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レオポルド・ルートヴィヒ(指)ハンブルク国立フィルハーモニー管弦楽団 | |||||||||||||
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コロムビア COCQ-84442 |
録音:1960年3月28-30日 ハンブルク・クルトゥアラウム(ステレオ) | ||||||||||||
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カップリング:イタリア奇想曲/トーマス・シャーマン(指) |
“S・イッセルシュテット以上にドイツの意地を誇示した、マニア向け名演!」” |
ルートヴィヒには、バイエルン放送響との気が遠くなるほど低速テンポを貫いた「スラブ行進曲」とうい珍演がEMIに遺されており、ドイツ的なゴツゴツ感が更に強調されてチャイコフスキーのチの字も感じさせないニュアンスには唖然としましたが、ここでは、そこまで常識破りな手法は用いてはません。しかし、徹底的にドイツ流儀にこだわり、女々しいイニュアンスを一切排したアプローチの徹底ぶりは、カイルベルトの薫陶も受けたハンブルクのオケの雄渾な響きと相まって、独自の緊張感に満ちた演奏を展開しています。カラヤンやアバドのように誰にでもお勧めできるというわけには行きませんが、古き佳きドイツの響きと、精神から律して高揚させる、この独特の響きと厳格な造形力にはまった人は抜け出すこととは困難でしょう。とにかく全パートが決死の形相で弾ききっている様子が目に浮かぶほど最後まで音楽が熱く、弦の中低域をを主体として響きを構築することが多い従来のドイツ流儀の中でも、ルートヴィヒは更に管楽器をかなり露骨に強調しているのが特徴的。マイク設定の関係だけではないことは、演奏を聴けば納得していただけるはずです。その管は弦の動きを妨害することなく絶妙にバランスをとり、なおかつ火の中で演奏しているような決死の緊張感が聴き手の腹にずっしりと響くのですからたまりません!場面が変化するたびにテンポを変えるなど野暮、と言わんばかりにまっしぐらの進行を基本としていますが、共感に欠けるどころか、そのテンポの背後に「黙って俺について来い」的な凄みと求心力があるので、「はいわかりました」と聴き手を捻じ伏せてしまう強さがあるのです。 まず第1楽章の展開部。表面的な美感は二の次で、これほど全員がしのぎを削って演奏している演奏を聴いてしまうと、他の演奏は生ぬるく感じてしまうかもしれません。 第2楽章の67小節以降も音が芯から熱しており、美しい旋律を美しく奏でることだけが演奏者の使命でないことを痛感させます。142小節以降の盛り上げ方は、史上屈指の感動の瞬間!これだけでも十分に推薦に値します。 第3楽章は、リズムが下にズシンと下がるドイツ流儀で、流麗なワルツの雰囲気はどこにもありません。しかし、中間部のもう後がないような神経勝負を目の当たりにして、誰が笑えましょうか! 終楽章は音量をケチらずに、ワーグナー的な音の奔流に身を委ねてください。金管の咆哮には血がしたたり、「運命動機」の斉奏など、いにしえのドイツ軍楽隊のあの響きを愛する方はたまらないでしょう。 |
第1楽章のツボ | |
ツボ1 | 1音ごとの音価をたっぷりと保った超低速の滑り出し。かなりオンマイクで捉えられたクラリネットの響きは巧みはなく、素朴そのものだが、明確な意思は宿っている。弦はゴリゴリ唸るまさに度ドイツ流。 |
ツボ2 | テンポは中庸。ここでも響きは渋い |
ツボ3 | 何とスラーは外している!そのため無骨さがさらに助長されている。 |
ツボ4 | 減衰しきった最後の音まで意思が宿り。まるでベートーヴェンのよう。甘美なロマン姓からは遠い。 |
ツボ5 | インテンポのままなだれ込む。最初のフォルツァンドはやや曖昧だが、フレーズの膨らませ方が確信に満ち、音色にも張りがあり、真剣に作品に対峙していることが明確に伝わってくる。 |
ツボ6 | 微妙にテンポを落とす程度。あくまでも造型の厳しさを保持することを優先。 |
ツボ7 | 弦の質感が伝わる素晴しいピチカート。テンポは前と変わらず。 |
ツボ8 | ここまで甘美な旋律に酔うことを固く戒めた演奏も稀。アゴーギクもほとんど見せず、響きも洗いざらしの木綿のように雰囲気だが、共感が欠如しているのではなく、造型重視のアプローチとして説得力を持って迫り、自然と納得させる不思議な力を孕んでいる。 |
ツボ9 | 強固な意志を持ったインテンポ進行。最初の木管の動きには厳しさがあり、その緊張が次第に増幅。遂にはヒットラーが登場しそうな只ならぬ縦割りリズムの行進と化し、戦慄が走る! |
第2楽章のツボ | |
ツボ10 | 導入の弦は、6小節で最初に第2ヴァイオリンが入る瞬間が理想の響き!だんだんと音の層が重なっていくのではなく、いつ進入したか分からないくらいにスーッと低弦の土台の中に溶け込むセンスは、ルートヴィヒというよりも、当時のオケに潜在的に備わっていたセンスなのだろう。ホルンは田舎風味。音色は、絡み合うクラリネット共々太く逞しう。 |
ツボ11 | ここもアゴーギクは最小限。細部にこだわらず、闘志一本で音楽を盛り上げる男気が全開! |
ツボ12 | テンポを落とし、第1楽章冒頭のように粘り越しのフレージング。 |
ツボ13 | これも身を切るような緊張感。 |
ツボ14 | この直前で全リタルダンドすることなく突入してしまう果敢さが天晴れ!音量そのものは大きくないかもしれないが、音の熱さと決死の覚悟での4つへの上り詰め方は、これこそが真の絶叫!チャイ5演奏史上に残すべき感動的な演奏! |
ツボ15 | 色気はないが、ホルンが敷き詰める背景が音像に符深みを与え、絶妙な余韻を残す。 |
第3楽章のツボ | |
ツボ16 | ほとんどインテンポのまま。 |
ツボ17 | 羽のような軽やかさとは無縁。遊びは一切なく、各声部の連携の強固さは史上屈指。 |
ツボ18 | ややマイクから遠く、輪郭が曖昧。終結部227小節から240小節までの繰り返し部分をカット! |
第4楽章のツボ | |
ツボ19 | 厳格なフォルムで威厳見満ちた表情。テンポは中庸。トランペットのスフォルツァンドが効果的。 |
ツボ20 | ホルンは完全に裏方だが、下地を支えていることを明確に主張。 |
ツボ21 | ティンパニはスコアどおり。テンポはごく標準的だが、音に緊張が漲り、微温的なムードは一切なし。70小節のフルートをかなり強調し、ストコフスキーを思い起こさせる。の |
ツボ22 | 完全に無視。 |
ツボ23 | 音自体は明快ではないが、強い意志を反映している。 |
ツボ24 | インテンポのまま。 |
ツボ25 | 響きは鈍い |
ツボ26 | 主部冒頭のテンポに戻す。 |
ツボ27 | インテンポ。ただ、音楽の熱さは尋常ではなく、内面から噴出するパワーに圧倒されるばかり。ティンパニ連打の響きも近年のオケからは聴けない雄渾さ!8分音符の音価は、テンポを落としているのでほぼスコアどおり。 |
ツボ28 | 8分音符の音価は正確にスコアどおり。ティンパニは最後の一撃あり。 |
ツボ29 | 怖いもの無しの威厳満点の進行!弦ははち切れんばかりに強い弓圧で思いを込めぬき、トランペットは圧倒的勝利の歌を謳歌! |
ツボ30 | 弦もトランペットも音を切る。 |
ツボ31 | 改変なし。 |
ツボ32 | いかにもドイツ風の深遠な響き。トランペットのバリバリの響きが強烈! |
ツボ33 | インテンポのまま終結。最後まで力感が弛緩することなく、これほど最後が決然とビシッと決まる演奏も珍しい。 |
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