湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


ナクソス廉価盤・新譜速報1




NAXOS 2025年7月発売(1)

NAX-8.574481(1CD)

NYCX-10538(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

シルヴェストロフ(1937-):ヴァイオリン協奏曲(2016)
交響曲第8番(2012-13)*
ヤヌシュ・ヴァヴロフスキ(Vn)
リトアニア国立SO
クリストファー・リンドン=ジー(指)

録音:リトアニア、ヴィリニュス、ナショナル・フィルハーモニック・ホール
2022年9月19-20日、2022年9月21-22日*
※全て世界初録音
ヴァイオリン協奏曲はシルヴェストロフの「バガテル期」(2003?2017年)の集大成であり、「瞬間」と「記憶(追憶)」という二つの原理に基づく作品。1990 ?91年作曲の「ヴァイオリンと管弦楽のための交響曲」の姉妹作でもあるこの曲は、ベートーヴェン的な親密さと簡潔さを備え、より内面的で詩的な音楽へ と向かう「終わりではなく始まりに向かって開かれる形式」として展開されます。冒頭の暗いオーケストラの主題は、やがてヴァイオリンの内省的な旋律へと変 化し、両者の対話を通じて次第に抒情性が深まっており、こうした表現は第3楽章「パストラール」や、ピアノ独奏がヴァイオリンの軌跡を追うように重ねられる 終楽章「セレナーデ」において特に際立っています。静寂の中から生まれ、再び静寂へと還っていく存在の美しさと深さを静かに表現する音楽です。交響曲 第8番は、伝統的な形式に拠らず「一連の瞬間」として構成されており、全6楽章が切れ目なく続くモザイクのような流れが形づくられています。主題は常に 変容しながら循環し、調性的な素材と非調性的な素材との対比によって音楽を形成、曲の構成要素には、下行するクロマティック・クラスター、マイナーコー ドの進行、上昇するスケール、ファンファーレ風のモチーフなどが含まれており、さらにピアノやハープ、木管楽器による短く儚い旋律的エピソードが随所に散り ばめられ、これらは希望や記憶の断片のような印象を与えます。この作品は、人間の苦しみと再生への希求を同時に内包しており、最後の沈黙は絶望で はなく、深い瞑想と包容を意味します。 ※国内仕様盤には小室敬幸氏の日本語解説が付属します。
NAX-8.574318(1CD)
カール・タイケ:行進曲集 第2集
1. ツェッペリン伯爵行進曲
2. 兄弟の心の絆「ステッセル将軍」(H. アーレンスによる吹奏楽編)
3. ヴィルヘルム王子行進曲
4. ドイツの全ての行政管区から(H. アーレンスによる吹奏楽編)
5. 皇帝の到着(H. アーレンスによる吹奏楽編)
6. 武器の世界
7. 帝位と祖国のために!
8. 皇帝の合言葉(A. カールソンによる吹奏楽編
9. 忠実なドイツ
10. 確固たる信義(E. グートツァイトによる吹奏楽編)
11. 運を天に任せて(A. カールソンによる吹奏楽編)
12. 常に生き生きと
13. 元気良く大胆に(E. グートツァイトによる吹奏楽編)
14. Gewagt und gewonnen 挑戦して成功した
15. ハンザ行進曲(H. アーレンスによる吹奏楽編)
16. 恐れなく
17. ブランシュヴァイク万歳
18. ポツダム万歳(H. アーレンスによる吹奏楽編)
王立スウェーデン海軍バンド
アレクサンドル・ハンソン(指)

録音:2022年3月28日-4月1日、2023年10月9-12日
「旧友」が有名なタイケの行進曲を系統的に録音するシリーズ第2集です。軍楽隊に所属しながら作曲を志したタイケの行進曲には、軍楽の宿命として当 時の政治体制や軍隊を讃え、士気を高めるべく書かれたものが多くあり、それらの中には後の政治状況の変化によって翻弄されたものもあります。このアル バムでは純粋に作品の音楽的価値に焦点を当て、見過ごされがちだった作品群の真価を問いかけます。
NAX-8.574699(1CD)
ザ・ミュージック・ネヴァー・エンズ-レノン、マッカートニー、ルグラン、エリントン他の作品を合唱で
1-4. 伝承曲
 1. ワルツィング・マチルダ(J. ラスボーンによる合唱編)
 2. ダニー・ボーイ
 3. 風もないのに船を走らせているのは誰?(J. ラスボーンによる合唱編)
 4.エル・パイザニート(農夫)(W. スウィングルによる合唱編)
5. ワード・スウィングル(1927-2015):ロマンス「君のためにブローチを」
6-8. ジョン・レノン(1940-1980)/ポール・マッカートニー(1942-)
 6. フール・オン・ザ・ヒル(J. ラスボーンによる合唱編)
 7. ペニー・レイン(J. ラスボーンによる合唱編)
 8. ブラックバード - アイ・ウィル(J. ラスボーンによる合唱編)
9-11. ミシェル・ルグラン(1932-2019)
 9. ロシュフォールの恋人たち - ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング(G. ジャイルズによる合唱、コントラバスとピアノ編)
 10. 結婚しない族 - 君に捧げるメロディ(A. レストレンジによる合唱編)
 11. おもいでの夏 - 夏は知っている
(G. ジャイルズによる合唱、コントラバスとピアノ編)
12. ケヴィン・オルソン(1971-):夏のソネット
13-19. ジョージ・シアリング(1919-2011):シェイクスピアの歌とソネット
 13. No.1. Live with me and be my love
 14. No.2. When daffodils being to peer
 15. No.3. It was a lover and his lass
 16. No.4. Spring
 17. No.5. Who is Silvia
 18. No.6. Fie on sinful fantasy
 19. No.7. Hey, ho, the wind and the rain
20. スティーヴン・ソンドハイム(1930-2021):リトル・ナイト・ミュージック - 道化師を出せ(W. スウィングルによる合唱編)
21. デューク・エリントン(1899-1974)/ベン・パリー(1965):スウィングしなけりゃ意味がない - スウィング・タイム(B. パリーによる合唱編)
ジョセリン・サマービル(S)…10
ジェニファー・グリフィン(A)…20
ダニエル・パージェス(T)…12
マシュー・ウッド(Br)…5
ギャレス・ヒュー・デイヴィス(Cb)…9、11、13-15、18、
19
ギャレス・ジャイルズ(P)…9、11、13-15、17-19
ヴァサーリ・シンガーズ
ジェレミー・バックハウス(指)

録音:2024年10月25-27日
「声のオーケストラ」と呼べそうなほど多彩な表現法を開拓したヴォーカル・アンサンブル、スウィングル・シンガーズの系譜に連なるヴァサーリ・シンガーズ が名旋律の数々を披露する贅沢なアルバム。 冒頭では、ジョナサン・ラスボーン編曲による伝承曲やフォーク風の曲が取り上げられ、声で楽器を模倣するユニークなアレンジが印象的です。続くセ クションではビートルズの名曲を中心とした作品群が、1999年にスウィングル・シンガーズのために書かれたラスボーンの編曲で披露されます。さらに、 ミシェル・ルグランの作品や、ケヴィン・オルソンによるラテン音楽風のソネット、そしてジョージ・シアリングによるシェイクスピアのソネットにジャズ風の音楽 を付けた作品が続きます。終盤では、ワード・スウィングル編曲によるソンドハイムの名作が情感豊かに歌われ、最後はデューク・エリントンの「スウィン グしなけりゃ意味がない」で、エネルギッシュかつ鮮やかに締めくくられます。
NAX-8.579173(1CD)
マルタ・プタシンスカ(1943-):冬物語 - オーケストラのために(1984)
2つのヴァイオリンのための合奏協奏曲(1996)
マンカーラ -2つのヴァイオリンのために(1997)
フルートとハープのための二重協奏曲(2007-08)
. エウリディーチェの夢 -2台のハープのために(2001)
SE-TA (セクエンツァとタランテッラ)(2つのアコーディオン、打楽器と弦楽オーケストラ版 2023)
ダニエル・ミェチコフスキ(Fl)
ロクサーナ・クヴァスニコフスカ=スタンキェヴィチ(Vn)
ヴォイチェフ・コプロフスキ(Vn)
ズサンナ・エルステル、アナスタシア・ラズヴァリャーエヴァ(Hp)
クラウディウシュ・バラン、ラファウ・グジョンカ(アコーディオン)
ショパン大学室内O
マリウシュ・スモリー(指)

録音:2024年5月26-31日、2024年6月20日、2024年6月28日
マルタ・プタシンスカはワルシャワ出身の作曲家・打楽器奏者で、ポーランド、フランス、アメリカで研鑽を積み、ルトスワ フスキ、ブーランジェ、メシアンらに師事しました。マリンバ協奏曲や「風の声」をはじめとする打楽器作品やオペラで高 い評価を受けており、シカゴSOやポーランド国立RSOのほか、世界中の演奏家から委嘱を受けて います。ISCMやザルツブルク音楽祭などでも作品が紹介され、1998年からはシカゴ大学で教鞭を執っています。収 録曲の「冬物語」は、1985年にリスボンで初演された室内管弦楽作品。シェイクスピアではなく、シュルレアリスム絵 画に着想を得た幻想的な音楽です。ヴィヴァルディの「冬」の要素を取り入れながらも、夢と現実が交錯する独自の 音響世界が展開されています。他にはユーディ・メニューインの80歳を祝して作曲された「合奏協奏曲」、古代エジプ トの数字遊びに由来する「マンカーラ」、2008年の国際ハープ・フェスティバルで初演された「フルートとハープのための 二重協奏曲」、静謐な雰囲気を持つ「エウリディーチェの夢」、静と動、対照的な2つの楽章を持つ「SE-TA」を収 録。
NAX-8.660580(2CD)
ドニゼッティ:歌劇「大洪水」(1830年版) ノア…ナウエル・ディ・ピエロ(Bs)
ヤペテ…ニコロ・ドニーニ(Bs)
セム…ダヴィデ・ザッケリーニ(T)
カム…エドアルド・マルティネス(Br)
テスビテ…サブリーナ・ガルデス(S)
アスフェネ…エーリカ・アルティーナ(S)
アブラ…ソフィー・バーンズ(Ms)
カドモ…エネア・スカーラ(T)
セラ…ジュリアーナ・ジャンファルドーニ(S)
アダ…マリア・エレナ・ペーピ(Ms)
アルトー…ワンマオ・ワン(T)
ミラノ・スカラ座アカデミーcho
ドニゼッティ歌劇場O
リッカルド・フリッツァ(指)

録音:2023年11月17日ドニゼッティ歌劇場、ベルガモ(イタリア)
総収録時間:130分
【同内容の映像】
DYNAMIC
DVD … DYNDVD38029
Blu-ray … NYDX-50374(国内仕様盤)
DYNBRD58029(輸入盤)
ドニゼッティのオペラ「大洪水」は、旧約聖書の「ノアの方舟」やバイロン、ムーアらの文学作品に着想を得て1830年 に書かれた作曲家唯一の聖書を題材とした作品。ノアとその家族、彼らの葛藤、そして迫り来る大洪水の破滅が描 かれています。ナポリでの初演は失敗に終わり、その後改訂版が1834年に上演されたものの、長らく忘れられていま した。2023年、ベルガモのドニゼッティ音楽祭がこの作品のナポリ初演版を蘇演。上演時には現代的な環境テーマ を反映した演出が大きな話題となりました。ノア役にナウエル・ディ・ピエロ、セラ役にジュリアーナ・ジャンファルドーニ、カ ドモ役にエネア・スカーラなど実力派が出演。音楽監督リッカルド・フリッツァが指揮を務め、作品に新たな光を当ててい ます。

NAXOS 2025年6月発売 (3)
NAX-8.574667(1CD)
リスト:ピアノ曲全集 第66集
ドニゼッティの「ルクレツィア・ボルジア」の追想 S400/R154(G. ブオナミーチによる短縮版)
モーツァルトの「フィガロの結婚」の主題による幻想曲 S697/R660(F. ブゾーニによる補筆完成版)
ドニゼッティの「ルチア」と「パリジーナ」の2つのモティーフによるワルツ・カプリース S401/R155
モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の回想 S418/R228
コンスタンティン・シェルバコフ(P)

録音:2024年4月28-29日モンマス(UK)、ワイアストン・コンサート・ホール
リストは1830?40年代、当時のオペラ人気に着目し、裕福な中流階級が自宅でその魅力を楽しめるように多くの編曲やパラフレーズを発表しました。こ れによりモーツァルトやドニゼッティの作品を広めるとともに、自身の超絶技巧と作曲家としての才能を示しました。物語性より音楽的表現を重視したこれら の作品は、生涯を通じて彼の重要な収入源でもあったようです。ドニゼッティのオペラによる「ルクレツィア・ボルジアの追想」は、1840年に初版が出版され、 1848年にリスト自身によって大幅な改訂が施された作品。さらに1880年頃、ジュゼッペ・ブオナミーチがリストの許可を得て構成を簡略化し、冗長さを排 した完成度の高いバージョンを作成しました(本録音はその版によるものです)。モーツァルトの「フィガロの結婚」の主題による幻想曲は、もともと「フィガロ」と 「ドン・ジョヴァンニ」両方の主題を用いた幻想曲として構想されましたが、未完に終わり、自筆譜も不完全のまま残されました。リストを敬愛したフェルッチョ・ ブゾーニは、その「フィガロ」部分のみを編曲し、「ドン・ジョヴァンニ」の要素を省略した形で1912年に出版しました。「ルチアとパリジーナの2つのモティーフによ るワルツ・カプリース」は、ドニゼッティの2つのオペラからの主題を1曲にまとめた作品です。1842年の初版では、それぞれの主題が異なる調で提示され、後 に同じイ長調となり二重唱のように組み合わされ、エネルギッシュなコーダにはリスト自身の主題も加えられており、華やかに締めくくられます。後年の改訂版 (8.570137に収録)では若干短縮されましたが、ここでは初版が演奏されています。「ドン・ジョヴァンニの回想」は、1841年に作曲された非常に技巧的で ドラマティックな作品。モーツァルトのオペラから墓地の場面、「お手をどうぞ」の二重唱とその変奏、華やかな「酒の歌」といった複数の場面が巧みに引用さ れ、オペラのストーリーにリストならではのヴィルトゥオジティが融合しています。
NAX-8.559952(1CD)
フローレンス・ベアトリス・プライス(1887-1953):ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調(1939)
ヴァイオリン協奏曲第2番ニ長調(1952)
1楽章のピアノ協奏曲 ニ短調(N. グリアー 、C. ラーク版)
茂みの中の踊り(W. G. スティルによる管弦楽編)
ファニー・クラマジラン(Vn)
ハン・チェン(P)
マルメ歌劇場O
ジョン・ジーター(指)

録音:2024年3月19-22日
マルメ歌劇場(スウェーデン)
「黒人女性初の交響曲作曲家」と呼ばれるフローレンス・プライス。近年はその作品がBBCプロムスで演奏されたり、グラミー賞を受賞したりして大い に注目されています。その協奏的作品をすべて収めたアルバムが登場。ヴァイオリン協奏曲第1番は、演奏された記録はなく、誰のために書かれたか も明らかではありません。チャイコフスキーの協奏曲を思わせるスケールの大きな作品で、長大な第1楽章では独奏ヴァイオリンが新たな旋律を次々と 提示していゆきます。第2楽章はカンタービレの旋律とブルースの要素が特徴。第3楽章は複雑なリズムによるパッセージで構成されています。ヴァイ オリン協奏曲第2番は、友人ミニー・ジャンバーグのために書かれた単一楽章の作品で、彼女の作品としては黒人音楽的要素は控えめです。プライ スの死後、1953年に初演され、その後しばらく忘れられていましたが、2009年に草稿が発見され、再び演奏可能となりました。「ピアノ協奏曲」は プライスの作品の中でも特に人気が高いもの。シュナーベルとシカゴ響によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番を聴いた体験から大きな影響を受け たとされています。明確な3部構成で、とりわけ中間部でのソロ・オーボエとピアノの美しいデュエットが印象的です。「茂みの中の踊り」は、アフリカ系ア メリカ人の伝統舞踊やリズムを取り入れた色彩豊かなピアノ組曲。ここではウィリアム・グラント・スティルの管弦楽編曲版が演奏されています。
NAX-8.574668(1CD)
オーベール:序曲集 第8集
オーベール(フェルディナント・エロール編):歌劇「スペインのヴァンドーム」〜序曲/パ・ド・セット/ディヴェルティスマン第2番/ パ・ド・シャルジュ/ パ・ド・トロワ(ボレロ)/パ・ド・トロワ(フィナーレ)
オーベール:歌劇「許婚」 序曲
 歌劇「王冠のダイヤモンド」 序曲
 歌劇「王冠のダイヤモンド」 - 第2幕 サラバンド
 歌劇「放蕩息子」〜序曲/イントロダクション ー/第2幕 エール・ド・バレ第1番(D. サルヴィ編)/第2幕 エール・ド・バレ第2番/第2幕 エール・ド・バレ第3番/ 第2幕 エール・ド・バレ第4番/第2幕 エール・ド・バレ第5番
オルタンス・ド・ボアルネ(1783-1837):シリアに旅立ちながら(D.-F. オーベールによる管弦楽編)
ヤナーチェクPO
ダリオ・サルヴィ(指)

録音:2024年6月10-12日
※全て世界初録音
かつてロッシーニやスッペに並ぶ人気を誇ったオーベールの音楽は、活気と優雅さ、舞踏的なリズムにあふれています。この序曲集第8集は前作と同じ くダリオ・サルヴィが指揮するヤナーチェクPOの演奏です。 1823年の「スペインのヴァンドーム」は、スペイン・トレドを舞台にした祝典的な抒情劇で、オーベールとエロールが音楽を分担。ファンダンゴやボレロな どスペイン風のリズムが全編にちりばめられ、オーベールは後にこの作品の序曲を「フラ・ディアボロ」に再利用しました。「許婚」はナポレオン戦争後の ウィーンを舞台にしたオペラ・コミックで、自由や結婚による地位の向上といったテーマを描いています。序曲にはオーストリアの軍歌風の旋律も登場 し、パリで成功を収めました。「王冠のダイヤモンド」は、王妃カタリナが宝石を使って国家を救おうとする物語。序曲は勇ましいギャロップやファンファー レで彩られ、バロック風の「サラバンド」では登場人物の葛藤が表現されています。「放蕩息子」は聖書の寓話をもとにしたグランド・オペラ。序曲では 主人公の旅立ちと悔い改めが描かれ、第2幕の「バレエ音楽」は聖なる雄牛アピスの祭で披露される5つの舞曲。後にアシュトンによって『レ・ランデ ヴー』として独立したバレエ作品に再構成され、1933年に初演されました。「シリアに旅立ちながら」はオルタンス・ド・ボアルネが作曲し、フランス第二 帝政時代に非公式ながら国歌に準じる扱いを受けていた歌。オーベールによって、金管楽器と打楽器を拡張したフル・オーケストラ用に編曲されて います。
NAX-8.573703(1CD)
ゴッフレード・ペトラッシ:管弦楽のための協奏曲 第4番-第6番
弦楽のための協奏曲 第4番(1954)
管弦楽のための協奏曲 第5番(1955)
管弦楽のための協奏曲 第6番 「Invenzione concertata 協奏的創意」(1956-57)- 弦楽、金管楽器と打楽器のための
ローマSO
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指)

録音:2012年6月23-25日、2013年1月2-7日、2013年3月27-30日
ゴッフレード・ペトラッシはイタリアの作曲家、教育者、指揮者で、ローマのサルヴァトーレ教会で聖歌隊員を務めた後、サンタ・チェチーリア音楽院で学 び、教師としても活動、1937年から1940年にかけては、ヴェネツィアのフェニーチェ劇場の監督を務め、現代音楽のフェスティバルを主宰しました。彼 は管弦楽のための協奏曲を全8曲作曲しています。第4番は弦楽器のみで演奏される曲。緻密なポリフォニーが際立つ第1楽章など聴きどころの多 い作品です。1956年4月28日にフェルナンド・プレヴィターリが指揮するRAI国立SOによって初演されました。第5番は、ボストンSOの 創立75周年記念の委嘱作。1951年に亡くなった指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーへの追悼も込められています。第6番は、BBCの「サード・プログ ラム」の開始記念の委嘱作で、副題「協奏的創意」が示す通り、全体にわたってソロ・パートの活躍の場が多くあります。

NAXOS 2025年6月発売 (2)
NAX-8.579142(1CD)
ショール:作曲家のノート 第4集 - 音楽の巡礼、マンハッタンの四季
アレクセイ・ショール
(1970-):チェロ協奏曲第1番「音楽の巡礼」(2018) (Vcと弦楽オーケストラ版 2019)#
ヴァイオリン協奏曲第3番「マンハッタンの四季」(2020)(Vnと弦楽オーケストラ版 2021)*
フェニックス - ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲(2021)(Vnと弦楽オーケストラ版 2022)
クリスタル・パレス - フローズン・ガーデン・ワルツ(2017)(Vnと弦楽オーケストラ版 2022)
聖エルモの舟歌(2015)(Vnと弦楽オーケストラ版 2022)
シューベルタンゴ(2013)(Vnと弦楽オーケストラ版 2022)
アレクサンドル・チャウシャン(Vc)
シン・ヒョンス(Vn)
ドゥミトゥル・ポチタリ(Vn)
クリストフ・バラーティ(Vn)
キーウ・ヴィルトゥオージ
ジョン・ワーナー(指)#
マッシミリアーノ・カルディ(指)*
ドミトリ・ヤブロンスキー(指)

録音:2023年2月21日、2023年3月20日、2023年3月22日、2023年3月27日
NAXOSの人気シリーズ、現在ニューヨークを拠点に活動するウクライナ出身のアレクセイ・ショールの作品集。第4集はチェロとヴァイオリン協奏曲を中心に、 多彩な小品を収録した1枚です。 チェロ協奏曲第1番「音楽の巡礼」は、過去の音楽様式への敬意と現代的な感性が融合した作品。第1楽章は新古典主義風に始まり、やがてロマン派 の技巧的なスタイルへと展開。第2楽章では、チェロが主役としてオーケストラを力強く導き、緊張感を湛えた情感豊かな音楽が繰り広げられます。終楽章 では独特なリズムによるタンゴが登場し、古典的な音楽に現代的な刺激が入り混じったユニークな結末を迎えます。 ヴァイオリン協奏曲第3番「マンハッタンの四季」は、ヴィヴァルディやピアソラの「四季」作品の伝統を受け継ぎながら、現代の大都市マンハッタンを舞台に、 春夏秋冬の移ろいを色彩豊かに描いた作品です。どの楽章も親しみやすい旋律と表情豊かな音楽が魅力で、技巧的なソロときらめくオーケストラの音色 が見事に溶け合い、最後は希望に満ちた「春」で締めくくられます。ヴァイオリン・ソロは、2008年のロン=ティボー・コンクール第1位のシン・ヒョンスです。 「フェニックス」は神話に登場する不死鳥の再生と変容のテーマが込められた作品。抒情的かつ技巧的なヴァイオリン独奏は、2024年からウィーン交響楽 団のコンサートマスターを務めるドゥミトゥル・ポチタリ。「フローズン・ガーデン・ワルツ」は、バレエ「クリスタル・パレス」の一部として作曲された、冬の儚く静かな 美しさを描いた小品。「聖エルモの舟歌」は、ヴェネツィアの舟歌に着想を得た作品で、独奏ヴァイオリンが水の揺らぎを思わせる旋律を奏で、甘美なハーモ ニーを奏でるオーケストラとともに瞑想的な雰囲気を生み出し、穏やかなクライマックスの後、音楽は夕暮れの水辺のように静かに終わります。「シューベルタ ンゴ」は、アルペジヨーネ・ソナタを始めとしたシューベルトの優美な旋律と情熱的なタンゴのリズムを融合させたユニークな作品。印象的で忘れがたい音楽で す。
NAX-8.574639(1CD)
モーツァルト:ミサ曲全集 第6集
ミサ曲第11番ハ長調「クレド」 K.257
ミサ・ブレヴィス ト長調 K.49
ミサ・ブレヴィス ニ短調 K.65
ミサ・ブレヴィス ハ長調「すずめのミサ」 K. 220
カロリーナ・ウルリヒ(S)
エルヴィラ・ビル(A)
マリー・ヘンリエッテ・ラインホルト(A)
ソン・ソンミン(T)
アンジェロ・ポラック(T)
ヨナス・ミュラー(Bs)
コンスタンティン・クリンメル(Bs)
ケルン大聖堂cho&声楽アンサンブル
ケルン室内O
クリストフ・ポッペン(指)

録音:2020年3月7-13日、2023年9月12-17日
モーツァルトはザルツブルク宮廷に仕えていた若き日々に、多くのミサ曲を作曲しました。中でも12歳のときに書かれた 優美なミサ・ブレヴィス K.49や、1776年に完成した劇的なハ長調「クレド」K. 257は、宗教音楽に力を注いだこ の時期の代表作です。「クレド」ミサは、反復される「クレド」のモチーフを軸に、ドラマティックな構成と舞台音楽的手 法を取り入れた独創的な作品で、ザルツブルク時代の代表的作品の一つとされています。ミサ・ブレヴィス K.65は、1769年にザルツブルクの徹夜祈祷のために書かれたもので、厳粛さや敬虔さを表すとされるニ短調という調性が、宗 教的儀式の荘厳な雰囲気を強調しています。一方、ミサ・ブレヴィス K.220は、サンクトゥスに見られる鳥のさえずり のようなモチーフから「すずめのミサ」と呼ばれ、金管と打楽器が効果的に使われています。全体を通して、明るさと喜 び、そして終曲の合唱による深い平安が印象に残る作品です。
NAX-8.660523(3CD)
マイール(1763-1845):歌劇「アモール・ノン・ア・リテーニョ」 プリンチペッサ(ドンナ・ルイージア、サモラ公女)…イェリー・スー(S)
ドゥーカ(ドン・アレッサンドロ、スペインの公爵)…マルクス・シェーファー(T)
モリオーネ(ドン・モリオーネ、シラクサの騎士)…ダニエル・オチョア(Bs)
フルスベルゴ(ドン・フルスベルゴ、ゴート族の男爵)…ニクラス・マルマン(Bs)
ラウリーナ(公女付きの侍女)…アンナ・ファイト(S)
エレーナ(公女付きの侍女)/エコー…アンナ=ドリス・カピテッリ(S)
ジャンネット(公爵付きの従者)…フィリップ・ポルハルト 他
ジモン・マイールcho
コンチェルト・デ・バッスス
フランツ・ハウク((指)チェンバロ)

録音:2022年9月5-11日
世界初録音
ジモン・マイールの「アモール・ノン・ア・リテーニョ」は、1804年にミラノ・スカラ座で初演された歌劇です。スペインのサモ ラを舞台とし、作曲当時の名歌手たちを揃えたこの上演は大成功を収め、後に「La fedelta delle vedove(ヴェ ドーヴェの堕落者)」として改作され、さらに人気を博しものの、その後は上演機会に恵まれず、忘れられてしまいまし た。夫を亡くしたばかりのルイージア(プリンチペッサ)を巡って展開されるこの物語は、彼女に言い寄るコミカルな求婚 者たち、そして彼女の心を射止めようと策を弄するドゥーカの姿が描かれています。ドゥーカは哲学者や騎士に変装し てルイージアに接近し、ついには彼女の愛を勝ち取り、二人の求婚者モリオーネとフルスベルゴも、それぞれルイージア の侍女エレーナとラウリーナと結ばれ、最終的に作品はタイトルにもなっている「Amor non ha ritegno(愛にはため らいがない)」の合唱で幕を閉じます。この上演でルイージア役を務めたのは、バロック音楽と現代音楽の両分野で活 躍する韓国出身のソプラノ、イェリー・スー。愛に目覚めていく女性像を表情豊かに演じています。ドゥーカ役は名テ ノールのマルクス・シェーファーが担当し、モリオーネ役にはドイツ・リートやカンタータの録音で知られるダニエル・オチョア が配されています。さらに、フルスベルゴ役にはニクラス・マルマンが起用され、コミカルな歌唱で物語に華を添えていま す。ヨハン・ジモン・マイールの作品紹介に力を注ぐフランツ・ハウクとコンチェルト・デ・バッススの好演も、大きな聴きどこ ろとなっています。

NAXOS・日本人作品
NYCX-74656(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
細川俊夫:管弦楽作品集 第5集
セレモニー-フルートとオーケストラのために(2021-22)
「二人静」-海から来た少女-(2017)
マリオ・カローリ(フルート、ピッコロ、アルトフルート)
ヘレン:イルゼ・エーレンス(S)
静:青木涼子(能声楽家)
ハーグ・レジデンティO
準・メルクル(指)

録音:2024年3月14-17日
全て世界初録音
細川俊夫作曲オペラ「二人静 ?海から来た少女?」は、私の音楽人生において最も大事な作品の一つです。2017年フィルハーモニー・ド・パリでのマティアス・ピン チャー指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランとの世界初演後も何度も世界各地で演奏を行ってきました。台本は劇作家の平田オリザさんが能『二人静』を基に現代 の物語に書き下ろしたもので、私は静御前の役を、ソプラノは難民の少女ヘレンを演じています。細川作品は能に触発されたものが多いのですが、謡は「二人静」で初め て使われ、今のところ唯一の作品です。謡がソプラノとオーケストラと一体になって響く本作品は今までにない新しい音楽だと思います。今回は2024年3月に美しい響き のAmareホールにて、初演のアンサンブル版より弦楽器を増員し、準メルクル指揮ハーグ・レジデンティOと録音を行いました。素晴らしいオーケストラとの共演は とても幸せな時間で、録音を聴く度に今でもその時を思い出します。静寂から生まれる深淵な響きに耳を傾けつつ、いまだに世界で続く悲しい出来事についても考える機 会になればと思います。??青木涼子 能に強い関心を持つという細川俊夫によるオペラ「二人静」。細川はこれまでにも「班女」「松風」「海・静かな海」など、能を現代化したオペラを創作してきていますが、こ の「二人静」は、能の同名作品を基に、平田オリザが地中海に漂着した難民少女と静御前の悲劇を重ねて新たに脚色した日本語の物語によるものです。「大鴉」 (2014)と姉妹関係をなす作品として、アンサンブル・アンテルコンタンポランの委嘱により作曲され、2017年にパリで初演されました。また2021年8月にはサントリーホー ルの「サマーフェスティバル2021」で日本初演が行われ、深い感動を呼んだのも記憶に新しいところです。アルバムでは初演者の能声楽家、青木涼子とソプラノのイルゼ・ エーレンスが幽玄な世界を神秘的に歌い上げています。 フルート協奏曲「セレモニー」は、チューリッヒ・トーンハレOとアンサンブル金沢の共同委嘱により、2021年10月から2022年3月にかけて作曲、初演者エマニュエ ル・パユに捧げられました。細川はソリストを「人」、オーケストラを「自然や宇宙」と捉え、今回はシャーマン(呪術師)と彼が呼びかける世界を象徴する構図を採用して います。フルートを通じて「息=霊魂・精霊」が音となって現れ、5部構成の儀式的な音楽が展開されます。フルート奏者は、フルート、アルトフルート、ピッコロを持ち替え ながら演奏し、最終的に自然に溶け込み「鳥」となるイメージで終わります。パンデミック中に作曲された本作は、終息への祈りも込められた作品です。彼の友人にして良 き理解者の準・メルクルが指揮するハーグ・レジデンティOは、ドラマティックな抑揚と繊細な音色を巧みにいかし、作曲家のイメージを余す所なく伝えます。 ※作曲者による日本語解説と、歌詞の日本語テキストが付属いたします。


NAXOS 2025年6月発売 (1)
NAX-8.574704(1CD)

NYCX-10527(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

アドルフ・フォン・ヘンゼルト:エチュード全集
12の演奏会用性格的エチュード Op.2(1827/38年出版)
12のサロン用エチュード Op.5(1838年出版)
練習曲 イ短調(1876年出版)
ゴンドラ・練習曲Op.13, No.2(1841年出版)
田所光之マルセル(P)

録音:2024年9月24-26日
イギリス、ワイヤストーン・コンサート・ホール
英『Gramophone』誌で「心と指が完全に一致し、どんな音楽でも自在に操ることができる真の音楽家」と称賛されたピアニスト、田所光之マルセルのデ ビューCDがNAXOSレーベルより登場。リヒテル、ギレリス、キーシン等など、綺羅星のような名ピアニストを輩出する「ロシア・ピアノ楽派」の礎を築いたとされ るヘンゼルトのエチュード全集です。1814年にドイツに生まれたアドルフ・フォン・ヘンゼルトは 幼少期から音楽の才能を示し、ウィーンでフンメルやゼヒターに師事。ウェーバーの音楽に深く傾倒 し、14歳でその幻想曲を演奏してデビューを果たしました。1838年からは移住先のロシアで活動。ピアニストとして高度な技巧を持つ彼の演奏と教育はロ シア・ピアノ楽派の発展にも寄与しました。ヘンゼルトは1曲ずつ異なる調性で書かれた練習曲を残しており、その中で技巧の伝授に加えて芸術作品として の価値を追求しています。各曲にフランス語で詩的なタイトルが付された「12の演奏会用性格的エチュード」作品2は、激しい嵐のような情熱を描く第1 番、親密な情感が込められた第2番や第3番など、弾き手は内面的な情感を解釈して伝える力量が問われます。第6番の「もしも私が鳥だったら、お前の 元へ飛んでゆくのに」はラフマニノフも愛奏した曲として有名。「12のサロン用エチュード」作品9では、第1曲「エロイカ」はベートーヴェン風の力強い音楽、第 3曲「魔女のダンス」は悪魔的な情景を想起させるなど、タイトルも曲の性格もより直接的となっていますが、いくつかの曲はタイトルが空白のまま残され、弾 き手の想像力に委ねられています。1876年出版の「練習曲 イ短調」は、複雑に交錯するリズムと個性的な旋律が融合、1841年出版の「ゴンドラ・練習 曲」は水の描写を巧みに表現した短いながらも印象的な作品です。

NAXOS 2025年5月発売 (1)
NAX-8.573926(1CD)


NYCX-10522(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

セーザル・ゲーハ=ペイシ(1914-1993):交響曲第1番(1945-46)…世界初録音
九重奏曲(1945)…世界初録音
交響曲第2番「ブラジリア」(1960)
ゴイアス交響cho
ゴイアス・ユース交響cho
ゴイアスPO
ニール・トムソン(指)

録音:2017年11月25-27日オスカー・ニーマイヤー文化センター、 ゴイアニア(ブラジル)
ナクソスがブラジル外務省の提携で進めているブラジル音楽のシリーズ、最新盤は20世紀ブラジルの作曲家セーザル・ゲーハ=ペイシの交響曲集です。彼 の2つの交響曲は、同じ作曲家によるとは思えないほど対照的な作風を示しています。 1937年、ゲーハ=ペイシは新古典主義とナショナリズムの影響を受けていましたが、ハンス=ヨアヒム・ケルロイターの指導のもとセリエリズムに傾倒。しかし6 年間の作曲活動の後、このスタイルを放棄し民族主義的な美学へと回帰しました。交響曲第1番は、セリエリズム時代の代表作で、約20分の短い作品。 ロンドンでBBC響により初演され、ヘルマン・シェルヘンも演奏しました。木管楽器1(第2クラリネットを追加)、トランペット、ティンパニ、ピアノ、弦楽 器という簡潔な編成が特徴で、放送オーケストラでの演奏を念頭に置いて書かれています。また、この時期の最も重要な室内楽作品の一つが九重奏曲で す。フルート、クラリネット、ファゴット、トランペット、トロンボーン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノのために書かれ、1948年にシェルヘンの指揮で初演。厳 格なセリエリズムを採用し、旋律やリズムの繰り返しを避けた作風が特徴です。その後、ゲーハ=ペイシは民族主義的な作風に回帰し、交響曲第2番「ブラ ジリア」を作曲。この作品は、1960年にブラジルの首都「ブラジリア」建設を記念するコンクールのために書かれたもので、優勝作品には当時としては高額な 賞金が用意されていました。多くの作品が提出されましたが、どれもも1位を獲得することはなく、ゲーハ=ペイシの交響曲第2番、クラウジオ・サントロの第7 番、ホセ・グエラ・ビセンテの第3番が2位となり、賞金は授与されることなく、この結果に落胆したゲーハ=ペイシは、以後交響曲を作曲することはありません でした。国家的な祝賀行事用に書かれただけあって、第1番とは対照的に、わかりやすくノリやすいメロディやリズムが効果を意図して使われており、1963年 のリオデジャネイロでの初演も成功を収めました。合唱はヴォカリーズ主体で全体の響きに溶け込みつつ、壮大なスケール感を演出。最終楽章の中間部で は工事の停滞を暗示するかのような場面もありますが、やがて労働者たちに向けたクビチェック大統領の演説の録音が流されると音楽は勢いを増し、壮大 なクライマックスとなって曲を閉じます
※国内仕様盤には木許裕介氏(指揮者/日本ヴィラ=ロボス協会会長)の日本語解説が付属します。
NAX-8.574621(2CD)
アダン:バレエ・パントマイム「グリゼルディス または五つの感覚」 マリヤ・イェリチ(S)
ヴェセラ・トリチコヴァ(ハープ独奏)
ステファン・ヴラチェフ(ハルモニウム)
ソフィア・フィルハーモニーcho
ソフィアPO
ダリオ・サルヴィ(指)

録音:2024年2月19-21日ソフィア・フィルハーモニック、ブルガリア・ホール(ブルガリア)
バレエ『ジゼル』や『海賊』で広く知られるアドルフ・アダン。これらの作品は19世紀のロマン派バレエの発展に大きな 影響を与えました。このアルバムに収録された『グリゼルディス または五つの感覚』はアダンの11番目のバレエ曲。 ボヘミアの皇太子エルフリッドがモルドバの王女グリゼルディスに会うために旅をする中で、愛の探求をテーマに、五 感の活性化による発見が描かれています。合唱、ソプラノ独唱、ハルモニウムなども用いられた色彩豊かで革新的 な作品で、当時の著名なダンサー、カルロッタ・グリジやリュシアン・プティパが主演を演じ1848年にパリ・オペラ座で 初演されました。オーベールの序曲シリーズで素晴らしい演奏を披露したダリオ・サルヴィが、ここでも華やかな音色 を聴かせます。
NAX-8.574687(1CD)
ロシア・ピアノ三重奏曲の歴史 第6集
ラフマニノフ:悲しみの三重奏曲 第1番ト短調(1892)
悲しみの三重奏曲 第2番ニ短調(1893/1917改訂)
ブラームス・トリオ【ニコライ・サチェンコ(Vn)、キリル・ロディン(Vc)、ナターリア・ルビンステイン(P)】

録音:2021年6月15-18日モスクワ音楽院大ホール(ロシア)
NAXOSの人気シリーズ「ロシア・ピアノ三重奏曲の歴史」。ここからは“銀の時代”と“アール・ヌーヴォーの時代”に 焦点を当てていきます。幕開けを飾るのはラフマニノフの2つの悲しみの三重奏曲。どちらも彼がモスクワ音楽院在 学中に書いた作品です。第1番の美しいテーマは、エピローグで葬送行進曲に変化し、チャイコフスキーの訃報を 受け書かれた第2番にも苦しみと死の象徴が随所に織り込まれており、ラフマニノフが好んだ「怒りの日」のモティー フや鐘の音が組み込まれ、passus duriusculus(下降する半音階)が死の象徴として繰り返されます。終盤 では、正教会の典礼の旋律「聖人たちに安らぎを」が響き、容赦なく迫る時の流れを暗示します。 ブラームス・トリオは、1990年に結成されたロシアを代表する室内楽団の一つ。タチアナ・ガイダモヴィチやルドルフ・ バルシャイらの影響を受け、メンバーはモスクワ音楽院の教授を務めています。
NAX-8.660578(2CD)
ドニゼッティ:歌劇「ランメルモールのリュシー」(フランス語版) リュシー…カテリーナ・サーラ(S)
アンリ・アシュトン…ヴィート・プリアンテ(Br)
エドガール・レイヴンズウッド…パトリック・カボンゴ(T)
アルチュール…ジュリアン・アンリック(T)
ジルベール…ダビド・アストルガ(T)
レーモン…ロベルト・ロレンツィ(Bs-Br)
ミラノ・スカラ座アカデミーcho
オーケストラ・リ・オリジナーリ(古楽器使用)
ピエール・デュムソー(指)

録音:2023年12月1日(ライヴ)
テアトロ・ソチャーレ、ベルガモ(イタリア)
総収録時間:125分
同内容の映像
DYNAMIC
DVD…DYNDVD38030
ドニゼッティは、フランスの聴衆のために自身の傑作悲劇「ランメルモールのルチア」(1835年ナポリ初演)をフランス語台本による「ランメルモールのリュシー」 (1839年パリ初演)として改作しました。この改作に当たって、作曲家はイタリア語の台本を単にフランス語に置き換えるのではなく、登場人物の何人かを入 れ替えた上、台本の歌詞と音楽に少なからぬ変更を加えました。パリでの初演は好評を博し、オリジナルの「ランメルモールのルチア」に批判的だったベルリ オーズも、この改作版を高く評価したことが知られています。 2021年のドニゼッティ音楽祭で「愛の妙薬」のアディーナ役を歌い、絶賛された新星ソプラノ、カテリーナ・サーラが題名役に挑戦。新人らしからぬ安定した 技巧と伸びやかで豊かな美声が〈狂乱の場〉では圧倒的な歌唱となり、聴き手を震撼させずにはおきません。また、ドニゼッティ音楽祭での本公演がイタリ ア・デビューとなったフランスの俊英ピエール・デュムソーが、19世紀のオペラをピリオド楽器で演奏する目的で創設されたオーケストラ・リ・オリジナーリと、ミラノ・ スカラ座アカデミー合唱団を率い、「ランメルモールのリュシー」のドラマと音楽を陰影豊かに描き出しています。

NAXOS 2025年4月発売 (3)
NAX-8.574502(1CD)
ファジル・サイ(1970-):作品集
ヴァイオリン協奏曲第2番隔離生活における春の朝」 Op.87(2020)
弦楽六重奏のための「レパード(ヒョウ)」 Op.103(2022)
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ「ルーシェン・ギュネシュを偲んで」
弦楽四重奏曲「離婚」 Op.29(2010)*
フリーデマン・アイヒホルン(Vn)
グロピウス・カルテット
ベルリン・コンツェルトハウスO
クリストフ・エッシェンバッハ(指)

録音:2020年11月21日、2022年9月12-14日 ベルリン・コンツェルトハウス、2023年2月28日 ワイマール・フランツ・リスト音楽大学、フェストザール、フュルステンハウス、2023年11月20日 ワイマール・フランツ・リスト音楽大学、フェストザール、フュルステンハウス
※*以外は世界初録音
ファジル・サイは、優れたピアニストとして25年以上にわたり活躍しクラシック音楽界において独自の存在感を放つだけではなく、作曲家としても精力的に活 動し、交響曲からピアノ曲まで多岐に渡る110曲以上の作品と多数のアルバムを発表。その作品はどれも、自然や個人的な経験から深くインスピレーション を得ています。このアルバムには世界初録音を含む全4曲を収録。ヴァイオリン協奏曲第2番「隔離生活における春の朝」は、2020年の新型コロナウイルス 感染症のロックダウン中、トルコのウルラにある自宅で作曲されました。毎朝、人のいないビーチを散歩しながら目にした日の出や朝の雰囲気がインスピレー ションとなっています。第1楽章は田園的な雰囲気を持ち、第2楽章は活動的な「ジャズダンス」、第3楽章は静かな朝が描かれ、そして最終楽章は独奏 ヴァイオリンによる瞑想的なエピローグで締めくくられます。独奏ヴァイオリンは、サイの長年の友人でもあるフリーデマン・アイヒホルンが担当。エッシェンバッハが 指揮するベルリン・コンツェルトハウス管とともに共感溢れる演奏を聴かせます。弦楽六重奏による「レパード(ヒョウ)」は、サイが訪れたサファリでの経験に基づ く曲で、ヒョウの俊敏さと力強さが描写されるとともに、自然保護の重要性にも焦点が当てられています。この曲はクロンベルク・アカデミーの委嘱作です。無 伴奏ヴァイオリン・ソナタは、2020年に亡くなった彼の親友でヴィオラ奏者ルーシェン・ギュネシュに捧げられた追悼の作品。本来はヴィオラのための曲ですが、 ヴァイオリン版やチェロ版も存在します。タイトル通り、深い哀悼の念を感じさせます。「離婚」と題された弦楽四重奏曲は、彼の個人的経験が反映された作 品。第1楽章は不規則なリズムとジャズ風の要素を持ち、第2楽章はメランコリックで内向的、最終楽章では憎しみや対立が音楽的に表現されています。
NAX-8.574638(1CD)
モーツァルト:ミサ曲全集 第5集
荘厳ミサ曲 ハ短調「孤児院ミサ」 K.139
ミサ・ブレヴィス ハ長調 K.259(オルガン・ソロ・ミサ)
荘厳ミサ曲 ハ長調 K.337
カタリーナ・ルックガーバー(S)
カロリーナ・ウルリヒ(S)
エルヴィラ・ビル(A)
マリー・ヘンリエッテ・ラインホルト(A)
パウル・シュヴァイネスター(T)
アンジェロ・ポラック(T)
ヨナス・ミュラー(Bs)
コンスタンティン・クリンメル(Bs)
ケルン大聖堂声楽アンサンブル
ケルン室内O
クリストフ・ポッペン(指)

録音:2020年2月8-13日、2020年3月7-13日
クリストフ・ポッペンが指揮するケルン室内OによるNAXOSのモーツァルトのミサ曲全集シリーズ。この第5集 も第4集に続き、1996年設立のケルン大聖堂声楽アンサンブルが合唱を担当しています。 アルバムには「孤児院ミサ」と呼ばれるモーツァルト12歳の大規模な作品を中心に3曲を収録。「孤児院ミサ」K. 139はウィーンの孤児院の教会の献堂式のための作品で、父レオポルトの助言を受けながらもトロンボーンやトラン ペットを含む大規模な編成で書かれており、初演時はウィーナー・ツァイトゥング紙でも大絶賛されました。ハ長調ミサ K.259は1775年〜76年の作品。「オルガン・ソロ・ミサ」と呼ばれるのは、短いクレドとサンクトゥスが終わると、曲 がト長調に転じ、オルガンがソリストを華やかに先導することに由来します。荘厳ミサ曲 K.337は1780年に書かれ たザルツブルク大司教のための最後の作品。ファゴットを用いた優雅なオーケストレーションなど細部まで工夫が凝ら されています。
NAX-8.573702(1CD)
ゴッフレード・ペトラッシ:管弦楽のための協奏曲第1番 - 第3番
ゴッフレード・ペトラッシ(1904-2003):管弦楽のための協奏曲第1番(1933-34)
管弦楽のための協奏曲第2番(1951)
管弦楽のための協奏曲第3番「協奏的気晴らし」(1952-53)
ローマSO
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指)

録音:2012年6月15-16日、2013年2月24-25日、2013年4月21-22日
ゴッフレード・ペトラッシはイタリアの作曲家、教育者、指揮者。ローマのサルヴァトーレ教会で聖歌隊を務めた後、サ ンタ・チェチーリア音楽院で学び、後に教師となりました。1937年から1940年にかけては、ヴェネツィアのフェニーチェ 劇場の監督を務め、現代音楽のフェスティバルを主宰しました。 「管弦楽のための協奏曲 第1番」は、1933年に作曲を開始し、翌年に完成しました。1935年にベルナルディー ノ・モリナーリの指揮で初演されています。第1楽章は鋭い音型によるテーマで始まり、金管楽器とピアノが主導しま す。アダージョでは、弦楽器の旋律をクラリネットとオーボエが引き継ぎ、トランペットとピアノが深みを加え、サクソフォン の印象的な旋律で曲を閉じます。終楽章では、金管楽器の壮大な響きとともに曲が締めくくられます。「第2番」 は、1951年にパウル・ザッハーの委嘱で作曲され、1952年にバーゼルで初演されました。4つの楽章は連続して演 奏されます。弦楽器のポリフォニーで始まり、木管楽器が躍動的に展開する第1楽章に続き、アレグレットでは、木 管と弦楽の対話が突如として爆発的な響きへと発展、緩やかな楽章へ移行します。終楽章では速いテンポのもと、 独奏楽器の掛け合いが続きます。「第3番」は、1952年から翌年にかけて作曲され、1953年に初演されました。 第1楽章は、打楽器と金管楽器の導入で始まり、緊張感のある展開を見せます。間奏曲風の第2楽章を経て、 終楽章は軽快に始まり、最後はシンバルの一撃で意外なほどあっさりと締めくくられます。
NAX-8.574657(1CD)
D.スカルラッティ:ソナタ全集 第30集
1. ソナタ ニ長調 K.298/L.S6/P.194
2. ソナタ ト長調 K.304/L.88/P.492
3. ソナタ ニ長調 K.312/L.264/P.334
4. ソナタ ハ長調 K.329/L.S5/P.337
5. ソナタ ハ長調 K.339/L.251/P.189
6. ソナタ ハ長調 K.356/L.443/P.488
7. ソナタ ヘ長調 K.366/L.119/P.263
8. ソナタ ホ短調 K.394/L.275/P.349
9. ソナタ 変ロ長調 K.410/L.S43/P.372
10. ソナタ ハ長調 K.423/L.102/P.455
11. ソナタ ト長調 K.449/L.444/P.405
12. ソナタ イ長調 K.457/L.292/P.442
13. ソナタ 変ロ長調 K.489/L.S41/P.433
14. ソナタ ヘ長調 K.505/L.326/P.449
15. ソナタ ニ長調 K.509/L.311/P.453
16. ソナタ ヘ長調 K.524/L.283/P.528
17. ソナタ ニ長調 K.535/L.262/P.531
ファン・リーシャン(P)

録音:2024年3月23-24日
ドメニコ・スカルラッティの555曲の鍵盤ソナタは、ポルトガルのマリア・バルバラ王女のために書かれたと考えらており、18世紀スペインの宮廷音楽の魅力を伝 えるとともに、その芸術性によって今なお演奏家や愛好家を惹きつけています。各々のソナタの正確な作曲年代を特定するのは困難で、一般的にはカーク パトリックによる分類が用いられています。このアルバムには17曲のソナタを収録。活気に満ちたリズミカルなK. 298をはじめ、オーケストラを思わせる豊かな 響きを持つK.356や、スペイン風のリズムが強調されたK. 366、シンコペーションや抒情的表現を特徴とするK. 489などが演奏されており、スカルラッティ の鍵盤音楽の多面性が明確に示されています。 演奏するファン・リーシャンは中国出身。スタインウェイ アーティストとして認められる傍ら、教育者としても活躍。カリフォルニアのエンパイアミュージックアカデミー の創設者兼芸術監督を務めるほか、幅広く活動しています。

NAXOS 2025年4月発売 (2)
NAX-8.579141(1CD)
アレクセイ・ショール:作曲家のノート 第3集 - 幼年時代の思い出、ヴェルディアーナ
アレクセイ・ショール(1970-):ピアノと管弦楽のための組曲第3番「幼年時代の思い出」 (2019)(Pと弦楽オーケストラ版2021)
ヴェルディアーナ-ジュゼッペ・ヴェルディの主題による幻想曲(2015) (クラリネットと弦楽オーケストラ版 2022)
レミ・ジュニエ(P)
ファブリツィオ・メローニ(Cl)
キーウ・ヴィルトゥオージ
マッシミリアーノ・カルディ(指)
ダニエル・ライスキン(指)

録音:2023年3月26日、2023年3月28日
全て世界初録音
現在ニューヨークを拠点に活動するウクライナ出身のアレクセイ・ショール。彼の作品は、国際的に活躍する音楽家たちによって、多くの演奏や録音が行わ れています。この『作曲家のノート 第3集』にはショールの3作品を収録。「幼年時代の思い出」は、もともと14楽章で構成されていたピアノ曲を、オーケスト ラと共演するために9楽章の組曲にアレンジしたもの。幼少から青年、成人へと至る過程での思い出をたどりつつ心の成長も音で描く、物語的な構成です。 冒頭の「ホタルを追いかけて」は、軽快なテンポと遊び心のあるやり取りが特徴で、好奇心と興奮を象徴。続く「花咲く五月」は、流れるようなメロディーと豊 かなハーモニーで春の美しさを表現します。「砂場」は、活気あるリズムと鮮やかなオーケストレーションが子供の想像力を描き「砂時計」は時間の経過を象 徴する内省的な雰囲気が漂います。「夏の終わりの日々」はメランコリックな雰囲気で、過ぎ去る日々への郷愁を表現。「純真さ」はシンプルなテクスチャと 和声で子供時代の無邪気さを強調し「成人」ではドラマティックなクライマックスを展開。「憂鬱」は組曲の中で最も内省的な楽章となり、最後の「初恋」で ロマンティックで情熱的な結末を迎えます。「マリオネット・ワルツ」 は、組曲のアンコールとして機能し、ワルツのリズムを基に親しみやすいメロディーを展開。 軽やかながらも抒情的であり、聴き手の心に余韻を残します。2013年のエリザベート・コンクールでギルトブルグに次ぐ第2位となり、国際的に活躍、日本 でも人気のあるレミ・ジュニエが作品にふさわしい洒落っ気と抒情味のある演奏を聴かせます。ラテンアメリカ・ツアーの際に作曲された「ヴェルディアーナ」は ジュゼッペ・ヴェルディへのオマージュ作品。ヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」「仮面舞踏会」「ドン・カルロ」「リゴレット」から有名なメロディーのいくつかを、サン バ、ボサノバ、タンゴなどのラテンスタイルにアレンジ。クラシック音楽の愛好家にも一般のリスナーにも同様にアピールする、親しみやすい作品が生まれまし た。かつてミラノ・スカラ座Oの首席クラリネットを務め、ヴェルディの旋律に人一倍親しんでいるメローニが歌心のあるソロを聴かせます。
NAX-8.574624(2CD)
ヘンデル:オラトリオ「復活」 天使…カリン・ティニー(S)
マグダラのマリア…フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(S)
クロパの妻マリア…ラファウ・トムキェヴィチ(C.T)
聖ヨハネ…シム・ヨンソン(T)
ルシファー…ダヴィッド・オシュトレク(Bs-Br)
ハレ・ヘンデル祝祭O
アッティリオ・クレモネージ(指)

録音:2023年3月8-10日
ヘンデルの「復活」は、1707年に作曲された彼の初の宗教的オラトリオ。キリストの受難から復活までの出 来事を扱っており、劇的な音楽が特徴です。中でもキリストの死を悼む歌と天使とルシファーの激しい応酬 が聴きどころ。ヘンデルはカペーチェの台本からインスピレーションを得て、多彩な楽器編成による輝かしくドラ マティックな音楽を書きあげており、1708年4月の初演時にはコレッリが指揮者を務め、聴衆 や批評家の間でセンセーションを巻き起こしました。しかし、この上演に女性歌手マルゲリータ・ドゥラスタン ティが参加したため、当時のローマの規則に反すると教皇クレメンス11世から戒告を受けています。とはい え、ヘンデルはこの作品を気に入っていたようで、モチーフやセクションを後の歌劇やオラトリオに転用していま す。ヘンデルをはじめとするバロック・オペラをレパートリーにするマッズーリやトムキェヴィチの生き生きとした歌 唱に加え、指揮者アッティリオ・クレモネージが1708年にローマで行われたこの作品の初演について広範囲 にわたる研究を行い、その成果を演奏に生かしています。

NAXOS 2025年4月発売
NAX-8.574683(1CD)
ヴィルトゥオーゾ - ユーフォニアムとブラスバンドのための作品集
1. サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20(J. ベイツ、D. チャイルズによるユーフォニアムとブラスバンド編)
2. 伝承曲:ダニー・ボーイ(K. ジェンキンスによるユーフォニアムとブラスバンド編)
3. ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」- 第1幕 カヴァティーナ「私は町のなんでも屋」(D. チャイルズによるユーフォニアムとブラスバンド編)
4. ヴモーツァルト: アダージョ ヘ長調 K. Anh.94(K.580a) (P. ウィルビーによるユーフォニアムとブラスバンド編)
5. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番イ長調「トルコ行進曲付き」 K.331- 第3楽章 トルコ行進曲(アレグレット)(D. チャイルズによるユーフォニアムとブラスバンド編)
6. エヴリン・グレニー:小さな祈り(D. チャイルズによるユーフォニアムとブラスバンド編)
7. ジャン=バティスト・アーバン:ヴェニスの謝肉祭(A. キャセロールによるユーフォニアムとブラスバンド編)
8. 成田為三:浜辺の歌(A. キャセロールによるユーフォニアムとブラスバンド編)
9. ジョン・ハートマン:ファシリータ(P. グレイアムによるユーフォニアムとブラスバンド編)
10. ジョージ・スイフト:エルフリーデ(A. キャセロールによるユーフォニアムとブラスバンド編)
11. シモーネ・マンティア:「春の日の花と輝く」による変奏曲(D. チャイルズによるユーフォニアムとブラスバンド編)
12. ダーマット・マクモロー:最愛の人(D. プライスによるユーフォニアムとブラスバンド編)
13. エリック・ライゼン:峠の我が家
14. ピーター・グレイアム:ブリランテ
15. リムスキー=コルサコフ:くまんばちの飛行(D. チャイルズによるユーフォニアムとブラスバンド編)
デイヴィッド・チャイルズ(ユーフォニアム)
ニコラス・チャイルズ(指)
ブラック・ダイク・バンド

録音:2024年5月13日…1、2、7、11、12
2024年6月20日…3、6、8、10、14
2024年7月4日…4、5、9、13、15
英国の音楽一家に生まれたユーフォニアム奏者デイヴィッド・チャイルズ。高名なユーフォ二アム奏者ロバートを祖父に持ち、幼い頃からコーリー・バンドの指 揮者を務める父、ロバート・チャイルズの指導を受け才能を発揮。2000年にBBCヤング・ミュージシャン・オヴ・ザ・イヤー・コンペティションでユーフォニアム奏 者として初めてファイナリストになりました。父のバンドで10年以上にわたり首席奏者を務めた他、指導者としても活躍。英国とアメリカを中心に楽器の魅力 を伝えています。 この“ヴィルトゥオーゾ”と題されたアルバムでは、オリジナル曲の少ないユーフォニアムのために、様々なアレンジャーが楽器の特質を生かしつつ、時にその限界 に挑戦するかのような編曲を施した超絶技巧を駆使する作品が、彼の叔父であるニコラス・チャイルズが指揮する名門ブラック・ダイク・バンドをバックに披露 されます。伝承曲から、モーツァルト、ロッシーニなどの古典的な名曲、そして見事なショーピースまで様々なレパートリーを集められており、「クリアでフォーカス された音」とベルベットのように「柔らかくふくよかな音」を巧みに吹き分けるチャイルズの演奏を存分に味わえる1枚です。
NAX-8.574618(1CD)

NYCX-10520(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

バッハ:無伴奏チェロ組曲集 第2集(テオルボ編)
無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調 BWV1008
無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009
無伴奏チェロ組曲第6番ニ長調 BWV1012
今村泰典(テオルボ)

録音:Roman Catholic Church, オーバーブッフシテン(スイス)
2022年7月20-27日、2023年7月17-25日
「なぜリュートではなくテオルボを選択するのか。それは、チェロ組曲を撥弦楽器で演奏する際に、チェロ特有の優雅で重厚な響きを維持することが重要だと 考えたからです。リュートでは音域がチェロよりも高く、その結果、響きが軽くなりがちであるため、チェロに近い音域を持つテオルボの方が、響きの面でより適 していると判断した。 バッハのチェロ組曲はチェロで演奏する際にはそれだけで完璧であり、補筆の必要が全く無いが、これをそのままテオルボで演奏すると(中略)メロディーを奏で ている際にはバスが欠如し、逆にバスを奏でる際にはメロディーが欠落している様に聞こえてしまう。その為、テオルボで演奏する際には、バスやメロディーに適 宜補筆を施すことで、楽器の魅力を最大限に引き出し、テオルボの個性をより生き生きと表現することができます。 ではチェロ組曲をテオルボに編曲する為にバスをどのように付けるべきかについては、和声学および対位法の知識に基づく確固たる理論的根拠が必要であ る。そして、和声学および対位法の両方に深い関係のある、バロック音楽特有の通奏低音は決して無視できない。バロック様式に則したアプローチとして、 チェロの旋律に対して通奏低音の観点からバスを補完することが、バロックのスタイルに最も忠実であると私は考えます。 今回の録音において、私はテオルボ版の編曲に関して自身なりの解答を見出すことができたと考えています。本演奏を通じて、皆様に共感を抱いていただけ れば幸甚に思う。」 …今村泰典 日本語解説より抜粋
※国内仕様盤には今村泰典氏による日本語解説が付属いたします。
NAX-8.504062(4CD)
バッハ:平均律クラヴィーア曲全2巻 イディル・ビレット(P)

録音:2015年4月26日、7月12-15日、9月25-26日
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、イディル・ビレットは幼少期からバッハの音楽に触れており、とりわけ、4歳の時に78回転レコードで聴いたエトヴィン・ フィッシャーが弾く「平均律クラヴィーア曲集第2巻」のヘ短調を聴いて深い感銘を受けたと言います。しかし当時の彼女のテクニックでは前奏曲はなんとか演 奏できたものの、フーガの様々な音を演奏することまではできなかったようです。その後もバッハを演奏するたびにその作品を「時代を超えた存在」として捉 え、回顧録やインタビューでは「バッハが音楽の核心にあり、彼への信頼は変わらない」と語るビレット。この2015年に録音された「平均律クラヴィーア曲集」 全曲では、彼女の深い愛情と熟練の解釈による見事なバッハを聴くことができます。

NAXOS 2025年3月発売
NAX-8.574614(1CD)
フランツ・リスト:ピアノ曲全集 第65集
ラコッツィ行進曲 S244a/R106/15b(1871)
ハンガリーの民族旋律集 S242/R105a(1839-40)
 第1巻:No.1. Lento
 第1巻:No.2. Andantino
 第1巻:No.3. Sehr langsam
 第1巻:No.4. Animato
 第1巻:No.5. Tempo giusto
 第1巻:No.6. Lento
 第2巻:No.7. Andante cantabile
 第3巻:No.8. Lento
 第3巻:No.9. Lento
 第4巻:No.10. Adagio sostenuto a capriccio
 第4巻:No.11. Andante sostenuto
ハンガリーの民族旋律「ラコッツィ行進曲」 S242/13a (簡易版)(1846頃)
ハンガリーのテンポ S241b(1840)
ハンガリーの有名な旋律 S243b(1866以降)
クリストファー・ウィリアムズ(P)

録音:2024年3月25-27日
大人気シリーズ、リストのピアノ曲全集。第65集にはリストの心のよりどころとも言えるハンガリーの旋律に基づく作品が収録されています。 「ラコッツィ行進曲」はハンガリー狂詩曲第15番を原曲とするもので、多くの編曲版がありますが、恐らくは管弦楽版が最も知られており、ここでは管弦楽版に 忠実なピアノ独奏版が収録されています。主テーマはイ短調、第2テーマはヘ長調で展開され、短い劇的な展開を経て、重厚なコーダで締めくくられます。ア ルバムには同曲の簡易版(トラック13)も収録。こちらは短いながらも演奏の難度は長尺版と同程度です。 「ハンガリーの民族旋律集」は“ハンガリー音楽の擁護者”を自認していたリストならではの作品で、多くの曲は後にハンガリー狂詩曲へと発展します。「ハンガ リーのテンポ」はハンガリー狂詩曲第6番の冒頭に用いられた旋律ですが、狂詩曲とはリズムなどが異なります。「ハンガリーの有名な旋律」は同じく第6番の後 半部分の旋律と同じもの。狂詩曲に比べ易しく書かれており、曲の終わりは完全に書き直されています。 演奏はウェールズ生まれのピアニスト、クリストファー・ウィリアムズ。知られざる作品の普及に務めており、GRAND PIANOレーベルのバルモーチン:ピアノ作 品集は高く評価されています。
NAX-8.551486(1CD)
フェルディナント・リース:ピアノ三重奏曲 Op.143、WoO86
ピアノ三重奏曲 ハ短調 Op.143(1826)
ピアノ三重奏曲 ヘ短調 WoO86(1836)…世界初録音
トリオ・エグモント(古楽器使用)

録音:2023年1月5-7日
ベートーヴェンの弟子として知られるフェルディナント・リースは、ボンの音楽一家に生まれ、ウィーンで1803年から3年 間彼の弟子となりました。後にロンドンへ移り、1815年にはロンドン・フィルハーモニック協会のディレクターに就任し て、ベートーヴェンに「交響曲第9番」を委嘱するきっかけを作りました。1824年以降はドイツに戻り、「ニーダーライン 音楽祭」の指揮を務めるなど、作曲家・指揮者として活動。ウィーン古典派からロマン派への架け橋となる作品を残 しています。このアルバムには彼がイギリスからドイツに戻ってから書いた2つのピアノ三重奏曲を収録。1826年の「ピ アノ三重奏曲 ハ短調 Op.143」は詩的な緩徐楽章を中心に、技巧的な第1楽章とタランテッラ風の終楽章が印 象的な歌心溢れる作品です。世界初録音となるヘ短調の三重奏曲は1836年作曲。ベートーヴェンを思わせる絶 望から情熱、平穏へと至る感情の流れが描かれた第1楽章、穏やかな第2楽章、ポーランド風のリズムで始まる第3 楽章と次々と主題が入れ替わるジプシー風の終楽章で構成された大胆な音楽です。トリオ・エグモントは2019年に 創設された古楽器アンサンブル。2021年に開催された歴史的楽器による室内楽コンクール「Beethoven in seiner Zeit」で第1位を受賞。またリースのピアノ三重奏曲作品2の演奏に対してフェルディナント・リース協会から 特別賞が贈られました。この録音ではガット弦を使用したヴァイオリン、チェロと1826/27年製のコンラート・グラーフの フォルテピアノが用いられています。
NAX-8.574647(1CD)
フォーレ:マスクとベルガマスク、他
魔神たち Op.12(1875頃)(合唱とオーケストラ版)*
カリギュラ Op.52(1888)(演奏会用ヴァージョン)
主題と変奏 嬰ハ短調Op.73(1895)(D-E. アンゲルブレシュトによるオーケストラ編)…世界初録音
マスクとベルガマスク Op.112(1919)(舞台音楽版)
 序曲(交響的間奏曲1868)
 II. Pastorale パストラール
 . III. Madrigal マドリガル(Op.35より 1883)
 IV. Le plus doux chemin いちばん楽しい道(Op. 87-11904)
 V. Menuet メヌエット
  VI. Clair de lune月の光(Op.46-2 1887)
 VII. Gavotte ガヴォット(1869)
 VIII. Pavane パヴァーヌ(Op.50)
ルース・ロジク(S)
タラ・エロート(Ms)
ジュリアン・ドラン(T)
ベンジャミン・ラッセル(Br)
アイルランド室内cho*
アイルランド国立SO
ジャン=リュック・タンゴー(指)

録音:2023年7月12-14日、2024年1月6-9日
ジャン=リュック・タンゴーが指揮する、フォーレのあまり知られていない合唱曲と管弦楽作品のアルバム。ヴィクトル・ユ ゴーの詩による「魔神たち」は合唱と管弦楽版を収録。「カリギュラ」はアレクサンドル・デュマ(父)の劇のためにフォーレ が初めて手掛けた劇音楽で、冒頭の壮麗な金管のファンファーレに続き、ローマ宮廷の女性たちの生活を描いた牧 歌的な音楽が続きます。最後は皇帝を眠りに誘う子守歌風の旋律で幕を閉じます。「主題と変奏」の原曲はフォー レの大規模なピアノ曲。これをデジレ=エミール・アンゲルブレシュトが1955年に編曲したオーケストラ版を収録。アン ゲルブレシュトは、それぞれの変奏曲の主要な旋律を異なる楽器で演奏させることで、作品の引き立たせています。 「マスクとベルガマスク」は19世紀後半に人気があったフェート・ガラント様式を反映した組曲で、フォーレは過去の自 作曲を用いながら古風でノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。
NAX-8.574591(1CD)
ロナウド・ミランダ(1948-):ピアノ協奏曲(1983)*
水平線(1992)*
ピアノ・コンチェルティーノ ? ピアノと弦楽のための(1986)
時の変奏曲「ベートーヴェン再訪」(2014)*
エドゥアルド・モンテイロ(P)
ミナスジェライスPO
ファビオ・メケッティ(指)

録音:2023年2月13-16日
*…世界初録音
ロナウド・ミランダはリオデジャネイロ生まれ。リオデジャネイロ連邦大学音楽学校で学び、エンリケ・モレレンバウムに作 曲、ドゥルセ・ジ・サウレスにピアノを師事。1977年に開催された第2回ブラジル現代音楽ビエンナーレで第1位を受 賞し、1986年にブダペスト国際作曲コンクール第1位、2001年にはカルロス・ゴメス賞受賞など受賞歴も多く、ブラ ジル国内外で高く評価される作曲家です。 冒頭のピアノ協奏曲はサンパウロ州立SOの委嘱作で、バルトーク風の鋭いリズムを持つ無調の第1楽章、 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番の緩徐楽章をモデルとした弦とピアノの対比が美しい第2楽章、主題と変奏形 式で書かれた終楽章で構成された技巧的な作品。ピアノ・コンチェルティーノはテンポが頻繁に変化するエネルギッ シュな第1楽章、ピアソラ風の旋律も聴こえる第2楽章による小規模な作品です。他にはクリストファー・コロンブスの 新世界への航海を描いた「水平線」と、べートーヴェンの最も有名なモチーフやテーマを独創的にアレンジした「ベー トーヴェン再訪」が収録されています。
NAX-8.574552(2CD)
ヘンデル:ブロッケス受難曲 HWV48 福音史家 … ロバート・セリアー(T)
シオンの娘 … ヴァネッサ・ヴァルトハルト(S)
信ずる魂 … ユリア・ソコリク(Ms)
信ずる魂/マリア … ロメリア・リヒテンシュタイン(S)
イエス … ミヒャエル・ゼーエ(Bs)
聖ペトロ … ホルヘ・ナバーロ・コロラード(T)
聖ヨハネ … フランツィスカ・ファウスト(C.A)
聖ヤコブ … クリスティーナ・マタージ(C.A)
ユダ/傭兵 … レアンドロ・マルジオッテ(C.T)
カヤパ/ピラト / 隊長 / 信者 … キヒョン・パク(C.T) 他
ハレ歌劇場cho
ヘンデル音楽祭O(古楽器使用)
ミヒャエル・ホフシュテッター(指)

録音:2023年4月26日-27日
ハレ歌劇場(ドイツ)
※同内容の映像
NAXOS*DVD…2.110755
Blu-ray…NYDX-50378(国内仕様盤)
NBD0167V(輸入盤)
18世紀初頭にハンブルクを拠点に政治家、外交官としても活躍した作家ベルトルト・ハインリヒ・ブロッケスが、キリス トの受難の物語を、主に聖書に寄りつつ独自の登場人物(「シオンの娘」や「信ずる魂」など)を加えて台本を執筆。 そのテキストに、ドイツ後期バロック時代の錚々たる作曲家、ヨアヒム・カイザー、テレマン、ヨハン・ マッテゾンらが競って作曲しました。ハレの学生時代からブロッケスの朋友だったヘンデルもそのひとり。しかし、バロック 時代の典型的な受難曲のスタイルとは異なり、ヘンデルは後に彼の得意ジャンルとなるオラトリオとしてこの作品を創 作しました。この録音は、2023年作曲家の生地ハレのヘンデル音楽祭での収録。バロックから近代のオペラまでをレ パートリーとして活躍するミヒャエル・ホフシュテッターのダイナミズムに溢れるタクトのもと、福音史家役のロバート・セリ アー、シオンの娘役のヴァネッサ・ヴァルトハルトを初めとした歌手たちの入魂の歌唱と、群衆としてドラマに参加する合 唱によって、ヘンデルによるキリストの受難劇が描かれています。
NAX-8.579169(1CD)
ノトケル・バルブルス:賛歌集
ノトケル・バルブルス(840頃-912):
1. Alleluia. Dies sanctificatus illuxit nobis
2. Natus ante saecula
3. Laus tibi, Christe
4. Gaude, Maria virgo
5. Alleluia. Benedictus es
6. Festa Christi omnis christianitas celebret
7. Virginis venerandae
8. Iudicem nos inspicientem
9. Summi triumphum regis
10. Sancti Spiritus assit nobis gratia
11. Alleluia. Iustus ut palma florebit
12. Sancti baptistae Christi praeconis
13. Petre summe Christi pastor
14. Laurenti David
15. Stirpe, Maria, regia procreata
16. Magnum te, Michahelem
17. Psallat ecclesia
18. Alleluia. Beatus vir qui timet Dominum
19. Sacerdotem Christi Martinum
20. A solis occasu usque ad exortum
21. Deus in tua virtute
22. Agone triumphali
23. Quid tu, virgo
シカゴ・スコラ・アンテクァ
マイケル・アラン・アンダーソン(指)

録音:2022年8且5-8日
ノトケル(ノートカーとも)・バルブルスは、スイスのザンクト・ガレン修道院のベネディクト会修道士で作曲家、詩 人、学者として活躍、「西方教会の重要人物」と評された人物で、最古のセクエンツィア(続唱)の作者とされ ています。「続く」という意味のラテン語から名が採られたセクエンツィアは、グレゴリオ聖歌とは異なり、中世西 欧で独自に発展したもので、極めて多くの曲が書かれたものの、16世紀のトリエント公会議で4曲を除き廃 止。1727年に1曲が追加され、現在は5曲が公認されています。このアルバムには『Liber ymnorum 聖 歌集』に含まれる典礼暦に基づく楽曲が収録されており、キリストの生涯や聖人の祝日を祝うためのセクエン ツィアを収録。ノトケルの作曲技法では、旋律の繰り返しが詩節全体や内部の細かな構造にも適用されてお り、歌い手が旋律をより確実に記憶できるよう工夫されています。当時の演奏慣習は明確には分かっていま せんが、大規模な合唱ではなく、独唱または少人数の歌い手によって歌われていたと考えられます。この録音 においても、旋律とテキストの明瞭な表現を重視し、ドイツ語圏の学者が用いるゲルマン的なラテン語発音を 採用しています。シカゴ・スコラ・アンテクァは、2000年に設立されたシカゴを拠点とする古楽声楽アンサンブ ル。

NAXOS 2025年2月発売 (2)
NAX-8.579140(1CD)
アレクセイ・ショール:作曲家のノート 第2集
アレクセイ・ショール:ピアノと管弦楽のための組曲第2番「私の本棚から」(2019)
 (Pと弦楽オーケストラ版2021)
別れの夜想曲「ミハイル・グリンカへのオマージュ」(2019)(Pと弦楽オーケストラ版 2021)
フルート協奏曲第1番変ロ長調(2019/2021)(クラリネット協奏曲の改作)…世界初録音
ベフゾド・アブドゥライモフ(P)
ジャスミン・チェイ(Fl)
キーウ・ヴィルトゥオージ
マッシミリアーノ・カルディ(指)
ドミトリ・ヤブロンスキー(指)

録音:2023年2月21日、2023年3月21日
現在ニューヨークを拠点に活動するウクライナ出身のアレクセイ・ショール。彼の作品は、国際的に活躍する音楽家たちによって、多くの演奏や録音が行わ れています。 このアルバムにはショールの3作品を収録。幼い頃、彼の寝室の本棚にあった児童文学の名作にインスパイアされたという「私の本棚から」は、文学と音楽の 融合をテーマに、各々の登場人物を音で表現。作品全体を本棚のように仕上げています。登場するキャラクターには、シンデレラやドン・キホーテ、トム・ ソーヤーなどのおなじみの人物たちをはじめ、『ノートルダム・ド・パリ』のクァジモド、そしてヤヌシュ・コルチャックの「マチウシ1世」などが含まれ、曲の終わりでは シェイクスピアの「ロメオとジュリエット」をロマンティックに描いています。「別れの夜想曲」は、「私の本棚から」のアンコールの役割を担う短く親しみやすい作 品。グリンカ作品に着想を得ながらも、ショールは新たな方向性を模索し、豊かな和声と装飾を与えることで、より深い作品を作り上げました。この2作品で ピアノを担当するのがウズベキスタン出身のアブドゥライモフ。作品の個性を引き出す見事な演奏を聴かせます。 3曲目のフルート協奏曲は、ショール自身の「クラリネット協奏曲」を編曲したもので、快活でエネルギッシュな第1楽章、抒情的な第2楽章、明るい結末を 迎えるロンド形式の第3楽章で構成されており、この演奏でのソリスト、ジャスミン・チェイの技量も存分に楽しめます。
NAX-8.574637(1CD)
モーツァルト:ミサ・ブレヴィス ト長調 K.140(1773)
ミサ曲 ハ長調 「ドミニクス」 K.66(1769)
ミサ・ブレヴィス へ長調 K.192(1774)
カロリーナ・ウルリヒ(S)
カタリーナ・ルックガーバー(S)
カタリーナ・コンラーディ(S)
エルヴィラ・ビル(A)
サラ・ロンベルガー(A)
パトリック・グラール(T)
パウル・シュヴァイネスター(T)
マルティン・ミッテルルツナー(T)
ドミニク・ケーニンガー(Bs)
ヨナス・ミュラー(Bs)
ケルン大聖堂声楽アンサンブル
ケルン室内O
クリストフ・ポッペン(指)

録音:2021年10月7-16日、2022年9月26日-10月2日、2023年2月8-13日
クリストフ・ポッペンが指揮するケルン室内OによるNAXOSのモーツァルトのミサ曲全集シリーズ。この 第4集では、合唱団がこれまでのケルン西ドイツ放送合唱団から1996年に設立されたケルン大聖堂声楽 アンサンブルに替わりました。アルバムにはモーツァルトが10代で作曲した3曲を収録。1773年に作曲された と推定されるK.140は一度は偽作とされたものの、最新の研究では真作とされており、6/8拍子で書かれた グローリアによって、パストラル(田園風)・ミサの別名を持つことで知られています。K. 66は1769年の作品。 モーツァルトの幼馴染が新任司祭に任命された際に演奏された荘厳ミサで、大規模なオーケストレーションと 劇的な進行が特徴。オペラ的な要素も随所に見られ、和声や対位法の深みも際立ちます。1774年の K.192は、ハイドンやミヒャエル・ハイドンの影響が垣間見えるとともに巧みな対位法も際立っていま す。簡潔な書法ながらも豊かな表現が特徴です。
NAX-8.579161(1CD)
パリのパリジャン -21世紀パリのギター作品集
カミーユ・ペパン(1990-):秋のリズム(2018) (G. ビアンコによるギター編 2020)*
ジュール・マトン(1988-):ギター・ソナタ(2022)
カロル・ベッファ(1973-):時の鏡(2013)
オレスティス・カランパリキス(1981-):Ara アラ(2018)
マテュー・ステファネッリ(1985-):エリプシス(2019-21)
トーマ・ヴィロトー(1985-):バスティーユの夜(2022)
アタナス・ウルクズノフ(1970-):トラキア地方のエレジー(2015)
ガブリエル・ビアンコ(G)
エクリス・カルテット(ギター四重奏団)

録音:2021年9月7日、2021年12月23-24日、2022年12月19日

*以外…世界初録音
*…このアレンジでの世界初録音
世界50か国以上で演奏、高く評価される1988年生まれのギタリスト、ガブリエル・ビアンコ。このアルバムは 彼の故郷のパリで活躍する作曲家たちの新作が収録されています。印象派の絵画からインスパイアされたペ パンの「秋のリズム」、一日の24時間になぞらえた24の変奏が楽しいベッファの「時の鏡」、ビアンコの多彩な 要望を採り入れたというトーマス・ヴィロトーの「バスティーユの夜」、ギリシャ神話に登場するアラクネを描いた カランパリキスの「アラ」、ギター四重奏との迫力ある応酬が魅力的なステファネッリの「エリプシス」など興味深 い作品が並んでいます。

NAXOS 2025年2月発売 (1)
NAX-8.574617(1CD)

NYCX-10511(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
バッハ:無伴奏チェロ組曲集 第1集
第1番、第4番、第5番(テオルボ編)
今村泰典(テオルボ)

録音:Roman Catholic Church, オーバーブッフシテン(スイス)
2022年7月20-27日、2023年7月17-25日
 - 今回の録音において、私はテオルボ版の編曲に関して自身なりの解答を見出すことができたと考えています。本演奏を通じて、皆様に共感を抱い ていただければ幸甚に思います。…今村泰典
日本語解説より 大バッハのリュート作品全集(8.573936)で高い評価を受けた今村泰典が、名作「無伴奏チェロ組曲」に取り組みます。今村はこの組曲を演奏す るにあたり、リュート属の中で音域がチェロに非常に近いテオルボで演奏することを選択。チェロの旋律に対する通奏低音のバスを補完することが、バ ロックのスタイルに最も忠実であると考え、曲によっては新たな装飾を付け加えるなど、豊かな演奏経験に裏打ちされた解釈を披露しています。 ※国内仕様盤には今村泰典氏による日本語解説が付属いたします。
NAX-8.574601(1CD)
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第1番 ニ短調 Op.28(1907-08)
ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調 Op.36(1931年改訂版)
交響詩「死の島」 Op.29(1909)(G. キルコール/B. ギルトブルグによるピアノ編)
ボリス・ギルトブルグ(P)

録音:2023年8月26-28日
ギルトブルグが弾くラフマニノフはこれまでにも高く評価されており、ピアノ協奏曲第1番と第4番のアルバム(8.574528)は、BBCミュージックマガジンで「個 性的で繊細、技術的に素晴らしい」と評されました。このアルバムに収録されているピアノ・ソナタ第1番は、知名度と演奏頻度こそ第2番に譲るものの、シ ンフォニックなスケールと素晴らしいドラマ性を持つ優れた作品です。傑作として名高く、演奏機会の多い第2番では改訂版を使用。引き締まった造形、豊 かな感情表現、ダイナミックなピアニズムが聴かれます。交響詩『死の島』は、マックス・クリンガーの「死の島(ベックリンの絵画による)」にインスパイアされた陰 鬱な管弦楽曲。不規則な5/8拍子と「怒りの日」(Dies Irae)のモチーフが用いられ、不安にうねる波と舟の漕ぎ手の動きが描写されています。この録音 では、ゲオルギー・キルコールが1957年に行ったピアノ編曲版をもとに、ギルトブルグ自身が大幅に改訂した版を使用。彼は、オリジナルの管弦楽版の複雑 な構造をピアノで忠実に再現しようと試み、演奏しやすさを犠牲にしながらも原作の忠実な再現を目指しました。ブックレットにはギルトブルグ自身による作 品の詳細な解説(英語)が記載されています。
NAX-8.579180(1CD)
ダロン・ハーゲン:Everyone, Everywhere 誰でも、どこでも
ダロン・ハーゲン(1961-):
Everyone, Everywhere 誰でも、どこでも(2023)
An Irish Airman Forsees His Death
アイルランドの飛行士は死を予知する(2017)
The Bixby Letter ビクスビーの手紙(2015)
ニューヨーク・セシリアO&cho
マーク・シャピロ(音楽監督・指揮)
ガブリエレ・バルキジヤ(Ms)
ブライアン・マレー(Br)
エヴリ・ヴォイス・ジェネレーションズ合唱団
ニコル・ベッカー(合唱指揮)
シャヴォン・ロイド(Br)
アミール・ファリード(P)

録音:2023年10月16日(ライヴ) カーネギーホール、ニューヨーク、2024年1月17日
全て世界初録音
2023年12月16日、ニューヨークのカーネギーホールで初演されたダロン・ハーゲンの「Everyone, Everywhere 誰でも、どこでも」は、ニューヨーク・セシリ ア合唱団の委嘱により、世界人権宣言(UDHR)採択75周年を記念して作曲された壮大なカンタータです。この作品は5楽章構成で、合唱団、児童合 唱団、2人のソリスト、オーケストラによる演奏を通じて、UDHRの条項や人権擁護者たちの言葉を音楽的に表現します。音楽はドラマティックかつ説得力 があり、ベートーヴェンやブリテンの作品を思わせる規模と深みを持ちながら、現代的で緊迫感のある表現を追求するもので、第1楽章は明るいファンファー レで始まり、第2楽章では痛ましくも美しい音楽が展開します。第3楽章は子供たちが歌うラプソディを中心に据え、第4楽章では「私は人間です」という静 かな主張が響き渡ります。最終楽章では、高揚感に満ちた喜びの音楽が繰り広げられ、最後は穏やかに終結します。ニューヨーク周辺に在住する奏者た ちがこの日のために結集したオーケストラの力強い演奏も聴きどころです。 アルバムには、ウィリアム・バトラー・イェイツが描く第一次大戦で戦死したグレゴリー少佐のエピソードに基づく曲と、エイブラハム・リンカーンが南北戦争で息 子を失った未亡人に宛てた手紙を題材にした曲が添えられており、戦争の人的犠牲がしめやかに歌われます。
NAX-8.660568(1CD)
チレア:歌劇「グロリア」 グロリア…アナスタジア・バルトリ(S)
リオネット…カルロ・ヴェントレ(T)
バルド…フランコ・ヴァッサッロ(Br)
アクイランテ…ラマス・チクヴィラゼ(Bs)
司教…アレッサンドロ・アビス(Bs)
シエナの女…エーレナ・スキッル(S)
伝令…アレッサンドロ・フラボッタ(Bs)他
カリアリ歌劇場O&cho
フランチェスコ・チッルッフォ(指)

録音:2023年2月15、17、19日
カリアリ歌劇場(イタリア)
チレアは代表作「アドリアーナ・ルクヴルール」(1902年)に続き、オペラ「グロリア」を作曲しましたが、1908年のミラノ初演(トスカニーニ指揮)は失敗に終わ り、作曲活動を断念しました。その後、教育者として活動する中で出版社の要請に応じて改訂し、1932年にナポリで再演され好評を得ましたが、イタリア の情勢もあり、レパートリーとして定着するには至りませんでした。本作は、埋もれた歌劇作品の蘇演を旺盛に展開するサルデーニャのカリアリ歌劇場の新 制作。表題役を歌うのは2021年東京・春・音楽祭のリッカルド・ムーティ指揮「マクベス」のマクベス夫人役で日本デビューを果たした新星アナスタジア・バ ルトリ。ドラマティックでありながら、優れた歌唱技術に裏づけられた清冽な表現が光る知性派ソプラノです。リオネット役は、伸びやかで輝かしい歌声を持つ 日本でもお馴染みのカルロ・ヴェントレ。さらに世界の檜舞台で活躍するヴェルディ・バリトンのフランコ・ヴァッサッロが、暗い情念を歌う敵役として見事な歌 唱を聴かせます。近現代の作品を中心レパートリーとするフランチェスコ・チッルッフォが導くカリアリ歌劇場のオーケストラが、優れた歌唱陣と共に作曲家最 後の歌劇に新たな光をもたらしています。
NAXOS Idil Biret Archive
NAX-8.571431(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション 第24集〜バッハの作品
1-3. ピアノ協奏曲 ニ短調 BWV1052
4-6.2台のピアノのための協奏曲 ハ短調 BWV 1060
7-9.3台のピアノのための協奏曲協奏曲 ハ長調 BWV1064
10-12.4台のピアノのための協奏曲協奏曲 イ短調 BWV1065
イディル・ビレット(P)
アイシェギュル・サルツァ(P)…4-12
ハンデ・ダルキリチ(P)…7-12
エロル・エルディンチ(P)…10-12
ビルケントSO
ギュレル・アイカル(指)…1-3
エロル・エルディンチ(指)…4-12

録音:1998年12月25日…1-3、2002年3月12日…4-12
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、イディル・ビレットは幼少期からバッハの音楽に触れており、とりわけ、4歳の時に78回転レコードで聴いたエトヴィン・ フィッシャーが弾く「平均律クラヴィーア曲集第2巻」のヘ短調を聴いて深い感銘を受けたと言います。その後はバッハの鍵盤のための協奏曲や室内楽作品 を多く演奏し、特にニ短調協奏曲は彼女のコンサートにおける定番曲となりました。彼女はバッハの作品を「時代を超えた存在」として捉え、回顧録やイン タビューでは「バッハが音楽の核心にあり、彼への信頼は変わらない」と語っています。2002年、トルコの指揮者エロル・エルディンチの提案により、イディル・ ビレット、アイシェギュル・サルツァ、ハンデ・ダルキリチがバッハの鍵盤のための協奏曲を演奏するプロジェクトが実現。なかでもハンデはイディルのコンサートで 譜めくりを務め、アイシェギュルからピアノを学んだ経験を持ち、この共演を大変光栄に感じていました。リハーサルでは、イディルの提案による「ノン・レガート」 での演奏など、特別な経験を得たことを述べています。 アイシェギュル・サルツァはイスタンブール音楽院とパリ音楽院で学んだトルコを代表するピアニストで、作曲家ジェマル・レシット・レイの作品の録音でも知られ ています。ハンデ・ダルキリチはビルケント音楽大学で博士号を取得し、現在ハジェテペ大学で教鞭を執るとともに、トルコの作曲家の作品を積極的に演奏 しています。エロル・エルディンチはトルコとフランスで音楽を学び、1983 年から2000年までイスタンブール国立SOの首席指揮者を務める他、ビル ケント大学の音楽学部長を務めました。ギュレル・アイカルはロンドンのギルドホール音楽院やイタリアのサンタ・チェチーリア音楽院で指揮を学び、トルコに 戻ってからは数多くのオーケストラを(指)1981年にトルコの「国家芸術家」の称号を受けました。

NAXOS 2025年1月発売(2)
NAX-8.574616(1CD)
パウル・ヴラニツキー:管弦楽作品集 第8集
交響曲 変ホ長調「狩りの交響曲」 P31(1790年代)…世界初録音
交響曲 ニ長調 P17(1790年代)…世界初録音
交響曲 ハ短調「フランス共和国との和平に」 Op.31(1797年出版)
チェコ室内Oパルドビツェ
マレク・シュティレツ(指)

録音:2023年11月20-22日
ヴラニツキーは、モラヴィアのノイライシュ(現チェコ)で生まれ、地元の修道院で音楽教育を受けました。ウィーン大学で神学を学びながら大学の音楽監督を 務めた後、1783年にハイドンの雇用主の遠縁にあたるエステルハージ伯爵の音楽監督となり、フリーメイソンロッジ「希望の王冠」に加入しました。この時期 には、作曲家ヨーゼフ・マルティン・クラウスやモーツァルトとの交流をもっています。1785年からはウィーンの主要な劇場で監督を務め、最初の舞台作品「オ ベロン、妖精の王」が成功を収めた他、ベートーヴェンの「交響曲第1番」の初演も(指)宮廷でも皇后マリー・テレーズのお気に入りの作曲家として、彼女 のために作品を提供するなど幅広く活動しました。ヴラニツキーの交響曲は、45曲が現存しており、このアルバムには3曲が収録されています。「狩りの交響 曲」はフェルディナンド3世(トスカーナ大公)の音楽コレクションに残る未出版の作品。荘重な序奏、ホルンを生かしたソナタ形式とロンド形式が融合した第 1楽章、嵐を描写する第2楽章、短いメヌエットを経て狩猟の喜びを表現するロンドで締めくくられます。「交響曲 ニ長調」も未出版の作品。付点リズムを 特徴とする序奏、簡潔なモチーフが展開する第1楽章、哀愁漂うアンダンテと喜ばしいファンファーレを交えた第2楽章、リズムの妙技を楽しむメヌエット、明 るいロンドで締めくくられます。交響曲「フランス共和国との和平に」はフランス革命の勃発から和平交渉までを描いた4楽章構成。各楽章には革命の進捗 を表す副題がつけられており、最後は和平交渉が成功、喜びのフィナーレで幕を閉じます。この作品は政治的理由で初演を禁じられたものの、宮廷で私 的に演奏されました。ベートーヴェンの『英雄交響曲』を予見する作品です。 (Ki)
NAX-8.574595(1CD)
フランシスコ・ミニョーネ:ヴァイオリン・ソナタ全集
ヴァイオリン・ソナタ第1番(1964)…世界初録音
ヴァイオリン・ソナタ第2番(1966)…世界初録音
ヴァイオリン・ソナタ第3番(1966)…世界初録音
ヴァイオリン・ソナタ イ長調(1919)
ヴァイオリン・ソナタ ト長調(1916)
エマヌエーレ・バルディーニ(Vn)
ルーカス・トマジーニョ(P)

録音:2023年1月31日、2023年2月1日、2023年2月2日
フランシスコ・ミニョーネは、20世紀ブラジル音楽界の中心的人物であり、ヴィラ=ロボスとともにブラジル音楽 の発展に貢献しました。このアルバムには彼のヴァイオリン・ソナタ全曲を収録。番号を持たない初期の2つの ソナタはフォーレやドビュッシーなどのフランス音楽の影響を受けており、美しく流麗な旋律に彩られた作品。 以降、ミニョーネは40年以上、このジャンルに取り組むことはありませんでした。1960年代に書かれた第1番 から第3番の3つのソナタは世界初録音ですが、内容的にはブラジルで生まれたヴァイオリンとピアノのための 最も重要な作品とも言うべきもの。第1および第2番のソナタは、調性や拍子のさまざまな形態を並置した 断片的で実験的な性格を持っており、当時彼が取り組んでいた無調の響きも感じられます。第3番はブラジ ルのリズムやメロディの要素を活かした情熱的な作品です。演奏はイタリア出身のヴァイオリニストバルディー ニ。2005年からブラジルに居住し、サンパウロSOのコンサートマスターを務めるほか、指揮者としても 活躍しています。
NAX-8.574633(1CD)
D・スカルラッティ:ソナタ全集 第29集
1. ソナタ ハ短調 K.73/L.217/P.80
2. ソナタ ハ長調 K.166/L.51/P.190
3. ソナタ 変ホ長調 K.192/L.216/P.322
4. ソナタ イ短調 K.188/L.239/P.213
5. ソナタ ヘ長調 K.275/L.328/P.430
6. ソナタ ト長調 K.103/L.233/P.233
7. ソナタ ハ短調 K.303/L.9/P.212
8. ソナタ ヘ長調 K.85/L.166/P.24
9. ソナタ ニ長調 K.223/L.214/P.188
10. ソナタ ハ長調 K.117/L.244/P.181
11. ソナタ 変ロ長調 K.57/L.S38/P.108
12. ソナタ ニ長調 K.137/L.315/P.231
13. ソナタ ヘ長調 K.150/L.117/P.205
14. ソナタ ニ長調 K.236/L.161/P.201
15. ソナタ ホ短調 K.263/L.321/P.283
16. ソナタ 変ロ長調 K.249/L.39/P.424
エマヌイル・イヴァノフ(P)

録音:2023年8月29-31日
ドメニコ・スカルラッティの555曲の鍵盤ソナタは、ポルトガルのマリア・バルバラ王女のために書かれたと考えら れます。このアルバムには16曲のソナタを収録。初期のものはイタリア風の様式に基づいており、ト長調ソナ タ(K.103)は長調と短調を行き来する特徴があります。K.137やK.303のエキゾチックな装飾や刺激的 な和声進行からは、スペインのフラメンコギターの影響も感じられます。演奏するエマヌイル・イヴァノフはブルガ リア出身。2019年、フェルッチョ・ブゾーニ国際ピアノコンクールで優勝し国際的な注目を集めました。2023 年には来日公演でスカルラッティを演奏、こちらも好評を博しています。
NAX-8.660570(2CD)
ヘンデル:歌劇「ロタリオ」 アデライーデ:イタリア王妃…フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(S)
ロタリオ:ドイツの王…カルロ・ヴィストーリ(C.T)
マティルデ…アンナ・ボニタティブス(Ms)
ベレンガーリオ…クリスティアン・アダム(T)
イデルベルト…ラファウ・トムキェヴィチ(C.T)
クロドミロ…パク・キヒョン(Bs)
ハレ・ヘンデル祝祭O(古楽器使用)
アッティリオ・クレモネージ(指)

録音:2023年6月8-10日(ライヴ)
王位継承権をもつイタリア王妃アデライーデ。夫はすでにスポレート公のベレンガーリオとその妻マティルデに よって亡き者にされており、彼女はベレンガーリオの息子イデルベルトとの結婚を迫られています。これを拒否 したアデライーデは窮地に立たされますが、それを救ったのがドイツの王ロタリオでした。戦いの末、勝利を収め たロタリオは全ての人を許し、物語はハッピーエンドを迎えます。 ヘンデルのイタリア語オペラの成功は1720年代の終わりには翳りを見せ始めます。そんな中に書かれた「ロタ リオ」は英雄物語への関心を再燃させることを目的とした、新しいシリーズの最初の作品でした。ヘンデルの 歌劇の中では、あまり演奏されることがありませんが、ここで繰り広げられる音楽は、説得力のあるドラマを作 り上げ、豊かな旋律を持つ充実したアリアが際立つことで高く評価されています。この演奏は、ハレ・ヘンデル 音楽祭のライヴ収録。マッズーリやヴィストーリら歌手たちの生き生きとした歌唱に加え、クレモネージ指揮の ハレ・ヘンデル祝祭Oが素晴らしい演奏を聴かせます。

NAXOS 2025年1月発売
NAX-8.574565(1CD)
フランツ・リスト:ピアノ曲全集 第64集
2つのスイスの旋律によるロマンティックな幻想曲 S157/R9(1835-36)
交響的幻想曲「神曲のパラリポムネス」 S.158a(1839)
アダージョ ハ長調 S158d(1841)
巡礼の年 第3年より
  守護天使に S162a/i (1877)(earlier version)
 守護天使に S162a/i (1877)(later version)
 エステ荘の糸杉に S162b(1872)(第1稿)
 ものみな涙あり S162c/ii (1877)(intermediate version)
 マクシミリアン1世の思い出に、葬送行進曲 S162d(1867)(early version)
 後奏曲「スルスム・コルダ!」 S162e(1877)(early version)
セルジオ・ガッロ(P)

録音:2023年12月12-14日
冒頭の「2つのスイスの旋律によるロマンティックな幻想曲」は、リストとしては珍しく改訂されることのなかった作品。導入部では、アルプホルンの「牛の鳴き 声」モチーフとスイス民謡のテーマが提示される他、巡礼の年第1年の「郷愁」の旋律も現れる大規模な曲です。次の「神曲のパラリポムネス」は1839年の 「ピアノのための交響的幻想曲」の初版。改訂を重ね、巡礼の年第2年 イタリアの「ダンテを読んで」に発展します。初版は対位法的エピソードが長く、コ ラールの主題も重要な役割を果たします。次の「アダージョ」にもこの曲の2番目のコラールの素材が用いられています。 巡礼の年第3年は1860年代から1877年頃までに書かれた曲集で、晩年に傾倒した宗教音楽からの影響や、不協和音、曖昧な調性感など若い頃の 華麗なピアニズムはほとんど感じられません。この曲集からの5つの作品はどれも改訂を繰り返す過程のもの。2つのヴァージョンの「守護天使」は、現行 ヴァージョンよりはかなり短く、リストは改訂を加えるごとに素材を増やしていったようです。この時期のリストが作品を仕上げる際の試行錯誤がうかがえます。 セルジオ・ガッロはブラジル出身の技巧派ピアニスト。ロマン派作品とブラジルの作品を得意としています。
NAX-8.574619(1CD)
フォーレ:組曲『ペレアスとメリザンド』 Op.80
劇音楽『ペレアスとメリザンド』 Op. 80- 第3幕 第1場 メリザンドの歌 (C. ケクランによる歌とオーケストラ編 第2稿)
抒情悲劇「プロメテ」より(J.R.デュカスとフォーレによる1917年改訂版)
 第1幕への前奏曲
 第2幕への前奏曲
 第3幕への前奏曲
 第3幕:清流と湧水(合唱)
 第1幕 Arrete Promethee(ガイア)
祈りながら(声と管弦楽版)(1890)
漁師の歌 Op.4No.1(1872)(声と管弦楽版)
イスファハーンのばら Op.39No.4(1884)(声と管弦楽版)
タランテラ Op.10No.2(1873頃)(A. メサジェによる2声と管弦楽編)
劇音楽『シャイロック』 Op.57
タラ・エロート(S)
ルース・ロジク(S)
ジュリアン・ドラン(T)
アイルランド室内cho
アイルランド国立SO
ジャン=リュック・タンゴー(指)

録音:
2023年7月12-14日、2024年1月6-9日ダブリン、ナショナル・コンサート・ホール(アイルランド)
このアルバムにはフォーレの舞台音楽とオーケストラ伴奏の歌曲が収録されています。メーテルリンクの戯曲を素材とした『ペレアスとメリザンド』はドビュッシー が同名の歌劇を書いたことでも知られる作品。ここでは良く知られる「シシリエンヌ」を含む組曲に加え、歌を伴う「メリザンドの歌」をケクランによるオーケストラ 編で聴くことができます。『シャイロック』はシェイクスピアの「ヴェニスの商人」がテーマですが、悪徳商人シャイロックを主人公とするのではなく、ポーシャとバサー ニオの愛と友人アントーニオの試練と物語が描かれており、フォーレの素晴らしいオーケストレーションによる緻密な音楽が楽しめます。『プロメテ』ではワーグ ナー的な濃密な音楽が展開されています。またフォーレは生涯100曲以上の歌曲を書き残しましたが、ほとんどはピアノ伴奏で、オーケストレーションが施さ れたのは数曲だけ。なかでも美しい愛の歌「イスファハーンのばら」の美しさが印象に残ります。フランス物のスペシャリスト、ジャン=リュック・タンゴーがすっきり とした響きで全体をまとめています。
NAX-8.660565(2CD)
ドニゼッティ:歌劇「当惑した家庭教師」 ドン・ジューリオ … アレッサンドロ・コルベッリ(Br)
グレゴーリオ … アレックス・エスポージト(Bs-Br)
エンリーコ … フランチェスコ・ルチイ(T)
ジルダ … マリレーナ・ルータ(S)
ピッペット … ロレンツォ・マルテッリ(T)
レオナルダ … カテリーナ・デッラエレ(Ms)
シモーネ … ロレンツォ・リベラーリ(Bs)
ドニゼッティ・オペラcho
ドニゼッティ歌劇場O
ヴィンチェンツォ・ミッレタリ(指)

録音:2022年11月17日、20日、26日ドニゼッティ音楽祭ソチャーレ劇場、ベルガモ(イタリア)
若きドニゼッティが作曲した歌劇「当惑した家庭教師」は1824年、ローマで初演され大好評を博したと伝えられています。本作は、ドニゼッティの生地ベル ガモのドニゼッティ財団と市の共同プロジェクトとして2015年に発足し、ドニゼッティの作品上演に革新的な新風を吹き込んできた「ドニゼッティ音楽祭」の 新制作となるローマ初演版のライヴ録音です。ドン・ジューリオ役のアレッサンドロ・コルベッリ、家庭教師グレゴーリオ役のアレックス・エスポージトというオペラ・ ブッファの重鎮たる二人の名歌手を中心に、ドニゼッティ劇場財団が運営するマスタークラス「ボッテーガ・ドニゼッティ」の研修生から選抜された活きの良い若 手歌手たちが、1990年生まれの新鋭ヴィンチェンツォ・ミッレタリの軽快で瑞々しいタクトに導かれた音楽に応えて、溌剌とした歌唱を繰り広げます。
NAX-8.571429(2CD)
イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション 第22/23集 - プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ集
【CD1】
トッカータ Op.11
ピアノ・ソナタ 第7番Op.83(1961年録音)
ピアノ・ソナタ 第9番Op.103
ピアノ・ソナタ 第4番Op.29
【CD2】
ピアノ・ソナタ 第8番Op.84
ピアノ・ソナタ 第2番Op.14
ピアノ・ソナタ 第7番Op.83(1977年録音)
イディル・ビレット(P)

録音:1960-1977年フランス、西ドイツ、スイス、トルコ、USA、ソ連
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、イディル・ビレットは16歳でデビューし、半世紀以上にわたりその卓 越した技巧と音楽性で聴衆を魅了してきました。本作は、プロコフィエフのソナタを集めた2枚組アルバムで す。トッカータの録音は、ビレットが19歳の時、1960年に初めてモスクワで行ったリサイタルでの演奏です。 CD1に収められたピアノ・ソナタ第7番は1961年11月にパリで録音されました。第9番、第8番、第4番は、 1964年のドイツ、1971年のスイス、1973年のトルコでのラジオ放送音源が使用されています。ピアノ・ソナ タ第2番とCD2の第7番の録音は、1977年にニューヨークのRCAスタジオで直接ディスクに録音されました。 なお、第2番と2種類の第7番以外のラジオ録音はすべて編集のない「一発録り」とされています。

NAXOS 2024年12月発売 (1)
NAX-8.579139(1CD)
アレクセイ・ショール:作曲家のノート 第1集
アレクセイ・ショール
(1970-):ピアノと管弦楽のための組曲第1番「トラベル・ノートブック」(2016)(Pと弦楽オーケストラ版 2019)
ヴァイオリン協奏曲第4番ロ短調(2021)(Vnと弦楽オーケストラ版2022)*
アンナ・ウライエヴァ(P)
マルク・ブシュコフ(Vn)
キーウ・ヴィルトゥオージ
ドミトリ・ヤブロンスキー(指)
ジョン・ワーナー(指)

録音:2023年2月22日*
※全て世界初録音
アレクセイ・ショール(ショア)はウクライナで生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動する作曲家です。アメリカで数学を学び、博士号を取得した後、2016 年までは数学者として働きながら、幼い頃から好きだったクラシック音楽の作曲にも挑戦してきました。ヴィオラ奏者デイヴィッド・アーロン・カーペンターがコン サートで彼の作品をアンコール曲として演奏したことで一躍注目を集め、以降、ウィーン楽友協会、ベルリン・フィルハーモニー、カーネギーホール、ケネディセ ンターなど、世界中の著名なコンサートホールで多くの演奏家たちが演奏、録音を行い、メディアでも広く紹介されています。2017年からはアルメニア国立 SOのコンポーザー・イン・レジデンスを務めており、2024〜26シーズンにはオックスフォードPOのコンポーザー・イン・レジデンス も務める予定です。 このアルバムにはショールの2作品を収録。彼が様々な地を訪れた際の印象を音楽に込めた「トラベル・ノートブック」は7つの小品で構成された組曲で、旅 への想いを綴った「旅人の祈り」で始まり、続く6曲は特定の場所から得たインスピレーションが描かれています。街のエネルギーを表現した「ランブラス通り」や 過去へのオマージュとほろ苦い別れの感情が込められた「アディオ」、究極の美とロマンスが描かれた「リュクサンブール庭園」の他、ジュリアス・シーザーの歴史 的決断に基づく「ルビコン」、ヴェネツィアの現代の課題に対する作曲家の悲しみを表現した「悲しみ」、ロイヤルアスコットへの訪問後、競馬の独特の興奮、 エネルギー、騒動を描写した「騎手」と多様なテーマが含まれています。ヴァイオリン協奏曲第4番ロ短調は、2021年に新型コロナウイルス感染症の世界 的拡大の中で作曲された作品。メロディーや調性へのこだわりを反映しつつ、初期の作品とは異なる音色とスタイルを持つ、ロマンティックな雰囲気と情熱 的なメロディーが特徴です。
NAX-8.574612(1CD)
ハインリヒ・オーギュスト・マルシュナー:ピアノ三重奏曲集 第1集
ピアノ三重奏曲第1番イ短調 Op.29(1823年出版)
ピアノ三重奏曲第7番ヘ長調 Op.167(1855年出版)
グールド・ピアノ・トリオ
ルーシー・グールド(Vn)
リチャード・レスター(Vc)
ベンジャミン・フリス(P)

録音:2023年11月7-8日
ハインリヒ・マルシュナーは、ウェーバーとワーグナーの間の世代におけるドイツ・ロマン派オペラの代表的な作曲 家として知られていますが、その優れた室内楽作品はしばしば見過ごされがちです。とりわけ彼はピアノ三重 奏曲を愛し、生涯で7曲を作曲。友人であったシューマン夫妻からも高く賞賛されています。このシリーズ第1 集には初期の第1番と円熟期の第7番を収録。抒情的でコントラストに富んだ第1番は軽快なリズムと清々 しい旋律が特徴。第7番はより洗練されたスタイルで、エネルギッシュで力強いテーマと、内省的なセクション が交互に現れる中、3つの楽器が巧みに対話を繰り広げます。古典派から現代まで幅広いレパートリーを持 つグールド・ピアノ・トリオの演奏で。
NAX-8.579159(1CD)
アルトゥル・マラフスキ:管弦楽作品集
アルトゥル・マラフスキ(1904-1957):序曲(1948)
交響的練習曲(1947)
グラル山岳民族の三部作(1949)(K. ヴィウコミルスキによる管弦楽編 1988)
小管弦楽のためのトッカータ(1947)
ポピュラー組曲(1952)
ベアタ・ビリンスカ(P)
アルトゥル・マラフスキPO
マリウシュ・スモリー(指)

録音:2024年1月3-5日
アルトゥル・マラフスキは、ポーランドの作曲家、ヴァイオリニスト、指揮者。若くしてヴァイオリンの名手として期 待されましたが、左手の怪我により演奏活動を断念し、教育と作曲に専念しました。クラクフ音楽院で教鞭 を執りながら再度作曲を学び、多くの優れた作曲家を育てました。1957年に53歳で急逝しましたが、彼の 作品は高く評価され、ポーランド現代音楽の発展に大きく貢献しています。マラフスキの管弦楽曲は、民族 的要素と力強い曲想を特徴とし、同時代の作曲家ルトスワフスキとの共通点が見られます。その音楽は、 多彩なリズムとコントラストの強い旋律の組み合わせが特徴で、強い印象を与えます。このアルバムには、ピ アノとオーケストラの対話が印象的な1947年の「交響的練習曲」、ソ連の影響下で書かれたにもかかわら ず独創的な表現に満ちた「ポピュラー組曲」、ルトワフスキ作品を思わせる「序曲」と「トッカータ」に加え、作 曲家によって破棄された「グラル山岳民族の三部作」を収録。こちらは1988年にチェロ奏者、指揮者、作 曲家のカジミエシュ・ヴィウコミルスキによって残存資料から再構成された作品です。
NAX-8.574628(1CD)
ジュゼッペ・マルトゥッチ:ピアノ作品集
やさしいロマンス(1889)
カプリッチョとセレナータ Op.57(1886)
6つの小品 Op.38(1878)*
ノットゥルノ「ミラノの思い出」 Op. 25(1875)*
メヌエットとテンポ・ディ・ガヴォット Op. 55(1880/88)*
やさしいソナタ Op.41(1878)*
3つのスケルツォ Op.53- 第2番ホ長調(1880)
2つの夜想曲 Op.70- 第1番変イ長調(1891)
6つの小品 Op.44- 第6曲 タランテッラ(1880)
舟歌第1番Op.20(1874)*
マッテオ・ジェネラーニ(P)

録音:2023年4月25-27日
*=世界初録音
ジュゼッペ・マルトゥッチは、19世紀後半のイタリア器楽音楽の復興に尽力した作曲家です。彼の管弦楽作 品はマーラーやトスカニーニから高く評価され、特にピアノ協奏曲は多くのファンを魅了しました。しかし、彼の ピアノ作品は、アルフレード・カゼッラから「サロン風である」と厳しく批判されたことも影響し、これまであまり演 奏されることはありませんでした。このアルバムには、ショパンやメンデルスゾーンの影響を受けたマズルカや夜 想曲、スカルラッティを思わせる「やさしいソナタ」、古典的な形式にロマン派の語法を採り入れた「メヌエットと テンポ・ディ・ガヴォット」、各々の曲にフランス語のタイトルが付けられた「6つの小品」、リストを思わせる「タラ ンテッラ」など、世界初録音を含む作品が収録されており、どの曲も優れたピアニストでもあったマルトゥッチな らではの優雅な旋律と華やかな技巧に彩られています。イタリアのピアニスト、マッテオ・ジェネラーニは、ジュ ゼッペ・マルトゥッチの研究者であり、彼のピアノ作品の演奏、録音、普及に尽力しています。
NAX-8.579167(1CD)
クリスティアン・カラーラ:作品集
クリスティアン・カラーラ(1977-):悪魔の橋(2021)
エヴリン(2016)
砂漠の花(2021)
4つの情緒(2021)
エリカ・ピッコッティ(Vc)
ソニア・プリーナ(C.A)
マッシモ・メルチェッリ(Fl)
FVGO
ニール・カバレッティ(指)

録音:2021年12且7-8日
※全て世界初録音
今やアルゼンチン・タンゴの象徴的存在であるバンドネオンですが、元をたどると1850年頃にドイツのクレー フェルトでハインリッヒ・バンドによって発明されたもの。そのクレーフェルトでは1985年からバンドネオン・フェス ティバルが行われています。2023年の同フェスティバルで受賞したマッサとパルフェノフのプロジェクト「バンドネ オン・ストーリー」は、ドイツで歌や民俗音楽の伴奏に使われていたバンドネオンが移民や船乗りによってブエ ノスアイレスに持ち込まれてタンゴ・アンサンブルの一部となり、やがて労働者階級の連帯の象徴になってゆく 過程を音楽で描いたものです。ピアソラの影響を強く感じさせるモダンでエモーショナルな音楽絵巻です。
NAX-8.579168(1CD)
クラリネットとギターのための21世紀作品集
ジャコモ・スザーニ(1995-):クラリネットとギターのためのソナタ(2022)*
アントニオ・ジャコメッティ(1957-):アマゾンの森の誇り高き叫びOp.191, Op. Br.31(2022)*
ジャン・フレイドリン(1944-):カフカ・ソナタ(2004)
ロベルト・シエッラ(1953-):クラリネットとギターのためのデュオ・ソナタ(2021)*
フレイドリン:Mist Over the Lake 湖にかかる霧(1985/1999)
アンドレアス・ヘルマンスキ(Cl)
エミリー・フェンド(G)

録音:2022年12且8-10日
*=世界初録音
ギターとクラリネットのデュオ作品の普及を目指し、現代作曲家に新たなレパートリーを委嘱しているアンドレ アス・ヘルマンスキとエミリー・フェンド。このアルバムでは、4人の作曲家による多彩な作品を演奏しています。 優れたギタリストでもあるスザーニのソナタは3つの楽章で構成されており、曲の中心を成すのは第2楽章。 第1楽章と第3楽章は軽快でリズミカルな響きの中に、第2楽章と共通のモチーフが展開されます。イタリアの ジャコメッティによる「アマゾンの森の誇り高き叫び」は、自然音を楽器で象徴的に表現し、アマゾンの危機を 描いています。ロシア出身のフレイドリンの「カフカ・ソナタ」は、暗く複雑な心理的風景を表現しており、「湖に かかる霧」は憂鬱でありながらも、抒情的な旋律が特徴です。プエルトリコの作曲家シエッラのデュオソナタ は、古典的な形式と現代的な音楽語法を融合させた作品です。 (Ki)
NAX-8.574561(1CD)
ヨハネス・ブラームス:歌曲全集 第6集
1-4.4つの二重唱曲 Op.28(1860-62)
14-21.8つのリートと歌 Op.58(1871年出版)
22-26.5つの歌 Op.72(1876-77)
エスター・ヴァレンティン=フィーグト(Ms)…1-6、8、10-13、22、23、25
コンスタンティン・インゲンパス(Br)…1-4、7、9、14-21、24、26
ウルリヒ・アイゼンロール(P)

録音:SWR ハンス・ロスバウト・スタジオ(ドイツ)
2023年6月5-7日…1-17、19、22、23、25、26
2023年8月28日…18、20、21、24
NAXOSのブラームス歌曲全集シリーズ。第6集には4曲の二重唱曲と、円熟期の独唱曲が収録されています。ブラームスは、独唱曲だけでなく二重唱曲 においても深い表現力を示しており、作曲家20代後半に書かれたOp. 28では、人間関係の複雑さ、愛の喜びと苦しみ、そして人生の深遠な問いが表 現されています。Op.69の「9つの歌」は詩の世界観を音楽で豊かに表現しており、文学作品との深い関わりが感じられるもの。Op. 58もさまざまな表情 を見せる曲集で「セレナード」ではイタリア的な軽やかさも感じられます。Op. 72はより個人的で内省的な内容を持ち全曲にわたり「人生の儚さ」が描かれ ています。ケルン音楽舞踊大学でマリオ・ホフとウルリッヒ・アイゼンロールに師事し2022年からはバイエルン放送合唱団のメンバーとして活動するエスター・ ヴァレンティン=フィーグトと、このシリーズで民謡曲集(8.574345、8.574346)を歌ったコンスタンティン・インゲンパスの演奏です。

NAXOS 2024年11月発売 (2)
NAX-8.574597(1CD)
ダニエル=フランソワ・オーベール:序曲集 第7集
歌劇「青銅の馬」 S.25序曲
歌劇「青銅の馬」 バレエ音楽 S.47…世界初録音
歌劇「妖精たちの湖」 S.32〜序曲/第3幕3人の王の行列…世界初録音/第3幕 学生のワルツ…世界初録音
歌劇「マルコ・スパダ」 S.43序曲
歌劇「マルコ・スパダ」 S.46第3幕 Pas de Mme Rosati
歌劇「ジェニー・ベル」 S.44序曲
歌劇「青銅の馬」 S.25序曲(E. フンパーディンク編)…世界初録音
ヤナーチェクPO
ダリオ・サルヴィ(指)

録音:2023年9月12-14日
かつてはロッシーニやスッペ作品と肩を並べるほどの人気を誇ったオーベールの歌劇。かのチャイコフスキーも高く評価したと伝えられますが、現在では一部を 除きほとんど上演されることがありません。そんなオーベールの序曲シリーズ、この第7集に収録されているのは「青銅の馬」を中心とした4作品の管弦楽曲。 「青銅の馬」は魔法の世界の神秘的な力が表現されており、1857年のオペラ・バレエ版に挿入されたバレエ音楽では、エキゾチックな中国趣味を味わえま す。詩的で優雅な「妖精の湖」はドイツで高く評価され、ワーグナーにも影響を与えました。彼はパリでこの作品を観ています。「マルコ・スパダ」は、完成度が 高く、最後まで緊張感を湛えたヴェルディを思わせる作品です。「ジェニー・ベル」の序曲が続き、最後に置かれているのはエンゲルベルト・フンパーディンクが 編曲した世界初録音となる「青銅の馬」の序曲です。オーケストレーションの違いをお楽しみください。
NAX-8.574486(1CD)
サントロ:ピアノ・ソナタ全集
クラウジオ・サントロ(1919-1989):ソナタ1942(1942)
ピアノ・ソナタ第1番(1945)
ピアノ・ソナタ第2番(1948)
ピアノ・ソナタ第3番(1955)
ピアノ・ソナタ第4番「ファンタジア」(1957)
ピアノ・ソナタ第5番(1988)
アレッサンドロ・サントロ(P)

録音:2021年4月18日、2021年8月2日、2022年2月25日
ブラジル外務省主導のプロジェクト「Brasil em Concerto」は、19世紀から20世紀にかけて作曲された 約100曲のブラジル音楽を、ブラジルのオーケストラが演奏・録音する企画です。今後は室内楽と声楽の録 音も追加される予定で、多くの作品が世界初録音となります。 このアルバムは、14曲の交響曲を遺したクラウジオ・サントロのピアノ・ソナタ全曲を収録した1枚です。サント ロが46年かけて作曲した6つのピアノ・ソナタは、彼の音楽的進化を記録するもの。20代前半の作品である 「ソナタ1942」は、初期の抒情的な作風によるものですが、1945年の第1番からは12音技法の使用が 始まり、やがてブラジル民族主義へと発展します。第4番では、ボサノバのリズムを予感させるフレーズも登場 し、晩年の第5番は彼が数十年にわたって使用してきたさまざまな表現法を総合したものです。これは初の サントロのピアノ・ソナタ全曲録音で、演奏者アレッサンドロ・サントロは作曲者の息子です。リオデジャネイロ 生まれのアレッサンドロ・サントロは、チャイコフスキー音楽院でピアノを学び、その後ハーグ王立音楽院でチェ ンバロの修士号を取得、同音楽院の教授に就任しました。現在はサンパウロ州立音楽学校(EMESP)で チェンバロと通奏低音の教授を務めています。また、ラ・プティット・バンドや18世紀オーケストラのメンバーとし てヨーロッパ各地で演奏し、デン・ハーグ・バロック・オーケストラの創設者でもあります。1989年以来、彼は 父の作品の編集と出版、およびヴァーチャル・アーカイブの管理を行っています。
NAX-8.574613(1CD)
フェルッチョ・ブゾーニ:ピアノ作品集 第13集
前奏曲とフーガ ハ短調 Op.21BV85
バッハ(1975-1750):カプリッチョ 変ロ長調「最愛の兄の旅立ちに」 BWV992(F. ブゾーニ編)
メヌエット・カプリチオーソ Op.61BV 124
ベートーヴェン:エコセーズ 変ホ長調 WoO86(F. ブゾーニによるコンサート・バージョン)
5部からなるピアノ練習曲集(初版) 第1部- 6つの練習曲と前奏曲より(1918年出版)
5部からなるピアノ練習曲集(初版) 第2部- 3つの練習曲と前奏曲より(1919年出版)
5部からなるピアノ練習曲集(初版) 第3部- 第3部「ロ・スタッカート」-第6番a メンデルスゾーンによる(夏の夜の夢より)(1921年出版)
5部からなるピアノ練習曲集(初版) 第5部- 無窮動(P・コンチェルティーノ Op.54BV292-第2楽章による)(1922年出版)
ヴォルフ・ハーデン(P)

録音:2023年10月26-27日
2000年に録音が開始された、ヴォルフ・ハーデンによるフェルッチョ・ブゾーニのピアノ作品集最終巻であるこ のアルバムには、初期と晩年という両端の作品を収録しています。初期の小品にはブゾーニが12歳の時に 作曲した「前奏曲とフーガ」や、同じく10代の「メヌエット・カプリチオーソ」の他、バッハやベートーヴェンの作品 を編曲したものが含まれており、原曲を尊重しつつその作りを分析して、魅力をさらに引き立てる絶妙なアレ ンジが楽しめます。晩年の「5部からなるピアノ練習曲集」からの抜粋には、自身が初期に作曲した作品の 編曲や他の作曲家の音楽が取り入れられており、彼のピアノ演奏におけるテクニックの粋が表現されたもの で、このシリーズの締めくくりとしてふさわしい内容と言えるでしょう。ヴォルフ・ハーデンの演奏は「ブゾーニ作品 における現在の明確な基準」として高く評価されています。
NAX-8.559944(1CD)
現代アメリカの合唱作品集
ジョセフ・トゥリン(1947-):そして再び紅い薔薇は美しく咲く(2018)
リチャード・エインホーン(1952-):The Luminous Ground 光る大地
(2023)
ジルダ・ライアンズ(1975-):モモトンボ(2022)
フレデリカ・フォン・シュターデ(Ms)
エリン・センセニグ(S)
ムジカ・ヴィーヴァ・NY合唱団
ムジカ・ヴィーヴァ・NYO
アレハンドロ・エルナンデス=バルデス(指)

録音:2023年12月5-6日
※全て世界初録音
このアルバムには、3曲の世界初録音となる合唱作品が収録されています。 ジョセフ・トゥリンは、ニューヨーク・フィルハーモニックやリンカーン・センターなどの著名な団体から委嘱を受ける 作曲家です。彼のカンタータ「そして再び紅い薔薇は美しく咲く」は、第一次世界大戦をテーマに、戦争で戦 い命を落とした人々の声を反映するために膨大な詩や手紙を調査し、選び出したテキストで構成されていま す。タイトルは、婚約者を戦争で失ったヴェラ・ブリテンの詩「Perhaps」の一節から取られており、この詩は名 歌手フレデリカ・フォン・シュターデによって歌われています。リチャード・エインホーンは、オペラ、映画音楽、バ レエ音楽など幅広いジャンルで活躍する作曲家です。彼の作品「光る大地」は、仏教哲学者ナーガール ジュナの思想にインスパイアされたもので、言葉のないコーラス、弦楽器、ピアノが絡み合い、瞑想的で徐々 に変化する響きを持つ音楽です。ジルダ・ライアンズは、作曲家、ヴォーカリスト、ビジュアルアーティストとし て、さまざまな音楽スタイルを融合した情感豊かな作品を生み出しており、その音楽は高く評価され、数多く のレーベルからリリースされています。この「モモトンボ」は、彼女の母親の故郷であるニカラグアの火山をテーマ にした合唱曲で、詩人ルベン・ダリオの詩からインスピレーションを受け、彼の詩や歴史的な資料を引用しな がら永遠に存在する火山と変わりゆく人間の命の対比を描いています。
NAX-8.660540(2CD)
マスネ:歌劇「エロディアード」 エロド王…エティエンヌ・デュピュイ(Br)
エロディアード…クレメンティーヌ・マルガイーネ(Ms)
サロメ…ニコール・カー(S)
ジャン…マシュー・ポレンザニ(T)
ファニュエル…マルコ・ミミカ(Bs-Br)
ヴィテリウス…ディーン・マーフィー(Br)
大司祭…カイル・ミラー(Br)
声…トーマス・チッルッフォ(T)
バビロニアの娘…スア・チョ(S)
ベルリン・ドイツ・オペラO&cho
エンリケ・マッツォーラ(指)

録音:2023年6月13、15、18日
ベルリン・ドイツ・オペラ
R・シュトラウスがサロメと洗礼者ヨハネを題材にしたオペラを作曲するはるか以前の1878年に、 マスネは同じ関係性を「エロディアード」で探求していました。しかし、オスカー・ワイルドが描いた残 忍な側面を持つサロメとは異なり、マスネのオペラでは、復讐心に燃えるエロディアード(サロメの母)が洗礼者 ジャンの首を要求し、無邪気で純真な娘サロメは主役ではありません。エロディアードは、母親であることをサ ロメに打ち明けられないという心理的葛藤を抱えており、夫エロド王はサロメに邪な恋愛感情を、そしてサロ メはジャンに恋愛感情を抱いています。こうした感情を濃密に描いたオペラの叙情的な内面性は、当時とし ては非常に革新的と見なされていました。このアルバムでエロディアードを歌うのはフランスのメゾ・ソプラノ、ク レマンティーヌ・マルガイーネ、エロド王をカナダのバリトン、エティエンヌ・デュプイ、サロメ役をオーストラリア出身 のソプラノ、ニコール・カーが演じています。
NAX-8.574558(1CD)
エーリヒ・ J・ヴォルフ(1874-1913):歌曲全集 第3集
ツェーザル・フライシュレンの「ヨースト・セイフライド」による9つの詩 Op.19(1909年出版)
リヒャルト・デーメルの6つの詩 Op.8-No. 1. Drum sollst du dulden, Mensch(1907年出版)
2つの歌曲 Op.10-No.1. Hyperions Schicksalslied(1907年出版)
フランツ・エヴァースの2つの詩 Op.11a ? No. 2. Der Steinklopfer(1907年出版)
様々な詩人による6つの歌 Op.13(1907年出版)より
 No.2. Tag meines Lebens
 No.5. Schliese mir die Augen beide
 No.6. Ich bin eine Harfe
6つの歌 Op.18- No.4. Todessehnen(1908年出版)
様々な詩人による7つの歌 Op.22? No. 1. Die alte Geige(1910年出版)
ペーター・ヤコブゼンによる6つの歌 Op. 26(1913年出版)より
  No.1. Landschaft
 No.3. Ewig
エミール・ファクトルの詩による8つの歌(1910-13年出版)より
 No.4. Der Wanderer
 No.6. Entsagung
 No.7. Dir
ゲオルク・フリードリヒ・ダウマーの「Hafis」による14の歌Op. 30(1910-13年出版)より
 No.11. Stark wie der Tod ist die Liebe
 No.12. Viel bin ich umhergewandert
 No.14. Wo ist der Ort, an dem du weilst?
ハンス・クリストフ・ベーゲマン(Br)
クラウス・ジモン(P)

録音:2023年5月30日-6月1日
エーリヒ・ジャック・ヴォルフはウィーンで生まれたユダヤ人作曲家で、シェーンベルクやツェムリンスキーと親交を結びました。彼は38歳の若さで亡くなるまでに、 少なくとも168曲の歌曲を作曲し、全て存命中に発表されて高く評価されましたが、現在では演奏の機会はほとんどありません。そこでNAXOSが全曲録 音をスタート。この第3集は、1909年の作品19の歌曲集で始まります。老境に達した男性が手の届かない若い女性に恋をするテーマが描かれ、春と若さ を象徴する明るい調性が多く使用されており、ヴォルフの後期ロマン主義的な作風を反映しています。また、リヒャルト・デーメルの詩による「Drum sollst du dulden, Mensch この理由から、おお、人よ」はヴォルフが書いたバリトンのための唯一の歌曲。他にはフリードリヒ・ニーチェやテオドール・シュトルムの 詩を基にした作品も含まれています。特にエヴァースの詩を用いた「Steinklopfer 石を砕く人」では、労働者階級の苦しみが繊細に描かれ、音楽的にも 強い印象を残します。生前、最後に出版されたヤコブゼンの詩を用いた歌曲集では印象派風の音楽が聴かれ、ペルシャの詩人ハーフィスの詩をダウマーが ドイツ語に翻訳したものを基にした14曲からなる歌曲集である作品30では、東洋的な音楽表現も試みられています。これら、ヴォルフの作品は人間の感 情の深淵を探求し、音楽的にも詩的にも非常に多様で奥深いものです。本作では、ハンス・クリストフ・ベーゲマンが巧みな歌唱を披露し、ブックレットに詳 細な解説(ドイツ語・英語)を寄せるクラウス・ジモンが見事な伴奏を付けています。
NAX-8.551464(1CD)
エーリッヒ・ツァイスル(1905-1959):歌曲集 第2集
5つの夜の歌
Stilleben 静物(1931)
Armkrautchen 小さなハープ(1931)
Der Tag erwacht 夜明け(1931)
Voglein Schwermut 憂鬱な小鳥 (1929)
Abendstimmung 夕暮れの雰囲気(1931)
Wiegenlied 子守歌(1928)
Das trunkene Lied 酔いしれた歌(1931)
Die funf Huhnerchen5羽の小さなニワトリ(1932)
Die Nichtgewesenen 存在しなかったものたち(1925)
Ein ganzes Leben ひとつの人生(1931)
ir ist so weh 私はとても辛い
Lass mich in deinen stillen Augen ruh’n 静かな君の目に私を休ませて(1931)
5つの黒人霊歌
Prayer 祈り (1945)
ミシェル・デヤング(Ms)
ジェレミー・リーガー(P)

録音:2021年9月15-16日
エーリヒ・ツァイスルはウィーンのユダヤ人家庭に生まれ、幼少期から音楽の才能を示しました。14歳でウィーン音楽院に入学し、リヒャルト・シュテールらに師 事、1920年代にはウィーンで作曲家として成功しましたが、1938年のドイツによるオーストリア併合によりキャリアが崩壊し、アメリカに亡命します。アメリカ ではハンス・アイスラーの紹介で映画音楽に携わりましたが、製作主との主張の違いなどの理由で、その才能を十分に発揮することはできなかったようです。 亡命後、彼はリートの作曲をやめましたが、1940年代にはユダヤ音楽に関心を向け、ホロコースト犠牲者に捧げた「ヘブライ・レクイエム」を作曲しました。 「5つの黒人霊歌」もこの時期の作品です。ウィーン時代に作曲された100曲近いリートは、夜や死、皮肉やユーモアをテーマにしたものが多く、いずれも後 期ロマン主義の伝統に則った旋律豊かな作品です。ミシェル・デヤングはグラミー賞受賞経験もあるメゾ・ソプラノ。マーラーやワーグナーなどの後期ロマン派 作品やバーンスタインの「エレミア」などの歌唱が高く評価されています。

NAXOS 2024年11月発売 (1)
NAX-8.559954(1CD)
アイヴズ:管弦楽作品集
1. ラグタイム・ダンス第1番(J. シンクレア編 2022)
2. ラグタイム・ダンス第2番(J. シンクレア編 2022)
3. ラグタイム・ダンス第3番(J. シンクレア編 2022)
4. ラグタイム・ダンス第4番(J. シンクレア編 2022)
5.4つの調によるフーガ「輝く岸辺」(J. カークパトリック編)
6. 池(J. シンクレア編)
7. 虹(J. シンクレアによるフルート、コールアングレ、ハープ、オルガンと弦楽編)*
8. 錯乱した古き歌(K. シングルトン編)
9. ダンベリー・フェアのためのスキット(J. シンクレア編)*
10. かぎ付きゴングとはしご「メイン・ストリートの消防士のパレード」(J. シンクレアによる管弦楽編)
11. Chromatimelodtune (K. シングルトン編)
12. 音の道第1番(R. スウィフトによる室内オーケストラ編)
13. 音の道第3番(J. シンクレア編)
14. 未完の作品と断片集(K. シングルトン、J. シンクレアによる管弦楽編)*
15. 行進曲第2番「ギャンボリーの息子」(K. シングルトン編)
16. 行進曲第3番「ケンタッキーの我が家」(K. シングルトン編)
17. 行進曲「サーカス・バンド」(K. シングルトン編)*
18. シューベルト:3つの軍隊行進曲 Op.51, D.733- 第1番ニ長調(C.アイヴズによる管弦楽編、J. シンクレアによる補筆完成版)
19. シューマン:謝肉祭 Op.9- 第4曲 高貴なワルツ(C. アイヴズ、J. シンクレアによる管弦楽編)*
20. シューベルト:4つの即興曲 Op.90D.899 - 第1番ハ短調
オーケストラ・ニュー・イングランド…1-17
ナバラSO…18-20
ジェイムズ・シンクレア(指)

録音:2023年10月24-25日、2024年3月12-14日
*…世界初録音
チャールズ・アイヴズの多彩な小品コレクション。このアルバムには、7曲の世界初演作を含む彼の代表的なラグタイムや行進曲など、様々な作品が収録さ れています。賛美歌の旋律をラグタイムに取り入れた「ラグタイム・ダンス」や、十二音技法を使用し、絶え間ないピアノのアルペジオに乗って弦楽器や管楽 器が独自の旋律を奏でる実験的でユニークな作品「Chromatimelodtune(クロマティック、タイム、メロディー、チューンを組み合わせた造語)」や「4つの 調によるフーガ」も、多調性を取り入れたアイヴズの音楽の特徴を示しています。 さらに、「池」や「虹」といった作品では、多彩な楽器が使用され、アイヴズの創造性が発揮されています。特に「虹」は、ウィリアム・ワーズワースの詩から想起 された、詩的な表現が反映された曲です。また、「An Old Song Deranged 錯乱した古き歌」は、アイヴズが母親に捧げた美しい歌曲を編曲したもの。 他には彼が手がけたシューベルトの行進曲やシューマンのワルツの編曲も含まれています。演奏は、アイヴズ研究の第一人者であるジェイムズ・シンクレアが 指揮するオーケストラ・ニュー・イングランド(または一部はナバラSO)によるもので、曲ごとに最適な編成が組まれ、作品への深い理解と愛情に裏打ち された素晴らしい演奏を楽しめます。
NAX-8.574587(1CD)
フォーレ:ヴァイオリン協奏曲より、子守歌、エレジー 他
歌劇「ペネロープ」 - 前奏曲(1913)
. ヴァイオリン協奏曲 二短調 Op.14- 第1楽章 アレグロ(1878-79未完)
子守歌 Op.16(1878-79/ヴァイオリンと管弦楽版 1880)
エレジーOp.24(1880/チェロと管弦楽版1901出版)
ロマンス 変ロ長調 Op.28(1877)(P. ゴーベールによるヴァイオリンと管弦楽編 1913)
幻想曲 Op.79(1898)(L. オーベールによるフルートと管弦楽編 1957)
ドリー組曲 Op.56(1893-96)(H. ラボーによる管弦楽編 1906)
ピエール・フシュヌレ(Vn)
マーティン・ジョンソン(Vc)
カトリオーナ・ライアン(Fl)
アイルランド国立SO
ジャン=リュック・タンゴー(指)

録音:2023年7月12-14日、2024年1月6-9日…1、4
フォーレの隠れた名作で、唯一の歌劇「ペネロープ」からの前奏曲と、未完となったヴァイオリン協奏曲に加 え、彼のピアノ曲や器楽曲を、他の作曲家たちがオーケストラ版に編曲した作品を収録した1枚。 1878年 から79年にかけて書かれたヴァイオリン協奏曲は、第1楽章と第2楽章が完成したものの、現存するのは第 1楽章のみ。この第1楽章の素材は弦楽四重奏曲の元になり、失われた第2楽章は後年「アンダンテ」作品 75として改作されました。このアルバムではフランスの人気ヴァイオリニスト、ピエール・フシュヌレがソリストとし て演奏。伸びやかな美音を生かし、フォーレならではの美しい旋律を歌わせています。 他には子守歌やエレジーなどの人気作と、ピアノ・デュオの名作「ドリー組曲」のオーケストラ版も収録。
NAX-8.660531(3CD)
ブゾーニ:歌劇「ドクトル・ファウスト」 ドクトル・ファウスト…ディートリヒ・ヘンシェル(Br)
メフィストフェレス…ダニエル・ブレンナ(T)
ワーグナー/式部官.…ヴィルヘルム・シュヴィングハマー(Bs)
パルマ公爵/兵士…ジョセフ・ダーダー(T)
パルマ公爵夫人…オルガ・ベスメルトナ(S) 他
アンドレア・ゼヴェリ(Org)
フィレンツェ五月音楽祭O&cho
コルネリウス・マイスター(指)

録音:2023年2月14日(ライヴ)
フィレンツェ五月音楽祭歌劇場(イタリア)
フェルッチョ・ブゾーニ没後100年を記念する特別企画!19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した多 才な音楽家、ブゾーニの代表作である「ドクトル・ファウスト」は、中世のファウスト伝説とクリストファー・マーロ ウの戯曲『フォースタス博士』を基にしています。ブゾーニは自ら台本を執筆しましたが、彼の死によって未完 のまま遺されました。作品は1925年に弟子のフィリップ・ヤルナッハによって完成され、ドレスデンで初演され ました。ブゾーニの作風はR・シュトラウスやピエトロ・マスカーニとは異なり、「起こり得ないことの現実 性による劇作法」を掲げ、その独自性が再評価されています。1997年、リヨン歌劇場でファウスト役を演じ て以来、この役を嵌まり役とするディートリヒ・ヘンシェル、加えてウィーン国立歌劇場でそのキャリアを築いてき た、パルマ公爵夫人役のオルガ・ベスメルトナを始めとした粒ぞろいの歌手たちを起用。近現代の作品をその 中心レパートリーとするコルネリウス・マイスターの雄弁なタクトが、複雑に構成されたブゾーニの音楽から劇的 な響きと抒情的な陰影を見事に引き出しています。
NAX-8.574505(1CD)
ヴィットーリオ・リエーティ(1898-1994):ピアノ協奏曲第1番(1926)*
ピアノ協奏曲第2番(1937)*
ピアノ協奏曲第3番(1955年初稿版)*
2台のピアノのための協奏曲(1951)#
アレッサンドロ・マランゴーニ(P)
オラツィオ・ショルティーノ(P)#
ミラノSO
ジュゼッペ・グラツィオーリ(指)

録音:2022年8月20-21日、2023年8月17-20日
*…世界初録音
ヴィットーリオ・リエーティはイタリア移民の第3世代としてエジプトで生まれ、第一次世界大戦後にイタリアに 移住し、レスピーギやカゼッラに作曲を学びました。1925年にはパリで更なる研鑽を積み、バランシンのため にバレエ曲を作曲、その後は1940年にアメリカに移住し、1944年に市民権を取得します。以降、アメリカと ヨーロッパを行き来しながら、管弦楽曲、室内楽、映画音楽など多様なジャンルの作品を書き上げました。 このアルバムには彼の全ピアノ協奏曲を収録。ピアノ協奏曲第1番は、1920年代のパリで書かれ、プーラン クに捧げられました。曲の明るい雰囲気はリエティ自身の結婚と息子ファビオの誕生の喜びが反映されていま す。第2番は、もともとワンダ・ランドフスカのためのチェンバロ協奏曲として作曲されましたが、後にピアノ協奏 曲として改作されました。第3番のピアノ協奏曲は、深い感情を込めた緩徐楽章が特徴的で、ここでは改作 される前の初稿版が演奏されています。一方、2台のピアノとオーケストラのための協奏曲は、映画音楽を 思わせるテーマを取り入れた溢れるような活力に満ちた作品です。
NAX-8.574677(1CD)
ウクライナのクリスマス
1-4. ウクライナの伝承キャロル
 1. Po vsiomu svitu 世界中に朗報を
 2. Dobryi vechir tobi! あなたに良い夜を
 3. Shcho to za predyvo 何と素晴らしいこと
 4. Boh sia rozhdaie 御子が生まれた
5. ヴァシル・ズダンキン(1958-2019):Narodyvsia Boh na saniakh そりに乗って神は生まれた(1988)
6-9. ウクライナの伝承キャロル
 6. Nova radist' stala 新たな喜びが生まれた
 7. Slava vo vyshnikh Bohu 至高なる神に栄光あれ
 8. Pavochka khodyt' 孔雀の散歩
 9. Malanka マランカ
10. ボーダン・クリヴォプスト(1975-):Fantasia 幻想曲(2023)
11. グルーバー(1787-1863):きよしこの夜(1818)
12. ウクライナの伝承キャロル:Shchedryi vechir 豊かな夕べ

※全てボーダン・クリヴォプストによるヴァイオリンと管弦楽編
ソロミヤ・イヴァヒフ(Vn)
リヴィウ国立フィルハーモニーSO
セルヒー・ホロヴェツ(指)

録音:2023年11月25-26日、2024年2月22-23日
Liudkevych Hall, Myroslav Skoryk Lviv National
Philharmonic, Lviv(ウクライナ)
世界初録音
ウクライナには長く活気に満ちたクリスマスキャロルの伝統があり、そのメロディーと意味は、今、これまで以上に国民の心の中で重要な位置を占めています。 キャロルの多くは、さまざまなテーマを持っていますが、どれも天上と地上の美しさと、救世主の到来への感謝という共通の想いで結びついています。このアル バムでは、ウクライナの作曲家ボーダン・クリヴォプストが伝統のキャロルに華やかなアレンジを加え、ヴァイオリニスト、イヴァヒフが演奏。旋律の美しさを引き立 てるとともに、祝祭ムードを盛り上げます。アルバムにはクリヴォプスト自身の「幻想曲」と、誰もが知っている「きよしこの夜」も収録されています。
NAX-8.574588(1CD)

NYCX-10498(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
リスト・フェイヴァリッツ(日本語解説付)
1.19のハンガリー狂詩曲 S244/R106- 第2番 嬰ハ短調*
2. 愛の夢 S541/R211- 第3番夜想曲 変イ長調
3. シューベルトの12の歌 S558/R243- 第4曲 魔王*
4. シューベルト:白鳥の歌 S560/R245- 第7曲 セレナード*
5.4つの忘れられたワルツ S215/R37- 忘れられたワルツ第1番
6. 即興ワルツ S213/R36*
7. コンソレーション(慰め)S172/R12- 第3番 変ニ長調(レント・プラーチド)
8. リゴレット・パラフレーズ S434/R267*
9. 巡礼の年 第2年 イタリア S161/R10b - 第5曲 ペトラルカのソネット第104番*
10. 巡礼の年 第2年 イタリア S161/R10b - 第7曲 ソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」
11. 巡礼の年 第2年への追加 ヴェネツィアとナポリ S162/R10- 第3曲 タランテッラ*
12. パガニーニによる大練習曲 S141/R3b - 第2番 変ホ長調*
13. パガニーニによる大練習曲 S141/R3b - 第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネッラ(鐘)」*
*…ゴラン・フィリペツ版
ゴラン・フィリペツ(P)

録音:2024年1月3-4日
ゴラン・フィリペツはリスト作品の研究と演奏で特に名高いヴィルトゥオーゾタイプのピアニスト。ジュネーヴ・フランツ・リスト協会の共同創設者で会長を 務め、『リスト:パガニーニ練習曲』(国内仕様盤 NYCX-10139/輸入盤8.573458)と『リスト:ハンガリー幻想 曲』(NYCX-10188国内仕 様盤/8.573866輸入盤)の録音はブダペスト・リスト協会のグラン・プリを受賞しました。このアルバムは彼の「お気に入り」を集めた1枚。フィリペツは 往時の名ピアニストたちが即興やトランスクリプション(編曲、アレンジ)を重視していたことに基づき、楽譜通りの演奏にこだわらず「創造的精神に基づ く自由なアレンジ」を加えて弾くことで作品に生命を吹き込むことをモットーにしていますが、もともと演奏難度の高いこれらの作品においても華麗なパッ セージが一層引き立つように様々なアレンジを加え、作品の新たな魅力を引き出しています。アルバムの最後に置かれた「ラ・カンパネッラ」では2つの 版を組み合わせ、自由な装飾を施したアレンジが聴き圧巻です。リスト・ファン、ピアノ音楽ファン注目の一品です。
※国内仕様盤にはゴラン・フィリペツによる原盤解説の日本語訳が付属いたします。

NAXOS 2024年10月発売 (3)
NAX-8.574564(1CD)
ジョン・ラター:ブラス・アット・クリスマス
ジョン・ラター(1945-):
1. 手を打ち鳴らせ(1973)*
2. 天使のキャロル(1988)
3. 東方三博士のキャロル(2009)
4. リジョイス・アンド・ビー・メリー(2004)
5. こころみの世にあれど(1989)
6. スター・キャロル(1972)
7. おやすみ、イエスよ(1999)
8. 降誕のキャロル(1963)*
9. 伝承曲:ヒア・ウィ・カム・ア・ワッセイリング
10. ニュー・イヤー(2006)
11. 羊飼いの唄うキャロル(1965)
12. クリスマスの子守歌(1989)
13. 御子イエス(1973)
14. キャンドルライト・キャロル(1984)
15. テ・デウム(1988)*
16. 伝承曲:クリスマスおめでとう

L. ヴェルトメンによる合唱とブラスバンド編…1、8、15
L. ヴェルトメンによるブラスバンド編…2-7、10、14
J. ラター、L. ヴェルトメンによる合唱とブラスバンド編…9
P. グレーアムによるブラスバンド編…11
J. クレイによるブラスバンド編…12
E. ウィルソンによるブラスバンド編…13
J. ラター、E. ウィルソンによる合唱とブラスバンド編…16
ブラック・ダイク・バンド
シェフィールド・フィルハーモニーcho…1、8、15
ニコラス・チャイルズ(指)
ダリウス・バッティワラ(指)*

録音:2023年6月26日、2023年11月9日、2023年11月20日
美しい旋律と豊かなハーモニーが広く愛されている英国の作曲家ジョン・ラターのキャロルを、1855年からの長い歴史を持ち、世界で最も成功したブラスバンド の一つ、ブラック・ダイク・バンドが演奏。このアルバムでは、ラターの名クリスマスキャロルをブラスバンド用に新しくアレンジ。それぞれ異なる歴史や背景を持ち、合 唱やオーケストラで繰り返し演奏されてた作品に新しい生命が吹き込まれています。アルバムは輝かしい「手を打ち鳴らせ」で始まり、伝承曲「クリスマスおめでと う(We Wish You a Merry Christmas)」の見事なアレンジで締めくくられます。クリスマスを彩る華やかな1枚です。
NAX-8.504059(4CD)
NX-D05
フランツ・シュミット:交響曲全集、管弦楽曲集

■CD1
交響曲第1番ホ長調(1896-99)
歌劇「ノートルダム」 Op.2(1903) より第1幕:序曲/ 第1幕:間奏曲/第1幕:謝肉祭の音楽
■CD2
交響曲第2番変ホ長調(1911-13)
荘厳なフーガ(1937)- オルガン,16管楽器とパーカッションのために
■CD3
交響曲第3番イ長調(1927-28)
シャコンヌ ニ短調(原曲:オルガン1925/管弦楽編 1931)
■CD4
交響曲第4番ハ長調(1932-33)
軽騎兵の歌による変奏曲(1930)
マルメSO
ヴァシリー・シナイスキー(指)
■CD1
アンデシュ・ヨンソン(Org)
録音:2007年8月22-23日、2007年8月27-30日マルメ・コンサートホール(スウェーデン)
■CD2
録音:2007年5月28日-6月1日 マルメ・コンサートホール(スウェーデン)、2007年8月24-25日 St Petri Church, マルメ(スウェーデン)
■CD3
録音:2008年8月25-30日、2009年6月2-3日マルメ・コンサートホール(スウェーデン)
■CD4
録音:2008年5月26-31日、2009年6月4-5日マルメ・コンサートホール(スウェーデン)
シェーンベルクと同じ年に生まれ、ウィーン音楽院でブルックナーに学んだフランツ・シュミット。1899年から1933年にかけて作曲された4曲の交響曲は、オース トリア・ドイツ音楽の伝統を踏襲しながら、彼が終生憧れを抱いていたロマン派への傾倒も感じられます。対位法の巧みさが光る交響曲第1番、第2楽章に精 巧な変奏曲が置かれた第2番、1928年「シューベルト没後100周年記念式典」のために書かれた第3番、娘エマへのレクイエムでもある深い悲しみが全体を 支配する第4番。それぞれの作品に、歌劇「ノートル・ダム」からの管弦楽曲や軽騎兵の歌による変奏曲、シャコンヌなど主要な管弦楽作品を併せて収録して います。 ヴァシリー・シナイスキーとマルメSOによる、2008年から2009年のこの一連の録音はBBC ミュージック マガジンなど各誌で高い評価を受けました。
NAX-8.574646(1CD)
ホルンの黄金時代2つのホルンのための協奏曲集
フリードリヒ・ヴィット(1770-1836):2つのホルンのための協奏曲(第3番) ヘ長調 (1797)
フランツ・アントン・ホフマイスター:2つのホルンのための協奏曲第3番 変ホ長調(1783)*…世界初録音
レオポルド・モーツァルト:2つのホルンのための協奏曲 変ホ長調(1752)**
フランチシェク・クサヴァー・ポコルニー(1729-1794):2つのホルンのための協奏曲 ヘ長調(作曲年不詳)#
ヤチェク・ムズィク(第1ホルン)
ダニエル・ケルデレヴィチ(第2ホルン)
バッファローPO
ジョアン・ファレッタ(指)

録音:2022年3月17日、2023年9月27日*、2022年3月16日**、2022年3月20日#
狩猟時の信号用楽器を原点とするホルンは、18世紀になるとソロ楽器としての地位を確立し、ハイドンやモー ツァルトをはじめとする数多くの作曲家たちがホルンのための作品を作曲、その中には2本以上のホルンのため の作品も多く含まれます。このアルバムに収録されたホルン協奏曲は、いずれも当時のホルン奏者の技術的進 歩と作曲技法の充実を示しています。ベートーヴェンと同じ年に生まれたフリードリヒ・ヴィットの作品は、力強い 第1楽章、優雅なロマンス、舞曲を思わせる終楽章で構成されており、ホフマイスターの作品は、親しみやすい テーマと技巧的な展開を特徴としています。レオポルト・モーツァルトの協奏曲では、ホルンと弦楽器が緊密に 絡み合い、軽快なリズムと技巧的な要素が加わっています。ポコルニーのヘ長調の協奏曲は、2本のフルート がソロ・パートに彩りを加え、優雅なラルゲットが生き生きとした楽章に挟まれています。 バッファロー・フィルの首 席ホルン奏者ヤチェク・ムズィクと副首席ホルン奏者ダニエル・ケルデレヴィチが巧みなソロを披露します。
NAX-8.574537(1CD)
東ドイツのフルート協奏曲集
ギュンター・コーハン(1930-2009):フルート・コンチェルティーノ(1964)
ギスベルト・ネーター(1948-2021):フルート協奏曲 Op.125(2007)
ジークフリート・マトゥス(1934-2021):フルート協奏曲(1978)
クラウディア・シュタイン(Fl)
フランクフルト・ブランデンブルク州立O
デイヴィッド・ロバート・コールマン(指)

録音:2023年2月16-18日
※全て世界初録音
ドレスデン育ちのフルート奏者クラウディア・シュタインが自身のルーツに関わる作品を紹介する1枚。シュタイン は23歳の時にバレンボイムからベルリン・シュターツカペレの首席奏者にスカウトされた名手で、ここでは東ドイツ の時代を経験した作曲家によるフルート協奏曲を収録しています。 ギュンター・コーハンのコンチェルティーノは新古典主義の影響を受けつつも、現代的な和声を用いたユニークな 作品。比較的シンプルなソナタ形式の第1楽章から始まり、表情豊かなアンダンティーノと活発なヴィヴァーチェ で締めくくられます。ギスベルト・ネーターの協奏曲はシュタインのために書かれた作品で、古典派の作曲家ヨハ ン・ヨアヒム・クヴァンツの影響を受けつつも、現代的な内容と表現が特徴です。音楽全体はフルートが支配 し、軽やかなパッセージを伴う動きのある第1楽章や静かなアンダンテなど、変化に富んだ構成を持っています。 ジークフリート・マトゥスの作品は、5楽章構成。セリエル要素を用いた音楽で、ソリストとオーケストラの変化す る関係を描写しています。
NAX-8.660563(2CD)
パイジェッロ:歌劇「見せかけの恋人」 カミレッタ…エレーナ・ツェトコヴァ(S)
ジェリーノ…ダニエーレ・デ・プロスペーリ(T)
ドン・ジローネ…アントワーヌ・ベルネム(Br)
エストリンO
ステファノ・パリッセ(チェンバロ・指揮)

録音:2019年4月8-11、13日テルブルク(ロシア)
※世界初録音
ジョヴァンニ・パイジェッロは、18世紀後半のイタリアで活躍したオペラ作曲家。80以上の歌劇を作曲し、その 中にはモーツァルトに匹敵すると評価される作品も含まれます。 1776年、ナポリで成功を収めていたパイジェッロは、トンマーゾ・トラエッタの後任として、ロシアのエカチェリーナ2 世によりサンクトペテルブルクの宮廷指揮者に任命されました。同地では聴衆に分かりやすい音楽が求められ たため、ロシア滞在中にその作風は変化、目も眩むような超絶技巧を駆使した華やかな作品が次々と生まれ ました。この歌劇「見せかけの恋人」は、ロシア時代の作品で、登場人物は3人のみ。カミレッタが恋人のジェ リーノとともに、年配で裕福なドン・ジローネを騙し、危険な結果を招く画策に巻き込んでいくというコメディが、 パイジェッロの生来の劇的感覚によって見事に描かれています。作品所縁の地での上演を収録したアルバムで す。
NAX-8.573089(1CD)
シューベルト:ピアノのための舞曲集
34の感傷的なワルツ Op.50D779
12の高雅なワルツ Op.77D969
ワルツ(アルバムブラット)ト長調 D844
12のグラーツのワルツ Op.91D924
16のドイツ舞曲Op.83D783
ワルツ 変イ長調 D978
ワルツ ト長調 D979
2つのワルツ D980
ワルツ ハ長調 D980d
3つのドイツ舞曲 D972
2つのドイツ舞曲 D974
ドイツ舞曲 ニ長調 D975
ドイツ舞曲とトリオ ホ長調 D135
2つの舞曲のスケッチ D980e
34の感傷的なワルツ Op.50D779- ワルツ第8番 ニ長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779- ワルツ第9番 ニ長調(early version)
20のワルツ Op.127D146:ワルツ第2番イ長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779
- ワルツ第12番ニ長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779
- ワルツ第14番ニ長調(early version)
16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ Op.33D 783  - ドイツ舞曲第6番変ロ長調(early version)
20のワルツ Op.127D146- ワルツ第13番ハ長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779- ワルツ第1番 ロ長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779- ワルツ第2番 ロ長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779- ワルツ第4番 ト長調(early version)
34の感傷的なワルツ Op.50D779- ワルツ第33番 変イ長調(early version)
20のワルツ Op.127D146:ワルツ第5番ヘ長調(第2稿)
2つのメヌエットからの主題 D. deest (断章)
98.2つのメヌエットからの主題 D. deest (断章)
クッペルヴィーザー・ワルツ D. AI/14(R・シュトラウス編)
ドミニク・ケリ(P)

録音:2022年22-24日
シューベルト自身はあまりダンスを踊らなかったと言われていますが、パーティや友人たちの集まりの際には率先してピアノを演奏し、場を盛り上げる作品を提供 しました。このアルバムでは、ワルツやレントラーといった軽やかなダンス曲に焦点を当て、シューベルトならではの美しくバランスの取れた旋律美を楽しむことができ ます。どの曲もほとんど1分以内と短いながら、調性の変化にも細心の注意が払われており、技術的には比較的容易に演奏できるため、ピアニストにとっても親 しみやすいものばかりです。また、「34の感傷的なワルツ」の初期稿が含まれている他、アルバムの最後には1943年にR・シュトラウスが編曲した「クッペ ルヴィーザー・ワルツ」も収録されています。ドミニク・ケリはアメリカ合衆国セントルイス生まれ。ジェームズ・コンロンやジェラード・シュワルツをはじめとする指揮者と 共に、アメリカ国内の数多くのオーケストラと共演しており、リサイタルも多数行っています。また、ヴィジェイ・グプタ、増田喜嘉とともにダルシャン・トリオの一員とし ても活躍しています。

NAXOS 2024年10月発売 (2)
NAX-8.574570(1CD)
フォーレ&プーランク
フォーレ:バラード 嬰ヘ長調 Op. 19(Pと管弦楽版)
プーランク:ピアノ協奏曲 FP146)
フォーレ:幻想曲 Op.111
プーランク:オーバード FP51
ロマン・デシャルム(P)
マルメ歌劇場O
ミヒャエル・ハラース(指)

録音:2023年8月29日-9月2日
マルメ歌劇場(スウェーデン)
フォーレとプーランク、フランスの二人の作曲家によるピアノとオーケストラの作品集。フォーレのバラードは優雅で控え目な雰囲気で始まるも、最後はリストを思 わせる華やかなパッセージで曲を閉じます。幻想曲は円熟期の作品らしく、ピアノの動きは控え目ながらもフォーレ独自の和声進行が用いられた流麗な旋律を 持っています。「オーバード」はピアノと18の楽器のために書かれた舞踏を伴う作品。神話のエピソードを元にしたシナリオをプーランク自身が作って作曲しまし た。ストラヴィンスキーの影響が垣間見えます。 2006年に開催されたダブリン国際ピアノコンクールの優勝者で、NAXOSにはサン=サーンスのピアノ協奏曲全集などの録音がある名手、ロマン・デシャルムが 端正なピアニズムで作品の魅力を引き出しています。
NAX-8.551473(1CD)
R・シュトラウス:ホルン協奏曲集
ホルン協奏曲第1番変ホ長調 Op.11TrV117
アンダンテ ハ長調 TrV155(ラルス・オプファーマンによるホルンと室内オーケストラ編)
4つの最後の歌 TrV296(エベルハルト・クロークによ室内オーケストラ編)*
アルプホルン TrV64(L. オプファーマンによるソプラノ、ホルンと室内オーケストラ編)
ホルン協奏曲第2番変ホ長調 TrV283
クリストフ・エス(Hrn)
ソーニャ・ゴルニク(S)*
アーヘンSO
クリストファー・ウォード(指)

録音:2019-2023年
18歳のR・シュトラウスが作曲した「ホルン協奏曲第1番」は、ミュンヘン宮廷楽団の首席ホルン奏者を 務めた父フランツに捧げられた作品です。シュトラウスは幼い頃からホルンに親しみ、12歳の時に「アルプホル ン」、24歳の時に「アンダンテ」を作曲(このアルバムにはL. オプファーマンによる室内オーケストラ伴奏版が収録 されています)、また以降のオーケストラ作品でもホルンは重要な役割を果たしており、この楽器に深い愛着を 抱いていたことが感じられます。老境に差し掛かったシュトラウスは、2番目のホルン協奏曲を完成させ、「父の 思い出に捧ぐ」として1943年にザルツブルク音楽祭で初演。この協奏曲は第1番と同じ変ホ長調で書かれて おり、モーツァルトを思わせる懐古的な曲調の中で、ホルンが超絶技巧を駆使して旋律を堂々と歌い上げる、 若々しいダイナミズムを持った作品です。エーベルハルト・クロークによる室内オーケストラのための『4つの最後の 歌』の編曲は、この晩年の名作に透明感溢れる新たな魅力を加えています。「九月」の最後のホルン・ソロも 印象的。 独奏はバンベルクSOの首席ホルン奏者を務めるクリストフ・エス。ミュンヘン国際音楽コンクール (ARD)、R・シュトラウス・コンクールなど、多くの国際コンクールで賞を受賞、2010年にはホルン四重奏 団「ジャーマン・ホルンサウンド」を創設し、室内楽奏者としても活躍しています。
NAX-8.579151(1CD)
イェ・シャオガン(1955-):消失的銀杏 Op.92(2019/2023年改訂版)
言葉のない告別の歌 Op.61B(2010/18)
ユー・ユアンチュン(琵琶)
リュー・ツェシャン(京胡)
チェン・ホンファン(笛)
北京オペラ・パーカッション(アンサンブル)
杭州PO
ヤンヤン(指)

録音:2023年5月29-31日
※全て世界初録音
1955年に上海で生まれたイェ・シャオガンは、現代中国を代表する作曲家の一人です。彼は、自作に中国 の民間伝承のエピソードや風景、自然などのモチーフを取り入れることで知られ、演奏会用の音楽だけでなく、 数多くの映画音楽でも権威ある賞を受賞するなど、その作品は高く評価されています。 このアルバムには2つの作品を収録。「言葉のない告別の歌」は、精緻で美しいメロディーと洗練されたオーケス トレーションが特徴で、芸術的創造のインスピレーションや死というテーマに深く迫ったストーリー性のある作品で す。琵琶や京胡、笛など、中国の伝統的な楽器が巧みに用いられています。 「消失的銀杏」は、イェ・シャオガンが愛する「イチョウの木」をモチーフにした植物シリーズの最新作。優雅で繊 細な音色の変化が美しいこの曲には、中国に数億年前から存在するイチョウへの想いが込められるとともに、 未知のものに対する人間の探究心と好奇心、そして人間と自然の相互依存への関心、さらに人間の心の奥 底にある美への深い洞察が表現されています。
NAX-8.551467(1CD)
イタリア・バロックのトランペット協奏曲集
1-3. ヴィヴァルディ:協奏曲 ニ長調 RV230- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために
4-7. アンドレア・グロッシ(1660頃-1696):5声のソナタ Op.3No.11- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために
8-13. ツィポーリ:組曲 ヘ長調- トランペット、オルガンと弦楽合奏のために(アネッテ・ラウスによるトランペット編)
14-18. コレッリ:4声のソナタ ニ長調 WoO4- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために
19-21. ドメニコ・ナタレ・サッリ(サッロ)(1679-1744):歌劇「Le gare generose 勇敢なる競演」よりシンフォニア ニ長調- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために…世界初録音
22-24. アルビノーニ:トランペット協奏曲 変ロ長調 Op.7No.3(原曲:オーボエ協奏曲)
25-27. バルダッサーレ(1680頃-1768):ソナタ第1番 ヘ長調- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために
28-30. トレッリ(1658-1709):ソナタ ニ長調(G13)- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために
31-33. トレッリ:トランペットを伴うシンフォニア G.14- トランペット、弦楽合奏と通奏低音のために
トーマス・ライナー(Tp)
インテルプレーティ・ヴェネツィアーニ(ヴェネツィア室内合奏団)

録音:2021年9月20日、2023年9月4-6日、10月30-31日
前作『ドイツ・バロックのトランペット協奏曲集』(8.551419)の演奏がFanfare誌によって「第一級で活気に 満ちている」と評されたトーマス・ライナー。今作ではイタリア・バロックの作品に挑みます。いずれも速い楽章での 華麗な技巧と緩徐楽章での息の長い歌がききものです。アルビノーニの見事な装飾音や、ヴィヴァルディの協 奏曲で聴かれる輝かしい技巧など、それぞれの作曲家のユニークな個性が前面に表れています。また、ドメニ コ・サッリの「シンフォニア」は世界初録音となります。 トーマス・ライナーは1969年ドイツ生まれ。12歳の時にモーリス・アンドレの演奏に触れたことで奏者を志し、活 躍してきました。バックをつとめるインテルプレーティ・ヴェネツィアーニ(ヴェネツィア室内合奏団)は1987年創設 のヴェネツィアのモダン楽器アンサンブル。ヴィヴァルディの作品を得意とするほか、現代作品や古典派作品の演 奏にも定評があります。
NAX-8.574160(1CD)
レスピーギ:管弦楽伴奏歌曲集
子守歌, P.38(1902)(S. ディ・ヴィットリオ編)
3つの歌曲 P.99a(1906-12/1913オーケストラ伴奏編未完)(S. ディ・ヴィットリオによる声と管弦楽編補筆)…この版による全曲世界初録音
アリアンナの嘆き P.88(C. モンテヴェルディによる)(1908)(S. ディ・ヴィットリオ編)
日没 P.101(1914)(声と弦楽オーケストラ版)
カンタータ「アレトゥーザ」 P.95(1910-11)
アレッサンドラ・ヴィセンティン(C.A)
ニューヨーク室内O
サルヴァトーレ・ディ・ヴィットリオ(指)

録音:2022年4月18-22日
レスピーギによる声楽とオーケストラのための作品集。モンテヴェルディの失われたオペラ「アリアンナ」の一部とし て伝わる「アリアンナの嘆き」にレスピーギがオーケストレーションを施したものは、レスピーギの評価を高めまし た。「子守歌」は1902年に作曲された弦楽器のための小品。ワーグナーを思わせる「日没」と「アレトゥーザ」 は、いずれもイングランドの詩人シェリーの詩に基づいており、『ローマの泉』の前兆ともいえるドラマティックな雰 囲気を持っています。『3つの歌曲』は、もともとメゾソプラノとピアノのために別々に作曲された3つの歌曲をまと めたもので、レスピーギ自身がオーケストレーションを行うも未完となっていた曲集。「霧」と「雨」は、パヴァロッ ティの歌唱でも知られています。レスピーギの作品カタログ編纂者がこの曲集を発見し、作品リスト出版後に新 たにP.99aと附番し追加。作曲家でもあるサルヴァトーレ・ディ・ヴィットリオは、レスピーギの姪にあたる人物の 個人的な依頼を受けて、2013年に出版された批判校訂版のためにオーケストレーションを完成させました。 アレッサンドラ・ヴィセンティンは、ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院とクラウディオ・アバド音楽院で学んだコントラルト。 これまでにミラノのスカラ座、ニューヨークのカーネギーホール、ランス歌劇場、ザルツブルク音楽祭、ラヴェンナ音 楽祭などに出演しており、リッカルド・ムーティ、ズービン・メータ、リッカルド・シャイーなど、多くの名指揮者と共 演、その魅力的な声が高く評価されています。
NAX-8.660552(2CD)
ドニゼッティ:歌劇「キアラとセラフィーナ」 キアラ…グレタ・ドヴェーリ(S)
セラフィーナ…ファン・ジョウ(Ms)
ドン・メスキーノ…ピエトロ・スパニョーリ(Br)
ドン・アルヴァロ/ドン・フェルナンド…マティアス・モンカーダ(Bs)
ドン・ラミーロ…ヒョンソ・ダヴィデ・パク(T)
ピカロ…スンファン・ダミエン・パク(Br)
リゼッタ…バレンティーナ・プルジニコワ(A)
アニェーゼ…マーラ・ガウデンジ(Ms)
スパラトロ…アンドレア・タンジッロ(T)
ジェンナーロ…ジュゼッペ・デ・ルーカ(Bs)
スカラ座アカデミアcho
オーケストラ・リ・オリジナーリ(古楽器使用)
セスト・クアトリーニ(指)

録音:ドニゼッティ音楽祭2022年12月4日
【同内容の映像】 DYNAMIC
DVD…DYNDVD37987
Blu-ray…NYDX50346(国内仕様盤)
DYNBRD57987(輸入盤)
舞台は17世紀、マヨルカ島。船長ドン・アルヴァロは、娘のキアラを連れて地中海を航海中に海賊に襲われ、 奴隷として売られてしまいます。ドン・アルヴァロの盟友だったドン・フェルナンドは、その不在につけ込んで、ドン・ アルヴァロのもうひとりの娘セラフィーナを籠絡して、その財産を乗っ取ろうと画策しますが、セラフィーナには既に 結婚を誓った恋人ドン・ラミーロがいました。そこに長く苦しい奴隷生活から解放されたドン・アルヴァロとキアラが 帰還し……
このアルバムは、初演から200年を経た2022年12月、ドニゼッティの生地、ベルガモでの復活蘇演の収録で す。19世紀のオペラをピリオド楽器で演奏する目的で創設されたオーケストラ、リ・オリジナーリを、このジャンル のエキスパート、セスト・クアトリーニが率い、新国立歌劇場の「フィガロの結婚」(2017年)のアルマヴィーヴァ伯 爵役で日本でもお馴染みのピエトロ・スパニョーリを中心に、スカラ座アカデミアの若手歌手を起用しました。
NAX-8.574599(1CD)
アイヴァー・ガーニー(1890-1937):歌曲集 第2集
1.10の歌 第1巻 - 第4曲 Down by the salley gardens サリー・ガーデン
(1920)
2.10の歌 第5巻 - 第7曲 野原に夏が満ちている(1921頃)
3. アドレストロップ(1921)*
4. 鷹とバックル(1921)
5. イン・メモリアム(イースター1915) (1921)*
6. 女性の声(1924頃)*
7. 湖の島イニスフリー(1918)*
8. 軍隊の休止(1919)*
9.10の歌 第5巻 - 第3曲 セヴァーンの牧草地(1917)
10.10の歌 第2巻 - 第5曲 Blaweary(1920)
11.5つのエリザベス朝の歌 - 第4曲 眠り(1914)
12.5つの歌 - 第5曲 赤いバラ(1918)
13.10の歌 第3巻 - 第7曲 雪(1921)
14. オランダの低地(第1作)(1918)*
15. タランテッラ(1921)
16.10の歌 第5巻 - 第9曲 二羽のカラス(1914/1915改訂)
17. ナルシスの哀歌のこだま(1921頃)*
18. 幽霊(1920)
19. 君よ知るや南の国(1914頃)*
20. ルパート・ブルックの5つの歌 - 第2曲 女性には知恵がある(1921)*
21. 強盗の歌(1920)*
22. あなたは、おお最も誠実で真実な人よ(1908?/1925改訂)*
23. シー・イズ・フル・オブ・ワンダリング・フォーム(1908)*
24. 来たれ、死よ(1920)*
25. ワールド・ストレンジネス(1925)*
26. 西の船乗りたち(1926)
マーカス・ファーンズワース(Br)
エリック・マッケロイ(P)

録音:2024年3月20-21日
*…世界初録音
スタンフォードに学び、ハーバート・ハウエルズと親交の深かった作曲家アイヴァー・ガーニーは、第一次世界大戦の従軍体験を元にして書いた2つの詩集を始め とした多くの詩作で「偉大なる詩人」としても知られています。歌曲を書く時には、現代の詩人から伝承のバラッド、エリザベス朝やジャコビアン時代の詩人、さら には自作の詩まで幅広くテキストを選びました。このアルバムには、彼の代表作である「眠り」や「セヴァーンの牧草地」などが含まれているだけでなく、世界初録 音の歌曲も14曲含まれています。2009年ウィグモア・ホール/コーン財団国際声楽コンクールで第1位を獲得したマーカス・ファーンズワースの表現力豊かな 歌唱でお楽しみください。

NAXOS 2024年10月発売 (1)
NAX-8.574519(1CD)

NYCX-10491(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
ハイドン:後期交響曲集 第4集
交響曲第102番変ロ長調 Hob.I:102
交響曲第103番変ホ長調「太鼓連打」 Hob.I:103
.交響曲第104番ニ長調「ロンドン」 Hob.I:104
デンマーク室内O
アダム・フィッシャー(指)

録音:2023年10月14-16日
コペンハーゲン、王立デンマーク音楽アカデミー コンサート・ホール
※国内仕様盤には音楽評論家、大津聡氏の解説が付属します。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーの全交響曲を録音した唯一の指揮者アダム・フィッシャーが、デンマーク室内Oの 首席指揮者就任25年を記念してスタートさせたハイドンの後期交響曲の再録音シリーズ、「ロンドン・セット」の完結編となる第4集の登場です。今 回の演奏も近年の歴史的アプローチから得た経験や情報を参考にしつつも、フィッシャーがオペラやオーケストラの演奏で積み重ねてきた様々な表現 の手法を駆使して迫力と遊び心を存分に備えた個性的なもので、ハイドンの作品が演奏者に許容する懐の深さも感じさせるものとなっています。 第102番は1795年、ロンドンの国王劇場で第1回オペラコンサートのプログラム第2部の最初の曲目として初演されました。第2楽章では独奏チェロ が活躍します。第103番は、第1楽章の冒頭と終結部にティンパニの長い連打があることから「太鼓連打」と呼ばれる作品。ハイドンはこのティンパニ に変ホのロールを指定していますが、指揮者によっては独自のリズムと音を加える場合があります。アダム・フィッシャーもオーストリア・ハンガリー・ハイドン 管との旧録音では楽譜通りの演奏でしたが、今回は工夫を凝らしており、シリーズを通してティンパニに重要な役割を持たせるフィッシャーの面目躍如 といった溌剌とした演奏です。第104番はハイドンが2度目の凱旋訪問中にロンドンで作曲した彼の最も壮大な交響曲。第2楽章の中間部の荒々 しい表現が「疾風怒濤」の時代を彷彿とさせる、ハイドンの交響曲の集大成といえる堂々たる作品です。

NAXOS 2024年9月発売 (2)
NAX-8.574380(1CD)
リスト:ピアノ曲全集 第63集 - クリスマス・ツリー他
クリスマス・ツリーS186/R71(1876)(初稿 MS-181, フランス国立図書館、パリ)
悲しみのゴンドラ II 「エレジー第3番」 S200/ R81(1882年版)
悲しみのゴンドラ II 「エレジー第3番」 S200/ R81(1883年版)
子守歌 S198/R58(1881)
エレジー第1番「墓の中の子守歌」 S196/ R76 (初稿)
ペテーフィの追悼に S195/R111(1877)(改訂版)
「皇帝ヴィルヘルム!」 S197b(1876)
ハンガリーの歴史的肖像 S205/R112ー第7曲 ミハーイ・モショニ(1885)
諦め S263/S187a/R388(1877)(第2稿)
コサックの歌 S249c(1871頃)
ヴォイチェフ・ヴァレチェク(P)

録音:2023年7月5-7日
NAXOSのリスト:ピアノ曲全集、第63集は、1876年の『クリスマス・ツリー』初稿を中心に晩年の小品を収録しています。 リストが孫娘ダニエラのために作曲した『クリスマス・ツリー』は、伝統的なキャロル、子供から見たクリスマス、大人の思い出の3つのグループに分かれています。 現在一般的に演奏されているのは1882年の改訂版ですが、ここでは初稿を演奏しています。悲しみのゴンドラ II「エレジー第3番」は、リストがリヒャルト・ ワーグナーの死を予感して作曲した作品で、ここには1882年の初稿と1883年の改訂版を収録(その後の改訂版も存在します)。「子守歌」は弟子のため に作曲されたシンプルな旋律の作品で、1958年に初めて出版されました。エレジー第1番「墓の中の子守歌」は、リストが弟子のマリー・ムハノフに捧げた作 品で1875年に発表されました。「ペテーフィの追悼に」は、ハンガリーの詩人シャーンドル・ペテーフィを題材にした作品です。「皇帝ヴィルヘルム!」は、リスト が皇帝ヴィルヘルム1世との謁見後に作曲したと考えられる短い行進曲で、2003年まで出版されることはありませんでした。『ハンガリーの歴史的肖像』第7 曲「ミハーイ・モショニ」は、ハンガリー文化を讃えた晩年の曲集の中の1曲で、ミハーイ・モショニは作曲家。「諦め」はオルガン作品として知られていますが、ここ ではピアノ用に改訂された第2稿を収録。「コサックの歌」は、リストの友人ザモイスカ伯爵夫人の蔵書から発見された短く華やかな作品。1960年に初めて 自筆譜が出版されました。 ポーランド出身でリスト作品を得意とするヴォイチェフ・ヴァレチェクの演奏です。
NAX-8.574572(1CD)
クラウジオ・サントロ:交響曲全集 第4集
愛と平和の歌(1950)
交響曲第4番「平和の交響曲」(1953-54)
テナー・サクソフォンと管弦楽のための協奏的ショーロ(1951)
交響曲第6番(1957-58)
ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲(1959-60/1980改訂)
ペドロ・ビッテンクール(テナーSax)
エマヌエーレ・バルディーニ(Vn)
ゴイアス交響cho、ゴイアスPO
ニール・トムソン(指)

録音:2018年11月12-13日、2019年11月28日、2023年5月22日、2022年4月25-30日
ブラジルを代表するシンフォニストであるクラウジオ・サントロの交響曲全集。この第4集には1950年代の4作 品が収録されています。「愛と平和の歌」はサントロがセリエリズムから民族主義へ移行を試みていた時期の 作品。交響曲第4番は彼の作品の中で人気あるものの一つ。ソ連で出版・録音され、ハチャトゥリアンやカバ レフスキーが熱烈に支持しました。交響曲第6番は、緩徐楽章とスケルツォを速い楽章がはさむ4楽章形式 の古典的な形式にモダンな音楽を盛り込んだ作品。サントロはまた、いくつかの協奏的作品も作曲しており、 1951年のサクソフォンのための「協奏的ショーロ」では彼特有のノリのよいリズムと、巧みなオーケストレーショ ンが映えています。1959年から1960年にかけて作曲された「ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」は 1980年に改訂、彼自身の指揮で初演。この幻想曲は切れ目のない2つの部分からなり、抒情的な前半 部と技巧的な後半部で構成されています。
NAX-8.574457(1CD)
ピアソラ:ギター音楽集〜タンゴ組曲、オブリビオン、天使の死、タンゴ・エチュード
ピアソラ:タンゴ組曲(1984) ー ギター二重奏のために*
オブリビオン(忘却)(1984)(Y. リベルゾンによるギター編)(2019)…この編曲による世界初録音
天使の死(1962)(L. ブローウェルによるギター編)(2015)
5つの小品(1980)
タンゴ・エチュード集(1987)(M. バルエコによるギター編)(2011)
ユーリ・リベルゾン(G)
ピョートル・パホムキン(G)*

録音:2023年4月9-11日
タンゴにクラシックやジャズの要素を融合させた「タンゴ・ヌエボ」を生み出したアストル・ピアソラの名曲をギター で演奏したアルバム。収録されているのは、ギター・デュオのアサド兄弟のために作曲された「タンゴ組曲」、ピ アソラ初のギター曲「5つの小品」のほか、リベルソンによる「オブリビオン」の編曲、ブローウェルによる「天使の 死」の編曲、バルエコによる「タンゴ・エチュード」です。どの曲もギターの幅広い音域を生かした編曲が聴きどこ ろ。アメリカ西海岸で意欲的な活動を繰り広げるユーリ・リベルゾンンによる演奏です。
NAX-8.574562(1CD)
パウル・ヴラニツキー(1756-1808):管弦楽作品集 第7集
交響曲 ニ長調「Con musica turca トルコ音楽風」(1790代)
歌劇「メルクリウス、結婚仲介人」 より
交響曲 ハ長調 Op.35No.1(1799年頃出版)
歌劇「復讐」ー第1幕 序奏(アンダンテ・コン・モート)
チェコ室内Oパルドビツェ
マレク・シュティレツ(指)

録音:2023年1月30日-2月3日
※全て世界初録音
モラヴィア出身の作曲家パウル(パヴェル)・ヴラニツキー。20歳の時にウィーンに移住し、ハイドンやモーツァル トと交流を深めウィーン音楽界における重要な作曲家になった彼は、皇帝フランツ2世の妻マリア・テレジアの お気に入りとなり、彼女からしばしば宮廷の祝典音楽や、舞台作品の作曲を依頼されました。同い年生ま れのモーツァルトとも交友を深め、モーツァルトの死後は未亡人コンスタンツェが亡き夫の作品を出版するため の手助けをしたことでも知られています。このアルバムでは2曲の交響曲と、歌劇からの序曲、シンフォニアを 収録。どれも彼の巧みな管弦楽法が発揮されており、なかでも「交響曲ニ長調」の最終楽章には、トライア ングル、シンバル、トルコ式のドラムを採り入れたことで、当時流行していた「トルコ音楽」風の響きが存分に 味わえます。
NAX-8.660547(2CD)
ムソルグスキー:歌劇「ソロチンスクの定期市」(1874-80)(F. ボロン版2021年)
歌劇「サランボー」組曲(1863-66)(F. ボロン校訂)*
ソローヴィ・チェレヴィーク…タイル・タジグロフ(Bs)
ヒーヴリャ…グレタ・バギヤン(Ms)
パラーシャ…カリーナ・シュミーガー(S)
クム…ハンス・グレーニング(Bs-Br)
グリツィコ…タマチ・ナッタボン(T)
ジプシー/チェルノボーク…リー・ジンソク(Bs) 他
カントゥス・ユヴェヌム・カールスルーエ
フライブルク劇場オペラ合唱団のメンバー
リリーズ・プロジェクト
ファブリース・ボロン(指)
リリーズ・プロジェクト*
ファブリース・ボロン(指)*

録音:2023年9月6、7、11日、2023年9月5日*
※全て世界初録音
モデスト・ムソルグスキーの未完となった歌劇「ソロチンスク(ソローチンツィ)の定期市」。ニコライ・ゴーゴリの原 作をもとに、ムソルグスキー自身が台本を作成したこの歌劇は、恋愛にまつわるごたごたと悪魔の呪いが交錯 するコメディーです。彼の死後、何人かの作曲家が作品の補筆を行いましたが、このファブリース・ボロンの版 はムソルグスキーによる音楽だけを用いた室内楽伴奏版です。アルバムには同じボロンが「サランボー」の音楽 を演奏会用組曲に編んだものを収録。こちらはムソルグスキーがフローベールの同名小説をもとに作曲、未 完のまま終わった彼の初の歌劇です。「テーマとアイデアの美しさ」がリムスキー=コルサコフに称賛されました。

NAXOS 2024年9月発売
NAX-8.503300(3CD)
トニー・バンクス(1950-):7・6・5- オーケストラのための18作品
【CD1】
セヴン- オーケストラのための組曲(S. ヘイル編)

【CD2】
シックス- オーケストラのための6つの小品(P. イングリッシュビー編)

【CD3】
ファイヴ(N. イングマン編)
【CD1】
トニー・バンクス(P)…1、4、7
LPO
マイク・ディクソン(指)
録音:2022年7月3-5日、8-9日
【CD2】
チャーリー・シーム(Vn)
マーティン・ロバートソン (アルト・サクソフォン)
プラハ市PO
ポール・イングリッシュビー(指)
録音:2011年3月13-17日
【CD3】
トニー・バンクス(P、チェレスタ)
ジョン・バークレー(コルネット、トランペット)
マーティン・ロバートソン(サクソフォン/ドゥドゥク)
フランク・リコッティ(打楽器)
スカイラ・カンガ(Hp)
チェコ・ナショナル交響合唱団
チェコ・ナショナルSO
ニック・イングマン(指)

録音:2017年3月22-26日
70年代のプログレッシブ・ロックのレジェンド『ジェネシス』のキーボード奏者トニー・バンクス。彼は以前からオー ケストラのサウンドにも魅了されており、まずサウンドトラックの作曲で成功を収めたのち、2002年に「セヴン」、 2011年に「シックス」、2014年に「ファイヴ」を書き上げ、これまで3枚のアルバムとしてナクソスからリリースしま した。今回、その3作品がセットになって再発売されます。どれも、特定のクラシックの形式等を意識したもので はない、バンクス・ワールドというべきものになっています。各曲のオーケストレーションはバンクス自身が監修し、 彼が求めた理想の音に仕上げています。「セヴン」と「ファイヴ」ではバンクス自身が演奏するピアノにも注目で す。 ※参加アーティストたちの写真を掲載した20ページの美麗ブックレット(英語のみ)が付属します。
NAX-8.574529(1CD)
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第1番 ヘ長調 Op.5No.1
モーツァルトの「魔笛」の「恋人か女房か」の主題による12の変奏曲 ヘ長調 Op.66
チェロ・ソナタ第2番ト短調 Op.5No. 2
モーツァルトの「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO46
ガブリエル・シュヴァーベ(Vc)
ニコラス・リンマー(P)

録音:2023年2月14-16日
フォイアマン、ロストロポーヴィチ、フルニエ、名手の名を冠した3つの国際チェロ・コンクールで受賞経験を持つ ガブリエル・シュヴァーベによるベートーヴェンのチェロ作品全曲録音の第1集。このアルバムでは、20代半ばの ベートーヴェンがデュポール兄弟と初演、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世に献呈したソナタ第1番、第2番と、モー ツァルトの歌劇「魔笛」のアリアに基づく2作の変奏曲を収録。1695年製のジュゼッペ・グァルネリのチェロを駆 使して、共演のイギリスのピアニスト、ニコラス・リマーとともに、若々しく情感豊かな表現で聴かせます。
NAX-8.660561(2CD)
ラフ:歌劇「嫉妬深い人々」 ベッピーノ…マティアス・バイン(Br)
ニネッタ…ミリヤム・フェスラー(Ms)
ドンナ・ローザ…セラフィナ・ジャンノーニ(S)
ドンナ・ビアンカ…ライザ・イエローネ(Ms)
ドン・クラウディオ…ベンジャミン・ポプソン(T)
ドン・ジェロニモ…・マルティン・ロト(Bs)
ドン・ジュリオ…バルドゥイン・シュネーベルガー(Br)
オーケストラ・オヴ・ヨーロッパ
ヨーナス・ピトカネン(指)

録音:2022年9月16-18日
※世界初録音
ヨアヒム・ラフが死の数週間前に完成させた最後の歌劇「嫉妬深い人々」。舞台で上演される見込みもない まま書き上げたこの作品は、他愛もない筋書きを持つ2時間以上の滑稽劇で、イタリアのベルカントとモーツァ ルトのオペラの影響が感じられます。登場人物は貴族階級のカップル2組、召使いのカップル1組、そして家 父長的なドン・ジェロニモの計7名で構成されており、召使役の2人が物語を進行させる重要な役割を果たし ます。ドイツ・オペラを得意とするマティアス・バインとミリヤム・フェスラーをはじめとした歌手たちの見事な歌唱を 収録。世界初録音。
NAX-8.501804(18CD)
NX-M09
ブルックナー:交響曲全集(全11曲・全18稿)
■CD1
1-4. 交響曲 ヘ短調(ノーヴァク版)
■CD2
1-4. 交響曲 ニ短調(ノーヴァク版)
■CD3
1-4. 交響曲第1番ニ短調(第1稿/レーダー版)
■CD4
1-4. 交響曲第1番ニ短調(第2稿/ブロシェ版)
5. スケルツォ旧稿(グランジャン版)
■CD5
1-4. 交響曲第2番ハ短調(第1稿/キャラガン版)*
■CD6
1-4. 交響曲第2番ハ短調(第2稿/ホークショー版)
■CD7
1-4. 交響曲第3番ニ短調(第1稿/ノーヴァク版)*
■CD8
1-4. 交響曲第3番ニ短調(第2稿/ノーヴァク版)*
5. アダージョ第2番(ノーヴァク版)
■CD9
1-4. 交響曲第3番ニ短調(第3稿/ノーヴァク版)
■CD10
1-4. 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第1稿/コーストヴェット版)*
■CD11
1-4. 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第2稿/コーストヴェット版)
5. 第4楽章旧稿「民衆の祭り」(コーストヴェット版)*
■CD12
1-4. 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(第3稿/コーストヴェット版)*
■CD13
1-4. 交響曲第5番変ロ長調(ノーヴァク版)*
■CD14
1-4. 交響曲第6番イ長調(ウィリアムソン版)
■CD15
1-4. 交響曲第7番ホ長調(ホークショー版)*
■CD16
1-4. 交響曲第8番ハ短調(第1稿/ホークショー版)
■CD17
1-4. 交響曲第8番ハ短調(第2稿/ノーヴァク版)
■CD18
1-3. 交響曲第9番ニ短調(ノーヴァク版)
リンツ・ブルックナーO
ウィーンRSO*
マルクス・ポシュナー(指)

録音:2018年、2021年〜2024年
CAPRICCIOレーベルと国際ブルックナー協会の主導で、ブルックナーの生誕200年に向けて全交響曲のすべての稿(バージョン)を新たに録音する企画 「#bruckner2024」。2024年7月に最終巻の第9番&ヘ短調がリリースされたばかりですが、はやくもNAXOSレーベルからBOXで登場します。同一指 揮者による全稿録音は史上初の快挙ですが、最新の知見を援用した解釈と、ブルックナーの細かい指示を丹念に踏まえたポシュナーの指揮によって新たな ブルックナー像を提示することに成功。「私たちが習慣にしてきた聴き方と伝統と見なしてきたものを問い直す企画」としてICMA(International Classical Music Award)2024の特別賞を受賞しました。 伝統的なブルックナー演奏においては、テンポをあまり細かく動かさず(または動かしたと感じ取らせず)、丸く溶け合った響きで旋律を息長く歌うなど、教会で 聴くオルガンや合唱のように演奏する傾向が見られましたが、ポシュナーはこれらの交響曲は教会音楽ではないとの理解に徹し、作曲者のテンポや強弱記 号を仔細に読み込んで克明に反映しています。例えば第3稿第2楽章の4種の稿では、アンダンテとアダージョの間を揺れ動く、それぞれに異なる速度記号 の微妙な違いが生み出す効果を実際の音できちんと聞き取れるなど、稿の違いを聴き比べるのに好適な演奏が揃っています。また第3番(第1稿と第2稿) 第4楽章コーダにおける弦楽器の扱いなど、演奏者の負担が大きく作曲家としての未熟さと見なされてきた箇所も真摯に再現。そのカドを丸めない姿勢は 特に初期稿の持つ斬新なアイディアや効果を余すところなく伝えるものとなっています。ブルックナー研究家のウィリアム・キャラガンはブルックナーの異稿につい て「自分の好み、理想の姿、究極の形を探すのはやめよう。すべてのスコアには価値がある」と語っていますが、その言葉に感じるところのあるファンには是非 聞いて頂きたいセットです。尚、CD5の第2番第1稿は第2楽章と第3楽章を出版楽譜とは逆の順で演奏しています。 全178ページのブックレット付(英語とドイツ語)
【当プロジェクトにおけるブルックナーの交響曲の「稿」について】
ポール・ホークショー(イェール大学名誉教授)
アントン・ブルックナーの音楽の愛好家のみなさんは、当プロジェクトで収録されるブルックナーの交響曲の稿が全部で18しかないことを不思議に思うかもしれ ません。20世紀半ば以来、音楽雑誌やレコード業界のマーケティングによって、彼がもっと多くの稿を残したかのような誤ったイメージが作られてしまったので す。ブルックナーのすべての自筆資料のあらゆる変更を特定しようとする音楽学的な関心の結果、彼自身が明確に「稿」と捉えていたものに至る途中で行わ れた修正まで含めた版がやたら増えてしまったのです。本来こうした修正は、スコアではなく、校訂報告に含めるべき情報です。また、レコード・プロデューサー たちが新しいリリースのたびに、ハース版かノーヴァク版かを表記することにこだわったために、この二人の学者がブルックナーの1番から9番まですべての交響曲 について明確に異なる版をそれぞれ出版したかのような誤解を与えてしまいました。実は、交響曲第8番の第2稿を除けば、ハースとノーヴァクの版はかなり 似通っているのです。本全集を収録するにあたって、演奏者たちは目下オーストリア国立図書館の後援の下で準備されている『新アントン・ブルックナー全 集』の校訂者たちが決めた「稿」の定義を採用しています。新全集では、ブルックナーの交響曲のそれぞれの「稿」を、彼の歴史的な節目――「たとえば交響 曲の演奏、出版、または献呈など、ある作品について彼がひとつの段階を終えたことを示す出来事」――によって区別しています。したがって、本録音では、 新全集の校訂者たちが同定した「稿」が収められており、各CDの原盤解説には、その特定の「稿」を同定した理由について詳しく論じています。この録音に は、作曲者の関与なく出版された初版楽譜――いわゆるシャルク、レーヴェなどのもの――は含まれていません。わかっている限りでは、ブルックナーが同意し た初版楽譜は、第3番、第4番、第7番のみであり、それらの内容は、本セットでは最終稿(もちろん第7番はひとつしか稿がありませんが)の楽譜に組み込ま れています。可能な限り、演奏は新ブルックナー全集のためにすでに完成しているスコアとパート譜に基づいています。

NAXOS 2024年8月発売 (3)
NAX-8.574448(1CD)
ユージン・ザードル(1894-1977):作品集
アコーディオン協奏曲(1972)
ロマンス(1920年代初期)(M. スモリーによるチェロと弦楽編)*
金管楽器のための組曲(1961)
子守歌(1972頃)(M. スモリーによるヴァイオリンと弦楽編)*
ハンガリー幻想曲(1943頃)(M. スモリーによるヴァイオリンと弦楽編)*
ピアノ五重奏曲(1933)(M. スモリーによるピアノと弦楽編)*
クラウディウシュ・バラン(アコーディオン)
リハールト・ロージャ(Vc)
ダーヴィド・ピンテール(Vn)
アンナ・グレツカ(P)
ブダペストSO
マリウシュ・スモリー(指)

録音:2023年6月26-29日
*…世界初録音
ハリウッド・サウンドの発展に寄与したザードルの協奏的作品を中心としたアルバム。ザードルはハンガリー生まれで、ウィーンとライプツィヒで学び、1939年に渡 米。ハリウッドでミクローシュ・ローザの映画音楽のオーケストレーションを担当して壮麗なハリウッド・サウンドの発展に貢献しました。主役(ソロ)を演じることの少な い楽器のための作品作りにやりがいを感じていたというザードルらしさが現れたのがアコーディオン協奏曲。著名なアコーディオン奏者アントニー・ガラ=リニのために 書かれたもので、終楽章にはザードルの故郷ハンガリーの旋律が用いられた快活な作品です。金管楽器のための組曲は、ホルン4本、トランペット4本、トロン ボーン3本、テューバ1本という編成で書かれ、ザードルが得意とした映画音楽を思わせる華麗な作品。他には当アルバムの指揮者、スモリーが弦楽伴奏版に 編曲した4作品が収録されており(いずれも世界初録音)、特に渡米前の作品でハンガリー国家賞に輝いた「ピアノ五重奏曲」が聴きごたえあります。
NAX-8.559936(1CD)
アメリカのオルガン協奏曲集
ホレイショ・パーカー(1863-1919):オルガン協奏曲 変ホ短調 Op. 55(1901-02)
ウェイン・オーキン(1977-):レジリエンス(2015)*
クリストファー・ラウズ(1949-2019):オルガン協奏曲(2014)*
アイヴズ:アメリカ変奏曲(1891-92)(E. パワー・ビッグズによる1949年編)
ポール・ジェイコブス(Org)
ナッシュヴィルSO
ジャンカルロ・ゲレーロ(指)

録音:2019年10月27-30日(ライヴ)
2023年2月23-25日*
2024年3月19日#
アメリカ近現代の作曲家によるオルガン協奏曲を、グラミー賞受賞アーティストのコンビで収録したアルバム。冒 頭のホレイショ・パーカーは チャールズ・アイヴズの師で、ミュンヘンに留学しヨーゼフ・ラインベルガーに師事した作 曲家。その作風はドイツの伝統を継承しており、このオルガン協奏曲もメンデルスゾーンやブラームスを思わせる 重厚な雰囲気を持っています。続くオーキンの「レジリエンス」は、スペース・ファンタジー映画が似合いそうなスペ クタクルな音楽。協奏曲という形式を好んだラウズのオルガン協奏曲は、ポール・ジェイコブスに捧げられたもの で、古典的な急-緩-急の楽章形式で書かれています。最後に収められているのは、アイヴズのオルガン・ソ ロ作品。曲名は「アメリカ変奏曲」ですが、英国国歌「ゴッド・セイヴ・ザ・キング」を主題としています。アイヴズ自 身の教会での演奏経験を活かしたオルガン特有の効果や技巧が盛り込まれています。
NAX-8.559942(1CD)
ジョージ・ウォーカー(1922-2018):ピアノ作品全集 第2集
リーヴィング(1971)(A. ドッシンによるピアノ編 2022)
ピアノ協奏曲(1975)
ピアノ・ソナタ第4番(1984)
グイドの手- ピアノのための5つの小品(1987)
ピアノ・ソナタ第5番(2003)
アレクサンダー・ドッシン(P)
オレゴン大学フィルハーモニア
デイヴィッド・M・ジェイコブス(指)

録音:2023年1月8-10日、2023年4月2日 、2023年11月20日 Beall Hall(USA)(ライヴ)、2023年11月27、29日
1996年に「ライラック」でピューリッツァー賞を受賞したアフリカ系アメリカ人作曲家ジョージ・ウォーカー。このアル バムは第1集(8.559916)と合わせてウォーカーのピアノ作品全集となります。ピアノ協奏曲は古典的な形式 の中にさりげなくデューク・エリントンの旋律が採り入れた作品。「グイドの手」はソルフェージュの原形を考え出し たグイド・ダレッツォにちなんだタイトルですが、この曲にもエリントンの影響が感じられます。冒頭の「リーヴィング (去り行く、の意)」はピアノ協奏曲のアンコールとしてドッシンがピアノ独奏用に編曲したもの。
NAX-8.579153(1CD)
チン・ウェンチャン(1966-):雲の川、神々の光、音を探して
雲の川 - 笙と管弦楽のための協奏曲(2017)
神々の光 - オーケストラのために(2018)
音を探して - 伶倫からインスピレーションを得た絵画(管弦楽のための舞踏組曲)(2018)
大地の詩(笙、箏と管弦楽版)(2017/20)
チェン・ヤン(笙)
ソン・シンシン(箏)
ウィーンRSO
ゴットフリート・ラブル(指)

録音:2023年8月1-4日
モンゴル生まれのチン・ウェンチャン(秦文?)の近作の管弦楽曲を収めたアルバム。彼の作品は文学、神話、 自然からインスピレーションを受けており、当アルバムの最初と最後の曲では、中国の伝統楽器特有のサウンド を活かしつつ、民族的要素に頼らず、西欧現代音楽の語法の中に取り込んでいるのが印象的です。笙と管 弦楽のための協奏曲「雲の川」は空を漂う雲をモチーフにした作品。長く引き延ばされた笙のサウンドが神秘的 な雰囲気を醸しています。「神々の光」は中国の現代詩人海子(Hai Zi) の俳句「チベット」に基づく作品で、 詩人が描いた瞑想的な世界を音楽で表しています。管弦楽のための組曲「音を探して」は古代中国における 音楽の創始者「伶倫」の伝説による曲。数万里を旅してついに聖地の崑崙山にたどり着いた伶倫が、自然の 力を借りて楽器や音階を生み出したというエピソードがもとになっています。「大地の詩」は笙と箏が主役を務め る作品です。
NAX-8.574557(1CD)
エーリヒ・ジャック・ヴォルフは・ヴォルフ(1874-1913):歌曲全集 第2集
4つのリート Op.3- 第4曲 Sehnsucht 郷愁(1903年出版)
リヒャルト・デーメルの6つの詩 Op.8 - 第5曲 Stimme im Dunkeln暗闇の中の声(1907年出版)
2つの歌 Op.10- 第2曲 Felsenstimmen(1907年出版)
4つのヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩 Op.14(1907年出版)より
 4. No.1. Gebet 祈り
 5. No.2. Waldeinsamkeit 森の孤独
 6. No.4. Gottes Segen 神の祝福
6つのリート Op.18(1908年出版)より
 7. No.2. Dann losch das Licht
 8. No.3. Sommernacht
 9. No.5. Madchenfrage
リヒャルト・デーメルの4つの子供の歌 Op.21(1909年出版)
 10. No.1. Die Reise
 11. No.2. Fitzebutze
 12. No.3. Das grose Karussell
 13. No.4. Furchtbar schlimm
7つのリート Op.22- 第4曲 墓地(1910年出版)
「子供の魔法の角笛」による11の歌 Op. 28(1910-13年頃より
 15. No.2. Der suse Schlaf, der sonst stillt alles wohl
 16. No.4. Die widerspenstige Braut
 17. No.5. Ich wollt', das der verhindert mich an meinem Gluck
ゲオルク・フリードリヒ・ダウマーの「Hafis」からの14の歌 Op.30(1910-13年頃)より
 18. No.3. Ein solcher ist mein Freund
 19. No.4. Entzucket dich ein Wunderhauch?
 20. No.6. Horch, horst du nicht vom Himmel her?
 21. No.8. O hattest du!
22-24.11の歌 Op.3(1910-13年頃)3より
 22. No.2. Alles still!
 23. No.8. Das kranke Kind
 24. No.10. Mein Meister
イダ・アルドリアン(Ms)
クラウス・ジモン(P)

録音:2023年2月4-6日
エーリヒ・ジャック・ヴォルフはウィーンで生まれたユダヤ人作曲家。シェーンベルクやツェムリンスキーと親交を結び、38歳の若さで亡くなるまでに書いた歌曲は少な くとも168曲、全て存命中に発表されて高く評価されましたが、現在では演奏の機会はほとんどありません。このアルバムに収録されたのは、彼の人生最後の 10年間に作曲されたもの。明るく魅力的な子供向けの連作歌曲「リヒャルト・デーメルの4つの子供の歌」や、陰鬱な「墓地の歌」など多彩な作品を聴くことがで きます。それらは時折大胆な和声進行があるものの、無調に踏み込むことはなく、ロマンティックな味わいを留めています。ピアノ・パートは高度な技法で書かれ、 歌を引き立てながらも強い存在感を発揮しています。オーストリア出身のメゾ・ソプラノ、イダ・アルドリアンの歌唱に、今作でもブックレットに詳細な解説(ドイツ 語・英語)を寄せるクラウス・ジモンが巧みな伴奏を付けています。

NAXOS 2024年8月発売 (2)
NAX-8.574271(1CD)
アルベルト・フランケッティ(1860-1942):交響曲 ホ短調(1884)
フランケッティ:交響的印象「黒き森にて」(1900)#
ヴォルフ=フェラーリ:室内交響曲 変ロ長調 Op.8(1901)*
ローマSO
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指)
ミンアンサンブル*

録音:2011年7月1-2日OSR Studios, ローマ(イタリア)
2011年7月8-9日OSR Studios, ローマ(イタリア)#
1995年10月12-17日Alter Pfarrsaal, ネッティンゲン(ドイツ)*

*…MARCO POLO8.223868より移行
イタリアの後期ロマン派の作曲家、アルベルト・フランケッティとエルマンノ・ヴォルフ=フェラーリ。両者とも優れた歌劇を遺しましたが、生粋のイタリア人でなかっ たことも共通点として挙げられます。イタリア貴族の父とウィーン出身の母の下に生まれたフランケッティは何不自由ない少年時代を送り、ヴェネツィアとドイツ で学びました。このアルバムに収録された交響曲ホ短調は、ドレスデン音楽院の卒業試験の一環として書かれた曲。ドイツ伝統の形式に則った荘厳かつ色 彩豊かなオーケストラの音色を駆使した作品です。40歳の時の交響的印象「黒き森にて」はライン渓谷の森と自然の美しさからインスピレーションを得た描 写的な曲。角笛の響きを思わせる冒頭に始まり、全編穏やかな曲調で書かれています。ドイツ人の画家の父とイタリア人の母を持つヴォルフ=フェラーリは 「マドンナの宝石」や「スザンナの秘密」などの歌劇が知られています。この室内交響曲は彼が長年過ごしたドイツで作曲されたもので、小ぶりな編成から生ま れる透明感溢れる響きが魅力的。ピアノを交えた各々の奏者の技巧が際立つ美しい作品です。
NAX-8.574566(1CD)
タネーエフ:ヴァイオリン・ソナタ イ短調(1911)
ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.30(1910-11)
スペクトラム・コンサーツ・ベルリン

録音:2023年11月21-22日
作曲家としても教育者としても賞賛されていたロシアの作曲家タネーエフ。民族主義的な傾向ではなく、見 事な対位法を駆使するなど、ヨーロッパ古典派の作曲技法を完璧にマスターしたその作品、とりわけ室内楽 作品は同時代のウィーンの巨匠たちのものと同等にみなされるほどに絶賛されました。 しかしタネーエフ自身が作品の出版に無頓着だったためか、残された作品が少なく、亡くなった後これらはほと んど演奏される機会を失ってしまいました。このアルバムに収録された2つの作品のうち、ヴァイオリン・ソナタは 美しい旋律線を持つベートーヴェンを思わせる古典的な作品。第3楽章にメヌエットがおかれているところも 優雅な雰囲気を醸し出します。それに対しピアノ五重奏曲は壮大なスケールと華やかな曲想に満ちた作 品。技巧的なピアノ・パートは優れたピアニストであったタネーエフならではの聴きどころです。エルダー・ネボル シンをメンバーとするスペクトラム・コンサーツ・ベルリンは19〜20世紀を中心とした知られざる室内楽作品の 演奏に力を入れるアンサンブル。曲の編成に柔軟に対応し見事な演奏を聴かせます。
NAXOS Idil Biret Solo Edition
NAX-8.571333(1CD)
イディル・ビレット/ソロ・エディション 第
13集

シューベルト:ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 Op.120D664
ピアノ・ソナタ 第12番ヘ短調 D625(未完)
  即興曲 変ト長調 D899No.3
  幻想曲 ハ長調「さすらい人」 Op.15D760
イディル・ビレット(P)

録音:2016年7月
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、ビレットは16歳でデビュー、以降半世紀以上に渡ってその技巧と音 楽性で聴衆を魅了しています。このアルバムは2016年に収録されたシューベルトの作品集。比較的小規 模ながらも、第2楽章での長調と短調の交錯や、モーツァルトを思わせる第3楽章といったシューベルトらしい 優雅な第13番のソナタと、幻想曲「さすらい人」をメインに置き、未完のソナタヘ短調と即興曲を組み合わ せた聴きごたえのある1枚です。
NAXOS Idil Biret Solo Edition
NAX-8.571428(1CD)
イディル・ビレット/アーカイヴ・エディション 第21集 - ワルツと舞曲集
ショパン:タランテッラ
ベルリオーズ(リスト編):舞踏会 ? 幻想交響曲
リスト:タランテッラ - 『巡礼の年』第2年への追加 ヴェネツィアとナポリ 第3曲
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ドビュッシー:レントより遅く
ラフマニノフ(クライスラー編):愛の悲しみ
ストラヴィンスキー:子供たちのワルツ
ストラヴィンスキー:ロシアの踊り - 『ペトルーシュカ』
バルトーク:6つのルーマニア舞曲
バルトーク:ブルガリアのリズムによる6つのダンス ? ミクロコスモス
イルハン・ミマルオグル(1926-2012):感傷的な小品
J・シュトラウス(ゴドフスキー編):芸術家の生涯
イディル・ビレット(P)

録音:1961-2018年ベルギー、フランス、ドイツ、トルコ
1941年生まれのトルコの名ピアニスト、ビレットは16歳でデビュー、以降半世紀以上に渡ってその技巧と音 楽性で聴衆を魅了しています。彼女はゴドフスキーらによる数多くのワルツのピアノ編曲版を録音したいと考 えて、まずは1970年代に好んで演奏した「芸術家の生涯」から始める予定でした。ところが2021年に彼女 は病を得たため、同時に進行していたハイドンのソナタの録音とともに、ワルツのプロジェクトも中止となったの です。しかし、1975年に演奏した「芸術家の生涯」の名演がインターネット上で評判となったことを受け、 1961年から2018年までの過去の様々な録音からワルツと舞曲を選び、このアルバムが制作されました。難 度の高い技巧が駆使された華やかな作品が並ぶ、ビレットならではの1枚です。

NAXOS 2024年8月発売 (1)
NAX-8.574518(1CD)

NYCX-10482(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

ハイドン:後期交響曲集 第3集
交響曲第99番変ホ長調 Hob.I:99
交響曲第100番ト長調「軍隊」 Hob.I:100
.交響曲第101番ニ長調「時計」 Hob.I:101
デンマーク室内O
アダム・フィッシャー(指)
録音:2023年10月12-14日
コペンハーゲン、王立デンマーク音楽アカデミー コンサート・ホール
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーの全交響曲を録音した唯一の指揮者アダム・フィッシャーが、デンマーク室内Oの 首席指揮者就任25年を記念してスタートさせたハイドンの後期交響曲の再録音、第3集です。演奏は彼自身の旧全集に比べると更にシェイプアッ プ、テンポアップされており、ダイナミックスの切り替えやアクセントも鮮烈。随所に即興的な装飾を加えるなど、ディテールにも凝っています。 近年の歴 史的アプローチから得た経験や情報を参考にしつつも、フィッシャーがオペラやオーケストラの演奏で積み重ねてきた様々な表現の手法を駆使して迫 力と遊び心を存分に備えた個性的な演奏は、ハイドンの作品が演奏者に許容する懐の深さも感じさせるものとなっています。 この第3集には表題付きの2曲を含む第99番から第101番の3曲を収録。第99番は1793年、ロンドン再訪の出発直前にウィーンもしくはアイゼン シュタットで作曲され、翌年の2月10日にロンドンで初演されました。クラリネットが編成に入る初の交響曲です。第100番は、当時流行していた「ト ルコ風」の楽器、シンバルとトライアングルの両方が用いられており、また第2楽章に使われたトランペットが軍隊ラッパを模していることから「軍隊」と呼 ばれる作品。もともとこの第2楽章は『2つのリラ・オルガニザータのための協奏曲第3番 ト長調』からの転用ですが、最後にティンパニとトランペットが加 えられて盛大に盛り上がります。第101番は、第2楽章の弦楽器とファゴットの刻むリズムから、長い間「時計」というあだ名が付けられてきました。 ※国内仕様盤には音楽評論家、八木宏之氏の解説が付属します。
NAX-8.574507(1CD)
アルベルト・ディートリッヒ (1829-1908):序曲 ハ長調 Op.35(1882年出版)
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.30(1874年出版)
交響曲 ニ短調 Op.20
クライディ・サハチ(Vn)
ソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルク
クリストフ・ケーニヒ(指)

録音:2021年10月18、2021年5月31日、2019年2月4日
アルベルト・ディートリッヒ、ドイツのロマン派時代の作曲家で指揮者。ブラームスやシューマンのファンならば、FAEのソナタの共作者として見覚えのある名前で しょう。シューマンに作曲を師事していたディートリッヒは、そこでブラームスと出会って親交を結び、後に指揮者としてブラームス作品のよき理解者となりまし た。彼の回想録『ブラームスの思い出』は、その時代の息吹を生き生きと伝える第一級の資料とされています。ここでは彼の大規模な管弦楽作品を収録。 メンデルスゾーンのように屈託を感じさせない抒情的ロマン派といった趣の楽想に、シューマンやブラームスに通じる語法や響きをまとわせており、ドイツ・ロマン 派好きの人ならばきっと楽しめる仕上がりです。欧州の腕利き演奏家を集めたソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルクが力強いサウンドを響かせています。中 でもヨアヒムを念頭において書かれたヴァイオリン協奏曲は高度な技巧の見せ場の多い華麗な作品で、クライディ・サハチが献身的な演奏を聴かせます。
NAX-8.5790961CD)
カタルーニャのヴァイオリン作品集 - グラナドス、モンポウ、カサド、モンサルバーチェ、セルベリョの作品
グラナドス:スペイン舞曲集 Op. 37- 第6番ロンダーリャ・アラゴネーサ(1888 -90頃)(Vnとピアノ編)
グラナドス:ロマンス 変ホ長調(1971年出版)
モンポウ:エレジア - 原曲:夢の戦い - 第1曲 君の上には花ばかり(1942)  (X. トゥルユによるヴァイオリンとピアノ編)(1963)
ガスパール・カサド(1897-1966):ヴァイオリン・ソナタ ニ短調(1926年出版)
モンポウ:Altitud 高地(1928)
グラナドス:スペイン舞曲集 Op.37- 第5番 アンダルーサ(祈り)(1880-90頃)(F. クライスラーによるヴァイオリンとピアノ編)
グラナドス:スペイン舞曲集 Op.37- 第2番 オリエンタル(1888-90頃)(Vnとピアノ編)
グラナドス:3つの前奏曲(1971年出版)
モンポウ:子供の情景 - 庭の乙女たち(1918)(J. シゲティによるヴァイオリンとピアノ編)(1937)
グラナドス:スペイン舞曲集 Op.37- 第10番 メランコリカ(悲しき舞曲)(1880-90頃)(Vnとピアノ編)
ハビエル・モンサルバーチェ(1912-2002):5つの黒人の歌-第4曲 黒人の子供のための子守歌(1945)
ジョルディ・セルベリョ(1935-): ヴァイオリンのためのプローヴァ(2012)
ヤンナ・ガンデルマン(Vn)
ライア・マルティン(P)

録音:2022年10月10-11日
20世紀前半のカタルーニャではグラナドスやアルベニスが民謡を採り入れた多くのピアノ曲を書き、カサドやカザルスがチェロの分野で活躍していました。それに 比べヴァイオリン曲はあまり書かれていません。しかしその憂愁に溢れたピアノ曲や歌曲の旋律に魅せられたクライスラーやシゲティらがこれらをヴァイオリン用に 編曲、旋律の魅力と名人芸を聴かせる格好の小品として生まれ変わらせています。またアルバムにはヴァイオリンのオリジナル作品も収録。チェロの名手カサ ドが、1915年に世を去った兄アウグスティンを偲んで作曲したヴァイオリン・ソナタや、モンポウがパリ時代に作曲した唯一のヴァイオリン作品「Altitud 高 地」、グラナドスの死後に出版された「ロマンス」や「3つの前奏曲」などを聴くことができます。最後におかれた「ヴァイオリンのためのプローヴァ」の作曲家ジョル ディ・セルベリョは1935年バルセロナ生まれ。もともとヴァイオリニストとして活躍するも、交通事故のためキャリアを中断し作曲活動に専念しました。彼の数多 くの技巧的なヴァイオリン作品は、聴き手を21世紀の新しいカタルーニャ音楽へと導きます。 エルサレムSOのコンサートマスター、ジャンナ・ガンデルマンが情感に満ちた演奏を聴かせます。
NAX-8.574650(4CD)
NX -K01
ニールセン:交響曲全集


■CD1
(1)交響曲第1番ト短調 Op.7FS16
(2)交響曲第2番ロ短調「四つの気質」 Op.16 FS29

■CD2
(1).交響曲第3番ニ短調「広がりの交響曲」 Op.27FS60
(2)交響曲第4番「滅ぼし得ざるもの(不滅)」 Op.29FS76

■CD3
(1)交響曲第5番Op.50FS97
(2)交響曲第6番「素朴な交響曲」 FS116

■CD4
(1)クラリネット協奏曲 Op.57FS129
(2)歌劇「仮面舞踏会」序曲
全て、デンマーク王立O

■CD1
(1)初CD化
 トーマス・セナゴー(指)
(2)初CD化
 アレクサンドル・ヴェデルニコフ(指)
■CD2
(1)ルート・グルドベク(S)、ニルス・モラー(T)、レナード・バーンスタイン(指)
(2)初CD化
 サイモン・ラトル(指)
■CD3
(1)初CD化
 ミヒャエル・ボーダー(指)
(2)パーヴォ・ベルグルンド(指)
■CD4
(1)初CD化
 ヨン・クルーセ(Cl)、アレクサンドル・ヴェデルニコフ(指)
(2)ミハエル・シェンヴァント(指)

録音:
■CD1
(1)2022年8月24日(ライヴ)
(2)2020年9月4日(ライヴ)
コペンハーゲン、デンマーク王立歌劇場(デンマーク)
■CD2
(1)1965年5月16日Odd Fellow Palace、コペンハーゲン(デンマーク)
(2)2013年2月2日(ライヴ)
DR コンサート・ホール、コペンハーゲン(デンマーク)
■CD3
(1)2015年9月11日(ライヴ)
デンマーク王立歌劇場(デンマーク)
(2)1989年8月17-19日
Odd Fellow Palace、コペンハーゲン(デンマーク)
■CD4
(1)2020年9月4日(ライヴ)
(2)2006年11月13、15日(ライヴ)
デンマーク王立歌劇場(デンマーク)
初出多数!2023年に創設575周年を迎えたデンマーク王立O(RDO)ならではの記念企画、ニールセンの交響曲全集です。RDOは1448年にデンマーク王クリスチャン 1世が臨席する場面で演奏するためのトランペット・バンドとして発足しました。その後の拡充や改編を経て今日に至りますが、驚くことに初代メンバーから名簿が残って おり、通し番号が振られていて、その中にはダウランド(140番)やシュッツ(259番)の名前も見られます。デンマークを代表する作曲家ニールセンは1889年から1905 年までヴァイオリン奏者(647番)として在籍し、その後も指揮者として度々登場。その主要作品の数々をここで初演したため、楽団には「ニールセンのオーケストラ」とし ての特別な自負が今もあると言います。このボックスでは、バーンスタインの第3番はCBS(現ソニークラシカル)、ベルグルンドの第6番はRCA(同)、シェンヴァントの「仮 面舞踏会」序曲はDACAPOからのライセンスですが、他はすべてアーカイヴから厳選した音源で、初CD化となります。 第1番の指揮は2005年に初登場して以来、良好な関係を続けるセナゴー。第2番は2018年から首席指揮者を務め大いに期待されていたヴェデルニコフ。この演奏 の2か月足らず後にコロナ禍に倒れて不帰の人となりました。バーンスタインはニールセンの生誕100年にあたる1965年にデンマークで最高の音楽賞とされるレオニー・ ソニング音楽賞を受賞し、その記念コンサートで第3番を指揮しました。ここに収められた演奏はそのコンサート前日にセッション録音されたものですが、ライヴのような高 揚感に満ちていて早くから名演の評判を得ています。 2013年に同じくレオニー・ソニング音楽賞を受賞したのがラトル。この第4番は記念コンサートのライヴです。ラトルは 第4番に早くから特別なシンパシーを感じていたようで、1984年のバーミンガム市響との録音は今も高い評価を得 ています。ここでも曲を手中に収めた指揮でオーケストラから渾身の演奏を引き出し、特に終楽章では静と動の強 烈な対比や息の長い高揚が圧巻、聴衆の大歓声も納得の出来。ニールセン生誕150年にあたる2015年のヨー ロッパ・ツアーで第5番を指揮して楽団の評価を一段と高めたのが、2012年から16年まで首席指揮者を務めた ボーダー。ここではツアーに先立って本拠で行われた、いわば壮行演奏会のライヴを収録。第6番は1993年から98 年まで首席指揮者を務めたベルグルンド。彼らしい理知的で透明度の高い演奏です。 CD4はボーナスディスク。クラリネット協奏曲は、ニールセンがRDOのソロ奏者オーゲ・オクセンヴァド(楽団員番号 706番)のために書いたもので、作曲家と楽団との特別な絆の一つ。ここではその後輩にあたるヨン・クルーセ(946 番)がソロを務め、偉大な伝統へのトリビュートとしています。 特別仕様のボックスに英語とデンマーク語の充実した解説、写真を多数掲載した36ページのブックレットが付属す る豪華仕様となっています。

NAXOS 2024年7月発売 (1)
NAX-8.574573(1CD)
フランシスコ・ミニョーネ:ギター協奏曲(1975)*…世界初録音
クラリネット小協奏曲(1957)
ファゴット小協奏曲(1957)
ヴァイオリン協奏曲(1960)…世界初録音
ファビオ・ザノン(G)
オバニル・ブオジ(Cl)
アレクサンドリ・シウヴェリオ(Fg)
エマヌエーレ・バルディーニ(Vn)
サンパウロSO
ニール・トムソン(指)*
ジャンカルロ・ゲレーロ(指)*

録音:2021年9月8-1日、2022年8月4-6、8日、2022年7月27-29日、8月1日サラ・サンパウロ(ブラジル)
イタリアから移り住んだフルート奏者アルフェリオの息子として生まれたミニョーネは、13歳でピアニスト=指揮者として活動するなど幼い頃から楽才を発揮しま した。サンパウロ音楽院とミラノ音楽院で学び、ブラジルに戻ってからは教職と作曲を両立させ、数多くの作品を書き上げ、ヴィラ=ロボス以降のブラジルにお ける最も重要な作曲家の一人と称えられています。このアルバムには4曲の協奏曲を収録。オーケストラとソリストがブラジルの詩と歌の形式である素早いエ ンボラーダ(掛け合い)を駆使する彼の協奏曲は、ドラマティックかつ、陽気さと豊かな情緒を備えており、どれも聴きごたえのあるものばかり。なかでも「ブラジル 音楽史上、この挑戦??的なジャンルの最高傑作」と評されたヴァイオリン協奏曲では、サンパウロSOのコンサートマスター、エマヌエーレ・バルディーニがソ リストを務めます。
NAX-8.579165(1CD)
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調「死と乙女」 D.810(1824) (G. マーラーによる弦楽オーケストラ編)
アイラト・イシュムラトフ(1973-):合奏協奏曲第3番「リヒテンシュタイン」 Op.68(2021)*
LGTヤング・ソロイスツ
アレクサンダー・ギルマン(指揮・芸術監督)

録音:2023年5月24-25日 Henry Wood Hall,London(UK)
2022年3月19-21日 Teldex StudioBerlin(ドイツ)
*…世界初録音
世界20か国以上から集まった13歳から23歳までの若き才能による弦楽アンサンブル、LGTヤング・ソロイスツの水際立った演奏が聴きもののアルバム。 シューベルトの名作弦楽四重奏曲「死と乙女」はマーラーによる弦楽合奏版で、コントラバスのパートを加えて響きに厚みが増し、音楽の劇的な側面が一 層強調されています。もう1曲の作曲家アイラト・イシュムラトフはソ連で生まれで、今はカナダを拠点として指揮活動にも注力しています。 合奏協奏曲第3番はリヒテンシュタインの豊かな自然にインスパイアされた作品で、鳥の鳴き声を模した音も聞こえてきます。
NAX-8.574414(1CD)
ヴィータウタス・バツェヴィチウス(1905-1970):ピアノ協奏曲第1番
「Sur des themes lithuaniens リトアニアの主題による」(1929)
ピアノ協奏曲第2番Op.17(1933)*
交響曲第3番Op.33(1944)*
ガブリエリウス・アレクナ(P)
リトアニア国立SO
クリストファー・リンドン=ジー(指)

録音:2021年10月11-15日
*…世界初録音
バチェヴィチウスは、もともとピアニストとして名声を博し、数多くの演奏会に出演していましたが、1939年に 南アメリカで演奏旅行を行っている時に第二次世界大戦が勃発。その翌年、祖国リトアニアがソビエト連邦 に併合されたため、アメリカ合衆国へ渡りそこに留まりました。このアルバムに収録されている交響曲第3番 は、アメリカに到着して間もなく作曲された作品。新天地に対する楽観的な希望が、牽引力ある力強い曲 調で描かれており、曲の最後はアメリカ国歌「星条旗」で高らかに締めくくられます。2つのピアノ協奏曲は大 戦前のパリ留学時の作品。第1番ではリトアニアの民俗音楽の旋律が用いられており、彼の故郷への郷愁 が窺えます。第2番の協奏曲にも民謡の要素が使われており、その曲の歌詞がバツェヴィチウスによって総譜 内に書き込まれています。どちらの曲も装飾的なピアノ・パートを持ち、オーケストラの伴奏がこれを彩ります。 リトアニアのピアニスト、ガブリエリウス・アレクナはTOCCATAレーベルからバツェヴィチウスのピアノ曲をこれまで に3枚リリースした他、このシリース第1集の協奏曲でもピアノを担当しています。
NAX-8.574515(1CD)
マルコ・エンリコ・ボッシ(1861-1925):ヴァイオリン・ソナタ第1番 ホ短調 Op.82(1892)
ヴァイオリン・ソナタ第2番ハ長調 Op. 117(1899)
エマヌエーレ・バルディーニ(Vn)
ルカ・デッレ・ドンネ(P)

録音:2022年8月28日、2022年9月4日
イタリアの作曲家エンリコ・ボッシのヴァイオリン・ソナタ。19世紀終わりから20世紀初頭にかけて、オペラ全盛 期を迎えていたイタリアで、ボッシは終生オルガニストとして活躍。イタリアの器楽曲復興に力を尽くしました。 オルガンのための作品が知られていますが、数少ない室内楽作品も歌心溢れる旋律と抒情性に満ちてお り、どれも聴きごたえのあるものです。第1番のソナタは情熱的な主題で始まる作品。セザール・フランクのソ ナタのような循環形式が取り入れられた実験的な側面も持ち合わせています。第2番のソナタはベートーヴェ ンやブラームスを思わせる古典的な4楽章形式による作品。第1楽章のピアノの幅広いアルペッジョに乗って 歌われる旋律が印象的です。イタリアに生まれ、サンパウロSOのコンサートマスターを務めるバルディー ニが情熱歴な演奏を聴かせます。
NAX-8.579160(1CD)
ジョン・コリリアーノ(1938-):ミスター・タンブリンマン - ボブ・ディランによる7つの詩
(2000)(ソプラノと六重奏版2009)
ヴィンセント・ホー(1975):Gryphon Realms グリフォン・レルムス(2015)
ローラ・ハインズ(S)
マリー・サリヴァン(Fl)
セドリック・ブラリー(Cl)
カイル・ユースタス(パーカッション)
カール・ヒルツァー(指)
ランズ・エンド・アンサンブル(P・トリオ)

録音:2022年10月30日、11月6日、2022年12月4日、2023年5月24日
全て世界初録音
現代アメリカを代表する作曲家の一人、ジョン・コリリアーノ。クラシック音楽とポピュラー音楽の要素を融合し たその作品は世界中で愛されています。この『ミスター・タンブリンマン』は2000年にボブ・ディランの詩に作曲 した7曲からなる歌曲集。2008年に発表されたソプラノと管弦楽版の録音(8.559331)は2009年のグラ ミー賞を受賞。大きな話題をさらいました。このアルバムでは、コリリアーノが2009年に室内楽用にアレンジし たヴァージョンを収録。小さな編成による音楽は風通しよく、アンプリファイド(電気的に増幅された)・ソプラノ による歌唱を引き立てており、管弦楽版とは違った味わいを楽しめます。カナダのソプラノ、ローラ・ハインズの 美しい歌声も聴きもの。同時に収録された「グリフォン・レルムス」はニューヨーク・タイムズ誌で作品を高く評 価されるヴィンセント・ホーの作品。数々の賞を受賞し、2007年から2014年までウィニペグSOのコン ポーザー・イン・レジデンスを務めるなど広く活躍しています。この作品は伝説上の生物グリフォンの物語にイ ンスパイアされたピアノ三重奏曲で、ヴァイオリンとチェロが奏でるグリフォンの鳴き声や、第2楽章の東洋的な 旋律が神秘的な雰囲気を盛り上げます。

NAXOS 2024年6月発売 (3)
NAX-8.574317(1CD)
カール・タイケ(1864-1922):行進曲集 第1集
1. 行進曲「アルブレヒト王子」(グートツァイトによる吹奏楽編)
2. 行進曲「旧友」
3. 行進曲「ポツダム万歳」(H. アーレンスによる吹奏楽編)
4. 行進曲「ボルシア」
5. 行進曲「ゆるがぬ忠誠」
6. 行進曲「皇太子」(C. スンドベリによる吹奏楽編)
7. 行進曲「偵察員」(C. スンドベリによる吹奏楽編)
8. ワルツ=ロンド「Nur ein Versuch」
9. 行進曲「Der Fahne nach」 (H. アーレンスによる吹奏楽編)
10. 行進曲「士官候補生」(H. アーレンスによる吹奏楽編)
11. 行進曲「連隊の仲間」
12. 行進曲「大胆な逢い引き」
13. 行進曲「勇敢な攻撃」
14. 行進曲「戦友と共に」
15. 行進曲「最前線」(H. アーレンスによる吹奏楽編)
16. 行進曲「Allen Voran」(D. マーシャルによる吹奏楽編)
17. 行進曲「若者は自ら進んで」(H. アーレンスによる吹奏楽編)
王立スウェーデン海軍バンド
アレクサンドル・ハンソン(指)

録音:Sparresalen, Karlskrona(スウェーデン)
2022年3月28日-4月1日…1-6、10、13-15
2023年10月9-12日…7-9、11、12、16、17
幼い頃から軍楽に接していたというタイケですが、あまりにも謙虚な人柄だったためか、軍楽隊に入隊しても高い階級に達することはありませんでした。19歳 で歩兵第123「国王カール」連隊(ヴュルテンベルク歩兵第5連隊)に入隊、駐在していたシュヴァーベンの都市ウルムで何曲かの行進曲を作曲した後、 1889年に退役するにあたり「旧友」を書き上げ上官パウル・エールテに贈ったものの、常々タイケに嫌がらせをしていたエールテはこの作品を「ストーブで燃や すべきだ」と酷評したというエピソードが伝えられています。警察官となり1895年にウルムからポツダムへ居を移した頃から彼の作品が人気を集め、 「Schutzmannschaft=音楽家の警察官」として国外でも知られるようになります。やがて肺炎を患い警察官を辞め、1909年にはブランデンブルクのラン ツベルク・アン・デア・ヴァルテの地方公務員になりました。彼が生涯に書いた100曲以上の行進曲や舞曲は、出版者のヘルマン・ジルヴェデルによって出版さ れドイツ国内外で人気を博しましたが、作品の権利を譲渡してしまったタイケ自身は富を得ることはできず、貧困のまま同地で生涯を終えました。 このシリーズでは、タイケの胸が沸き立つような行進曲や舞曲を何人かのアレンジャーによる吹奏楽版でお楽しみいただけます。
NAX-8.574514(1CD)
モーツァルト:三位一体の祝日のためのミサ ハ長調 K.167(1773)
ミサ・ブレヴィス ニ長調 K.194(1774)
ミサ・ブレヴィス 変ロ長調 K.275(1777)
カロリーナ・ウルリヒ(S)
エルヴィラ・ビル(A)
パトリック・グラール(T)
ドミニク・ケニンガー(Bs)
ケルン西ドイツ放送cho
ケルン室内O
クリストフ・ポッペン(指)

録音:2021年10月7-9日、11-16日、2022年9月26日-10月2日
クリストフ・ポッペンが指揮するケルン西ドイツ放送合唱団とケルン室内OによるNAXOSのモーツァル トのミサ曲全集シリーズ。この第3集には10代後半から20代前半、ザルツブルク時代の作品が収録されて います。「三位一体の祝日のためのミサ」K. 167は、当時の大司教コロレドの「ミサは短く簡潔に」の命に従 い書かれたためか、モーツァルトのミサ曲の中でも唯一ソリストを持たない曲となっていますが、作品は堂々た る風格と壮麗なフーガを備えた見事な仕上がりとなっています。続く2曲のミサ・ブレヴィス(=小さなミサ曲)も 大司教の好みにあわせコンパクトに書かれた作品。オーケストラの前奏なしに合唱が歌い始める1774年作 曲のニ長調はモーツァルトの死後に出版された最初の作品と考えられています。変ロ長調のミサは恐らくコロ レドのために書いた最後の典礼作品であり、ザルツブルク時代の卒業作品といえるものです。当時の宗教音 楽としては挑戦的な調性を用い、あっさりとしたクレド、異様に長いアニュス・デイの締めくくりの言葉「Dona nobis pacem」ではパリで流行していたガヴォットのリズムを用いるなど挑発的な箇所が散見される作品で す。
NAX-8.574579(1CD)
フェルッチョ・ブゾーニ:ピアノ作品集 第12集
前奏曲とフーガ ハ長調 Op.36BV.180(1880-81)
ソナチネ第1番BV.257(1910)
ソナチネ第2番BV.259(1912)
3つのピアノ曲 Op.11 - 第2曲 Masige(1909年 F. ブゾーニ編、原曲:シェーンベルク)
ソナチネ第4番「キリスト生誕1917年の日に」 B.V.274(1917)
クリスマスの夜 B.V.251(1908)
3つのアルバムの綴り B.V.251(1908)
ヴォルフ・ハーデン(P)

録音:2023年4月20-21日
フェルッチョ・ブゾーニはイタリア生まれですが、その生涯のほとんどをドイツで過ごし、晩年はベルリン芸術アカ デミーで作曲の教鞭もとっていました。彼はリストを尊敬していたヴィルトゥオーソ・ピアニストで、そのピアノ作 品は高水準の出来栄えを示しています。 このピアノ作品集第12集は、3つのソナチネとその他の作品を収録しています。冒頭に置かれた「前奏曲と フーガ ハ長調」は初期の重要作「24の前奏曲」と同時期の作品。10代の作品でありながら、すでに成熟 した仕上がりを見せています。1910年代に書かれた3つのソナチネは、どれも短いながらも技巧的で意欲的 な作品。自作を上手く転用しつつ変奏曲形式で書かれた第1番、調号や拍子記号、さらにはほとんどの小 節線までもが省かれた第2番(これは1902年にシェーンベルクから楽譜が送られ、ブゾーニ自身が演奏会 ヴァージョンとしてさまざまな拡張を試みた「3つのピアノ曲」に触発され書かれたものです)。シチリアとドイツの キャロルが控え目に引用された比較的穏やかな第4番。ここには1908年に書かれた「クリスマスの夜」との共 通性も見られます。最後に置かれた「アルバムの綴り」はブゾーニの最も厳格かつ深遠な作品の一つです。 シリーズを通じてドイツのピアニスト、ヴォルフ・ハーデンが演奏を担当しています。
NAX-8.574356(1CD)
ペトロス・ペトリディス(1892-1977):オラトリオ「聖パウロ」/交響曲第1番 他
【CD1】
オラトリオ「聖パウロ」(1950) ? 第1部
オラトリオ「聖パウロ」- 第2部
【CD2】
オラトリオ「聖パウロ」- 第2部(続き)
交響曲第1番ト短調「ギリシャ」(1926/28-30改訂)(B. フィデツィスによる復元版)
クレフティコ舞曲集(1922)
マルタ・アラピス/ソフィア・キャニドウ(S)
イネス・ジコウ(Ms)
ヤニス・クリストプーロス/アンゲロ・シモス/ディミトリス・シガロス(T)
ディミトリス・ティリアコス(Br)
クリストフォロス・スタンボグリス/パンテリス・プシュハス(Bs)
ブルガリア国立放送cho
ブルガリア国立RSO
バイロン・フィデツィス(指)

録音:Concert Hall (Large Studio) of Bulgarian Radio、 ソフィア(ブルガリア)
2004年7月16-20日…オラトリオ「聖パウロ」
1984年1月18-20日…交響曲第1番
1985年9月30日…クレフティコ舞曲集
※全て世界初録音
トルコのカッパドキア近郊出身の作曲家ペトロス・ペトリディス。イスタンブールの高校を卒業し、1911年から パリで法律を学ぶも、翌年からバルカン戦争に従軍。帰還後は音楽家を目指し、ほぼ独学で作曲技法を 習得しました。1913年にはギリシャに帰化、その後はパリとアテネを行き来しながら音楽評論家としても活 動。「皇帝コンスタンティノス・パレオロゴスのためのレクイエム」など、中世ビザンチン聖歌を用い、複雑なポリ フォニーを駆使した作品が高く評価されています。当盤に収録されたオラトリオ「聖パウロ」も同様で、聖書の 使徒行伝中の聖パウロに関するエピソードが朗読、独唱、合唱が歌う14のコラールを交えドラマティックに綴 られます。アルバムには1933年にディミトリ・ミトロプーロスが初演を行った「交響曲第1番」と、ペトリティスに とって初の大規模なオーケストラ作品となった「クレフティコ舞曲集」も収録されています。

NAXOS 2024年6月発売 (2)
NAX-8.574630(1CD)
マルコ・トプチィ〜ギター・リサイタル
ルーセル:セゴビア Op.29(1925)
バリオス(1885-1944):森に夢みる(1918以前)
プーランク:サラバンド FP179(1960)
ジラルディーノ(1941-2022):超絶技巧練習曲(1981-88)より
  No.18. El Rosario
 No.32. Embarquement pour Cythere
 No.19. Jondo
デュモン(1950-):5つのフランスのオマージュ- 第5番ラヴェルへのオマージュのように(1998)
ダウランド(1563頃-1626):ファンタジア ト短調 P.71
フレデリック・ハンド(1947-):アンダーカレンツ(2023)
コンスタンティン・ブリオフ(1976-):ギター・ソナタ第6番「ハルキウ」 Op.48(2021)…世界初録音
グレアム・クーネ(1956-):A Closed World of Fine Feelings and Grand Design(1997)
マルコ・トプチィ(G)

録音:2024年1月19、20日
1991年、ウクライナ生まれのギタリスト、マルコ・トプチィ。4歳からギターをはじめたトプチィはこれまでに国際的なギター・コンクールで55回もの優勝歴を誇り ます。2013年の東京国際ギターコンクールに優勝したことで2014年には日本ツアーを行い、以来、日本国内でも数多くのファンの心を掴んでいます。この アルバムは2023年のGFA(Guitar Foundation of America=アメリカ・ギター財団)国際ギター・コンクールの優勝記念として製作されたもので、ルネサ ンス期のダウランドから、トレモロ奏法が素晴らしい効果をあげるバリオスの「森に夢見る」など20世紀初頭のロマンティックな作品、そして現代の前衛的、実 験的な作品まで、彼の幅広いレパートリーと技巧に裏打ちされた豊かな音楽性を楽しめます。ルーセルとプーランクの唯一のギター作品を収めているのも貴 重。ギター・ソナタ第6番「ハルキウ」の作曲家コンスタンティン・ブリオフはウクライナ生まれで、現在東京を拠点に活躍しています。新型コロナウイルス感染症 のパンデミックの際はウクライナで2年間を過ごし、日本に戻ってすぐに祖国で戦争が勃発するという状況の中、ブリオフは自身の生地をタイトルにしたこの曲 に特別な思いを託したと語ります。ト調を基調にしながらも12音をくまなく使うことで不安な感情が描かれたこの曲でもトプチィは共感溢れる演奏を聴かせま す。トプチィは2024年4月の来日公演でもこの曲を演奏しました。
NAX-8.574309(1CD)
フェルナンド・ロペス=グラサ(1906-1994):ポルトガル語による合唱曲集
2つの古いロマンス(1956)
ポルトガル地方の3つの歌(1970/77)
最初のクリスマス・カンタータから8つの歌(1945/50)
カモンイスの詩による3つのカスティーリャの歌(1954/55)
ポルトガル地方の3つの歌(1957/65/70)
20-22.3つの合唱曲(1946)
コーロ・カーサ・ダ・ムジカ(声楽アンサンブル)
ポール・ヒリアー(指)

録音:2020年2月2-5日
20世紀のポルトガル音楽界において重要な位置を占める作曲家フェルナンド・ロペス=グラサ。彼のポルト ガル民謡や伝統音楽の研究と知識は、バルトークのハンガリー民謡研究に匹敵する業績と言えるでしょう。 古典的な形式に民俗音楽の旋律やリズムを落とし込んだ作品を数多く遺しており、このアルバムに収録され た無伴奏合唱曲はまさに創作の頂点をなすもの。民謡風の旋律がストレートに歌われる作品や、複雑な 和声が用いられ、時には無調とも思えるほどの大胆な響きを駆使した実験的な作品、民謡の旋律を用い ながらも、まるでルネサンス時代の合唱曲を思わせるような見事な対位法を駆使した作品など様々な歌を 聴くことができます。「最初のクリスマス・カンタータから8つの歌」(とりわけ第1曲が聴きもの)での敬虔な旋律 が民謡風に変貌する様子も聴きどころ。 2009年に設立され、2019年までポール・ヒリアーが首席指揮者を務めたポルトガルの声楽アンサンブル 「コーロ・カーサ・ダ・ムジカ」の真摯かつ清冽な声を存分にお楽しみください。
NAX-8.574580(1CD)
カステルヌオーヴォ=テデスコ:弦楽四重奏曲全集
弦楽四重奏曲第1番ト長調 Op.58(1929)…世界初録音
弦楽四重奏曲第2番ヘ短調 Op.139(1948)…世界初録音
弦楽四重奏曲第3番ヘ長調「カーザ・アル・ドーノ」 Op.203(1964)
アドルノQ

録音:2023年6月26-27日
優れたギター作曲家として知られるマリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコの弦楽四重奏曲集。 ピツェッティに師事しカゼッラに認められたカステルヌオーヴォ=テデスコは、1920年代のイタリアにおける 前途有望な新進作曲家の一人として活躍しました。この時期に書かれた第1番は田園地帯の風景を 描写したかのような素朴な味わいを持つ若々しく美しい作品です。その後彼はムッソリーニのファシスト 政権の圧迫によりイタリアを離れアメリカに亡命、映画音楽の作曲家として活躍しますが、終戦後に訪 れたイタリアでその変わってしまった姿を目の当たりにします。その時に抱いた複雑な感情が第2番の四 重奏曲にも反映されたようで、この曲には不協和音と落ち着きのない旋律が至るところに現れます。 1964年の第3番は「カーザ・アル・ドーノ」の副題を持ち、4つの楽章にはそれぞれ「ヴァッロンブローザへ の帰還」「修道院」「小さな列車」「議論と日没」のタイトルが付されており、これらは故郷と友情への思 い出からインスピレーションを得て明るさを取り戻したかのような描写的な作品です。
NAX-8.559933(1CD)
マーガレット・ブラウワー(1940-):管弦楽作品集
The Art of Sailing at Dawn(2020)
狂詩曲、管弦楽のための協奏曲(2009/2021改訂)
交響曲第1番「Lake Voices 湖の声」(1997)
Path at Sunrise, Masses of Flowers(2010)
プルート(1997)(管弦楽版)
ウィーンRSO
マリン・オルソップ(指)

録音:2023年13-14日、2023年3月24日
ニューヨーク・タイムズ紙で「独特の魅惑的なハーモニーの世界に棲んでいる」と称賛されたアメリカの作曲家 マーガレット・ブラウワー。1996年から2008年までクリーヴランド音楽院作曲科の主任教授を務め、数々の 名誉ある賞を受賞、オーケストラや演奏家からも数多くの委嘱を受けています。このアルバムには5つの作品 を収録。交響曲第1番には、彼女が幼い頃に過ごしたオランダ系アメリカ人のコミュニティで耳にしていたオラ ンダの賛美歌が繰り返し現れます。「狂詩曲、管弦楽のための協奏曲」では様々な楽器が色彩豊かに用い られており、まばゆいばかりの響きです。1996年、ホルストの「惑星」の続編として作曲された「プルート=冥 王星」は冥府を司る神をモティーフに破壊と再生が描かれた作品。「海王星」のラストを受けて初演版では 女声合唱が入りますが、この作曲家自身による編曲では、声の代わりにフルートとオーボエが太陽の温かさ を描き出します。他には、早朝の静けさの中に咲く花々を描いた「Path at Sunrise, Masses of Flowers」、夜明けの航海の様子を描いた「The Art of Sailing at Dawn」を収録。マリン・オルソップが ウィーン放送響とともに常に自然に寄り添うブラウワー作品の抒情的な魅力を丁寧な仕事で隅々まで伝え ます。
NAX-8.660556(2CD)
ロッシーニ:歌劇「エルミオーネ」 エルミオーネ…セレーナ・ファルノッキア(S)
アンドロマカ…アウローラ・ファッジョーリ(A)
ピッロ…モイセス・マリン(T)
オレステ…パトリック・カボンゴ(T)
ピラーデ…ワン・チュアン(T)
フェニーチョ…ガブリエル・パク・ジュソン(Bs)
クレオーネ…マリアーナ・ポルトラク(S)
チェフィーザ…カタジナ・グラン(S)
アッターロ…バルトシュ・ヤンコフスキ(T)
クラクフPO&cho
アントニーノ・フォリアーニ(指)

録音:2022年7月16-23日「ヴィルトバートのロッシーニ」音楽祭
晩年のロッシーニが滞在したことにちなんで毎年夏に開催される 「ヴィルトバートのロッシーニ」音楽祭から歌 劇「エルミオーネ」が登場。2022年のライヴです。 ギリシア悲劇を基にトットーラが台本を作成、名歌手イザベラ・コルブランのために書かれたこの歌劇は、コル ブランをはじめとした名歌手を揃えて初演に臨んだにもかかわらず不評に終わり、結局5回のみ上演されて 以降は忘れられてしまいました。とはいえロッシーニ自身はこの作品を気に入っており、生涯楽譜を保存して いたといいます。やがて、1977年にシエナで蘇演が行われてから人気が盛り返し、現在ではしばしば世界各 地で上演されています。 この2022年の上演ではエルミオーネ役をセレーナ・ファルノッキア、その婚約者で彼女を裏切るピッロ役をモイ セス・マリンが歌い、圧倒的な存在感と輝かしい声で聴衆を魅了しました。脇を固めるカボンゴとファッジョーリ らの素晴らしい歌声も聴きどころ。2004年から音楽祭に出演しているアントニーノ・フォリアーニもオーケスト ラと合唱団から最高の響きを紡ぎ出しています。
NAX-8.574497(1CD)
フランツ・クレメント(1780-1842):無伴奏ヴァイオリン作品集
12のカプリース - 第2番、第3番、第10番
メユールの歌劇「ジョゼフ」のロマンスによる変奏曲
12のカプリース - 第4番- 第6番
パントマイム『Die3Sclaven』の主題による変奏曲
12のカプリース - 第7番- 第9番
J. ヴァイグルの歌劇「スイスの家族」のアリア「Wer horte wohl iemals mich klagen」による変奏曲
12のカプリース - 第1番、第11番、第12番
サリエリの歌劇「黒人」の行進曲による8つの変奏曲
リン・ハオリ(Vn)

録音:2023年6月25-28日、7月2-4日
※全て世界初録音
【ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲初演者クレメントの魅力的な作品集!】 オーストリア生まれのヴァイオリニスト、作曲家フランツ・クレメント。幼い頃から神童ぶりを発揮、14歳の時に はその演奏を聴いて感激したベートーヴェンと親交を結び、後に彼のヴァイオリン協奏曲を初演しています。ク レメント自身も多数のピアノ、または管弦楽伴奏のヴァイオリン曲や無伴奏ヴァイオリン曲を作曲、なかでも 「12のカプリース」は、パガニーニを思わせるヴィルトゥオジティを持つとともに、美しい旋律と抒情性を備えてい ます。また当時人気のあった歌劇やバレエの旋律を用いた変奏曲も、技巧を要する装飾的な旋律が展開 します。演奏は2008年の中国国際ヴァイオリン・コンクールで最年少優勝を果たし、中国をはじめ、東南ア ジア、アメリカで活躍するリン・ハオリ。1732年製ニコロ・ガリアーノの美音を生かし、超絶技巧を聴かせま す。
NAX-8.559950(1CD)
ブルース・ブロートン(1945-):管弦楽作品集
そして6日目には
弦の理論/ホルン協奏曲
オリヴィエ・スタンキエヴィチ(Ob)
ウィリアム・フェルミューレン(Hrn)
LSO
ジョナサン・ブロックスハム(指)

録音:202年7月16、18、19日
エミー賞10回受賞、映画『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』の作曲家ブルース・ブロートンの作品集。 創世記の第1章をモティーフにした「そして6日目には」は3楽章からなるオーボエ協奏曲。混沌とした世界の 始まりから日没、翌朝へと変化してゆく情景を通じて人間世界の始まりを描きます。この曲を初演したロンド ン響首席奏者のスタンキエヴィチによる演奏です。「弦の理論」は前奏に続き17の変奏で構成された変奏 曲。各々の変奏で様々な技法が披露されていき、フィナーレでこれらを組み合わせて輝かしい結末を導きま す。「ホルン協奏曲」は急緩急の古典的な形式で、モーツァルトやR・シュトラウスの流れを汲んだと思 われるロマンティックでメロディアスな楽想も魅力。初演者でヒューストン響首席フェルミューレンの演奏です。 ブロートンはオーケストラを良く鳴らし、各楽器のサウンドを活かした書法で効果を上げています。

NAXOS 2024年6月発売
NAX-8.574412(1CD)

NYCX-10473(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

オスカル・ロレンゾ・フェルナンデス(1897-1948):組曲「田園風東方の三博士祭」(1930)
交響曲第1番(1945)…世界初録音
交響曲第2番「エメラルド・ハンター」 (1946-47)
ミナスジェライスPO
ファビオ・メケッティ(指)

録音:2022年9月24,26-30日
20世紀に活躍したブラジルの多くの作曲家と同様、フェルナンデスは民族主義的な作風から出発し、それらを国際的な技法や様式と統合することを試みま した。「田園風東方の三博士祭」組曲は初期の民族主義的な路線による代表作。クリスマスをモチーフにした親しみ易い音楽で、特に覚えやすくノリ易い 第3曲「バトゥーキ」はブラジル管弦楽名曲集の定番の一つ。2022年に東京で行われたブラジル独立記念200周年コンサートでも演奏され喝采を博しま した。交響曲第1番はバルトークに影響されて書いた4楽章形式の力作。古典的な構成による純粋音楽を目指しつつもブラジルらしいリズムや旋律が随所 に顔を出します。エメラルドを求めて密林に入り、先住民や大自然の脅威に直面した冒険家を描いた第2番は標題音楽の性格が強く、ドラマティックな作 品。作曲者は初演を聴くことなく世を去りました。
※国内仕様盤には木許裕介氏(指揮者/日本ヴィラ=ロボス協会会長)の日本語解説が付属します。

NAXOS 2024年5月発売 (2)
NAX-8.559914(1CD)
ダロン・アリック・ハーゲン(1961-):平家組曲
平家組曲第1番「アパッショナート」(2015)
平家組曲第2番「カンタービレ」(2016)
平家組曲第3番「ミステリオーソ」(2017)
平家組曲第4番「グランディオーソ」(2018)
平家組曲第5番「アポセオシス」(2022)
デュオ夢乃
木村伶香能(歌/箏)
玉木光(歌/Vc)
ダロン・アリック・ハーゲン(エレクトロ・アコースティック)

録音:2022年6月27-28日彩の国さいたま芸術劇場
全て世界初録音
アメリカの現代作曲家ダロン・アリック・ハーゲンが『平家物語』を基に描いた音楽物語。日本の箏とチェロの二重奏に、地声によるヴォーカルも加わり、幻想 的な平家絵巻が描かれています。更に、最終章ではエレクトロニクス・アコースティックも重なり、浄土の世界へと誘います。デュオ夢乃はニューヨークと日本を 拠点に邦楽とクラシックの伝統に根ざしつつ新しい室内楽を開拓しており、これまでに一柳慧、ダロン・ハーゲンなど国際的に活躍する現代作曲家に新作を 委嘱。ニューヨークの音楽シーンで活躍する作曲家の新作初演にも多く携わり、その演奏はニューヨークタイムズ、ニューヨーク・クラシカル・レビュー等において 高い評価を得ています。ブックレットの解説は英語のみですが、日本語解説と歌詞はインレイ面記載のアドレスにアップロードされて読むことができます。
箏と弦楽四重奏の為のコンチェルトにおいて、私は日本の古典文学「源氏物語」の音楽化を試みた。今回、箏とチェロの二重奏組曲を作曲するにあたり、 諸国を廻り歩く琵琶法師たちが語り継いできた軍記物語、「平家物語」を題材とする事にした。『驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も 遂には滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。』と始まる冒頭は、物語の核心である仏教的無常観を表しています。この連作では、時勢を率いた武士ではなく、 戦乱の世に翻弄された女性たちに視点を当て、平家の世界を描くことを試みた。取り上げた3人の女性たちはいずれも晩年に仏門に入っています。この「平 家組曲」は2015年から2022年にかけて作曲し、デュオ夢乃に捧げられた。私を日本の歴史と文学の世界へと導き、その成果として誕生したこの連作を数 多くの場所で演奏し続けているデュオに対する感謝の念が、ここに結実しています。ーー ダロン・アリック・ハーゲン
NAX-8.574546(1CD)
リスト:ピアノ曲全集 第62集〜宗教作品編曲集
アッシジの聖フランチェスコの太陽の賛歌 S499/R191(1881)
聖フランチェスコ(アッシジの聖フランチェスコの太陽賛歌のための前奏曲)S498d/R392(1880)
エクセルシオール!(シュトラスブルク大聖堂の鐘のための前奏曲) S500/R337(1874頃-76)
幻想小曲集「Liebesszene und Fortunas Kugel 愛の情景とフォルトゥナの水晶球」
- A.ゴルトシュミットのオラトリオ「7つの大罪」より(1880)
◇愛の情景/フォルトゥナの水晶球
ロッシーニによる2つのトランスクリプション(1847)
ロッシーニの「La Charite 慈悲」によるアルモニー S701j(1847)(断章)
システィーナ礼拝堂で S461/R114- アレグリのミゼレーレとモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプス(1862)(初稿/レスリー・ハワード編)
モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスS461a(1861頃)
マーティン・カズン(P)

録音:2023年2月16-17日
若い頃には超絶技巧ピアニストとして名を馳せたフランツ・リスト。そんな彼が1865年に僧籍に入ったことに は多くの人が衝撃をうけました。しかし、それまで女性関係や家族関係、芸術的な確執など多くの問題に悩 まされていた彼が宗教的な世界に救いを求めたことは、とりわけ不思議なことではありませんでした。この頃に は「詩的で宗教的な調べ」などの内省的な曲集が書かれていますが、更に年を重ねると一層精神的な深み を追求した作品が多く書かれるようになります。このアルバムに収録されたのは、ロッシーニのトランスクリプショ ンを除き全て晩年の作品。和声はシンプルになり、時に粗削りともいえるようなゴツゴツとした旋律も現れま す。リストが最期に求めた魂の平穏の昇華とも言える珠玉の曲集です。
NAX-8.559938(1CD)
ルーカス・フォス:交響曲第1番/ルネッサンス協奏曲 他
オード(1944/1958改訂)
ルネッサンス協奏曲(1985)
3つのアメリカの小品(1944-45、ヴァイオリンと管弦楽版 1989)
交響曲第1番ト長調(1944)
エイミー・ポーター(Fl)
ニッキ・チューイ(Vn)
バッファローPO
ジョアン・ファレッタ(指)

録音:2022年6-7日
ベルリン生まれのフォスは地元で初期の音楽教育を受け、1933年パリに留学。その後、1937年にア メリカにわたりフィラデルフィアのカーティス音楽学校に入学しフリッツ・ライナーから指揮法を学ぶとともに、 イェール大学ではパウル・ヒンデミットから作曲を学んでいます。彼の作品には様々な作曲スタイルが混 在しますが、1940年代の3作品は新古典派的なスタイルで書かれており、自身の言葉である「未来に 大きく足を踏み入れるには、過去に大きく足を踏み入れなければならない」を具現化したものといえるで しょう。とりわけ交響曲第1番は抒情的かつ田園的な雰囲気の中に、微妙にジャズの影響が感じられる ユニークな作品です。「オード」は第二次世界大戦中に失われた命への追悼曲。「3つのアメリカの小 品」はヴァイオリンとピアノのために書かれましたが、後に管弦楽伴奏に編曲された作品。コープランド風 の親しみやすい雰囲気に満ちています。1985年の「ルネッサンス協奏曲」はフォスが“世紀を超えた握 手”と呼んだ曲。ラモーやモンテヴェルディ作品を借用しながらも、巧みな転調を採り入れたモダンな曲調 が魅力的です。表現力豊かなジョアン・ファレッタの指揮でお聴きください。
NAX-8.574577(1CD)
ルーセル:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ニ短調 Op.11
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 Op.28
弦楽三重奏曲 Op.58(
デイヴィッド・ボウリン(Vn)
トニー・チョー(P)
カーステン・ドクター(Va)
ドミートリー・コウゾフ(Vc)

録音:2023年2月21日、2023年2月23日、2023年3月23日
フランスの作曲家アルベール・ルーセルは交響曲や『くもの饗宴』などのバレエ作品で知られていますが、あまり 耳にすることはないとは言え見事な室内楽作品も書いています。ルーセルは青年時代のおよそ5年間を海 軍に従事、退役した後に本格的に音楽を学び1902年に作曲家としてデビュー。1890年代の作品をほと んど破棄し、デビュー以降の作品をカタログ化したため、すでに書かれていたヴァイオリン・ソナタは破棄され、 このアルバムに収録された1907-08年のソナタが第1番となりました。ロマンティックな楽想を持つ美しい作 品です。第2番のソナタは1924年の作品。無調に近いものの少しだけ東洋的な響きを纏った15分ほどのコ ンパクトな作品です。最後の弦楽三重奏曲は1937年、ルーセルの最後の完成作品。簡潔な形式の中に 全体的な統一感が感じられ、各パートが複雑に絡み合いながら曲がすすみ最後は唐突に終わります。 2003年ワシントン国際コンクールで優勝し、現在はオバーリン音楽院で教えるヴァイオリニスト、デイヴィッド・ ボウリンを中心としたアンサンブルの演奏です。
NAX-8.660554(2CD)
ロッシーニ:歌劇「アルミーダ」 アルミーダ…ルート・イニエスタ(S)
リナルド…ミケーレ・アンジェリーニ(T)
ゴッフレード…モイセス・マリン(T)
イドラオテ…ガブリエル・パク・ジュソン(Bs-Br)
ジェルナンド…パトリック・カボンゴ(T)
エウスタツィオ…マヌエル・アマティ(T)
ウバルド…セサール・アリエータ(T)
カルロ…チュアン・ワン(T)
アスタロッテ…シ・ツォン(Bs)
クラクフPO&cho
ホセ・ミゲル・ペレス=シエーラ(指)

録音:2022年7月15、20日  ヴィルトバートのロッシーニ音楽祭
晩年のロッシーニが滞在したことにちなんで毎年夏に開催される 「ヴィルトバートのロッシーニ」音楽祭から、6 人のテノール歌手を要する「アルミーダ」が登場。2022年のライヴです。 タッソの叙事詩『エルサレム解放』に登場する魔女アルミーダと十字軍の英雄リナルドの物語は、バロック時 代以降数多くの作曲家が題材に用いましたが、ロッシーニもその一人。彼は1817年にこの歌劇を作曲、そ の前年に火災に遭ったナポリのサン・カルロ劇場の再開?落としで初演が行われました。当時ロッシーニの恋 人で後に妻となった歌姫イザベラ・コルブランが創唱した題名役には「D'amore al dolce impero=甘き 愛の帝国では」などのコロラトゥーラの難曲があり、また6人ものテノール歌手を必要とするため上演困難な作 品としても知られていますが、この公演は「まるで魔法のようなキャスティング」と評されるほどの高水準な出来 となり、題名役のルート・イニェスタのコロラトゥーラと、リナルド役のミケーレ・アンジェリーニの輝かし い高音も 高く評価されました。ホセ=ミゲル・ペレス =シエーラはジャンルイジ・ジェルメッティに師事、アルベルト・ゼッダ のアシスタントを務めていた指揮者で、NAXOSレーベルのロッシーニ・オペラの録音は高い評価を得ていま す。

NAXOS 2024年4〜5月発売
NAX-8.574413(1CD)
ヴァレンティン・シルヴェストロフ(1937-):献呈/後奏曲
ヴァイオリンと管弦楽のための交響曲「献呈」(1990-91)
後奏曲 - ピアノと管弦楽のための(1984)
ヤヌシュ・ヴァヴロフスキ(Vn)
ユルギス・カルナヴィチウス(P)
リトアニア国立SO
クリストファー・リンドン=ジー(指)

録音:2022年5月2-6日
現在ベルリンで生活を送るキーウ出身の作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ。活動の初期の頃は前衛的な作品を書いていたものの、1974年にソ連作 曲家同盟から除名されてしまい公の場での活躍が難しくなりました。彼はこの頃から作風を変換、後期ロマン派を思わせる美しい響きを用いた懐古的な作 品を書き始め、これらは現在までに多くの人に愛されています。このアルバムに収録されているのは、彼の6番目の交響曲にあたる「献呈」と80年代の代表 作の一つ「後奏曲」の2作。「献呈」はシルヴェストロフの親友でもあるヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルのために作曲され、ミュンヘンでクレーメルによって初 演されました。冒頭こそ不協和音に満ちていますが、曲の白眉はマーラーのアダージェットを思わせる最終楽章にあり、自身の演奏の録音を聴いたクレーメル が思わず「映画『ヴェニスに死す』の世界のようだ」と叫んだというほどに、安らぎと憧れに満ちた世界が広がります。「後奏曲」も冒頭こそ十二音音楽を思わせ る激しい曲想ですが、少しずつピアノの優しく懐かしい響きが曲を支配し、最後は静寂の中に音が消えていきます。どちらもシルヴェストロフらしい、調性や伝 統的な旋法を用いながらも、ドラマティックさと抒情性が交錯する独自の作風で書かれています。 「献呈」でヴァイオリンを演奏するのはポーランドの名手ヤヌシュ・ヴァヴロフスキ。ポーランド現代作品の初演を数多く行うとともに、録音でも高く評価されてお り、このアルバムでも1685年製の銘器ストラディヴァリを駆使して,美しい音色でシルヴェストロフの音楽を歌い上げています。
NAX-8.660558(3CD)
マイアベーア:歌劇「アフリカの女(ヴァスコ・ダ・ガマ)」 ヴァスコ・ダ・ガマ…マイケル・スパイアーズ(T)
セリカ…クラウディア・マーンケ(Ms)
イネス…キルステン・マキノン(S)
ネルスコ…ブライアン・マリガン(Br)
ドン・ペドロ…アンドレアス・バウアー・カナバス(Bs)
ドン・ディエゴ…トーマス・フォークナー(Bs)
アンナ…ビアンカ・アンドルー(Ms)
ドン・アルヴァロ…マイケル・マカウン(T) 他
フランクフルト歌劇場O&cho
アントネッロ・マナコルダ(指)

録音:2018年3月2日-4月2日(ライヴ)フランクフルト歌劇場(ドイツ)
マイアベーアの最後のグランド・オペラとなった「アフリカの女」。もともとポルトガルの航海士をモデルにした「ヴァ スコ・ダ・ガマ」として構想し、大合唱やバレエを含む壮大な作品として書き上げましたが、完成直後にマイア ベーアは初演を観ることなく死去。そのためリハーサルを行ったフランソワ=ジョゼフ・フェティスがカットを施すな ど作品を改訂し、台本も変更、タイトルを「アフリカの女」と改め初演を行いました。 現在はマイアベーアの原案通り「ヴァスコ・ダ・ガマ」のタイトルで上演されることもありますが、この上演では一 般的なタイトルの「アフリカの女」も併記されています。ただし、使用したスコアは2013年に作成された比較 校訂版で、オリジナルのスコアと、未完で遺された膨大な素材をもとにしたマイアベーアの当初の意図を反映 したものとなっています。 この演奏ではバリトンからテノールまで広い音域を持つ「バリテナー」として人気を集めるマイケル・スパイアーズ に注目。有名な第4幕のアリア「おお、天国よ」を美しい声で聴かせます。クラウディア・マーンケとキルステン・ マキノンなど女声陣も充実。指揮のマナコルダは古典派・ロマン派の交響曲録音で注目されていますが、オ ペラでの活躍はそれ以上で、メトロポリタン、コヴェント・ガーデン、ウィーン、バイエルンなどの名門歌劇場で高 く評価されています。
NAX-8.574550(1CD)
Folk Tales2民話/第2集
イギリスとアイルランドの小品集

1. ブリッジ:子守歌(Vcとピアノ版)
2. ブリッジ:セレナード イ長調(Vcとピアノ版)
3. ブリッジ:エレジー
4. エルガー:愛の挨拶 Op.12(Vcとピアノ編)
5. レベッカ・クラーク:エピローグ
6. クラーク:パッサカリア(Vcとピアノ版)
7. クラーク:わが心に静まれと命じよう(Vcとピアノ版)
8. アイアランド(1879-1962):デコレーションズ- 第1曲 The Island Spell 島の呪文
9. アイアランド:コロンビーヌ
10. アイアランド:春の悲しみ (J. ロイド・ウェバーによるチェロとピアノ編)
11. アイアランド:4つの前奏曲 - 第3番 聖なる少年(Vcとピアノ版)
12. バックス:ネレイド
13. 伝承曲:夏のなごりのバラ(庭の千草)(G. ペレグリンによるチェロ編)
14. ハーバート・ヒューズ: サリー・ガーデン(L. オコーナー、G. ペレグリンによるヴァイオリンとチェロ編)
15. マイレ・ブレトナック(1956-):レクール湖の白鳥(Vn版)
16. 伝承曲:金髪乙女(M. エスポジト、G. ペレグリンによるチェロ編)
17. 伝承曲:She Moved Through the Fair シー・ムーヴド・スルー・ザ・フェアー
 (L. オコーナー、G. ペレグリンによるヴァイオリンとチェロ編)
18. 伝承曲:The Lark in the Clear Air 澄みきった空に歌うヒバリ(T.C. ケリーによるピアノ三重奏編)
19. レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:旅の歌
- 第1曲 放浪者(Vcとピアノ版)
20. ヴォーン・ウィリアムズ:How Can the Tree but Wither?(Vcとピアノ版)
21. ヴォーン・ウィリアムズ:旅の歌 - 第7曲 私はいずこにさすらうか(Vcとピアノ版)
ジェラルド・ペレグリン(Vc)…1-7、10-11、13-14、16-21
アンソニー・イングラム(P)…1-12、18-21
リンダ・オコーナー(Vn)…14-15、17-18

録音:2023年4月26-28日
ジェラルド・ペレグリンとアンソニー・イングラムは、第1集(8.574035)に続くこのアルバムで、ヨーロッパの伝統 と英国民謡の融合を図った20世紀イギリスの作曲家たちが模索した「新しい英国音楽」を更に探求。伝承 曲からあまり耳にすることのない曲まで様々な曲を紹介しています。アルバムの中にはペレグリンがコロナ禍の パンデミック中に各種施設で行ったコンサートで披露した曲も含むなど、心の琴線にふれる詩的な小品を聴 くことができます。前作はチェロとピアノの二重奏曲のみが選曲されていましたが、今作ではヴァイオリニストで アレンジャーのリンダ・オコーナーも演奏に加わり、ピアノ・ソロから三重奏、チェロとヴァイオリンのデュオなど多 彩な編成も楽しめます。
NAX-8.574532(1CD)
オーベール(1872-1871):序曲集 第6集
1. 歌劇「女大使」 S.28- 序曲(1836)
2. 歌劇「悪魔の取り分、またはカルロ・ブロスキ」 S.36- 序曲(1843)
3. 歌劇「エイデ、または秘密」 S.40 - 序曲(1847)
4-13. 歌劇「ドン・ファン」 - 第2幕 ディヴェルティスマン(1866)…世界初録音
 4. 序曲
 5. メヌエット、アレグレット ? トリオ(モーツァルトの交響曲第40番 K.550による)
 6. ディヴェルティスマン第1番:アレグロ・マ・ノン・トロッポ
 (モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 K. 421」による)
 7. ディヴェルティスマン第2番:(アレグロ)(モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 K.421」による)
 8. ディヴェルティスマン第3番:メヌエット・アレグレット
 (モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 K. 421」による)
 9. ディヴェルティスマン第4番:トリオ(モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 K.421」による)
 10. ディヴェルティスマン第5番:(モデラート)
 11. ディヴェルティスマン第6曲:(モルト・モデラート)
 (モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 K. 421」による)
 12. ディヴェルティスマン第7番:メヌエット・アレグレット
 (モーツァルトの「弦楽四重奏曲第15番 K. 421」による)
 13. ディヴェルティスマン第8曲:(トルコ行進曲)アレグロ
 (モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第11番 K. 331」による)
14. 歌劇「ガルベの王の婚約者」 S.49 - 第2幕 終幕のバレエ音楽(アレグロ)(1864)…世界初録音
15.歌劇「幸福の第一日」 S.50- 序曲(1868)
16-20. 歌劇「神とバヤデール」 S.19(1830)より
 16. 序曲
 17. 第1幕 エール・ド・ダンス「パ・ド・シャール」
 18. 第1幕 バレ「パ・ド・シャールのあとに」(1866)…世界初録音
 19. 第2幕 エール・ド・ダンスと情景「ファトメの踊りとゾロエの踊り」…世界初録音
 20. 第2幕 エール・ド・ダンスと情景「ゾロエの踊り」…世界初録音
カルロヴィ・ヴァリSO
ダリオ・サルヴィ(指)

録音:2022年10月31日-11月2日
かつてはロッシーニやスッペ作品と肩を並べるほどの人気を誇ったオーベールの歌劇。かのチャイコフスキーも高く評価したと伝えられますが、現在では一部を 除きほとんど上演されることがありません。ここで聴けるのは、オーベールの最高傑作と呼ばれたこともある「女天使」をはじめとする歌劇の序曲やバレエ音楽。 どの曲もオーベールらしい優美な旋律、繊細な響き、軽やかな音楽が魅力です。変わり種は、1866年にパリのオペラ座でモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」 が上演された際に第2幕に挿入されたディヴェルティスマン。モーツァルトの短調作品のモチーフをふんだんに散りばめたメドレー風の音楽で、最後は有名なト ルコ行進曲で締めくくられます。この分野の第一人者ダリオ・サルヴィの指揮で。
NAX-8.574308(1CD)
ピアソラ:ヴァイオリンと弦楽のための編曲集
チン・チン(1978-79)*
天使の復活(1965)*
ムムキ(1984)*
ソレダッド(孤独)(1968)*
トロイロ組曲 - 第3曲 シータ(1975)*
ブエノスアイレスの四季(1965-70)**
セロス(嫉妬)(1979)*
フガータ(1969)*

*…ケン・セルデンによるヴァイオリンと弦楽編(2021)
**…レオニード・デシャトニコフによるヴァイオリンと弦楽編(1999)
トーマス・コーティク(Vn)
マーティンゲイル・アンサンブル
ケン・セルデン(指)

録音:2022年6月27日-28日
アストル・ピアソラの『Nuevo Tango=新しいタンゴ』はタンゴというカテゴリーを超え、全世界の人々に影響 を及ぼすほどの人気を獲得しています。このアルバムでは、ピアソラが自身の五重奏団のために作曲した器 楽作品を、独奏ヴァイオリンと弦楽オーケストラのために編曲したヴァージョンを演奏。最も有名なのはレオ ニード・デシャトニコフによる「ブエノス・アイレスの四季」でしょう。他の7曲は、ポートランド州立大学管弦楽 団の音楽監督を務める指揮者ケン・セルデンが編曲。ピアソラのオリジナル演奏の録音を参考にしたという 即興演奏も組み込まれるなど、創意工夫が凝らされています。ヴァイオリン独奏はNAXOSに2枚のピアソ ラ・アルバムを録音しているトマス・コーティク。ヴァイオリンとピアノのための編曲集(8.573789)でも「ブエノス アイレスの四季」を披露していますが、今回では更に華やかな演奏を聴かせます。
NAX-8.574541(1CD)
バッハ:ギターのための編曲作品集
リュート組曲 ホ長調 BWV1006a (T. ホップストックによるギター編)
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番ト短調 BWV 1001(M. バルエコによるギター編)
前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV 998(T. ホップストックによるギター編)
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004- 第5曲 シャコンヌ(P. ペゴラーノによるギター編)
ゲオルギ・ディミトロフ(G)

録音:2023年7月7-9日
2022年に開催された第1回「European Bach Guitar Award ヨーロッパ・バッハ・ギター・アワード」コン クールで第1位を獲得した期待の新人ゲオルギ・ディミトロフのバッハ・アルバム(同コンクールでは山下愛陽が 第3位に入りました)。2000年ブルガリア生まれのディミトロフは幼い頃からギターをはじめ、パコ・デ・ルシアに 賞賛された才能の持ち主。ブルガリアの国立音楽アカデミーで学び数多くの賞を受賞,その後はグラーツ音 楽舞台芸術大学での研鑽を積みながらバロック・ギターとヴィオラ・ダ・ガンバのクラスも受講し、現在はロンド ンの王立音楽アカデミーで学んでいます。 このアルバムでは、彼が得意とするバッハのギター用に編曲された作品を演奏。バッハ自身が無伴奏ヴァ イオリン・パルティータをリュート用に編曲した組曲第4番 BWV1006aを冒頭に置き、バルエコが編曲した 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番、リュートとチェンバロのどちらでも演奏できるBWV 998、そして最後に無 伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番のシャコンヌが壮大なクライマックスを築きます。
NAX-8.574451(1CD)
エーリヒ・J・ヴォルフ(1874-1913):歌曲全集 第1集
1-6. Einen Sommer lang 夏の遊び Op. 17(1908年出版)
 1. No.1. Sommer
 2. No.2. Sehnsucht
 3. No.3. Zuversicht in Pan
 4. No.4. Einen Sommer lang
 5. No.5. Ein Sonntag
 6. No.6. Gluckes genug
7-9.6つの歌 Op.1(1902年頃出版)より
 7. No.2. Ein Musikant, ein Schwarmer, auf einen Jahrmarkt ging
 8. No.4. War eine Maid, die emsig spann
 9. No.6. Genrebild
10-11. リヒャルト・デーメルの6つの詩 Op. 8(1907年出版)より
 10. No.2. Erhebung
 11. No.3. Immer wieder
12-14. 「子供の魔法の角笛」による6つの詩 Op.9(1907年出版)より
 12. No.2. Frau Nachtigall
 13. No.4. Knabe und Veilchen
 14. No.5. Tanzreim
15-16. トラ・ツー・オイレンブルクの2つの詩 Op.11b(1907年出版)
 15. No.3. Sturmflut
 16. No.4. Trinklied
17-20.9つの歌 Op.12より
 17. No.1. Spaziergang
 18. No.4. Das mitleidige Madel
 19. No.9. Traurige Mar
 20. No.7. Im Kahn
21.7つの歌 Op.22- No.6. Liebesmelodie 愛の旋律(1910年出版)
22-24.6つの歌 Op.26(1913年出版)より
 22. No.2. Seidenschuh' uber Leisten von Gold
 23. No.4. Flieg' hin, mein Kiel!
 24. No.6. Meine Braut fuhr' ich heim
25. エミール・ファクターの詩による8つの歌 Op.32? No.1. Der tote Lenz(1914年出版)
26-28.3つのメロドラマ - ピエロ=ツィクルス Op.27(1914年出版)
 26. No.1. Serenade
 27. No.2. Intermezzo
 28. No.3. Finale
ダニエル・ヨハンセン(テノール…1-25)、(朗読…26-28)
サマンサ・ガウル(S)…13-14
クラウス・ジモン(P)

録音:2022年11月21-23日
エーリヒ・ジャック・ヴォルフはウィーンで生まれたユダヤ人作曲家。現在ではその名前を知る人はほとんどいませんが、38歳の若さで亡くなるまでに少なくとも 168曲の歌曲を書き、全て存命中に発表されています。1927年に出版された書籍『2000 der beliebtesten Kunstlieder 最も人気のある芸術歌 曲2000』では同名のヴォルフやR・シュトラウスやマーラーの歌曲に次ぐ人気を博していました。このアルバムは、ヴォルフの歌曲全てを録音するシリー ズの第1集で、マーラーも素材とした「子供の魔法の角笛」を用いた歌曲や、リヒャルト・デーメルの詩を用いた歌曲などを聴くことができます。彼は時折大胆 な和声進行を用いるものの、無調に踏み込むことはなく、曲はどれもロマンティックな味わいを持っています。また高度な技法で描かれたピアノ・パートにも注 目、歌を引き立てながらも存在感の強い旋律が耳に残ります。バロックから古典派作品を得意とするテノール、ヨハンセンとロマン派作品を得意とするソプラ ノ、ガウルが見事な歌唱を聴かせ、ヴォルフ作品を愛しブックレットに詳細な解説(ドイツ語・英語)も書いたジモンが伴奏を務めます。
NAX-8.559935(1CD)
ジョン・アダムズ(1947-):シティ・ノワール 他
シティ・ノワール (2009)
フィアフル・シンメトリーズ (1988)*
黄金の西部の娘- ローラ・モンテスはスパイダー・ダンスを踊る(2016/2020改訂)
ウィーンRSO
マリン・オルソップ(指)

録音:ウィーン、楽友協会大ホール及びオーストリア放送協会大ホール
2022年5月31日-6月2日、2022年12月1、3日*
現代アメリカを代表する作曲家の一人、ジョン・アダムズの作品集。このアルバムには、彼の代表作「シティ・ノワール」を含む3つの作品が収録されています。 冒頭の「シティ・ノワール」は1940年代から50年代のロサンゼルスの文化と社会史からインスピレーションを受けた“想像上の映画音楽”と彼が呼ぶ作品。 巨大なオーケストラを縦横無尽にあやつるアダムズの手腕を知ることができます。「フィアフル・シンメトリーズ」は彼が「中国のニクソン」を成功させた時期の作 品。管弦楽にシンセサイザー、サクソフォンなど多彩な楽器を加えた、いわば変型版ビッグバンドとも言える編成で、打楽器などのサンプリング音源も用い、蒸 気機関で動く機械を連想させるミニマル風の曲です。 指揮者のマリン・オルソップはカブリヨ現代音楽祭で活動を始めた30年以上も前からアダムズと協働を続け、その間に彼の作品を数多く演奏してきました。 今回は彼女の手兵であるウィーンRSOとともに愛するアダムズの作品を演奏、共感溢れる音楽を披露しています。アルバムの最後に置かれた 「ローラ・モンテスはスパイダー・ダンスを踊る」は、オルソップがカブリヨ現代音楽祭を離れる時にアダムズが彼女のために書いた曲で、短いながらも温かい心 情、ユーモアにあふれた作品です。
NAX-8.573391(1CD)
トゥリーナ:弦楽のための作品集
La oracion del torero 闘牛士の祈り Op. 34(1925)(トゥリーナによる弦楽オーケストラ編)
3つのアンダルシア舞曲 Op.8- 第2番 タンゴ(1912)(弦楽オーケストラ編)
Las musas de Andalucia アンダルシアのムーサたち Op.93 - 第3曲 タリア「ナランホスとオリボス」(1942)(弦楽オーケストラ編)…世界初録音
La Anunciacion 受胎告知 Op.27- 大天使の出現 - 間奏曲(1942)(Pと弦楽オーケストラ版)
セレナータ Op.87(1934)(G. デ・ガルベスによる弦楽オーケストラ編)
絵画的組曲「セビリア」 Op.2- 第2曲 真夜中の聖木曜日(1908))(1937年 ピアノと弦楽オーケストラ版)
アンダルシアのムーサたち Op.93- 第9曲 カリオペ「讃歌」(1942)(Pと弦楽オーケストラ版)…世界初録音
交響詩「幻想舞曲集」 Op.22- 第3楽章 オルジア(1919)(1930年頃 R. コルによるピアノと弦楽オーケストラ編)
ロベルト・ジョルダーノ(P)
コンセルト・マラガ
ヒル・デ・ガルベス(指)

録音:2023年10月1-3日
イタリア系スペイン人のトゥリーナは、セビリアに生まれ1905年から1914年までパリのスコラ・カントルムで作 曲をヴァンサン・ダンディに、ピアノをモシュコフスキーに師事、1914年に帰国してからはアンダルシアの民俗音 楽の要素を採り入れたスペイン民族色の濃い作品を数多く発表しました。2024年はホアキン・トゥリーナの 没後75周年にあたります。このアルバムでは彼の作品の中でもよく知られる「闘牛士の祈り」や「タンゴ」「セ レナータ」をはじめ、ピアノを加えた4作品まで、2曲の世界初録音を含むトゥリーナの代表的な名作を弦楽 オーケストラ用にアレンジしたものを収録、トゥリーナのノスタルジックな曲調を存分にお楽しみいただけます。
NAX-8.574533(1CD)
フランコ・アルファーノ(1875-1954):ロマンティックな組曲/ディヴェルティメント 他
ロマンティックな組曲(1906-08)
舞曲(1948-50)
葬送歌- 無伴奏アコーディオンのために(1951)
ディヴェルティメント ? 小オーケストラとオブリガートピアノのために(1934)
愛…愛…(1901)(1928頃 管弦楽版)
ダヴィデ・ヴェンドラミン(アコーディオン)
ヴィットーリオ・ラバリアーティ(P)
ミラノSO
ジュゼッペ・グラツィオーリ(指)

録音:2022年8月16-19日
プッチーニの死後、歌劇「トゥーランドット」の補筆を行ったことで知られるイタリアの作曲家フランコ・アルファー ノの管弦楽作品集。ナポリで学んだ後、ライプツィヒ音楽院に留学、ザーロモン・ヤーダスゾーンに作曲を師 事した彼は、ピアニストとして活躍する傍ら、トルストイの『復活』を題材にした同名歌劇で名を上げ、「シラ ノ・ド・ベルジュラック」など10作ほどの歌劇を書き上げます。このアルバムには“イタリアを旅する二人の恋人の 心情“を描き出した「ロマンティックな組曲」から、ドビュッシーを思わせる印象派風の「舞曲」、無伴奏アコー ディオンのための物悲しい「葬送歌」、新古典派的な作風で書かれた「ディヴェルティメント」と、軽妙なワルツ 「Amour… Amour…」の5曲が収録されており、アルファーノの豊かな表現法を知ることができます。
NAX-8.579157(1CD)
ジャ・ダーチュン(1955-):作品集
交響的協奏組曲「押し寄せる思考の波」(2020-21)
交響的前奏曲「巴蜀奇想曲」(1996/2018年改訂版)
ヤクブ・ハウファ(Vn)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ミハウ・クラウザ(指)

録音:2023年9月10-12日
世界初録音
現代中国を代表する作曲家の一人ジャ・ダーチュン(??群)。数多くの作品を発表、とりわけオーケストラ 作品で世界的な高い評価を受けています。このアルバムに収録された「The Wave of the Surging Thoughts 押し寄せる思考の波」は、チェロの深い音色をフィーチャーした第1楽章、パーカッションセクショ ンが活躍する第2楽章、ヴァイオリン・ソロが際立つ第3楽章、主題がさまざまな形で執拗に繰り返される第 4楽章、華やかな金管を特徴とし、ワーグナーの「タンホイザー序曲」を思わせる勇壮な第5楽章の5つの楽 章で構成されています。一連の流れは古典的な交響曲の基本パターンである「苦悩から勝利へ」に基づい ており、高度な統一感を持つ音楽です。最後に置かれた「巴蜀奇想曲」の「巴蜀」とは四川省の古い名称 で、この地に根付く文化的伝統を表現した見事な作品です。
NAX-8.574589(1CD)
エリザベッタ・ブルーサ(1954-):管弦楽作品集 第5集
レクイエム Op.25(2020-21)
-独唱、合唱とオーケストラのために
スターバト・マーテル Op.24 -ソプラノとオーケストラのために(2020)
レーカ・クリストーフ (S)
ドロティア・ラーング(A)
イシュトヴァーン・ホルヴァート(T)
マルセル・バコニー(Bs)
ハンガリー放送cho
ハンガリーRSO
リッカルド・フリッツァ(指)

録音:2023年6月26-28日
世界初録音
1954年ミラノ生まれの女性作曲家、エリザベッタ・ブルーサの管弦楽作品集。2002年からゆっくりとした ペースで進むシリーズ第5集には、彼女の最新の合唱を伴う作品が収録されています。以前からレクイエム を作曲したいと願っていたものの、人生経験の不足などからどうしても納得のいくものが書けなかったというブ ルーサ、これまでに様々な試作を重ねてきたといいます。しかしヤコポーネ・ダ・トーディの『スターバト・マーテ ル』のテキストを読み、その苦しみに対する表現の豊かさに衝撃を受け、レクイエムの足掛かりとしてまずソプ ラノ独唱を伴う『スターバト・マーテル』を作曲、次いで『レクイエム』を書き上げたのです。完成した作品はどち らも調性感を伴う古典的な雰囲気を纏いながらも、熟達したオーケストラの使用法が際立つ堂々たる風格 を備えています。
NAX-8.660549(3CD)
ドニゼッティ:歌劇「ラ・ファヴォリート」 レオノール…アンナリーザ・ストロッパ(Ms)
フェルナン…ハビエル・カマレナ(T)
アルフォンス11世…フロリアン・センペイ(Br)
バルタザール…エフゲニー・スタヴィンスキー(Bs)
ドン・ガスパール…エドアルド・ミッレッティ(T)
イネス…カテリーナ・ディ・トンノ(S)
重臣…アレッサンドロ・バルバリア(T)他
ドニゼッティ歌劇場cho&スカラ座アカデミアcho
ドニゼッティ歌劇場O
リッカルド・フリッツァ(指)

録音:2022年11月15、18日ドニゼッティ歌劇場、ベルガモ(イタリア)
【同内容の映像】
DYNAMIC*DYNDVD37992
DYNBRD57992(輸入盤)
「お気に入り、愛妾」を意味する「ラ・ファヴォリート」は、ドニゼッティが1839年に作曲した「ニシダの天使」を 転用し、フランス語の台本を用いて書き上げた作品。1840年のパリ・オペラ座での上演は大成功を収めま した。「ラ・ファヴォリータ」として知られるイタリア語版が、20世紀の後半に至るまで、世界各地での上演の主 流となりましたが、近年、ドニゼッティの作品を作曲家の意図したオリジナルの姿で上演する機運が高まり、ド ニゼッティ音楽祭2022における本上演でも、レベッカ・ハリス=ウォリックによるオリジナルのフランス語台本に よる、比較校訂版スコア(1997リコルディ社)が用いられています。 レオノール役のアンナリーザ・ストロッパ、フェルナン役のハビエル・カマレナ、アルフォンス11世役のフロリアン・セ ンペイ、バルタザール役のエフゲニー・スタヴィンスキーら錚々たる歌唱陣が歌い上げる名アリアと重唱の数々 に彩られたこの壮大な作品を、ドニゼッティ音楽祭の音楽監督を務めるリッカルド・フリッツァの引き締まったタ クトが表情豊かに描き尽くしています。

   NAXOS 2024年3月発売 (3)
NAX-8.559941(1CD)
フローレンス・ベアトリス・プライス(1887-1953):弦楽四重奏曲第2番イ短調(1935)
レオ・サワビー(1859-1968):弦楽四重奏曲 ト短調 H.226(1935)…世界初録音
プライス:ネグロ・フォークソング・イン・カウンターポイント(1951)
アヴァロンSQ

録音:2022年9月9日、10月1、4日、2022年9月10、30日、2022年9月30日-10月1日
2020年代に入って急速に脚光を浴びる作曲家フローレンス・プライス。その弦楽四重奏曲第2番をメインに、彼女の師匠ともいえるサワビーの作品を合わ せて紹介する、NAXOSのアメリカン・クラシックらしい1枚。 「アメリカ初の黒人女性作曲家」と呼ばれるプライスは、2021年のBBCプロムスで交響曲第3番の第3楽章が演奏され、2022年には交響曲第1番と第3 番を収めたアルバムがグラミー賞を受賞、2023年には「アメリカにおけるエチオピアの影」が神奈川フィルにより日本初演されるなど、世界的に脚光を浴びて います。彼女の作品の多くは死後も未発表のままで、その真価や全貌はまだ発掘途上と言えます。 プライスの1世代上に当たるレオ・サワビーは、ローマのアメリカン・アカデミーのローマ賞やピューリッツァー賞を受賞するなど国際的な名声を得ていました。プラ イスとサワビーは共に1930年代から40年代にかけてシカゴの音楽コミュニティのメンバーで、プライスがサザビーから教えを受けていたこともあり、お互いの作 品を尊敬していたことが知られています。このアルバムには両者の弦楽四重奏曲を収めています。最後に置かれたプライスの「ネグロ・フォークソング・イン・カウ ンターポイント」は5つの民謡旋律に基づくアフリカ由来のリズムや黒人霊歌を大胆に取り入れた作品。とりわけ第2曲の旋律は「雪山讃歌」として誰もが耳 にしたことがあるのではないでしょうか。
NAX-8.574545(1CD)
リスト:ピアノ曲全集 第61集
マイアーベーアの歌劇「ユグノー教徒」の主題による大幻想曲 S412/R211(1836)(初稿)
イタリア・オペラのメロディとメルカダンテの歌劇「誓い」による幻想曲「スカラ座の回想」 S458/ R294(1838-39)
スペインの主題による幻想的ロンド「マヌエル・ガルシアの密輸人」 S252(1836)
ワーグナーの歌劇「ローエングリン」 - 祝典と婚礼の歌 S446/1/R279/1(1854)(初稿)
ドリーブの歌劇「ニヴェルのジャン」によるバラード「マンドラゴラ」 S698/R666(1881)(断章)
マーティン・カズン(P)

録音:2023年2月13-15日
このアルバムには、若い頃のリストが得意としていたオペラの旋律のトランスクリプション5作が収録されて います。 冒頭に置かれたマイヤベーアの「ユグノー教徒」の旋律を用いた幻想曲は1836年の作曲。リストはこの 曲を3回改訂していますが、改訂ごとに曲が整理されたため、この初稿が一番長いものとなっています。 2曲目のメルカダンテの旋律による「スカラ座の回想」にはメルカダンテの他、誰のものかは特定できない 旋律も使われています。幻想的ロンドは、スペインの作曲家マヌエル・ガルシアのサルスエラ「密輸人」の 旋律に基づく作品。スペイン風の情熱的なリズムに支えられた技巧的な手の跳躍が使われた「ラ・カン パネラ」を思わせる曲です。「ローエングリン」のトランスクリプションは、比較的原曲に忠実なアレンジが施 されています。最後の「マンドラゴラ」はリスト晩年の作品。37小節のみの断片ですが、当時リストが試 みていた無調の使用など実験的な要素が見られます。演奏はイギリスのピアニスト、マーティン・カズン。 オスカー獲得の映画『シャイン』でピアニストの“手”を演じたことでも知られています。
NAX-8.574524(1CD)
ヨハン・ジモン・マイール(1763-1845):ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲) ニ短調(1820-34頃) アンナ・ファイト(S)
ボグナ・ベルナギエヴィチ(S)
フレイア・アプフェルスタット(A)
マルクス・シェーファー(T)
ファン・ジー(T)
ニクラス・マルマン(Bs)
ジモン・マイールcho
コンチェルト・デ・バッスス(古楽器オーケストラ)
フランツ・ハウク(指)

録音:2022年7月18-24日
世界初録音
ヨハン・ジモン・マイールの音楽を積極的に紹介するフランツ・ハウクとコンチェルト・デ・バッスス。今回のアルバ ムでは200年ほどの間、顧みられることのなかったマイールの「ミサ・ソレムニス(荘厳ミサ曲)」を演奏しました。 この作品は、以前NAXOSからリリースされた「グローリア・ミサ」(8.574203)と同じく、17世紀イタリアで流 行した「ミサ・コンチェルタータ」(各々の曲は連続せず、独立して奏される)の様式に根差しており、歌い手と オーケストラが巧みな掛け合いを聴かせ、とりわけ「オーケストラ・パートの優れた対位法の書法は当時の聴 衆に強烈な印象を与えた」と、マイールの最初の伝記作家ジローラモ・カルヴィ(1791-1872)が書き残した ほどです。70作以上の歌劇を残したマイールの抒情的な旋律美は、これらの宗教的作品でも健在です。
NAX-8.579103(1CD)
カサド/モンポウ:ギター作品全集
ガスパール・カサド(1897-1966):カタラネスカ(1922)
 前奏曲とサルダーナ(1965)
 フィンランドの民謡による2つの歌(オリジナル・エンディングとコーダ)(2003年出版)
 レオナルドの歌(1951)
 キジアナのサルダーナ(1951)(A. セゴビア編纂の手稿譜)
 カタルーニャの伝説(1952年12月14日以前)
モンポウ:歌と踊り 第10番(1953)(ギター編)):2001年出版)
 歌と踊り 第13番(1972)(最終稿)
エウジェニオ・デラ・キアーラ(G)

録音:2022年12月3-5日
カタルーニャの同世代の作曲家ガスパール・カサドとフェデリコ・モンポウのギターのための全作品を収録し たアルバム。優れたチェリストであったカサドはアンドレス・セゴビアと親交を深め、6曲のギター作品を書き 上げました。これらはどれもカタルーニャの民族舞曲に基づいています。ピアニストであったモンポウが残し た作品のほとんどはピアノ曲ですが、「歌と踊り 第10番」は原曲のピアノ曲をモンポウ自身がギターへと 編曲、そして「コンポステラ組曲」はセゴビアに献呈されました。どれもモンポウ独特の瞑想的なピアノ曲 に通じる抒情的な雰囲気を持つ作品です。 演奏するエウジェニオ・デラ・キアーラは、1990年ペーザロ生まれのギタリスト。日本やヨーロッパ各地で 演奏会を行い、これまでにDECCAから3枚のアルバムをリリースした他、現代音楽の作曲家とも積極 的にコラボレーションを行い、20曲以上の作品の献呈を受けています。
NAX-8.579150(1CD)
レザ・ヴァリ(1952-):管弦楽曲と管弦楽伴奏歌曲
ラヴァン(2013)
民謡集 第16集「ビーイング・オヴ・ラヴ」(2005)
ジャンナ・ベイティ(Ms)
ロイトリンゲン・ヴュルテンベルクPO
ファウジ・ヘイモア(指)

録音:2022年6月7-10日
全て世界初録音
数多くの受賞歴を持つイラン出身の作曲家レザ・ヴァリ。テヘランで音楽の基礎を学び、1972年ウィーン国 立音楽大学に留学。その後アメリカのピッツバーグ大学で博士号を取得し、現在はアメリカを拠点に活躍し ています。彼は故郷の旋法体系「ダストガー(即興演奏を行う上での基礎となる旋律の集まり)」をヨーロッパ の音楽に融合させたエキゾチックな作品を書くことで知られており、このアルバムでも華麗なオーケストラ作品 である「ラヴァン」をはじめ、3世紀ペルシャの詩人兼神秘家ルーミーのテキストや自身の言葉を用いた民謡 集「ビーイング・オヴ・ラヴ」、彼が2000年から取り組んでいる『カリグラフィ』シリーズの第16番「イスファハン」、 これらユニークな3作品をお聴きいただけます。「ビーイング・オヴ・ラヴ」でソロを歌うジャンナ・ベイティは現代 作品を得意とするメゾ・ソプラノ。これまでにもヴァリの民謡集第10集(8.572224)やアイヴズの歌唱で高い 評価を得ています。

   NAXOS 2024年3月発売 (2)
NAX-8.573924(1CD)

NYCX-10461(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価
セーザル・ゲーハ=ペイシ(1914-1993):ラグーナからの撤退(管弦楽作品集)
ラグーナからの撤退(1971)
独奏ヴァイオリンと室内管弦楽のためのコンチェルティーノ(1972)
インコフィデンシア博物館(1972)
アブネル・ランディム(Vn)
ゴイアスPO
ニール・トムソン(指)

録音2015年9月26-28日、2019年11月29日
「交響的組曲第1番、第2番」のCD(NYCX-10322/8.573925)が『レコード芸術』や『朝日新聞』等で称賛され、突如として注目を集めた20世紀ブラ ジルの作曲家セーザル・ゲーハ=ペイシ、待望の新録音が登場。「ラテンのノリ」というイメージに相応しいリズムと色彩に、時としてショスタコーヴィチを思わせ る劇的でシリアスな場面描写を伴う作品群に注目です。 ゲーハ=ペイシは、ポルトガル移民でアマチュアの音楽家だった父からギターを学び、音楽学校でヴァイオリンを学んだ後、指揮者・教育者として活躍。 ラジ オ・テレビ番組や映画のための音楽も手掛け、ブラジルのフォーク・ミュージックの要素を取り入れた作品を残しています。 冒頭の「ラグーナからの撤退」は、1867年のブラジルとパラグアイの戦争を描いた小説にインスパイアされた交響組曲風の作品。演奏時間40分余りの大作 で、勇壮で高揚感のある第1部、恐怖、飢饉、疫病などさまざまな危機に直面するブラジル軍を描いた第2部、戦死者たちを悼みながら撤退する兵士たち を描く第3部で構成されており、最後は悲劇を浄化し平和を願うかのような抒情的な旋律で締めくくられます。最後の 「インコフィデンシア博物館」は、ポルト ガルからの独立運動の引き金となった事件の指導者で悲劇的な死を遂げたチラデンテスへのオマージュ的作品です。両曲とも場面や心情描写に長けた ゲーハ=ペイシの手腕が遺憾なく発揮されており、熱気をはらみ、時として鬼気迫るようなサウンドと共に、聴く人の心にストレートに迫る力をもっています。 悲劇的要素の強い2作に挟まれた「独奏ヴァイオリンと室内管弦楽のためのコンチェルティーノ」は、ヴァイオリニストでもあったゲーハ=ペイシの面目躍如とした 陽気でエンターテインメント性の高いコンサート・ピース。ブラジル北部の民族文化を取り入れながら新しい作品の創作をめざす「アルモリアル運動」から生ま れた作品で、民族色豊かな旋律とリズムに乗ってソロが華麗な技巧を披露してゆく音楽は理屈抜きに楽しめるものです。 ※国内仕様盤には木許裕介氏(指揮者/日本ヴィラ=ロボス協会会長)の日本語解説が付属します。
NAX-8.559898(1CD)
ポール・リール(1943-2020):American Mosaic アメリカン・モザイク
チェロ協奏曲「Live Free or Die 自由に生きる、さもなくば死を」(2018)*
ピアノ協奏曲第1番(1986/2020改定)*
ピアノ・ソナタ第6番「荒地」(1992/2007改定)
キム・クック(Vc)
ジョン・ジェンセン(P)
ポール・リール(P)
ウィリアム・ボートン(指)イェールSO

録音:2007年3月15日、2007年10月1-2日、2022年11月12日
*=世界初録音
ニュージャージー生まれのポール・リール。もともとは英文学と自然科学の研究者でしたが、ロックバーグとクラムの作品に触れて作曲に興味を持ち、2年間ほ ど作曲法を学んだ後、12曲のピアノ・ソナタやチェロ・ソナタなど数多くの独創的な作品を発表。これらは晩年に相次いで録音され高く評価されました。 このアルバムの冒頭に収録されたチェロ協奏曲は、彼が長年構想を温めていた曲ですが、2018年に末期の病気と診断されたことをきっかけに僅か17日で 完成させたというもの。バロックの対位法やジャズのイディオム、無調が採り入れられており、副題として「Live Free or Die 自由に生きる、さもなくば死を」と いう、彼が2歳の時に住んでいたニューハンプシャー州の公式標語が用いられています。ピアノ協奏曲第1番は1986年の作品。ロイ・ハリスやデイヴィッド・ダ イアモンドら先人作曲家たちへのオマージュであり、また1940年代のジャズへの傾倒も見られますが、リールは仕上がりに満足しておらず、2016年と2020 年に改訂を施しています。ピアノを演奏しているのは、1986年の初演時の演奏と同じジョン・ジェンセン。リールが「私の作品の理想的な演奏者」と絶賛した ピアニストです。ピアノ・ソナタ第6番はジョン・エリオットの詩からインスパイアされた、映画音楽を思わせる描写的な作品。こちらはリール自身の演奏です。
NAX-8.669052(2CD)
マイケル・デライラ(1949-):歌劇「山猫(Leopard)」 全2幕(2018) ドン・ファブリツィオ・コルベラ…キム・ヨセフソン(Br)
タンクレイディ・ファルコネリ…ミンハオ・リュウ(T)
ステラ:サリナの王女…ロビン・レドモン(Ms)
ピローネ神父…フランク・ラグズデール(T)
モンテルズオーロの騎士シュヴァレー…ケヴィン・ショート(Bs-Br)
コンチェッタ…マルガリータ・パルサミアン(S)
アンジェリカ…ヤン・ヤキ(S) 他
フロストSO
フロスト歌劇場cho
ジェラード・シュワルツ(指)

録音:2022年3月5-6日
世界初録音
ニューヨークの作曲家マイケル・デライラは、若い頃にはギタリスト、ドラマー、ソングライターとして活動したのち、作曲家 に転向、彼が影響を受けたというストラヴィンスキー風の劇音楽や歌劇作品で高い評価を受けています。この歌劇 「山猫(Leopard)」は、イタリアの作家ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサが1958年に著した小説『山猫』(ヴィ スコンティ監督による同名映画の原作)をもとに、詩人J. D. マクラッチーが台本を作成。「イタリア統一運動」下の社 会的、政治的大変動に翻弄され「山猫」と呼ばれた貴族ファブリツィオ・コルベラと、若き理想主義者のタンクレイ ディ、そして彼らをめぐる人々の姿を描いています。主役コルベラを歌うのはメトロポリタン歌劇場を中心に活躍するベ テラン、キム・ヨセフソン。タンクレイディ役は2020年にペーザロ国際音楽コンクールで優勝した若手、ミンハオ・リウが 担当。作品の初演はジェラード・シュワルツの指揮で行われ、Opera Magazine誌によって「見事に作りこまれてい る」と絶賛されました。

   NAXOS 2024年3月発売
NAX-8.574551(1CD)

NYCX-10455(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

R・シュトラウス:バレエ音楽『ヨゼフ伝説』 Op.63TrV231 シュターツカペレ・ハレ
ファブリース・ボロン(指)

録音:2022年11月1-3日
1914年、第1次世界大戦による世界情勢不安の時期に誕生したR・シュトラウスのバレエ『ヨゼフの伝説』。 1912年、ディアギレフのロシア・バレエ団(バレエ・リュス)の公演に感銘を受けた詩人ホフマンスタールが、バレエ団のために作品を書くことを構想。友人のケス ラー伯爵とともに、旧約聖書から「エジプト王宮の侍従長ポティファルの妻の誘惑を拒み、苦境に陥る若者ヨゼフの物語」をもとに台本を作成し、シュトラウス に作曲を依頼しましたが、シュトラウスは、この清廉潔白な物語になじめず「退屈なものに音楽をつけるのは難しい」と語り、最初につけた音楽はモーツァルトを 思わせる18世紀風のものでした。このバレエをニジンスキーに踊ってもらうことを想定していたホフマンスタールはこの音楽に満足することなく、ケスラーと共に台 本を修正、作曲を渋るシュトラウスを再度奮い立たせることで、ようやくコントラファゴットまでを用いた大編成のオーケストラによるエキゾチックな響きが存分が 盛り込まれた煌びやかな作品が完成しました。 しかし、初演時にニジンスキーがバレエ団を離れてしまったため、主役はレオニード・マシーンが躍ることになるなどトラブルが続出。実は、シュトラウスは若きマ シーンを評価していませんでしたが、それでも1914年5月14日のパリ・オペラ座初演は成功裡に終わり、上演後にシュトラウスは盛大なカーテンコールを受け ています。その後ロンドンでトーマス・ビーチャムの指揮で6回公演が行われるなど、一時的に人気を博しました。戦時中は演奏されることがありませんでした が、戦後に各地で演奏されるようになり、作品の再評価が進みました。 作曲家、アレンジャーとしても活躍する指揮者ファブリース・ボロンが、シュターツカペレ・ハレから官能的な響きを紡ぎだしています。
※国内仕様盤には広瀬大介氏による日本語の解説が付属します。
NAX-8.574420(1CD)
バルトーク:ピアノ作品集 第9集
1-4. ピアノ・ソナタ Op.19BB12/DD51(1898)
 (ゴラン・フィリペツによる演奏会用編曲版)
5. ラヨシュ・ワルツ BB1DD28(1893)
6. ガビ ポルカ BB1DD12(1891)
7. レントラー 第2番BB1DD18(1891)
8. いろいろな小品 BB1DD2(1890)
9-56. 『ピアノ・メソード』より
 9. No.7. Legato and Non-legato Exercises
 10. No.8. Legato and Non-legato Exercises
 11. No.13. Legato and Non-legato Exercises
 12. No.14. Legato and Non-legato Exercises
 13. No.16. Wrist Exercises
 14. No.17. Wrist Exercises
 15. No.20. Playing with Hands Together
 16. No.21. Playing with Hands Together
 17. No.22. Ledger-lines
 18. No.24. Ledger-lines
 19. No.25. Ledger-lines
 20. No.26. Ledger-lines
 21. No.29. Development of the Accuracy of Touc
 22. No.33. Playing Staccato
 23. No.36. Staccato and Legato Alternating
 24. No.40. Exercises with Non-adjacent Fingers
 25. No.44. Exercises with Non-adjacent Fingers
 26. No.46. Accented and Unaccented Beats of a Bar
 27. No.51. Accented and Unaccented Beats of a Bar
 28. No.55. Accented and Unaccented Beats of a Bar
 29. No.56. Accented and Unaccented Beats of a Bar
 30. No.57. Accented and Unaccented Beats of a Bar
 31. No.59. Accented and Unaccented Beats of a Bar
 32. No.68. Two-note Chords
 33. No.73. Two Parts with One Hand
 34. No.77. Two Parts with One Hand
 35. No.78. Two Parts with One Hand
 36. No.82. Two Parts with One Hand
 37. No.83. Tempo (Indication of Speed): Allegro
 38. No.89. Increasing the Hand-span (Sixths): Andante
 39. No.92. Changing Fingers on One Key: Lento
 40. No.94. Changing Fingers on One Key: Allegro
 41. No.95. Whole Tones and Semitones: Andante
 42. No.97. Whole Tones and Semitones: Andantino
 43. No.99. Whole Tones and Semitones: Moderato
 44. No.101. Scales:Allegro deciso
 45. No.102. Scales:Adagio
 46. No.105. Syncopation:Andante
 47. No.108. Syncopation:Allegro moderato
 48. No.109. The Harmonic Minor Scale: Allegro
 49. No.110. The Harmonic Minor Scale: Andante
 50. No.114. Playing Chords:Allegro
 51. No.115. Playing Chords:Allegro moderato
 52. No.116. Playing Chords:Moderato
 53. No.117. Playing Chords:Vivace
 54. No.118. Playing Chords:Allegro deciso
 55. No.119. Playing Chords:Tempo di valse
 56. No.120. Playing Chords:Allegro moderato
ゴラン・フィリペツ(P)

録音:2023年3月28-29日
NAXOSの人気シリーズ、バルトークのピアノ作品集。この第9集にはリスト作品の名演で名高いゴラン・フィ リペツの演奏で2つの重要な作品を収録。ピアノ・ソナタ Op.19は17歳のバルトークがブダペストに留学する 前に書いたもので、公に発表されることのなかった作品。長い間失われていたとされましたが、フィリペツが自 筆譜をもとに作曲家の意図を反映し修正や調整を行い、演奏会用ヴァージョンを作成して今回録音に至り ました。ブラームスを思わせる後期ロマン派の雰囲気をたたえた曲調ですが、若いバルトークの意欲も感じさ せる力作です。他の初期作品も珍しいものです。『ピアノ・メソード』は、バルトークが、ブダペスト音楽院のピ アノ科の教授を務めたレショフスキー(1887-1967)と協力して学生教育用に書き上げた教材集。1913 年に音楽学者アンタル・モルナールが「初心者向けながら生き生きとしており、魂を揺さぶり心を動かす作 品」と絶賛したこの曲集には、2人の作品のほかに、チェルニーら他の作曲家の作品も含まれています。この アルバムにはバルトークの手による48曲を収録。技術的には容易であるものの、どの曲も洗練されており、 彼のピアノ教育のアイデアを知る良い機会となっています。
NAX-8.579146(1CD)
ウクライナのヴァイオリン・ソナタ集
ヴィクトル・コセンコ(1896-1938):ヴァイオリン・ソナタ イ短調 Op.18…世界初録音
ミロスラフ・スコリク(1938-2020):ヴァイオリン・ソナタ第2番
セルゲイ・ボルトキエヴィチ(1877-1952):ヴァイオリン・ソナタ ト短調 Op.26
ソロミヤ・イヴァヒフ(Vn)
スティーヴン・ベック(P)

録音:2022年10月23日、2022年11月26日
ウクライナの3人の作曲家によるヴァイオリン・ソナタ集。 サンクトペテルブルクに生まれ、後半生をウクライナで過ごしたコセンコのソナタは1927年の作品。2楽章で 構成されており、刻々と変化する曲想が魅力的な第1楽章に、美しい緩徐楽章が続きます。スコリクはリ ヴィウ生まれ。1988年にウクライナ作曲家連盟のリヴィウ支部の会長に就任し、2011年にキーウ国立歌 劇場の芸術監督に就任するなど、ウクライナの音楽文化の発展に寄与しました。このソナタ第2番にはベー トーヴェンを暗示する旋律があるとともに、時にはプロコフィエフやガーシュウイン、ジャズの影響も感じさせるさ まざまなイディオムが組み込まれています。ハルキウ生まれのボルトキエヴィチのト短調のヴァイオリン・ソナタ は、彼の室内楽作品の中でも、音楽言語が最も鮮やか、かつ直接的に伝わる作品として際立っています。 賑やかで快活な終楽章にはシンコペーションの効いた民族音楽の引用も聞かれます。
NAX-8.574048(1CD)
A&M. ボーラー:ヴァイオリンと
チェロのための協奏曲集

アントワーヌ&マックス・ボーラー:大軍隊交響曲(1820頃出版)
第1楽章のカデンツァ…F.A.クマーとフランソワ・シューベルトのデュオ Op.52No.1「Souvenir de Fra Diavolo」の主題より(F.アイヒホルン&A.ヒュルスホフ編)
第4楽章のカデンツァ…F.アイヒホルン&A.ヒュルスホフ作

アントワーヌ・ボーラー:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.9(1809出版)
第1.2楽章のカデンツァ…F.アイヒホルン作

マックス・ボーラー:チェロ協奏曲第1番ニ長調 Op.1(1809頃出版)
フリーデマン・アイヒホルン(Vn)
アレクサンダー・ヒュルスホフ(Vc)
イエナPO
ニコラ・パスケ(指)

録音:2020年10月-11月
全て世界初録音
マンハイム宮廷のトランペット奏者を務めるとともにコントラバスの名手としても知られたカスパール・ボーラーを父に持つ、アントワーヌとマックス。兄アントワーヌ はクロイツァーにヴァイオリンを学び、後にミュンヘン宮廷Oで演奏、パガニーニから「24のカプリース」の中の1曲を献呈されるほどの名手であり、同時 にダンツィらから作曲も学びました。弟マックスはチェリストとして活躍、同じくミュンヘンの宮廷Oに加わりましたが、兄ほどの名声を得ることはなかったよ うです。 彼らは共同でいくつかの作品を作曲し「大軍隊交響曲」を含む傑作を生み出しました。これらの作品は大胆な技巧と印象的なテーマを特徴としています。 アントワーヌのヴァイオリン協奏曲ホ短調は、パガニーニを思わせる高度な技術を必要とする作品。マックスのチェロ協奏曲第1番はバイエルン王に献呈され た曲。フルート、オーボエ2本、ファゴット2本、 2本のホルンとティンパニ、弦楽器という小さな編成の管弦楽伴奏を持ち、ダブル・ストップが多用されるなど、 19世紀初頭にチェロの演奏技法がどれほど急速に進化したかがうかがえます。ドイツのヴァイオリニスト、フリーデマン・アイヒホルンと、同じくドイツ出身のチェリ スト、アレクサンダー・ヒュルスホフが知られざる作品の魅力を紹介します。
NAX-8.574490(1CD)
ブラームス:歌曲全集 第5集
5つの歌曲 Op.71(1877)
4つの歌曲 Op.70(1875-77)
7つの歌曲 Op.95(1883-84)
6つの歌曲 Op.97(1885)
5つの歌曲 Op.107(1886-88)
5つのオフェーリアの歌 WoO22(1873)
アリーナ・ヴンダーリン(S)
キーラン・カレル(T)
ウルリヒ・アイゼンロール(P)

録音:2022年6月13-15日、2022年10月4-6日
NAXOSのブラームス歌曲全集シリーズ。第5集には円熟期に書かれた5つの歌曲集と、A.W.シュレーゲルがドイツ語に翻訳したシェイクスピアの「ハムレット」
からの詩にブラームスが旋律をつけた「5つのオフェーリアの歌」を収録。5つの歌曲集はどれも名作揃いで、とりわけOp.71には人気の高い「Minnelied 愛の
歌」が含まれています。過去、現在、未来を主題にしたOp.70の歌曲、そして民謡素材が効果的に用いられたOp. 95とOp.97、愛をテーマにしたOp.
107とどれもブラームス独自の旋律美にあふれています。第4集と同じく、クリストフ・プレガルディエンに師事したテノールのカレルと、オペラ、コンサートの両面
で活躍するソプラノ、ヴンダーリンの演奏で。NAXOSのブラームス歌曲全集シリーズ。第5集には円熟期に書かれた5つの歌曲集と、A.W.シュレーゲルがドイツ語に翻訳したシェイクスピアの「ハムレット」 からの詩にブラームスが旋律をつけた「5つのオフェーリアの歌」を収録。5つの歌曲集はどれも名作揃いで、とりわけOp.71には人気の高い「Minnelied 愛の 歌」が含まれています。過去、現在、未来を主題にしたOp.70の歌曲、そして民謡素材が効果的に用いられたOp. 95とOp.97、愛をテーマにしたOp.107とどれもブラームス独自の旋律美にあふれています。第4集と同じく、クリストフ・プレガルディエンに師事したテノールのカレルと、オペラ、コンサートの両面 で活躍するソプラノ、ヴンダーリンの演奏で。
NAX-8.579138(1CD)
ルクセンブルクの現代音楽 第3集
1. リュック・グレーテン(1964-):Upswing アップスウィング(2016)
2. ガスト・ヴァルツィング(1956-):Princesses Don't Grow Old(2019)
3. アーニー・ハンメス(1968-):ピッコロ・トランペット、ジャズ・クインテットと室内オーケストラによるコンチェルティーノ第1番(2019)
4. ハンメス:Booboo ブーブー(2017)
5. ハンメス:Tuna Melt ツナ・メルト(2017/2019改訂)
6. ハンメス:ウェスト・エンド・アヴェニュー(2018/2019改定)
7. カトリン・コンツ(1976-):The Waves ウェーヴズ(2020)
8-11. オリヴエ・ダルテヴェル(1957-):新しいアンティゴネ(2021)
アーニー・ハンメス(ピッコロ・トランペット…3/トランペット…4-6)
ダヴィド・アスカーニ(Sax)…3-6
ボリス・シュミット(Cb)…3-6
ピエール=アラン・グラルシュ(P)…3-6
ニールス・エンゲル(ドラムス)…3-6
ソリステス・ヨーロピアンズ・ルクセンブルグ
クリストフ・ケーニヒ(指)

録音:2016年9月19日…1
2019年10月21日…2
2019年11月25日…3-6
2020年9月18日…7
2021年10月18日…8-11
全て世界初録音
ルクセンブルクの現代音楽を紹介するシリーズ。第1集(8.579059)は『ファンファーレ』によって「傑出したディスク」と称賛され、第2集(8.579116)ではマ ルコ・ピュッツの音楽が紹介されています。 第3集で中心となるのは、ジャズとクラシック双方のジャンルで活躍するトランペッター&作曲家アーニー・ハンメスの音楽。ルクセンブルクのアンサンブル “Solistes Europeens”から委嘱されたコンチェルティーノでは、自身がトランペットを吹き、作品の魅力を存分に伝えています。バロックの協奏曲が始まる かと思わせてジャズ風の曲調に移っていくところがなんとも心憎い作品です。「ブーブー」は彼の息子の誕生を機会に書かれた曲。幼子をめぐる喜び、驚き、 他の感情が描かれています。「Tuna Melt」と「West End Avenue」も彼の思い入れの強い作品です。他には同じく“Solistes Europeens”のために書 かれたグレーデンの「アップスイング」、ヴァルツィングの「Princesses Don't Grow Old 王女は年をとらない」、ヴァージニア・ウルフの「The Waves」にインス パイアされたカトリン・コッツの「The Waves」や、ギリシャ神話から発想を得たダルテヴェルの「新しいアンティゴネ」など興味深い作品が並びます。

   NAXOS 2024年2月発売
NAX-8.574581(1CD)

NYCX-10450(1CD)
日本語解説付国内盤
税込定価

カール・ツェルニー:夜想曲集
8つの夜想曲 Op.368(1830-1835)
シュトラウスのお気に入りのモティーフ「アレクサンドラのワルツ」による感傷的で華麗な夜想曲 Op.537 (1931年出版)…世界初録音
さまざまな性格のロマンティックな8つの夜想曲 Op.604(1843年出版)
ロベルテ・マムー(P)

録音:2022年8月22-25日Dada Studios, ブリュッセル(ベルギー)
日本ではもっぱら「練習曲の作曲家」として知られているカール・ツェルニー。しかし最近では研究も進み、ベートーヴェンの弟子であり、リストの師としての人物 像に光があたるようになってきました。66年の生涯に、未出版も含め1000曲以上の作品を残し(作品番号付きは861作)ており、近年では宗教曲やオルガ ン作品なども演奏される機会があるなど、注目が高まっています。 このアルバムに収録されているのは、ツェルニーの一連の夜想曲。このジャンルの先駆者としてはアイルランド出身の作曲家ジョン・フィールドが 知られており、その作品の柔らかく気怠い雰囲気は、彼の「8つの夜想曲 Op.368」にも受け継がれています。美しい旋律を湛えながらも、それほど技巧を必 要としないこれらの作品は当時の中流階級の家庭での演奏に適したエレガントな佇まいを持っています。トラック9『シュトラウスのお気に入りのモティーフ「アレク サンドラのワルツ」による感傷的で華麗な夜想曲』は、ロシアのニコライ1世の皇后アレクサンドラ・フョードロヴナにヨハン・シュトラウス1世が捧げたワルツの第2主 題をモティーフにした作品。穏やかな曲調で始まるものの「華麗な」のタイトルとおり中間部では華やかな曲調に変化します。 1843年に出版された「さまざまな性格のロマンティックな8つの夜想曲 Op.604」はOp.368に比べ、リストの作品ほどではないものの、はるかに上級者向け に書かれており、感情表現も豊かになっています。ベートーヴェンのソナタ楽章を思わせるエネルギッシュな曲から、ヨハン・シュトラウス風のワルツや、ショパンの 練習曲「革命」を彷彿させるドラマティックな曲など、単なる夜想曲の括りには収めきれないほどの多彩な曲集になっています。 演奏は古典派からロマン派作品を得意とするベルギーのピアニスト、ロベルテ・マムー。シューマンやモーツァルト、ジョン・フィールド作品の録音が高く評価されて います。  
※国内仕様盤には音楽学者でツェルニーの研究をしている中川航氏の解説が付属します。
NAX-8.559934(1CD)
ガーシュウイン:ラプソディ・イン・ブルー 他
ガーシュウィン:キューバ序曲(1932)*
 ラプソディ・イン・ブルー(F. グローフェによるピアノと管弦楽編)(1942年出版)*
 第2ラプソディ - ピアノと管弦楽のために(1931)*
ジョン・タワー(1938-):1920/2019(2019-20)
スティーヴン・スタッキー(1949-2016):ドリームワルツ(1986)
ケヴィン・コール(P)…
ナショナル・オーケストラ・インスティテュート・フィルハーモニック
デイヴィッド・アラン・ミラー(指)
録音:2023年6月15-17日

*=ガーシュウィン・クリティカル・エディションによる世界初録音
ミシガン大学と、ガーシュウィン家の協力により2013年から始まった「ガーシュウィン・クリティカル・エディション」を用いた初の録音となる3作品を収録したアル バム。既存のすべての資料に加えて、ピアノ・ロールなどありとあらゆるソースを使用して、作曲家の意図を最も正確に表現することを目指したこのプロジェクト による演奏は、すでに「パリのアメリカ人」(8.559859)で聴くことができますが、このキューバ序曲、第2ラプソディ、ラプソディ・イン・ブルーの3曲にも新たな研 究成果が反映されています。とりわけ「ラプソディ・イン・ブルー」は、原曲の2台ピアノ版から、オーケストレーションが不得手だったガーシュウィンに代わり、グ ローフェがオリジナルのジャズ・バンド稿を作成、その後さまざまな稿が作られたという複雑な経緯を持つだけでなく、グローフェのオーケストラ版でさえ複数の ヴァージョンがあり、なかなか本当の姿を洗い出すのは困難な作品です。ここではグローフェのシンフォニック・アレンジに基づく版が用いられていますが、ピアニス トのコールはもともとのジャズ・バンド稿にあった44小節を加え演奏しているところも聴きどころです。他にジョン・タワーの推進力に満ちたリズムがはじける 「1920/2016」と、スタッキーの幽玄な「ドリームワルツ」が収録されています。
NAX-8.579149(1CD)
アンリ・ヴュータン:ヴァイオリン希少作品集
ロマンス「友情の思い出」 Op.8bis(1840年代)…世界初録音
フェレンツ・エルケル/ヴュータン:ハンガリー民謡による幻想曲の形式による華麗な二重奏曲(1837)
親密な声 Op.45(1875)
ベートーヴェンの「ロマンス第1番ト長調」の主題による変奏曲(1838)
(O. アドラーによるヴァイオリンとピアノ編 2021年出版)
エレジーOp.30(Vnとピアノ版)(1848)
私の葬送行進曲 Op.58(1879)…世界初録音
声、ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲(1848)…世界初録音(P. レリオによる声、ヴァイオリンとピアノ編2023年出版)
ヴィルモシュ・チコシュ(Vn)
オリヴィエ・ルシャルドゥール(P)
マノン・ラメゾン(S)

録音:2023年2月17-19日、2023年7月5日
19世紀のヴァイオリン奏法に革命をもたらしたアンリ・ヴュータン。彼の弟子であったウジェーヌ・イザイは「師の作品はどんな犠牲を払ってでも守られるべき宝 物」であり、「その全貌が知られるべきである」と主張しましたが、2020年のヴュータン生誕200年は、まさにその機会となり、作曲家の家族にのみ受け継が れた未発表の作品が発掘されました。このアルバムには未発表、世界初録音を3曲含む演奏機会の多くないヴュータン作品を収録。ロマンス「友情の思い 出」はヴュータンと彼の5歳年上の妻ジョセフィーヌとの最初の出会いを暗示しているとされる小さな曲。「私の葬送行進曲」はヴュータンが病に倒れ、体の自 由を失い自身の死を思いつつ書いた悲痛な作品。「声、ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲」(この録音では管弦楽パートをP.レリオがピアノに編曲した版 を使用)は、彼の師シャルル=オーギュスト・ド・ベリオの妻となった高名な歌手マリア・マリブランの素晴らしい歌唱に感銘を受けたヴュータンが、コロラトゥーラ・ ソプラノのエルミニア・フレッツォリーニのために書いた作品。歌パートはすべてヴォカリーズで書かれ、ベルカントの妙技をヴァイオリンと競います。ほかにはハンガ リーの作曲家エルケルとの共作「華麗な二重奏曲」、ベートーヴェンのロマンスを主題とした変奏曲、ヴュータンの作曲活動の絶頂期でありながら、自身の子 供を失った頃に書かれた「エレジー」、ジョセフィーヌの死後、友情を育んだマチルド・ルジューヌに向けて書いた自身の心の告白とも言える曲集「親密な声」が 収録されています。 ヴァイオリンを演奏するのはベルギー出身で2020年にヴェルヴィエで開催されたアンリ・ヴュータン国際ヴァイオリン・コンクールの優勝者、ヴィルモシュ・チコシュ です。
NAX-8.660538(2CD)
ロッシーニ:歌劇「イングランドの女王エリザベッタ」 エリザベッタ…セレーナ・ファルノッキア(S)
レイチェステル…パトリック・カボンゴ(T)
ノルフォルク…メルト・スング(T)
マティルデ…ヴェロニカ・マリーニ(S)
エンリーコ…マーラ・ガウデンツィ(Ms)
グリエルモ…ルイス・アギラル(T)
クラクフ・フィルハーモニーcho
クラクフPO
アントニーノ・フォリアーニ(指)

録音:2021年7月3-4日、2021年7月21日
ロッシーニ15番目の歌劇となる「イングランドの女王エリザベッタ」は、彼が北イタリアの劇場で名を上げたの ち、ナポリのサン・カルロ劇場のために作曲した最初の作品。序曲やいくつかのアリアは「セヴィリアの理髪師」 などの過去作から転用されているものの、初演は大成功をおさめ、ロッシーニは当時のイタリア音楽界におけ る最も重要な都市ナポリにおける歌劇作曲家としての地位を確立することができました。この作品を初演す るために、当時のスター歌手たちが集結。その中にはのちにロッシーニの妻となるイザベラ・コルブランも含まれ ており、彼はイザベラのために超絶技巧を駆使したアリアを書いています。この演奏は、2021年バート=ヴィ ルトバート・ロッシーニ音楽祭での上演記録と、その直前にポーランドのクラクフで行われたオペラ・フェスティ ヴァルの記録を組み合わせたもの。新型コロナウィルスのパンデミック下という難しい時期の上演でしたが、主 役のエリザベッタを歌うセレーナ・ファルノッキアは、低音から高音までむらのない響きを持つ声を生かしながら 難しいコロラトゥーラを見事に決めています。物語で重要な役割を担う2人のテノールは、パトリック・カボンゴ とメルト・スングが担当。やはり素晴らしい声を披露しました。指揮のアントニーノ・フォリアーニは、クラクフ・フィ ルハーモニーOとともに「典型的なロッシーニ・スタイル」を詳細に練り上げ、歌手たちとともに拍手喝 采を浴びました。

   NAXOS 2024年1月発売(2)
NAX-8.574401(1CD)
ポルトガルのピアノ三重奏曲集 第3集
アルマンド・ホセ・フェルナンデス(1906-1983):3声のソナタ ニ長調(1980)
ヌノ・コルテ=レアル(1971-):ソナタ・オランデーサ Op.30(2002/2007改訂)…世界初録音
ホセ・ヴィアナ・ダ・モッタ(1868-1948):ピアノ三重奏曲 ロ短調(1888-89)
トリオ・パンゲア【Leo Belthoise(Vn)、Sara Chorda(Vc)、Bruno Belthoise(P)】

録音:2022年12月26-28日
NAXOSならではの秘曲シリーズ「ポルトガルのピアノ三重奏曲集」。第3集には、およそ3つの世紀にまたがって書かれた3人のピアノ三重奏曲が収録されて います。 ホセ・フェルナンデスは20世紀半ばに活躍した作曲家。この「3声のソナタ」は彼が愛着を抱いていた古典派の様式に基づいたスタイルで作曲されています。 次のコルテ=レアルは1971年生まれ。ポルトガル作曲家協会の最優秀クラシック作品賞を受賞するなど注目の作曲家で、この「ソナタ・オランデーサ」は激 しい曲想と夢のように優しい曲想が入り混じるユニークな作品です。かたやヴィアナ・ダ・モッタは後期ロマン派の作曲家。ベルリンに留学したことで、当時のド イツ音楽の様式を学び、ピアニストとして活動した後に帰国。リスボン国立音楽院の院長を務めるなどポルトガルの音楽発展に寄与しました。この作品は彼 の唯一のピアノ三重奏曲で、ブラームスの影響を色濃く感じさせる美しい旋律を持つものです。 ポルトガルのピアノ三重奏曲を積極的に紹介するトリオ・パンゲアの演奏でお楽しみください。
NAX-8.574498(1CD)
ファブリース・ボロン(1965-):『タロの素晴らしき世界 - 時空を超える音楽の旅』
タロの素晴らしき世界 組曲第1番
タロの素晴らしき世界 組曲第2番
タロの素晴らしき世界 組曲第3番
ルネ・ミュンヒ(マリンバ)
イエナPO
ファブリース・ボロン(指)

録音:2022年2月6日
世界初録音
指揮者としての活躍に加え、最近は「子羊から聞こえるあなたの声」(8.574015)や「生まれない孫たち」(8.574456)の作曲者として、またヤナー チェクの歌劇「利口な女狐の物語」の室内楽版編曲者として、活動の幅を広げているファブリース・ボロン。このアルバムに収録された『タロの素晴らし き世界 - 時空を超える音楽の旅』は2017年に南西ドイツ放送(SWR)SOの委嘱で書かれた作品。子供たちや、クラシック音楽になじみの ない大人たちのための一種の入門編であり、"トルヒーリョ"という惑星に住む324歳(!)の子供タロは「イヤーワームの穴」を使って惑星から惑星へと 飛び回り、さまざまな音の世界を発見するという物語です。作品中にはヴィヴァルディ、ラヴェル、グリーグ、チャイコフスキーらのお馴染みの旋律や、時 にはロックやジャズまで多彩な音楽が現れ、これらはボロンの手によって再構築され新たな世界を作り上げます。途中で聴こえてくるマリンバの音はタロ を表し、その音は背景の音と混然一体となって、聴き手をクラシックの世界へといざなうという趣向です。CDにはナレーションなしのヴァージョンが収録さ れていますが、ドイツ語ナレーション付きのデジタル限定バージョン(9.70356)も用意されています。

   NAXOS 2024年1月発売
NAX-8.574538(1CD)
スッペ:交響的幻想曲/序曲と前奏曲集
劇音楽『詩人と農夫』 - 序曲
交響的幻想曲(1859)…世界初録音
歌劇「水夫の帰国」 第1幕 前奏曲
歌劇「水夫の帰国」 第1幕第1場 バレエ音楽「キャビンボーイの踊り」
カール劇場の展示会のための序曲(前奏曲)…世界初録音
劇音楽『ウィーンの朝・昼・晩』序曲
トーンキュンストラーO
オーラ・ルードナー(指)

録音:2022年10月27-29日
このアルバムの指揮者オーラ・ルードナーは、ウィーン・フォルクスオーパー管やウィーン響のコンサートマスターを歴任し、ウィンナ・オペレッタを熟知しています。 彼は、スッペに大オーケストラのための「幻の交響曲」があることを知り、ウィーンの博物館・図書館に遺されたスッペの手稿譜を丹念に調査して見つけたのが ここに収められた「交響的幻想曲」。当盤が初録音となります。全4楽章、演奏時間30分余りの作品で、ドラムロールで始まる長大な序奏のついた第1楽 章、典雅という言葉がぴったりくるアンダンテの第2楽章、スケルツォ風の陽気な第3楽章、対位法的な展開を織り交ぜつつ見事に盛り上げる終楽章と聴き どころ満点。ロマン派交響曲のファンには見逃せない作品です。冒頭と最後に有名曲を置き、あまり知られていない作品をはさんだ構成も巧みで、ウィーンを 拠点とするトーンキュンストラーOの美しいサウンドと相まって、スッペの管弦楽作品の醍醐味を味わえるアルバムとなっています。
NAX-8.574536(1CD)
フランク:交響曲 ニ短調 M.48
ショーソン(1855-1899):交響曲 変ロ長調 Op. 20
ベルリンRSO
ジャン=リュック・タンゴー(指)

録音:2023年11月1-4日
フランクとショーソン、それぞれ唯一の交響曲をフランス出身のジャン=リュック・タンゴーが演奏したアルバム。 ベートーヴェンの影響を受けながらも、当時、革新的な循環形式を用いたフランクの「交響曲ニ短調」、フラ ンクの弟子であり、やはり循環形式を用いつつ、ワーグナーの影響が感じられるショーソンの「交響曲変ロ長 調」。タンゴーはベルリンRSOの力強い響きを生かしながら、各々の作品の素晴らしさを引き出し ています。なお、ショーソンの交響曲については、出版されている総譜には多くの疑問点を持つというタンゴー 自身が自筆譜を入念に研究し、細心の注意を払って校訂した版を用いて演奏しているところにも注目で す。
NAX-8.574459(1CD)
ヘセンジ・ジ・アウメイダ・プラド(1943-2010):ヴァイオリンとチェロのための作品集
シャンゴの魔法の本(1985)…世界初録音
シランダス(1999)…世界初録音
四季(1983)
コンスタンサとアナ・ルイサのためのカプリッチョ(1998)…世界初録音
前奏曲(2004)
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(2000)…世界初録音
エマヌエーレ・バルディーニ(Vn)
ハファエル・セザリオ(Vc)

録音:Jacaranda Audio, サンパウロ(ブラジル)
2022年2月6日、2022年10月8日
ナクソスがブラジル外務省との提携で進めているブラジル音楽のシリーズの最新作は、アウメイダ・プラドのヴァ イオリンとチェロのための作品集。20世紀後半から21世紀初頭にかけてブラジルで活躍したプラドは、小鳥 のさえずりから緑豊かな森の音、銀河系の星々、そして民間伝承まであらゆるものにインスピレーションを見 出し、様々な編成の作品を書き上げました。このアルバムの冒頭に収録されている「シャンゴの魔法の本」は 以前発売された「オリシャーたちの交響曲」(NYCX-10400国内仕様盤/8.574411輸入盤)と同じ時期 に書かれた作品で、アフリカ由来の伝統宗教に登場する神々たちが描かれています。1999年の「シランダ ス」は、彼の友人たちに捧げられた、民俗舞踊の要素が強く表れた耳なじみの良い音楽。生き生きとした無 伴奏ヴァイオリン・ソナタと抒情的なカプリッチョは、ヴァイオリンの表現力を最大限に引き出すものであり、優 れたヴァイオリニストとなった彼の娘コンスタンサのために書かれました。「四季」はブラジル音楽に取り組む若 い音楽家のコンクールの課題曲として作曲されたもので、各楽章では奏者の技術が試されるように工夫され ています。
NAX-8.574513(1CD)
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第2番、バガテル集、ロンド
バガテル集 Op.47, B.79(1878)
弦楽四重奏曲第2番変ロ長調 Op.4, B.17(1868-70)
ロンド ト短調 Op.94, B.171(1891)
ファイン・アーツQ
諸岡亮子(ハルモニウム)
ステパン・シモニアン(P)

録音:2022年12月20-21日、2021年9月20日、2020年3月7日
1995年にスタートしたNAXOSのドヴォルザーク弦楽四重奏曲全集、途中で演奏者がプラハ・ヴラフ四重奏団から ファイン・アーツSQに代わり、作曲家の没後100年目についに完結です。弦楽四重奏曲第2番は1869 年頃に書かれた、演奏時間50分余りの大曲。当時ワーグナーの音楽に魅了されていた若き作曲家による、半音階 的な和声と転調が多用された野心的な作品です。後にドヴォルザークはこの譜面を破棄してしまいますが、20世紀 になってパート譜の写しが発見され、1932年に初演、1962年にようやく出版されました。民謡の要素は薄く、全体 の構成も比較的自由に書かれています。アルバムの最初に収められた「バガテル」は1878年の作品。2つのヴァイオリ ン、チェロとハルモニウムという珍しい編成で書かれており、古いボヘミアの民謡からの旋律が効果的に用いられた魅力 的な曲集です。ハルモニウムを演奏している諸岡亮子は、ドイツを拠点に演奏と教育で活躍するオルガン奏者。最 後に置かれた「ロンド」は、ドヴォルザークがニューヨークに旅立つためのお別れツアーで演奏された小品。耳なじみよい 旋律とチェロの妙技が際立ちます。
NAX-8.551477(1CD)
フォーレ/エネスコ:ピアノ四重奏曲集
フォーレ:ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調 Op.15
エネスコ:ピアノ四重奏曲第1番 ニ長調 Op.16
カン・スヨン(Vn)
ロリーナ・エレラ(Va)
アンドレイ・イオニーツァ(Vc)
カタリン・シェルバン(P)

録音:2022年11月14-16日
ルーマニアのピアニスト、カタリン・シェルバンを中心に、優れた3人の音楽家たちが集まりフォーレとエネスコの ピアノ四重奏曲を演奏した1枚。アルバムのメインはシェルバンの同郷の作曲家、エネスコのピアノ四重奏曲 ですが、シェルバンはこの曲にはエネスコの師、フォーレのピアノ四重奏曲を併せることが理想的だと語ってい ます。1876年頃から構想されたフォーレのピアノ四重奏曲第1番は、当時のフランスでは一般的ではなかっ たピアノ四重奏の分野の先駆けとなった作品で、ブラームスの影響を感じさせながらも、フォーレならではの流 麗な旋律美にあふれています。一方、1909年に作曲されたエネスコのピアノ四重奏曲第1番は、シェルバン が強く魅了されたという、ドイツ後期ロマン派の影響が感じられる作品。大胆な和声と巧みな対位法に支え られています。どちらの作品もメランコリックな緩徐楽章が特徴で、2人の作曲家のスタイルの違いの中にも親 和性が感じられます。
NAX-8.660534(2CD)
ヴェルディ:歌劇「エルナーニ」 エルナーニ … フランチェスコ・メーリ(T)
エルヴィーラ … マリア・ホセ・シーリ(S)
ドン・カルロ … ロベルト・フロンターリ(Br)
ドン・ルイ・ゴメス・デ・シルヴァ … ヴィタリー・コワリョフ(Bs)
ジョヴァンナ … クセニア・ツィウヴーラス(Ms)
ドン・リッカルド … ジョセフ・ダーダー(T)
ヤーゴ … ダヴィデ・ピーヴァ(Bs)他
フィレンツェ五月祭O&cho
ジェイムズ・コンロン(指)

録音:2022年11月10日サーラ・ズービン・メータ(フィレンツェ五月音楽祭歌劇場)イタリア

【同内容の映像】
DYNAMIC
DVD…DYNDVD37972
Blu-ray…NYDX50316(国内仕様盤)
DYNBRD57972(輸入盤)
歌劇「エルナーニ」は、ヴェルディがその素材をフランス・ロマン派演劇の嚆矢とされるヴィクトル・ユゴーの戯曲 『エルナニ』に求め、台本をフランチェスコ・マリア・ピアーヴェに依頼した作品。複雑な関係にある登場人物一 人ひとりの心の動きを、アリアと重唱によって巧みに表現するという、ヴェルディの音楽的な劇作法の進境が 著しい作品として知られています。エルナーニ役の気品溢れるテノールのフランチェスコ・メーリ、エルヴィーラ役 のドラマティックな高揚感が目覚ましいソプラノのマリア・ホセ・シーリ、国王ドン・カルロ役のヴェルディ・バリトン として名高い、ロベルト・フロンターリ、そしてシルヴァ役の性格俳優的なバスのヴィタリー・コワリョフと、万全の 布陣がなされた歌手陣と、名匠ジェイムズ・コンロンが率いるオーケストラと合唱団による演奏で、若きヴェル ディの鮮烈なドラマをご堪能ください。

   NAXOS 2023年12月発売
NAX-8.579097(1CD)
カタルーニャのチェロ曲集
ガスパール・カサド(1897-1966):愛の言葉(1931)
グラナドス:マドリガーレ イ短調(1915)
グラナドス:ガレガ舞曲(1899)
パブロ・カザルス(1876-1973):ロマンス− チェロとピアノのために(1899)
グラナドス:ゴイェスカス 第1部 - 第4曲 嘆き、またはマハとナイチンゲール(1911)(F. マーシャルによるチェロとピアノ編)…世界初録音
カサド:スペイン古典様式によるソナタ(1925)
ベネト・カサブランカス(1956-):フェデリコ・モンポウのための歌「回想」(1993)
モンポウ:歌と踊り(1918) - 第1曲 カルメシーの娘/カステルテルソルの踊り(G. カサドによるチェロとピアノ編)…世界初録音
カザルス:夢(1896)
カザルス:アルバムの綴り(1897)
グラナドス:ゴイェスカス 第1部 - 間奏曲(1915)(G. カサドによるチェロとピアノ編)
ドミトリ・ヤブロンスキー(Vc)
ライア・マルティン(P)

録音:2021年11-13日、2022年10月11日
20世紀前半のカタルーニャ音楽を語るには、名チェロ奏者・作曲家として活躍したパブロ・カザルスを筆頭とするチェロの演奏家や、作曲家たちの存在が欠 かせません。このアルバムにはカザルスの作品をはじめ、カザルスの弟子ガスパール・カサドによる「スペイン古典様式によるソナタ」や「愛の言葉」、カザルスより 少し前の世代にあたるグラナドスの「ゴイエスカス」や、モンポウの「歌と踊り」の中の曲をカサドがチェロとピアノ用に編曲したもの、また現代の作曲家カサブラン カスによるモンポウへのオマージュ作品など、様々な繋がりのある曲を収録。どれも情熱的な音楽です。演奏は指揮者としてもおなじみドミトリ・ヤブロンス キー。哀愁に満ちた旋律や楽し気な舞曲を朗々と歌い上げています。
NAX-8.574477(1CD)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番、第25番(イグナツ・ラハナー[1807-1895]による弦楽四重奏とコントラバス伴奏版)
ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459(第3楽章カデンツァ:モーツァルト)
ピアノ協奏曲第25番ハ長調 K.503(第1楽章カデンツァ:A. ゴールドスタイン)
アーロン・ゴールドスタイン(P)
ファイン・アーツQ【ラルフ・エヴァンス(Vn1)、エフィム・ボイコ(Vn2)、ジル・シャロン(Va)、ニクラス・シュミット(Vc)】
リジー・バーンズ(Cb)

録音:2022年7月20日、2022年7月21日
※全て世界初録音
1781年、ウィーンに戻ってからのモーツァルトは、フリーの音楽家として精力的に作曲活動を始めました。 1784年の後半に書かれたピアノ協奏曲第19番は、この年に書かれた6曲のピアノ協奏曲の最後を飾るも ので、のちの1790年10月にはレオポルト2世の戴冠式を祝して催された演奏会でモーツァルト自身がピアノ を演奏したことでも知られます。第25番は1786年の作品。最も編成の大きな第24番に比べ、クラリネット は加わらないものの、トランペットとティンパニを加えた編成から生まれる華麗なオーケストラと精緻なピアノ・ パートが特徴です。 ラハナーの編曲は、ピアノ・パートにはほとんど手を加えず、伴奏部の弦楽四重奏にコントラバスを加えること で豊かな響きが味わえるとともに、管楽器パートの旋律もうまく弦楽器へと移し替えられています。また第25 番第1楽章のカデンツァはゴールドスタイン自身によるものです。
NAX-8.573272(1CD)
ジョヴァンニ・ズガンバーティ(1841-1914):シンフォニア・フェスティヴァ/ピアノ協奏曲
シンフォニア・フェスティヴァ(祝祭序曲)(1878-79)…世界初録音
ピアノ協奏曲 ト短調 Op.15(1879-80)
マッシミリアーノ・ダメリーニ(P)
ローマSO
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア(指)

録音:2012年2月26-27日…1
2013年4月14-15日(ライヴ)…2-4
イタリア人の父とイギリス人の母の下に生まれたジョヴァンニ・ズガンバーティ。トレヴィで初期の音楽教育を受 けたあと、1860年にローマに移住。当時ローマに住んでいたフランツ・リストに師事するとともに親交を結び、 師から多大な影響を受けました。またワーグナーの音楽にも接したことで、当時ベルカント・オペラが支配して いたイタリアの音楽界にドイツ音楽を採り入れ、オーケストラ音楽の普及に力を尽くしたことでも知られていま す。 このアルバムには、優れたピアニストでもあったズガンヴァーティの技巧がうかがえる華麗な「ピアノ協奏曲」と、 短いながらも、ベートーヴェンの第7交響曲を彷彿させる舞踏的な性格を持つ「シンフォニア・フェスティヴァ」の 2曲を収録。既発の交響曲第1番(8.573007)と同じく、フランチェスコ・ラ・ヴェッキアが指揮するローマ交 響楽団の演奏です。
NAX-8.579132(1CD)
20世紀のピッコロ協奏曲集
アンドレアス・バクサ(1950-2015):ピッコロ協奏曲 Op.54(2012)…世界初録音
ウロシュ・クレーク(1922-2008):ピッコロ・コンチェルティーノ(1967)
ボリス・パパンドプロ(1906-1991):ピッコロ協奏曲- ピッコロと弦楽合奏のために(1977)
フリジェシュ・ヒダシュ(1928-2007):オーボエ協奏曲(1951) (F. ヴィオラによるピッコロと管弦楽編 2019)…世界初録音
フランチェスコ・ヴィオラ(ピッコロ)
マンハイム国立劇場O
サルヴァトーレ・ペルカッチョーロ(指)

録音:2022年11月2-5日
20世紀初頭にはあまり書かれることのなかったピッコロのための協奏曲ですが、現在では多くの作曲家たちがこのジャンルの作品を手掛けています。このアル バムの演奏者、1987年生まれのフランチェスコ・ヴィオラは、2015年に開催されたセヴェリーノ・ガッゼッローニ国際コンクールのピッコロ部門で優勝し現在マン ハイム国立劇場とフィレンツェ五月祭Oでピッコロを担当しています。このアルバムではルーマニアのバクサ、スロヴェニアのクレーク、クロアチアのパパンド プロとハンガリーのヒダス、4人の東ヨーロッパの作曲家たちの作品を取り上げています。どの作品もピッコロの妙技が遺憾なく発揮されていますが、とりわけバク サから大きな影響を受けたというヴィオラは、このアルバムを手がかりにバクサの音楽に親しんでほしいとブックレットに記しています。
NAX-8.574220(1CD)
ノスコフスキ/ジェレンスキ:ヴァイオリン・ソナタ集
ジグムント・ノスコフスキ(1846-1909):ヴァイオリン・ソナタ イ短調
ウワディスワフ・ジェレンスキ(1837-1921):ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 Op.30
ロロンス・カヤレイ(Vn)
バーナーディーン・ブラハ(P)

録音2022年12月17-18日、2022年12月18-19日
19世紀後半、ポーランドの国民楽派として活動した2人の作曲家、ノスコフスキとジェレンスキのヴァイオリン・ ソナタ集。交響曲の作曲家として知られるノスコフスキのイ短調ソナタは、ベートーヴェンの「クロイツェル・ソナ タ」とブラームスからの影響を感じさせる雄大な作品。第1楽章冒頭の印象的なユニゾンを幕開けに、ヴァイ オリンとピアノが流麗な旋律を奏でます。第2楽章は「クロイツェル・ソナタ」に倣うかのような変奏曲形式で書 かれており、第3楽章ではタランテッラ風のリズムが弾む情熱的な音楽が展開します。 ジェレンスキはポーランド民俗音楽を採り入れた歌劇「ヤネク」で知られる作曲家であるとともに、教師として も広く活躍しました。このヴァイオリン・ソナタは1879年頃の円熟期の作品で、活発な表情を持つ第1楽 章、マズルカ風のリズムによる第2楽章、ゆったりとした序奏に導かれた情熱的な第3楽章と、伝統的な作 風を守りながら雄弁な音楽が展開されています。演奏はラフやメトネルなどのヴァイオリン・ソナタの録音で知 られるスイス出身のロロンス・カヤレイ。1742年製のピエトロ・グァルネリから紡ぎだされる音色が魅力です。
NAX-8.574569(1CD)
期待の新進演奏家シリーズ/エンジェル・スタニスラフ・ワン
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S178/R21
グラナドス:ゴイェスカス 第1部 - 第3曲 燈火のファンダンゴ
ラウラ・ベガ(1978-):永遠の愛への詩曲(2020)…世界初録音
ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 Op.57
エンジェル・スタニスラフ・ワン(P)
ブレトンSQ【Anne-Marie North(Vn1)、Antonio Cardenas(Vn2)、Rocio Gomez(Va)、Carlos Sanchez Munoz(Vc)】

録音:I2022年4月4-8日(ライヴ)、2022年5月2日
中国系ロシア人でアメリカ在住のピアニスト、エンジェル・スタニスラフ・ワン。 彼は2022年に開催された第63回ハエン国際ピアノ・コンクールの優勝者で、このアルバムにはコンクールで 演奏した4曲が収録されています。このコンクールは、スペインの現代作曲家の作品の演奏が必須であり、 第63回で新作を提供したのはグラン・カナリア島出身のラウラ・ベガでした。同じくグラン・カナリア島出身の詩 人サンティアゴ・ジルの愛と死をモティーフとした詩からインスパイアされたという彼の作品は、決して超絶技巧 を要求するのではなく、演奏者に詩人としての役割を求めたもの。8分程度の長さでありながら、起伏に富ん だ内容をもっています。他にはリストのソナタとグラナドス、そしてブレトンSQとの共演によるショスタ コーヴィチのピアノ五重奏の演奏を披露しています。
NAX-8.574489(1CD)
ブラームス:歌曲全集 第4集
6つの歌曲 Op.6(1852-53)
8つの歌とロマンス Op.14(1858)
5つの詩 Op.19(1858-59)
7つの歌 Op.48(1853-68)
アリーナ・ヴンダーリン(S)
キーラン・カレル(T)
ウルリヒ・アイゼンロール(P)

録音:2022年6月13-16日、2022年10月4-6日
NAXOSのブラームス歌曲全集シリーズ。第2集と第3集は民謡集でしたが、第4集では20代の頃に書かれた独唱のための歌曲に焦点が当てられていま す。ボレロのリズムによる「スペインの歌」を含むOp. 6は20歳頃の作品。Op.14は彼の恋人となったアガーテ・フォン・シーボルトとの出会いがきっかけで書か れたと言われる歌曲集。どちらの曲集も、当時彼が魅了されていた民謡をベースとした簡素な作風でありながら、ブラームスらしい旋律美があふれています。 「Op.19のタイトルは「歌(Gesange、Lieder、Romanzeなど)」ではなく「詩(Gedichte)」とされているのが特徴。どの曲もピアノ・パートにも重要な役割 が与えられています。「7つの歌」Op. 48は約10年の歳月をかけて書かれたもので、スイス民謡からの影響が感じられる「恋しい人のもとへ」や、コラールを思 わせる「心変わり」、シューベルトを思わせる長調と短調がめまぐるしく交代する「涙の中の慰め」など聴きどころの多い曲集です。クリストフ・プレガルディエンに 師事したテノール、カレルと、オペラ、コンサートの両面で活躍するソプラノ、ヴンダーリンの演奏で。
NAX-8.660536(2CD)
カヴァッリ:歌劇「セルセ」 セルセ … カルロ・ヴィストーリ(C.T)
アマストレ … エカテリーナ・プロツェンコ(S)
アルサメーネ … ガイア・ペトローネ(Ms)
ロミルダ … カロリーナ・リッポ(S)
アデランタ … ディオクレア・ホッジャ(S)
アリオダーテ … カルロ・アッレマーノ(T)
アリストーネ … ニコロ・ドニーニ(Bs)
ペリアルコ … ニコロ・バルドゥッチ(C.T)
エルヴィーロ … アコ・ビシェヴィチ(C.T) 他
オーケストラ・バロッカ・モード・アンティクオ(古楽器使用)
フェデリコ・マリア・サルデッリ(指)

録音:2022年7月25日、29日、31日ヴァッレ・ディトリア音楽祭、ヴェルディ劇場、マルティーナ・フランカ(イタリア)
ペルシャ王セルセ(クセルクセス)はスシア王オッターネの娘アマストレという婚約者があるにも関わらず、弟アルサメーネの恋人ロミルダに横恋慕。そのロミル ダの妹アデランタはアルサメーネを愛しているが故に、ロミルダにセルセの愛を受け入れるようそそのかしますが… 興味深い蘇演プロジェクトの数々で話題を集めるヴァッレ・ディトリア音楽祭より、イタリア・バロック・オペラの創始者モンテヴェルディの高弟として、17世紀中 盤に絶大な人気を誇ったフランチェスコ・カヴァッリの歌劇「セルセ」、DYNAMICから発売され好評を博した映像のCDが登場です。 「セルセ」といえば、ヘンデルのオペラがその冒頭のアリア〈オンブラ・マイ・フ〉と共によく知られていますが、この台本は作家ニコロ・ミナートが元々はカヴァッリのた めに書いたもの。作品は1655年ヴェネツィア初演の後1660年パリで再演され、カヴァッリの声価はフランスでも大いに高まりました。 外題役のカルロ・ヴィストーリ、セルセの弟アルサメーネ役のガイア・ペトローネら中堅、若手を中心としたフレッシュな歌手陣による歌唱は、バロック・オペラの 名匠、フェデリコ・マリア・サルデッリ率いるオーケストラ・バロッカ・モード・アンティクオの伸びやかな演奏と相まって、この隠れていた名作を見事、現代に蘇らせて います。

   NAXOS 2023年11月発売 (2)
NAX-8.559911(1CD)
アメリカの協奏曲と管弦楽組曲集
コープランド:組曲「入札地」(1958)
クレストン(1906-1985):サクソフォン協奏曲 Op.26(1941)*
ユリシーズ・ケイ:ピエタ(1950)*
ピストン(1894-1976):バレエ組曲「不思議な笛吹き」(1940)
アンナ・マティクス(コールアングレ)
ティモシー・マカリスター(アルトSax)
ナショナル・オーケストラ・インスティトゥート・フィルハーモニック
ジョアン・ファレッタ(指)

録音:2022年6月16-18日
*…世界初録音
20世紀半ばのアメリカ音楽の形成に貢献した4人の傑出した作曲家たちの作品を集めたアルバム。 コープランドの「入札地」は高校卒業を間近に控えた少女を巡る、米国中西部の農家の出来事を題材にした歌劇からの組曲。のどかな牧場風景と 都会への憧れがコープランドらしい明快な曲調で描かれています。歌劇では合唱が入る「The Promise of Living 生活の約束」もここではオーケス トラのみで奏されます。 クレストンの「サクソフォン協奏曲」は、1930年代のアメリカにサクソフォンを広めた奏者セシル・リーソンのために書かれた曲。 ジャズ・バンドで活躍することの多かったこの楽器の"本当に美しい音色と可能性"を追求した作品として評価されています。コールアングレと弦楽オー ケストラのための「ピエタ」を作曲したユリシーズ・ケイはローマ賞を受賞した初の黒人作曲家。彼がローマに赴いた際、現在バチカン市国のサン・ピエト ロ大聖堂に安置されているミケランジェロの有名な同名彫刻にインスピレーションを得た作品とされています。ソリスト、アンナ・マティクスがこの作品を発 見し、ファレッタに演奏を持ちかけたというものです。ピストンの「不思議な笛吹き」は、1938年にアーサー・フィードラーがボストン・ポップス・オーケストラ のために依頼した作品。聞く人の悲しみを癒すことができる魔法の音楽家が率いる旅するサーカス団を描いたバレエ音楽です。ファレッタの巧みな指 揮が各作品のすばらしさを際立たせています。
NAX-8.574504(1CD)
ハイドン:バリトン三重奏曲集 第2集
バリトン三重奏曲第67番ト長調 Hob.XI:67
バリトン三重奏曲第6番イ長調 Hob.XI:6
バリトン三重奏曲第113番ニ長調 Hob.XI:113
バリトン三重奏曲第71番イ長調 Hob.XI:71
バリトン三重奏曲第35番イ長調 Hob.XI:35
バリトン三重奏曲第93番ハ長調 Hob.XI:93
バレンシア・バリトン・プロジェクト
【メンバー】
マシュー・ベイカー(Br)
エステバン・デ・アルメイダ・レイス(Va)
アレックス・フリードホフ(Vc)

録音:2022年10月18-20日
ハイドンは、ほぼ25年間にわたり、裕福なエステルハージ家の宮廷音楽家として奉職していました。とりわけ彼が宮廷楽長を務めていた時期の当 主ニコラウス1世(1714-1790)は音楽に深い理解を示し、ハイドンの活動を奨励したため、ハイドンはそれに応えるべく数多くの作品を生み出し、熱心に演 奏したのです。そのニコラウス1世が好んだのが「バリトン」でした。これは17世紀後半に発案されたヴィオール属の擦弦楽器で、通常6本〜7本のガット弦 と、前面を板で覆われた9本から24本(12本が多い)の金属弦を持っており、こちらは共鳴弦であると同時に、左手の親指ではじくことが出来るというもの。 しかし、弦が多いため調弦も演奏も難しく、19世紀にはほとんど廃れてしまいました。ハイドンはこの楽器についてほとんど知識がなかったようですが、主君の ために楽器を研究し、バリトンとヴィオラ、チェロによる126曲もの三重奏曲をはじめ、二重奏曲や協奏曲を作曲しています。これらの三重奏曲は5巻のシ リーズで出版されましたが、楽器の希少性のためか、現在ではほとんど演奏されることがありません。尚、この楽器に最も適した調性はイ長調なので、多くの 曲はイ長調で書かれています。 第1集(8.574188)に続くこのアルバムにも6曲のバリトン三重奏曲を収録、マシュー・ベイカーが演奏するのは2004年に制作されたOwen Morse- Brownによる復元楽器で、18世紀の典雅な響きが忠実に再現されています。
NAX-8.574509(1CD)
メンデルスゾーン:稀少ピアノ作品集
ピアノ・ソナタ ヘ短調 MWV U23(1820)
ピアノ・ソナタ ホ短調 MWV U19(1820)
無言歌 変ホ長調 MWV U68(1828)
無言歌集 第7巻 Op.85- 第5番イ長調 MWV U191(1847年版)
無言歌 ニ長調 MWV U178(1843)
無言歌 ヘ長調 MWV U150(1841頃)
無言歌 嬰ヘ短調 MWV U124(1836)
アレグレット イ長調 MWV U138(1837)
アンダンテ イ長調 MWV U76(1830)
無言歌集 第1巻 Op.19b - 第2番MWV U80(1830年初稿)
無言歌 変ホ長調 MWV U82(1830年以降)(R.L. トッドによる補筆完成版)
アンダンテ・コン・モート イ長調 アルバムの綴り「5月21日」 MWV U75(1830)
コン・モート イ長調 MWV U88(1831)
時間の経過とともに MWV U196(1847)
主題と変奏 ニ長調MWV Z1, No.119(1820頃)
ピアノ小品 ト長調 MWV U38(1822)
アンダンテ 変ホ長調 MWV U165(1842)
ソステヌート ヘ長調 MWV U167(1842)
カノン 嬰ヘ短調 MWV U163(1842年版)
カプリッチョ 変ホ短調 MWV U43(1824)
アレグロ ヘ長調「Barentanz」 MWV U174(1842)
クリストファー・ウィリアムズ(P)

録音:2022年12月19-20日
早熟の天才で「神童」とも呼ばれたメンデルスゾーンは、幼少の頃からピアノ曲や室内楽曲、弦楽のための 交響曲など数多くの作品を書きました。しかしそのほとんどは、内輪の演奏会用に作曲されたもので、長い 間出版されることはありませんでした。また長じてからは、やはりたくさんの作品を書いたものの、自己批判に より生前に出版されなかった作品も多く、これらは最近になってようやく出版され、その正確な作曲年代が判 明するようになりました。このアルバムにはそんなあまり知られていない作品を収録。11歳頃の初期の曲から 晩年の作品、稿違いなど珍しい曲を聴くことができます。とりわけ冒頭に置かれた2曲のソナタは、ベートー ヴェンの影響も感じさせながら、驚くほどの成熟を示しています。 ピアニスト、クリストファー・ウィリアムズはウェールズ出身、現在カーディフ大学のピアノ講師を務める傍ら、ソリ スト、室内楽奏者として活躍、希少作品の紹介にも力を注いでいます。
NAX-8.551484(1CD)
ドイツの受難曲〜17世紀の四旬節と復活祭の時期の音楽集
1. ブクステフーデ(1637頃-1707):イエスよ、わが命の命 BuxWV62
2. ヨハン・クリストフ・デマンティウス:Weissagung des Leidens und Sterbens Jesu Christi
3. シュッツ(1585-1672):優しく、親しく、慈しみ深い主イエス・キリストよ SWV285
4. ハンス・レオ・ハスラー(1564-1612):おお、血と涙にまみれた御頭よ
5. ヤーコプ・ハンドル(1550-1591):見よ、正しき者のいかに死せるとも
6. ディートリヒ・ベッカー(1623頃-1679):イエス、わが喜び
 Trauer - und Begrabnis - Musik 悲しみと葬送の音楽 - シンフォニア
7. ジーズ・デ・フリエス(1973-):イエス、わが喜び オルガン即興
8. ヨハン・ミヒャエル・バッハ(1648-1694):イエス、わが喜び Halt was du hast
9. アンドレアス・ハンマーシュミット(1611-1675):ああ、イエスは死なん
10. マティアス・ヴェックマン(1616-1674):泣かないで
11. グレゴリオ聖歌:キリストは死の絆につかせたまえり - 復活のいけにえ
12. ハインリヒ・シャイデマン(1595-1663):キリストは死の絆につかせたまえり - 復活のいけにえ
13. シャイデマン:キリストは死の絆につかせたまえり Variation1
14. ハスラー:キリストは死の絆につかせたまえり Hymnus
15. ザムエル・シャイト(1587-1654):キリストは死の絆につかせたまえり Motet
16. ブクステフーデ/ヨハン・クリューガー(1598-1662):今日、神の子は勝利なさった
マルガレータ・コンソート(声楽&古楽器アンサンブル)
ソプラノ2/アルト/テノール/バリトン/バス/各種ヴィオール/ヴィオローネ/ヴァイオリン2/ポジティフ・オルガン/オルガン
マリト・ブルクルーロフス(指)

録音:2023年2月25-28日
12世紀頃、神聖ローマ帝国の中で皇帝に直接忠誠を誓う帝国自由都市が連合し、14世紀中頃までの最盛期には100以上の都市が加盟していた「ハ ンザ同盟」。北海・バルト海沿岸と内陸の北ドイツから西はフランドル、東は現在のポーランド・バルト諸国・ロシアにおよぶ地域の商業都市が結成したこの 同盟は16世紀に衰退しましたが、ハンザが築いた巨大な富は各地の壮大な大聖堂に反映されました。この聖堂の空間の豊かな音響を満たすために書か れた創意工夫に溢れた復活祭を中心とする教会音楽を集めた1枚。即興演奏や、様々な作曲家が「キリストは死の絆につかせたまえり」などの元の譜面を 翻案し、テキストを強化した作品など多彩な曲が収録されています。演奏は、2009年設立のオランダを拠点に活動する「マルガレータ・コンソート」。精鋭の 奏者たちによる演奏です。
NAX-8.551480(1CD)
ヴァイオリンとピアノのためのリトアニアの音楽集
ユオザス・グルオディス(1884-1948):ヴァイオリン・ソナタ ニ短調(1922)
カジミエラス・ヴィクトラス・バナイティス(1896-1963):ヴァイオリン・ソナタ ニ短調(1935)
スタシス・ヴァイニウナス(1909-1982):ヴァイオリン・ソナタ Op.38(1971)
ユリウス・ユゼリューナス(1916-2001):ヴァイオリン・ソナタ(1972)
シモーナ・ヴェンスロヴァイテ(Vn)
ヴェロニカ・コプヨーヴァ(P)

録音:2021年8月2-6日
20世紀のリトアニアで書かれたヴァイオリン・ソナタ4編を収めたアルバム。かつてリトアニア大公国として繁栄 を誇りながら、17世紀後半以降、長期間にわたって国土の分裂と異民族による支配を受けて来たリトアニ アでは、民族のアイデンティティの一つとして民族舞踏や民謡が守られてきました。このアルバムでは、モダニズ ムの洗礼を受けた作曲家たちが民族音楽の素材を消化して書いた四者四様のヴァイオリン・ソナタを収めて います。リトアニア音楽史上初のヴァイオリン・ソナタとされるグルオディスの作品と、リトアニア唯一の印象派と されるバナイティスの作品は、両大戦間のリトアニア第一共和国時代に書かれたもの。悲劇的なトーンを持 つヴァイニウナスのソナタと、第2次大戦後のリトアニア音楽の発展に貢献したユゼリューナスのソナタはソ連時 代の1970年代の作品。個性的な創作であると同時に時代の空気をも伝えてくれます。

   NAXOS 2023年11月発売
NAX-8.574563(1CD)
ピーター・グレイアム(1958-):ブラスバンド作品集
トリケトラ、「オールド・ハンドレッドス」による幻想曲(2023)*
マスター・オヴ・サスペンス(2023)*
ブラムのための讃歌(2023)*
ハイパーリンク(2022)*
フォース・オヴ・ネイチャー(2023)*
時の勝利、ブラスバンドのための変奏曲(2014)
レックス・リチャードソン(トランペット/フリューゲルホルン)
デイヴィッド・チャイルズ(ユーフォニアム)
ブラック・ダイク・バンド
ニコラス・チャイルズ(指)

録音:2022年10月31日、2022年11月24日、2023年3月9日、2023年5月17日、2023年5月30日
*…世界初録音
アメリカ吹奏楽指導者協会により、年に1回優れた吹奏楽曲の作曲家に与えられるオストウォルド賞(Ostwald Band Composition Award)を2002年に受賞したピーター・グレイアム。彼は同世代を代表するブラスバンド曲の作曲家の一人であり、これまでにも数多くの作品を発表。2018年、NAXOSか ら発売した「メトロポリス1927」(8.573968)はニコラス・チャイルズが指揮するブラック・ダイク・バンドの名演も相俟って高い評価を受けました。このアルバム では再びブラック・ダイク・バンドが演奏、ヒッチコックの映画からインスパイアされたトランペット協奏曲(第2楽章はフリューゲルホルン持ち替え)「マスター・オヴ・ サスペンス」や、アーネスト・ヘミングウェイの人生を辿ったユーフォニアム協奏曲「フォース・オヴ・ネイチャー」など5曲の世界初録音を含む作品が収録されてい ます。
NAX-8.574408(1CD)
エジノ・クリーゲル(1928-2022):管弦楽作品集
ファンファーレとシークエンス(1970)…世界初録音
諸要素の変奏曲(1964)
カンティクム・ナトゥラーレ(1972)
エストロ・アルモニコ(1975)
ノバ・フリブルゴの3つの映像(1988)
交響的な遊び(1965)
フラヴィア・フェルナンデス(S)
サンパウロ交響cho
ゴイアスPO
ニール・トムソン(指)

録音:2021年10月8-13日
エジノ・クリーゲルは幼いころからヴァイオリンの才能を発揮。リオデジャネイロでブラジル作曲界の指導的な存在であったケルロイターに作曲を学んだ後、コープ ランドの招きで渡米してタングルウッドやジュリアードなどで学びました。一旦帰国した後、英国王立音楽院でバークリー(に師事。帰国後は作曲を続ける傍 ら、放送局付きのオーケストラの指揮者及び音楽番組のディレクターとして欧米の最新の動向を紹介するなどしてブラジル音楽界に影響を与えました。その 作風はセリー主義、新古典主義を経て、伝統と前衛の融合が図られており、作曲年代によってさまざまな表現が楽しめます。アルバムには6作品が収録さ れていますが、その中でも「カンティクム・ナトゥラーレ」は広大なアマゾンを音で描いたクリーゲルの代表作の一つです。世界初録音となる「ファンファーレとシー クエンス」は合唱を伴う5分程度の小品。3つのトランペットと4つのホルンが呼び交わす中で奏されます。「Variacoes Elementares=諸要素の変奏曲」 は短い旋律がモティーフとして用いられた10の変奏からなる作品。17世紀のポリフォニーも駆使しながら発展していく音楽です。また「ノバ・フリブルゴの3つの 映像」はリオデジャネイロ州の山岳地帯ノバ・フリブルゴ市からの委嘱作。弦楽オーケストラとチェンバロのために書かれており、弦の特殊奏法など楽器テクニッ クを要する作品です。 ブラジル音楽シリーズでおなじみのニール・トムソンが指揮するゴイアスPOによる演奏です。
NAX-8.573990(1CD)
ウォルトン:チェロ協奏曲(1956)(A. セローヴァによるヴィオラと管弦楽編2018)
ロベルト・モリネッリ(1963-):ウォルトン夫人の庭(2017)
ウィリアムの岩(2018)
ミッシング・E(2022)*
アンナ・セローヴァ(Va)
シギ・ベラスケス(ケーナ/ケナーチョ)
ドナルド・モーリス(ヴィオラ・ダ・モーレ)
リッカルド・ベルトッツィーニ(エレクトリック・ギター)
ジャンルカ・ペルシケッティ(ギター/カヴァキーニョ)
ソニア・マウラー(バンドネオン)
アントニオ・イッポーリト(バンドネオン)
ステファノ・ロッシーニ(パーカッション)
ボルツァーノ・トレント・ハイドンO
ロベルト・モリネッリ(指揮,(エレクトロニクス*

録音:2018年9月6-10日 、2022年11月11日*
※全て世界初録音
アンナ・セローヴァ(Va) シギ・ベラスケス(ケーナ/ケナーチョ)…8 ドナルド・モーリス(ヴィオラ・ダ・モーレ)…7 リッカルド・ベルトッツィーニ(エレクトリック・ギター)…7 ジャンルカ・ペルシケッティ(ギター/カヴァキーニョ)…8 ソニア・マウラー(バンドネオン)…8アントニオ・イッポーリト(バンドネオン)…8 ステファノ・ロッシーニ(パーカッション)…8 ボルツァーノ・トレント・ハイドンO…1-7 ロベルト・モリネッリ(指揮…1-7)(エレクトロニクス…8) 録音:2018年9月6-10日 Auditorium di Bolzano(イタリア)…1-7 2022年11月11日 Recantus Studios Roma(イタリア)…8
NAX-8.559923(1CD)
ルイス・ウェイン・バラード(1931-2007):悪魔の遊歩道、他
悪魔の散歩道(1973)
アボリジニ幻想曲第3番「ココペリ」(1977)
4つの月(バレエ・パ・ド・カトル)(1967)
「インディアンの生活」からの情景(1994年版)
フォート・スミスSO
ジョン・ジーター(指)

録音:2023年4月24日
※全て世界初録音
ルイス・ウェイン・バラードは最初の北米先住民族の音楽家の一人であり、居住区のクアポー語で「ホンガノゼ=鷲とともに立つ」を意味する別名でも知られ ています。彼はタルサ大学で音楽を学び、卒業後はニューメキシコ州サンタフェのアメリカン・インディアン・アート研究所(IAIA)で働きました。当時この地域の 若い学生たちは自分たちの部族の歌を知らなかったため、バラードは先住民たちの歌を集め、これらについて講義したり教えたりしています。北米の民俗音 楽や舞曲、そして神話から影響を受けた彼の作品は12音を採り入れながらも、調性的であり、ユニークな打楽器の用い方でも異彩を放ちます。このアルバ ムには4作品を収録。 クアポー族の舞曲と楽器を用いた「悪魔の散歩道」、6つの「アボリジニ幻想曲」から音楽の神の名を持つ第3番「ココペリ」、オクラホマ州創立60周年を記 念して作曲されたバラードの3番目のバレエ音楽「4つの月」、2つの部族の会話を風刺的に扱った「インディアンの生活」からの情景。どれもリズミカルな要素 を持つ親しみやすい音楽です。
NAX-8.660543(2CD)
リムスキー=コルサコフ:歌劇「クリスマス・イヴ」 ヴァクーラ … ゲオルギー・ヴァシリエフ(T)
オクサーナ … ユリア・ムジチェンコ(S)
ソローハ/紫色の鼻の女 … エンケレイダ・シュコーザ(Ms)
チューブ … アレクセイ・ティホミーロフ(Bs)
悪魔 … アンドレイ・ポポフ(T)
パナス … アンソニー・ロビン・シュナイダー(Bs)
村? … セバスティアン・ゲイアー(Br)
輔祭 … ピーター・マーシュ(T)
女帝 … ビアンカ・アンドリュー(Ms)
パツューク … トーマス・フォークナー(Bs)
普通の鼻の女 … バルバラ・ツェヒマイスター(S)他
フランクフルト歌劇場O&cho
セバスティアン・ヴァイグレ(指)

録音:2021年12月17-19日、2022年1月8日(ライヴ)フランクフルト歌劇場(ドイツ)
コサックの娘オクサーナは、自分が一番美しいと思い、愛の告白をしてきたヴァクーラに「女帝の靴が欲しい」と無理難題を吹っ掛けます。一方ヴァクーラの母 ソローハは魔女で、悪魔と愛し合っています。その悪魔を捕まえたヴァクーラは、「女帝の靴」を手に入れるために十字架の力で悪魔を手下にして・・・ 作家ニコライ・ゴーゴリが1832年に出版した創作民話集『ディカーニカ近郷夜話』の中の1編『クリスマス・イヴ』を原作に、リムスキー=コルサコフが独創的な 和声法によるオーケストレーションを駆使して作曲。その音楽は初演当時から高く評価されたものの、舞台演出の難しさから上演される機会が少なかった作 品です。こちらは先行する同キャストによる映像の音声をCDに収録したものです。 歌唱陣では主役ヴァクーラに、美声テノールのゲオルギー・ヴァシリエフ、オクサーナ役に表情豊かな新鋭ソプラノのユリア・ムジチェンコ、ソローハ役にベテラン、 エンケレイダ・シュコーザ、悪魔役にアンドレイ・ポポフらを配し、日本でもおなじみの名指揮者セバスティアン・ヴァイグレ率いるフランクフルト歌劇場の合唱団、 オーケストラが、リムスキー=コルサコフの豊潤な音楽を鮮やかに奏でます。
NAX-8.574575(1CD)
クリスマスの合唱作品集
1. 伝承曲:久しく待ちにし(D. ヒルによる合唱とオルガン編)
2. 伝承曲:コヴェントリー・キャロル(R. アランによる合唱編)
3. リチャード・ロドニー・ベネット(1936-2012): さまよいながら私は不思議に思う(K. グラフトンによる合唱編)
4. ジョン・ジュベール(1927-2019):トーチ Op. 7a
5. ウィリアム・J・カークパトリック(1838-1921):まぶねの中で(D. ヒルによる合唱とオルガン編)
6. ホルスト:おねむりなさい、いとしい子よ Op.34, No.2
7. ロバート・ルーカス・ピアサル(1795-1856):甘き喜びのうちに Op.10
8. 伝承曲:天使は乙女に(B. ローズによる合唱とオルガン編)
9. フランツ・クサーヴァー・グルーバー(「1787-1863):きよしこの夜(D. ヒルによる合唱編)
10. ミヒャエル・プレトリウス(1751-1621):賛美の歌を響かせよ(D. ハイリーによる合唱編)
11. ケネス・レイトン(1929-1988):ワールド・デザイア - クライスト・チャイルド・レイ
12. ピーター・ウォーロック(1894-1930):ベツレヘム・ダウン(D. ヒルによる合唱とオルガン編)
13. ハウエルズ:久しき昔
14. エイドリアン・ピーコック(1962-):Venite, Gaudete!
15. エリック・ウィテカー(1970-):黄金の光(ルクス・アルムク)
16. ジョン・タヴナー:聖母マリアより - 第8曲 ロッキング
17. 伝承曲:囚われのアダムは横たわり
18. 伝承曲:ディンドン空高く(S. ニコルソンによる合唱とオルガン編)
19. ジョン・フランシス・ウェイド(1711-1786):神の御子は今宵しも(編曲:D. ヒル)
デイヴィッド・ダネット(Org)
アイコン(合唱)
デイヴィッド・ヒル(指)

録音:2009年7月20-21日
※The Gift of Music* CCLCDG1232より移行盤(2011)
伝承曲から1970年生まれのウィテカーまで、多彩なクリスマス・キャロルを収録した1枚。素朴な曲から「きよしこの夜」など、曲に合わせたアレンジが楽しめる 心地よい1枚です。 「アイコン」はディヴィッド・ヒルが結成した合唱団、メンバーはソプラノ5、アルト4、テノール4、バス4の精鋭歌手によって構成されています。


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