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殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE !! レーベル・カタログ チャイ5



チェリビダッケ&スヴェトラーノフ・セール!



WEITBLICK とPROMINENT CLASSICS からチェリビダッケとスヴェトラーノフのセールを行います。
何れも初出時には大きな話題になったものばかり!この機会に是非どうぞ!


特価受付期間〜2025年8月末まで !!
※セール期間内でもご注文数がメーカーの在庫数を上回った場合には受付終了となる場合がございます。



※表示価格は全て期間限定特価(税込み)。品番結尾に特に表記のないものは全て1CDです。
品番 内容 演奏者

SSS-0121
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ブルックナー:交響曲第9番 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1999年3月6日ベルワルド・ホール,ライヴ(デジタル)
スヴェトラーノフとブルックナーと意外に思われるかも知れませんが、第8番の名演はマニアなら知るところでしょう。第9番は、ロシア国立響との第3楽章のみが正規発売されています。当盤の登場で巨匠の名解釈が初めて世に問われることになります。演奏分数の通り、正に大河的名演奏。ミュンヘン・フィルとの共演(ワーグナー、SSS0094)でみせた静謐な心境で取り組んだ美演と申せましょう。その細密画のような描写は遥か対極にあるかのように思われたチェリビダッケの演奏にも通じるものがあります。
※演奏タイミング[28:46][11:40][25:25]

高音質ライヴ。晩年のスヴェトラーノフの世界を大きく包み込むようなスケール感と巨大な振幅力がブルックナーの宇宙と見事に融合した感動的名演奏です。かつてのソビエト国立響との録音は、オケの馬力が純ドイツ的な朴訥さと相反するせいか、厳格なブルックナー・ファンからは敬遠されがちでしたが、ここではオケの機能美とも相まって、祈りに満ちた精妙な大空間を築いています。第1楽章の冒頭動機の16分音符と複符点2分音符の正確な奏し方!スヴェトラーノフというととかくそのスケール感のみが賞賛されますが、こんな緻密な配慮も持ち合わせていることも実証しています。第2主題がこれまた他に類を見ないほどの美しさで、心を込めぬき、手元でじっくり育んだ後に音を発しおり、尋常ならざる共感の深さを感じさせます。終始力みを感じさせず、煩悩を捨て去ってすっきりとした心持ちで、自然に委ねるようにフレーズを流動させ、勘所は決して外さずにビシッと制御する熟練技は、まさにこの作品に相応しいもの。第2楽章は鋭角的でアポロ的な演奏とは対極的。全声部を調和させながら、ひたひたと緊張が迫ります。終楽章はまさに諦観の境地。13:29からの楽節は例外的に表現の意思を表面化させ、切迫感をあらわにしますが、これはこの後に迫り来る壮絶な主題展開の伏線でしょうか。20:44以降のフォルティッシモは激烈そのものですが、最後の不協和音を引き伸ばしたりせずにさっと身を引くなんという妙味!そこには安易な演出の入りこむ隙などありません。そして、コーダでの弦のアルペジョ風のリズム打ちのなんという清らかさ!!すべてを浄化し尽くした末に訪れた世界が遂に現出するのです。 【湧々堂】


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スヴェトラーノフ/ローマ三部作
レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」
 「ローマの祭り」/「ローマの松」
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1999年9月10日ベルワルド・ホール,ライヴ録音(デジタル)
まず録音の素晴らしさに感激!しかもオケの巧いこと!「噴水」の1曲目から色彩の艶やかさが生々しく伝わり、スヴェトラーノフ特有の粘着を帯びたフレージングと相まってエキゾチックは空気を醸し出します。「トリトンの泉」の眩い噴射力も期待以上。細かい音型の一つ一つを蔑ろにせずに刻印しながらも決して鈍重にならず濃淡が陰影を描き尽くす筆致に息を飲むばかり。「トレヴィの泉」の凱旋の巨大な威容はまさにスヴェトラーノフの独壇場!「メディチ荘の噴水」も曖昧模糊としたハーモニーはどこにもなく。街並み全体が夜露に濡れゆく様が目に浮かびます。レスピーギの書いたスコアが持つ色彩の魅力を更にスヴェトラーノフ独自の色彩センスの中に取り込んでしまい、作曲家自身も想定していなかったであろうパノラマが繰り広げられるのですから感動もひとしおです。「祭り」は、吸引力満点のフレージング、歌のセンスにまず鳥肌!1曲目「チルチェンセス」中間の聖歌の官能的なまでのニュアンスの説得力たるや他に類を見ません。「主顕祭」も期待以上の凄み連発。通常よりもテンポは遅めですが、爽快に飛ばしては素通りしてしまう精妙なスコアの隠し味が次々と現出し、手回しオルガンのシーンなどまさに目の前で情景が生々しく立ち上がるのです。そして、想像を絶するアゴーギクが天空を突き抜けた後に訪れる「サンタレルロ」の凄まじい事!浮き足立つ素振など微塵も見せず、今まで繰り広げた街の賑わいを破壊しつくような重戦車と猛獣を総動員した超弩級のクライマックスに言葉も出ません。1980年のライヴではオケのロシア訛りが狂喜乱舞ぶりに拍車を掛けていましたが、この録音はまるで次元が異なり、絶対的存在を誇る司令官のもとに統制された厳格な造形と一枚岩の強固なアンサンブルによって、より次元の空間が築かれています。「松」もあまりにも内容がてんこ盛りで、そのニュアンスはどれもが意味深く迫り尽くすので、通常の人間が受け止めきれる許容量をはるかに超えています!「カタコンブ」で流れる聖歌の暗さは、完全にロシアの魂から発せられるもので、その地底から湧き出るような強靭な精神力にひれ伏すしかありません。そしてお待ちかね「アッピア街道」はとんでもない興奮のるつぼ!最後の和音引き伸ばしは、ソビエト国立響が13秒にも及び腰を抜かしましたが、これは更に上回る20秒近くも延々とクレッシェンド!決して悪ふざけではなく、ここまで築いてきた巨大伽藍を支えるにはこうするしか他ないでしょう!これを越えるスケール感を誇る演奏が今後聞けるとは到底考えられません。  【湧々堂】

SSS-0125
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スヴェトラーノフのフランス音楽
ショーソン:交響曲変ロ長調Op.20
フランク:交響曲ニ短調Op.48*
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:2002年2月23日ベルワルド・ホール・ライヴ録音(デジタル)
1979年9月10日ライヴ(ステレオ)*
循環形式を用いた名曲2作品は、時に冗長さを伴う場合がありますが、スヴェトラーノフの手に掛かればそんな心配はご無用。これらの作品につきまとう沈鬱なイメージが、更に助長されてしまうのでは、という懸念も、聴き始めてすぐに吹き飛びます。
フランクでは第1楽章後半にリズムの重心を低く保ったまま情念の限りを燃やし、そのエネルギー放射力にはただただ唖然。第2楽章は何の変哲もないインテンポの中に細やかな情感が息づき。スヴェトラーノフのデリケートな感性が見事に結晶化。終楽章は誰もが期待する通りの超弩級のスケール。 しかし、更に感動的なのがショーソン。スヴェトラーノフの死の3か月前の録音ですが、そんな影は微塵もなく、先例に囚われないロマンの洪水と化した凄演を展開。録音の良さとも相まって以外なほど透明なテクスチュアを敷き詰めているのも新鮮な衝撃ですが、その色彩がパステル調に煌めいているのは更に驚き。しかもその内実は生命力が充満し、1楽章コーダなど、スヴェトラーノフ以外にはあり得ない宇宙規模なスケール感を獲得。3楽章冒頭で、ようやくあの油脂分たっぷりのスヴェトラーノフ・サウンドが披露されます。
単に異質な演奏として片付けるのは簡単ですが、比類なき個性の全てが作品を輝かせるために注入され尽されている凄さを体感せずに、音楽にいったい何を期待するというのでしょうか。【湧々堂】

SSS-0136(2CD)
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ブラームス:交響曲全集 エフゲーニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:第1番(1984年9月7日)、第2番(1982年1月15日)、第3番(1980年9月6日)、第4番(1985年10月20日)
以上、全てベルワルドホールに於けるステレオ・ライヴ
ソ連邦解体前、晩年ほどグローバルな存在ではなかったスヴェトラーノフが才気溢れる熱演を展開してます。1981年のソビエト国立響とのライヴとは録音年代が近いだけに基本コンセプトは共通していますが、こちらは何と言ってもオケの響きにクセがなく清潔なので、スヴェトラーノフ本来の無垢な音楽性がストーレートに伝わるという点で見逃せません。
「第1番」。第1楽章冒頭の硬質なティンパニ連打と弦のブレンドの絶妙さにまず息を飲みます。中低域寄りのでっぷりとしたブラームスではなく、アゴーギクを最小限に抑えた推進力を重視した演奏で、最晩年に差し掛かる前のアグレッシブな表現意欲を強く感じさせます。展開部の最後8:23以降の内燃の凄さは聴きもの。第2楽章はフレージングのアクセントが独特、と言うよりもこれほど綿密に一音ごとにニュアンスを配分した例は稀でしょう。そこから後ろ髪ひかれるような余情が引き出される様にスヴェトラーノフの比類なき芸術性を痛感するばかりです。終楽章の第1主題開始後のテンポの腰の座った安定感と響きの隈取りの克明さは、あの晩年の威容に繋がるものを感じさせます。そしてコーダの猛烈な放射パワーに鳥肌!
「第2番」は全4曲中、ずば抜けて素晴らしい名演!特にこの第1楽章を聴くと、ソビエト国立響では感じにくかった、スヴェトラーノフの響きと呼吸に対する繊細な感性が手に取るようにわかり、感動もひとしお。第2主題の儚い風情に拍車をかけるようにチェロが呟くような弓使いを見せるなど、その象徴と言えましょう。終楽章は演奏時間8:10とかなり高速の部類に入りますが、いわゆる爆走とは違う求心力の高さが聴く者を虜にします。各パートの主張もかなり強いですが、それを凝固させる意志が尋常では無いのです。これもこの頃の年代のスヴェトラーノフならではでしょう。そしてコーダでの仰天アレンジ!81年盤と同様に、金管の持続音をスコアの指示より1小節長く引き伸ばして、完全無欠の勝利を強烈にアピール!
「第3番」は、全体を通じて爽やかな余韻を残すイン・テンポ進行を基調としているのがやや意外。第2楽章も過剰な粘りを見せず、スウェーデン放送響の透明なテクスチュアを生かした純な詩情が瑞々しく息づきます。終楽章でのアンサンブルの凝縮度、燃焼度の高さは、やはりスヴェトラーノフならでは。
「第4番」も第2番と並ぶ大名演!弦のピチカートに象徴される内声への徹底したこだわりは作曲家としてスヴェトラーノフの見識を伺わせ、一見独特なアゴーギクや一瞬のアクセントも、各フレーズの魅力をことごとく倍増させているのには舌を巻くばかりです。第1楽章5:04で鉄槌を下すような強烈なアクセントが施されますが、この一撃は、「第4番」を単なる古風な音の積み重ねではない人間ドラマとして描ききるという強固な意志が凝縮されているかのようです。第2楽章は「これぞブラームス」と呟きたくなる逸品!特にシューリヒトにも近いフレージングの浸透力は、喩えようもない高潔さ!当時のロシア指揮者の多くがドイツ作品を振ると作品との距離感を感じることが多かったことを考えると、明らかにチャイコフスキーとは異なるブラームス独自の色彩とフレージングの魅力を感知するセンスは驚異といえるのではないでしょうか。コーダ9:43からフルートが一音づつ上行する場面がかくも余情に満ちていたことは稀です第3楽章もドンチャン騒ぎとは無縁の格調の高さ。終楽章はシャコンヌ主題の意図的な炙り出しをあえて避けて淡々と進行させながらも、各パートが真に音楽的なニュアンスを発している点にこれまた頭が下がります。コーダでの緊張の高まりに向けての自然な流れといい、ムラヴィンスキーと双璧と言いたい「第4番」です。【湧々堂】

SSS-0148
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ホルスト:組曲「惑星」 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO
スウェーデン放送Cho

録音:1994年9月3日、ベルワルドホール・デジタル・ライヴ
“作品の持ち味を自身の音楽性の中にグッと引き寄せた、恐るべきダイナミズム!!”
スヴェトラーノフは既に同曲を1991年にフィルハーモニア管と感動的な録音しており、それも決して存在価値を失うものではありませんが、ここでは完全に英国風の典雅さを払拭した、スヴェトラーノフ特有の粘着質で重量級のフレージングとリズムの躍動が更に際立った演奏を繰り広げています。少なくとも独特なテンポ変動に対する共感を持ったオケの反応力は、こちらが一枚上と言えましょう。例えば「火星」で、主題が回帰するシーンの気の遠くなる低速感とその後のクライマックスの築き方はまさに筋金入り。「金星」での深遠な祈りと色彩感は、フィルハーモニア盤と双璧の素晴らしさ。「木星」も演奏時間8:47とかなりの低速モードですが、そのテンポだからこそ打楽器の打ち込みをはじめ、どんな些細なフレーズも末端まで鳴りきり、スポーティさ皆無のスヴェトラ節が大全開となります。最後の「海王星」も一音も雰囲気で流した感はなく、極彩色でありながら精緻なハーモニーで魅了し続けます。この作品のスペクタクルな魅力と自身の音楽性を完全にドッキングさせた恐るべき名演奏です。録音も優秀。いつもながらスウェーデン放送響の機能美も絶品。【湧々堂】

SSS-0151(2CD)
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チェリビダッケ/ベートーヴェン・ライヴVol.1
交響曲第3番「英雄」
「レオノーレ」序曲第3番 *
交響曲第4番**
交響曲第2番#
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:1970年3月22日ストックホルム・コンサートホール・ステレオ・ライヴ
1968年11月16日スタルフォルスコラン・ステレオ・ライヴ *
1970年9月20日ストックホルム・コンサートホール・ステレオ・ライヴ**
1965年4月11日ストックホルム・コンサートホール・モノラル・ライヴ#
SSS-0153(2CD)
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チェリビダッケ/ベートーヴェン・ライヴVol.2
交響曲第5番「運命」
交響曲第7番*
交響曲第6番「田園」#
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:1967年9月6日ナッカ・アウラ・ステレオ・ライヴ
1970年3月5日アプサラ大学ホール・ステレオ・ライヴ*
1971年3月6日スタルフォルスコラン・ステレオ・ライヴ#
1960 年代から1970 年代のチェリビダッケ+スウェーデン放送響のベートーヴェンが遂に正規リリース。海賊盤でも聴けなかった初出演奏がほとんどというファン垂涎のシリーズです。ブルックナー、ブラームスについてはシュトゥットガルト 放送響との 1960 年代から 1970 年代の演奏が既出ですが、どういう訳かベートーヴェンは今まで一切リリースされること はありませんでした。この時期の巨匠の特徴は何よりも常識的なテンポ設定。そして類まれなカリスマ性、統率による推 進力、前進力です。いずれも隅々まで見通しが良く、細部が手に取るように理解できる演奏であるにも関わらず、単なる 部品、要素の羅列ではなく「一つの有機体としての音楽」を嫌と言うほど堪能できます。もちろん透通るようなスウェーデ ン放送響の美音も魅力的です。スウェーデン放送協会音源提供の良好なステレオ録音(第 2 番のみモノラル)。当然の ことながらセルジュ・イオアン・チェレビダーキ氏認可。
※イタリア語・英語・日本語・ドイツ語によるライナーノート付。

SSS-0162
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スヴェトラーノフのモーツァルト
交響曲第40番ト短調K.550
交響曲第41番ハ長調「ジュピター」*
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1988年9月10日、1993年9月18日(共にライヴ・デジタル) ベルワルド・ホール*
“数々のロシア音楽の名演を築いたスヴェトラーノフの音楽性の源がここに!”
モーツァルトの交響曲で、全てのニュアンスを漏らさず聴き取らねばという衝動に駆られたのは、何年ぶりでしょう?もちろん編成を切り詰めることのないかつての大編成スタイルですが、決して大味にならず、持ち前のロマンの息吹を吹き込みつつ、心の奥底から奏でたモーツァルトというのは、ワルター以来と思えるほど。
「40番」冒頭から、なんと音がときめいていることでしょう!全音域をむらなく響かせつつも厚塗りに傾くことなく、遅めのテンポを貫いてじっくりと楽想を紡ぎます。第1楽章は、裏の声部まで孤独な感情が繊細に滲み出ており、その音色は聴き手を慰めるような温かさ。第2主題の陰影の豊かさにも感動を禁じえず、この音楽の感じ方こそ、スヴェトラーノフの音楽性の核であり、だからこそ、チャイコフスキーやラフマニノフの大音量でも音圧だけではない浸透力が生まれるのでしょう。提示部リピートが、これほど必然性を持つ演奏も稀。第2楽章はデフォルメのない純粋な響きで魅了。常に音価を長目に保っているので、昨今のパリっとした晴朗さとは正反対ですが、そこから生まれる内省的な味わいが各格別。第3楽章は、3拍目を長く引き伸ばすことで腰の座ったリズムを生み、フレージングは愛のかたまり。終楽章でも提示部、再現部のリピートを慣行。再現部の1回めの演奏の最後は薄い響きにしてから繰り返す配慮にも、スヴェトラーノフの繊細な感性が表れています。展開部4:29以降の声部の絡みの「優しい緊張感」は必聴!作品の構成を緻密に制御しつつ、静かなドラマが確実に迫るのです。
「ジュピター」は、愉悦感溢れるリズムをきっちり表出し、音楽にしなやかな推進力を与えていますが、これまたトキメキの連続!スヴェトラーノフは、ここでも古典音楽としてのモーツァルトの佇まいを弁え、決して大伽藍風の響きなど片鱗すら見せません。それでいて、全ての声部が意味を持って鳴り、極めて含蓄に富んだ音楽が形成されるのです。ハ長調であるにもかかわらず、楽天的でも祝典的でもない、どこか憂いを含む独特のニュアンスは、他では味わえません。提示部リピート慣行。第2楽章はテンポを停滞せさない意志の強さが際立ちます。1:29からの音楽の抉りの強さは、まさにスヴェトラーノフ節。それがモーツァルトの枠からはみ出ることなく美しく収まった響きの充実ぶりと言ったら、とても言葉が出ません。第3楽章は意外にも速目のテンポですが、3拍子としての安定感は比類なし。そして、究極の名演、終楽章!声部の有機的な連携が、意図的な解析を全く感じさせずに大河のごとく流れる様は、フーガを形成するこの楽章に大々的に効力を発揮。コーダでは複雑な声部の綾が一切の取りこぼしなく再現され、風格と品格を携えてまさに宇宙的な広がりを現出させるのです!
近年、ロシア音楽以外の録音で、スヴェトラーノフの音楽性の本質を再認識させられる機会が増えていますが、性格の全く異なるモーツァルトの二大傑作をこれほど感動的に再現する手腕は、ムラヴィンスキーが極めてレパートリーが限られていたことを思うと、本当に驚異的でなことです。【湧々堂】

SSS-0164
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ベルリオーズ:幻想交響曲
デュカス:魔法使いの弟子*
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:1969年11月23 日ストックホルム・コンサートホール、1968年9月7日ヴェステラス・コンサート・ホール* (共にステレオ・ライヴ)
“安易な怪奇趣味とは一線を画すチェリビダッケ美学を完全敢行!”
「幻想交響曲」第1楽章の導入の超微弱音からチェリビダッケ・モード全開!雑味の入り込む余地のない弦のソノリティ、ホルンの囁きの霊妙さは比類なく、主部に入る前のこの数分間だけで、聴き手を完全に虜にします。
第2楽章開始の弦のトレモロは、これまたやっと聞こえる程度の超微弱音ですが、その後に表情に広がりを見せるところをお聴き逃しなく。音量も色彩も徹底的に抑制した音像は、改めてこの音楽が「幻想の中の舞踏会」であることを思い起こさせます。
驚異的なのが第3楽章!遠近感を捉えた音像構成が、これほど完璧に実行されている演奏が他にあるでしょうか。そして、木管楽器の応答の背後を彩る弦のニュアンスは、なんという幅広さ、奥深さでしょう!
第4楽章も音の放射力で圧倒する安易さを完全に拒否し、精緻な色彩構築を最優先。異様に遅いテンポも、死に向かう不安を投影した感情的表現の結果ではなく、全ての意識は美しい響きの実現に向けられていることは、響きのどこにも血の臭いや汗を一切感じさせないことからも明らかです。終楽章は、チェリビダッケの超精密芸術の集大成!これだけ膨大な要求をつきつけるのですから、チェリビダッケのこの曲の録音が多くないのも頷けます。そしてコーダでは、これまでの抑制を取り払って突き刺すような放射力を伴って突進!締めくくりの打楽器の巧妙な操作にも鳥肌!
なお、チェリビダッケの録音を聴く際に最大の支障となるのが、特有の微弱音がヒス・ノイズに埋もれてしまうこと。その点この録音は1960年代としては異例なほど非常にクリアで、チェリビダッケの美学をほぼ完璧に実践し尽くしているという点でも、この以上の「チェリの幻想」は存在しないのではないでしょうか?
「魔法使いの弟子」も、生半可な名演ではありません。3:56のハープの一瞬の駆け上がりにまで命を吹き込み、4:42からの弦のハーモニーがこれほど流麗な響いた例も他にないでしょう。幻想交響曲のような、極端な音量操作はここでは持ちこまず、一見すとれーた表現にも聞こえますが、全ての楽器が、他には考えられないバランス間隔を保持しながら迫り来る様は、尋常ならざる説得力を誇ります。ディズニー・アニメ的な楽しさだけではなく、この音楽の色彩的な面白さを徹底的に掘り下げた演奏として、歴史に刻むべき大名演です。【湧々堂】

SSS-0169(2CD)
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ラヴェル:管弦楽名演集

(1)「マ・メール・ロワ」組曲
(2)高雅で感傷的なワルツ〜第2曲
(3)道化師の朝の歌
(4)「ダフニスとクロエ」第2組曲
(5)スペイン狂詩曲
(6)クープランの墓
(7)ラ・ヴァルス
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:(1)1969年9月10日、ナッカ・アウラ、
(2)1969年6月29日ファルベルク・スポーツホール
(3)1967年12月1日エシュキルストゥナ・コンサートホール
(4)1970年11月8日ストックホルム・コンサートホール
(5)1969年3月7日エシュキルストゥナ小学校ホール
(6)1967年9月6日ナッカ・アウラ
(7)1969年1月26日ストックホルム・コンサートホール
(全曲ライヴ・ステレオ録音)

※セルジュ・イオアン・チェレビダーキ氏認可※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
続々リリースのチェリビダッケの知られざる時代、スウェーデン時代の充実を今に伝えるライヴ録音集。今度の新譜は、ラヴェル名演集です。昨年フランス国立放送響時代の名演も発売されましたが、スウェーデンはそれよりも前なので、フェンシングの選手を思わせると聴衆を感動の坩堝にたたきこんだ、華麗で運動神経抜群なオーケストラ・ドライヴを堪能できます。驚異の弱音、美音を駆使した、「マ・メール・ロワ」、「クープランの墓」。結構俗っぽい魅力も兼ね備えた「ダフニス」、「ラ・ヴァルス」も必聴の名演です。
SSS-0175
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チェリビダッケのショスタコーヴィチ
(1)交響曲第9番変ホ長調Op.70
(2)交響曲第5番ニ短調Op.47「革命」
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:(1)1964年11月20日、(2)1967年3月19日
ストックホルム・コンサートホール (全曲ライヴ・ステレオ録音)
※セルジュ・イオアン・チェレビダーキ氏認可
※英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付
チェリビダッケは、若き頃よりショスタコーヴィチに多大な関心を寄せており、第7 番「レニングラード」のドイツ初演は録音も遺っており、過激な表現は聴き手の心胆を寒からしめる凄絶さでありました。後年もショスタコーヴィチを各地で取上げながらも録音に恵まれずあっても満足から程遠い音質であったりでファンが渇仰するレパートリーともいえる存在でした。 ついに、第5 番「革命」と第9 番がスウェーデン放送響との名演で甦ります。第5 番「革命」は晩年のミュンヘンフィル時代にも取り上げて 1 時間に及ぶ演奏だったという伝説がありますが、1960 年代のチェリビダッケは常識的なテンポを採用し、かなり動的なアプローチで楽想を抉り出します。濁りのない透明なサウンドで、この世のものとは思えぬ静謐さを第 3 楽章では体感できます。第 9 番のようなシニカルな作品は正にチェリ向きで、ベートーヴェンの第8 番的な諧謔には舌を巻くばかりです。
SSS-0184
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チェリビダッケのモーツァルト
モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」 *
交響曲第38番「プラハ」
6つのレンドラー風舞曲
セルジュ・チェリビダッケ(指)
スウェーデンRSO

録音:1971 年3 月21 日ライヴ*、1970年2月8日ライヴ (共にステレオ)
CDで聴けるチェリビダッケのモーツァルトの交響曲と言うのは極めて少ない。 交響曲第 36 番「リンツ」は、初の公式発売のレパートリーである。この曲をチェリビダッケはミュンヘン時代にも演奏しているからレパートリーから外していた訳ではない。音の出だしが何時もながら独特だ。ラヴェルやドビュッシーのようだ。 第 38 番「プラハ」はモーツァルトが古典様式の交響曲に回帰したと言われる三楽章性の交響曲だが、この演奏は晩年のチェリビダッケが獲得した荘重な演奏様式を早くも獲得している。実にロマンティックな演奏と呼ぶほかない。

SSS-0224
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スヴェトラーノフのドビュッシー
牧神の午後への前奏曲
夜想曲*/交響詩「海」
エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
スウェーデンRSO

録音:1979 年1 月28 日ストックホルム、コンサートホールライヴ(ステレオ)
1999 年5 月7 日ストックホルム、ベルワルドホール、ライヴ(デジタル)*
スヴェトラーノフにとってドビュッシーは裏レパートリーというか秘蔵の得意曲であり ました。あの顔に似ず、美音に対する追求は並々ならぬものがあり、さらには究極の 癒しとまで呼びたい静謐さとリラックスを音楽に求めた巨匠でもありました。「牧神」に はその美質が良く表れております。「海」は豪快そのもの、のんびり泳いでいたら、最 後は波に追いまくられるようなドラマティックな名演。「夜想曲」は、ソビエト国立響と の演奏が未CD化で入手しにくく、フィルハーモニア管とのコリンズ盤は締まりがない ため、このスウェーデン盤は歓迎されましょう。女声合唱団を加えた豪華版で、たま らない抒情性にあふれかえった名作です。今回からスヴェトラーノフ研究の第一人 者である、はやしひろし氏による整音を依頼。万全の態勢で名演を堪能できることに なりました。

SSS-0241
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ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
エーテボリSO

録音:1992年9月17日エーテボリ・コンサートホール,ライヴ
"最晩年の一歩手前で成し遂げた理想のブルックナー"
スヴェトラーノフ 2 種目のブル8が登場。しかも音盤では初顔合わせと なるエーテボリ響客演ライヴ。ロシア響とのメロディア盤は 1981 年でした のでほぼ 10 年後の演奏です。エーテボリ響もヤルヴィ時代の充実期で 立派な演奏を聴かせます。エーテボリのコンサートホールは音響の良さ で知られますのでクリアなサウンドを聴かせます。ロシア響はかなり金管を 強調させた激演でしたが、こちらは弦楽器を生かしたオーソドックスな名 演。スヴェトラーノフのもう一つの魅力である神経の細やかさを聴きとれる ことでしょう。第3 楽章冒頭の弦楽器の刻みは驚くほどの繊細さ。1992 年 というとまだまだ元気いっぱいでエネルギッシュな巨匠。最晩年の巨象の 歩みのような遅いテンポによる解釈ではなく運動神経抜群な切り返しも見 せます。90 年代のスヴェトラーノフは東京でチャイコフスキー交響曲全曲 演奏会を開き同時にライヴ録音して一気に評価を高めた時期です。 はやしひろし氏による書下ろしライナーノート付(英訳あり)。
これはスヴェトラーノフの最晩年の境地に至る手前の録音である点がポイント。カロリーに満ち溢れた超重量級のサウンドを期待すると肩透かしを食らうこと必至。ブルックナー特有の敬虔さを邪魔することなく、スヴェトラーノフ自身の個性はブルックナーの背後に置くことで、あくまでもブルックナーの音楽の味わいを再認識させる演奏に仕上がっています。
 最も感動的なのは第3楽章!8:42以降の色彩の陰影の濃さはスヴェトラーノフの独壇場ですが、それでもブルックナーの音楽から逸脱しない絶妙なバランス感覚を発揮。15:57以降の大音量も決して放射型ではなく、作品の根幹から目を逸らさない思慮深さと集中力が見事な緊張を孕んだ音像を築きます。
終楽章の第3楽章3:52からのリズムの刻み方は、クナッパーツブッシュとは対象的な軽妙さながら、軽薄なノリとは無縁。しっかりとブルックナーに寄り添う共感が息づいているのです。
 全体的に、ティンパニの響きが突出しすぎないように絶妙な距離感で録音されている点も、名演として結実した大きな要因と言えましょう。【湧々堂】


2506-5612(2CD)
UHQCD
!!
ブルックナー:交響曲第8番ハ短調 エフゲニ・スヴェトラーノフ(指)
ハーグ・レジデンティO(ハーグPO)

録音:2000年3月25日アントン・フィリップザール,デジタル・ライヴ
スヴェトラーノフにとって2002年10月に予定されていたNHK SO との共演がその死によって幻になってしまったのがブルックナー8番です。 極限まで遅いテンポを採用するようになったスヴェトラーノフ最晩年の心境 がブルックナーにどう反映されるのか?その回答がハーグ・レジデンティ管 弦楽団との当ライヴです。ハーグ・レジデンティ管とスヴェトラーノフの演奏 はいくつか商品化されていますがいずれも残念なことにオーケストラの実力 が弱点となっておりますが、ここでは奇跡が起きております。艶やかな弦楽 器といい重量感溢れる金管の咆哮。オーケストラと巨匠が死力を尽くした感 のある凄絶なライヴ。スヴェトラーノフ研究の権威はやしひろし氏によるマス タリングと解説も嬉しいところです。



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