湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



FIRST HAND RECORDS
(イギリス)



クラシック、ワールド&ジャズ専門の新レーベル。EMIアーカイヴ音源の復刻タイトルを順次リリースしてゆく予定です。



※「単価=¥0」と表示されるアイテムは廃盤です。

※価格は全て税込価格。品番結尾に特に表記のないものは、全て1CDです。
品番 内容 演奏者
FHR-04(2CD)
チェルカスキー/HMV録音大集成
バッハ(ブゾーニ編):シャコンヌ、
ベートーヴェン
:バガテルOp.119-1
シューベルト:即興曲変イ長調Op.90-4、
ショパン
:マズルカ第7番Op.7-3、
 華麗なる大ワルツOp.18、
 ノクターン変ニ長調Op.27-2、
 バラード第2番ヘ長調Op.38、
 バラード第3番変イ長調Op.47
リスト:ハンガリー狂詩曲第13番、
グノー(リスト編):ファウストのワルツ
リトルフ:交響協奏曲第4番〜スケルツォ、
サン=サーンス(ゴドフスキ編):白鳥
リャードフ:オルゴール、
ラフマニノフ
:前奏曲ト短調Op.23-5、
 前奏曲変ロ長調Op.23-2
ガーシュウィン:3つの前奏曲、
プーランク
:トッカータ、
チェイシンズ
:3つの中国小品、
ガーシュウィン:3つの前奏曲(別テイク)、
ショパン:バラード第3番(別テイク)
シューラ・チェルカスキー(P)、
マルコム・サージェント(指)BBC響

録音:1956、1958年 ロンドン(ステレオ)
19世紀風巨匠芸で人気のあったチェルカスキー。長寿に恵まれたため、ついこの間まで活躍していた感がありますが、何と今年生誕百年を迎えます。それを記念した入手困難音源を集めたアルバムが登場します。ヨゼフ・ホフマンの愛弟子で、超絶技巧で鳴らしましたが、ねっとりとした独特な歌いまわし、ヌメヌメとした美音など濃厚なロマン薫る世界はチェルカスキーならでは。ここに収められたものは、彼の魅力全盛の40歳代半ばにロンドンのアビーロード・スタジオ他で行われたセッション録音。発売時はモノラルLPでしたが、もともとステレオ録音だったため、今回はもちろんステレオ。バッハ=ブゾーニの「シャコンヌ」やガーシュウィンの前奏曲、チェイシンズの中華風作品など興味深いレパートリーも目白押し。しかしチェルカスキーは凄い。バッハのシャコンヌのようなシリアスな作品まで楽しく聴かせてしまいます。偉大なるエンターテナーと申せましょう。 (Ki)
FHR-05(3CD)
ハリー・ブレック&ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ/HMVステレオ録音集成

(1)モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」*

(2)2台のピアノのための協奏曲変ホ長調K.365*
(3)4つのメヌエットK.601
(4)3つのドイツ舞曲K.605*
(5)交響曲第28番ハ長調K.200
(6)3台のピアノのための協奏曲ヘ長調K.242[2台ピアノ版]*
(7)アリアーガ:交響曲ニ長調
(8)モーツァルト:セレナード第9番「ポストホルン」*

=ボーナス=
(9)ハイドン:交響曲第103番「太鼓連打」
全て、ハリー・ブレック(指)
ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ

(1)録音:1956年8月16−17日(ステレオ)
(2)ヴィーチャ・ヴロンスキー&ヴィクター・バビン(P)/録音:1957年6月5−6日(ステレオ)
(3)録音:1957年5月1日(ステレオ)
(4)録音:1957年5月23日(ステレオ)
(5)録音:1956年2月23日(ステレオ)
(6)ヴィーチャ・ヴロンスキー&ヴィクター・バビン(P)/録音:1957年6月5−6日(ステレオ)
(7)録音:1956年2月22日(ステレオ)
(8)録音:1957年4月29日−5月1日&5月23日(ステレオ)
(9)録音:1955年1月17−18日&2月8日(モノラル)

録音場所:ロンドン、アビー・スタジオNo.1
オリジナル・ステレオ・レコーディング・エンジニア:クリストファー・パーカー
リマスタリング:2009年アビー・ロード・スタジオ
リマスタリング・エンジニア:イアン・ジョーンズ

*=ステレオ・テイク初出
ブレック歿後10年とロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ創設60周年のアニヴァーサリー・リリース。
◆ハリー・ブレックとロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズは、英国の指揮者、ヴァイオリン奏者ハリー・ブレック(1910−2009)によって1949年に創設され現在に至る約40人編成の室内オーケストラ。1950年代よりロイヤル・フェスティヴァル・ホールその他における定期公演を行い、ことにモーツァルトやハイドンの演奏で1950年代に一時代を築きました。
◆よみがえる往年の名演奏
1984年まで35年に渡り、強い絆でむすばれた初代首席指揮者ブレックのもと、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズが1950年代にHMVへおこなった録音の数々は、独特の親しみやすい様式と懐かしさにも似たゆとりの味わいで根強い人気を集めています。なかには伝説のピアノ・デュオ、バビン&ヴロンスキーが弾くモーツァルトの協奏曲というお宝も含まれています。
◆ステレオ・テイク初出&すべて初CD化
HMVアーカイヴのオリジナル・マスターより復刻される、オリジナル・アルバムにして5枚分すべてがこのたび初CD化となるもの。しかも、ボーナス収録のハイドン「太鼓連打」を除いて、初出時にはモノラルLPでのリリースであった曲目もすべてステレオ・テイクで初登場となるため、アナログを愛聴されている方にとっても見逃せない内容となっています。未編集のオリジナル・ステレオ・テイクを手がけたのはクリストファー・パーカー。2009年にアビー・ロード・スタジオにおいて全曲のリマスタリングをイアン・ジョーンズが担当。名エンジニアによる極上の音質で、美しく端整なモーツァルト演奏をぜひともお楽しみください。コンパクトな8面折たたみ紙ジャケット仕様。

FHR-06(3CD)
ニクサ/ウエストミンスター〜1956年ステレオ録音集Vol.1
ウォルトン:交響曲第1番変ロ短調☆
 録音:1956年8月15− 17日(ステレオ)
エルガー:交響的習作「ファルスタッフ」☆#
 録音:1956年8月20日(ステレオ)
エルガー:交響曲第2番変ホ長調Op.63☆
 録音:1956年8月15− 17日(ステレオ)
エルガー:序曲「コケイン」Op.40☆*★
 録音:1956年8月15− 17日(ステレオ)
ブリテン:音楽の夜会Op.9☆*
 録音:1956年8月30− 31日(ステレオ)
ブリテン:青少年のための管弦楽入門
    *エイドリアン・ボールト(語り)
 録音:1956年8月30− 31日(モノラル)
ロッシーニ( ブリテン編):音楽のマチネー☆*
 録音:1956年8月30− 31日(ステレオ)
ブリテン:4つの海の間奏曲Op.33aとパッサカリア
 録音:1956年8月30− 31日(ステレオ)
ブリテン:青少年のための管弦楽入門
    *エイドリアン・ボールト(語り)
 録音:1956年8月30−31日(ステレオ)
サー・エイドリアン・ボールト(指)LPO

録音場所:ロンドン、ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール(セッション)
プロデューサー:カート・リスト
プリンシパル・バランス・エンジニア:ヘルベルト・ツァイトハマー
リマスタリング:2010 年アビー・ロード・スタジオ
リマスタリング・エンジニア:イアン・ジョーンズ

※を除いて全てオリジナル・アナログ・テープよりリマスタリング
☆=オリジナル・ウェストミンスター・マスター音源のステレオ初出リリース
*=英国ステレオ初出&英国初ステレオCD化
#=テープ音源より初CD化
★=英国完全初出
##を除いてすべて初のステレオ録音
【DECCA に次ぐ英国を代表するレーベルであったNixa Record( ニクサ・レコード)】 ニクサ(Nixa) は1950 年にF.H.B. ニクソン(Nixon) によって設立されたレコード会社。英国でDecca に次いでLP レコードを発売しましたが、ニクサ・レーベ ルは1953 年にパイ(Pye) によって買収され、最終的にEMI に買収されています。 ニクサ・レコードは当初、イギリス連邦圏内で、パリのCompagnie Generale du Disque のカタログを供給していましたが、のちに、Period Records, Concert Hall Records, Haydn Society, and Vanguard Records を含む、多くのアメリカのクラシック・レコード会社のライセンス発売を手がけるようにな ります。
【ニクサの看板であったボールトの録音】
ニクサの自社録音では、代表的なものとしてボールト指揮によるウォルサムストウ・アッセンブリー・ホールにおける一連の録音が知られており、オリジナルのアナログ盤は今でも根強い人気を集めています。ここに復刻される録音の数々は、1956 年に、ニクサとパートナー関係にあった米国のウエストミンスターのプロダクションによっておこなわれたもの。初出時にはフィルハーモニック・プロムナード・オーケストラの楽団名が使用されており、米国ではウエストミンスターより1958 年9 月にすべてステレオLP として発売されたものの、ライセンスを受けたニクサでは、モノラル・テイクが一部リリースされたにすぎませんでした。その意味で、このたび英国より初めてほぼ完全な形でリリースされることの意義は決して小さくないものといえるでしょう。なお、このときのセッションではシューマンの4 つの交響曲とベルリオーズの序曲集(「カルタゴのトロイア人」への前奏曲を除く) も録音されており、第2 集として近くリリースが予定されています。
【ボールトが再評価の機運を促したエルガーの第2 交響曲】
復刻リリースの意義もさることながら、プログラム自体もきわめて重要です。ボールトにとってのエルガーは、少年時代に作曲者の御前で啓示を受けた運命の作曲家。「第2 交響曲」は、ボールトによる5 度のレコーディングのうち2 番目にあたるもの。1920 年の作曲者による初演以降、忘れ去られていた作品を再演して成功を収め、再評価の機運を促したのがほかならぬボールトそのひとでした。いっぽうでブリテンの作品すべては、これらがボールトによる唯一のスタジオ録音となるもので、「青少年のための管弦楽入門」についてはモノラルとステレオの2 種のテイクとも収めるという徹底ぶりです。
【入念なリマスタリングによる極上の音質】 CD 化に際して、一曲をのぞいてドイツのギュータースローにあるユニヴァーサル・アーカイヴと、ロンドンのEMI アーカイヴとに保管されているオリジナル・マスター テープを取り寄せ、エンジニアには定評あるイアン・ジョーンズを起用、2010 年にアビー・ロード・スタジオにおいて全曲のリマスタリングを施しています。 アナログの風合いを大切にした丁寧なリマスタリングによる音づくりはまさしく感涙ものです。 これぞ“ノビレメンテ” たる折り目正しい演奏をたっぷりとお楽し みください。 オリジナル・アナログ盤のカラー・ジャケ写や録音風景の写真も収めた別冊12 ページのライナー・ノートつき、コンパクトな8 面折たたみ紙ジャケット仕様。 (Ki)

FHR-07(3CD)
ニクサ-ウエストミンスター/1956年ステレオ録音集Vol.2〜ボールト&ロンドン・フィル

(1)シューマン:交響曲第1番「春」
(2)シューマン:交響曲第4番
(3)シューマン:交響曲第2番
(4)シューマン:交響曲第3番「ライン」
(5)ベルリオーズ:序曲集
 序曲「ウェイヴァリー」#
 序曲「海賊」*#/序曲「リア王」*#
 「ベアトリスとベネディクト」序曲*#
 序曲「ロブ・ロイ」*
 「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲#
 序曲「宗教裁判官」#
 序曲「ローマの謝肉祭」#
全て、エイドリアン・ボールト(指)LPO

録音場所:ロンドン・ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール(セッション)
プロデューサー:カート・リスト
プリンシパル・バランス・エンジニア:ヘルベルト・ツァイトハマー
リマスタリング:2010年アビー・ロード・スタジオ
リマスタリング・エンジニア:イアン・ジョーンズ

録音(1)−(3):1956年8月21−24日(セッション・ステレオ)
(4):1956年8月28−29日(セッション・ステレオ)
(5)1956年8月28−29日、8月24日(セッション・ステレオ)

*=オリジナル・ウェストミンスター・マスター音源のステレオ初出リリース
#=初ステレオCD化
ボールトは英国音楽のスペシャリストとして知られるいっぽうで、ドイツ=オーストリアものからフランス、ロシア音楽に至る広範なレパートリーにも深い造詣を示していました。手兵ロンドン・フィルとのディスコグラフィもかなりの点数に上り、こののち1970年から1972年にかけて行われたブラームスの交響曲第1番、第2番、第4番のセッション録音をはじめ、1972年にシューベルトの「グレイト」、1974年にモーツァルトの「ジュピター」、1977年にベートーヴェンの「田園」を、いずれもセッションでレコーディングしており、その雄渾でスケールゆたかな演奏の数々は評価も高く、いまなおファンに強く記憶されています。このたび復刻されるシューマンとベルリオーズもまた、比類のない格調の高さとすみずみまで目配りの行き届いたアプローチにより、アナログ盤初出以来すぐれた内容として知られるものです。【入念なリマスタリングによる極上の音質】このたびのCD化に際して、ドイツのギュータースローにあるユニヴァーサル・アーカイヴと、ロンドンのEMIアーカイヴとに保管されているオリジナル・マスターテープを取り寄せ、エンジニアには定評あるイアン・ジョーンズを起用、2010年にアビー・ロード・スタジオにおいて全曲のリマスタリングを施しています。第1弾をお求めになられた方は御体験済みとおもわれますが、アナログの風合いを大切にした丁寧なリマスタリングによる音づくりはまさしく感涙ものです。オリジナル・アナログ盤のカラー・ジャケ写や録音風景の写真も収めた別冊12ページのライナー・ノートつき、コンパクトな8面折たたみ紙ジャケット仕様。(Ki)
FHR-09
ジョナサン・マイヤー/アウト・オブ・ジャンル
バッハ:ソナタ第1番ト短調BWV.1001〜アダージョ
マイヤー:Rag Jiddhu
マイヤー:String of Pearls
マイヤー(ホィーラー編):Joning
バッハ:ガヴォットとロンド( パルティータ第3 番ホ長調BWV.1006より)
ウィストレート:Abida
マイヤー:Whole Again
バッハ:プレリュード第2 番ハ短調( 平均律クラヴィーア曲集第1 巻BWV.847より)
マイヤー:Capo-Lo
マイヤー:When it Rains
ジョナサン・マイヤー( シタール、ピグミー・シタール、エレクトリック・シタール、タンプーラ、ギター.チター、ピアノ、フェンダー・ローズ)
ケニー・ホィーラー( トランペット、フリューゲル・ホルン)
ベルナール・ウィストレート( フルート、バス・フルート)
ミテル・プホリト( タブラ) 
アンディ・ブラット( ドラムス)
有名なシタール奏者ジョナサン・マイヤーのデビュー・アルバム。アルバム・タイトルが示すように、ワールド、ジャズ、クラシックといったジャ ンルの垣根を飛び越えた内容は、マイヤー自作のナンバーのほか、シタール用に初アレンジしたJ.S. バッハのナンバーを収めているのがユニーク。民 俗楽器シタールのエキゾチックな音色を通して、J.S. バッハの普遍的な音楽世界に思いを馳せるひとときも一興といえるでしょう。 また、ここでは“ジャズ・トランペット界の大御所” ケニー・ホィーラーがゲスト参加しているのも話題性十分。 曲に応じて使用楽器を選択するマイヤーは、本作で新開発の“ピグミー・シタール” を初めて使用しています。 名門アビー・ロード・スタジオのマスタリングで音質もすぐれており、オーディオ・ファンにもおすすめです。 (Ki)
FHR-11
音楽の迷宮/コン・ジョイア・レコーディングス
バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調BWV.1009
C.P.E.バッハ:スペインのフォリアによる12の変奏曲wq.118-9,H263
ロカテッリ:カプリッチョ第23番ニ長調〜「音楽の迷宮」op.3[デ・サラムによる無伴奏チェロ用編曲版]
バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第3番ト短調BWV.1029
ヒンデミット:無伴奏チェロ・ソナタOp.25-3(1922)
デ・シルヴァ:ハープシコードのための4つの小品[パ・ド・ドゥ(ソナチネより)/左手のための習作/Alankara-Tala/前奏曲]
ロハン・デ・サラム( Vc;Eric T Benning, Los Angeles, 2005, after the “Christiani” cello by Antonio Stradivari; on loan by kind courtesy of Mr Armen Ksajikian)
プリーシ・デ・シルヴァ( ハープシコード;John Phillips, Berkeley, 2001, after instruments by Johann Heinrich Grabner,
the Younger, Dresden, circa 1740)

録音:2010 年5 月17-19 日カリフォルニア州、クレアモント、スクリップス・カレッジ・演奏芸術センター、ギャリソン・シアター( セッション・デジタル)
かつてアルディッティ四重奏団のチェリストとして活躍したロハン・デ・サラムが、J.S.バッハやロカテッリを取り上げた異色のアルバムが登場します。現代の最高峰アルディッティ四重奏団の第3代チェリスト(1977−2005)として、20年以上に亘り、同時代音楽シーンの最前線でしのぎを削ってきたデ・サラム。在籍中、創設者のアーヴィン・アルディッティと比肩して、アルディッティ四重奏団の顔と呼ばれたほど。デ・サラムは、チェロのための主だった現代作品の献呈を数多く受けており、たとえばベリオから「セクエンツァXW」を献呈され、クセナキスも作品を捧げている事実が示すように、その実力に対する信頼感は絶大。2005年にアルディッティ四重奏団を勇退し、現在では、ソリストとして世界中の主要なオーケストラと共演を重ねているデ・サラムですが、“原点回帰”とでもいうべきこのアルバムでも、完璧な技巧を披露しています。格調高いJ.S.バッハも聴かせますが、圧巻はやはり、アルバムのタイトルにもなっているロカテッリ。猛烈な勢いで目まぐるしくパッセージが繰り返され、まさに迷宮をおもわせる内容ですが、デ・サラムは圧倒的なテクニックでねじ伏せます。なお、デュオを組むデ・シルヴァは、アメリカ合衆国の著名な古楽アンサンブル、コン・ジョイア(ConGioia)の音楽監督を務めています。キアラ・バンキーニ、モニカ・ハジェット、ヴィーラント・クイケン、マーティン・パールマンといった国際的に有名なビッグ・ネームとの共演を数多く果たしており、演奏ならびに創作活動でも、これまでに数々の賞を獲得しています。 (Ki)
FHR-12
驚異の棚 第2集
マルティーノ・ビッティ(1660-1743):ヴァイオリンと通奏低音のためのドレスデン・ソナタ第4番 イ長調 TalB SV12
作者不詳(ジローラモ・ニコロ・ラウレンティ(1678-1751)?):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ イ短調
マルティーノ・ビッティ:ヴァイオリンと通奏低音のためのドレスデン・ソナタ第1番 ハ長調 TalB SV9
ヘンリクス・アルビカストロ(c.1660-1730):ヴァイオリンと通奏低音のためのいソナタ へ短調
マルティーノ・ビッティ:ヴァイオリンと通奏低音のためのドレスデン・ソナタ第5番 変ロ長調 TalB SV13
作者不詳(アントニオ・モンタナーリ(1676-1737):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ へ短調
カルロ・フィオレッリ(c.1673-unknown):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ト短調
キンガ・ウイスザスジ(Vn)
トム・フォスター(Cemb)

録音:2021年5月12-14日/ロンドン

※全曲世界初録音
未知の世界を開く驚異の書棚に迫る注目企画、ドレスデンのシュランク2世のコレクションをもとにしたシリーズの第2弾です。シュランク2世はピゼンデルの所 有していた楽譜や、ヨーロッパ中を旅し自ら筆写した譜面などを数多く所蔵していた人物。イングリッシュ・コンサートのメンバーとしても活躍する名手による演奏 です。大変貴重な手稿譜による演奏で、全曲世界初録音! 第1集はFHR-89です。 (Ki)
FHR-13
ジェラルド・マクリスタル/ソロ・アルバム
ヘンデル(マクリスタル編):ラルゴ
ナイマン(ハンフリー編):何で?/もし?
マグリン:エイスリン/閉じた瞳の後で
 フロム・ノーフェア・トゥ・ノーフェア
ヴィラ=ロボス:アリア〜ブラジル風バッハ第5番より
フィリップ・グラス:ファザード
アンディ・スコット:わが山頂
ボザ:アリア
ビリー・コゥイー:3つのロマンス
フォーレ(マクリスタル編):ゆりかごOp.12の1
ドビュッシー(ロンデクス編):シランクス
ラヴェル(マクリスタル編):ハバネラ形式の小品
田中カレン:ナイト・バード
ジェラルド・マクリスタル(Sax)、
シロマ・ダ・シルヴァ(P)、
クレイグ・オグデン(G)、
スミスSQ、コデッタ、
トリニティ・レイバン弦楽アンサンブル

録音:2009年8月、11月/ブラックヒース(ロンドン)
北アイルランド出身のサクソフォン奏者ジェラルド・マクリスタルのソロ・アルバム。マンチェスターの王立北音楽学校とロンドンのギルドホール・スクール、さらにシカゴのノースウェスタン大学で学び、国際的に活躍しています。彼の活動で特徴的なのは、現代のヒーリング系もしくはミニマル・ミュージック系作曲家を積極的に紹介している点にあります。当アルバムでも、マイケル・ナイマンやフィリップ・グラスから、スコットランドのビリー・コゥイー、アイルランドのマグリン、日本の田中カレンなどの作品をとりあげているのが注目。ナイマンの曲は「アンネの日記」の映画音楽。超絶テクはもちろんながら、品良く、癒し効果に満ちた不思議なサクソフォンです。 (Ki)
FHR-14
ロハン・デ・サラムの芸術Vol.2
(1)プフィッツナー:チェロ協奏曲第1番ト長調Op.42
(2)ジョン・マイヤー(1929−2004):プラチャンダ (1982)
(3)ジョン・マイヤー:6つのラーガマーラ (1983)
ロハン・デ・サラム(Vc)

(1)ボフミル・グレゴル(指)オランダ放送O
 録音:1980年1月10日オランダ、ヒルヴェルスムAVROスタジオ【初CD化】
(2)ドゥルヴィ・デ・サラム(P)
 録音:1983年ロンドン、コンウェイ・ホール
(3)ジョン・マイヤー(タンプーラー)
 録音:1983年ロンドン、コンウェイ・ホール(すべてステレオ)
カザルスに「かれの世代で、こんなにも天賦の才に恵まれたものはほとんどいない」と言わしめ、ミトロプーロスが「稀にみる天才で、生まれながらの音楽家、おどろくべき若いチェリスト」と評した、現代最高峰のチェリストのひとり、ロハン・デ・サラムによるFIRSTHANDS第2弾。
プフィッツナーが残した3つのチェロ協奏曲のうち、第1番と付番されるト長調の曲は、1935年にデ・サラムの師、ガスパール・カサド(1897-1966)のために書かれたもの。演奏時間15分ほどの曲は、途中、木管やトランペットに印象的なフレーズも現れ、手の込んだ書法とソロ・パートのヴィルトゥオーゾ風のつくりが、プフィッツナーのほかの協奏曲にも通じる内容となっています。オリジナル音源は1980年にオランダ・キリスト教放送連盟(NCRV)によって放送用に収録されたもので、このたびようやく初CD化となります。
カップリングにはジョン・マイヤー(1929-2004)の2作品を収録。古代インド語で「作品群」を意味するプラチャンダ(Prabhanda)は、チェロとピアノによる8つの小品からなる構造が「組曲」に近いもので、スリランカ出身のロハン&ドゥルヴィ・デ・サラム兄弟のために書かれています。6つのラーガマーラ(Ragamalas)もまた、ロハン・デ・サラムの委嘱で書かれた作品で、いずれも別のレーベルよりCD化されていたことがありますが、入手難の状態が続いていたので、こちらも復活は朗報といえます。
カルカッタ出身のマイヤーは、ボンベイでメーリ・メータなどに師事したのち、奨学生としてロンドンの王立音楽院に学び、ロンドン・フィル、ロイヤル・フィルのヴァイオリニストとして活動するかたわら、この頃からヒンドゥーの伝統と西洋の古典様式との融合する作曲活動も展開しています。 (Ki)
FHR-15
ハリー・ブレック&ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ/HMVステレオ録音集成Vol.2

(1)モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」 
(2)モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番
(3)モーツァルト:12のメヌエットK.568 
ルイス・ケントナー(P)
ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
フィルハーモニアO
ハリー・ブレック(指)

(1)初CD化、ステレオ・テイク初出
 録音時期:1954年12月22−23日(ステレオ・セッション)
(2)初CD化
 録音時期:1959年5月23−24日(ステレオ)
(3)初CD化、ステレオ・テイク初出
 録音時期:1956年12月4日(ステレオ)
 収録場所:ロンドン、アビー・ロード第1スタジオ

プロデューサー:ベルトルト・ゴルトシュミット、ローレンス・コリングウッド
オリジナル・ステレオ・レコーディング・エンジニア:クリストファー・パーカー、ダグラス・ラーター、ロバート・グーチ
リマスタリング:2011年アビー・ロード・スタジオ
リマスタリング・エンジニア:イアン・ジョーンズ
【ハリー・ブレックとロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ】
ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズは、英国の指揮者、ヴァイオリン奏者ハリー・ブレック(1910−2009)によって1949年に創設され現在に至る約40人編成の室内オーケストラ。1950年代よりロイヤル・フェスティヴァル・ホールその他における定期公演を行い、ほどなく黄金時代を迎えた当楽団は、モーツァルトやハイドンの演奏で人気を集めました。
【よみがえる往年の名演奏】
1984年まで35年に渡り、強い絆でむすばれた初代首席指揮者ブレックのもと、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズが1950年代にHMVへおこなった録音の数々は、独特の親しみやすい様式と懐かしさにも似たゆとりの味わいで根強いファンの支持を得ています。第2集はすべてモーツァルトの作品を収録。1954年12月に、マーラーの第10交響曲クック全曲版の推敲協力と初演で有名なベルトルト・ゴルトシュミットがプロデュースを手掛け、現存するうちでEMI最初期のステレオ全曲録音による「リンツ」や、「伝説のモーツァルト弾き」ケントナー独奏によるピアノ協奏曲第24番と、まさに歴史上の名前が録音に関わっていることにも興奮します。
【ルイス・ケントナー】
ルイス・ケントナー(1905−1987)はハンガリーに生まれ、ロンドンで歿したイギリスのピアニスト。ブダペストのリスト音楽院で、ピアノをアルノルド・セーケイとレオー・ヴェイネルに、作曲をハンス・ケスレルとコダーイに師事して、キャリア当初はショパン、リストの華麗な演奏で名を馳せています。その後1933年に、ケントナーはバルトークの第2協奏曲をハンガリーで初演したことを契機に、この作品のエキスパートとして知られるようになると、1946年にはロンドンで第3協奏曲をヨーロッパ初演、2台のピアノのための協奏曲をイギリス初演して、バルトークの大家としての位置づけを確たるものにしました。ケントナーがロンドンに定住した1935年以降は、英国におけるモーツァルト演奏の第1人者としての評価を固め、出自であるオーストリア=ハンガリーに連なるウィーン古典派やJ.S.バッハの演奏でもすぐれた業績を示しています。
【ステレオ・テイク初出&すべて初CD化】
このたびもHMVアーカイヴのオリジナル・マスターより復刻される収録内容すべてが初CD化となるもの。「リンツ」と「12のメヌエット」については、初出時にはモノラルLPでのリリースであったものですが、ともに保管されていたセッション・テープをもとにしたステレオ・テイクでの初登場となるため、アナログを愛聴されている方々にとっても見逃せないところといえるでしょう。「リンツ」のオリジナル・ステレオ・テイク収録にあたったエンジニアでもあるクリストファー・パーカーを顧問に迎え、2011年にアビー・ロード・スタジオにおいて全曲のリマスタリングをイアン・ジョーンズが担当。名エンジニアの顔合わせによる極上の音質で、美しく端整なモーツァルト演奏をぜひともお楽しみください。コンパクトな折たたみ紙ジャケット仕様。 (Ki)
FHR-16
シッパース&グーセンス

(1)チャイコフスキー:交響曲第4番
(2)スクリャービン:交響的楽章「夢」Op.24
(3)プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調Op.25「古典」
(1)トマス・シッパース(指)フィルハーモニアO【録音時期:1957年5月27−28日ロンドン、キングズウェイ・ホール(セッション・ステレオ)】
(2)ユージン・グーセンス(指)フィルハーモニアO【録音時期:1956年2月15日ロンドン、キングズウェイ・ホール(セッション・モノラル)】
(3)ユージン・グーセンス(指)プロ・アルテO【録音時期:1958年4月25日ロンドン、ウォルサムストウ・アッセンブリー・ホール(セッション・ステレオ)】

プロデューサー:ヴァルター・イェリネック(チャイコフスキー)、デイヴィッド・ビックネル( スクリャービン)
オリジナル・エンジニア:ロベルト・グーチ( チャイコフスキー )、ダグラス・ラーター( スクリャービン )
リマスタリング:2011-2012年アビー・ロード・スタジオ
リマスタリング・エンジニア:イアン・ジョーンズ
EMIのアーカイヴを掘り起こし、純正のマスターテープ使用による丁寧なリマスタリングと詳細なデータを掲載した資料価値の高いブックレットにより、パッケージを所有する喜び一入と評判の「FIRST HANDSリマスター・シリーズ」。最新作は、シンシナティ響ゆかりの指揮者ふたり、1970年の就任より肺癌で早世するまでのあいだ、音楽監督を務めたトマス・シッパース(1930−1977)と、作曲家としても知られ、1931年から1946年まで楽団の国際的な発展に尽力したユージン・グーセンス(1893−1962)とが振ったロシア・プログラムという内容です。
【トマス・シッパース】
1930年米国ミシガン州カラマズーに生まれたトマス・シッパースは、フィラデルフィアのカーティス音楽院で学んだのち、1948年にフィラデルフィア管主催の指揮者コンクールで第2位を獲得して、同じ年にニューヨークのレモネード・オペラ・カンパニーで本格的な指揮者デビューを飾っています。1950年に初演直後のメノッティ作のオペラ「領事」を指揮して成功を収めたことをきっかけに、同じカーティス音楽院出身の作曲家メノッティとの交流が始まり、メノッティと共同で創設したイタリアのスポレート音楽祭の音楽監督に任命されることになります。1951年にニューヨーク・シティ・オペラにデビューしたシッパースは、1953年にMET、1955年にミラノ・スカラ座に相次いでデビュー。1968年にはロイヤル・コヴェントガーデンにもデビューを果たし、この間1963年にバイロイト音楽祭で新演出の「マイスタージンガー」を指揮してもいます。
【シッパース指揮によるチャイコフスキーの第 4 交響曲】
このようにシッパースはオペラでの手腕に定評がありましたが、同時にまた幅広いオーケストラ・レパートリーを持っていたことでも知られています。なかでもロシアものは得意にしていたようで、ニューヨーク・フィルを指揮したムソルグスキーの「展覧会の絵」、プロコフィエフの「アレクサンドル・ネフスキー」のほか、フランチェスカッティ独奏のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲など、現状のディスコグラフィからも辿ることが可能です。このたびFIRST HANDSより復刻されるチャイコフスキーの第4交響曲は、LSOとのコンサートのためにシッパースがロンドンを訪れた際、EMIのウォルター・レッグが準備したフィルハーモニア管とキングズウェイ・ホールでセッションを組んで行ったレコーディングのひとつで、同時にプロコフィエフの交響曲第5番、ソプラノのアイリーン・ファレルを迎えたオペラ・アリア&歌曲集も収録され、それぞれレーベルは異なりますがすでにCD化されています。
そのプロコフィエフの交響曲第5番が、当時のフィルハーモニア管の機能美全開、スタイリッシュな仕上がりで、演奏・録音ともにすぐれた内容でしたので、チャイコフスキーの復刻にもおおいに期待が高まるところです。ちなみに、このチャイコフスキーと、続くグーセンス指揮のスクリャービンとでは、ホルンの首席として名手ブレインが参加しています。
【グーセンス&プロ・アルテ管によるプロコフィエフの「古典」】
グーセンスがプロ・アルテ管を指揮したプロコフィエフの「古典」は、オリジナルのアナログ初出時にGramophone誌のレビューで “演奏・録音両面で特薦に値する”とされていたもので、いま聴いても目の覚めるような鮮明な音質に驚かされます。プロ・アルテOは、LSOのコントラバス奏者、BBC響の首席コントラバス奏者を歴任したユージン・クラフト(1887-1976)が運営し、自らも団員として参加する有限会社として1955年に設立された英国のオーケストラ。EMIに買収される以前のパイ=ニクサ(Pye-Nixa)レーベルにオーケストラ作品の録音を数多くおこなっています。初期メンバーには、ヴィオラのセシル・アロノヴィッツ、フルートのリチャード・アドニー、オーボエのピーター・グレーム、クラリネットのジェルヴァーズ・ド・ペイエ、ヴァイオリンのレイモンド・コーエン、ホルンのアラン・シヴィルら名手が在籍していました。なお、プロ・アルテOは、1970年にロンドンでの公演を最後に活動を終了しています。
【データについて】
音源について、チャイコフスキーはセッション時のステレオ・素材テープを、スクリャービンがオリジナルのモノラル・マスター(matrix 2XEA938)、プロコフィエフがオリジナルのステレオ・マスター(matrix MST0006)を使用しており、全曲初CD化、チャイコフスキーとプロコフィエフがステレオ・テイク初登場となります。このたびもリマスタイング・エンジニアには定評あるイアン・ジョーンズを起用、2011年から2012年にかけてアビー・ロード・スタジオにおいて全曲の編集とマスタリングおよびリマスタリングを施しています。

FHR-19
チェルカスキー1971年コンサート・ライヴ
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番イ短調K310
リスト:ピアノ・ソナタ.ロ短調
グリーグ:ピアノ・ソナタ.ホ短調Op.7
マナ=ズッカ:ブルレスクOp.261
パブスト:チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」による演奏会用パラフレーズOp.8
スクリャービン:練習曲嬰ハ短調Op.1の2
ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカからの三章」〜ロシア舞曲
シューラ・チェルカスキー(P)

録音:1971年6月2日(ライヴ)
超絶技巧を武器に19世紀風の名人芸を聴かせ、根強いファンを持つシューラ・チェルカスキー。彼の魅力はテクニックだけでなく、独特のねっとりと 濃厚な美音と歌い回しにもあります。チェルカスキーの録音は多く存在しますが、古いものは音色の魔味が捉えきれておらず、新しいものはテクニックの 衰えがみられ、意外と真価を発揮しているものがありません。
その不満を一掃できる音源が出現しました。1971年6月2日のコンサート・ライヴ。ブリティッシュ・ライブラリー所蔵のチェルカスキー個人コレクショ ンから最近発見されましたが、どこにもコンサートのホール名が記されていないという不可思議なものでした。関係者たちが各種資料にあたったそうです が、わずか40年前であるにもかかわらず特定できなかったというミステリアスなライヴです。
しかし内容は当時62歳のチェルカスキー絶頂期の演奏なうえ、録音もクリアの極み。演目も魅力的で、とくにモーツァルトの「ピアノ・ソナタ第8番イ 短調K310」はチェルカスキー唯一の録音。元来あまりモーツァルトを弾かなかったこともあり、貴重な資料にもなっています。また、チェルカスキーと 仲良しだったアメリカの女性作曲家マナ=ズッカの「ブルレスク」も初めて。ピアニスティックな面白さに満ち、彼の名人芸を満喫するのにピッタリ。 とは言え、メインはリストのピアノ・ソナタ。技術的な切れ味も圧倒的ながら、長く続く難物を、ここまでに聴かせてしまう語り口に脱帽。またド派手なパ ブストのエフゲニー・オネーギンのパラフレーズも興奮の極み。
ここまで興奮させられるピアノ演奏はまさに稀。ピアノを愛するすべての方々必聴の至宝の出現です。 (Ki)


FHR-33
ブラームス:ピアノ・ソナタ第1番ハ長調Op.1
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィア」
アダム・ゴルカ(P)
1987年テキサス生まれのピアニスト、アダム・ゴルカのデビュー・アルバム。16歳で上海国際ピアノコンクールで優勝、2009年には来日公演も行っ ています。 彼は恐ろしく指の回る典型的な超絶技巧派。作品が難しければ難しいだけ演奏が輝かしくなる超人系で、要注目です。 演目は最も得意とするベートーヴェンの「ハンマークラヴィア・ソナタ」。実演に接した人はみな度肝を抜かれるという凄さ。技術もさることながら、緩 徐楽章での深遠な感情表現も若さに似合わぬものがあります。カップリングはブラームスの「作品1」。冒頭がベートーヴェンの「ハンマークラヴィア・ソ ナタ」と似ているとかねて指摘されている作品です。こちらはゴルカの若さとあいまって、凄いエネルギーと覇気に満ちた感動的名演。ここまで興奮させられるピアノ演奏はまさに稀。凄いピアニストの出現と申せましょう。 (Ki)
FHR-34
チェロ・ソナタ集
アイヴァー・キーズ(1919-1995):チェロ・ソナタ.(1960)
シベリウス:マリンコニアop. 20
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調op. 78 (パウル・クレンゲル編/チェロとピアノのための)
ロハン・デ・サラム(Vc)
ベンジャミン・フリス(P)

録音:2014年4月1-2日/イギリス、ケント、トンブリッジ・スクール、リサイタル・ホール(セッション・24 bit 96 kHzステレオ)
かつてアルディッティ四重奏団のチェリストとして名を馳せたロハン・デ・サラムが70代半ばを迎えて、2014年にリリースする最新アルバム。ブラームス、 シベリウスそしてキーズによるチェロとピアノのための作品 3 篇を収録しています。  なかでも目を引くのが、キーズのチェロ・ソナタ。アイヴァー・キーズ(1919-1995)は、サラムが1958年にウィグモア・ホールでデビュー・リサイタ ルをおこなった際にメインのピアニストを務めた人物で、演奏家であると同時に、教師、作曲家、作家、学者としても知られています。 サラムによると、キーズとは1950年代から60年代にかけて、英国でのサラムのキャリア初期を通して数多くのリサイタルで共演を果たし、キーズのチェロ・ ソナタを幾度も演奏したそうです。 また、ノッティンガムとバーミンガムにあったキーズの家にもよく滞在して、夫人と4人の子どもたちをよく知るという、サラムの述懐からは、サラムとキー ズの親交が公私に亘り深いものであったことが窺えます。  キーズの卓越したピアノの様式を高く評価し、「このジャンルの傑作」とサラムが太鼓判を押す「チェロ・ソナタ」は、ほかならぬサラムが取り上げたこ とでたいへん価値ある内容となっています。  ピアノ・パートを受け持つのは、1957年サウス・ヨークシャー出身のベンジャミン・フリス。1986年ブゾーニ国際ピアノ・コンクール最高位、1989 年第6回イスラエルのルービンシュタイン国際ピアノ・コンクール最高位という、輝かしいキャリアを誇るフリスのピアノはまさにキーズの作品にはピッタリ といえるでしょう。 (Ki)
FHR-36
シンシアの饗宴
アンソニー・ホルボーン (c.1545-1602):愛の果実 / ワトソン
リチャード・デリング (c.1580-1630):パヴァン
作曲者不詳:ヒュー・アシュトンのマスク
ホルボーン:3 声のファンタジア第 2 番
ウィリアム・バード (1540-1623):古いオクスフォード行進曲
ジャイルズ・ファーナビー (c.1563-1640): 愛しのロビン
ジョン・ダウランド (1563-1626):蛙のガリアード
バード:2 声のイン・ノミネ第 32 番
ダウランド/ファン・エイク:涙のパヴァーヌ
ダウランド:彼女は私の過ちを許してくれるのか ?
エルウェイ・ベヴィン (ca. 1554-1638):ブラウニング
ホルボーン:パヴァン、ガリアード、アルメーン〜パヴァン第13番 / チョイス第59番 / ハニーサックル第60番
アルフォンソ・フェッラボスコ2世:4声のファンタジア(第9番)
作曲者不詳:女王のアルメイン(バード:クーラント)
クリストファー・タイ (1505-1572): イン・ノミネ第 11 番「さらば愛しき人よ、永遠に」
モーリー:ファンタジー第5番「悲しみ」
作曲者不詳:パヴァン / ガリアード / アルマンド〜アルマンド「馬の脚」/ エセックス伯
バード:4声のファンタジア第1番
作曲者不詳:パヴァン / 踊り/ ロンダ / ラ・レプレサ
フラウタドース・リコーダー・カルテット
【キャサリン・フレミング、マーリン・ハリソン、セリア・アイルランド、イアン・ウィルソン】、
レオ・チャドバーン(リコーダー)
バードやダウランドなどエリザベス王朝時代の音楽家たちによる名曲をリコーダー・カルテットで演奏したアルバム。使用された楽器は、ウィーン美術 史美術館に保管されていた16世紀の美しい楽器を、アメリカの有名なリコーダー製作者トーマス・プレスコットが修復したもの。典雅なエリザベス朝の 宮廷音楽の響きを再現しています。 (Ki)
FHR-37
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン・ソナタOp.134
 未完のヴァイオリン・ソナタ.(1945)
ショスタコーヴィチ(ツィガーノフ編):弦楽四重奏曲第4番のアンダンティーノ(Vn,Pf版)
ストラヴィンスキー(ショスタコーヴィチ編):詩篇交響曲(ピアノ・デュオ版)#
ブラーガ(ショスタコーヴィチ編):天使のセレナード(Sop、Ms,Vn,Pf版)*
サーシャ・ロジェストヴェンスキー(Vn)、
ジェレミー・メニューイン(P)、
ムーキー・リー=メニューイン(第2P)#、
イローナ・ドムニフ(S)*
アレクサンドラ・シェルマン(Ms)*

録音:ステレオ
指揮者ゲンナジ・ロジェストヴェンスキーとピアニストのポストニコワを両親とするサーシャ(アレクサンドル)・ロジェストヴェンスキー。彼がユーディ・ メニューインの愛息ジェレミーと二世共演を果たし、ショスタコーヴィチ・ファンでさえびっくりの珍品を集めました。先日リナス・ロスの世界初録音盤が リリースされた1945年の未完のヴァイオリン・ソナタは、生前のショスタコーヴィチと親しかった父仕込みか、驚くほどの説得力。
ツィガーノフによる前奏曲集のヴァイオリン編曲は人気レパートリーとなっていますが、弦楽四重奏曲第4番の第2楽章も編曲しています。彼はベートー ヴェン四重奏団の第1ヴァイオリンとして原曲の世界初演者でもあり、曲を熟知した美しい仕上となっています。
さらに興味深いのがストラヴィンスキーの「詩篇交響曲」をショスタコーヴィチが4手連弾用に編曲した版。作曲直後の1930年の編曲で、合唱主体 の大編成を彼ならではのピアニズムで見事に処理した逸品。ジェレミー・メニューインが愛妻ムーキー・リー=メニューインと息の合った演奏を聴かせて くれます。世界初録音。
ほほえましいのが、日本でも古くから「天使のセレナード」としてポピュラーなブラーガのセレナードをソプラノとメゾソプラノの二重唱に仕立てたもの も世界初録音。ショスタコーヴィチの職人技を見せつけられます。 (Ki)
FHR-38(2CD)
ヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイアー(1663-1722):無伴奏ヴァイオリンのための6つのパルティータ(1715)
ピゼンデル(1687-1755):無伴奏ヴァイオリン・ソナタ.イ短調
ビーバー(1644-1704):パッサカリア「守護天使」 ト短調
ヴォーン・ジョーンズ(Vn)

録音:2015年3月20、24、27日、4月14日、8月5日 、聖マリアマグダレナ教会,イギリス、ウィレン、ミルトン・キーンズ
18世紀オーストリアで活躍したヴァイオリニスト兼作曲家のヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイアー。ビーバーの優秀な弟子であったと言われていますが、 現在ではほとんど知られていない存在。しかし最近ではイザベル・ファウストがコンサートで取り上げるなど再評価されつつあります。このアルバムは、そ のヴィルスマイアー唯一の作品「無伴奏ヴァイオリンのための6つのパルティータ」全曲を世界初録音したもの。この作品が1715年にザルツブルクで出 版されてから300年を記念して企画されました。 カップリングには、同時代に活躍したピゼンデルとビーバーの作品を収録。ピゼンデルは当代最高のヴァイオリンの名手と称され、ドレスデン宮廷楽団の 楽長としてもその手腕を発揮。J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」は彼のために書かれたと言われています。ピゼンデルの 無伴奏ソナタは、半音階を多用した斬新さがあり、当時のヴァイオリンの可能性を最大限にいかした非常に技巧的な作品です。そしてビーバーのパッサカ リア。この作品が含まれている「ロザリオ・ソナタ」は15の合奏ソナタと無伴奏ヴァイオリンによるパッサカリアの全16曲で構成されており、聖母マリ アの生涯をヴァイオリンによって表した宗教大作。 ヴィルスマイアー、ピゼンデル、ビーバーのこれらの作品は、ヴァイオリンに変則調弦(スコルダトゥーラ)、重音奏法などを用い音楽に多彩な表現を加え た創意工夫がこらされています。演奏するヴォーン・ジョーンズ(1970年英国生まれ)は、新しいレパートリーの発掘に積極的で、今回のようなヴァイ オリン音楽に対する情熱が現れたプログラミングも彼ならではないでしょうか。 (Ki)
FHR-39
オーボエとギターのためのラテン・アメリカ音楽集
ピアソラ:オブリビオン、リベルタンゴ
ヴィラ=ロボス:前奏曲
ピアソラ:タンゴの歴史〜「1900年代の娼窟」「1930 年代のカフェ」
アグスティン・バリオス:フリア・フロリダ、
 ワルツ第3番 Op.8
ディレルマンド・レイス:バイーア女の風情
チェルソ・マカド:パソカ
ルイス・ボンファ:カーニヴァルの朝
ダヴィデク=ポイナー・デュオ
モニカ・ダヴィデク(Ob)
ラッセル・ポイナー(G)
ポーランド出身のオーボエ奏者モニカ・ダヴィデクとイギリス出身のギタリスト、ラッセル・ポイナーによるデュオ。2011年の初コンサート以来、オー ボエの甘くもの哀しい音色と色彩豊かなギターの異色の組み合わせによるデュオで聴衆を魅了してきました。彼らのデビュー・アルバムとなる本作は、ピ アソラ、ヴァイラ=ロボスなどラテン・アメリカの作曲家の作品を収録。中でもパラグアイ出身のアウグスティン・バリオスの「フリア・フロリダ」は、心 をぐっと掴む名曲。20世紀を代表するギタリストであり、世界各国を転々としながら作曲、演奏活動を行っていた人物。そんな放浪生活中に出会った女 性のために作曲された「フリア・フロリダ(花ざかりのフリア)」。舟歌のリズムに甘いメロディがのせられた優しい作品です。そして世界中でボサノヴァ・ブー ムを巻き起こした映画「黒いオルフェ」の主題歌「カーニヴァルの朝」。ラテン音楽の魅力が体の中に染み込んでくるような1枚です。 (Ki)
FHR-40
ジェルジ・シェベク〜1991年グランジュ・ドゥ・メレ・リサイタル
バッハ(ブラームス編):シャコンヌ(左手のための)
ハイドン:アンダンテと変奏曲Hob.]Z:6
ピアノ・ソナタ第48番ハ長調Hob.]Y:35
バッハ:半音階的幻想曲とフーガBWV903
バッハ(リスト編):前奏曲とフーガ イ短調BWV543
バッハ(ブゾーニ編):トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調BWV564
ヘンデル:シャコンヌ ト長調HWV.435
バッハ:平均律クラヴィア曲集第1巻〜前奏曲第1番ハ長調BWV846
ジェルジ・シェベク)(P)

録音:1991年/グランジュ・ドゥ・メレ(フランス)(ライヴ)
ジェルジ・シェベク(1922-1999)はハンガリー出身のアメリカのピアニスト。14歳でフリッチャイの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を演 奏し、コダーイやヴェイネルに師事しました。1956年にパリへ亡命、アメリカに移りインディアナ大学教授となりました。日本にも練木繁夫、廻由美子、 青木美樹など多くの弟子がいて「シェボック先生」という表記で親しまれています。チェロのシュタルケルの伴奏者としても有名でした。 シェベクは教授活動に忙しく演奏家としてはあまり知られていませんが、実演を聴いた人々は「音楽史上最も偉大なピアニスト」と激賞しています。そ れを実証するのが当ディスク。シェベク69歳の1991年にフランスで行われたコンサートのライヴで初出音源。バッハとハイドンが中心で、テクニックの 冴えはもちろんながら深く哲学的な内容に惹きつけられます。ピアノ音楽ファン必見です。 (Ki)
FHR-42
「冗談で」〜コミック・アート・ソングス
ホイビー:蛇
ブラームス:甲斐なきセレナーデ Op.84-4
モーツァルト:老婆 KV517
モーツァルト:魔法使い KV472
ロザンタル:イギリスの鼠
パーセル:What Can We Poor Females Do? Z429
ブリッジ:So Perverse H.61
ボルコム:アモール
アブルケル:L'Inconstante
ヴォルフ:私はペンナに一人恋人を持っている
ヴォルフ:私のかわいい恋人
ボルコム:George
アブルケル:ジュテーム
プーランク:ヴィオロン
ゴールディン:Lomir Singen
ドビュッシー:操り人形
バーンスタイン:ピッコラ・セレナータ
ラヴェル:草の上で
シューベルト:男なんてみな悪者 D.866-3
ヴォルフ:駄目よ、若いお方
サティ:青銅の像
アブルケル:L'Archet
サン=サーンス:死の舞踏
ビゼー:てんとう虫 Op.20-16
ガーシュウィン:Blah, Blah, Blah
ジュリア・コーガン(S)
タイソン・ディートン(P)
古くはバロック時代の作曲家パーセルから、現代アメリカの作曲家ボルコムまで、カラフルで華やかな、そしてちょっぴり冗談めかした楽しい歌曲を集 めたアルバム。コロラトゥーラの芸術に彩られた技巧的な楽曲たちを見事に歌い上げるジュリア・コーガンの歌唱にも注目です。モーツァルトの『老婆』 では実際に老婆の声を模してコミカルに歌うなど、随所に遊び心もたっぷり。 (Ki)
FHR-43
森の絵〜20世紀のギター曲
ルドネフ:古い菩提樹 (1978)
ヘンツェ:3つのテント (1958)
ローソーン:エレジー (1971)
ハンス・ハウク:練習曲(ロンド・ファンタスティーコ)(1955)
ヘンツェ:王宮の音楽〜第1ソナタ「グロスター」(1976)
ヴァシリエフ:3つの森の絵 (1999)
アイリン・プイチャンヴィニット(G)
タイからスターが誕生しました。1993年バンコク生まれの美人ギタリスト、アイリン・プイチャンヴィニット。10歳からギターを始め、母国で学んだ 後オランダのデン・ハーグ王立音楽院でエンノ・ファーフォルスト、イズバー・イライアスに師事。12月には初来日公演も予定されています。彼女のデビュー アルバムは20世紀のギター曲を集めています。ロシア民謡に基づく美しい作品から、ヘンツェ、ローソーンの前衛作品までプイチャンヴィニットは見事な 技巧を披露。日本でも人気者になりそうな彼女、要注目です。 (Ki)

FHR-44
ユーリ・エゴロフ1980 年カリフォルニア・ライヴ
モーツァルト:幻想曲ハ短調K.475
シューマン:幻想曲ハ長調Op.17
ショパン:12のエチュードOp.25
ドビュッシー:水の反映
リスト:ラ・カンパネラ
ユーリ・エゴロフ(P)

録音:1980年4月3日/パサディナ・アンバサダー・オーディトリウム(カリフォルニア)ステレオ
ユーリ・エゴロフは1954年カザン生まれのピアニスト。モスクワ音楽院でヤコフ・ザークに師事し、1974年の第5回チャイコフスキー国際コンクー ル、翌年のエリザベート王妃国際コンクールともに3位入賞。76年にオランダへ亡命、EMIで録音したドビュッシーやシューマンが世界的なセンセーショ ンを巻き起こしました。異常な繊細さと鋭敏な感性で将来を嘱望されましたが、相方から伝染した後天性免疫不全症候群のため1988年に33歳の若さ で急逝しました。 短い活動期のため、新たな録音は期待できませんでしたが、何と1980年のライヴが発見されました。すべて初出ですが、それもドビュッシーとリスト 以外は他に録音のないレパートリーのため大歓迎。モーツァルトの幻想曲で見せる狂気、シューマンの深すぎる共感ぶり、ショパンの異常な繊細さなど、 まさに天才の芸。早すぎる死が惜しまれる凄さです。超オススメ。 (Ki)
FHR-45
20世紀の独奏チェロ作品集
(1)リチャード・ドレイクフォード(1936-2009):無伴奏チェロ組曲第2番(1957-1959)
(2)ヒルダ・パレデス(1957-):Zuhuy Kak(1997)
(3)ディヴィッド・マシューズ(1943-):朝の歌と踊り(1976, rev. 1979, 1998)
(4)ジェイムズ・ディロン(1950-):Eos(1998)
(5)ジョン・メイヤー(1929-2004):C Sannyasin(1990年代後半)
ロハン・デ・サラム(Vc)

(1)(3)(5)世界初録音
(2)世界初スタジオ録音
FHR-49に続く、ロハン・デ・サラムの現代無伴奏チェロ作品集です。このアルバムにはロハン・デ・サラムのために書かれ、彼が初演した作品を収録。 驚異の表現力と息を呑む技巧、研ぎ澄まされた感性が聴き手を未知の世界へ誘います。チェロという楽器が、我々の知っているチェロ以上のものとして迫 りくる鮮烈演奏!
2019年に80歳を迎えたロハン・デ・サラムは、特に現代音楽の分野において、過去50年間で最も重要な位置にいるチェリストの一人です。11歳 でカサドに学び16歳でカザルスに出逢った彼は、アンサンブルとソロの両方で精力的に演奏活動を展開。ベリオ、ブリテン、ケージ、グラス、ヒンデミッ ト、カーゲル、クセナキス等々、錚々たる顔ぶれの現代作曲家の作品の初演に携わり、また現代音楽界きっての超絶カルテット「アルディッティ四重奏団」 のチェロ奏者としても長年活動しました。

FHR-46
タチヤナ・ニコラーエワ1989年ギリシャ・ライヴ
バッハ:「音楽の捧げ物」BWV1079〜3声のリチェルカーレ
 フランス組曲第4番変ホ長調BWV815
シューマン:交響的練習曲Op.13(1852年版)
ラヴェル:「鏡」〜「悲しい鳥たち」「洋上の小舟」
スクリャービン:左手のための前奏曲と夜想曲Op.9
悲劇的な詩Op.34
ボロディン:小組曲〜僧院にて
ムソルグスキー:「展覧会の絵」〜殻をつけたヒヨコのバレエ
プロコフィエフ:前奏曲Op.12の7
タチヤナ・ニ コラーエワ(P)

録音:1989年4月3日/ヘロディス・アッティコス音楽堂(ギリシャ)、ステレオ・ライヴ
タチヤナ・ニコラーエワ(1924-1993)が晩年の1989年にギリシャで行ったライヴが残っていました。彼女は急逝する直前まで旺盛な演奏活動を繰り 広げており、この65歳時のものも見事のひとことに尽きる至芸を披露しています。ニコラーエワのピアニズムは正確な技巧による曖昧な所の全くない楷書風のものですが、人間的な大きさと温かみもあふれ、今日でも熱烈なファンを持っ ています。 十八番であるバッハの「音楽の捧げもの」、冒頭の「3声のリチェルカーレ」で誰にも真似できぬ壮大な宇宙に圧倒されます。シューマンの「交響的練習曲」 はこれまでニコラーエワによる録音のなかった作品ですが、まさに巨匠芸で説得力満点。同曲屈指の名演のひとつと申せましょう。同様にニコラーエワのディ スコグラフィになかったラヴェルの「鏡」とスクリャービン、さらに「展覧会の絵」の「殻をつけたヒヨコのバレエ」も興味津々。いずれも目から鱗の落ち る解釈で、さすがニコラーエワと唸らされます。ニコラーエワの骨太な男性的ともいえるタッチと、繊細なスクリャービンの組み合わせが意外なものの、む しろスクリャービンがロシア音楽であることを再認識させてくれる素晴らしさ。ムソルグスキーも軽快でなくどす黒い闇を感じさせます。ピアノ関係者必聴 の貴重な遺産です。 (Ki)
FHR-48
ヴァイオリンとギターが奏でる絶美の世界
ハルヴォルセン:ヘンデルの主題によるパッサカリア
モーツァルト:アダージョ.ホ長調K.261
ビゼー:「カルメン組曲」より(全7曲)
バッハ:コラール前奏曲「主イエス・キリスト、われ汝に呼ばわる」BWV639
伝承曲:ヴェネツィアの謝肉祭
エルガー:愛のあいさつ
ナズリン・ラシドヴァ(Vn)
スタニスラフ・フヴァルチルコフ(G)
アゼルバンジャン出身、ロンドンに住み活躍するヴァイオリニスト、ナズリン・ラシドヴァ。naxosでゴドフスキやモシュコフスキのヴァイオリン曲のアル バムをリリースし注目されている若手女流。その彼女がギター伴奏で編曲集に挑戦。ハルヴォルセンのヴァイオリンとヴィオラのための「パッサカリア」やモー ツァルトのヴァイオリンとオーケストラのためのアダージョでギターが表情豊かな伴奏を付けています。またタルコフスキーの「惑星ソラリス」で有名なバッ ハの「主イエス・キリスト、われ汝を呼ばわる」やエルガーの「愛の挨拶」が驚愕の美演。秋の夜長にいつまでも聴いていたいアルバムです。 (Ki)
FHR-52
ブラームス:8つの歌曲Op.57
プロコフィエフ:アンナ・アフマートヴァによる5つの詩 Op.27
ムソルグスキー:歌曲集「陽の光もなく 」
ブラームス:5つの歌曲Op.47-3「日曜日」
レニア・サフィロポウロウ(Ms)
アンドレイ・ホヴラン(P)
ギリシャ出身の歌手レニア・サフィロポウロウ。彼女は多彩な才能を持ち、音楽家としてだけではなく、詩人や翻訳家としても活躍しています。このアル バムでは、メゾソプラノの歌手としてブラームス、プロコフィエフ、ムソルグスキーの歌曲を録音しています。ロシア歌曲を得意としている彼女らしいレパー トリーです。またムソルグスキーの歌曲集「陽の光もなく」に触発されたような暗示的なアートワークも印象的です。 (Ki)
FHR-53
アルベルト・クルチ:ヴァイオリン協奏曲集
ヴァイオリン協奏曲第1番「コンチェルト・ロマンティコ」Op.21
ヴァイオリン協奏曲第2番Op.30*
ヴァイオリン協奏曲第3番Op.33#
古風な様式によるイタリア組曲Op.34#
フランコ・グッリ(Vn)
フランコ・カプアーナ(指)
スタジオ・オーケストラ

録音:1963年7月18日、7月16日*、1964年7月4日#/サン・エウフェミア教会
ヴァイオリンの国際コンクールに名を残すアルベルト・クルチ(1886-1973)。イタリアの名門楽譜出版社クルチの創業者の御曹司で、子供の頃にベル リンでヨアヒムの指導を受け世に知られるようになりました。作曲家としては教則本が学習者に愛用されますが、ヴァイオリン協奏曲を3篇残しています。 20世紀の音楽ながら現代的要素はなく、イタリア的な美しいメロディと叙情性に満ちた魅力作となっています。 独奏は日本にも弟子の多いフランコ・グッリ。大物ながら何と初のステレオCD発売。美音と歌ごころでじっくり聴かせます。オーケストラは名無しです が、スカラ座のオーケストラ団員であるとされます。ロマン派のヴァイオリン協奏曲好きの方々にオススメです。 (Ki)
FHR-55
現代作曲家たちの四重奏曲
スコットランド民謡:Ca the yowes 、 Dandy Dancer (イアン・ウィルソン編)
石井 眞木 (1936-2003): Black Intention IV (1980)
ペルト (1935-): Arbos (1977)
ディヴィット・マーフィー (1970-):Bavardage (2002, rev. 2016)
スコットランド民謡:Brose and Butter (イアン・ウィルソン編)
廣瀬量平(1930-2008):Idyll 1 (1976)
レオ・チャドバーン(1978-):De la Salle (2001)
スコットランド民謡:Niel Gow’s Lament 、A The Deil Amang the Tailors (イアン・ウィルソン編)
テリー・ライリー (1935):B In C (1964)
ピーター・マックスウェル・デイヴィス (1934-2016):C Farewell to Stromness (1980) (イアン・ウィルソン編)
フラウタドース・リコーダー・カルテット
【キャサリン・フレミング、マーリン・ハリソン、セリア・アイルランド、イアン・ウィルソン】
結成20周年を迎えたイギリスのリコーダー・カルテット、フラウタドース。今回のアルバムは、現代作曲家の作品を取り上げています。日本の作曲家 は石井眞木と廣瀬量平の作品が収録されています。石井眞木の「ブラック・インテンション」は、シリーズとして1から4まであり、Tは名手ブリュッヘ ンのために書かれたリコーダー・ソロのための作品。このWはリコーダー四重奏のための作品です。56個の異なるリコーダーを駆使して、生き生きとし たリコーダーの世界を展開しています。 (Ki)
FHR-56
グンドゥラ・ヤノヴィッツ/ラスト・リサイタル
シューベルト:ギリシャの神々D.677
 イフィゲネイアD.573/
 竪琴に寄せてD.737
 エレンの歌1D.837/漁夫の歌D.881
 流れD.693/夕映えの中でD.799
 菩提樹D.911の5/草原の歌D.917
シューマン:ズライカの歌Op.25の9
 松雪草Op.79の26/はすの花Op.25の7
 私のばらOp.90の2/くるみの木Op.25の3
R・シュトラウス:悲しみへの賛歌Op.15の3
 万霊節Op.10の8/明日Op.27の4
 夜の逍遥Op.29の3/解放Op.39の4
シューベルト:ますD.550
グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)
チャールズ・スペンサー(P)

録音:1999年9月16日/ヘロディス・アッティコス音楽堂(ギリシャ)(ライヴ)
グンドゥラ・ヤノヴィッツは1939年生まれのドイツのソプラノ。カラヤンに認められ、多くの演奏に参加して一世を風靡しました。彼女の偉大な先達マリア・ カラスは1977年9月16日に世を去りました。ちょうど22年後の1999年9月16日にヤノヴィッツはカラスが育ったアテネでリサイタルを行いましたが、 奇しくもヤノヴィッツ最後の公開演奏にもなりました。今年8月2日に80歳の誕生日を迎えるヤノヴィッツを祝い、その音源が日の目を見ます。
ここでは得意のオペラ・アリアではなくドイツ・リート。シューベルトの名作をメインに、リヒャルト・シュトラウスの美しい作品が続きます。その間を つなぐ存在としてシューマンが置かれ、絶妙なバランスをとっています。いずれもさりげない歌い回しに滋味があふれ、いつまでも聴いていたくなる神業と 申せましょう。 (Ki)
FHR-57
ソ連のヴァイオリン・ソナタ
ミャスコフスキー:ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調Op.70 (1947)
シェバリーン:ヴァイオリン・ソナタ Op.51の1 (1958)
ネチャーエフ:ヴァイオリン・ソナタOp.12 (1928)
サーシャ・ロジェストヴェンスキー(Vn)
ヴィクトリア・ポストニコワ(P)

録音:2017年12月11-15日/モスクワ
指揮者ゲンナジ・ロジェストヴェンスキーとピアニストのポストニコワを両親とするサーシャ(アレクサンドル)・ロジェストヴェンスキー。これまでもショ スタコーヴィチの未完のヴァイオリン・ソナタなど父親譲りの凝ったレパートリーがさすがの奇才ヴァイオリニスト。今回はミャスコフスキー、シェバリーン、 ネチャーエフという20世紀前半のモスクワ音楽院作曲家教授3名の珍しいヴァイオリン・ソナタを世界初録音しています。
ミャスコフスキーのヴァイオリン・ソナタはいかにも録音がありそうながら、実はほとんど知られていない晩年1947年の作。親友プロコフィエフのヴァ イオリン・ソナタ第2番と同時期のもので、これも名手ダヴィド・オイストラフの助言を受けながら作曲されました。全2楽章20分ほどの作品ですが、 驚くほどシンプルでロシア的な歌に満ちています。これまで録音がなかったのが不思議なほど魅力的な宝と申せましょう。
ヴェッサリオン・シェバリーン(1902-1963)はミャスコフスキーの弟子で、サーシャの父ゲンナジが学生時代のモスクワ音楽院院長でもありました。 晩年の作であるこのソナタは彼のメロディ・メーカーぶりにたっぷりひたれます。
ワシーリー・ネチャーエフ(1895-1956)はあまり知られていませんが、ゴリデンヴェイゼル門下のピアニストとしても活躍しました。初期作品であるヴァ イオリン・ソナタは、バルトークとプロコフィエフの影響が感じられるエネルギッシュなもので、1920年代のソ連音楽らしい響きが新鮮です。
このアルバムの魅力を増しているのは、母ポストニコワのピアノ。ベテランならではの楷書風なサポートで、作品の光をさらに増しています。 (Ki)
FHR-58
(1)R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
(2)サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番イ短調 Op.33
(3)ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
(1)ノーマン・デル・マー(指)LSO
(2)ポール・トルトゥリエ(Vc)、
 ハーバート・メンゲス(指)
 フィルハーモニアO
(3)エンドレ・ヴォルフ(Vn)
 ワルター・ゲール(指)LSO

録音:(1)1954年7月23日、(2)1955年11月16日、(3)1954年8月25・28日
24bit / 96kHz のハイレゾ・リマスター音源。Archive of Recorded Sound(ARS)と協力しての制作で、EMI の初期ステレオ録音を発売するシリー ズの 1 作目ということです。EMI がステレオ録音を開始したのは 1954 年で、まさにその最初期の録音が収録されています。さらにどれも何らかの形で初 出音源となっており、マニア垂涎の内容です。
メンゲスとトルトゥリエのサン=サーンス 1 番はステレオ・バージョンとして初出。モノラル録音で親しまれた演奏ですが、ステレオで聴けるとは驚きです。 ソロとオーケストラのバランス、テクスチュアがよりくっきりと感じ取れて感動的。
ブラームスの協奏曲はモノラルのみ世に出ていましたが、このディスクでは第 2・3 楽章がステレオ・バージョンとなっており、もちろん初出です(第 1 楽章はモノラル)。エンドレ・ヴォルフはハンガリーのヴァイオリニストで、フバイに師事した名手。1954 年からはイギリスのマンチェスター音楽院で教師と しても活躍しました。伝統ある良きブラームスが聴けます。
ノーマン・デル・マーの『ティル』は曲としてまとめて聴ける EMI 最初のステレオ録音とされています。何故か世に出なかった音源でもあり、興味深い内 容です。 (Ki)
FHR-60
初期ステレオ録音集第3集
(1)ヴィヴァルディ(サーストン・ダート編):4台のチェンバロのための協奏曲 ニ短調 [ステレオ初出]
(2)ヴィヴァルディ(バッハ編)):4台のチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV1065 [CDではステレオ初出]
(3)バッハ:3台のチェンバロのための協奏曲 ハ長調 BWV1064 [CDではステレオ初出]
(4)ジョージ・マルコム:4台のチェンバロのためのモーツァルトの主題による変奏曲 [ステレオ初出]
(5)スウェーリンク:『わが青春はすでに過ぎ去り』による変奏曲 [ステレオ初出]
(6)バード:W.ピーター氏のための第10パヴァーヌとガリヤード [ステレオ初出]
(7)フローベルガー:トッカータ第2番[ステレオ初出]
(8)パッヘルベル:シャコンヌ [ステレオ初出]
(9)バッハ:カンタータ第6番『留まってください、私たちと共に』 BWV6 [完全初出、ステレオ]
(1)〜(4)サーストン・ダート(Cemb)、
アイリーン・ジョイス(Cemb)、
ジョージ・マルコム(Cemb)、
デニス・ヴォーン(Cemb)、
ボリス・オルド(指)プロ・アルテO
(5)〜(8)ラルフ・カークパトリック(Cemb)
(9)マージョリー・トーマス(C.A)
デイヴィッド・ガリヴァー(T)
オズボーン・ピーズグッド(Org)
ヒューバート・ダウクス(Cemb)
エドワード・セルウィン(コーラングレ)、
バッハが、
ジャックスO、レジナルド・ジャックス(指)

録音:(1)〜(4)1956年10月12-13日、
(5)〜(8)1956年8月10-12日、
(9)1954年11月5日/アビーロード第1スタジオ
FHR-58、FHR-59に続く、Archive of Recorded Sound(ARS)と協力しての制作でEMI最初期ステレオ録音を発売するシリーズの3作目。今回は往 年の古楽演奏を集めた1枚。ステレオ初出など、それぞれが貴重な音源でありながらリマスターの素晴らしさも特筆で、マニア垂涎の内容となっています。 英国の著名な学者であり演奏家であったダートがヴィヴァルディのOp.3-11(バッハがオルガン独奏に編曲したあの作品です)を4台チェンバロ協奏曲に編 曲したものや、当時の音楽界にチェンバロという楽器をもたらした存在の1人であり指揮者、ピアニスト、作曲家として活躍したジョージ・マルコムの『4台の チェンバロのためのモーツァルトの主題による変奏曲』はかなりマニアックな作品。前者は原曲のソロがヴァイオリン2台なので編曲にあたりかなり音を追加し、 ソロ間の掛け合いも増やしています。後者は強烈な演奏効果を持った、今ではある種異常な感覚すら覚える壮大華麗な作品。豪勢なモダン・チェンバロの饗宴 に心が躍ります。他にもスカルラッティの作品番号でもおなじみのカークパトリックなど往年の名手の聴き応えある演奏などを収録。ふくよかで力強く懐かしいオー ケストラの響きと、ギラギラしたモダン・チェンバロの目の醒めるような響きが織りなす、今ではまず聴けない粋な古楽演奏が存分に楽しめます。 ブックレットの解説は、現在非凡なるチェンバリストとして名をあげているマハン・エスファハニが書いています(日本語訳はついておりません)。 (Ki)
FHR-61
シェリル・フランシス=ホード(1980-):EVEN YOU SONG
1 Organ Voluntary - Where Does Your Faith Lie?
2 Prayers of Penitence
3 Preces /4 Psalmody
5 First Lesson /6 Magnificat
7 Second Lesson /8 Nunc Dimittis
9 Creed /10 Responses
11 Collects /12 Anthem
13 Hymn
14 Organ Voluntary - Taking Your Leave
ピーターバラ大聖堂cho
スティーヴン・グラル(指)
デ ヴィット・ハンフリーズ(Org)
アーティスト、ベッティーナ・フルネと作家のルーシー・シャーマンがイングランド東部の街ピーターバラの12人の夫婦に、長期月旅行への取材を行い、 その回答から得られたインスピレーションをもとに作曲家シェリル・フランシス=ホードが大合唱作品を作り上げました。フランシス=ホードは、現代美術、 文学、舞踏など様々な芸術からインスピレーションを受け、それを独創性溢れる音楽に作り上げることを得意としています。今回の作品はまさに彼女の真 骨頂とも言えるでしょう。 舞台となるピーターバラの大聖堂は、12世紀に建築されたノルマン様式の聖堂で、有名なその西正面は、イギリス国内でも他に例を見ない3つのアーチ を擁した初期イギリス・ゴシック様式を特徴とした建物。合唱団、オルガニストともにレベルが高く、実力者が音楽監督を歴任しています。 (Ki)
FHR-62
シューマン: アンナにU *
ピアノ・ソナタ第1番嬰ヘ短調Op.11
幻想小曲集Op.12〜第1曲「夕べに」
6つの詩とレクエイムOp.90〜第6曲「陰鬱な夕暮れ」*
ピアノ小品集Op.85〜第12曲「夕べの歌」(編曲:アダム・ゴルカ)
アダム・ゴルカ(P)
ローレン・エーベルワイン(S)*
1987年テキサス生まれのピアニスト、アダム・ゴルカ。16歳で上海国際ピアノコンクール優勝、2009年には来日公演も行い、ブラームスとベートー ヴェンのソナタを収録したファースト・アルバム(FHR-33)ではその卓越した技巧を披露しました。 今回のアルバムでは、シューマンのピアノ・ソナタ第1番を中心にしたプログラムで、ソプラノのローレン・エーベルワインによる「アンナにU」と6つの 詩とレクエイムから「陰鬱な夕暮れ」を収録するなど、趣向をこらしたプログラム。冒頭に歌われる「アンナにU」は、ピアノ・ソナタ第1番第2楽章で その旋律の引用がみられます。シューマンの内向的な部分を象徴する繊細な音楽です。 アダム・ゴルカは、2018年にはロンドンのウィグモア・ホールにもデビューすることが決まっており、今後の活躍に注目のピアニストです。 (Ki)
FHR-63
アイアランド:ピアノ協奏曲 変ホ長調
 チェロ・ソナタ ト短調*
カゼッラ:ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重協奏曲 Op.56#
アンナローザ・タッデイ(P)、
アルフレード・カゼッラ(指)RAI響
アントニ・サラ(Vc)*、ジョン・アイアランド(P)*
トリオ・イタリアーノ [ アルフレード・カゼッラ(P)、アルベルト・ポルトロニエーリ(Vn)、アルトゥーロ・ボヌッチ(Vc)]#、
セルゲイ・クーセヴィツキー(指)ボストンSO#

録音:1946年3月15日(放送用ライヴ)、1928年10月25日(スタジオ)*、1936年2月22日(放送用ライヴ)#
かなり古い録音も入っていますが、何とアイアランドやカゼッラが自作を演奏しています。作曲当時の雰囲気を味わえる貴重な音源。アイアランドのピア ノ協奏曲でソロを弾くアンナローザ・タッデイは1918年生まれのピアニストでコルトーの弟子。この録音はイタリア初演を収めたもので指揮がカゼッラ なのも注目です。またカゼッラの三重協奏曲はベートーヴェンのそれと同じ編成の独奏群で、ピアノをカゼッラ本人が務めています。 (Ki)
FHR-64
ブゾーニ:ピアノ協奏曲 Op.39 ピエトロ・スカルピーニ(P)
ラファエル・クー ベリック(指)
バイエルンRSO
バイエルン放送cho

録音:1966年11月25日/ミュンヘン、ヘラクレスザール(ライヴ)
大注目、クーベリックの初リリース音源!首席指揮者を務めていた手兵・バイエルンRSOとのライヴで、何と曲目はブゾーニのピアノ協奏曲!全 5楽章70分の長大な作品で、独奏ピアノの恐ろしいまでの超絶技巧に加えオーケストラも超重厚、最終楽章では男声合唱まで登場するという類を見ない 強烈なピアノ協奏曲、クーベリックの指揮ぶりに興味津々です。カゼッラやヒンデミットに学び作曲家としても活躍したイタリアの大ピアニスト、スカルピー ニの堂々たる独奏も聴き逃せません。彼は抜群の記憶力を持ち、このライヴも暗譜で演奏したと言われています。ほとんど演奏を聴ける機会のないピアニ ストで、他にはフルトヴェングラーとの共演録音があるくらい。たいへん貴重な音源です。 (Ki)
FHR-65(4CD)
バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻&第2巻(全曲) アレクサンドラ・パパステファノウ(P)
録音:2017年
ジェルジ・シェボックやアルフレート・ブレンデルにもレッスンを受けたことのあるギリシャ生まれのピアニスト、アレクサンドラ・パパステファノウによ るバッハの平均律全曲。彼女はバッハ作品を重要なレパートリーとしており、平均律の他、ゴルトベルク変奏曲、フーガの技法、音楽の捧げものから鍵盤 楽器のための協奏曲まで幅広くリサイタルで取り上げています。また現代音楽にも造詣が深く、クラム、リゲティ、シュトックハウゼン、武満なども弾きこ なします。グランドピアノの力強い響きを活かした演奏で、深くたっぷりと奏でられるバッハ。ピアノでの平均律全曲録音は最近意外と少ないので貴重な新 譜と言えます。 (Ki)
FHR-66(2CD)
イザベル・アブルケル:歌曲集
[CD1]フランス語、[CD2]英語
ジュリア・コーガン(S)
イザベル・アブルケル(P)

録音:2017年8月8-10、12-15日
フランスの作曲家、イザベル・アブルケルの80歳を記念したアルバム。高齢ながらピアニストとしても参加しています。CD1にフランス語による歌曲 集を収録しており、CD2には同じ作品の英語バージョンを収録しています。20世紀フランスの美しい音楽です。 (Ki)
FHR-67
マイケル・ブラウン
メンデルスゾーン:6つの前奏曲とフーガ Op.35より 第1番ホ短調、第2番ニ長調、第3番ロ短調、第6番変ロ長調
バーンスタイン:Touches
マイケル・ブラウン:チャントとフーガ、Thoughts
ベートーヴェン:エロイカ変奏曲Op.35
マイケル・ブラウン(P)

録音:2016年10月24-30日
ピアニスト兼作曲家として活躍するニューヨーカー、マイケル・ブラウンによるアルバムです。自分と同様にピアノの名手としても知られるクラシックの作 曲家を並べ、さらに自作曲も収録。変奏曲やフーガの形式をとる作品が並び統一感のある構成になっています。
FHR-70(2CD)
バッハ:フランス組曲
フランス組曲第1番ニ短調 BWV812
フランス組曲第2番ハ短調 BWV813
フランス組曲第3番ロ短調 BWV814
フランス組曲第4番ニ短調 BWV815
アダージョ ト長調 BWV968(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ハ長調 BWV1005からの編)
フランス組曲第5番ト長調 BWV816
フランス組曲第6番ホ長調 BWV817
幻想曲 ト短調 BWV920
前奏曲(幻想曲) ハ短調 BWV921
幻想曲 イ短調 BWV922
ソナタ ニ短調 BWV964(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ イ短調 BWV1003からの編)
アレクサンドラ・パパステファノウ(P)
ジェルジ・シェボックやアルフレート・ブレンデルにもレッスンを受けたことのあるギリシャ生まれのピアニスト、アレクサンドラ・パパステファノウによるバッ ハのフランス組曲集。無伴奏ヴァイオリンの編曲ものや、あまり録音のない幻想曲もカップリングされています。パパステファノウはバッハを得意としており、 平均律全曲のCD(FHR-65)も話題となりました。
FHR-71(2CD)
ハイドン:ピアノ・ソナタ全集 第1集
ピアノ・ソナタ第36番ハ長調 Hob.XVI:21
ピアノ・ソナタ第32番ト短調 Hob.XVI:44
ピアノ・ソナタ第29番変ホ長調 Hob.XVI:45
ディヴェルティメント 変ホ長調 Hob.XVI:16
ピアノ・ソナタ 第52番ト長調 Hob.XVI:39
ピアノ・ソナタ 第47番ロ短調 Hob.XVI:32
ロマン・ラビノヴィチ(P)

録音:2016 年10月24-30日
ウィグモア・ホール、ゲヴァントハウス、モスクワ音楽院、ケネディ・センターなど世界各所で演奏会を行う俊英ピアニスト、ロマン・ラビノヴィチに よるハイドンのピアノ・ソナタ全集録音シリーズ第1弾です。彼は1985年ウズベキスタン生まれ。10歳の時にメータ指揮イスラエル・フィルと共演。 2008年のルービンシュタイン国際ピアノコンクールではブニアティシヴィリをおさえ最高位の第2位(1位なし)に輝きました。チェンバロからピアノへ の過渡期に書かれたハイドンのソナタを、とびきりの音色感覚でもって優雅に奏でています。 (Ki)

FHR-79
初期ステレオ録音集第4集
(1)ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲より「全員の踊り」
(2)アルベニス:『イベリア』第1巻(アルボス編)
(3)ラヴェル:ボレロ
(4)ビゼー:小組曲『子供の遊び』 Op.22
(5)コダーイ:ガランタ舞曲
(1)グイド・カンテッリ(指)フィルハーモニアO
(2)サー・ユージン・グーセンス(指)フィルハーモニアO
(3)サー・ユージン・グーセンス(指)ロイヤルPO
(4)ヴィットリオ・グイ(指)ロイヤルPO
(5)パウル・クレツキ(指)ロイヤルPO

録音:(1)1956年5月28日キングスウェイ・ホール
(2)1956年2月15日キングスウェイ・ホール
(3)1957年9月18日アビーロード第1スタジオ
(4)1955年7月12日アビーロード第1スタジオ
(5)1956年3月24日キングスウェイ・ホール
Archive of Recorded Sound(ARS)と協力しての制作でEMI最初期ステレオ録音を発売するシリーズの4作目。EMIは54年からステレオ録音を開始し ており当時の偉大な演奏家たちが意欲的に取り組んでいました。今作に収められたカンテッリ、グーセンス、グイ、クレツキの録音はすべて初CD化の音源。丁寧な リマスターで貴重な名演奏が感動的に蘇ります! (Ki)
FHR-80
1823年〜1913年、サロン音楽の歴史
アレクサンデル・ザジツキ(1834-1895):マズルカ第1番 ト長調 Op.26
パガニーニ:カンタービレとワルツ Op.19
アルフレード・ダンブロージオ(1871-1878):セレナーデ Op.4
モシュコフスキ:5つのピアノ小品 Op.18より 第1番メロディ ヘ長調(フリードリヒ・ヘルマン編)
バンジャマン・ゴダール(1849--1895):ロマンティック協奏曲 Op.35より 第3楽章 カンツォネッタ(ゴダール編)
ラフ(1822-1882):6つの小品 Op.85より 第3番カヴァティーナ
フランティシェク・ドルドラ(1868-1944):セレナーデ第1番 イ長調
ガエターノ・ブラーガ(1829-1907):天使のセレナーデ(アドルフ・ポリッツァー編)
フランソワ・シューベルト(1808-1878):12のバガテル Op.13より 第3、4、8、9、12番
ズガンバーティ(1841-1914):2つの小品 Op.24より 第2番ナポリ風セレナータ
アルフレード・ダンブロージオ:アリア Op.22
アレクサンデル・ザジツキ:マズルカ第2番 ホ長調 Op.39
フェルディナント・ラウプ (1832-1875):4つの小品 Op.12より 第1番カンツォネッタ ロ短調
ラフ:瞑想曲 イ長調 Op.75-5 (フリードリヒ・ヘルマン編)
ベノワ・ホランダー(1853-1942):マズルカ ホ長調 Op.25
シュポア:6つのサロン風小品 Op.135より 第1番舟歌 ト長調
フランツ・フォン・ヴェチェイ(1893-1935):悲しきワルツ ハ短調
モシュコフスキ:2つの小品 Op.45より 第2番ギター ト長調(サラサーテ編)
グラナドス:スペイン舞曲 Op.37より 第2番オリエンタル(ヴォーン・ジョーンズ編)
ヴォーン・ジョーンズ(Vn)
マーカス・プライス(P)

録音:2019年12月27、28、30日ロンドン
24bit/96kHz
ハイレゾ録音・ハイレゾマスタリング
美しい19世紀のサロン音楽を23曲収録。初録音の作品も含まれる珍しいプログラムです。ジャケットデザインも19世紀の流行を感じさせる、楽譜風のも の。ヴァイオリニストのヴォーン・ジョーンズは過去にもマニアックな内容のCDを2作リリースしていて(FHR-29、FHR-38)、グラモフォン誌のエディターズ・ チョイスにも選ばれている奏者です。
約100年にわたって書かれたヴァイオリンとピアノのための名品たち。サロン音楽は小品でありながら様々な感情を表現するヴァラエティ豊かな音楽で、ロ マン派の作曲家が腕を振るって己の表現を突き詰めて書いた結晶のような音楽と言えなくもありません。その多くは録音黎明期まで人気を保ちましたが、今 ではほとんど流行らなくなってしまいました。これらの名曲を再発見することは、19世紀の音楽スタイルや嗜好をより深く理解することにつながります。そし て何より、うっとりするような美しさに心を奪われる感動的な体験ができることでしょう。 (Ki)
FHR-81
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第1番変ロ長調 Op.45
 チェロ・ソナタ第2番ニ長調 Op.58
 無言歌 ニ長調 Op.109
 アッサイ・トランクイッロ(アルバムの一葉) ロ短調
 協奏的変奏曲 ニ長調 Op.17
ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル:幻想風ソナタ ト短調
カプリッチョ 変イ長調
メンデルスゾーン:チェロとピアノのための作品全集
ジョエ ル・マローシ(Vc)
エスター・ウォーカー(P)

録音:2020年2月27日-3月1日
フェリックスとファニーのメンデルスゾーン姉弟が残したチェロとピアノのための作品を網羅したアルバム。モダンピアノ伴奏でこの全曲を録音したCDはこ れが初かと思われます。『無言歌』と『アッサイ・トランクイッロ』は1960年代に発見された美しい小品です。チェロのジョエル・マローシはチューリッヒ 生まれ。バーゼル音楽院でハインリッヒ・シフに師事した経歴を持っています。
FHR-82
初期ステレオ録音集 第5集
(1)ヴィヴァルディ:オーボエ協奏曲 イ短調 RV461
(2)チマローザ(アーサー・ベンジャミン編):オーボエ協奏曲 ハ長調
(3)ハイドン:チェロ協奏曲第2番ニ長調 Hob.VIIb:2, Op.101
(4)モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番ハ長調 K453
(1)(2)レナート・ザンフィーニ(Ob)、レナート・ファザーノ(指)、ローマ合奏団
(3)アメデオ・バルドヴィーノ(Vc)、フェルナンド・プレヴィターリ(指)、プロ・アルテO
(4)ジーナ・バッカウアー(P)、アレック・シャーマン(指))、ザ・ロンドン・オーケストラ

録音:(1)(2)1956年10月3-4日、(3)1956年10月17・19・25日、(4)1956年5月9-10日
すべてステレオ初出
ARS(Archive of Recorded Sound)との共同制作によるEMIの初期ステレオ録音集第5弾。EMIがステレオ録音を開始したのは1954年で、最初期の ステレオ音源が聴ける注目のシリーズとなっています。今作は地中海文化の暖かさとしなやかさを演奏にもたらした3人の素晴らしいヴィルトゥオーゾたちによる 協奏曲集。いずれもステレオでは初めて世に出る音源です。丁寧なリマスタリングがなされており、貴重な名演奏を存分に堪能いただけます。ジーナ・バッカウアー とアレック・シャーマンの夫婦共演によるモーツァルトは特に絶品。 (Ki)
FHR-085
初期ステレオ録音集 第6集 シベリウス編
(1)フィンランディア Op.26
(2)フィンランディア賛歌
わが心の歌 Op.18-6
(3)火の起源 Op.32**
(4)ポヒョラの娘 Op.49
(5)悲しきワルツ Op.44-1
(6)弦楽四重奏曲 ニ短調『内なる声』 Op.56
(7)フィンランディア Op.26*
(1)ヴィットリオ・グイ(指)フィレンツェ五月音楽祭O
 録音:1953年10月9-10日
(2)マルッティ・トゥルネン(指)、ヘルシンキ大学cho
 録音:1953年11月20日
(3)スロ・サーリッツ(Br)
 マルッティ・トゥルネン(指)、ヘルシンキ大学cho
 ソー・ジョンソン(指)シンナシティSO
 録音:1953年11月21日
(4)ソー・ジョンソン(指)シンナシティSO
 録音:1953年11月20日
(5)ヴィットリオ・グイ(指)フィレンツェ五月音楽祭O
 録音:1953年10月9-10日
(6)パスカルSQ
 録音時期不明(1957年7月以前)
(7)ジョージ・ウェルドン(指)フィルハーモニアO
録音:1956年3月12日

*のみモノラル録音、他はすべてステレオ
**世界初録音
最初期のステレオ録音に特化したFirst Handレーベルの注目企画、第6弾はシベリウス音源を集めたもの。メインは1953年10月と11月にアメリカの先駆 的レーベル、LivingstonとRemingtonで録音された最初期の商業的バイノーラル・ステレオ録音。24bit/96kHzで丁寧にリマスター、貴重音源が見事な音 質で堪能できます
FHR-86
ファンタジー
テレマン:ファンタジア第1番変ロ長調
シューベルト:幻想曲 ハ長調 D.934
テッサ・ラーク:アパラチア幻想
テレマン:ファンタジア第4番ニ長調
クライスラー:ウィーン狂詩曲風幻想曲
テレマン:ファンタジア第5番イ長調
ラヴェル:演奏会用狂詩曲『ツィガーヌ』
テッサ・ラーク(Vn) 
エイミー・ヤン(P)

録音:2016年4月8-10日/ニューヨーク
アメリカのヴァイオリニスト、テッサ・ラークによるソロデビューアルバムです。幻想曲をテーマに、テレマンの無伴奏から自作までさまざまな作品を収録。技巧と優雅さを兼ね備えた演奏をお楽しみください。 (Ki)
FHR-87
ジョン・クロフト(1971-):作品集
(1)インテルメディオI 〜バスフルートとライヴ・エレクトロニクスのための
(2)セイレーン Ia 〜ヴィオラのための
(3)セイレーン Ib 〜フルートのための
(4)セイレーン II 〜ヴィオラとギターのための
(5)セイレーン III 〜バスフルート、ヴィオラとチェロのための
(6)セイレーンIV 〜アルトフルート、ギター、ヴィオラとチェロのための
(7)涙の地球、朱色の光 〜チェロとライヴ・エレクトロニクスのための
(8)インテルメディオIII 〜バスクラリネットとライヴ・エレクトロニクスのための
リチャード・クレイグ(Fl)
ディエゴ・カストロ・マガシュ(G) 
エマ・リチャーズ(Va)
セヴェリーヌ・バロン((7)(Vc)
アリス・パートン((5)(6)Vc)
マリー・ファン・ゴルコム(バスCl)

録音:2014-2019年
ジョン・クロフトは1971年生まれで、哲学も学んだ作曲家。ギリシア神話の海の精をタイトルに冠した『セイレーン』など、さまざまな楽器とライヴ・エレクトロニクスのための作品が並んでいます。暗い響きに包まれながらも時にメロディを歌いつつ、ゆったりと風に乗って音が漂っていくような音楽です。 (Ki)
FHR-88
メイヤー父子:協奏曲集
ジョン・メイヤー:ヴァイオリン協奏曲第2番(1978)#
ジョナサン・メイヤー:シタール協奏曲第2番(2019)
ジョン・メイヤー:管弦楽のための協奏曲(1975)
ジョナサン・メイヤー:プラナム(2019)*
サーシャ・ロジェストヴェンスキー(Vn)#
ジョナサン・メイヤー(シタール)
シェバーズ・ホセイン(タブラ)*
デバシシュ・チャウドゥーリー(指)
BBCウェールズ・ナショナルO
名指揮者ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーとピアニストのポストニコワの息子でヴァイオリニストのサーシャ・ロジェストヴェンスキーがエキゾチックな協奏曲 に挑戦。インド系作曲家ジョン&ジョナサン・メイヤー(マイヤー)父子の協奏曲を集めたアルバムで、彼は父ジョン・メイヤーのヴァイオリン協奏曲第2番を披露し ています。
ジョン・メイヤーは1930年カルカッタ生まれ。インドでメーリ・メータ(ズービンの父)に師事した後ロンドンで学び、ロンドン・フィルやロイヤル・フィルのヴァ イオリン奏者を務めました。同時にジャマイカ出身のサックス奏者ジョー・ハリオットと組んでジャズとインドの伝統音楽とのフュージョンを展開させました。
1978年作のヴァイオリン協奏曲第2番はエリック・グリューエンバーグの委嘱で書かれたもので、この楽器の機能を発揮した作品となっています。オーケストラ にシタールも参加し、独特なインド風味が新鮮です。
ジョンの息子ジョナサンは1975年生まれのシタールの名手。プラナムはインドのカタック・ダンスにインスパイアされたもので、インドの太鼓タブラも活躍します。
全曲ともにインド出身の指揮者デバシシュ・チャウドゥーリーが指揮しているのも興味津々。1975年生まれでプラハに学び、現在もチェコを本拠に活動する注 目株です。 (Ki)
FHR-89
驚異の棚 第1集
ヨハン・ヨーゼフ・ヴィルスマイヤ(1663-1722):変則調弦ヴァイオリンと通奏低音のためのパルティータ(ソナタ) ホ長調(世界初録音)
ガスパロ・ヴィスコンティ(1683-1731):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ハ短調
 ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ヘ長調(世界初録音)
ヨハン・フリードリヒ・シュレイフォーゲル(fl. 1707?1749):ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ホ短調
 ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調
 ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 変ホ長調(世界初録音)
キンガ・ウイスザスジ(Vn)
トム・フォスタ ー(Cemb)

録音:2020年3月14-16日/ロンドン
ドレスデンのシュランク2 世のコレクションをもとにしたシリーズ第 1 弾。シュランク2 世はピゼンデルの所有していた楽譜や、ヨーロッパ中を旅し自ら筆 写した譜面などを数多く所蔵していました。今作では後期バロックの多様性に富んだヴァイオリン・ソナタが取り上げられていて、奇抜な幻想性が病み付き になりそう。世界初録音も収録されています。未知の世界を開く驚異の書棚に迫る注目シリーズ。演奏者の二人はイングリッシュ・コンサートのメンバーとし ても活躍する名手です。
FHR-91
ヘンデル:ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのための作品集
ヘンデル:ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ト短調 HWV364b
 ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ト長調(アジズ編/原曲:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 HWV372)
 ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための「カッセル・ソナタ」第5番 ニ長調(伝ヘンデル/J.J.クレス(1685-1728)作曲?)(世界初録音)
サント=コロンブ2世:ヴィオラ・ダ・ガンバのための組曲 ホ短調より 前奏曲
ヘンデル:チェンバロ組曲第1集 第4番ホ短調 HWV429(ムファット版)
 ヴィオラ・ダ・ガンバのための前奏曲 ニ短調(アジズ編/原曲:チェンバロ組曲第2集 第4番ニ短調 HWV437より 前奏曲)
 ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のための組曲 ニ短調(アジズ編/原曲:チェンバロ組曲 ニ短調 HWV448)
 ヴィオラ・ダ・ガンバとオブリガート・チェンバロのためのソナタ ハ長調
イブラヒム・アジズ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
山本満寿美(Cemb)

録音:2019年10月25−27日/ロンドン
様々な編成、様々なジャンルの音楽を手掛けたヘンデルですが、ヴィオラ・ダ・ガンバとのつながりはあまり語られることはありません。このアルバムでは ヘンデル作とされるオブリガート・チェンバロ付きソナタや新発見の「カッセル・ソナタ」世界初録音が含まれ、また編曲を通して、ヘンデルの音楽をガン バで奏でることが試みられています。当時は楽器を替えて演奏することも一般的に行われており、ガンバの市民権もまだまだあったので、このような音が実 際に響いていたことも十分に考えられます。ヘンデルの美しく歌うような旋律がガンバの古雅なる音色で奏でられる、珍しくも魅惑的なアルバムです。 (Ki)
FHR-92(2CD)
バッハ:6つのパルティータ BWV825-830 小川麻子(Cemb)

録音:2020年8月6-7日、9月2-3日/ロンドン
ロンドンを拠点にソリストや通奏低音奏者として活動する小川麻子によるバッハの6つのパルティータ全曲。軽やかな響きのチェンバロで明快にかつ滋味 豊かにバッハの対位法の綾を解きほぐした好演です。 (Ki)
FHR-93
SOLAS
レオナルド・ヴィンチ:アダージョとアレグロ(フルート・ソナタ第1番 ニ長調より)
ハイドン:アダージョ(弦楽四重奏曲第1番変ロ長調『狩』 Hob.III:I より)
ニコラ・シェドヴィル:ソナタ第6番ト短調(『忠実な羊飼い』より)
ヘンデル:アン女王の誕生日のための頌歌 HWV74
バーバラ・トンプソン(1944-):グリーン(2002)
ヘンデル:Cara sposa, amante cara, dove sei- (『リナルド』第1幕より)
ジェームス・ウィットボーン(1963-):A Brief Story of Peter Abelard(2011)
ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ ト短調 Op.1-6 HWV364a
ジャン・アラン(1911-1940):フリギア旋法のコラール AWV76(1935)
パーセル:When I am laid in earth (『ディドとエネアス』第3幕より)
ジェラルド・マクリスタル(Sax)
クリスチャン・ウィルソン(Org)

24bit/96kHz
ハイレゾ録音・ハイレゾマスタリング
ジェラルド・マクリスタルによる、当レーベル2枚目のアルバム。前作(FHR-13)に続き魅力的なアレンジと選曲です。タイトルの「SOLAS」とはゲール語で 「光」を意味する言葉。バロックと現代を自由に行き来し、ソプラノ、アルト、さらにCD録音が割と少ないソプラニーノ・サックスを用いて演奏。オルガンの伴奏 とも相性抜群です。 (Ki)
FHR-95
ニコラーエワ最晩年の『フーガの技法』
バッハ:フーガの技法 BWV1080
タチアナ・ニコラーエワ(P)
録音:1993年4月26日/ヘルシンキ、シベリウス音楽院

ロシアを代表する偉大なピアニストであるタチアナ・ニコラーエワの最晩年の録音が、マスタリングに定評あるFIRST HAND RECORDSから発売さ れます。1993年11月13日にサンフランシスコでショスタコーヴィチの『前奏曲とフーガ』を演奏中に脳卒中を起こし9日後に亡くなったニコラーエワ。 このディスクに収められているのはその半年前、4月26日に行われたヘルシンキでのライヴ録音です。曲目は彼女が得意としたバッハの『フーガの技法』で、 これまでリリースされたことのない録音。たいへん貴重な初CD化です!
20代でバッハの『平均律』全曲を暗譜、ショスタコーヴィチの創作欲も刺激したニコラーエワ。1990年代に入ってもロンドンでバッハの『平均律』『フー ガの技法』、ショスタコーヴィチの『前奏曲とフーガ』を暗譜で完璧に演奏するなど長く活躍を続けていました。当盤の演奏では一部に暗譜が飛んでしまっ た箇所があるものの、フーガを種類別(単純フーガ、反行フーガ、2重・3重フーガ、鏡像フーガ)に分けて構成し、未完フーガの主題提示でオクター ヴを重ねるなどの手を加えた、紛れもないニコラーエワ流の『フーガの技法』を聴くことができます。途轍もなく大きなスケール、途方もなく深遠な音楽 世界に圧倒される至高の名演をぜひお聴きください。
FIRST HAND RECORDSレーベルからは、ニコラーエワの1989年ギリシャ・ライヴの音源も発売されています(FHR-46)。 (Ki)
FHR-97
Requiebros
カサド:レクエイブロス
グラナドス(カサド編):『ゴイェスカス』より間奏曲
ファリャ(モーリス・マレシャル編):スペイン民謡組曲
オリヴィエ・サッシャ・フリック(1973-):Chasse au moment (2011 rev.2012)〈世界初録音〉
ラヴェル(ポール・バズレール編):Piece en forme de habanera
細川俊夫(1955-):リートIII (2007)
フォーレ(カザルス編):夢のあとに
サン=サーンス:『動物の謝肉祭』より「白鳥」
シューマン:民謡風の5つの小品 Op.102
サン=サーンス:アレグロ・アパッショナート ロ短調 Op.43
ロハン・デ・サラム(Vc)
山本純子(P)

録音:2012年4月7・8日/シュトゥットガルト
ロハン・デ・サラムは現代音楽の分野で活躍する名チェリストで、アルデッティ四重奏団のメンバーとしても知られています。11歳でカサドに師事し、カ ザルスとバルビローリにも学びました。
カサドの「レクエイブロス」は師カザルスのために書かれた作品。ロハン・デ・サラムはカサド本人のこの曲の演奏も何度となく聴いたと言います。ファリャ とラヴェルはカサドと親交があった人物で、その他の作曲家も関わりのある人々でまとめられたプログラムとなっています。
細川俊夫の「リートIII」は2010年の武生国際音楽祭でロハン・デ・サラムと山本純子によって初演された楽曲です。 (Ki)

FHR-100
ストラドグラス・セッションズ
(1)テッサ・ラーク(1989-):ジグ・アンド・ポップ
(2)シエラ・ハル(1991-):チェイシング・スカイズ(2011)
(3)テッサ・ラーク:Le Soka - チーズ・イン・ワイン
(4)エドガー・メイヤー(1960-):ヴァイオリンとコントラバスの為の演奏会用二重奏曲(1999)より 第1・4楽章
(5)イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第5番 ト長調 Op.27-5(1923)
(6)マイケル・クリーブランド(1980-):レイジー・ケイティ(2019)
(7)コリリアーノ:ストンプ(2010)
(8)テッサ・ラーク:Hysedelje
(9)バルトーク:44のヴァイオリン二重奏 Sz.98 (1931)〜第35番「ルーシのコロメイカ」、第39番「セルビアの踊り」、第43番「ピッチカート」(ハル、ラーク編)
(10)フォスター:「ケンタッキーの我が家」による瞑想曲(バティステ、ラーク編)
テッサ・ラーク(Vn;1600年頃、ジョヴァンニ・パオロ・マッジーニ製)
ジョン・バティステ(P(10))
マイケル・クリーブランド(フィドル(6))
シエラ・ハル(マンドリン(2)(9))
エドガー・メイヤー(コントラバス(4))

(1)(3)(6)(8)世界初録音
ストラディヴァリウスでブルーグラスを弾く、という試みから生まれた「ストラドグラス」は、ヴァイオリニストのテッサ・ラークによるジャンルレスの音楽活動。「ブ ルーグラス」はスコットランド、アイルランドの音楽をもとにアメリカで発展した音楽ジャンルで、フィドルの音色にもよく合います。クラシック、ポップス、伝承曲が 一つの流れになっていくふしぎなプログラム。共演者にはグラミー賞アーティストが参加しています。
「多様で、有機的で、親密で、時には共同で、時には一人で、常に誠実に。コンサートホールでもホームスタジオでも、どこでも。このアルバムは、私が音楽に生き る方法のスナップショットです。」(テッサ・ラーク)
FHR-101
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集 第1集
第8番ハ短調 『悲愴』 Op.13
第5番ハ短調 Op.10-1
第6番ヘ長調 Op.10-2
第7番ニ長調 Op.10-3
アダム・ゴルカ(P)

録音:2019年1月
アダム・ゴルカは1987年テキサス生まれで、家はポーランドの音楽家系。18歳でベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタを初めて演奏して以来、その 作品に魅了され研究に没頭してきました。フライシャー、ブレンデル、シフ、ペライアなどの巨匠にも学び、2011年にはベートーヴェンのピアノ協奏曲全5 曲を演奏。2020年、ベートーヴェン生誕250年を祝い彼のピアノ・ソナタ全曲録音シリーズがスタート。第1弾は『悲愴』と、同時期に書かれたOp.10 を収録しています。グランドピアノのソノリティを活かしきった優秀録音。
FHR-110
バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988 アレクサンドラ・パパステファノウ(P)

録音:2020年5月12・21日/アテネ、ディミトリ・ミトロプーロス・ホール
ジェルジ・シェボックやアルフレート・ブレンデルにもレッスンを受けたことのあるギリシャ生まれのピアニスト、アレクサンドラ・パパステファノウによるゴルトベ ルク変奏曲。彼女はバッハ作品を重要なレパートリーとしており、このゴルトベルクも折に触れて演奏会で披露してきた楽曲です。グランドピアノのソノリティを活か しつつ、独特の「くずし」を用いて奏でられるこのピアニストならではのバッハをお聴きください。 (Ki)
FHR-111
ミラーズ 〜21世紀アメリカのピアノ三重奏曲集
ジラード・コーエン(1980-):大釜のまわり(2016)
レイナルド・モーヤ(1984-):ゴーストライター変奏曲(2015-16)
ジェニファー・ヒグドン(1962-):甘き愛(2013)*
ソフィア・ベリモヴァ(2000-):ティターニアと彼女の組曲(2014)
ウィリアム・デヴィッド・クーパー(1986-):バベルの水辺で(2010)
ヤクブ・チュピンスキ(1981-):黒い鏡(2013-14)
ライサンダー・ピアノ三重奏団[イタマール・ゾルマン(Vn)、マイケル・カッツ(Vc)、リザ・ステパノヴァ(P)]
サラ・シェーファー(ソプラノ*)

録音:2018年
全曲世界初録音
2020年に結成10周年を迎えるライサンダー・ピアノ三重奏団による、First Hand Recordsレーベルのデビュー・アルバム。ピアノ・トリオという古 典的な編成でありながら、今世紀に書かれた真新しいアメリカの作品を集めた刺激的な作品集。注目すべきは、グラミー賞受賞作曲家ジェニファー・ヒグド ンが作曲した『甘き愛』。ソプラノのサラ・シェーファーが参加し音楽に花を添えます。 (Ki)
FHR-113
機械に宿る魂
ヘンデル
(1)組曲『水上の音楽』 ニ長調 HWV341より 序曲(ソプラノリコーダー、2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、テオルボ、ハープシコード)
(2)オラトリオ『サウル』 HWV53 第3幕より「死の行進」(アルトリコーダー、2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、テオルボ、ハープシコード)
(3)オラトリオ『ユダス・マカベウス』 HWV63より 「見よ勇者は帰る」(ソプラノリコーダー、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、テオルボ、ハープシコード)
オトテール
(4)アリアとブルネット集より 「L’amour, le seul amour」(ヴォイスフルート、チェロ、テオルボ、ハープシコード)
(5)アリアとブルネット集より 「L’autre jour ma Cloris」(ヴォイスフルート、チェロ、テオルボ)
ヘンデル
(6)オルガン協奏曲 ヘ長調 Op.4-5 HWV293(アルトリコーダー、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、ハープシコード)
(7)歌劇『オットーネ』 HWV15 第2幕より「Alla fama, dimmi il vero」(アルトリコーダー、オルガン)
(8)歌劇『クレタのアリアンナ』 HWV32より 序曲:メヌエット(アルトリコーダー、オルガン)
(9)歌劇『シピオーネ』 HWV20より 序曲:アレグロ(アルトリコーダー、オルガン)
(10)作者不詳::レディン氏のグラウンド(アルトリコーダー、ギター、チェロ)
(11)サミュエル・アーノルド:The Favorite March in [Purcell’s] Bonduca(ソプラノリコーダー、ギター、チェロ)
(12)作者不詳:God Save the King(ソプラノリコーダー、チェロ、テオルボ、オルガン)
(13)トマス・アーン:Rule, Britannia!(ソプラノリコーダー、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、テオルボ、ハープシコード)
(14)フランチェスコ・バルサンティ:リコーダー・ソナタ ト短調 Op.1-3(アルトリコーダー、チェロ、ハープシコード)
(15)作者不詳:The Lass of Patie’s Mill(テノールリコーダー、テオルボ、チェロ)
(16)ジェミニアーニ:『音楽芸術における良い趣味の理論』より アリア第1番「ボブ・モリス老」(ソプラノリコーダー、テノールリコーダー、ギター、チェロ)
ヘンデル
(17)歌劇『リナルド』 HWV7より 序曲(ウィリアム・バベル版)(リコーダー、チェロ、ハープシコード)
(18)歌劇『リナルド』 HWV7 第2幕より 「私を泣かせてください」(ウィリアム・バベル版) (リコーダー、テオルボ)
(19)歌劇『ロデリンダ』 HWV19より メヌエット(リコーダー、テオルボ、チェロ、ハープシコード)
(20)ジョン・バストン:6つのリコーダー協奏曲より 第6番ニ長調 *世界初録音(ソプラノリコーダー、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、ギター、ハープシコード)

※(1)-(3)、(11)-(13)、(15)、(17)-(19) エミリー・ベインズ編
エミリー・ベインズ(リコーダー、指)
AMYAS
18世紀の手回しオルガンや音楽時計といった機械式楽器のための音楽に見られる魅力的で活気に満ちたスタイルを、自由な編曲を通して再現。リコーダー奏者、 エミリー・ベインズの10年にわたる研究の成果があらわれたアルバムです。 (Ki)
FHR-117
無伴奏ヴァイオリン作品集
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz117(1944)
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
ハンスハインツ・シュネーベルガー(1926-2019):無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ(1942) ※世界初録音
ドミトリー・スミルノフ(Vn)

録音:2021年2月8日〜10日/イタリア、トスカーナ
ソリストとしてマリインスキー劇場OやモスクワPOなどと共演し活躍するヴァイオリニスト、ドミトリー・スミルノフによるFirst Hand Recordsデビュー・アルバム。全編無伴奏で構成され、バロックの巨匠バッハ、20世紀の大家バルトークに加え、2019年に亡くなったスイスのヴァイオ リニスト、ハンスハインツ・シュネーベルガーの新発見作品を世界初収録しています。
シュネーベルガーは1926年ベルン生まれ。北ドイツ放送響のコンマスを務め、フランク・マルタンやバルトーク(1番)のヴァイオリン協奏曲を初演した人物で もあります。ここに収録された無伴奏ソナタはバルトークのソナタより2年前に書かれたもので、当時16歳の若書きですが、既にヴァイオリニストならではの演奏 効果の高いヴィルトゥオジティが満載で充実した作品になっているのが驚きです。
バルトークとシュネーベルガーは2018-19年Philipp Bonhoeffer製のモダン・ヴァイオリンと弓を、バッハでは1795年Johann Schonfelder製のヴァ イオリン(弓は2018年製、18世紀初頭のコピー)を使用して演奏しています。 (Ki)
FHR-118
プロコフィエフ:チェロ作品集
(1)チェロ協奏曲第1番Op.58
(2)チェロとピアノのためのバラード Op.15
(3)チェロとピアノのためのソナタ Op.119
ロハン・デ・サラム(Vc)
(1)アナトール・フィストゥラーリ(指)オランダ放送PO
(2)(3)ドゥルヴィ・デ・サラム(P)

録音:(1)1972年4月26日、(2)1972年4月27日、(3)1971年4月14日NCRV、放送用ライヴ
現代音楽を得意としアルディッティ四重奏団のメンバーとしても知られる名チェリスト、ロハン・デ・サラムによるプロコフィエフ集。1971年と1972年にオラ ンダのラジオ放送のために行われたスタジオ・ライヴ音源をハイレゾ・リマスターして初CD化!チェロ協奏曲第1番はあまりの難しさゆえに後年ロストロポーヴィ チの助言によって大幅に改変され『交響的協奏曲』になったというプロコフィエフの意欲みなぎる野心作で、独奏チェロの張りのある高音が強烈。ロハン・デ・サ ラムのエネルギーに満ちた演奏は作品の真価に迫っており一聴の価値あり。ロシア生まれの名指揮者フィストラーリがバックを務めているのも注目です。カップリン グはロハンの弟ドゥルヴィが伴奏する室内楽。プロコフィエフ21歳のときに書かれたバラードと死の数年前に書かれたソナタを収録し、プロコフィエフの生涯にわ たるチェロ音楽を俯瞰する内容となっています。 (Ki)
FHR-119
ヴァイオリン・オデッセイ
グラジナ・バツェヴィチ(1909-1969):オベレク第1番(1949)*
モシェ・ゾルマン(1952-):放浪(1994)*
ジョゼフ・アクロン(1886-1943):子供の組曲 Op.57(c.1925)(ハイフェッツ編)**
ドーラ・ペヤチェヴィチ(1885-1923):ヴァイオリン・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.43(1917)*
シルベストレ・レブエルタス(1899-1940):Afilador(1924)* / Tierra p’a las macetas(1924)*
アリ・オスマン(1958-2017):Afromood(2010)**/***
ガオ・ピン(1970-):Questioning the Mountains(2008)*
ガレス・ファー(1968-):Wakatipu(2009)
エルヴィン・シュルホフ(1894-1942):ヴァイオリン・ソナタ第2番(1927)**
ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978):Summerland(1935)*
イタマール・ゾルマン(Vn)
イェヴァ・ヨコバヴィチューテ(P)*
クワン・イ(P)**
ジュリア・トンプソン(タンバリン)***

録音:2021年2月23-25日/ノースカロライナ州、デューク大学、ボールドウィン公会堂
コロナによる世界的なロックダウンを受けて、米国在住のヴァイオリニスト、イタマール・ゾルマンは新しいレパートリーの発掘に時間を費やしました。ニュージー ランドからアメリカへ、そしてスーダン、中国、ロシア、ポーランドと、幅広い地域の魅力的な作品を演奏。滅多に聴くことのできない文化の多様性を楽しめます。ク ロアチアの女性作曲家ドーラ・ペジャチェヴィチや、チェコの作曲家エルヴィン・シュルホフのソナタなどは聴き応えもかなりのもの。 (Ki)
FHR-120
ショスタコーヴィチ:交響曲第6番ロ短調Op.54
交響曲第9番変ホ長調Op.70
スティーヴン・ロイド=ゴンザレス(指)
BBCウェールズ・ナショナルO

録音:2021年11月30日〜12月2日イギリス、カーディフ、BBCホディノット・ホール
イギリス人指揮者スティーヴン・ロイド=ゴンザレスによるショスタコーヴィチの交響曲。第6番と第9番は15曲の交響曲の中でも比較的小ぶりな作品ながら、作曲家のより謎めいた部分が垣間見える不思議な作品です。夜想曲のようなラルゴと、活気に満ちた第2・3楽章の対比が特徴的な第6番。ハイドン風におちゃらけて始まったかと思えば、名人芸の旋風を経て荒涼とした世界へと進んでいく第9番。ユニークな語り口が求められる両曲を、明快な表現でストレートに聴かせてくれる好演です。 (Ki)
FHR-122
リコーダー、ヴィオラ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバによるバッハ
2声のインヴェンション(抜粋)
3声のシンフォニア(抜粋)
愛する御神にすべてを委ね BWV691
ゴルトベルク変奏曲 BWV988〜アリア
トリオ・ソナタ第3番ニ短調 BWV527
トリオ・ソナタ第6番ト長調 BWV530〜第2楽章 レント
主イエス=キリスト、われらを顧みたまえ BWV655
いと高きところにいます神にのみ栄光あれ BWV716
インカンターティ [エマ・マーフィー(リコーダー)、レイチェル・ストット(ヴィオラ・ダモーレ)、森川麻子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)]

録音:2021年5月19-21日/ロンドン、プラムステッド、アセンション教会
バロック時代ならではの3楽器のためにアレンジされたバッハ作品集です。牧歌的な情景を思わすリコーダー、幽玄かつ情感豊かなヴィオラ・ダモーレ、そして たとえば受難曲ではキリストが世を去っていく様子を描くヴィオラ・ダ・ガンバ。それぞれの楽器が明確に区別されながらも、お互いに補完し合うことで魅力的な サウンドが生み出されています。フレットワークのメンバーとしても知られる森川麻子らによる素晴らしい演奏。 (Ki)
FHR-125
マルコ・ウッチェリーニ(c.1640-1680):ヴァイオリン・ソナタ集 Op.3〜5より
カンツォーネによるソナタ集 Op.5より
第1番ヴァイオリン・ソナタ ニ長調『ラ・ムジカ』
ソナタ、コレンテとアリア集 Op.4より
第1番ヴァイオリン・ソナタ イ長調『凱旋』
第2番ヴァイオリン・ソナタ ト短調『幸せなルチミーニア』
第3番ヴァイオリン・ソナタ ホ長調『既婚の猶太人』
第4番ヴァイオリン・ソナタ ハ短調『有徳の紫陽花』
ソナタ、アリアとコレンテ集 Op.3より
第4番2つのヴァイオリンのためのソナタ ト長調『変容』*
ソナタ、コレンテとアリア集 Op.4より
第5番ヴァイオリン・ソナタ ハ短調『輝くラウラ』
第12番ヴァイオリン・ソナタ イ長調
ソナタ、アリアとコレンテ集 Op.3より
第1番ヴァイオリン・ソナタ イ短調『ラ・ポッジャ』
ソナタ、コレンテとアリア集 Op.4より
第18番2つのヴァイオリンのためのソナタ イ長調 +
カンツォーネによるソナタ集 Op.5より
第5番ヴァイオリン・ソナタ イ短調『嘘』
ソナタ、アリアとコレンテ集 Op.3より
第5番『ラ・ベルガマスカ』によるアリア
ノックスワード・アンサンブル
コナー・グリスマニス((指)ヴァイオリン Andrea Amati in 1572)
  クレア・エドワーズ(Vn)+
  ヨナタン・ボウト(ギター、テオルボ)
  ミリアム・ノール(Vc、指揮)
  ジョシー・ジョビンズ(ヴィオローネ)

ボヤン・チチッチ(Vn)*
ティモシー・ロバーツ(チェンバロ、オルガン)

録音:2021年8月、ロンドン
イギリスの若手ヴァイオリニスト、コナー・グリスマニスと、彼が2018年に結成した古楽アンサンブル、ノックスワードによるデビュー盤。イタリア初期バロックの 作曲家、ウッチェリーニのヴァイオリン・ソナタを収録しています。ウッチェリーニはヴァイオリン奏法の発展に大きく寄与した作曲家で、広い跳躍やハイ・ポジショ ンの駆使、疾走感あふれる走句など現代まで通じるヴァイオリン語法がたっぷり。またその音楽様式は「スティルス・ファンタスティクス」と呼ばれる、自由な霊感 に従って書かれた当時におけるまったく新しい音楽。感情の変化や節回しに予想のつかない展開があり、とてもキャッチーな旋律ながら、その大胆な即興性で驚か せてくれます。魅力的な掛合いが続く2つのヴァイオリンのためのソナタも耳に楽しい作品。バロック時代に花開いていく器楽の大繁栄をまざままざと感じるアル バムです。
この録音でグリスマニスは「完全に演奏可能な世界最古のヴァイオリン」といわれる、1572年製のアンドレア・アマティを演奏。450年前、ウッチェリーニ以前 の時代に作られた貴重な楽器です。 (Ki)
FHR-126
モーティマー・ウィルソン:映画音楽『バグダッドの盗賊』(1924) マルク・フィッツ=ジェラルド(指)
フランクフルトRSO

録音:2019年
1924年に発表されたアメリカのサイレント映画『バグダッドの盗賊』。主演ダグラス・フェアバンクスの依頼でアメリカの作曲家モーティマー・ウィルソンが音 楽を担当しました。ウィルソンはクラシック音楽の作曲家であり、プッチーニやワーグナーの歌劇からの影響や、ベルク、レーガー、チャイコフスキーといった先人 たちの管弦楽語法を聴くことができます。これまでに録音がなかったのが不思議なくらい良い曲です。映画音楽を得意とするフィッツ=ジェラルドとフランクフルト 放送響による2019年録音。 (Ki)
FHR-127
Arc 弧・第1集
グラナドス:ゴイェスカス Op.11(1911)
ヤナーチェク:霧の中で(1912)
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番『黒ミサ』 Op.68(1913)
オリオン・ワイス(P)

録音:2014年5月/ニューヨーク、パフォーミングアーツセンター
ブリリアント・ピアニスト」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「力強い技術と並外れた洞察力」(ワシントン・ポスト紙)と評されるアメリカのピアニスト、オリオン・ ワイスによる3巻からなる〈Arc(弧)〉シリーズの第1作。第1次世界大戦直前の作品を収録しています。
ワイスはこのプロジェクトについて、全体が弧を描き、第1巻は絶望へと下る坂、第2巻が地の底、第3巻が再生と未来を描くものとしています。このアルバムの 最後に置かれた『黒ミサ』が異形の和声と旋律による音楽が加速度的に終末に向かっていく曲想を持っていることからも、そのイメージが読み取れます。
FHR-130
ジョージ・クラム(1929-2022):作品集
夢の流れ(印象II)〜ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、打楽器、グラスハーモニカのための(1976)
無伴奏チェロ・ソナタ(1955)
鯨の声〜フルート、チェロ、ピアノのための「鯨の声」(1971)
アンサンブル・ドリームタイガー
キャスリン・ルーカス(Fl)
アレクサンダー・バラネスク(Vn)
ロハン・デ・サラム(Vc)
ダグラス・ヤング(P)
ジェームス・ウッド(打楽器)

録音:1978年10月6日/オランダ、ミドルブルグ(ライヴ)
ジョージ・クラムが2022年2月6日に世を去った直後、ヒルフェルスムのKRO-NCRV放送から1978年オランダでのコンサート録音が発見されました。こ こには美しく独創的な『夢の流れ Dream Sequence』(1976)のヨーロッパ初演も収録されています。その貴重な音源のCD化。商業リリースとしては初出 です。
FHR-131
未来は女性にあり 第1集「自然の中で」
アンナ・ボン(1739/40-after 1767):鍵盤楽器の為のソナタ ロ短調 Op.2-5(1757)
ファニー・メンデルスゾーン(1805-1847):4つの歌曲 Op.8(1846)より第1曲、第3曲
テレサ・カレーニョ(1853-1917):瞑想的練習曲『海で見る夢』(1868)
レオカディヤ・カシュペロヴァ(1872-1940):自然の中で(1910)〜第3曲 小麦のささやき
ファニー・チャールズ・ディロン(1881-1947):夜明けの鳥たち Op.20-2(1917)
ヴィーチェスラヴァ・カプラーロヴァー(1915-1940):4月の前奏曲 Op.13(1937)より 第1曲、第3曲
アギ・ヤンボール(1909-1997):ピアノ・ソナタ『アウシュビッツの犠牲者たちへ』(1949)
イヴ・ベグラリアン(1958-):炉端(2001) *
ディアドラ・グリビン(1967-):視えない(2017)
メアリー・ワトキンス(1939-):夏の日々(2020)
サラ・ケイヒル(P、声*)

録音:2021年8月15-28日/カリフォルニア、ベルヴェディア、聖シュテファン教会
17世紀から現代までの女性作曲家に光を当てたシリーズ「THE FUTURE is FEMALE」の第1弾。全3巻予定で、世界各国の女性作曲家による70曲以上 の作品を紹介、初録音も多数含まれる注目シリーズです。
サラ・ケイヒルは現代音楽を積極的に紹介する稀有なアメリカのピアニスト。ニューヨーク・タイムズ紙やキーボード・マガジン誌でその功績が紹介され、2018 年にはアメリカ作曲家フォーラムの「Champion of New Music」に選ばれた気鋭の音楽家です。
FHR-132
未来は女性にあり 第2集「ダンス」
ジャケ・ド・ラ・ゲール(1665-1729):クラヴサン組曲(1687)より 第1番ニ短調(抜粋)
クララ・シューマン:変奏曲 Op.20(1853)
タイユフェール:パルティータ(1957)
ゼノビア・パウエル・ペリー(1908-2004):ラプソディ(1960)
マデリーン・ドリング(1923-1977):色の組曲(1963)より IV.真昼の空気 Blue Air、V.夢想 Brown Study
ベッツィ・ジョラス(1926-):シのタンゴ(1984)
エレナ・カッツ=チェルニン(1957-):ペギーのラグ(1996)
メレディス・モンク(1942-):サンクトペテルブルク・ワルツ(1997)
ガブリエラ・オルティス(1964-):前奏曲と練習曲 第3番(2011)
テレサ・ウォン(1976-):彼女はヤシの木の下で裸で踊る(2019)※世界初録音
サラ・ケイヒル(P)

録音:2021年8月15-28日/カリフォルニア、ベルヴェディア、聖シュテファン教会
女性作曲家に焦点を当てたシリーズの第2弾。第1弾(FHR-131)に続き、世に広まるべき女性作曲家と作品はまだまだあると思わせる内容。 (Ki)
FHR-133
未来は女性にあり 第3集「祈り」
エレーヌ・ド・モンジュルー(1764-1836):ピアノ・ソナタ第9番嬰へ短調 Op.5-3(1811)
シャミナード(1857-1944):主題と変奏 Op.98(1895)
グラジナ・バツェヴィチ:スケルツォ(1934)
チェン・イ(1953-):推測(1989)
フランギス・アリ=ザデー(1947-):ピアノの為の音楽(1989/1997)
ポーリン・オリヴェロス(1932-2016):5つ子ベビーサークル(2001)
ハンナ・ケンドール(1984-):チェックの盤面の上で(2013)
アイーダ・シラジ(1987-):アルバムブラット(2017)
レジーナ・ハリス・バイオッキ(1956-):ピアノ・ポエム(2020)
サラ・ケイヒル(P)

録音:2021年8月15-28日/カリフォルニア、ベルヴェディア、聖シュテファン教会
女性作曲家に焦点を当てたシリーズの第3弾。第1弾(FHR-131)・第2弾(FHR-132)とあわせてお楽しみください。 (Ki)
FHR-134
(b)romance
サン=サーンス:ロマンス Op.36
ルーカス・フォス:カプリッチョ(G.ピアティゴルスキー版)
コープランド:ポエム
クララ・シューマン:ピアノ協奏曲 Op.7より 第2楽章 ロマンツェ
ドビュッシー:美しき夕暮れ(N.カネラキス編)
シベリウス:メランコリーOp.20
ヒナステラ:パンペアーナ 第2番 Op.21
マイケル・ステファン・ブラウン(1987-):前奏曲と舞曲 *
フォーレ:ロマンス Op.69
ニコラス・カネラキス(1984-):GFのロマンス *
マイケル・ステファン・ブラウン:35Chords for Nick *
ラフマニノフ:リート
ガーシュウィン:3つの前奏曲(N.カネラキス編 *)
ドン・エリス(1934-1978):Bulgarian Bulge(N.カネラキス編 *)
ニコラス・カネラキス(Vc)
マイケル・ステファン・ブラウン(P)

録音:2023年1月3-6日/ニューヨーク、マウントバーノン、オクタヴェン・オーディオ
*=世界初録音
15年以上デュオを組んでいる二人による、ロマンスを中心としたアルバム。めったに聴くことのできない珠玉の名曲や彼ら自身の作編曲による作品も収録。美 しいメロディのもの、技巧的なもの、気軽に楽しめるものまで幅広いプログラム。 (Ki)
FHR-136
セラー・セッションズ
ジョルジ・ブーランジェ(1893-1958):Tokay (1938)
テイラー・スウィフト(b.1989) / エイブ・シュワルツ(1881-1963):Shake it Off (2014) / Lebedik un Freylach (Lively and Happy) (1920s)
アウレル・ゴーレ(1928-1989):Hor? din Bude?ti (Dance from Bude?ti) (1967)
ドナ・サマー(1948-2012):I Feel Love (1977)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001より IV. Presto (1720)
ジェイ・ゴーニー(1896-1990):Brother can you spare a dime? (1932)
フランシスコ・カベス(fl. mid-20th cent):Tamboo (1951)
シューベルト:ピアノ三重奏曲第3番 変ホ長調より II. Andante con moto (1827)
ソランジュ(b.1986):Scales (2016)
ミスカ・ボルソー(1800-1864):Isteni Csardas (Divine Tavern Csardas) (c.1848)
ジョルジ・ブーランジェ:Boulevard Boulanger (Afrika) (c.1938)
ヘルムート・リッター(1907-1988):Rote Rosen (Red Roses) (c. 1938)
ZRI[ベン・ハーラン(クラリネット、バスクラリネット)、マックス・ベイリー(Vn )、マシュー・シャープ(チェロ、バリトン )、ジョン・バンクス(アコーディオン)、イリス・ピサライド(サントゥーリ)]
ブラームスの行きつけだったことでも有名なウィーンの居酒屋レストラン「赤いハリネズミ(Zum Roten Igel)」を名前の由来とするアンサンブル「ZRI」によ るアルバム。国際的なオーケストラとの共演、即興演奏、異文化コラボレーションなど、豊富な経験をもつ5人の世界的音楽家で構成されています。
「赤いハリネズミ」は100年もの間ウィーンの音楽生活の中心地として機能しており、様々な文化交流があったと考えられます。そこからイメージをたっぷり広 げて編まれた、ジャンルを超えた様々な楽曲が民族楽器を含むミックス・アンサンブルで奏でられるという刺激的な収録内容です。
FHR-137
春のよそおい 〜16・17世紀室内楽の装飾技法
ピーテル・デ・フォイス(c.1580/81-1654):Je ne puis eviter
パレストリーナ(c.1525-1594)/ジョヴァンニ・バッサーノ(1558-1617)によるディミニューション:Vestiva i colli
パレストリーナ/ロレンツィーノ・デル・リュート(c.1552-1590)による装飾:Cosi le chiome mie
ジョン・ベネット(c.1575-1614)/ミリヤム=ルイーズ・ミュンツェル(b.1990)によるディミニューション:Venus’ Birds
ミヒャエル・プレトリウス/ミリヤム=ルイーズ・ミュンツェルによるディミニューション:Bransle de la Torche XV
ヤコブ・ファン・エイク(1590-1657):Slap o zoete slap
フィリップ・ヴェルドロ(1485-1552)/ミリヤム=ルイーズ・ミュンツェルによるディミニューション:Diminutions on O dolce nocte
オルランド・ディ・ラッソ(c.1530-1594)/作者不詳のインタブレーション:Susanne ung Jour
作者不詳/ヤコブ・ファン・エイクによるディミニューション:When Daphne from fair Phoebus did fly
パレストリーナ/ロレンツィーノ・デル・リュートによる装飾:Vestiva i colli
ピエール・フランシスク・カルーベル(1556-c.1611):Spagnolette
オルランド・ディ・ラッソ/ミリヤム=ルイーズ・ミュンツェルによるディミニューション:Susanne ung jour
ニコラ・マッテイス(1650-1714):前奏曲
チプリアーノ・デ・ローレ(c.1515-1565)/ミリヤム=ルイーズ・ミュンツェルによるディミニューション:Ancor che col partire
アントニー・ホルボーン(c.1545-1602)/ミリヤム=ルイーズ・ミュンツェルによるディミニューション:Paradizo
フレスコバルディ:Toccata Nona
ニコラ・マッテイス:Diverse bizarrie sopra la Vecchia Sarabanda o pur Ciaccona
ルクス・ムジケ・ロンドン [ミリヤム= ルイーズ・ミュンツェル(リコーダー)、アイリーン・ヘンリー(Hp)、トビー・カー(Lute)]

録音:2022年2月/ロンドン、ストラウド・グリーン、ホーリー・トリニティ教会
16-17世紀に流行した「ディミニューション」は音型をどんどん細かくしていく装飾的な変奏技法です。作品の響きを損なわずに技巧的に高まっていくこの技 法をテーマにした、リコーダー、ハープ、リュートという最小編成による親密なアルバム。当時に書かれたディミニューションのみならず、リコーダー奏者のミュンツェ ルが施したディミニューションも聴けます。
タイトルの「Vestiva」は収録されているパレストリーナの有名曲「Vestiva i colli」からとったもの。これは「野や丘が花に着飾られて、春の訪れが告げられる」 というような歌詞をもつ曲で、さまざまな装飾で音楽を色づけていくディミニューションの技法と響き合うイメージをもっています。 (Ki)
FHR-139
からっぽの部屋から
アルベニス:スペイン組曲より 「アストゥリアス」 Op.47-5(1886)(Jane Gillie編)
ビャーネ・ブルースタ(1895-1978):悪魔の組曲より 「ヒルドリング」(1946)
テレマン:幻想曲第1番変ロ長調 TWV40:14
サリー・ビーミッシュ(1956-):賢きメイド(1998)*
ジェームズ・フランシス・ブラウン(1969-):ひとりごと(2020)*
エロリン・ウォーレン(1958-):バーサ(2021)*+
デイヴィッド・マシューズ(1943-):前奏曲集より 第12番「ルミノーゾ」 Op.132-2(2014)
ライル・クレスウェル(1944-2022):レント(1994)*
プロコフィエフ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 Op.115
アレクセイ・イグデスマン(1973-):アップルマニア(2009)
サラ・トリッキー(Vn )
ロジー・ベルゴンツィ(ハンドパン+)

録音:2022年2月24・25・28日/ロンドン、プラムステッド、アセンション教会
(エロリン・ウォーレンのみ)2020年3月13日/ロンドン、サウンドハウス・スタジオ
*=世界初録音
「私にとってロックダウンとは、インターネットを通じて新旧の素晴らしいヴァイオリン音楽を発見し、共有する機会を得るきっかけでもありました。テレマンやプ ロコフィエフといった古典的なレパートリーから現代作曲家の作品まで、ロックダウン中に演奏された作品で構成されたアルバムです。いくつかの曲は私のために 書かれたもので、初録音として収録されています。」(サラ・トリッキー)
FHR-140
クルト・ヴァイル:作品集
(1)『三文オペラ(1928)』組曲(1956) [マックス・シェーンヘル(1903?1984)編]
(2)七つの大罪(1933)
(3)パナマ組曲(1934)
(4)9月の歌(1938)
(5)スラバヤ・ジョニー(1929)
(2)セレーナ・ウェイ(S)、オトマール・スターム(Br)、マルティン・ミュラー(T)、ウェルナー・ギュラ(T)、グレゴール・ロジツキ(Bs)
(4)マルティン・ミュラー(T)
(5)セレーナ・ウェイ(S)
マーク・フィッツ=ジェラルド(指)
バーゼル・シンフォニエッタ

録音:(1)(2)(4)(5)1991年2月3日、(3)1993年9月5日/スイス、バーゼル、シュタットカジノ
20世紀前半の舞台音楽史に大きく名を残したドイツ生まれのアメリカ人作曲家クルト・ヴァイルと、詩人・劇作家のベルトルト・ブレヒト。ふたりのコラボ作品 の中でもっとも有名な「七つの大罪」や、聴く機会が少ないもののとても魅力的な「パナマ組曲」等を収録。人気の高い「三文オペラ」からの管弦楽組曲も入って います。
1991年と1993年に行われたこのコンサートからのライブ録音です。一時期、バーゼルで限定的に公開されていた音源でしたが、First Handレーベルのリ マスターによりCDが世界発売されることになりました。
FHR-141
バビロンの涙 〜バッハ:ピアノ編曲集
バッハ:トリオ・ソナタ第5番ハ長調 BWV529〜 I. アレグロ、II. ラルゴ
カンタータ BWV51〜 IV. コラール
カンタータ BWV13〜 I. アリア、III. コラール
カンタータ BWV35〜 IV. アリア
カンタータ BWV18〜 I. シンフォニア、IV. アリア
バッハ(アレクサンドラ・パパステファノウ編):コラール前奏曲 BWV711/ プレイング・ウィズ・バッハ
バッハ:カンタータ BWV127〜 III. アリア
カンタータ BWV22〜 IV. コラール
バッハ(アレクサンドラ・パパステファノウ編):バビロン川のほとりに BWV653/ ビル・エヴァンスに捧ぐ
バッハ:カンタータ BWV147〜 X. コラール「主よ、人の望みの喜びよ」(マイラ・ヘス編)
アレクサンドラ・パパステファノウ(P)

録音:2022年6月7-8日
バッハのカンタータ、オルガンのトリオ・ソナタ、コラール前奏曲を、ギリシャのピアニスト、アレクサンドラ・パパステファノウが自ら編曲し初収録。一部の楽曲 はバッハを基に独自の創作を加えています。最後に有名なマイラ・ヘス編の「主よ、人の望みの喜びよ」を置くことで、美しい流れが完結するように構成された一枚。 (Ki)
FHR-142(2CD)
ヘンデル:8つのチェンバロ組曲 HWV426-433
「CD1]
組曲第1番イ長調 HWV426
組曲第6番嬰へ短調 HWV431
組曲第5番ホ長調 HWV430
組曲第4番ホ短調 HWV429
シャコンヌ ト長調 HWV435
[CD2]
組曲第2番ヘ長調 HWV427
組曲第3番ニ短調 HWV428
組曲第8番へ短調 HWV433
組曲第7番ト短調 HWV432
小川麻子(Cemb)

録音:2022年8月27・29・31日/ロンドン、チョークファーム、救世主教会
同年生まれのバッハ、スカルラッティと同様に鍵盤の名手だったヘンデル。残された作品では1720年にロンドンで出版された「8つの組曲」がとくに重要です。 イタリアの洗練、フランスの優美さ、ドイツの伝統といった、さまざまな趣味が自在に統合された音楽であり、「大組曲」とあだ名される名作。フーガや変奏曲が散 りばめられながらも堅苦しさのない自由な語り口に彩られ、ヘンデルならではの魅力にあふれています。第5番は有名な「調子のよい鍛冶屋」を含む佳品。
ロンドンを拠点に活動する鍵盤奏者・小川麻子による雄弁な演奏。シャープ系の調を1枚目、フラット系の調を2枚目に配した構成で、それぞれの最後を「シャ コンヌ」と「パッサカリア」(第7番の終曲)という似た曲種にしているのが面白いところ。バッハの「6つのパルティータ」(FHR-92)に続くFirst Handレーベル第2弾アルバムです。 (Ki)
FHR-143
ブルックナー:モテット集
見よ、大いなる司祭を WAB13(1885)
アヴェ・マリア WAB6(1861)
タントゥム・エルゴ 変イ長調 WAB41/4(1846 rev.1888)
この場所は神が造り給う WAB23(1869)
パンジェ・リングァ WAB33(1868)
乙女たちは王の前に招き入れられ WAB1(1861)
オルガンのための前奏曲とフーガ ハ短調 WAB131 (1847)
愛する者よ、あなたはすべてに美しい WAB46 (1878)
正しき者の唇は知恵を語る WAB30(1879)
王の御旗は翻る WAB51(1892)
エサイの枝は芽を出し WAB52(1885)
タントゥム・エルゴ ニ長調 WAB32(1845)
ダビデを見出し WAB19(1868)
オルガンのための後奏曲 ニ短調 WAB126(c.1846)
御身の民を救いた給え WAB40(1884)
キリストは従順であられた WAB11(1884)
デヴィ・リース(Org)
アンドリュー・ルーカス(指)
セント・オールバンズ大聖堂cho

録音:7月12・13・20・21日/イギリス、ハーフォードシャー、セント・オールバンズ大聖堂
ブルックナーと言えばなんといっても交響曲ですが、それに次いで存在感のある曲種が宗教的な声楽曲です。敬虔なカトリックであった作曲者の「祈り」がスト レートに表れているという点では交響曲以上とも言えましょう。
11世紀に建てられたセント・オールバンズ大聖堂での録音で、非常に優れた音響がたのしめます。女声ではなく少年合唱を起用した演奏。オルガン曲も収録し ています。 (Ki)
FHR-144
スモック・アリー〜トンマーゾ・ジョルダーニとアイルランド音楽
伝承曲:Gallaway’s Lament
フランシス・アイルランド(ハッチソン)(1721-1784):To Sleep
トンマーゾ・ジョルダーニ(1730-1806):6つのチェロ二重奏曲 Op.18 第1-3番
トーマス・ロザイングレーブ(1690/91-1766):スカルラッティのレッスンのための導入部
ドメニコ・スカルラッティ:ソナタ ト長調 K13/ ト短調 K30
トンマーゾ・ジョルダーニ:6つのチェロ二重奏曲 Op.18第4-6番/ 鍵盤楽器のための前奏曲 イ長調 Op.33-11
フランチェスコ・ジェミニアーニ(1687-1762):チェロ・ソナタ イ長調 Op.5-1
伝承曲:Eileen Aroon / Molly St George / The Rakes of Westmeath
カリーナ・ドラリー(1985-):Caoineadh
アイルランディアーニ
【カリーナ・ドラリー(バロック・チェロ)、ポピー・ワルショー(バロック・チェロ)、ジョン=ヘンリー・ベイカー(ヴィオローネ、打楽器)、ナサニエル・マンダー(Cemb)、エイマー・マクゲオン(アイリッシュ・フルート)】
イタリアの作曲家トンマーゾ・ジョルダーニ(1730-1806)はオペラ一座の生まれで、ダブリンの「スモック・アリー劇場」で劇音楽を発表し活躍した人物。血 筋の確証もないジュゼッペ・ジョルダーニと混同された歴史があり情報が錯綜していますが、あの有名な歌曲『カロ・ミオ・ベン』の作曲者でもあるとされていま す。このトンマーゾのチェロ二重奏曲をメインに据え、イタリアとアイルランドの音楽を絡めて18世紀ダブリンの世界観を探求したアルバム。チェロ2本の素朴にし て豊かな響きに打楽器やアイリッシュ・フルートが加わることで、独特の彩りがもたらされています。
FHR-145
ヴェネツィアのドイツ人
シュッツ(1585-1672):Lobet den Herrn, SWV 350(シンフォニエ・サクレ第2集より)
モンテヴェルディ:Messa a quattro voci et salmi concertati No.4, Confitebor tibi Domine,
SV193
シュッツ:O suser, O freundlicher, SWV285(小宗教コンチェルト集より)
サラモーネ・ロッシ(1570-1630):Il terzo libro de varie sonate, sinfonie, gagliarde, brandi e corrente, Op.12(pub.
1623):4Sonata sopra l’aria di Ruggiero
シュッツ:Exultavit cor meum, SWV258(シンフォニエ・サクレ第1集より)
ジョヴァンニ・フェリーチェ・サンチェス(1600-1679):Stabat Mater (pub.1638)
シュッツ:Paratum cor meum, SWV257(シンフォニエ・サクレ第1集より)
アレッサンドロ・グランディ(1586-1630):Lauda Sion Salvatorem (pub. 1621)
シュッツ:Ich werde nicht sterben, SWV346(シンフォニエ・サクレ第2集より)
サラモーネ・ロッシ:Il terzo libro de varie sonate, sinfonie, gagliarde, brandi e corrente, Op.12(pub. 1623):A
Sonata ottava sopra l’aria E tanto tempo hormai
シュッツ:Cantabo Domino in vita mea, SWV 260(シンフォニエ・サクレ第1集より)
カヴァッリ(1602-1676):O quam suavis es (pub.1625)
シュッツ:Herr, unser Herrscher (Psalm8), SWV343(シンフォニエ・サクレ第2集より)
アレッサンドロ・グランディ:Decantabat populus Israel (pub.1641)
シュッツ:Ich danke dir Herr, SWV347(シンフォニエ・サクレ第2集より)
デヴィッド・デ・ウィンター(T)
ブロック・ストリート・バンド

録音:2023年2月6-8/ノーフォーク、オックスニード・ホール
ハインリヒ・シュッツはバッハ以前のドイツを代表する巨匠で、500を超える曲が現存しています。若いころにヴェネツィアを2度訪れ、ガブリエリとモンテヴェル ディに会うなどしてイタリア音楽を吸収。ドイツに持ち込み、主に教会音楽の分野で活躍し、ルネサンスからバロックへと歴史を進めた音楽家でもあります。このアル バムは華麗で技巧的なイタリア音楽とシュッツの音楽を交互に聴いていくもの。シュッツの受けた影響と、自らの語法の獲得とが両方感じられる興味深い内容です。 (Ki)
FHR-146
プロコフィエフ:ロメオとジュリエット Op.64(抜粋)
[第1幕]
第1曲 前奏曲
第2曲 ロメオ
第4曲 朝の踊り
第10曲 少女ジュリエット
第11曲 客人たちの登場
第12曲 仮面
第13曲 騎士たちの踊り(モンタギュー家とキャピュレット家)
第19曲 バルコニーの情景
第20曲 ロメオのヴァリアシオン
第21曲 愛の踊り
[第2幕]
第22曲 民衆の踊り
第24曲 五月の踊り
第33曲 決闘
第35曲 ロメオはマキューシオの死の報復を誓う
第36曲 終曲
[第3幕]
第37曲 前奏曲
第39曲 ロメオとジュリエットの別れ
[第4幕]
第51曲 ジュリエットの葬式
第52曲 ジュリエットの死
リムスキー=コルサコフ:『ロシアの復活祭』序曲 Op.36
アルヴァロ・カッスート(指)
ポルトガルSO

ライヴ録音:(1)1995年9月26日、(2)1996年2月16日/ポルトガル、リスボン、ベレン文化センター大講堂
アルヴァロ・カッスートは、1938年生まれのポルトガルの作曲家、指揮者。リスボン大学で法律を、ウィーン音楽院で指揮を学びました。作曲家としては、ポル トガルで初めてトータルセリエリズムを取り入れた作品を発表するなど前衛的な表現を経て、70年代にポストモダンの作風に変化。以降、次第に指揮活動がメイン になっていき、ポルトガルの主要オーケストラを振って祖国の作曲家を積極的に録音するなどして活躍しています。
近現代作品に強いカッスート。このCDの収録曲も自身のレパートリーとして定着しているもので、自ら編んだ『ロメジュリ』抜粋版では劇的な音楽が連続性を もって構築され、『ロシアの復活祭』ではその巧みなオーケストレーションの旨味がみごとに音化されています。もともとは1990年代半ばにポルトガルの放送局 「Antena2」で放送されたライヴ音源で、このたび丁寧にリマスターされて初の商業リリースとなります。
ポルトガルSOは1993年結成の比較的若い楽団。熱気あるサウンドが魅力的で、大規模な作品も見事に聴かせます。カッスートは初代首席指揮者として、 1999年までこの楽団を鍛え上げました。
FHR-148
ファニー・ヘンゼル(ファニー・メンデルスゾーン=ヘンゼル)(1805-1847):歌曲集
[1820年]
Wenn ich ihn nur habe * / Die Schonheit Nicht, Madchen * / Wohl deinem Liebling *
[1823年]
Der Abendstern # / Die sanften Tage * / Der Sanger * / An die Entfernte
[1824-26年]
Auf der Wanderung * / Abschied * / Mond* / Sehnsucht [H-U190]
[1827年]
Sehnsucht [H-U192] * / Maigesang / Seufzer * / An den Mond* / An die Ruhe * /
Sehnsucht [H-U203] * / Sehnsucht [H-U205] / Umsonst * / Suleika
[1828-33年]
Sehnsucht [H-U217] / Nacht / In der Ferne *
[1835-38年]
Uber allen Gipfeln ist Ruh’ / Ach, die Augen sind es wieder / Das Meer Erglanzte / Ich wandelte unter den Baumen
[1840-44年]
Der Furst vom Berge / Traurige Wege / Dammrung senkte sich von oben / Traum / Mutter, o sing mich zur Ruh’ *
[1846年]
Erwache Knab’, erwache * / Vorwurf
ジェニファー・パーカー(Ms)
ステファニー・ウェイク=エドワーズ(Ms)
ティム・パーカー=ラングストン(T)
ジェームス・コールマン(P)
ジュヌヴィエーヴ・エリス(P)
エヴァン・ギルフォード(P)

録音:2023年1月3-8日/ライプツィヒ、メンデルスゾーンハウス
* 初録音
# 商業用初録音
フェリックス・メンデルスゾーンの姉で、ピアノ曲や歌曲を残しているファニー・ヘンゼル。その生涯については多くのことが研究者によって明らかにされ、たく さんの手書き譜も見られるようになりましたが、肝心の音楽についてはまだあまり知られていません。この現状を打破すべく、ヘンゼルの歌曲を研究し「HENSEL SONGS ONLINE」(henselsongsonline.org)に239曲の歌曲の楽譜を公開しているテノール歌手、ティム・パーカー=ラングストンを中心としたメンバー による、貴重な初録音を含む歌曲集が登場しました。ヘンゼル自身もかつて暮らしていた、メンデルスゾーンハウスでの録音。
アルバムはヘンゼルが10代の頃の初期作品にはじまり、晩年にかけて年代順に展開。先へ進むにつれ書法が発展し、音楽的にもどんどんと表現豊かになってい くのが聴き取れます。最後に収録された「Vorwurf」はヘンゼルの作品10として、作曲家の死後に弟フェリックスによって出版された作品。
FHR-149
ハイノ・エラー(1887-1970):ヴァイオリンとピアノのための作品集
ヴァイオリン・ソナタ第2番*
無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 *
憂鬱なワルツ/アレグレット
舞曲 */楽興の時 *
アダージョ */叙情歌
月光の下で/幻想曲 *
カンツォネッタ *
クロス・スティック・ダンス *
夜の歌/ブルレスケ *
北欧の調べ */松
アンドレス・カリユステ(Vn)
ソフィア・ラーマン(P)

録音:2021年9月/エストニア、アルヴォ・ペルト・センター
*世界初録音
ハイノ・エラー(1887-1970)はエストニアの作曲家で、300ほど残された作品はほとんど器楽作品。交響曲、交響詩、弦楽四重奏曲、ピアノ・ソナタなども 書いていますが、本質的には小品形式の名作家といえます。音楽は明るくも抑制された北欧的叙情が魅力。奏者への要求も高いヴァイオリン・ソナタ第2番や無伴 奏ヴァイオリンのための幻想曲、そして想像力が軽やかに飛翔する性格的小品などを収録。『松』はエストニアのヴァイオリン・レパートリーの中で最もポピュラー な作品です。 (Ki)

FHR-152
フォーレ:チェロ・ソナタ第1番 ニ短調 Op.109(1917)
ゴードン・クロス(1937-2021):Wavesongs(1983)
ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ短調 Op. posth. M.12(1897)(Vcとピアノ編曲版)
アレクサンダー・ベ イリー(Vc)
ナイジェル・ヤンデル(P)

録音:2022年11月12-14/イギリス、サフォーク、アルフェトン・ニュー・モルティングス
アンドレ・ナヴァラとジャクリーヌ・デュ・プレに師事したイギリスのチェリスト、アレクサンダー・ベイリー(1956-)によるアルバム。チェロ・ソナタの名作とし て知られるフォーレの第1番、ベイリーのために書かれたゴードン・クロスの印象的な現代作品「Wavesongs」、ラヴェル初期の作品であるヴァイオリン・ソナタ のチェロ編曲版を収録しています。 (Ki)
FHR-156
Night Fancy
ダニエル・バチェラー(1572-1619):Monsieurs Almaine
ジョン・マクロード(1934-2022):ブリテンの『グロリアーナ』の主題による幻想曲(2012)
フィリップ・ロセター(1568-1623):プレリュード - アルマン - パヴァン - ガイヤルド
ピーター・ラシーン・フリッカー(1920-1990):Paseo, Op.61(1970)
フィリップ・ロセター:ファンタジア
ブリテン:ダウランドによるノクターナル Op.70(1963)
マイケル・バテン(G)
バークシャー生まれのギタリスト、マイケル・バテンによるFirst Hand Recordsレーベル2枚目のアルバム。前作のダウランド作品集(FHR-84)に続きイギ リス音楽を収録。ブリテンを軸に古楽と20世紀を結びつけます。アルバムタイトルの「Night Fancy」は、ブリテンの『ノクターナル』のオリジナルタイトル。 (Ki)
FHR-158
ラヴェル:室内楽作品集
ヴァイオリン・ソナタ第2番ト長調 M.77
ヴァイオリンとチェロのためのソナタ イ短調 M.73
ピアノ三重奏曲 イ短調 M.67
クララ・フリーダー(Vn)
クリストフ・パンティヨン(Vc)
マッシモ・ジュゼッペ・ビアンキ(P)

録音:2021年2月27-28日・8月30日/ウィーン、マルガレーテン音楽学校
ラヴェル自身もいたくお気に入りだったというヴァイオリン・ソナタ第2番、ドビュッシー追悼として書かれたヴァイオリンとチェロのためのソナタ、複雑で感情的 な大曲・ピアノ三重奏曲を収録。エキゾチックな旋律美が楽しめます。 (Ki)


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