湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


SERENADE
(CD-R盤です)



GRANDSLAMでもお馴染みの音楽評論家、平林直哉氏の自主制作CD-R。マニアックで大量に売れることが見込めない内容ながら、見過ごすにはあまりにも惜しい、価値ある録音を厳選してリリースし続けています。
「廃盤」も少なくないですが、契約の関係でやむをえない処置とのこと。あらかじめご了承くださいませ。


1枚あたり…¥2310(¥2200)



品番 内容 演奏者
SEDR-2001
ベルリン・フィルと偉大な指揮者たち第1巻
ワーグナー:「パルジファル」第3幕転景音楽/アルフレッド・ヘルツ(指)<'14.9.16>
ウェーバー:「オイリアンテ」序曲/マックス・フォン・シリングス(指)<'21>*
サン・サーンス:死の舞踏/ブルーノ・ザイトラー=ヴィングラー(指)<'23>*
グルック:「アウリスとイフィゲニア」序曲/ユリウス・プリューヴァー(指)<'28>*
ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲/カール・シューリヒト(指)<'30.1.13>
ポピー:バレエ組曲/アロイス・メリヒャル<'32>*
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」/ハンス・シュミット=イッセルシュテット(指)<'38.3.10-11>*
ベートーヴェン:「フィデリオ」序曲/ヘルマン・アーベントロート(指)<'38.10.1>*
グルック:「アルチェステ」序曲/ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)<'42.10.28>
全て、BPO
*印=世界初CD化
●アルフレッド・ヘルツ Alfred Hertz(1872-1942)…フランクフルト生まれ。ドイツ各地で活躍したのちにニューヨークの
メトに渡り、そこで主にドイツ・オペラの指揮者として活躍した。これはベルリン・フィルの最初の録音として知られるが、この時の
全録音はNaxos  8.11049/50のCDに含まれる。マックス・フォン・シリングス Max von Schillings(1868-1933) デューレン生まれ。
バイロイト、ベルリン国立歌劇場で活躍、フルトヴェングラーの先生としても知られる。
●ブルーノ・ザイトラー=ヴィンクラー Bruno Seidler-Winkler(1880-1960)… ベルリン生まれ。ピアニスト、指揮者で、
のちにドイツ・グラモフォンの録音の音楽監督を務め、レコードの黎明期に多数の録音を行った。このSPの盤面には表示が
ないために独奏者名は不明である。録音時期から推定すると、当時の主席Henry Holstであるかもしれない。
●ユリウス・プリューヴァー Juliusu Pruwer(1870-1943)…ウィーン生まれ。ベルリン
高等音楽院教授。ベルリン・フィルのポピュラー・コンサートのシリーズをしばしば指揮していた。
●アロイス・メリヒャル Alois Melichar(1896-?)…ウィーン生まれ。フリーの指揮者、映画音楽の作曲家として活躍。なお、作曲家
Popyについては経歴不詳。  
 【平林直哉】
SEDR-2002
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO   
録音:1944年12月16日
原盤:URANIA URLP7095
このディスクの演奏は“ウラニアのエロイカ”と呼ばれるもので、フルトヴェングラーの録音遺産の中でも特に有名なもの。
この演奏はこれまで実に多種多様なレーベルからおびただしい数のLP、CDが発売されているが、熱心なファンの間では
いまだにオリジナル盤LPであるURLP7095の音質が最も鮮明とされている。しかし、このオリジナル盤LPは現在相当な高値で
取り引きされているために、その音質を実際に確かめることの出来た人は少数である。そのため、本CDRではそのオリジナル
LPの音質を可能な限り忠実に再現し、少なくともその雰囲気だけでも多くの人に味わってもらえるように制作されたものである。
これを聴くと、確かにLP特有の歪みは感じられるものの、各パートの明確さや、彫りの深さは他のどのLPやCDよりも優れて
おり、一部のファンがオリジナル盤を探し求めている理由もそれなりに理解出来るものと思われる。
なお、オリジナルのLPは通常の回転数で再生すると半音近くもピッチが高いが、これは通常のCDプレーヤー、あるいはCDR
プレーヤーで再生することを考慮すると、最も標準的なピッチに修正せざるを得なかった。また、このオリジナルのLPは現在の
録音特性RIAAで再生すると中高域が出過ぎて派手な音質となり、この派手さが音質の良さだと勘違いされる場合もあるが、
むろんここでは当時の録音特性に合わせて復刻されている。 
 【平林直哉】
SEDR-2003
ベートーヴェン:「コリオラン」序曲、*
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲**、
ブラームス:交響曲第4番#。
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO   
録音:1943年6月27-30日*、1943年12月12−15日*,#(原盤:Melodiya 33D09867/8*,#、33D01085/4**のLP)
米URANIA盤LP/URLP7095よりの復刻盤であるベートーヴェンの「英雄」(SEDR2002)を制作したところ、予想以上に反響が
あり、と同時にさまざまなオリジナルLPの復刻を希望する声が届いた。しかしながら、いくらオリジナル盤とはいえ、過去に流通して
いるLP、CDと同等、もしくはそれ以下の音質のものを復刻しても意味がないので、素材には十分吟味する必要があった。ところが、
SEDR2002を制作した直後に極めて保存状態の良いメロディア盤LPを複数入手することが出来、試聴の結果、その中でもいわゆる
〈たいまつレーベル〉と呼ばれるブラームスの交響曲第4番、ベートーヴェンの「コリオラン」序曲のLPが鮮明な音質であることが
判明した。しかも、幸いなことにこのLPはスクラッチ・ノイズも驚くほど少ないので、ここで新たに復刻することになった。
LPの音質を限りなく忠実に復刻するという方針は今回も変わってはいないが、以下に述べる点が異なっている。オリジナルの
LPの順序は第1面に交響曲第4番の第1、2楽章、第2面に同じく第3、4楽章、続いて「コリオラン」序曲となっている。当初は
この順番通りに2曲だけ収録する予定だったが、これではあまりにも収録時間が短いので、ベートーヴェンの交響曲第9
(Melodiya33D010851/4、ピンク・レーベル)の第4面に入っているハイドンの主題による変奏曲を入れ、演奏会風に表記の
ような曲順に入れ替えた。従って、このCDRでは交響曲第4番と「コリオラン」がメインで、変奏曲はあくまでも付録となる。なお、
録音データはオリジナルLPには表記されていないので、このCDRでは種々の資料を参考にして明記してある。 
 【平林直哉】
SEDR-2004
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1942年3月
原盤:メロディアLP 33D010851/4
ブラームスの第4(SEDR2003)は〈たいまつレーベル〉であるが、この第9は〈ピンク・レーベル〉である。未確認の情報によると、
この第9もまた〈たいまつ〉が最も鮮明な音質らしいが、それを確認する手だては今のところ全くない。本来であれば
〈たいまつレーベル〉のLPも入手し、この〈ピンク・レーベル〉と比較して、良い方を出すべきであろう。だが、いくら〈たいまつ〉
とはいえ、やはり問題なのは保存状態である。つまり、保存状態の良くない〈たいまつ〉と、状態の良い〈ピンク〉となると選択は
むずかしくなるだろう。また、音録り、リマスタリングも最終的な音質に大きくかかわってくる。
この復刻に使用したLPは、あるコレクターから提供されたものだが、その人物によると、海外の倉庫に眠っていた手つかずの、
つまりは全くの新品であるという。しかも、私たちにとって幸いだったのは、その提供者がフルトヴェングラーの信奉者ではなく、
盤面がほとんどすり減らされていなかったことである。従って、現時点でこのCDRは当時のメロディアの第9の音を偲ぶには
最適な資料となりうる、このように考えて復刻を決意した次第である。
また、若干の補足をさせていただくと、この第9は第1楽章と第2楽章が第1面に、第2面には第3楽章、第3面には第4楽章が
それぞれ収録されている。第4面に入っているブラームスの〈ハイドンの主題による変奏曲〉はすでに復刻したSEDR2003に
含まれている。なお、復刻に際しては原音を可能な限り忠実に再現し、大きなノイズ除去以外の音質調整は一切行っていないのは、
これまでと全く同じである。 
 【平林直哉】
SEDR-2005
ベルリオーズ:幻想交響曲、
R・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」*
ブルーノ・ワルター(指)NBC響
録音:1939年4月1日、1940年3月2日*
ワルター/NBC響の録音は、これまでさまざまなレーベルから発売されていたが、このディスクに含まれた演奏は過去に
いかなる形でもリリースされていないものである。NBC響は言うまでもなく、トスカニーニに徹底的に鍛えられたオーケストラ
であり、この演奏にもそのトスカニーニの刻印が明瞭である。しかし、テンポや表情をはじめ、音楽はワルターそのものであるし、
指揮者の意図を先回りして表現してしまうようなオーケストラの反応の良さに、ワルターも満足だったのではと想像している。
特にこのディスクに含まれた2曲は従来のワルターの録音であれば、それらしい迫力がないと指摘されるところだが、その点に
ついての不満はこの録音の場合、完全に解消されていると言っていいだろう。なお、提供されたテープには収録場所が記載
されていないが、音の状態やいくつかの断片的な資料から推測すると例の8Hスタジオでの収録と思われる。しかし、完全に
裏がとれていないので、ジャケットにはあえて記載しなかった。また、復刻にあたっては基本的には最低限の音質補正しか
していないので、若干の不備はあるものの、全体の音質は当時としては破格な高音質であると思う。この SEDR2005〜7が
好評であれば、他レーベルで出ていた音源を新たに復刻することも検討している。 
 【平林直哉】
SEDR-2006
ブラームス:交響曲第1番、
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲*
スメタナ:交響詩「モルダウ」*
ブルーノ・ワルター(指)NBC響
録音:1939年3月1日、1940年3月2日*
ワルター/NBC響の録音は、これまでさまざまなレーベルから発売されていたが、このディスクに含まれた演奏は過去に
いかなる形でもリリースされていないものである。NBC響は言うまでもなく、トスカニーニに徹底的に鍛えられたオーケストラで
あり、この演奏にもそのトスカニーニの刻印が明瞭である。しかし、テンポや表情をはじめ、音楽はワルターそのものであるし、
指揮者の意図を先回りして表現してしまうようなオーケストラの反応の良さに、ワルターも満足だったのではと想像している。
なお、提供されたテープには収録場所が記載されていないが、音の状態やいくつかの断片的な資料から推測すると例の
8Hスタジオでの収録と思われるが、完全に裏がとれていないのでジャケットにはあえて記載しなかった。また、復刻にあたっては
基本的には最低限の音質補正しかしていないので、若干の不備はあるものの、全体の音質は当時としては破格な高音質で
あると思う(交響曲第1番には若干回転ムラがあるが)。また、この SEDR2005〜7が好評であれば、他レーベルで出ていた
ワルター/NBCの音源を新たに復刻することも検討している。 
 【平林直哉】
SEDR-2007
ヘンデル:合奏協奏曲Op.6-2、
ワーグナー:ジークフリート牧歌*
ブラームス:交響曲第2番#
ブルーノ・ワルター(指,P)NBC響
録音:1940年2月17日、1939年4月8日*、1940年2月7日#
このディスクに含まれるヘンデル、ワーグナーが世界初出の音源で、さらにヘンデルはワルターの初のレパートリーという貴重な
ものである。ところが、提供されたテープに「作品6の12」と明記されていたために、予告の段階でうっかりこの誤情報を流して
しまい、一部に混乱を招いたことはお詫びせねばならない。また、ブラームスは1940年2月24日と表示されたEklipse T5と同一の
演奏である。日付について、現時点では当盤とEklipse盤のどちらが正しいかの判断を下せるだけの材料がないため、ここでは提供
されたテープの表記に従っている。ちなみに、最近イタリアで出版されたワルターの写真集『BRUNO WALTER/LA PORTA
DELL'ETERNITA VOL.3』(MICHELE SELVINI)の巻末のディスコグラフィにはEklipse盤の日付は2月17日と記されている。
なお、Eklipse盤は最新の技術を駆使してノイズをきれいに除去しているが、このSERENADE盤は基本的にはもとのテープの音質を
そのまま生かしており、その音質の違いはかなり大きいので、機会があれば聴き比べていただきたい。
また、このSERENADE SEDR2005〜7のワルター/NBCのシリーズの原テープにはアナウンスも入っているが、そのアナウンスが
全部入っているものや、途中で切れているものなどバラツキがあったため、ディスク化に際してはすべてカットした。 
 【平林直哉】
SEDR-2008
ベートーヴェン:交響曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第7番*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1943年6月27-30日、1942年11月31日*
原盤:Melodiya D09083/4、Meolodiya D02779/80*
このCDRはメロディアの初期LPより復刻したものである(第4番がホワイト・レーベル、第7番がイエロー・レーベルをそれぞれ
使用)。最初の第4番は全楽章ともに聴衆入りのライヴ演奏である。この録音は低音にハム音が混入しているが、これは言う
までもなくLP通りである。このハム音の除去は容易であるが、それを行うと音質は間違いなく軽く、安っぽいものに変貌するので、
そのままにしておいた。逆に言えば、のちの復刻盤はこのハム音を除去しているので、その分軽くなっているとも考えられる。
第7番の方は第4番よりはもともと軽い音質であるが、それでもこのCDRは従来の多くの復刻盤よりは豊かに響くはずである。
また、第4楽章の冒頭は数々の文献にあるとおり、欠落している。近年になって再プレスされたメロディアのLP、CDによって
完全版が初めて日の目を見たが、それまでは再現部の冒頭をコピーして編集したものが世界中に流布していたのである。
このCDRのように欠落のまま復刻する方針には異論があろうが、今や伝説と化した事故を実際に音で確かめられる復刻盤が、
世の中にひとつくらいはあってもよいのではないかと思っている。 
 【平林直哉】
SEDR-2009
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」
ウェーバー:「魔弾の射手」序曲
R・シュトラウ:交響詩「ドン・ファン」
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1944年3月20-22日*,**、1942年2月15-17日#
原盤:Melodiya D027777/8*、Melodiya 33M10-41233/4**,#
メロディアLPからの復刻盤であるブラームス第4(SEDR2003)、ベートーヴェン第9(SEDR2004)を発売して以降、幸いにも
フルトヴェングラーのメロディア盤LPを十数枚入手した。それらを過去のLP、CD等と比較試聴し、復刻に値する結果が
得られると判断したものだけを、今回、 SEDR2008、2009、2010、2011の4枚として発表することになった。このCDRでは
「田園」がホワイト・レーベル、それ以外はピンク・レーベルから復刻したものである。これらのLPが、過去に発売された
メロディアのLPの中でも最高の音質かどうかは判断できないが、現時点では望みうる最上の音質であると考えている。
とにかく、このCDRはその昔出ていた伝説のメロディア盤がどのような音であったか、それを知るひとつの手がかりとして世に
問うたもので、各方面からのご意見、ご批判をいただければ幸いである。 
 【平林直哉】
SEDR-2010
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
R・シュトラウス:4つの歌曲(森の幸福/愛の賛歌/誘惑/冬の恋)*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO、ペーター・アンデルス(T)
録音:1942年5月31日ー6月1日、1942年2月15-17日*(原盤:Melodiya D010033/4、Melodiya 33M10-41233/4*)
このCDRはメロディアのホワイト・レーベル(シューベルト)、ピンク・レーベル(R.シュトラウス)から復刻したものである。
ホワイト・レーベル、イエロー・レーベル、たいまつレーベルは1950年代後半から1960年頃に製造されたもののようだが、
それぞれについての詳細は明かではない。一方、ピンク・レーベルは1960年代から1970年代初頭にかけて製造されたようで
ある。いつ頃製造されたものが、あるいは何色のレーベルのフルトヴェングラー盤が最上の音質かについては諸説あるが、
少なくともこの復刻盤では現時点で望みうる最上の音質で楽しめるように心がけている。 
 【平林直哉】
SEDR-2011
ベートーヴェン:交響曲第5番(2種の演奏) ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1943年6月27-30日、1926年
原盤:Melodiya D05800/1、Polydor[Japan]60024/8(174/5bm, 216/8bm, 179bm,3301/2bm, 214/5bm
1943年の演奏はメロディアのピンク・レーベルから復刻したもので、出来上がりの音質はまずまずであると思う。しかし、
この復刻CDRでは、むしろ音の良くない1926年の演奏が重要である。このSPは一時期アコースティック録音(ラッパ吹き込み)説
が出たほど、当時としても良くない録音とされていた。確かにその通りであるが、SPを再生してみると、ピアニシモは極端すぎる
ほど弱く繊細であり、逆にフォルティシモの爆発は凄まじい。つまり、音の悪さも確かにあるが、演奏自体がもともと破格であった
ことも、結果としての音質に大きく影響しているように思われる。また、第2楽章で第4面は185小節冒頭で終わっているが、
第5面は176小節から戻って演奏されている。つまり、復刻する際にはダブっている9小節は破棄されねばならないが、この
CDRではボーナス・トラックとして盤に刻まれたすべての音を聴くことが出来るようにしてある。さらに、周知の通り、第3楽章には
オリジナルの演奏に欠落がある。 
 【平林直哉】
SEDR-2012
ハイドン:交響曲第86番
モーツァルト:交響曲第35番「ハフナー」*
シューベルト:交響曲第5番#
ブルーノ・ワルター(指)NBC響
録音:1940年2月10日、1940年2月17日*、1940年3月9日#)
SEDR2005〜2007の3点は大半が初出の音源であったが、今回のSEDR2012〜2014の3点は過去にいずれかのレーベルで
出ていた実績のあるもので、初発売の音源は含まれていない。しかしながら、当シリーズはこれまで通り復刻に際しては過度の
ノイズ・カットを施していないために、過去に出ていたLP、CD等とは印象が大きく異なっている。なお、Arturo Toscanini
THE NBC YEARS(M. H. Frank, Amadeus Press)の本の巻末にある演奏記録では1940年2月10日はハイドンの交響曲第88番
となっているが、これは明らかに誤りである。 
 【平林直哉】
SEDR-2013
ウェーバー:「オベロン」序曲
ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」
ベートーヴェン:交響曲第1番*
ブルーノ・ワルター(指)NBC響
録音:1939年3月18日、1939年3月25日*
SEDR-2014
スメタナ:「売られた花嫁」序曲
シューベルト:交響曲第9番「グレート」*
モーツァルト:メヌエットK.568、399#
ドイツ舞曲K.605#
ブルーノ・ワルター(指)NBC響
録音:1940年3月2日、1940年2月24日*、1940年3月9日#
SEDR-2015
ブラームス:弦楽四重奏曲第1番
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」*
ブッシュSQ[アドルフ・ブッシュ、ブルーノ・シュタウトマン、フーゴー・ゴッテスマン、ヘルマン・ブッシュ]、
アドルフ・ブッシュ(Vn)*、ルドルフ・ゼルキン(P)*
録音:1951年1月25日ヘッセン放送・ライヴ(世界初出)、1933年5月17日*
ブラームスの弦楽四重奏曲第1番は、今回初めて公開されるものである。ブッシュ弦楽四重奏団は1951年1月から2月に
かけて戦後初めてのドイツ公演を行ったが、これはその一貫である。この日のライヴはヘッセン放送によって中継放送されたが、
当日のほかのプログラムや収録場所は残念ながら不明である。この時の4人のメンバーはブッシュ弦楽四重奏団最後の
メンバーで、この公演のあった年の暮れにブッシュが引退を表明し、この団体は活動を停止している。なお、上記のドイツ
公演は、新星堂SGR8518〜20のCDでも聴くことが出来る。(このSGR盤の解説ではドイツ公演は2月としか書いていないが、
実際は1月より行われている)
一方の「春」は有名なHMV録音である。このCDRでは米ビクター盤を使用しているが、これはカートリッジで再生する場合、
HMVのSP盤は高音に独特のきついノイズを発生するためである。コレクターの中には文字通りオリジナルの固執する人も
多いが、あのHMV盤独特の針音は一般のリスナーにとってはあまりにも過酷である。では、HMV盤を使用して高域のノイズを
処理出来れば良いが、これが非常にむずかしく、たいていは無惨な結果に終わってしまう。このビクター盤による復刻はSPの
原音を100%再現出来たとは言えないものの、従来の復刻盤では聴けなかった、暖かく伸びやかな音質で楽しんでいただけると
思う。 
 【平林直哉】
SEDR-2016
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(改訂版) ブルーノ・ワルター(指)NBC響
録音:1940年2月10日ライヴ
ブルックナーの交響曲の〈改訂版〉は特に第5、第9に象徴されるように、今日では第三者の手を経た“改悪版”として認識
されている。しかし、ブルーノ・ワルターら、当時ブルックナーをレパートリーとしていた指揮者たちは皆、〈改訂版〉をごく当たり
前に振っていたのである。その理由は簡単である。その当時は〈改訂版〉しか世の中に存在していなかったからである。その後、
1935年からロベルト・ハースによって〈ハース版〉が、1951年からはレオポルド・ノヴァークによってそれぞれ〈原典版〉が出版
されたが、ほとんどの指揮者がハース、あるいはノヴァークの〈原典版〉に宗旨替えをしつつも、細部には〈改訂版〉の痕跡を
残している例はいくつも知られている。ワルターの指揮する「ロマンティック」の録音は、このNBC盤とは別にコロンビア響を
振ったステレオ録音が有名だが、そこにも明らかに〈改訂版〉の残滓がある。  
 【平林直哉】
SEDR-2017
ブルックナー:交響曲第8番(改訂版) ブルーノ・ワルター(指)NYO
録音:1941年1月26日ライヴ
ワルターの指揮した交響曲第8番の録音は目下のところ、これしか知られていない。ワルターは後年、この曲を指揮した際には
〈原典版〉を用いたことはまず間違いはないだろう。しかし、それがどのようなものだったか、現時点では全く想像の域を出ない。
  
 【平林直哉】
SEDR-2018
ラロ:スペイン交響曲
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」*
ベートーヴェン:ロマンス第2番**
バッハ(ヴィルヘルミ編):G線上のアリア#
ジャック・ティボー(Vn)
ジャン・マルティノン(指)
オルケストル・ナショナル、コルトー(P)*、
ハロルド・クラクストン(P)**,#
録音:1953年2月19日、1929年5月27-28日*、1925年11月25日**、1927年2月14日#
このディスクに含まれるラロの「スペイン交響曲」は初めて公開されるライヴ録音である。この録音はアセテート盤から起こした
テープを苦心して編集したもののようだが、ディスク化に際しては以下の部分を編集した。まずひとつは第1楽章の39小節が
ダブっていたが、これはカットするだけで問題はなかった。問題はスケルツァンドの80小節めとロンドの100小節めの、それぞれ
1小節分の欠落であった。欠落の原因は不明だが、ともかく最初は他のティボーの演奏で欠落を埋めて編集したが、修正すると
逆に編集箇所の不自然さがいっそう目立つこととなったために、やむなくオリジナルのままを採用した。また、オーケストラ名に
ついては、音源供給元や他の資料にもOrchestre Nationalとしか表記していないので、それをそのまま表記した(恐らくは、フランス
国立であると思うが)。
そのほかの演奏はHMVのSPを復刻したもので、音源としての目新しさはない。しかし、これまで同様にSP盤独特の音の伸びを
大切に復刻したもので、個人的には「クロイツェル」がまずまずの出来ではないかと思っている。  
 【平林直哉】
SEDR-2019
クナッパーツブッシュT
ブラームス:交響曲第4番、
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」組曲*
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)
ケルンRSO、BPO*
録音:1953年5月8日、1950年2月2日*
ブラームスの方はクナッパーツブッシュの演奏の中でも特に個性的なものとして知られているが、これまで発売されたLP、
CD等は音質が今ひとつでああり、その真価を堪能するまでにはいたらなかったように思う。ところが最近入手したテープは
状態がかなり良く、ごく一部に音のカスレや揺れ、または小さな音で別の音楽が聴こえてくる部分(第1楽章の後半部分など)も
あるが、全体的には十分に鑑賞に堪えうると判断し、CDR化を決断した次第である。
チャイコフスキーの方はTahraから出ているものと全く同一である。Tahraの方はノイズをやや抑えめにして聴きやすく処理して
あるが、このCDRではそのような処理は基本的には行っていない。部分的には明らかに低音が過剰と思われるが、そのような
デコボコに手を加えるとどうしても雰囲気感が損なわれてしまうので、最終的にはほとんど原音のままを採用した。もしもお聴き
苦しい場合は、アンプのトーンコントロールやグライコ等で調節していただきたい。  
 【平林直哉】
SEDR-2020
クナッパーツブッシュU
ブラームス:交響曲第3番*
ニコライ:歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
J・シュトラウス:歌劇「こうもり」序曲
ヨハン&ヨゼフ・シュトラウス:ピチカート・ポルカ
コムツァーク:ワルツ「バーデン娘」
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)BPO
録音:1944年9月9日*、1950年2月2日
原盤:Melodiya 33M10-4175/78*
ブラームスはメロディアのLP(33M10-41175/78)からの復刻である。この2枚組LPはブルックナーの交響曲第4番
「ロマンティック」(この演奏はSEDR2021でCDR化)と組み合わされており、いささか詰め込み気味ではあるものの、それでも
従来のLP、CD等よりも良い結果が得られると判断してCDR化した。金管楽器がマイクに近いためか、時おり刺激的に響くが、
これを抑えすぎると今度は弦楽器のふくよかさが失われるために、そのあたりの操作はあまり過剰にならぬように配慮した。
なお、メロディアのLPには録音データは記載されておらず、このCDRでは『ハンス・クナッパーツブッシュ・ディスコグラフィ』
(吉田光司著、キングインターナショナル)に準拠している。
ニコライ以下はベルリンでのライヴである。「ウィンザー」や「こうもり」の終わりの拍手は何やらわざとらしいが、カットすると
唐突な感じがするのでそのままにしておいた。また、「こうもり」では冒頭がフェイド・イン気味になっているが、これはオリジナルの
ままである(同一演奏のTahra盤も同様にフェイド・イン気味になっている)。  
 【平林直哉】
SEDR-2021
クナッパーツブッシュV
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(改訂版)
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)BPO
録音:1944年9月8日
原盤:Melodaiya 33M10-41175/78
このブルックナーは2枚組4面のうちの3面にカッティングされたもので、同じLPの3面から4面にカッティングされている
ブラームスの交響曲第3番は当シリーズの(SEDR2020)に含まれている。使用している版はいつものように改訂版だが、
改訂版にはない表情が随所に付加されているがこの演奏の特色でもある。なお、LPには例によって録音データは記載
されていないので、このCDRでは『ハンス・クナッパーツブッシュ・ディスコグラフィ』(吉田光司著、キングインターナショナル)に
準拠している。  
 【平林直哉】
SEDR-2022
ブルックナー:交響曲第8番 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1949年3月15日
これはアメリカのコレクターから提供されたテープをもとに復刻したものである。この演奏は最初期のLP(ロココ、ディスココープ、
日本コロムビア)が良い音だったと一部では評判だが、今回のテープはそのLPなどと音の傾向が似ているため、同系列のコピーと
思われる。この録音は全体的に入力が過剰気味で、特に強い音では歪みがちになるが、逆によく知られているCDなどには見られ
ない、異様なまでの生々しさがある。過去にCDR化したクナッパーツブッシュ指揮、ベルリン・フィル(SEDR-2019、2020)の録音も、
同じティタニア・パラストの収録でありながら、眼前で演奏しているような生々しい音質だった。フルトヴェングラー、ベルリン、そして
ティタニア・パラストの録音で、このような傾向の音のものはほとんどない。つまり、フルトヴェングラー/ベルリン・フィルの録音
テープも、どこかにお化粧を施していない、会場の雰囲気を生々しく伝える録音テープが残っているのではと思っている。なお、
第3楽章10分27秒にやや大きな音ゆれがあるが、これは原テープによるものである。  
 【平林直哉】
SEDR-2023
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1950年6月20日
このCDRはヨーロッパのコレクターより提供されたテープをもとにしている。今回CDR化した理由は、より良い音質で聴けるという
点もさることながら、それ以上にピッチの問題があった。過去に出たこの1950年演奏の「英雄」のLP、CDは、同じくベルリン・フィル
の2種の「英雄」の1952年盤と比較すると明らかにピッチが低い。フルトヴェングラー/ベルリン・フィルの演奏で、たとえば年代が
離れて複数以上の演奏を比較した場合(ベートーヴェンの第5= 1947、1954、ブラームス第3=1949、1954、シューベルト
「グレート」=1942、1953など)、はっきりと聴き取れるようなピッチの違いは見られない。つまり、1950年と1952年の2種の「英雄」
とのピッチは、ほかの録音と比べると突出して差があるのである。もちろん、1950年6月当時、従来のLP、CDのピッチで演奏した
可能性も否定は出来ない。しかし、常識的に考えて、従来のピッチが誤りである可能性の方が強いと判断、今回のCDR化では
1952年のピッチに近づけて復刻した。むろん、この措置はあくまでも個人的な見解であり、絶対的なものではないのでご批判、
ご意見は甘受したい。なお、第3楽章の48秒〜51秒付近に音ゆれとノイズが入るが、これは原テープに混入しているもので、
除去は出来なかった。
 【平林直哉】
SEDR-2024
シューベルト:交響曲第9番「グレート」
「ロザムンデ」序曲*
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
VPO、トリノ・イタリアRSO*
録音:1953年8月30日、1952年3月11日*
このディスクに収録されている「ザ・グレート」は、EMIなどからリリースされているものと同一の音源である。よく知られている
ように、フルトヴェングラーは肺炎のため1952年7月から約五ヶ月弱の間活動を休止し、以来体調は常に不安定だった。残されて
いる録音からも、そういったフルトヴェングラーの好不調の波が感じられるものもあるが、この「ザ・グレート」は最も調子の良かった
時の演奏と思われる。この曲には戦前のベルリン・フィルとの荒れ狂ったライヴがあまりにも有名だが、この「ザ・グレート」は
そのベルリン・フィルと比較しても激しさという点ではほとんど遜色はない。しかも、この曲で主役となるホルン、クラリネット、
オーボエ、チェロなどの音色はまさにウィーン・フィルならではである。一方の「ロザムンデ」序曲の方はそれほど優れた演奏とは
言えないが、入手したテープがフルトヴェングラーのイタリアでの記録としては比較的音質が良好だったために、埋め草として
CDR化した。  
 【平林直哉】
SEDR-2025
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO
録音:1952年11月26-27日
原盤:HMV<UK> ALP-1060 初出LP)
2007年の年頭までにGRANDSLAMから再リリース予定。その際にはSERENADEに使用したLPよりも、さらに状態の良い
LP(LP番号は同一)を使用するそうです。
SEDR-2026
ブラームス:交響曲第1番、
ハイドンの主題による変奏曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)
北ドイツRSO
録音:1951年10月27日
このディスクは1951年10月27日、フルトヴェングラーが北西ドイツ響(現北ドイツ放送響)に招かれた時のライヴ録音で、当日は
これ以外にブラームスの二重協奏曲が演奏されている。これまでは、この1951年の公演がフルトヴェングラーと同オーケストラの
初の公演とされていたが、最近の調査では両者の初の顔合わせは1947年9月22日ということが判明している。面白いのは1947年、
1951年共にブラームスの二重協奏曲が演奏されており、ソリストのレーン、トレースターもまた同じであった。その二重協奏曲は2回
共に中継放送されたようだが、残念ながらその録音は未だ発見されていない。このディスクに収録されたブラームスは、フルトヴェン
グラーがベルリン、ウィーンの2つのオーケストラ以外を振った記録の中でも、最も充実したものと言われている。残念ながらこの
ディスクに使用した音源も他に流布しているものと同様に、一番最後の和音がレベル・ダウンしているが、全体的には当時としては
かなり鮮明な音質で、フルトヴェングラーの特色はかなり明瞭に捉えられるものであろう。  
 【平林直哉】
SEDR-2027
ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」*
◆リハーサル風景
ブラームス:交響曲第2番〜第4楽章 (1943)、
ベートーヴェン:「コリオラン」序曲(1944)、
ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」(1950)、カンタンド、カンタンド (1947)、
レスピーギ:交響詩「ローマの泉」(1950)、
ヴェルディ:歌劇「椿姫」 (1946)、
ベートーヴェン:交響曲第9番〜第4楽章
アルトゥーロ・トスカニーニ(指)NBC響
録音:1939年2月27日&3月1日&29日
ベートーヴェンの交響曲第5番はSP時代にフルトヴェングラーと双璧と言われた演奏で、それについては今さら説明は不要と思う。
この演奏はこれまでにもいくつか復刻盤は出ているが、それらにいささかの物足りなさを感じたために新たに復刻を試みた。実際に
復刻してみると、部分的に盤面の難は感じられるものの、全体的な演奏の雰囲気をそれなりにうまく伝えられるものに仕上がって
いると思う。余白の部分にはリハーサル風景、それも指揮者が爆発している部分を抽出して収録した。これを収録したのは以下の
ような個人的な理由によっている。その昔、私自身はトスカニーニの良さがなぜだかあまりわからなかった。しかし、ある時、この
リハーサル(の一部)を聴いて、トスカニーニに対する認識がほとんど一変したのである。この、音楽に対するとてつもなく凄まじい
情熱、これこそがトスカニーニの本質ではあるまいか。彼は1867年生まれだから、このリハーサルの時は70歳代の後半から80歳
代前半
である。あなたの周囲に、このようなエネルギーを持った老人がいるのだろうか!  
 【平林直哉】
SEDR-2028
偉大な指揮者たち
(1)スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲<'44.11.9/Melodiya M10 46981 001>
(2)ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番<'26.11.23&'27.1.4/Parlophone E10545/6>
(3)チャイコフスキー:交響曲第5番〜第3楽章<'48/Melodiya 16417/8>
(4)R・コルサコフ:スペイン奇想曲<'48/Melodiya 0170279/82>
(5)ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー<'53/Supraphon H24436/7>
(6)ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ<'50.1.17/Pathe PD116 >
(1)クレメンス・クラウス(指)VPO
(2)ジョーゾ・セル(指)ベルリン国立歌劇場O
(3)ムラヴィンスキー(指)モスクワRSO
(4)コンドラシン(指)モスクワ青年SO
(5)ヴァーツラフ・スメターチェク(指)プラハSO、
ヤン・パネンカ(P)
(6)クリュイタンス(指)パリ音楽院O
全点が初復刻!これこそプロデューサーのやりたかったものです!当時としては破格の高音質のクラウスのスメタナ、若々しい
セルの「レオノーレ」、引き締まったムラヴィンスキーのチャイコフスキー、特に後半が凄まじい盛り上がりのコンドラシン、珍しい
チェコの団体によるガーシュウィン、典雅なクリュイタンス、どれも聴きものです。このディスクに含まれる演奏のうちクラウスのみが
LPから、残りはすべてSPからそれぞれ復刻したものである。クラウスはいわゆる聴衆なしの放送録音で、記録によるとコンツェル
トハウスにて午前11時半からまずR.シュトラウスの歌曲(詳細不明、独唱はユリウス・パツァーク)が演奏され、その後にこのスメ
タナが演奏されたらしい。また、終了直前の462小節(6分46秒)の四分休符がわずかに短く聞こえるが、これは編集ミスではなく、オ
リジナル通りである。セルの「レオノーレ」は第1、2面と第3面、第4面が明らかに違う回転数でカッティングされており、しかも第3面
は後半に行くに従ってピッチが次第に低くなっており、このあたりの調整は完全には出来ていないことをご了承願いたい。
【平林直哉】
SEDR-2029
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 ハンス・クナッパーツブッシュ(指)ミュンヘンPO
録音:1953年12月17日
クナの代表的な「英雄」が太く生々しい音質で聴けます。この「英雄」はTahra、セブンシーズ等のレーベル、あるいはLP時代に
チェトラ系の原盤で1950年、バイエルン放送響として出されたものと同一の音源である。今回使用した原盤はヨーロッパの
コレクターから入手したもので、これまで出ていたLP、CD等よりもいっそう情報量が豊かな音質のためにCDR化を決意した次第で
ある。日本ハンス・クナッパーツブシュ研究会のホームページ(http://www.syuzo.com)によると、この日は12月16日、17日の
2日間に行われた公演の2日目にあたり、プログラムは以下のようなものだった。
ヴォルフ:イタリアのセレナード、ザルムホファー:ヴァイオリン協奏曲(独奏:フリッツ・ゾンライトナー)、ベートーヴェン:交響曲第3
番「英雄」、この3曲の中でザルムホファー(Franz Salmhofer)のみ未CD化。ゾンライトナーは当時のミュンヘン・フィルの首席奏者
で、彼の独奏はクナの指揮するブラームスの二重協奏曲でも聴くことが出来る。  
 【平林直哉】
SEDR-2030
モーツァルト:ピアノ協奏曲第18番*
ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第39番#
ピアノ協奏曲第17番**
リリー・クラウス(P)*#、
ワルター・ゲール(指)LPO*、
シモン・ゴールドベルク(Vn)#、
エルンスト・フォン・ドホナー**
録音:1937年4月21日#、1928年6月17日**
原盤:Parlophone SW8035/8 (CXE9025-1, 9026-1,
9027-1, 9028-3, 9029-1,9030-2, 9031-4)*、
Parlophone SW8035(CEX8292-1)#、
Columbia L2215/8 (WAX3790/77) **
このアルバムには2人のハンガリー出身のピアニストによるモーツァルトが収録されている。リリー・クラウス(1903-1986)の
経歴については今さら触れるまでもないが、このパーロフォンによるK.456は私の知る限り、これまではLPの復刻すらなかった
ものである。ゴールドベルクとのソナタは協奏曲のSPの最終面(4枚組、第8面。使用した盤はオートマチック用)に収録されて
いたもので、これはすでにCD化されてはいるが、付録として収録した(第3楽章トラック3の3分15秒付近、ピアノの入りが若干
不安定だが、これはオリジナル通りで、編集ミスではない)。エルンスト・フォン・ドホナーニ(1877-1960)はプレスブルグ生まれ。
ブダペスト音楽院で学び、ブダペスト・フィルの指揮者、あるいはピアニストとして活躍、第二次大戦後はアメリカに移住、
ニューヨークで死去した。作曲家として作品もいくつか知られており、現在活躍中の指揮者クリストフ・フォン・ドホナーニ(1929-)は
エルンストの孫に当たる。ドホナーニの残した録音は非常に少なく、これは彼が優れたピアニストであることを証明する数少ない
記録で、同一演奏の復刻盤は過去にはあまり出ていなかった(LP=米Past Masters PM8、CD=Koch Schwann 311136)。
なお、この2つの協奏曲録音は世界初録音でもあった。
 【平林直哉】
SEDR-2031
ゴロワノフT
R・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」*
チャイコフキー:序曲「1812年」**
バッハ:管弦楽組曲第3番〜アリア#
ニコライ・ゴロワノフ(指)
ボリショイ劇場O*ダヴィッド・オイストラフ(Vnソロ)*、
ゴロワノフ(指)モスクワRSO**、
ボリショイ劇場ブラス・バンド**
ゴロワノフ(指)モスクワ放送響の10人のチェロ奏者達#
録音:1947年*,**、1945年#
原盤:Melodiya 014691/014702*、
015175/8**、12414/5#
このCDRに含まれる「シェラザード」はゴロワノフ唯一の録音である。この録音セッションには、ゴロワノフと親しかった
父アノーソフに連れられて、ロジェストヴェンスキーが録音に立ち会っている。その時、ロジェストヴェンスキーは、ゴロワノフが
コンサート・マスターの独奏を気に入らず、「オイストラフを連れて来い!」と叫んだのを目撃している。「1812年」序曲はゴロワノフの
お気に入りだったようで、1942年、1947年、1948年、1952年と4回も録音している。1942年の録音のみ未CD化で、1952年盤は
2003年に季刊「クラシックプレス」第14号の付録としてCD化されている。コーダの編曲は未聴の1942年盤以外の3種類ともに
共通している。バッハはゴロワノフにしては珍しいレパートリーだが、編曲者はゴロワノフ自身か、あるいは当時のオーケストラの
チェロ奏者のものなのか、はっきりしたことは不明である。このCDRは2001年に発売されたGRAND SLAM GS-2003としてCD
発売された原盤を使用しています。なお、GS-2003に含まれていたハチャトゥリアンは著作権の関係上、省かれています。
 【平林直哉】
SEDR-2032
ブルックナー:交響曲第3番(改訂版) ゾルタン・フェケテ(指)ザルツブルグ・モーツァルテウムO
録音:1950年(原盤:Remington R199-138)
このディスクに収録された演奏は改訂版とはいえ、ブルックナーの交響曲第3番の世界初の全曲録音である。SP時代、
ブルックナーの作品自体は認知度が低く、しかも片面が4分強しか収録出来ないSP盤にとって、ブルックナーの交響曲は
レコード会社にとっては決して魅力的なものとは言えなかったが、それでもこの時代に第4番、第5番、第7番、第9番の
それぞれ全曲録音が行われていた。この交響曲第3番は1928年にアントン・コンラートAnton KonrathがHMVに第3楽章のみを
収録しただけで、SP時代に全曲録音 は行われなかった。しかし、1953年頃、このディスクのフェケテ指揮のものと、Allegro-Royale
レーベルのゲルト・ルバーンGerd Rubahn指揮、ベルリン交響楽団(番号:1579)の2種の全曲LPが 登場した。このルバーンは
長くヤッシャ・ホーレンシュタインの偽名ではないかと言われていたが、ドイツのLP研究家E.ルンペ氏の調査によると、この
ルバーン盤の正体は1952年3月2日、3日、ベルリンのティタニア・パラストにおけるレオポルト・ルートヴィヒ指揮、ベルリン・フィルに
よるこの曲の第2版の世界初演の記録であるという。この調査により、フェケテ盤が最初の全曲盤と確定出来たわけだが、この
フェケテ盤には妙な現象が起こっていた。このフェケテ盤はおそらく最初にコンサート・ホール・ソサエティ(CHS-1065)から発売され、
のちにレミントン(R199-138)からも発売されている。ところが、このコンサート・ホール盤のLPは、第3楽章がトリオで終わっており、
繰り返しのスケルツォが欠落しているのである。レミントン盤の方は繰り返しのスケルツォが楽譜通りに入っているが、コンサート・
ホール盤を作った時、トリオが終わってからパウゼがあるので、ここで第3楽章が終わったのだと勘違いしてカッティングされたと
想像される。ゾルタン・フェケテ(1909-?)はブダペスト生まれ。フランツ・リスト音楽院卒業。1937年にアメリカに移住し、
主にニューヨークで活躍。戦後はヨーロッパでも活躍し、マーラーやブルックナーの交響曲を積極的に指揮するほか、グルックや
ヘンデルの研究でも知られている。   
 【平林直哉】
SEDR-2033
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」 フリッツ・シュライバー(指)
ドレスデン国立SO
録音:1954年頃?
原盤:Allegro (U.K.) ALL 701
かつて初期LP時代にはゲルト・ルバーン、カール・リスト、エリック・シルヴァー、カール・ブランドなど、架空の演奏者による
名曲盤が大量に発売されたことがあった。その中のいくつかは正体が判明しているが、大半は依然、謎のままである。このフリッツ・
シュライバー指揮の「英雄」は、かつて「戦時中のフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの録音ではないか?」と噂されたものである。
事の発端はイギリス・フルトヴェングラー協会の会長であり、ユニコーン・シリーズの仕掛け人でもあったポール・ミンチン氏が
同協会の会報でこのシュライバーの演奏に触れたことによるものらしい。しかし、お聴きのようにこのシュライバー盤の解釈は
フルトヴェングラーとは似ても似つかぬものである。その後、この演奏についてはカラヤン、コンヴィチュニー、カイルベルトらの
説が流れたが、確定はされていない。なお、このCDRはイギリス・アレグロ盤から復刻したものだが、アメリカ・アレグロ(番号は
3113/1954年頃発売?)とは中身が違うとの情報もある。さらに驚くことに、このシュラーバー指揮、ドレスデン盤はイギリス・
ピックウィックよりCD化されていたのである(SMC61)。しかも、このSMC61は明らかにステレオ録音であり、かつて流布していた演奏、
つまりこのディスクのものとは全くの別演奏なのである。これにより、このシュライバー盤の謎は、いっそう深まったとも言えよう。
*おことわり
原盤には音ゆれや種々のノイズが混入しています。  
 【平林直哉】
SEDR-2034
(1)ブルックナー:交響曲第9番(原典版)
(2)ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」〜徒弟たちの踊りと名歌手の入場*
(3)ワーグナー:「神々の黄昏」〜ジークフリートのラインへの旅*
(4)R・シュトラウス:「サロメ」〜7つのヴェールの踊り
ブルーノ・ワルター(指)VPO、
ブリティッシュSO*、BPO#
録音:(1)1953年8月20日、(2)1932年3月、
(3)1932年4月、(4)1930年2月
原盤:(1) Private archive、
(2) Columbia (France) LFX329 (CAX 6398-2)、
(3) Columbia (U.S.A.) 68101-D (CAX 6385-2, 6386-2)、
(4) Columbia (U.S.A.) 67814-D (WAX 5444/5)
ブルーノ・ワルターは1953年のザルツブルグ音楽祭で2度ウィーン・フィルを指揮している。最初は8月19日で、プログラムは
ウェーバーの歌劇「オベロン」序曲、モーツァルトの交響曲第38番「プラハ」、そしてメインがブルックナーの交響曲第9番だった。
2度目は翌8月20日で、メインは同じくブルックナーの第9、そして前半にはベートーヴェンの交響曲第2番が演奏されている
(開演は両日とも午後8時)。ワルターと他の同時代の指揮者たちがブルックナーの交響曲を知り始めた頃、楽譜は悪名の高い
改訂版しか存在しなかった。のちに原典版が出版されるとクナッパーツブッシュ、フルトヴェングラーのような例外を除き、当然の
ことながら多くの指揮者は原典版へと移行していった。しかしながら、改訂版を通過した指揮者たちの演奏は原典版と明記して
ありながらも、かつて身体に染みついた改訂版の響きが所々に顔を出すケースが多い。ヨッフム、シューリヒト、マタチッチなどは
すべてこの例にあてはまるが、これはワルターとて例外ではない。この1953年の第9にも特にティンパニの扱いに改訂版の名残りが
あるが、のちのステレオ録音になるとこの改訂版の影響はほとんど前面には出ていない。なお、このライヴ録音には音揺れや
わずかなドロップ・アウトなどがある。第2楽章などは繰り返しの部分をコピーをして張り付けて修正するなどの措置が考えられたが、
やはりライヴ演奏の1回性を考慮し、そのような編集は行わなかった。
後半の3曲はSPからの復刻である。これらの演奏は他のCDでも聴くことが出来るが、過去に出ていたものはノイズをカットしすぎて
原音の輝きを失っているように感じたので、自分なりの結論をだすためにあえて復刻してみた。これらの3曲は英コロンビア盤が
オリジナルだが、英コロンビア盤は英HMV盤と同様にカートリッジで拾うと高域にかなりきついノイズを生じるので、このCDRでは
フランス、およびアメリカ・プレスの盤を使用した。  
 【平林直哉】
SEDR-2035
フルトヴェングラーとヴァイオリニストたち
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
メンデススゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
ジークフリート・ボリース(Vn)、
フリッツ・リーガー(指)ミュンヘンPO
ユーディ・メニューイン(Vn)*、
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)BPO*
録音:1955年頃?、1952年5月26日ベルリン・イエス・キリスト教会*
ジークフリート・ボリース(1912-1980)はミュンスター生まれ。15歳からソロ活動をし、のちにフルトヴェングラーに認められて
ベルリン・フィルの首席コンサートマスターに就任し(コンサートマスター在籍期間は1933-1941、1946-1954)、同楽団を1961年に
退任している。ベルリン高等音楽院で教鞭をとり、ピアノ三重奏などの室内楽の活動も行っていた。このベートーヴェンはドイツ・
オペラ・レーベル(1113)で出たものが初出と思われる。おそらくは1955年から1956年頃の録音と推定されるが、"100 Jahre
Muncher Philharmoniker" (Alois Knurr Verlag)の中のディスコグラフィにも録音データが欠落しており、その他あれこれと
調査をしたが、結局は詳細については判明しなかった(ご存知の方はご教示願いたい)。なお、今さら言うまでもないが、
ボリースの弾いている映像は「フルトヴェングラーと巨匠たち」(ドリームライフ)で観ることが出来る。また、ボリースの未復刻の
大曲としてはブルッフのヴァイオリン協奏曲がある(エレクトローラのSP)。フリッツ・リーガー(1910-1978)はボヘミア生まれ。
プラハ音楽院でセルに学ぶ。1946年から1967年までミュンヘン・フィルの音楽監督を務め、その後はメルボルン交響楽団の首席
指揮者も務めた。ハイドンの交響曲第92、93番(マーキュリー)、シューベルトの「未完成」(アリオラ・オイロディスク)、バッハの
管弦楽組曲第2、3番、ラロのスペイン交響曲(ギンペル、以上DG)などがある。メニューインとのメンデルスゾーンについては特に
つけ加えることはないが、メニューインとフルトヴェングラーはベルリン・フィルの定期公演で1952年5月24日から3日間連続で
共演している。初日の24日はこのディスクのホ短調の協奏曲、そして25日は同じくメンデルスゾーンのニ短調の協奏曲、そして
3日目の26日はベートーヴェンの協奏曲がそれぞれ演奏されている。この録音はその3日目の本番前のセッションだが、なかなか
過密なスケジュールだったようだ。
   【平林直哉】
SEDR-2036
ブラームス:交響曲第4番 ハンス・クナッパーツブッシュ(指)ケルンRSO
録音:1953年5月8日ケルン
原盤:Private archive
ブラームスはクナッパーツブッシュの演奏の中でも特に個性的なものとして知られているが、これまで発売されたLP、CD等は音質が
今ひとつ冴えないので、その真価を堪能するまでにはいたらなかったように思う。ところが最近入手したテープは状態がかなり良く、
ごく一部に音のカスレや揺れ、または小さな音で別の音楽が聴こえてくる部分(第1楽章の後半部分など)もあるが、全体的には
十分に鑑賞に堪えうると判断し、CDR化を決断した次第である。この演奏は初出以来1957年と明記されていたため、いまだに1957年と
記されたCD等があるが、1957年のこの曲の演奏は存在しない。クナはブラームスの交響曲第3番を得意とし、現在では戦前から
最晩年にいたる7種類もの録音が確認されているが、この第4番のライヴもあと1、2種類程度は揃って欲しいものである。ちなみに、
クナのブラームスの交響曲では一番演奏回数の少ないのは交響曲第1番で、これは1940年代を最後に、彼のレパートリーからは
脱落してしまっている。  ※この音源はSEDR-2019で出ていたものと同一です。 
【平林直哉】
SEDR-2037
(1)ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」
(2)ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」
(3)ベートーヴェン:ロマンス第2番ヘ長調
(4)バッハ(ヴィルヘルミ編):G線上のアリア
(1)アドルフ・ブッシュ(Vn)*、ルドルフ・ゼルキン(P)
(2)ジャック・ティボー(Vn)、アルフレッド・コルトー(P)、
(3)(4)ジャック・ティボー(Vn)、ハロルド・クラクストン(P)
録音:(1)1933年5月、(2)1929年5月27-28日、
(3)1925年11月25日、(4)1927年2月14日
原盤:(1)London, Victor (U.S.A.) 8351/3 (2)B6702T, 6703U, 6704U, 6705T, 6706U, 6707U)、
(2)HMV (Italy) DB1328/31 (CS3716V△, CS3717U△, CS3718V△, CS3719T, CS3720U△, CS3721T△, CS3722U△, CS3723V△) 、
(3)HMV (France) DB904 (Cc7400U△, Cc7401T△)、
(4)HMV (France) DB1017 (Cc9913U△)
このCDRに含まれたブッシュの演奏はSEDR-2015(2002年)、ティボーはSEDR-2018(2003年)でそれぞれ出ていたものの再発売で
ある。ブッシュ、ティボーの両者ともに全盛期は戦前と言われている。ブッシュは戦時中にナチスから逃れ、のちにアメリカに移住するが、
新天地での生活は決して平坦ではなかったようだ。地位、名誉、財産等を捨て、さらには日常会話では母国語を失うというさまざまな
ストレスにより、アメリカでのブッシュの健康状態は必ずしも良好ではなかった。それが演奏に影響を与えたのは無理もないことである。
なお、ブッシュは1941年にアメリカ・コロンビアに「クロイツェル」を録音しているが、このディスクの「春」と比べるとやや精彩を欠いている。
一方のティボーは練習嫌いで知られたため、技術的な衰えは意外に早かったとも言われている。たとえば、1953年のライヴである
ブラームスのヴァイオリン協奏曲は痛々しいほど衰えているが、ほぼ同じ頃のラロやモーツァルトはそれほど崩れてはいないので、
演奏の頻度にもよるのであろう。また、この「クロイツェル」には珍しくイタリア盤を使用している。使用した理由はごく単純で、SP盤を
たまたま安く手に入れ、テストしてみたところ予想以上の結果が得られたからである。ブッシュの「春」もイギリスHMV盤ではなくアメリカ・
ビクター盤を使用している。私自身の考え方としては、オリジナルや初版かどうかが問題ではなく、結果として良い音、聴きやすい音に
仕上がればそれで十分だと思っている。   
 【平林直哉】
SEDR-2039
カリンニコフ:交響曲第1番*、
グラズノフ
:演奏会用ワルツ第1番/第2番、
抒情的な詩Op.12# 
ナタン・ラフリン(指)モスクワRSO*、
サミュエル・サモスード(指)モスクワRSO、
ボリショイ劇場O#
録音:1952年*、1956年、
音源:Westminster WL5136(カリンニコフ)、Melodiya 33ND3370/71(グラズノフ)
カリンニコフの交響曲第1番は20代でこの世を去った作曲家の代表作で、1894年から翌年にかけて書かれ、1898年2月8日、
キエフにてアレクサンドル・ヴィノグラドスキーAlexander Vinogradsky (1855-1912)の指揮で初演された。この交響曲はCD時代に
なってからスヴェトラーノフ、ドゥダロワ、ヤルヴィ、クチャルなどの指揮者の演奏が流布するにつれ、急速に人気が高まった作品の
ひとつである。ここに初めてデジタル化されたラフリン盤はオリジナルはメロディア録音(D0385/6, 022338/47)だが、このCDRでは
ウェストミンスターがメロディア音源を ライセンス発売していたLPを復刻に使用している。ラフリンの指揮は何と言ってもそのむせ
返るようなロシア色が魅力的である。たとえば第3楽章のトリオなど、実に田舎風だ。だが、聴きものは第4楽章だろうか。この楽章
はスヴェトラーノフが7分54秒に対し、このラフリンは10分45秒と3分弱の差があり、非常に遅い。しかも、遅いだけではなく途中で
ガクンと減速したり、コーダはいっそうテンポが落ち、それに加えて金管楽器が咆哮するなど、それはまさに“ロシアのクナッパーツ
ブッシュ”と言っても良かろう。また、スコアにはないシンバルを追加している点にも注目したい。 ラフリン(1905-1979)はウクライ
ナ国立交響楽団、ソビエト国立交響楽団などの指揮者を歴任したが、ショスタコーヴィチの交響曲第11番を初演した指揮者として
も知られている。サモスード(1884-1964)は最初チェリストとして活躍し、一時はカザルスにも師事していた。のちに指揮者に転向
し、マリンスキー劇場、ボリショイ劇場の指揮者として活躍した。彼もまたショスタコーヴィチの歌劇「鼻」を始め、プロコフィエフなど
の作品を数多く初演している。(平林 直哉)
SEDR-2040
グラズノフ:祝典序曲、バラードOp.78、
交響詩「ステンカ・ラージン」Op.13*、
ベートーヴェン:交響曲第1番
ニコライ・ゴロワノフ(指)モスクワRSO
録音:1951年、1947年*、1948年#、
音源:Melodiya C10-14667、Melodiya 33D-025856(a)、Old Melodiya D-516/7、Melodiya D-012713
CDRでゴロワノフの第1巻を発売して以来、ずいぶんと時間が経過してようやく第2巻にたどりついた。まず、このディスクのグラズ
ノフ3曲は初のデジタル化である。この中で最初の2曲である祝典序曲、バラードは演奏内容、および使用原盤ともに全く問題がな
いと思う。しかしながら、SP盤(78回転)から復刻した「ステンカ・ラージン」は残念ながら盤の状態に難がある。これに替わる盤を
過去15年近く探していたが、とうとう巡り会うことはなかった。今回ディスク化するにあたってこの「ステンカ・ラージン」は予定には
入れていなかったが、改めて聴き直し、その個性的な表現を考慮して最終的には加えることにした。希少性ゆえにご容赦を願う次第
である。
一方のベートーヴェンは私が知る限り、1995年10月にキングレコードがCD化(KICC-2396)して以来、久しく市場からは消えてい
たように思う。ロシアの指揮者のベートーヴェンということで、CD化される機会がなかったようだ。だが、演奏は知る人ぞ知る怪演
奏である。宇野功芳氏はこの演奏について「教養がない演奏」と述べているが、これは教養とは無関係と思う。むろん、これを聴い
て共感よりも嫌悪を感じる人の方が一般的には多いに違いないが、これはまぎれもなくゴロワノフ独自のものである。このベートー
ヴェンは復刻に際して3枚のLPを入手した。最初は古い25pのLPだったが、これはノイズがあまりにも多く、使用には不向きだった。
2番めに手に入れた30pのLPはかなり状態が良く、これでいったんは作業を進めた。だが、その直後、都内某所でより状態の良い
LPを発見し、やや高額ではあったがそのLPを入手、それを使用して作業をやり直した。(平林 直哉)

SEDR-5000
ベルリオーズ:幻想交響曲、
モーツァルト
:アイネ・クライネ・ナハトムジーク*
オスカー・フリート(指)ソビエト国立SO、
ベルリン国立歌劇場O*
録音:1937年、1928年*
音源:独Eurodisc88329XAK、
独Polydor66669/70(322bc,468be,324/325be)*
超奇怪な表現が続出!世にも恐ろしい幻想交響曲。これまたとんでもない録音が埋もれていたものです!フリートは、マー
ラーの「復活」を初録音した指揮者として知られます。「幻想」第1楽章冒頭は空前絶後の低速でいきなり亡霊モード。終楽章では
音程がメチャクチャの鐘が荘厳に打ち鳴らされ、それがかえって地獄絵図の様相を呈します。アカデミックなスタンスときっぱりと
決別したアプローチの徹底振りには最後まで翻弄されること必至!モーツァルトも終楽章冒頭を装飾音風にアレンジするなど
ユニークなニュアンスが横溢!録音状態もそんなニュアンスをたっぷりと伝えています。※CD-Rです。あらかじめご了承下さい。
【湧々堂】

SEDR-5001
ベルリオーズ:幻想交響曲、
ラヴェル
:ラ・ヴァルス*、
フォーレ:パヴァーヌ*
ポール・パレー(指)コンセール・コロンヌO、
デトロイトSO*
録音:1950年12月4日-6日、1953年12月7日*
音源:VOX(U.S.A.) PL 6950、Mercury (U.S.A.) MG 50029*
パレーの幻想交響曲といえば1959年にデトロイト交響楽団を振ってマーキュリーに入れたステレオ録音が非常に有名である。一般
的にはこの録音が唯一ものと思われているが、実はコンセール・コロンヌ管弦楽団を振ったモノーラル録音も存在するのである。
このLPの録音データはマイケル・グレイ氏より提供されたものによると1950年12月4日、6日、パリのサル・プレイエルでの収録で、
5日にはセッションがなかったらしい。ジャケットにも“Copyright 1951 by Vox Productions, Inc”とあり、録音年とつじつまが合うので
このCDRもグレイ氏のデータを採用した。また、レーベルには"A Polydor Recording"、 "Rec. in France"と記されているが、フラン
ス・ポリドールから発売された形跡はない。John Huntのディスコグラフィ"A Gallic Trio"(Charles Munch, Paul Paray, Pierre
Monteux)には「1946-1947年、パリ」とあるが、同書が何を根拠にこのように記したかは不明であるし、ジャケットのCopyrightの19
51年という表示とも食い違うので、これは誤りであると思う。また、音をお聴きになればおわかりのように、これはSPやアセテート等
の録音ではなく、明らかにテープで収録されたものである。レンジの狭いモノーラル録音ゆえにオーディオ的な快感には乏しいが、
デトロイト盤よりもいっそう若々しく張りのある演奏であり、いかにも明るくしゃれた味わいを持つオーケストラの音色も聴きものである。
 ラヴェルとフォーレはマーキュリーのLPより復刻したもので、このLPにはフランクの「プシュケ」が収録されている。LPの解説には
「指揮台の上15フィート(約7.6メートル)につるされた1本のマイクで収録し、セッション中オーケストラは通常の演奏会と同じ位置に
着席していた」とある。特にラヴェルはマーキュリーの鮮明な音質とパレーの輪郭をくっきりと描いた解釈とで、非常に冴えた音が
していると思う。【平林直哉】

パレーによる「幻想」は、有名なステレオ録音がこの作品の猟奇的な側面をダイレクトに伝える名演として忘れることができません
が、この知られざるモノラル録音も音の隈取りが極めて明瞭で太く、活力満点。ザッハリヒな凄みという点ではこちらの方が上かもし
れません。第2楽章でも優雅さは皆無。強力な音圧が聴き手の鼓膜をダイレクトに刺激し続ける様はトスカニーニも真っ青!第3楽
章でも音の張り出し方が強烈ですが、その果敢なドラマ性の表出が実に新鮮で、安穏とした演奏が多い中で、この演奏の価値は
際立っています。ティンパニもニュアンス満点。終楽章もパレーの芸風を偲ぶにはうってつけ。モノラル特有のレンジの狭さを越えて
この楽章の激性を余すところなく伝えています。「ラ・ヴァルス」がミリタリー調に響くのはステレオ盤と同様ですが、5:10からの最弱
音の囁き方、5:51に突然現れるルフト・パスゼは衝撃的。いつもの快速インテンポを基調とした進行が続きますが、決して音楽が
単調化しないところがパレーならではのマジック!快速といえばフォーレの「パヴァーヌ」。実はこのディスクの最大の聴きものとして
声を大にしてお勧めしたいのはこれなのです!なんと演奏時間は5分に満たず、アゴーギクを感じさせずにどこまでもすらすらと流
れる演奏ですが、その流れの気品、アンサンブルの精緻さ、声部の美しい融合など、このデリケートな作品に必要な全ての要素が
見事に凝縮され、聴く側もその一筆書きのよなしなやかな流れに自然と呼吸を合わせ、純潔を際めたフレージングに吸い込まれて
しまうのです。デトロイト響との録音でこれほど弱音の美しさを印象付ける演奏も他に知りません。特に弦のピチカートの憂いのあ
る響きはどうでしょう!まさに幻のように目の前をかすめて行くこの演奏。その不思議な余韻も含め、ちょっと他には類を見ない魅
力です。  【湧々堂】

SEDR-5002
チャイコフスキー:交響曲第5番 エフゲニー・ムラヴィンスキー(指)レングラードPO
録音:1956年6月ウィーン・コンツェルトハウス大ホール
音源:Deutsche Grammophon (Germany) LPM 18333
1956年4月から5月にかけてムラヴィンスキーとレニングラード・フィルはドイツ、スイス、オーストリアに演奏旅行に出かけた。その
最後の訪問地であるウィーンでこの交響曲第5番を含む後期3大交響曲がドイツ・グラモフォンによって録音されたが、なぜか第4
番のみ同行したザンデルリンクが指揮を担当した。ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルは1960年秋にヨーロッパ公演を行い、
その際には同じくドイツ・グラモフォンによって後期3大交響曲の全てがムラヴィンスキーによってステレオ録音された。3曲ともムラ
ヴィンスキーの指揮であり、しかもステレオ録音となると、このモノーラル盤は商品価値が低いとみなされ、その後長くカタログから
消え、ようやく復活したのはCD時代になってからである。この録音は発売された当初から音質に難があるとされていた。しかし、
当時の録音特性を調査し、それを元に注意深くリマスタリングを行った結果、かなり聴きやすい音質を得ることが出来た。もちろん、
元々のややこもり気味な傾向はそれほど変わりはないが、弦楽器は思った以上に艶やかに鳴り響き、金管楽器の腰の強い輝きに
も改めて感心した次第である。 このドイツ・グラモフォンのムラヴィンスキーの録音についてはほとんど何も伝えられていない。
わずかに知られていることと言えば、たとえばステレオ録音の際にはムラヴィンスキーが終生貫き通したオーケストラの古い配置が
、恐らくは録音技師の要請によって変えられたことである。もうひとつは、ステレオによる後期3大交響曲集が完成して以来、ドイツ
・グラモフォンはムラヴィンスキーに対して交響曲第1番から第3番の3曲を録音し、チャイコフスキーの交響曲全集を完成させるよ
うに何度も要請していたことである。(平林 直哉)
SEDR-5003
ブラームス:交響曲第4番、
ワーグナー
:「ローエングリン」第3幕前奏曲、
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲、
「タンホイザー」序曲、
「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行
ポール・パレー(指)デトロイトSO
録音:1955年3月26日、1953年2月13-20日
音源:Mercury (U.S.A.) 1-4 MG 50057, 5-8 MG 50021
パレーがマーキュリーに録音したワーグナーの管弦楽曲集は、すべて最初にモノーラルで発売されている。しかし、その中でステレ
オで収録されたものはのちにステレオLPで発売され、さらにこのステレオ録音はCD化もされた。しかしながら、モノーラルで録音され
た方はある時期以降は全く再発売されていない。もちろん、ステレオとモノーラルでは大きく違うわけだが、モノーラルの方の演奏内
容が著しく落ちるということではない。それどころか、この男性的な迫力に満ち、きりりと引き締まった冴えた音を聴いていると、CDR
化して良かったと心底思う。
  ブラームスの方は唯一の正規録音で、目下のところパレーのブラームスを聴こうとすればこれしかない。この演奏はかつてアメリ
カでプライヴェートCDR盤が発売されたが、このCDRはなぜかアメリカ以外には出荷しないので、国内では事実上初CDR化となる
。演奏はワーグナー同様、端正で力強いが、第4楽章をはじめ、意外にテンポが揺れる場面も少なくない。なお、第2楽章の7分30
秒付近では音が歪むが、これはオリジナル通りである。(平林 直哉)
SEDR-5005
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO、
ウィーン・ジングアカデミーcho、
イルムガルト・ゼーフリート(S)、
ロゼッテ・アンダイ(A)、
ユリウス・パツァーク(T)、
オットー・エーデルマン(Bs)
録音:1951年1月7日ウィーン・ムジークフェライン大ホール
音源:Fonit Cetra (Italy) FE 33
その昔、日本の絵画の価値を最初に認めたのが外国人であったのと同じく、フルトヴェングラーの放送録音の価値を見出し、それら
を積極的に世に送り出したがったのはヨーロッパ大陸以外の人々だった。たとえば、旧ソ連メロディアのフルトヴェングラーのLPが
初めて雑誌に紹介されたのはアメリカの『ハイ・フィデリティ』誌だった。そして、それらのソ連盤LPを世界中に流布させたのはイギリ
スのレコード・ハンター社だった。このソ連盤発掘は世界中に衝撃を巻き起こし、その後はアメリカではワルター協会が、そしてやや
遅れてイタリアのレーベル、フォニット・チェトラもフルトヴェングラーの録音を精力的に発売した。これらのレーベルは現在では非正
規盤という位置付けがなされ、そのレーベルから発売されたLPはもはや過去の遺物ともみなされている。しかしながら、今になって
これらのLPを冷静になって聴いてみると、近年発売されているCDよりも聴きやすいと感じるものは決して少なくない。特にフォニット
・チェトラが発売したFE番号のシリーズは音質の明瞭なものが多く、しかも盤質も非常に安定しており、、そうしたフルトヴェングラー
のLP起こしを継続的に行ってみたいと思った次第である。
この第9公演は1951年1月6日、7日、8日の三日間行われたが、当ディスクの演奏はその2日めのものとされるものである。この公
演の前後にはHMVのチャイコフスキーの交響曲第4番の収録も併行して行われており、特に8日には第9の本番とチャイコフスキー
のセッションとの両方が行われている(Grand Slam GS-2014の解説参照)。この第9は特に逸話などが知られていないためか、フ
ルトヴェングラーのディスクの中ではそれほど話題にはならないが、改めて聴き直してその気力の充実した表現に魅了されたしだい
である。(平林直哉)
SEDR-5006
ブラームス:交響曲第3番、
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ハンス・クナッパーツブッシュ(指)BPO、VPO*
録音:1944年9月9日、1949年8月30日
原盤:Melodiya (U.S.S.R) D 06429/30、Melodram (Italy) MEL 711*
この演奏と同じブラームスの交響曲第3番を含むSEDR-2020(2003年発売)は原盤提供者との契約ですでに廃盤となっている。
その時に復刻に使用したLPはブラームスの交響曲第3番とブルックナーの同第4番「ロマンティック」を2枚に詰め込んだものだった
が、今回復刻したブラームスは、ゆったりとLP1枚両面にカッティングしたものを使用している。音質はSEDR-2020と比較して演奏
の印象を大きく変えるほどの違いがあるとは言えないものの、やはり36分程度の曲をLP1枚両面にカッティングしたこのディスクの
方がゆとりが感じられる。このブラームスがクナお気に入りの作品だとすれば、このジークフリート牧歌もまた彼がこよなく愛したも
のだった。吉田光司著『クナッパーツブッシュ・ディスコグラフィ』(キングインターナショナル)によると、この曲の録音はこれまで7種
類が知られているが、このディスクに収められた演奏は目下のところ最古のもとして知られている。しかも、この演奏は世界初CDR
化である。この日は周知の通りブルックナーの交響曲第7番が演奏されているが、ジークフリート牧歌は編成が小さいせいか非常
に鮮明に収録されていたことは幸いだった。(平林 直哉)
SEDR-5007
ブルックナー:交響曲第5番(原典版) ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指)VPO
録音:1951年8月19日ザルツブルク祝祭大劇場
音源:Discocorp RR 314(U.S.A)
この演奏はすでにEMIクラシックスから正規盤が発売されているため、あえて競合盤を出す必要がないと思う人もあろう。しかしなが
ら、以下の2点の理由で出す意義があると判断した。まずひとつは、第1楽章の9分43秒、9分52秒のようなホルンのミスがEMI盤で
はきれいに修正されていること。もうひとつは、EMI盤は全体的にノイズ・カットが過剰であり、必ずしも最上の復刻とは言えないとい
うことである。EMIのバイロイトの第9は本番とリハーサルのテイクが編集されているが、最終的にどちらのテイクを使用してもフルト
ヴェングラーの演奏であることには変わりはない。しかし、この場合は元がノン・ストップの放送用録音であるため、修正した部分は
人工的に作られたか、他人の演奏を挿入してあるのではないかと疑われても仕方がない。音質に関しては個々人の好みの違いが
あるので断定的には言えないが、いわゆる熱心な聴き手は出来るだけ原音に忠実な音質を好むので、このディスクを聴いて今まで
とは違った印象を抱く人も多いのではないかと推測する。この演奏はカナダ・ロココによって初めてLP化されたが、このロココ盤(ロ
ココのライセンス盤である日本コロムビアDXM-179/80も同様)の音質は芳しくなかった。復刻の候補としてあがったのはチェトラ
 FE42とこのディスココープ盤で、甲乙はなかなか付けがたかったが、最終的には中低音が豊かで聴き疲れのしない後者を選択し
た。(平林 直哉)
SEDR-5010
ベートーヴェン:交響曲第2番、交響曲第7番* カール・シューリヒト(指)ベルリンRIAS響、
オットー・クレンペラー(指)スイス・ロマンドO*
録音:1953年11月19日、1957年3月6日*
1981年にMovimento Musicaから発売された「9人の指揮者によるベートーヴェンの交響曲全集」は一部のマニアでは話題となっ
た。その内訳は、第1番=フルトヴェングラー、第2番=シューリヒト、第3番=ワルター、第4番=ベーム、第5番=E.クライバー、
第6番=ヨッフム、第7番=クレンペラー、第8番=クナッパーツブッシュ、第9番=カラヤンであり、音源としても当時大半が初登場
となるものだったと記憶する。しかし一方で、特定の指揮者のファンが手を出し辛いということもあったようで、その全貌を知る人もま
たそれほど多くはなかった。この全集の音源はその後他レーベルからも発売されているが、全体的な音質は思った以上に優れてい
たことである。 その中ではこのシューリヒト指揮の第2番とクレンペラーの第7番は他の復刻盤も少なく(クレンペラーはこのLPが
唯一?)、貴重である。なお、第7番のデータは全集LPの解説書には「1955年3月4日、ローザンヌ」とあるが、"Otto Klemperer his
life and times Volume 21933-1973"(Peter Heyworth, Cambridge University Press)の巻末にあるディスコグラフィによると(ディス
コグラフィはマイケル・グレイの制作)、このディスクの表記が正しいという。(平林 直哉)
SEDR-5012
トスカニーニ/ファイナル・コンサート
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」第1幕前奏曲、
「ジークフリート」より森のささやき、
「神々のたそがれ」〜夜明けとジークフリートのラインへの旅、
「タンホイザー」序曲とバッカナーレ、
「ニュールンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲
アルトゥーロ・トスカニーニ(指)NBC響
録音:1954年4月4日(モノラル)
演奏が止まった瞬間の長い沈黙も収めた完全実況生中継版!このディスクはトスカニーニの生涯最後の演奏会をすべて収録した
ものである。この演奏会の「タンホイザー」序曲とバッカナーレの途中、トスカニーニは記憶障害を起こし、そこで演奏が中断される
というショッキングな出来事が起きたため、トスカニーニは引退を決意したと言われている。この演奏会はよく知られているようにス
テレオでも収録されているが、そのステレオ版にはその空白の時間が収められていない。しかし、ベン・グラウアーのアナウンスによ
り生中継されたラジオ放送は、音声そのものはモノーラルではあるが、この空白の時間が克明に記されている。それは突然襲って
くる。長い沈黙のあと、グラウアーが"Due to operation difficulties, there is a temporary pause of our broadcast from Carnegie
Hall" (技術上の不手際により、ただいまカーネギー・ホールからの放送が中断しています)と言い、一瞬だが調整室のスタッフが
凍り付いているような緊張感も伝わってくる。そして、急きょトスカニーニ指揮のブラームスの交響曲第1番の冒頭部分が流され、
しばらくするとようやく舞台上の音声に切り替わり、音楽は再び何事もなかったかのように進んでいく。(表紙の写真はその空白の
瞬間を捉えたものと言われている。)(平林 直哉)

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