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器楽曲F〜フォーレ



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フォーレ/FAURE

Avie
AV-2133(1CD)
フォーレ:夜想曲(全13曲)
チャールズ・オーウェン(P)
録音:2008年2月6日〜7日&9日、ヘンリー・ウッド・ホール(ロンドン)
“フォーレの多彩な筆致を艶やかに表出!”
オーウェンは、ユーディ・メニューイン・スクールで学び、イギリス王立音楽院でイリーナ・ザリツカヤに師事。1995年にはスコットランド国際ピアノ・コンクールでシルバー・メダルを獲得。イギリスのチェリスト、ナタリー・クラインの伴奏者としても知られますが、ソリストとして世に問うのは、ショパンでもリストでもなくフォーレ。その選択からも並々ならぬ音楽センスを予感させますが、実際の演奏はその期待どおり絶品!初期の作品においては自然体のフォルムとまろやかなタッチが作品の風情を美しき際立たせながら、緩急のコントラストも明瞭に施し、ムーディに流れることを回避している点が見事。その意味でまず心惹かれるのは「第2番」。川の流れに身を任すような浮遊感には明らかに閃きが宿っており、和声の微妙な陰影も的確に感じ取っていることが窺われます。打って変わって急速な中間部のアグレッシブな楽想でもメカニックな響きに陥らず、洒落たセンスとフレーズの端々に盛り込むことを忘れません。そして、後半の主部の繰り返しにおけるメルヘンチックな色彩!オーウェンのピアノのみならず、フォーレの音楽にますます惚れ込む方も多いのではないでしょうか。最高傑作とされる「第6番」もフォーレが書いた多彩なニュアンスの意を汲み取り尽くし、その目まぐるしい表情の変化にも恣意性が全くなくあでやかな流れを絶やしません。シンプルな書法に変化した後期の作品においては、その内面に宿る平穏と葛藤の交錯をこれまた自然に汲み上げています。「第10番」では、軽やかなリズムと旋律線の翳りのブレンドが素晴らしこと!単に渋くくすんだ音楽に響くことにもなりかねない作品ですが、たった5分の中で多彩なドラマを表出するのですから、いかに作品を深く理解し愛しているかが分かります。フォーレ最後のピアノ曲でもある「第12番」は、口ずさめるようなメロディを超越したフォーレの達観そのものを表出するかのような存在感。先にリリースされているプーランクのピアノ曲集が英国で評判というのも大きく頷けます。   


EMI
5852222(2CD)

フォーレ:主題と変奏ベートーヴェン:エロイカ主題による変奏曲とフーガ、
ブラームス:ヘンデル主題による変奏曲とフーガ、メンデルスゾーン:厳格な変奏曲、
ショパン:ピアノ協奏曲第1番、リスト:ピアノ協奏曲第1番、悲愴協奏曲*
エリック・ハイドシェック、タニア・ハイドシェック(P)*ピエール・デルヴォー(指)コロンヌO
録音:1958年〜1972年 ※ブラームス、メンデルスゾーンのみモノラル
“決して型破りでない、ハイドシェックの内省の深み!”
1枚目のCDは変奏曲のみで構成されており、ハイドシェックの変奏曲というスタイルへの絶妙な適応性を思い知らされるものになっています。中でもフォーレが傑出して感動的!「主題と変奏」は、フランス的な佇まいから脱却し、緻密な構成力が漲る逸品と知られる曲ですが、ハイドシェックはそのような曲の絶対音楽的な厳格さと共に詩情な表情と香りもふんだんに盛り込み、一種の幻想曲風な雰囲気で魅了します。一切小細工を施さずに深い悲しみ一色でテーマを奏で、優しく最初の変奏へ滑りこむその風情に、はやくも涙を禁じ得ません。ほとんどの曲が嬰ハ短調で統一されているので、全体を統合しながらそれぞれの変奏に微妙に異なるニュアンスを持たせるには、ピアニストのセンスが不可欠ですが、彼の無限とも思える陰影を含んだタッチが、その両面を見事に実現させています。第6変奏の極めてシンプルな音符の隙間からこぼれる深みは何に例えたらいいでしょう!ハイドシェックの閃きと格調に満ちた芸術性は、ベートーヴェンでも横溢!まるでビロードに触れるような美しいテクスチュアで一貫しつつ、堅固に構築される最後のフーガでは、彼の天才性を痛感。リストの第1協奏曲も、打鍵の切れ味だけで駆け抜ける表層的な演奏とは全く別次元。真のグランド・スタイルの艶やかさ、語り口の妙は、リストはやはりこうでなければと唸らせる説得力に満ち溢れています。延々と続く長いトリル(3:34など)一つとっても、こんなに音楽的に迫って来ることは滅多にありません。女性的な繊細さをもって奏でられることの多いショパンの協奏曲(第1楽章序奏部短縮版)も、情報量満点の超名演!決して情に溺れず、高貴なニュアンスを常に湛え、デルヴォーとがっぷり四つに組みながら閃き一つで勝負するスリリングな雰囲気は、何物にも代えがたい魅力です。第1楽章第2主題や第2楽章後半の上下行する走句(7:40)など、男の哀愁そのもの!終楽章冒頭主題の符点リズムに自然な華やぎを持たせた演奏としても忘れられません。さらにこの名演に一役買っているデルヴォーの存在にもご注目!その勇壮を極めたスケールと迫力は、ハイドシェック共々スリル満点!ハイドシェックは後年、デルヴォーをただの酔っ払い呼ばわりしているのが笑えますが、少なくともこの録音で聴くふたりのコンビネーションは、これ以上考えられない絶妙です。





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