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殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



チャイコフスキー:交響曲第5番〜全レビュー
TCHAIKOVSKY:Symphony No.5 in e minor Op.64
ウィリアム・スタインバーグ(指揮)
William Steinberg



掲載しているCDジャケットとそのCD番号は、現行流通盤と異なる場合があります。あらかじめご了承下さい。


Tchaikovsky : SYMPHONY NO. 5 in E minor, Op. 64

ウィリアム・スタインバーグ(指)
ピッツバーグ交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:
Treasures
TRT-006(1CDR)
録音:1953年頃 ※英mfp盤からの復刻(交響曲の第3楽章に、消去しきれないノイズがあります)
演奏時間: 第1楽章 14:07 / 第2楽章 12:49 / 第3楽章 6:12 / 第4楽章 12:29
カップリング/チャイコフスキー:弦楽セレナード
潔癖でありながら綺麗事ではないフレージングの意味深さ!”
スタインバーグの録音は、何を聴いても「誠実だけど胸に迫らない」という印象しか得られなかったのが、このチャイコフスキーには、時を忘れて聴き入ってしまいました。音楽を歪曲しない誠実さの背後には、鉄壁なまでのアーティキュレーションへのこだわりが垣間見え、それが音楽の清潔な流れと呼吸の源となって確実に音楽を突き動かしていることに気付かされたのです。
清潔なフレージング対する確固たる信念は、ドイツ生まれのスタインバーグの血のなせる技とも言えますが、最大の特徴は、テンポの緩急、強弱の変動に極端なコントラストを与えていないこと。ニュアンスを強調する箇所が皆無に近いので、感覚的には堅物な印象しか与えないかもしれませんが、決して楽譜絶対主義ではなく、聴けば聴くほど各フレーズを最も自然に息づかせる絶妙な柔軟性が終始一貫していることに敬服するばかりです。特に第2楽章は、スタインバーグの美学が満載。108小節の弦のピチカートなど、こんな含蓄のある響きを聴いいたことはありません。その直後の弦のテーマにはポルタメントが掛かりますが、こんな古さも汚れもないポルタメントがあり得ることに驚きを禁じえません。思えば1950年代前半は、19世紀的なロマン主義的な演奏スタイルから離脱する過渡期でしたが、オーマンディなどと同様に、現代的アプローチとの折衷スタイルが現れた瞬間としても興味深いものがあります。終楽章後半、全休止後のテーマの斉奏は、これほど弦のボウイングの使い分けを徹底した例を他に知りません。しかもそれを無理強いした痕跡など皆無で、当然のように自然にこなしているのは、この時期オケが既にスタインバーグの音楽性に全幅の信頼を置いていた証でしょう。だからこそ結果的に力技ではない、独特の清々しさを誇る推進力に結実しているのです。
スタインバーグは1952年から20年以上も音楽監督を務め、もちろん歴代最長。そもそも真面目なだけではこれだけの年数を務め上げることなど不可能だということに、もっと早く気づくべきだったと、猛省するばかりです。【湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットと弦のブレンド感が良好。誠実なフレージングで、そのバランスを貫徹し、感傷方に陥らない姿勢を示す。
ツボ2 テンポは標準的。リズムに憂いを浸透させず淡々と進行しながら、スコアに従えば自然とペーソスが滲むはずという信念が感じられる。
ツボ3 スコア通り。
ツボ4 実に清潔!
ツボ5 スフォルツァンドは省略し、スラーも強調せずに、全体をレガートで息づかせることを主眼としている。
ツボ6 ピンポイントで表情が突出することを避けるスタインバーグの姿勢が現れた瞬間。強弱の振幅を抑制している。
ツボ7 正確な音程が物を言っている。155小節からの管と弦の対話では、弦に僅かにリタルダンドが掛かる。
ツボ8 スタインバーグの洗練美が有機的に結実!新たなシーンであることを聴き手に悟らせないように、イン・テンポで滑り込む。これは、微妙な間合いの差で、無機的に響く危険があり、この指揮者の演奏の良し悪しも、そこの鍵があるのかもしれない。
ツボ9 克明に付点のリズムが聞き取れる。決然たるイン・テンポ進行であざとく緊張を煽ることなく、説得力のある終結を築く。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦の導入は、このオケの優秀さを示す。ホルンの技巧も申し分なし。もう少しデリカシーが欲しい。
ツボ11 56小節を頂点とした叩きつけるようなフォルティシシモではなく、レガートの線上での呼吸の膨らませ方が絶妙。
ツボ12 クラリネットはやや明るすぎるきらいが有り。その後の弦の「洗練されたポルタメント」は聴きもの!
ツボ13 お見事!ハーモニーの一つ一つを吟味するように奏でる理想的な演奏!
ツボ14 力感を強調せず、あくまでもフレージングの持続を優先。
ツボ15 スコア以上の表情の追加はなし。
第3楽章のツボ
ツボ16 明確にテンポを落とす。70小節でも同様。
ツボ17 ここからテンポを上げる。アメリカ的な軽薄さを感じさせず、地に足の着いた音の量感を維持。
ツボ18 パーフェクト!
第4楽章のツボ
ツボ19 格調高いレガート!この手法では表情が中途半端に終始することが多いが、ここでは明確なビジョンが感じられる。
ツボ20 ホルンは裏方だが、決して埋没していない。
ツボ21 テンポは標準的で、ティンパニもほぼスコア通り。管楽器の小細工を施さず、弦の力感を軸として進行。
ツボ22 これが理想的な手法かもしれない。ここにアクセントがあることを聴き手にわからない程度に音を響かせている。これを聴くと、この一音だけに明確にアクセントを置くのは不自然としか思えなくなる。
ツボ23 音の隈取は不明瞭だが、全体の力感には不足なし。
ツボ24 わずかにテンポアップ。
ツボ25 目立たない程度の打ち込み。
ツボ26 主部冒頭のテンポに戻す。
ツボ27 一段テンポを落とした安定した進行。ここにも、緊張を煽ろうとする意図を表面化させないスタインバーグの潔癖さが生きている。
ツボ28 ほぼ楽譜の音価を遵守。ティンパニの一撃もない。
ツボ29 実に健康的だが決して脳天気な開放ではなく、すべての音が結晶化している。
ツボ30 弦は、475小節ではレガート処理し、477小節では音を切るというボウイングの使い分け!同フレーズの繰り返し時にも同じ処理を行っており、漫然と流す演奏が多い中で、スタインバーグがいかにフレージングにこだわっていたかを示す重要なポイントと言えよう。そして、その後のトランペットは、一貫して音を切っている。ドイツ的な血のなせる技か?
ツボ31 弦の動きと合わせる改変型。
ツボ32 殊更の強奏はさせていない。
ツボ33 562小節と563小節のみテンポを落とし、最後の2小節でテンポを戻す。

Tchaikovsky : SYMPHONY NO. 5 in E minor, Op. 64
ウィリアム・スタインバーグ(指)
ボストン交響楽団
第2楽章ホルン・ソロ:チャールズ・カヴァロフスキ(?)
ETERNITIES
ETCD-517-S(1CDR)
廃盤
録音:1972年10月13日 ボストン (ステレオ/放送録音)
演奏時間: 第1楽章 15:54 / 第2楽章 12:38 / 第3楽章 5:47 / 第4楽章 11:46
”効果を狙わず尋常ではない誠実さで作品に向き合うスタインバーグの美学!”
YouTubeにある音源をそのままダビングしたのでしょうか?音は年代の割には不鮮明なのがまずハンディ。これで音がもっとクリアであれば、音楽の色彩的な魅力が浮上したと思われるので残念でなりません。したがって、聴後の手応へは薄いのですが、スタインバーグの誠実過ぎる指揮スタイルを再認識出来た点は収穫でした。とかく「誠実」というと楽譜をなぞっているだけの場合が多いですが、スタインバーグの場合は音楽が最良の形で響くことを常に考えていることが随所に感じられます。例えば、第2楽章の弦のピチカートは、これほど「ピチカートらしさ」にこだわって入念に響かせている例は稀。思えばそのこだわりは、コマンド録音のベートーヴェン全集でティンパニを大々的に改変していることでも明らかなように、オイゲン・ヨッフムなどのようにシンプルにバランスの良い美しい響きを優先するスタイルと共通していると言えましょうし、決して学究的に楽譜をほじくり回すのではなく、センスのみが勝負のこのスタイルは昨今は絶滅したと思われるだけに、かえって新鮮でもありました。
 そのバランスの取れた響きの追求に関して特筆すべきは、終楽章の122小節と372小節。ボストン響の「チャイ5」演奏ではクーセヴィツキーの影響を伺わせることが多い箇所です。提示部122小節のトロンボーンとチューバは【2分休符+2分音符】の2音ですが、これをスタインバーグは【4分休符+付点2分音符】に変更(1953年録音では変更なし)。同じボストン響を指揮したチャイ5では、クーセヴィツキー、モントゥー、バーンスタイン、小澤のいずれもこの変更は行っていませんが、意外にもラインスドルフの1969年の映像(ICA Classics)のみ同じ処理をしています。同様のフレーズは再現部の372小節にも登場し、そこでは【4分休符+付点2分音符】になっているので、それと揃えたということになります。それと逆の処理をしているのがクーセヴィツキーとバーンスタイン、モントゥー。372小節の【4分休符+付点2分音符】を逆に122小節の【2分休符+2分音符】に変更しているのです。つまり、スタインバーグは、クーセヴィツキーの書き込みのあるスコアを再点検し、そこを改変するならこちらの改変のほうがスマートだと考え、ラインスドルフもその考え方を採用した、とも言えるのではないでしょうか?もしそうであるならば、伝統やルーティンなどに流されず、常に初心に立ち返って作品に対峙する姿勢は指揮者の鑑と呼ぶべきでしょう。
 音楽監督を務めたボストン響とのRCA録音ですらまともに紹介されなかったスタインバーグの真価が、今後良質な音質が発表されることで明らかになることを願うばかりです。【2026年8月・湧々堂】
第1楽章のツボ
ツボ1 クラリネットと弦のブレンド感が良好なバランス。テンポ・ルバートはごくわずかで、淡々と進行。
ツボ2 テンポは標準的。リズムのエッジを立てす、音色も外面的にならないように配慮しているのは、とても好感が持てる。
ツボ3 ポルタメントこそ掛からないが、実に滑らかでソフトな質感を一貫させている。
ツボ4 普通のイン・テンポだが、音の置き方が丁寧。
ツボ5 スフォルツァンドは省略。スラーも強調せずに自然なフレージングに終止するのは、1953年盤と同じ。
ツボ6 強弱の振幅は抑え気味。
ツボ7 ピチカートはやや不揃いながら、木目調の質感がよく出ている。
ツボ8 あっけらかんとしたイン・テンポだが、耽溺しない清潔なロマンを旨としていることがよく分かる。
ツボ9 イン・テンポで進行。やや遅めのテンポなので16分音符は聞き取れる。
第2楽章のツボ
ツボ10 低弦の導入は、付点2分音符を均等に配置。ホルンは個性を誇示しない自然体ながら、実に味わい深い。
ツボ11 フォルティシシモを誇張せず、自然な呼吸の増幅として描いている。
ツボ12 クラリネットもファゴットも自己顕示に傾かない。直後のヴァイオリンに一瞬ポルタメントが掛かるが、控えめで良い塩梅で進行。
ツボ13 お見事!ハーモニーの一つ一つを吟味するように奏でる理想的な演奏!
ツボ14 興奮を煽るのではなく、フレージングの持つ自然な推進力をそのまま活かしたエネルギーの増幅が素晴らしい!
ツボ15 ボストン響の弦の魅力を存分に堪能。
第3楽章のツボ
ツボ16 一切リテヌートせずにいきなりテンポを落とす。
ツボ17 イン・テンポ。
ツボ18 美しい一本のライン。
第4楽章のツボ
ツボ19 標準的なテンポで中庸のニュアンスで一貫。
ツボ20 ホルンは裏方だが、ハーモニーの一翼は担っている。
ツボ21 テンポは標準的。ティンパニはスコア通りながら、音量は控えめ。
ツボ22 完全に無視。
ツボ23 不明瞭だが、力感た伝わってくる。
ツボ24 わずかにテンポアップ。
ツボ25 強打ではないが克明な響き。
ツボ26 少しテンポを落として主部冒頭のテンポに戻す。
ツボ27 一段テンポを落とした安定した進行。緊張感を煽らずに楷書体を徹底遵守。
ツボ28 楽譜の音価を完全遵守!ティンパニの一撃あり。全休止がほんのわずか短めに感じられるが、拍手が起きないための工夫かもしれない。
ツボ29 健康的な進行。
ツボ30 弦は音を切り、トランペットはレガート気味。
ツボ31 音が濁っていて曖昧だが、改変型と思われる。
ツボ32 殊更の強奏はさせていない。
ツボ33 最後の4小節でテンポを落として決然と締めくくる。


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