ、作品の魅力を 最大限に引き出してゆきます。晴れやかな「ユビラーテ・デオ」や悲哀の表現が美しい「ミゼレーレ」、曲中さまざまな箇所で各楽器の味わいが 活きる小編成解釈が際立つ「バビロンの流れのほとりで」と、作曲家自身とゆかりの深い礼拝堂に響きわたる充実の3曲。このレーベルの常 通り、最新研究を踏まえたブックレットの解説(仏・英・独語)も充実しています。
CVS-074

NYCX-10335(1CD
国内盤仕様
マラン・マレ:『音階、およびその他の器楽曲集』(1723年パリ刊/全曲)
音階 〜小さなオペラの形式で
マレ流儀のソナタ
パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘
レ・タンブル(古楽器使用)【川久保洋子(Vn)、ミリアム・リニョル(バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ジュリアン・ヴォルフス(クラヴサン〔チェンバロ)】

録音:2020年6月6-9日 ラ・サル・デザクト、コレージュ・ヴィクトル・ユーゴー、ブザンソン
※ 国内仕様盤解説日本語訳…白沢達生
フランス・バロックの巨匠たちの中でも指折りの存在、ヴィオールの名手にして王室のオペラ指揮者でもあったマラン・マレ。"天使のごとく弾く"と 讃えられたその妙技は、若い頃から晩年まで折々に発表された5つのヴィオール曲集に確かな痕跡を認めることができます。その一方で彼 は、1725年に最後のヴィオール曲集を発表して現場を退く2年前、「音階」「マレ流儀のソナタ」「パリのサント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教 会の鐘」という三つの充実作からなる室内楽曲集も発表しています。徹底してフランス流かつヴィオールという楽器にこだわった5つのヴィオー ル曲集に比して、これら3曲はヴィオールと通奏低音のほかヴァイオリンが加わるトリオのために書かれ、音楽自画像的な企図が窺える「マレ 流儀のソナタ」など、"もう一つのマレの顔"を集大成したとも取れる内容。ドレミファソラシドの音階を辿った音型をベースに、各音にもとづく楽 想が縦横無尽に展開される長大な「音階」はじめ3曲とも充実した難曲ですが、フランスを拠点に活動を続け近年Floraレーベルから名盤 を連発してきたレ・タンブルの3名手にかかると実に精彩に富み、随所ではっとさせられる音の妙に興味が尽きず、先へ先へと聴き進めずにお れません。マレを主人公とした映画『めぐり逢う朝』でも使われていた「鐘」の起伏に富んだ展開も比類なく、演奏陣による各曲詳述(国内仕 様盤は日本語訳付)も含め、この異形の曲集の新たな決定盤になりそうな1枚です。
CVS-075
ボワモルティエ:「公爵夫人家のドン・キホーテ」(1743)〜3幕の舞踏音楽喜劇(全曲) ドン・キホーテ…マティアス・ヴィダル(T)
サンチョ・パンサ…ジャン=ガブリエル・サン=マルタン(Br)
公爵夫人=アルティジドール…シャンタル・サントン=ジェフェリ(S)
モンテジノ、メルラン、通訳…ニコラ・ブローイマンス(Bs)
農婦、恋する女性、使用人の女…カミーユ・プール(S)
恋する男性…シャルル・バルビエ(C.T)
ル・コンセール・スピリチュエル(声楽&古楽器アンサンブル)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2020年12月22-23日、ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
フランス・バロック復興の勢いを数十年にわたり第一線の演奏シーンで支え、今やバロックのみならずロマン派以降のフランス音楽でも名演を 連発している鬼才指揮者エルヴェ・ニケ。作曲家の現在の知名度にこだわることなく、演奏機会の少ない作品の発掘にも意欲的に取り組 んでいますが、18世紀に誰よりも早くフリーランス作曲家として自活を達成した人気作曲家ボワモルティエには「同世代のラモーより先をゆく 先進的作曲家」と絶賛を惜しみません。彼が早くから入れ込み実演でも頻繁にとりあげてきた「公爵夫人家のドン・キホーテ」は、NAXOSに 録音している(8.553647)ほかALPHAで映像もリリースしていますが(ALPHA711)、今回はヴェルサイユでCDを再録音しました。従者サ ンチョ・パンサとともに所領に迷い込んだドン・キホーテをからかうべく公爵夫人が素人芝居を開催、恋するアルティシドールやニッポンの女帝に 扮して二人を翻弄する荒唐無稽な物語を、ロココ期のフランス音楽ならではの典雅な魅力たっぷりに聴かせてくれます。コロナ禍によるスケ ジュール変更の間隙をぬって実現したという贅沢布陣の録音で、主人公のドン・キホーテと公爵夫人はそれぞれヴィダルとサントン=ジェフェリ という現代フランス最前線を行く名歌手が鮮やかに演じ切り、合唱と合奏が織りなす連携の面白さもル・コンセール・スピリチュエルの俊才陣 によってひときわ魅力的に響きます。旧盤CDから四半世紀をへて、ニケ自身も解釈の深まりを自負する名演で、起伏に富んだ物語の面白 さをじっくり堪能できます。
CVS-077
ソフィー・ガーユとフランス第一帝政期のハープ伴奏歌曲
1. ルイ=エマニュエル・ジャダン(1768-1853):コラス、コラス、どうか誠実に慕って
2. ソフィー・ガーユ(1775-1819):わかっている、若い頃には(第1・2連)
3. フランソワ=ジョゼフ・ナーデルマン(1781-1835):西風がやさしく吹き寄せてくれようと*
4. ガーユ:それは彼女とは違う
5. ジャン=ポール・エジード・マルティーニ(1741-1816)/ナーデルマン編)):愛の喜び*
6. モーツァルト:クロエに K. 524
7. ガーユ:期待
8. F-J. ナーデルマン:ソフィー・ガーユの「おお漁師よ」の調べによるハープのための幻想曲*
9. ガーユ:悪魔の円舞
10. ガーユ:ミラノの司祭の歌、別名「間に合わせの食卓」
11. L-E. ジャダン:ウェルテルの死
12. ジャン=ルイ・アダン(1758-1848):ウェルテルの墓を訪れたシャルロット(第1・2連)
13. ガーユ:もはや死ぬほかない
14. フランソワ=アドリアン・ボワエルデュー:思い出*
15. J-L. アダン:後悔
16. モーツァルト:ラウラに寄せる夕べの思い K. 523
17. ガーユ:夕暮れのひととき
18. モーツァルト:鳥たちよ、年ごとに K. 307
19. ニコラ=シャルル・ボクサ(1789-1856):モーツァルトの「わたしの心は溜息をつく」によるハープのための変奏曲*
20. ガーユ:わたしの心の機微がわかる人は
21. J-P-E. マルティーニ:涙を流す人
22. ガーユ:愛しきフロンタン

*=ハープ独奏
マイリス・ド・ヴィルトレ(S)
クララ・イザンベール(Hp)
使用楽器:パリのジョルジュ・ブレシェール1800〜20年頃製作によるオリジナル楽器(A=430Hz)

録音:2021年10月5-8日ブロス教会(フランス中東部ブルゴーニュ地方)
近年フランスでバロック作品を中心に歌劇シーンを賑わせているマイリス・ド・ヴィルトレが、古楽器ハープの弾き手クララ・イザンベールと提案 するプログラムのテーマは第一帝政期、つまりナポレオンの時代。18世紀末にマリー=アントワネットが女性を中心とした文化談義の場を華 やがせ、その中心でハープという楽器の立場を大きく向上させた後、ナポレオンがフランス皇帝となった時代にもハープは「太古から存在する 楽器」として古代帝国への憧憬をつのらせる文化人たちを魅了。楽器製作者の息子ナーデルマンや名手ボクサら数多くの俊才たちの妙技 が人々を虜にするとともに、繊細な恋歌のための伴奏楽器としてもハープは大きな人気を獲得しました。ヴィルトレとイザンベールは革命期か ら10代で作品を発表しはじめた早熟の女性作曲家ソフィー・ガーユの作品を中心に、この曲種にすぐれた手腕を発揮したジャダン兄や「愛 の喜び」で知られるマルティーニ、ハープ奏者たちや歿後間もなく国際的名声を博したモーツァルトなど、19世紀初頭のフランスで動乱に戸 惑う多くの人々の心を慰めた調べの数々を入念に選び、じっくり味わわせてくれます。使用されているハープも当時のもの。ケルビーニの救出 オペラやベートーヴェンの交響曲の影で歴史に埋もれていったままにしておくには惜しすぎる、繊細そのものの音楽世界をじっくりご堪能くださ い。
CVS-078

NYCX-10357
国内盤仕様

二つのレクイエム
サリエリ:レクイエム ハ短調(1804)
モーツァルト:レクイエム ニ短調(1791・未完/補筆: F.X.ジュスマイヤー[1766-1803])
ヴァレンティーナ・ナフォルニータ(S)
アンブロワジーヌ・ブレ(A)
ロビン・トリッチュラー(T)
アンドレアス・ヴォルフ(Bs)
ル・コンセール・スピリチュエル(古楽器&声楽アンサンブル)
コンサートマスター:テオティム・ラングロワ・ド・スヴァルト
フランソワ・サンティヴ(大オルガン)
エルヴェ・ニケ(指)

録音:2021年11月19-23日ヴェルサイユ王室礼拝堂、フランス
※国内仕様盤解説、歌詞日本語訳…白沢達生/序文…かげはら史帆
ピーター・シェーファーの戯曲(1979)に基づくミロス・フォアマンの映画『アマデウス』(1984)で、通念を覆すモーツァルト像の引き立て役として 大きな存在感を放ったイタリア人作曲家サリエリ。作中ではモーツァルトの才能への抗いがたい憧憬と強い嫉妬から、立場を隠して『レクイエ ム』作曲を依頼、毒を盛って徐々にモーツァルトを死に追いやる悪役として描かれましたが、これはサリエリの晩年、イタリア人作曲家たちの人 気への反発からウィーンの一部の者たちが流した、根拠なき悪評の遠い結実にほかなりません。生前のサリエリは後進思いの人徳ある教育 家で、一時勝手な反感を抱いていたモーツァルトも晩年には和解、互いに才能を認め合う間柄になっていました。結果的には数世紀後のサ リエリ復権の鍵を握る作品にもなったこのモーツァルト未完の『レクイエム』を、歌劇界引退直後のサリエリが自身のために作曲した『レクイエ ム』とのカップリングで、鬼才ニケの指揮で聴けるアルバムが登場!モーツァルトでは一般的なジュスマイヤー補筆版を用いながら、緩急豊かに 圧倒的なドラマを描き出す手腕はまさにニケの面目躍如ですが、古楽器での録音はこれが初となるサリエリでも、作曲者自身の旧作からの 引用などオペラの劇的語法が豊かに活かされた、曲本来の真価を余すところなく引き出してゆきます。18世紀のモデルと同じ指孔なしナチュ ラル・トランペットを吹きこなすジャン=フランソワ・マドゥーフをはじめ器楽陣も名手揃い!後世の風評を洗い落とし「礼拝音楽本来の存在 感のままに」(ニケ談)生々しい素顔の作品像に迫った名演に仕上がっています。
CVS-079
『ペルシャの祭典』 〜2台のクラヴサンによるラモー歌劇名場面集
ラモー:抒情悲劇「ゾロアストル」(1749年初演版)による組曲
歌劇「ボレアド」(1764年作曲・生前上演なし)による組曲
英雄舞踏劇「優雅なインドの国々」(1735年初演)による組曲
英雄舞踏劇「ザイス」(1748年初演)による組曲
ロリス・バリュカン(クラヴサン)
使用楽器:パリのグージョン1749年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

クレマン・ジョフロワ(クラヴサン)
使用楽器:パリのアントワーヌ・ヴァテール(アントン・ファーター)1732年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

録音:2021年12月6-9日 サン・ピエール教会、パリ
2020年に『「ユリス」の登場人物たち』と題したアルバム(CVS021)をリリース、18世紀パリきっての人気作曲家ボワモルティエの作品やルベ ル「四大元素」など、ロココ期を飾った名作群を2台のクラヴサン(Cemb)で鮮やかに披露してみせたバリュカン&ジョフロワのクラヴサン・ユ ニットが、今度はラモーの傑作群に光をあてた新しいデュオ・アルバムをリリース。使われているクラヴサンはどちらも名工エミール・ジョバンが、ラ モーの時代のフランスで作られたモデルをもとに克明に再現製作した逸品で、吉田 研氏による細やかなエンジニアリングが収めたその美音の 響きがまず耳を捉えます。ラモーのダイナミックなオーケストラ語法の持ち味がクラヴサンを通じて伝わる精彩鮮やかなその演奏は、この楽器が タッチ如何で強弱のつかない機構であることなど忘れさせるほど変化に富んだスリリングな魅力がたっぷり。「ペルシャの祭典」とタイトルにある 通り、古代まで遡り東洋を舞台としたオペラを中心に、原作別に四つの組曲にまとめたプログラム構成も的確で、管弦楽や声楽家たちの魅 力でともすると逆に見えなくなってしまう、ラモーの音楽作りの骨太な魅力が浮き彫りになります。18世紀直送の気配を感じさせる、何度でも 再訪したくなる1枚。
CVS-082
クープラン:修道院のためのミサ
キリエ(憐れみの讃歌)
グローリア(栄光の讃歌)
オフェルトリウム(奉献唱)
サンクトゥス(感謝の讃歌)
アニュス・デイ(平和の讃歌)
主よ、我らが王を救い給え (ギヨーム=ガブリエル・ニヴェール〔1632-1714〕作曲〔1687〕)
イテ・ミサ・エスト(閉祭)

※聖歌部分出典:アンリ・デュ・モン(1610-1684)作曲「第6旋法によるミサ曲」 〜『聖職従事者たちのための、全ての固有文を含む単旋律聖歌による五つのミサ:通称“王のミサ集”』(1669)
オリヴィエ・ラトリー(Org)
使用楽器:ロベール・クリコ&ジュリアン・トリビュオ1711年建造
(復元:ジャン=ルー・ボワソー&ベルトラン・カティオ〔1995〕)

クレマンス・カリ、マルト・ダヴォスト、ジャンヌ・ルフォール(S)
シリル・エスコフィエ(T)
マルク・モイヨン、ジャン=マルク・ヴィエ(Br)
ジャン=イヴ・エモズ(指)

録音:2022年1月5-9日、4月4-6日 ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂
数々の一流オーケストラとの共演でも知られ、2019年火災に遭ったパリ・ノートルダム大聖堂のオルガンの正規奏者として、被災前最後の 録音も制作している名手オリヴィエ・ラトリー。古楽から現代作品まで、常に演奏曲目の本質を見据え、音響環境をよく見定めて楽器の魅 力を最大限に引き出す解釈を聞かせてきた彼が、フランス・バロック最大の鍵盤音楽の大家F.クープランによるオルガン曲の大作と向き合い ました。しかも録音場所は、この大家が仕えたルイ14世の治世下で長年にわたる計画の末に完成されたヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂。現 存するクープラン唯一のオルガン曲集に収録されている『修道院のためのミサ』は、ミサの祈祷文の朗誦と交互にオルガン演奏を挟んでゆく当 時の礼拝習慣にあわせて書かれた長大な作品。詩節ごとに細かく分かれた楽章の数々には使う音色が曲題として明記され、明瞭な音の 動きの中でフランス音楽ならではの色彩感豊かな響きが味わえる内容。ラトリーはフランス古楽シーン有数の歌手たちによる比類なく玄妙な 歌唱を得て、同じく王室礼拝堂に仕えた17世紀の大家デュモンやニヴェールの歌を交え、当時の礼拝の文脈に乗せてこの傑作を「いま」に 甦らせます。ヴェルサイユ王室礼拝堂のオルガンは設置当初の形に復元されており、クープラン自身の演奏でも味わえたであろう音響を追体 験できるのも貴重。ALPHAレーベル初期の名盤群で知られる録音技師ユーグ・デショーが、礼拝堂の残響や佇まいを自然に伝える美しい エンジニアリングで、オルガンと歌声の交錯を鮮やかに伝えてくれます。
CVS-091(DVD)
NX-D09
ヴェルサイユ・ガラ2022
1. ヴェルディ:歌劇「運命の力」 〜序曲
2. ジョルダーノ(1867-1948):歌劇「アンドレア・シェニエ」 〜ジェラールのアリア「祖国の敵」(第3幕) *
3. チレア:歌劇「アドリアーナ・ルクヴルール」 〜アドリアーナのアリア「私は創造の神の卑しい僕」(第1幕) +
4. ジョルダーノ:歌劇「フェドーラ」 〜間奏曲
5. ヴェルディ:歌劇「椿姫」 〜ヴィオレッタとジェルモンの二重唱「ヴァレリー嬢ですか?」(第2幕) *+
6. ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 Op. 9
7. トマ:歌劇「アムレ(ハムレット)」 〜ハムレットのアリア「酒よ憂さを晴らせ」(第2幕) *
8. マスネ:歌劇「ル・シッド」 〜シメーヌのアリア「泣け、泣け、わが瞳よ」(第3幕) +
9. マスネ:歌劇「タイス」 〜瞑想曲
10. ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」 〜レオノーラと伯爵の二重唱「聞いたかな?…この涙を」(第4幕) *+
11. トローバ(1891-1982): サルスエラ「マラビーリャ」 〜ロマンス「恋人よ、我が命よ」(第3幕) *
12. プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」 〜ムゼッタのワルツ「私が街を歩けば」(第2幕) +
13. レハール:オペレッタ「メリー・ウィドウ」 〜ハンナとダニロのワルツ「唇は黙っていても」(第3幕) *+
プラシド・ドミンゴ(Br) *
ジェニファー・ラウリー(S) +
ヴェルサイユ王室歌劇場O
ローラン・カンペローネ(指)

収録:2022年4月2日 ヴェルサイユ宮殿王室歌劇場
収録時間:87分
字幕:仏語・英語・ドイツ語
NTSC / All Regions
Dolby Digital Stereo
オペラ界のレジェンド、プラシド・ドミンゴが、2022年にヴェルサイユ宮殿で行ったライヴの模様がDVDで登場。近年ヨーロッパでの活躍が目 立つアメリカのソプラノ、ジャニファー・ラウリーと共に、王道のイタリア・オペラからヴェルサイユにちなんだフランス・オペラまでをたっぷりと聴かせてく れます。ドミンゴのお国ものであるサルスエラももちろん収録。ラストはメリー・ウィドウのワルツで美しい余韻と共に幕となります。歴史的な王室 歌劇場の美しさも楽しめる、素晴らしい映像です。

CVS-700
「ヴェルサイユ宮殿の大噴水」〜王宮の祝祭音楽
1.リュリ:『フェアトン』 序曲
2.フィリドール:笛と太鼓のための行進曲
3.ド・ラランド:われ御身をたたえまつらん
4.リュリ:『主は汝の声を聞き』より 「信頼する主よ、統べたまえ」
5.同 「父と子に光栄あれ」
6.カヴァッリ:『1660年のミサ』より ファンファーレとタンブール
7.同 キリエ
8.シャルパンティエ:『花咲ける芸術』より ヴィオールのエール
9-10.同 「なんというひどい騒音」〜 憤怒の鬼たちのアントレ
14.リュリ:『フェアトン』より シャコンヌ
15.同 「歌い続けよう、途切れることなく」
16.同 ルール風エール
17.ビーバー:『ザルツブルク・ミサ』より キリエ
18.リュリ:『テ・デウム』より 「われ御身に依り頼みたり」
19-23.カンプラ:『優雅なヨーロッパ』 第4部「トルコ」より
24.ヘンデル:『ジョージII世戴冠式アンセム』より トランペット・ファンファーレと太鼓の行進
25.同 「司祭ザドク」
26.ルソー:『村の占い師』より 「もう決して、コラン」
27.同 アルマンド
28.同 「木陰で踊りましょう」
29.ブランシャール:『テ・デウム』より 「わたしたちは、神であるあなたを讃えます」
30.ブラモン:『テ・デウム』より 「聖なるかな、万軍の主なる神であらせられるかた」
31.同 「あなたにこそ、主よ、わたしの願いをかけます」
ヴァンサン・デュメストル &
ル・ポエム・アルモニーク…1、14-16
ガエタン・ジャリ&マルグリット・ルイーズ…2-5、8-13
バンジャマン・シェニエ &ガリレイ・コンソート…6、7
ヴァーツラフ・ルクス &コレギウム1704…17、18
セバスティアン・デラン &レ・ヌーヴォー・キャラクテール…19-23、26-28
ロバート・キング &キングス・コンソート…24、25
ダニエル・キュイエ &マルグリット・ルイーズ、ストラディヴァリア…29-31
ヴェルサイユ宮殿の文化催事プロジェクト・チームが手がけるChateau de Versailles Spectacles(シャトー・ド・ヴェルサイユ・スペクタクル) による、大噴水ショーをイメージしたアルバム。ヴェルサイユ宮殿の大噴水を贅沢に使用したショーは、かつての宮廷人たちが親しんだイベント を現代に受け継いでいるもので、今でも多くの観光客を楽しませています。このイベントで使用される曲を中心に、レーベルが持つ音源からフ ランス・バロックの祝祭音楽などを集めた壮麗なアルバムがこちら。中には、現時点で未リリースの「太陽王のためのミサ」(2019年6月リリース 予定)や、PAL DVDのため日本未発売の「リュリ:フェアトン」、「リュリ:テ・デウム/ビーバー:ザルツブルク・ミサ」、「ヘンデル:ジョージII 世戴冠式」の音源が収められているのもの嬉しいところです。 【ヴェルサイユ宮殿大噴水ショーのイメージ・アルバム】

CVS-0131(DVD)
NX-D09
ヘンデル:オラトリオ『メサイア』 サンドリーヌ・ピオー(S)
アンテア・ピシャニク(Ms)
クレシミル・シュピツェル(T)
ボジダル・スミリャニチ(バス=バリトン)
ル・コンセール・スピリチュエル(古楽器使用/首席ヴァイオリン:アリス・ピエロ)
エルヴェ・ニケ(指)
ニケでヘンデルといえば、ロンドンのヴィクトリア&アルバート・ホールで収録された『水上の音楽』の映像もよく知られているところ。オペラの録音 ではどれ一つとってもドラマティックな躍動感を徹頭徹尾感じさせる充実演奏を聴かせてきたニケだけに、ほかでもない『メサイア』をこれほど意 気込みを感じさせる映像で刻んでくれたのは嬉しい限り。『メサイア』の抽象的な台本を貫く物語性に着目、これを「救世主イエスの人生を 伝える物語にもとづく、オペラのような音楽」と表現するニケは、かつてホグウッドが録音し話題を呼んだ1754年捨子養育院版を採用、起伏 に富んだ筋書の躍動感を浮き彫りにしてゆきます。「ハレルヤ」の部分では18世紀当時流そのままの指孔なしナチュラルトランペットを吹く名 手マドゥーフが活躍、首席奏者はAlphaレーベルでのビーバー『ロザリオのソナタ集』の名録音で知られるアリス・ピエロ、オーボエにはアンサン ブル・アマリリスのガイヤール……と器楽陣営の充実度にも目を見張ります。目と耳を興奮させてやまない「21世紀のニケ」ならではの映像、 じっくり見届けたいリリースです。 リュリ、シャルパンティエ、ジルといった17世紀フランス宮廷の合唱曲を数多く手がけ、バロック・オペラの上演でも注目すべき成果をあげてきた 一方、近年ではフランスやベルギーの実力派オーケストラの指揮台に立ち、ベルリオーズやサン=サーンスなど19世紀フランスのレパートリーで も録音・実演とも実績を重ねている古楽系指揮者エルヴェ・ニケ。フランス最前線を走り続けるこの異能の指揮者が、満を持してヴェルサイ ユ宮殿の旧王室礼拝堂でヘンデルの傑作を収録。ソリスト級の古楽器奏者が数多く集うル・コンセール・スピリチュエルの演奏シーンととも に、スリリングな人間物語としての『メサイア』を世に問います。


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