湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック



PHOENIX EDITION
(オーストリア)


クリスティーネ・シェーファーやクリストフ・エッシェンバッハなど、多くのアーティストたちの 賛同を得て、ヨハネス・ケルンマイヤーが、2008年春、ウィーンにて新しいプロジェクトを立 ち上げました。レーベルの名前は、PHOENIX EDITION(フェニックス・エディツィオン)。ドイ ツ文化放送や西ドイツ放送、北ドイツ放送と幅広いコネクションを持つ彼が、自信を持って お届けするラインナップです。



※「単価=¥0」と表示されるアイテムは廃盤です。

品番 内容 演奏者
PE-103(1SACD)
シュニトケ:ピアノ協奏曲集
ピアノ協奏曲(1960)、
ピアノと弦楽オーケストラのための協奏曲、
4手ピアノと室内オーケストラのための協奏曲(1988)*
エヴァ・クピエツ(P)、
マリア・レットベリ(P)*、
フランク・ストローベル(指)ベルリンRSO
シュニトケ(1934-1998)の音楽を論じるのはとても困難なことと言われます。なぜなら彼は時代に即してその作風を変えてきたからです。このアルバムではショスタコーヴィチの影響を受けたと思われる最初期の作品からセリー、12音、多様式と時代に合わせて形を変えてきた彼の音楽性を楽しむことができます。26歳の時に書かれた最初のピアノ協奏曲(2005年にクピエツが公式に演奏するまで忘れられていた作品)と、4手のための協奏曲など3つの協奏曲がすべて収録されています。
PE-104
モーツァルト:歌劇「劇場支配人」 ノエミ・ネーデルマン(S)、
オフェーリア・サラ(S)
ローター・オディニウス(T)
カーステン・サブロフスキ(Bs)、
ネヴィル・マリナー(指)ベルリン・ドイツSO
この作品は、モーツァルト(1756-1791)が皇帝ヨーゼフ2世の依頼により1786年に作曲したもの。とはいえ、序曲とアリアが4曲あるのみで、あとはセリフで補ったり他のバレエ曲をあわせたりと上演の際は色々と趣向が凝らされます。この演奏はあの名演出家オットー・シェンクが劇場支配人となって絶妙な語りを聴かせます。あの有名な「こうもり」での名演出&看守フロッシュ役での名演技を彷彿させるなんとも楽しい一人芝居。ドイツ語がわからずともこの雰囲気はしっかり伝わるはずです。
PE-105
マーラー:さすらう若人の歌、なき子をしのぶ歌
「少年の不思議な角笛」*〜死んだ鼓手/少年鼓手/番兵の夜の歌/魚に説教するパドヴァの聖アントニウス
トーマス・クヴァストホフ(Bs-Br)、
ホーカン・ハーゲゴール(Br)*、
ガリー・ベルティーニ(指)ケルンRSO
CAPRICCIO*71124の再発盤。(SACDから通常盤への変更)、今なお忘れがたきベルティーニのマーラー(1860-1911)。この歌曲集でも涙が溢れるほどの共感できる名演を聴かせてくれます。柔軟な「若人」、思いの他引き締まったテンポが新鮮な「なき子」。息つく暇もなくマーラーの世界へと引き込まれることでしょう。ソリストも万全。瑞々しいクヴァストホフ、表現力豊かなハーゲゴート。2人の持ち味を存分に生かした選曲も見事です。
PE-106
F・クロンマー:ディヴェルティメントヘ長調Op.96
ピアノ四重奏曲Op.95
コトラスト・ケルン弦楽三重奏団
[ジルヴィー・クラウス(Vn)、
リスティアン・グーセス(Va)、
ヴェルナー・マツケ(Vc)、
アレクサンダー・プリアエフ(ハンマークラヴィーア]
モーツァルトと同時代の作曲家、クロンマー(1759-1831)はモラヴィアに生まれ主にウィーンとハンガリーで活躍した人です。彼は典型的な古典派の特長を備えた作品を書き、それはハイドン風でもあり、ベートーヴェン風でもあります。晩年の作品はロマン派の作風も備えており、この時代の作品を集中して聴きたい人にはうってつけの1枚と言えそうです。ピアノ四重奏曲でのフォルテピアノの優雅な響きもたまりません。1999年に結成されたコントラスト・ケルン弦楽三重奏団は、緊密なアンサンブルと暖かい楽器の音色が魅力的。
PE-107(2CD)
ベートーヴェン・アカデミー/ベートーヴェンの作品集
ベートーヴェン:「献堂式」序曲、
3つの讃歌(ミサ・ソレムニス〜キリエ/クレド/アニュス・デイ)
交響曲第9番「合唱」
ペーター・ライカ(Bs)、
クラウディア・バラインスキ(S)、
ゲルヒルト・ロンバーガー(Ms)、
レイ・M・ウェイド・ジュン(T)、
ダニエル・ボロウスキ(Bs)、
コーラス・ムジクス・ケルン、
クリストフ・シュペリング(指)ダス・ノイエO
1824年5月7日、ウィーンで第9の初演が行われた際のプログラムをそのまま復元した演奏会です。オリジナル楽器オーケストラの最高峰によるベートーヴェン(1770-1827)をお聴きください。艶やかな弦の響きと軽快なテンポに思わず心惹かれます。研究家としても名高いシュペリングの指揮は、細かいところまで心配りの行き届いた説得力のある演奏。後半若干アンサンブルに乱れが生じますが、それもご愛敬と言えるでしょう。
PE-111
ヨーゼフ・マルティン・クラウス:劇音楽「アンフィトリオン」 シャンタル・サントン(S)、
ゲオルグ・ポプルッツ(T)、
ボナー室内cho
ヴェルナー・エールハルト(指)
ラルテ・デル・モンド
「北欧のモーツァルト」マルティン・クラウス(1756-1792)が一番得意とした分野がこの劇場音楽です。場面に合わせて表現力豊かな音楽が次から次へと湧きだし、聴き手の耳を楽しませてくれます。このエールハルトのライヴ録音の素晴らしさは言葉に尽くせません。歌手、合唱、そして管弦楽。全てが最上の音を奏でます。
PE-112
ウィーン・ホーフカペレ〜ウィーンの宮廷礼拝堂の音楽
アイブラー、ハーベック、サリエリ、
モーツァルト他
レネーケ・ラウテン(S)
、ヨハネス・マルティン・クレンツレ(Br)
ダニエル・ベーレ(T)
ウタ・クリスティナ・ゲオルグ(Ms)
ヘルムート・フロシャウアー(指)ケルンWDR放送O
ウィーンの宮廷礼拝堂が設立されたのは1948年、マクシミリアン1世の統治中だとされています。多くの作曲家が即位式や祝賀のための音楽を委嘱され、素晴らしい作品を残しています。この中にはハイドンやモーツァルトなどの良く知られた作曲家から、アイブラーやハーベックなど現在では忘れられてしまった人など多彩な作品が含まれています。計り知れないほど価値のあるアーカイヴです。
PE-113
ヘンツェ:歌劇「バッカスの巫女たち」〜アダージョ、
フーガと侍女たちの踊り、
夜曲とアリア、交響曲第8番
クラウディア・バラインスキ(S)、
マルクス・シュテンツ(指)
ケルン・ギュルツェニヒO
CAPRICCIO*71134の再発売盤(SACDから通常盤への変更)。現代のドイツで最も重要な作曲家の一人であるヘンツェ(1926-)。彼は多彩な音色を駆使した特異で重厚な作品を発表し続け高い人気を誇っています。このアルバムは、歌劇「ルプパ」の初演などで評価され、ヘンツェ解釈の第一人者と目されているシュテンツの指揮によるもの。シェイクスピアの「真夏の夜の夢」に着想を得たという交響曲第8番など特有の濃厚な世界が広がります。
PE-114
グルリット:ゴヤ交響曲、
4つの劇的な歌曲集*
クリスティアーネ・エルツェ(S)、
アントニー・ボーモント(指)ベルリンRSO
作曲家、指揮者グルリット(1890-1972)をご存知でしょうか?終戦後ドイツを逃れ、縁あって来日、幾多のオペラを初演し、音楽教育にも貢献した人です。多くの作品を書いているのですが、そのほとんどは忘れ去られてしまいました。彼の名前が残っているのは、「ヴォツェック」や「軍人たち」など、皮肉にも他の作曲家によって同名のオペラが書かれた時の比較としてでしょうか。何はともあれ、この時代の「典型的な」音楽に満ち溢れた作品です。「4つの劇的な歌曲集」は彼の4番目の妻となった日高久子のために書かれたものです。
PE-116(2CD)
モーツァルト:大ミサ曲ハ短調K.427、
レクイエム*
アーリーン・オージェー(S)、
リス・ゾッフェル(Ms)、トマス・モーザー(T)、
シュテファン・ローベルト(Bs)、
ヴォルフラム・ゲーリング(Org)、
クリスティーナ・ラキ(S)*、
ドリス・ゾッフェル(Ms)*、
ロベルト・スヴェンセン(T)*、
トーマス・クヴァストホフ(Bs)*、
ガリー・ベルティーニ(指)ケルンRSO&cho

録音:1986年、1991年*
CAPRICCIOレーベルで好評だったシリーズをそのまま引き継いだ形の今は亡き巨匠ベルティーニの音源発掘盤。鬼気迫るベルティーニの指揮、オージェー、モーザーなど当時最高の名歌手たちの歌声と聴きどころ満載です。
PE-122(4CD)
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲集
ピアノ三重奏曲第7番「大公」Op.97
仕立て屋カカドゥの主題による10の変奏曲Op.121a
ピアノ三重奏曲第9番変ホ長調WoO.38
ピアノ三重奏のためのアレグレット変ホ長調Hess48
.ピアノ三重奏曲第2番ト長調Op1-2
ピアノ三重奏曲第10番変ホ長調「創作主題による14の変奏曲」Op.44
ピアノ三重奏曲第6番変ホ長調Op.70-2
ピアノ三重奏曲第1番Op1-1
ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」Op.11
ピアノ三重奏曲第5番「幽霊」Op.70-1
ピアノ三重奏曲第3番ハ短調Op.1-3
三重奏曲Op.38(七重奏曲Op.20〜ベートーヴェン自身による編曲)
ピアノ三重奏曲第8番変ロ長調WoO.39
ハイドン・トリオ・アイゼンシュタット
ベートーヴェンはその生涯のほとんど全ての時期にピアノ三重奏曲を作曲しています。初期の習作から晩年の円熟した作品までどれもが独創性に富んだ、まさに「通のため」の音楽です。ここで演奏しているハイドン・トリオ・アイゼンシュタットは1992年に結成された団体で古典派から現代音楽まで幅広いレパートリーを有しています。全てのパートが均一で輝かしい音色。極上のアンサンブルです。
PE-127
アレクサドル・ピエール・フランソワ・ボエリ:ソナタとカプリース集
ソナタハ短調Op.1-1
ピアノのための30のエチュードとキャプリースより
ソナタト長調Op.1-2
クリスティーネ・ショルンスハイム(フォルテピアノ)
アレクサンドル・ピエール・フランソワ・ボエリ(1785-1858)はパリ生まれの作曲家、オルガン奏者、ピアニストです。彼が活躍した時代は古典派からロマン派への移行期で、愛国心に満ちた曲が次々と書かれた頃でもありましたが、フレスコバルディやクープランを愛した彼はその波に乗ることもなく生涯厳粛な曲を書き続けたのです。ハイドンやシューベルトでこの上なき名演を披露したショルンスハイムの絶妙な演奏で。
PE-128
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲集
チェロ協奏曲第1番/チェロ協奏曲第2番
ドミトリ・マスレンニコフ(Vc)、
クリストフ・エッシェンバッハ(指)北ドイツRSO
冷戦終了後のロシアは、非常に才能ある音楽家を多く排出しています。ここでチェロを弾く1980年生まれのマスレンニコフもその一人です。並外れた才能を持ち、既に幾つものオーケストラと共演を重ね高い評価を受けていますがフランス政府の給費留学生として3年間の研鑽を積み、その際、エッシェンバッハの目に留まりました。この若き才能をエッシェンバッハは大切に育み一層優れた音楽家として育て上げたのです。このデビュー盤で名技を確かめてください。
PE-129
クジェネク:ピアノ・ソナタ他
5つのピアノのための小品Op.39
ピアノ・ソナタ第2番Op.59
ピアノ・ソナタ第4番Op.114
ジョージ・ワシントンの変奏曲Op.120
オーストリアからの反響Op.166
フォックストロットOp.138
ミハイル・コルジェフ(P)
チェコの血をひくクジェネク(1900-1991)はシュレーカーに作曲を師事し、ウィーンで活躍した音楽家で、この当時の作曲家らしく作風を時代に合わせて変えていった人です。初期は後期ロマン派、無調、多調を経て、ジャズも採り入れ、12音から電子まで行きました。多くの作品を残したクジェネクですが、ピアノ曲はとりわけ重要な位置を占めており、生涯にわたって作品を書いていました。このアルバムでは彼の70年間に及ぶ作風の変遷が味わえます。
PE-130
クジェネーク:室内オペラ「信頼の代償は?」
室内オペラ「信頼の代償は?」Op.111(クジェネーク自身の台本による)
ザウターの3つの歌曲
4つの歌曲/3つの歌曲
イラナ・デイヴィッドソン(S)、
スーザン・マルッキ(S)、
リチャード・クレメント(T)、
クリストフェレン・ノムラ(Br)、
リンダ・ホール(P)
1945年に4人のメトロポリタン歌劇場の歌手たちの依頼によって書かれたこのオペラ。当時の社会情勢などを考慮して、あくまでもオーケストラを使うことなく、ピアノ1台で多彩な情景を表現することに尽力した作品(要するに安くあがる)ですが、結局メトでは初演されることなく、1962年ザールブリュッケンで初めて日の目をみました。2組の夫婦の巧妙な掛け合いと、オケに匹敵するほどに雄弁なピアノ。既存のオペラの概念とは全く違う世界がここにあります。
PE-131
現代のホルン協奏曲集
フライジッツァー(1973-):ホルンと11人のミュージシャンのための音楽
ハイニシュ(1968-):キマイラ-ホルンと室内アンサンブルのための
シュテルク
(1968-):…暗黒の中の光の輝き-ホルンとアンサンブルのための
シュヴェルツィク(1935-):アルプホルンと小管弦楽のための「ケルティック・スタイル」
ピントス(1965-):フレンチホルンとアンサンブルのための協奏曲:
ヌリ・グアルナシェッリ(Hrn)、
ゴットフリート・ラブル(指
)アンサンブル“ディ・ライヒェ”
2005年、ディレクター、ゴットフリート・ラブルと3人の作曲家、フライジッツァー、シュテルク、ハイニシュ(彼らは親友です)が集結。“ディ・ライヒェ”のために何かできないか相談しました。彼らは「新しい協奏曲」を書くことで話がまとまり、選ばれた楽器がホルンだったというのです。19世紀には重要な役割を負っていたのに、20世紀になってからはあまり活躍の場もないホルンのために彼らは目もくらむばかりの超絶技巧を用いた作品を生み出しました。そのすばらしい芸術の結晶をウィーン放送交響楽団のメンバーであるグアルナシェッリの名演でお聴きください。
PE-133
シェーンベルク、ウェーベルン、ベルク:弦楽四重奏曲集
シェーンベルク:弦楽四重奏曲第2番Op.10
ウェーベルン:弦楽四重奏のためのラングザマー・ザッツ
ベルク:叙情組曲〜「ラルゴ」
クリスティーネ・シェーファー(S)、
ペーターゼンSQ
近代・現代音楽を得意とするソプラノは数多くあれど、このシェーファーに勝る人はそうはいないのではないでしょうか。硬質な中に不思議な温かみを帯びた彼女の声はまさに混沌とした世界に降り注ぐ一条の月の光のよう。20世紀の音楽に抜群の理解度を示すペーターゼン弦楽四重奏団の明晰な解釈には有無を言わせぬ説得力があります。
PE-134
リベルト・ブロイアーによるピアノ・デュオ編曲集
バッハ:パッサカリアBWV582
スヴェーリンク
:変奏曲「わが青春はすでに過ぎ去り」
ブクステフーデ
:葬送の音楽
ブクステフーデ
:前奏曲とフーガト短調
モーツァルト:フリーメイソンのための葬送音楽K477
 魔笛K622より「コラール」
メンデルスゾーン
:前奏曲とフーガニ短調Op.37
ブラームス:コラール前奏曲〜「おおこの世よ私は汝より去らねばならぬ」
レーガー:序奏とパッサカリア
フリードリヒ・トーマス&ハンスヤコブ・ステームラー(P)
一見、あまり関連のなさそうな曲のラインナップですが、これを通して聴いてみるとまるで目からうろこが落ちるかのように、アルバムの存在価値がわかることでしょう。本来なら華やかに響き渡るピアノ・デュオも、ここでは沈んだ音色に終始します。過ぎゆくもの、去りゆくものに捧げる音楽集。重々しい響きの向こうに天の采配が見えてくるでしょう。
PE-135(5CD)
プロコフィエフ:交響曲全集
交響曲第1番ニ長調Op.25「古典的」
交響曲第7番嬰ハ短調Op.131
交響曲第2番ニ短調Op.40
交響曲第3番ハ短調Op.44
交響曲第4番ハ長調Op.47(1930年オリジナル版)
交響曲第4番Op.112(1947年改訂版)
交響曲第5番変ロ長調Op.100
交響曲第6番変ホ短調Op.111
ドミトリー・キタエンコ(指)
ケルン・ギュルツェニヒO
ショスタコーヴィチの交響曲で明晰でクールな解釈を披露し、大好評を博しているキタエンコ。とにかく爆発的な表現が話題となっている人ですが、このプロコフィエフ(1891-1953)でも期待通りの凄演を聴かせてくれます。明晰なテンポ、切れのあるアンサンブル、そして随所に漲るエネルギーの噴出には驚く他ありません。ロシア音楽と新古典主義の融合から生まれた傑作をこれでもか!とばかりに表出。これは価値ある5枚組です。
PE-141
ジェンキンス(1592-1678):ファンタジー組曲集
アリアイ長調/組曲イ短調
ソナタ二調よりアダージョ
ディヴィジョンイ長調
ファンタジー組曲第17番ホ短調
.ゴーズイ長調
ファンタジー組曲第11番ハ短調
ファンタジー組曲ト短調
ハンブルク・ラーツムジーク
シモーネ・エッケルト(指&ヴィオラ・ダ・ガンバ)
イギリスの作曲家ジョン・ジェンキンスについて、実はあまり詳しいことがわかっていません。当時、イギリスの名のある作曲家はみんなロンドンで活動していたのですが、ジェンキンスは終生地方に住んでいたためか、音楽界の潮流にのることはありませんでした。またヨーロッパを旅行することもなく、他の音楽家たちと交流も持つことがなかったのです。しかし彼は生涯に800曲以上もの作品を書き、その中にはアマチュア向けに70以上もの組曲が含まれていたのです。彼はリュート奏者であり、リラ・ダ・ガンバの名手でもありました。また伝統的な単旋聖歌を定旋律とする「イン・ノミネ」を復活させ、自ら演奏したことでも知られています。良い意味での職人技が冴える組曲の数々は、今聴いても全く古臭さを感じさせません。
PE-142
フランク:室内楽曲集
ピアノ五重奏曲へ短調
弦楽四重奏曲ニ長調
アルトゥール・ピッツァーロ(P)、
ペーターゼンSQ
ここに収録された2曲の室内楽作品はフランクの晩年に書かれたもので、その緻密な構成と激渋さは、あの交響曲すら凌駕するものであり、室内楽の新しい時代を予見させるものでもあります。サン=サーンスに献呈されたピアノ五重奏の重苦しい響きはオルガン奏者としてのフランク(1822-1890)の特徴がよく顕れているものでしょう。ポルトガル生まれの名手ピッツァーロの輝かしいピアノの音色が華を添えます。また弦楽四重奏での堅固で格調高い音楽も、まさに「通向け」です。
PE-144
シューベルト:歌劇「4年間の歩哨兵勤務」(全1幕)、
歌劇「双子の兄弟」(全1幕)
アガ・ミコライ(S)、
シュテファン・ゲンツ(Br)、
アンドレアス・カラシアク(T)、
トーマス・ヤーコプス(T)他、
コーラス・ムジクス・ケルン、
クリストフ・シュペリング(指)
ダス・ノイエ・オーケストラ
歌曲での高い評価に比べ、なぜか忘れられてしまっているシューベルト(1797-1828)のオペラ。最近になって、ようやく復興の兆しは見えてきたものの、まだまだ納得の行く演奏に出会うことは困難です。そんな状況に救いの手を差し伸べるであろうこのアルバムの登場です。18歳の作品で、解放戦争を題材にした「4年間の〜」と、生まれてすぐに婚約させられた相手を見間違えたことで起こるドタバタ劇、「双子の兄弟」の2本が収録された嬉しい1枚です。シュペリンク&ダス・ノイエ・オーケストラの溌剌とした演奏を聴くことで、シューベルトの新しい魅力を発見する喜びに浸れることでしょう。
PE-145(2CD)
プフィッツナー:カンタータ「ドイツの精神」 ソルヴェイグ・クリンゲルボルン(S)、
ナタリー・シュツッツマン(A)、
クリストファー・ヴェントリス(T)、
ローベルト・ホル(Bs)、
インゴ・メッツマッハー(指)ベルリン・ドイツSO
10月3日の東西ドイツ統一の日。2007年のこの日のためにDSOとメッツマッヒャーの用意したプログラムがこのカンタータ「ドイツの精神」でした。観衆の興奮、熱狂の度合いは尋常ではなく、賛否両論があったにせよ、居合わせた全ての人がドイツの歴史について思いを馳せたのです。メッツマッハーは最良の歌手たちを揃え、この大作を極めて詩的に演奏。曲としての価値を認めさせるに充分の説得力を備えたものとして語り継がれることでしょう。
PE-149
アッシジのクリスマス・カンタータ集
メラーニ(1639-1703):ソナタ第5番
ポルポラ(1686-1768):ソプラノ・ソロのためのモテット「輝く星」
ベネデッティ
(1683-1746):羊飼い、あるいは汝
デル・フィナル(1700頃):モテット「歓喜のように」
ベネデッティ
:サルヴェ・レジーナ
ラッツァーリ(1678-1754):生誕のためのモテット
コレッリ:合奏協奏曲「クリスマス協奏曲」Op.6-8
ルート・ツィーザク(S)、
ラインホルト・フリードリヒ(Tp)、
インゲボルク・ダンツ(A)、
ヴェルナー・エールハルト(指)
ラルテ・デル・モンド
各地の図書館が所蔵する過去700年に及ぶ資料のなかから「知られざる作品」を探しだし録音するプロジェクトの一つが,この「アッシジのクリスマス」です。聖地として知られるアッシジはナポリ音楽の伝統に影響を受けつつも(その地のほとんどの音楽家はナポリから来ていた)独自の文化を育んできました。コレッリ以外の名前は、ほぼ無名と言っても差支えありませんが、どの音楽も優美で敬虔。クリスマスの喜びを心から歌い上げています。
PE-154
ダニエル・ベーレ、歌曲を歌う
シューベルト:ミューズの息子D764
 白鳥の歌〜「セレナーデ」
 美しき水車小屋の娘〜り「焦燥」
ベートーヴェン:口づけOp.128
 アデライーデOp.46
グリーグ:6つのドイツ語歌曲<挨拶/いつの日か、わが思いは/世のなりゆき/沈黙したナイチンゲール/青春時代に/ある夢>
ブリテン
:6つのヘルダーリン断章Op.61
トロヤーン(1949-):4つのゲーテ歌曲<去っていった人に/別れ/交換/流れのほとりにて>
ダニエル・ベーレ(T)
オリヴァー・シュナイダー(P)
「歌曲は私にとっては時代を超越したものです。歌曲というものは、ほんの少しの材料で作曲家たちの全ての本質を表現しているのです。《ダニエル・ベーレ》」ハンブルクで生まれた若きテノール、ダニエル・ベーレはすでに全世界の劇場で高く評価されているオペラ歌手です。しかし、彼が最初の録音として選んだ曲は、5人の作曲家によるリートでした。彼は「リートには作曲家の本質が表れている」と語り、歌うことで、その思いを形にしようと努めます。時には語り、時には演じ、多様な表現でその世界を歌いあげます。シューベルト、ベートーヴェン、グリーグ、ブリテン、そして現代作曲家トロヤーンの作品はそれぞれ音楽語法は様々ですが、ベーレはそこに溢れる愛を見出し、的確な言葉で高らかに歌い上げています。今、最も注目される歌手の一人です。
PE-156(2CD)
メトネル:ピアノ作品集
8つの情景画Op.1/ソナタ三部作Op.11
3つの小品Op.31
忘れられた調べ第1集Op.38
忘れられた調べ第2集Op.39
エカテリーナ・デルジャヴィナ(P)
最近、とみに愛好家の増えているメトネルの作品集です。ロシア生まれとは言うものの、母方も父方も祖先はドイツ人。晩年になってようやく正教に改宗したものの、やはりその音楽の根底にはドイツロマン派の影響が見受けられるのも彼の音楽の特徴です。残された作品の多くはピアノ曲で、ロシア的哀愁を帯びた旋律、堅固な形式感が複雑に入り組んだ豊かな音楽は、朝露に濡れた花びらのような瑞々しさで聴き手を翻弄します。モスクワ・グネーシン音楽院の教授で、すでにメトネルの権威として知られるエカテリーナ・デルジャヴィナの説得力ある解釈には異論の唱える隙がありません。
PE-170
クララ・シューマン:弦楽四重奏伴奏による歌曲集
私は暗い夢の中で立っていたOp.13-1
彼らは愛し合っていたOp.13-2
ワルツ/さすらい人/製材所のさすらい人
愛の魔法Op.13-3/民衆の歌
なぜ他の人に尋ねるのかOp.12-11
無言のはすの花Op.13-6/我が星
すみれ/良き夜
月は静かに昇ったOp.13-4
私はあなたの瞳にOp.13-5
宵の星/別れのとき
イェルク・ワシンスキ(S)
ベルリン・アウロスSQ
大作曲家ロベルト・シューマンの妻、クララは才能溢れるピアニストでしたが、シューマンと結婚することにより、また新たな道を見出したことでも知られます。彼女自身もいくつかの歌曲や室内楽曲を書いていますが、作曲家としての彼女の才能は夫の影に隠れてしまっていました。最近、ようやく「ロベルトの妻」ではなく「クララ」としての作品に光が当たるようになって来ましたが、まだまだ多くの人に愛されているわけではありません。彼女の歌曲は全てソプラノのために書かれていますが、ここでのこの倒錯的な響きには、まさに胸がぞくぞくするほどの興奮を覚えてしまいます。ここで何とも奥深い陰影に満ちた歌を聴かせるのは、男声ソプラノ歌手ワシンスキです。彼の声は決して刺激的でなく、適度に感傷的、それでいて強烈な表現力を有しています。この声の何とも魅力的なこと!このクララ・シューマンの歌曲集でも、第1曲から聴き手は激しく魅了されることでしょう。弦楽四重奏の伴奏は曲に柔らかい肌触りを添えています。
E-181(2CD)
シュルホフ(1894-1942):ピアノ独奏作品集
ピアノ・ソナタ第1番(1924)
5つのグロテスクOp.21
5つのブルレスケOp.23
ピアノ・ソナタ第3番(1927)
5つの音の絵Op.31
6つのアイロニーOp.34
ジャズのインプロヴィゼーション
マルガレーテ・バビンスキ(P)
マリア・レットベリ(P)
アンドレアス・ウィキダル(P)
ナチス政権によって「頽廃音楽」の烙印を押されてしまった作曲家の一人、エルヴィン・シュルホフのピアノ作品集。ドイツ系ユダヤ人の子としてプラハに生まれ、プラハ、ウィーン、ライプツィヒ、ケルンで作曲とピアノを学び、第一次世界大戦後の演奏と作品はジャズとダダイズムの影響を受けた前衛へと進むようになりました。ジャズを積極的に自作に取り入れ、自らもドイツの広い範囲で演奏旅行を行い、イギリスやフランスにも進出しています。晩年はヴュルツブルク強制収容所に収容され、翌年8月に結核のため死去しました。そんな彼の作品、CD1のピアノ・ソナタの厳しい音楽(新古典派系の動きの多いメロディ)を聞いていると、どこが頽廃音楽なのか?と首をひねりたくなるものの、CD2を聴くと、「ああ、これは確かに快楽を伴う音楽だ」と納得できるはず。「2台ピアノのためのアイロニー」や「ジャズのインプロヴィゼーション」などはなかなか楽しいジャズ風の音楽ですが、実はとても実験的。なんと第2ピアノは即興で付けなければいけなかったりと、色々な落とし穴があります。もうひとつ秘曲が・・・。「5つの音の絵」の第3曲目「InFuturum」は通の間では知られた作品。この曲を完璧に演奏するには大変な努力と演技力を伴います。ジョン・ケージの4分33秒を越える「美しい音楽」。こんなものが1919年に作曲されていたとは!
PE-184
マンケル(1868-1930):ピアノ独奏作品集
3つの前奏曲Op.56/悲しいワルツOp.58
3つの伝説Op.59/4つの小品Op.60
幻想的ソナタ第1番Op.69
幻想的ソナタ第3番Op.72
幻想的ソナタ第6番Op.76/バラード第7番Op.77
アンナ・クリステンソン(P)
さて、ヘニング・マンケルというと、スウェーデンの有名な推理作家&児童作家を思い出す方も多いかもしれません。実は、この作曲家マンケルは作家の祖父です。彼はピアノと和声学の教師で、ストックホルムで暮らし、1917年にスウェーデン王立音楽学校のメンバーとなりました。彼は評論家としても高名でしたが、現在では彼の作品はほとんど忘れ去られてしまいました。若きピアニスト、クリステンソンはスコアの劣悪なコピーを洗い出し、困難な過程を経て、これらの曲に新たな命を吹き込みました。彼の作品はドビュッシーやグリーグの流れを汲んではいますが、どれも幻想的かつ陰鬱で、まさに北の大地なくしては生まれない深い響きを持っています。たとえば「夏」と題された前奏曲の1曲でさえも明るい光はどこにも見えません。しかし憂いに満ちたメロディは心地よく耳に残ることでしょう。渋さ満点ですが、この孤高の精神に一たび触れてしまうと、その魅力に引き込まれてしまうはずです。
PE-188
ビーチ(1867-1944):ランデヴー〜美しき時代の愛の歌
愛の歌Op.21-1/蜃気楼Op.100-1
カプリース/パストラーレOp.151
ランデブーOp.120/恍惚Op.19-2
信頼への讃歌Op.13
3つのブラウニングの歌Op.44
夜Op.35-1/おやすみ、小さな子Op.29-3
雨の日/花環Op.73-2
3つのシェイクスピアの歌〜妖精の子守歌/わが愛しき人
チェロとピアノのための3つの作品
その後/6月Op.51-3
ステッラ・ヴィアトリスOp.100-2
イェルク・ワシンスキ(S)
マイニンガー三重奏団
[クリスティアーネ・マイニンガー(Fl)
フランソワーズ・グローベン(Vc)
ライナー・ゲップ(P)]
エイミー・ビーチはアメリカ合衆国の「最初」の女性ピアニスト&作曲家です。当時は、女性の社会的活動が珍しい時代であったため、彼女も「ビーチ夫人」として音楽活動に携わる他ありませんでした。しかし、実際は交響曲やオペラ、そしてピアノ曲、歌曲と300以上もの作品を残した偉大な作曲家でした。彼女は120曲もの歌曲を残しましたが、どれもが後期ロマン派の流れに即したるもので、その一部にはスコットランドの民謡や、黒人音楽の影響も見てとれるほど表現は多岐にわたっています(これらの歌曲は後にチャールズ・アイヴズに影響を与えることとなります)。テキストは彼女の友人たちのものから、シェークスピアやユゴーなど名詩人たちのものと多岐に渡っています。どの歌も根底に流れるのは自然と愛、幸福感で、それらは聴く人にも大いなる喜びをもたらしてくれるのです。ここで印象的な歌を聴かせているのはベルリン生まれの男声ソプラニスト、ワシンスキです。彼の陰影に満ちた声は、歌に込められた感情の一つ一つを丁寧に洗い出すかのようです。
PE-190
ダッラーバコ(1675-1742):弦楽のための協奏曲集
4声の教会コンチェルトロ短調Op.2-8
4声の教会コンチェルトト短調Op.2-5
4声の教会コンチェルトニ長調Op.2-6
4声の教会コンチェルト変ロ長調Op.2-9
複数楽器のための協奏曲ヘ長調Op.6-3
4声の教会コンチェルトホ長調Op.2-10
複数楽器のための協奏曲ホ長調Op.6-2
複数楽器のための協奏曲ヘ長調Op.6-6
ギュンター・ウィッチ(指)
ジョルジ・フィッシャー(指)
ハンス・マルティン・シュナイト(指)
ウィルフリート・ベッチャー(指)
カペラ・コロニエンシス

録音:1969-1978年
エヴァリスト・フェリーチェ・ダッラーバコはヴェローナに生まれ、ミュンヘンに没した後期バロック音楽の作曲家・ヴァイオリニストです。トレッリに学び、1704年にチェロ奏者としてミュンヘン宮廷の室内楽団に参加しました。初期の作品はイタリアの様式に基づいているのですが、後にフランスのギャラント様式を取り入れたものへと変化しています。彼の生涯も波乱にとんだもので、スペインの継承戦争のために主君マクシミリアン2世が亡命、楽団員も同行したり(彼の息子は亡命地ブリュッセルで誕生しています)、1726年主君が交代してからは、彼の影響力が低下したり、と周囲に振りまわされることも多かったようです。とは言え、彼の音楽はとても明るく、常に優美です。簡潔であり、バロックから古典派への橋渡しとしての重要な一端を担っていることは間違いありません。
PE-191
ファッシュ(1688-1758):管弦楽曲集
序曲ホ短調#
フルートとオーボエのための協奏曲ト長調*
シンフォニアイ長調
ファゴット協奏曲ハ長調
シンフォニアト長調
ギュンター・ヘラー(Fl)
ヘルムート・フッケ(Ob)・
ヴァルター・シュティフトナー(Fg)
カペラ・コロニエンシス
ハンス・マルティン・シュナイト(指)#
ギュンター・ウィッチ(指)
ハンス・マルティン・リンデ(指)・*

録音:1987-1972年
「ライプツィヒの聖トーマス教会の学校でクーナウに学び、ボヘミアのモルツィン伯爵の楽長、ツェルプストの宮廷楽長などを歴任、多数の教会音楽、器楽曲を作曲」と音楽辞典にあるファッシュ。当時の楽壇からも非常に高い評価を受けていて、かの大バッハもファッシュの作品を多く写譜し、自らの音楽性の向上に役立てていたようです。そんな彼の作品、とても自信に満ちた男性的な表情を湛えています。とりわけ、管楽器の扱いが素晴らしく、このアルバムの中の2つの協奏曲での独奏楽器の活躍ぶりには目を見張るものがあるでしょう。ちなみに当時の「序曲」は組曲であり、付随音楽というわけではありません。
PE-192
ヘンデル:カンタータ「アポロとダフネ〜地は解き放たれた」HMV122
カンタータ「アポロとダフネ〜地は解き放たれた」HMV122
オラトリオ「時と真理の勝利」HWV46a〜序曲
ヘレン・ドナート(S)
ペーター=クリフトフ・ルンゲ(Br)
ギュンター・ウィッチ(指)カペラ・コロニエンシス

録音:1978年5月31日
1710年に作曲された、ヘンデルの世俗カンタータ「アポロとダフネ」は、当時彼を庇護していた2人の後援者の後押しに拠って書かれた魅惑的な作品です。一人はメディチ家最後のトスカーナ大公となった、ジャン・ガストーネ・メディチ(1671-1737)で、もう一人は後にイギリス王ジョージ1世となるゲオルク・ルートヴィヒでした。この曲のモデルになったのは、ガストーネ・メディチと、その妻であるアンナ・マリア・フランツィスカでしたが、実際のメディチは、アポロとは似ても似つかないほど太っていたようです。ここでは名ソプラノ、ヘレン・ドナートと、こちらも情感豊かなバリトン、クリストフ・ルンゲの独唱で愛のドラマをじっくりとお楽しみください。
PE-193
M・ハイドン:オルガン協奏曲と3つのシンフォニア
シンフォニアト長調P.27
ヴィオラとオルガンのための協奏曲ハ長調P.55
シンフォニア変ロ長調P.9
シンフォニアイ長調P.33
フランツ・レールンドルファー(Org)
ウルリヒ・コッホ(Va)
ヴィルフリード・ベッチャー(指)
カペラ・コロニエンシス

録音:1972-1975年
ヨーゼフ・ハイドンの弟であるミヒャエル・ハイドンの作品の中で最も知られているのは、交響曲第25番ト長調でしょう。ただし、これはモーツァルトが第1楽章に序奏を追加して自分の演奏会で用いたため、長らく「モーツァルトの第37番の交響曲」として知られていたのですが・・・。そんな弟ハイドンの作品ですが、残念なことに現代ではあまり耳にする機会が多いとは言えません。しかし、ここに収録された4つの作品についても、「これはモーツァルトの作品である」と言われたら、何の疑いもなく「良い曲だなぁ」と聞いてしまう人が出てくることは間違いないでしょう。兄ヨーゼフの機微に富んだ作風とはまた違った、直截的で素直な作風は、確かにじんわりと胸に響くに違いありません。とにかく先入観なしでお聴きいただきたい1枚です。
PE-194
C.シュターミッツ:チェロ協奏曲集と協奏交響曲
チェロ協奏曲第1番ト長調
ヴィオラとヴァイオリンのための協奏交響曲*
チェロ協奏曲第2番イ長調#
ゾールタン・ロシュ(Vc)・
ウルリッヒ・グレーリンク(Vn)
ウルリッヒ・コッホ(Va)
ギュンター・ウィッチ(指)
マルチェル・クーロー(指)*
カペラ・コロニエンシス

録音:1958年8月1日(モノラル)*、1970年6月6日#、1975年4月8日
マンハイム生まれの作曲家、カール・シュターミッツの作品集です(もともとチェコ系の出自ということもあり、最近はカレル・スタミツと表記されることもあります)。彼は父ヨハンから音楽教育を受け、1770年からヴァイオリニストとして活躍、同時に作曲家としても多くの作品を残しています。管楽器を主体とした室内楽曲が主に知られていますが、ここに聴けるような協奏曲や交響曲も50曲以上手掛け、その上品かつ優雅な作風は「マンハイム楽派」を代表するものとして広く愛されています。この演奏はカペラ・コロニエンシスが設立されて間もない1958年に録音された音源も含むもので、当時まだ確立されていなかった「古楽奏法」を模索している様子を伺い知ることもできる貴重な1枚と言えるでしょう。
PE-400(3CD)
バッハ:独奏楽器のための協奏曲集
オルガン協奏曲ニ短調(原曲:BWV146とBWV188)
ヴァイオリン協奏曲ト短調(原曲:BWV106)
オーボエ協奏曲ニ短調(原曲:BWV35,BWV156,BWV1056とBWV1059)
オーボエとヴァイオリンのための協奏曲(原曲:BWV1069)
オーボエ・ダモーレ協奏曲イ長調(原曲:BWV1055)
ヴァイオリン協奏曲ニ短調(原曲:BWV1052)
3つのヴァイオリンのための協奏曲ニ長調(原曲:BWV1064)
シンフォニアニ長調BWV1045
オーボエ・ダモーレ協奏曲ニ長調(原曲:BWV169,BWV49とBWV1053)
クリスティーネ・ショルンスハイム(Org)
カール・ズスケ(Vn)
エベルハルト・パルム(Vn)
ブルクハルト・グレツナー(オーボエ&オーボエ・ダモーレ)
マックス・ポンマー(指)
ライプツィヒ・バッハ・コレギウム
J.S.バッハがその生涯に何曲の「独奏楽器のため協奏曲」を書いたのかを特定するのはとても難しいことです。彼のバイオグラフィやスケッチを調べても、確たる証拠はあがってきません。ただ、多くの習作やスコアの写しは1713年から1714年の間に作られているようで、この当時のバッハの勤勉さを証明する作品群と言えるでしょう。このCDに収録された曲の多くは失われたヴァージョンを再建する試みによるもので、よく知るメロディが変貌する様を楽しむのも良いかもしれません。1985年の録音当時はこのような試みは革新的でした。この盤以降、オリジナル楽器による演奏も数々出てきましたが、やはりこの先駆的演奏には価値があるというものです。ズスケの演奏も涙ものです。
PE-404(3CD)
ヘンデル:ソロ・カンタータとオペラ・アリア集
<イタリアン・ソロ・カンタータ集>
暁よ、東方に輝けHWV166
打ちひしがれた心の子らHWV112
愛の苦しみは甘くもあるHWV109a
私の胸は騒ぐHWV132c
愛の神が見てHWV175
<愛のカンタータ集>
愛の神は望んだHWV176
あのことを思う間にHWV115
フルート・ソナタロ短調HWV367b
恋する魂はHWV173
はかない足跡を追って(捨てられたアルミーダ)HWV105
<オペラ・アリア集>
アドメートHWV22より/オルランドHWV31より
ロデリンダHWV19より/アルチーナHWV34より
リナルドHWV7aより
エジプトのジュリオ・チェザーレHWV17より
ラダミストHWV12aより/フラヴィオHWV16より
ヨッヘン・コヴァルスキー(A)
ジークフリート・パンク(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
クリスティーネ・ショルンスハイム(ハープシコード)
ベルリン古楽アカデミー
アクセル・ケーラー(A)/
クリストフ・フントゥゲボールト(Fl)
アンネ・シューマン(Vn)
バラージュ・マーテー(Vc)
ラファエル・アルパーマン(P)
ヴェロニカ・ヴィンター(S)
ダス・クライネ・コンチェルト
ヘルマン・マックス(指)
アクセル・ケーラー(A)
ヘンデル祝祭O
ハワード・アルマン(指)
ヘンデルが活躍した当時のローマでは、法王がオペラの上演を禁止してしまいました。そこでヘンデルは偉大なるA.スカルラッティのスタイルを用い、カンタータの形を借りて、歌手たちが活躍できる場を作り上げました。彼の書いた数多くのイタリア語によるカンタータは、当時有名だった歌手たちの声域に適していて、彼らは思う存分美声を張り上げることができたのです。その歌の多くは、通奏低音のみを伴う小規模なものですが、ごく一部の作品は壮麗な管弦楽をバックに歌われます。ここで活躍する2人の男声アルト歌手、コヴァルスキーとケーラーは各々全く違うアプローチでヘンデルのアリアに臨み、素晴らしい解釈を与え、この難しいアリアを現代に蘇らせています。
PE-408(3CD)
シューベルト:合唱作品集
1.オッフェントリウム「声を張り上げよ」D963/2.マニフィカトハ長調D486/3.アヴェ・マリアD839/4.タントゥム・エルゴD962/5.サルヴェ・レジーナD106/6.詩篇23Op.132D706/7.スターバト・マーテルト短調D175/8.オッフェルトリウムハ長調「心に悲しみを抱きて」Op.46D136/9.サルヴェ・レジーナD386/10.タントゥム・エルゴD739/11.ドイツ・ミサD872/12.天使の合唱D442/CD2:1.セレナーデD920/2.ロザムンデD797から「羊飼いの合唱」/3.人生の喜びD609/4.水の上の精霊たちの歌D714/5.太陽に寄すD439/6.ロザムンデD797から「狩人の合唱」/7.あこがれD656/8.酒宴の歌「兄弟たち、われらが人生の行路」D148/9.オペラ「4年間の歩哨兵勤務」D190より/10.自然の中の神D757/11.ロザムンデD797から「幽霊たちの合唱」/12.全能の神D852/CD3:1.小さい村D598/2.冬の旅D911より「菩提樹」/3.森の夜の歌D913/4.ゴンドラを漕ぐ人D809/5.愛D983a/6.酒宴の歌「兄弟たち、われらが人生の行路」D148/7.悲しみD825/8.矛盾D865a/9.夜の明かりD892/10.春の歌D740/11.そっと、そっと歌おうD635/12.狩りの歌D521/13.ナイチンゲールD724/14.戸外の歌D572/15.夜D983c
ベルリン放送男声cho
ディートリヒ・クノーテ(指)
RIAS室内cho、ベルリンRSO
マーカス・クリード(指)
ウィーン少年cho、ケルン放送O
ヘルムート・フロシャウアー(指)他
歌曲王として知られるシューベルトは、また合唱曲も数多く書き残しています。どの曲も彼の独創性は抜きんでており、例えば、シューベルトは本来ならば決められているはずの典礼文に、しばしば手を加え自由に曲をつけました(そのため教会で演奏不可能だったことも多かったようです)。また多くの世俗的合唱曲で見られるように、元の詩の言葉を整理したりもしました。また、シラーの詩による70曲以上もの合唱曲や、ゲーテの詩による合唱曲からは、彼の普遍的ともいえる世界観を伺いしることができます。この3枚組は宗教的な作品から、親しい友人たちが肩を寄せ合い歌うための曲、そして歌曲の編曲物などの様々な作品が収録されています。ドイツに数多くある男声合唱団や放送合唱団の高水準なアンサンブルでじっくりお聴きください。
PE-412(3CD)
チャイコフスキー:管弦楽組曲他
組曲第1番〜第4番「モーツァルティアーナ」
幻想的序曲「ロメオとジュリエット」
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32
イタリア奇想曲Op.45
ネヴィル・マリナー(指)アカデミーCO
あの交響曲やバレエ音楽に比べると、チャイコフスキーの「管弦楽のための組曲」はあまりよく知られている作品とは言えないかもしれません。しかしこれらの4曲は、30代の彼が心血を注いだ労作として、もっと聴かれてもよい作品でしょう。中でも比較的知名度の高い第4番は、彼が敬愛していたモーツァルトの作品を元にして、華麗なる管弦楽作品として生まれ変わらせた作品です。それぞれ、ジグK574、メヌエットK355、アヴェ・ヴェルム・コルプスK618、主題と10の変奏K.455が原曲ですが、モーツァルトの作品の中ではあまり知られていない曲が多く「それらを生まれ変わらせるのは大いなる喜びだった」とチャイコフスキー自身が語っていたそうです。マリナーの熟練の指揮でどうぞ。
PE-416(3CD)
フランスのバレエ音楽集
CD1
ドリーブ:バレエ組曲「コッペリア」
ショパン:バレエ音楽「レ・シルフィード」(管弦楽編曲:R.ダグラス)
アダン:バレエ音楽「ジゼル」*
マスネ:サンドリヨン組曲*
ドビュッシー:おもちゃ箱(管弦楽編)**
ドリーブ:バレエ組曲「シルヴィア」#
ベルリンRSO/ハインツ・フリッケ(指)
ネヴィル・マリナー(指)アカデミーCO*
マックス・ポンマー(指)ライプツィヒRSO#**
ヤーノシュ・シャンドール(指)ブダペストPO#
19世紀後半のパリのオペラハウスでは、必ずバレエが上演されていて、貴族や政治家たちと、芸術家たちの接点となっていました。高名な紳士たちがお気に入りの踊り子に声をかけることが流行し、なかでも「競馬クラブ」のメンバーは熱心なスポンサーとなったため、彼女たちの社会的名声は瞬く間に向上しました。(しかし、長いバレエを上演していても、貴族たちが頻繁に踊り子に話しかけてしまうため、その都度中断してしまったようです。)オペラが壮大になっていくにつれて、バレエもますます大きくなり、舞台によっては150人の踊り子が舞い踊るという壮観な場面も見られたそうです。パリっ子たちのバレエ好きはとどまることはありませんでした。そんなフランスで大好評を博した様々なバレエ音楽をお届けいたします。ドリーブのバレエは、はっきりした筋書きがあるわけではありませんが、「コッペリア」などはまさしくテキストのないドラマとして成立しています。マスネの幻想的な「サンドリヨン組曲」、ドビュッシーの色彩的な「おもちゃ箱」など楽しい作品が一杯です。ショパンのピアノ曲を編曲し、バレエ音楽に仕立て上げた「レ・シルフィード」も聴きものです。


PE-420D(3CD)
東方からの風
レイエ
(1823-1909):セーラム*
シマノフスキ:狂えるムエジンの歌より*
コルネリウス:「バグダッドの理髪師」序曲
ベートーヴェン:「アテネの廃墟」〜トルコ行進曲
グルック:「思いがけないめぐり合い」より
ハッセ:「ソリマーノ」〜勝利の情景
グルック:「欺かれた回教の裁判官」〜ドイツの歌
モーツァルト:「後宮からの逃走」より
ウェーバー:「オベロン」序曲
サン=サーンス:「サムソンとダリラ」〜バッカナール
ビゼー:「真珠採り」〜聖なる神殿の奥深く
R.シュトラウス:「サロメ」〜7枚のヴェールの踊り
リムスキー=コルサコフ:シェエラザード*
ラヴェル:シェヘラザード#
ゲルトルート・オッテンタール(S)*
ブルーノ・ラザレッティ(T)*
ヴォルフガング・グラショフ(Br)*
グイド・マリア・グイダ(指)ベルリンRSO*
聖ヘトヴィヒ大聖堂Cho*
ロベルト・セルヴィル(Br)
ギーゼラ・パジーノ(Ms)#
ハンス・マイユ(Vn)他
ハンス=マルティン・シュナイト(指)
ベルリンRSO、RIAS室内cho
ハンス・マイレ(Vnソロ)*

録音:1989年6月10日、6月15日、12月22日
“ハンス=マルティン・シュナイトの手堅い芸術性の真価!!”
ギュンター・ラミンに師事し、カール・リヒターの後任でミュンヘン・バッハ管の音楽監督になったマルティン・シュナイトは宗教音楽の専門家というイメージが強いですが、このアルバムはその彼の芸の幅の広さを認識させるのに十分な逸品。中でも「シェエラザード」は穴馬的名演!サウンド的には渋めですが、作品の骨格を頑丈に構築し、目の詰んだニュアンス表出力が功を奏して、R=コルサコフの管弦楽法の素晴らしさをとことん堪能させてくれます。第1楽章は特に後半部分がこのオケの機能美も手伝って、シンフォニックな手応え満点。第2楽章は、小手先の演出に一切頼らないアプローチが更に開花。まず木管のソロの素晴らしいこと!冒頭でファゴットの奏するテーマの得も言われぬ余韻は必聴です。マルティン・シュナイトが導き出す各場面の表情は常に確信に満ちているので、自然に惹きつけられます。6:45からの弦のピチカートの強靭さなど鳥肌もの!第3楽章も媚びるような甘美さは無し。その代わり、実直なアプローチ故にR=コルサコフのスコアの緻密さを改めて思い知らされ、オケの巧さにも惚れ惚れするばかりです。コーダ直前の盛り上がりで見せる堂々たる呼吸の妙味も必聴。終楽章は冒頭の遅いテンポを貴重とした慎重なニュアンスの炙り出し方にこの先のドラマを期待させずにはおかない魅力が孕み、主部以降も決して先を急がず、足場を固めながら丁寧に音楽の起伏を余すところなく表出。もちろん最後の難破シーンも、ド派手な活劇に貶めることなく、あくまでも音楽の有機的な流れを重視するスタイルを貫徹。最後のヴァイオリン・ソロは、聞こえるギリギリの弱音路線ではなく、かなり伸びやか。しかも官能的な美音!最後の最後で甘い蜜にありつけるとは想定外の嬉しさ。 【湧々堂】
PE-424(2CD)
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792):交響曲集
交響曲ニ長調「シンフォニア・ダ・キエザ」VB146
交響曲嬰ハ短調VB140
交響曲ハ長調「ヴァイオリン・オブリガート」VB138
交響曲ハ短調「葬送交響曲」VB148
交響曲ハ短調VB142/交響曲変ホ長調VB144
交響曲ハ長調VB139/交響曲ニ長調VB143
ヴェルナー・エールハルト(指)
コンチェルト・ケルン

録音:1992年3月4-8日、1991年6月13-16日
NAXOSレーベルですっかりおなじみとなった、ヨーゼフ・マルティン・クラウスの作品集です。「北欧のモーツァルト」の呼び声の高いクラウスの作品は、適度なストーリー性と重みのある音が身上。まさにコンチェルト・ケルンにうってつけのレパートリーです。交響曲と劇音楽を得意とした彼だけあって、これらの交響曲も1曲ごとに工夫が凝らされていて、どこから聴いても全く飽きることはありません。
PE-427(2CD)
ドゥランテ(1684-1755):協奏曲集
弦楽のための協奏曲第1番ヘ短調
弦楽のための協奏曲第2番ト短調
弦楽のための協奏曲第3番変ホ長調
弦楽のための協奏曲第4番ホ短調
弦楽のための協奏曲第5番イ長調
弦楽のための協奏曲第6番イ長調
弦楽のための協奏曲第7番ハ長調
弦楽のための協奏曲第8番イ長調「夢中」
チェンバロ協奏曲変ロ長調
ゲーラルト・ハンビッツァー(ハープシコード)
ヴェルナー・エールハルト(指)
コンチェルト・ケルン

録音:1990年5月28-31日、1992年1月28-31日
ナポリ楽派の作曲家としてスカルラッティに続く重要な人物でありながら、現在ではその作品のほとんどが忘れられてしまったイタリアの作曲家ドゥランテ。彼は当時流行していたオペラの作曲には全く手を染めず、その代わりに宗教曲に専念したことで「宗教音楽の大家」という称賛が与えられましたが、現在では「それは過大評価であった」とされてしまい、後世の作曲家たち、例えばハッセなどは「ドゥランテがイタリア一の和声の大家だなんてとんでもない。その評価はアサッサンドロ・スカルラッティに贈られるべきだ」なんて言っていたそうです。さて、そんな可哀そうなドゥランテの作品ですが、ここで改めて聴いてみると、何とも人間的情感に溢れた良い曲だということに気が付くのではないでしょうか。
PE-434(2CD)
ヴィヴァルディ:協奏曲集
フルート協奏曲ヘ長調「海の嵐」Op.10-1RV433
弦楽のための協奏曲ト短調RV155
協奏曲変ロ長調「葬送協奏曲」RV579
弦楽のための協奏曲ト短調RV156
シンフォニアホ長調RV131
協奏曲イ長調「ペル・エコー・イン・ロンターノ」RV552
フルート協奏曲ト短調「夜」Op.10-2RV439
弦楽のための協奏曲イ長調「コンチェルト・リピエーノ」RV158
室内協奏曲ニ短調RV566
リコーダー協奏曲ハ短調RV441
弦楽のための協奏曲変ロ長調RV162
協奏曲イ長調RV585
オーボエとバスーンのための協奏曲ト長調RV545
合奏協奏曲ニ短調Op.3-11RV565
ヴェルナー・エールハルト(指)
コンチェルト・ケルン

録音1988年12月、1988年3月
1985年に設立されたコンチェルト・ケルンは主に18世紀から19世紀前半の曲を演奏するピリオド楽器によるアンサンブルです。設立当時から常任指揮者は置かず自主的な活動を行い、様々な作品を演奏、また多くのソリストたちとも共演し、目覚ましい活躍ぶりを見せています。このヴィヴァルディは、どちらかと言うと「イタリア的な明るさ」よりも「ドイツ的な重厚さ」が際立つ個性的な演奏です。冒頭の「海の嵐」から、重々しい音が鳴り響き、ちょっと驚いてしまうかもしれませんが、慣れてくるに従って、ヴィヴァルディの音楽の持つ力強さに圧倒されることでしょう。様々な楽器が縦横無尽に活躍する各々の協奏曲は面白さ抜群です。
PE-437(2CD)
シューベルト:交響曲集
交響曲第5番/交響曲第6番
交響曲第8番「未完成」
交響曲第9番「グレート」
シャンドール・ヴェーグ(指)
カメラータ・ザルツブルク

※Capriccioレーベル10535と10503の2枚をセット化。
定評あるヴェーグのシューベルトです。例え「グレート」でも壮大さを前面に出す演奏ではなく、どちらかというと爽やかに流す演奏です。もちろん軽いわけではないのですが、やはりウィーン的な洒脱さを重視しています。そんなヴェーグの美質が最も現れているのが、第5番の可愛らしい変ロ長調の交響曲でしょう。歌心満載の第1楽章、清流のように心地良く流れる第2楽章、朴訥さがステキな第3楽章、弾む心が抑えられない終楽章と、なんとも魅力に満ちています。

カペラ・コロニエンシスの芸術
1CD==
カペラ・コロニエンシスは、1954年5月8日、当時としては珍しい古楽器演奏を目的として、ケルン放送局(北西ドイツ放送)によって創設されたオーケストラ。創設時はアウグスト・ヴェンツィンガーなどが指揮者として共演もしていました。設立当時〜1980年ぐらいの間は、まだまだ古楽器自体実験的なものでもあり、本格的オリジナル楽器演奏とは言いがたいもので、(当時のオーケストラ・メンバーは、主にケルン音楽大学の教授たちによって成り立っており、同時代にドイツ・ハルモニア・ムンディの録音のために設立された「コレギウム・アウレウム」のメンバーとほぼ同じ)。そのため、協奏曲のソロには、ヘルムート・フッケ(ob)、ハンス・ダインツァー(Cl)なども登場しているのが懐かしいところです。指揮者としては、フェルディナンド・ライトナーやハンス=マルティン・リンデなども登場。
彼らのレパートリーはバロック音楽だけではなかったため、初期古典派から初期ロマン派を積極的に取り上げているのも見逃せないところでしょう。1980年台にはイタリアのオペラ指揮者ガブリエーレ・フェルロを起用し、ロッシーニのオペラ「アルジェのイタリア女」「チェネレントラ」などを演奏・録音し絶賛を浴びました。1980年台後半になると、本格的オリジナル楽器演奏に移行していき、ウィリアム・クリスティやジョン・エリオット・ガーディナー、ジョシュア・リフキンなどが客演指揮者としてに迎えられています。またコンサート・マスターをヒロ・クロサキが務めたところにも注目です。
1997年以降はブルーノ・ヴァイルが首席指揮者として迎えられ、積極的な企画コンサートも行われています。今回の再発はケルン放送局に残されているアーカイブで、一部はカプリッチョレーベルからも発売されていましたが、こうしてまとめて聴けるのはファンにとって最高の喜びと言えるでしょう。
PE-171
ソプラノ・カンタータ集
ヘンデル:ソプラノ・カンタータ(モテット)「風よ静まれ」HWV242
ハッセ(1699-1783):ソプラノ・カンタータ「嫉妬」
バッハ:ソプラノ・カンタータ「悲しみを知らぬ者」BWV209*
エンマ・カークビー(S)
ゾフィー・ボウリン(S)
イザベル・プールナール(S)
ハンス=マルティン・リンデ(フラウト・トラヴェルソ、(指)
フェルディナント・ライトナー(指)*、
カペラ・コロニエンシス
PE-172
フルート協奏曲集
フリードリヒ2世(1712-1786):フルート協奏曲第3番ハ長調
テレマン
:フルート協奏曲ホ短調
ファッシュ:フルート協奏曲ト長調
テレマン
:フルート協奏曲ホ短調
コンラッド・ヒュンテラー(フラウト・トラヴェルソ)
ギュンター・ヘラー(リコーダー)
クリストフ・ハントゲブルス(フラウト・トラヴェルソ)
ヘルムート・ヒュッケ(Ob)
ウルフ・ビェルリン(指)/ゲオルク・フィッシャー(指)
ハンス=マルティン・リンデ(指)
カペラ・コロニエンシス
PE-173
オーバーチュア集
ハイニヒェン(1683-1729):オーバーチュアト長調/グラウプナー(1683-1760):オーバーチュアハ長調/
ファッシュ(1688-1758):オーバーチュア変ロ長調/グラウン(1703-1771):オーバーチュアニ短調
ハンス=マルティン・リンデ(指)
カペラ・コロニエンシス
PE-174
古典派の交響曲集
ゴセック(1734-1829):交響曲変ロ長調Op.6-6
ヴァンハル(1739-1813):交響曲ト短調
マオー(1720-1785頃):弦楽のための交響曲第4番ハ短調
クラウス(1756-1792):交響曲ハ短調
ハンス=マルティン・リンデ(指
)カペラ・コロニエンシス
PE-175
ケルビーニ:ハイドンの死に寄せる歌
交響曲ニ長調
マリリン・シュミーゲ(S)
マルティン・ヒル(T)
パオロ・バルバキーニ(T)
ガブリエル・フェッロ(指)
カペラ・コロニエンシス
PE-176
ハイドン:カンタータ集
ソプラノとオーケストラのためのカンタータ「ベレニーチェ」〜情景Hob.XXIVa:10
ソプラノとオーケストラのためのカンタータ「惨めな祖国」Hob.XXIVa:7
ヴァイオリン協奏曲第4番ト長調Hob.Vlla:4
交響曲第92番「オックスフォード」Hob.l:92*
マリリン・シュミーゲ(S)
イングリッド・ザイフェルト(vn)
ハンス=マルティン・リンデ(指)
フェルディナント・ライトナー(指)*
カペラ・コロニエンシス
PE-177
クラリネット協奏曲集
C.シュターミッツ(1745-1801):2本のクラリネットと管弦楽のための協奏曲第4番
弦楽のための四重奏曲
J.シュターミッツ(1717-1757):クラリネット協奏曲変ロ長調
ハンス・ダインツァー(Cl)
ジャン・エンゲル(Cl)
ガブリエレ・フェッロ(指)
ウルフ・ビェルリン(指)/カペラ・コロニエンシス
PE-178
ハッセ:歌劇「クレオフィーデ」〜情景とアリア クレオフィーデ…エンマ・カークビー(S)
エリッセナ…アニェス・メロン(S)
ガンダルテ…ランダル・K・ウォン(S)
ポロ…デレク・リー・レイギン(A)
アレッサンドロ…ドミニク・ヴィス(C-T)
デイヴィッド・コーディアー(C-T)
ライニッシェ・カントライ
ウィリアム・クリスティ(指)
カペラ・コロニエンシス

PE-801(DVD)
プッチーニ:歌劇「トスカ」 ナージャ・ミヒャエル(S)、
ゾラン・トドロヴィチ(T)、
ギドン・サクス(Br)他、
ウルフ・シルマー(指)ウィーンSO、
ブレゲンツ祝祭cho

収録:2007年ブレゲンツ音楽祭
125分音声:PCM Stereo 2.0
Dolby Digital Surround 5.1
画面:16:9
字幕:独語・英語・仏語・伊語
NTSC/RegionAll(Code:0)
湖の上で繰り広げられる一夜の饗宴。野外オペラ特有の、風になびく歌手たちの髪がたまりません。この「トスカ」とにかく不気味です。とりわけ舞台中央に設えられた巨大な眼!この視線から逃れることは不可能です。ある時は青く光り、またある時は拷問に悶え苦しむ恋人の姿を映します。瞳孔はテーブル代わりにもなり、幕切れでは塔の天辺の役割も果たします。不可解なオペラ冒頭のコマ割りも心に微かな棘を残します。実力派を揃えた歌手たちの熱唱を手堅くまとめたウルフ・シルマーの手腕にも感服です。
PE-802(DVD)
フランケッティ:歌劇「ゲルマニア」 カルロ・ヴェントレ(T)、
ブルーノ・カプローニ(Br)、
リーゼ・リンドストレム(S)、
アンテ・ジェルクニカ(B)、
レナート・パルンボ(指)
ベルリン・ドイツ・オペラO&cho、他

収録時間:140分
音声:PCM Stereo 2.0,
Dolby Digital Surround 5.1
画面:16:9字幕:独語・英語・仏語・伊語
NTSC/Region All(Code:0)
CAPRICCIO*93518の再発売盤。今でこそ、その名前はほとんど忘れられてしまっているイタリアのオペラ作曲家、フランケッティ。あのヴェルディが「アメリカ発見400年記念」の際にオペラを書くように委嘱された時、その仕事を丸投げされたのが彼(完成したのが歌劇クリストフォロ・コロンボ)でした。この歌劇「ゲルマニア」はナポレオン軍に対するドイツの暴動に関わった一人の男の物語。イタリアのヴェリズモ・オペラにワーグナーの楽劇の要素を加え、R・シュトラウスの煌く響きを振りかけた見ごたえのある作品です。イタリア、ドイツ・オペラ双方を得意とするパルンボの指揮で。
PE-803(DVD)
ワイル:喜歌劇「クーハンデル」(武器と牛) ウルズラ・プフィッツナー(S)、
ディートマー・ケルシュバウム(T)、
カルロ・ハルトマン(Br)
ミヒャエル・クラウス(Br)
ヴォルフガンク・グラチュマイアー(T)他、
クリストフ・エーベルル(指)
ウィーン・フォルクスオーパーO&cho

収録時間:138分
音声:PCM Stereo2.0
Dolby Digital Surround 5.1
画面:16:9字幕:独語・英語・仏語
NTSC/RegionAll(Code:0)
「三文オペラ」で有名なワイルの知られざる名作「クーハンデル」。架空の貧乏な国に暮らす恋人たちファニータとファン。国を守る大統領(座ってばかりで動かない)とその側近。武器を売りつけ大儲けしようと企む商人ジョーンズ。さまざまな思惑をはらみつつ物語は進みます。武器を買うには国の財政が逼迫しているために国民たちに重税がかけられ、ファンの牛は差し押さえられてしまうは、ファニータは飲み屋で働くことになるは…。結末はある意味予想通りのオチが付きます。軽妙なメロディの陰に潜む強烈な批判と風刺が心地良く、見終わった後の心に清涼な風(?)が吹き抜けることでしょう。
PE-804(DVD)
J・ネストロイ(1801-1862)&カール・ビンダー(1816-1860):オペラ・パロディ「80分DEタンホイザー」 ロベルト・マイヤー(俳優/歌い手/ウィーン・フォルクスオーパー総裁)
ノイエ・ヴィーナー・コンチェルト・シュランメルン

収録時間:85分
音声:PCM Stereo 2.0
Dolby Digital Surround5.1
画面:16:9字幕:独語・英語・仏語
NTSC/Region All(Code:0)
ヴェヌスの魅力におぼれ、道を踏み外したタンホイザーを救うのは、領主の娘エリーザベトの純愛と死・・・・。そんな切ない悲劇を80分の濃縮版で。しかし、このお話なんか変だぞ???序曲からなんだか酒場の賑わい・・・。シュランメルの伴奏に乗って歌い語りまくるのは、フォルクスオーパーの総裁でもあるロベルト・マイヤー。彼の一人芝居によるタンホイザーはまさにやりたい放題の楽しさ一杯です。王冠をかぶった領主はすぐにヨーデルを歌い出し、花環をかぶれば恋する乙女に早変わり。きついウィーン訛りのセリフではありますが、これは言葉がわからなくても充分に楽しめます。


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