湧々堂HOME 新譜速報: 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック 廉価盤 シリーズもの マニア向け  
殿堂入り:交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 オペラ バロック SALE!! レーベル・カタログ チャイ5



器楽曲R〜ラヴェル



・掲載しているCDジャケットとそのCD番号は、現役盤と異なる場合があります。
・[御購入ボタン]を設置していないアイテムもありますが、ご希望のアイテムがございましたら、
 まずはご注文フォームメールでお知らせ下さい。
 最新の状況を調べて、入荷の見込みの有無、お値段などをお返事いたします。



ラヴェル/RAVEL

フォンテック
FOCD-9878
税込定価
第7回仙台国際音楽コンクール優勝者〜チェ・ヒョンロク
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
 夜のガスパール
ショパン:24の前奏曲
チェ・ヒョンロク(P)

録音:2022年9月13〜14日 仙台市宮城野区文化センターパトナホール
“全てが完璧だからこそ引き出せる想像を絶する味わい!”
静謐な音楽のなかに、鋭意な実力を湛えるピアニスト、チェ・ヒョンロク。2019年6月に開催され た第7回仙台国際音楽コンクールでは、圧倒的な優勝を飾りました。 このCD録音は、22年9月おこなわれた同一プログラムによる東京・仙台でのリサイタルを経ての熟 成した環境での成果です。 (フォンテック)
チェ・ヒョンロク。その恐るべき才能の出現に興奮を抑えられません!3つの名曲全てが空前絶後の名演という信じがたいことが現実に起こったのです。!
 最初の「パヴァーヌ」冒頭の5秒で全身鳥肌!その温かなタッチとそこはかとない悲しみの滲み方には一切作為がなく、純粋そのもの。1:57のさりげないルフト・パウゼでは、並外れた天才を確信!3:33からのペダリングの俊敏なコントラスト付けの妙味、その先の中間部はタッチの潤いが加味、4:23からの装飾音をこれほど深く感じ切った例も他にはないでしょう。5:57からは水が砂に染み込むように音が消え入ったかと思うと、最後の最後で生命の輝きを放つ様は感動の極み!一体どんな環境で育てばこんな音のセンスが宿るのでしょうか?
 「夜のガスパール」が、これまた久々に誕生した同曲の超名演!安易な怪奇趣味に走らずしっとりとした詩情を大切にしたこのアプローチは奇跡の連続としか言いようがありません。“オンディーヌ”は、「パヴァーヌ」での見せた潤い満点のタッチの魅力を大発揮!特に上声部の煌めきと透明感は、単に高精度なタッチを目指しただけでは醸し出し得ない幻想を現出。最後の一音の余韻の意味深さも、並外れた感性の証し。“絞首台”は、ひんやりした空気感にびっくり!変ロ音で刻まれる鐘の音は、生々しい死そのものを予感させず、他の声部と美しい調和させながら虚無的な空間を導き出します。“スカルボ”は、この曲の再現に絶対的なヴィルトゥオジティが不可欠であることを再認識。持ち前の繊細な感受性を前提とした上での技巧の完璧さが、尋常ではない緊張感をもたらし、息をつく暇など皆無!タッチの俊敏さは今の時期でしかあり得ない瑞々しさを常に湛えながら、音量的にも色彩的にもこの上なくドラマティックにコントラストを施します。しかも、単純な激情や肉感的なタッチに傾かずに、血の気の引いた感触がむしろ不気味さを醸し出します。
 そしてショパン!24曲全てに宝石のような魅力が散りばめられています。「第1番」は、常套的なルバートのように見えてその内実は真の呼吸と濃密な詩情で充満。「第4番や「第6番」の、明るいタッチと淀みないフレージングとは裏腹の孤独な風情はどうでしょう!過去の名演もすべてが吹き飛ぶこの説得力と個性こそ天才の証し!「第7番」は、音のイメージには一切揺るぎがなく、内省的な美の極めます。「第12番」では、今まで一度も見せなかった鉛色のタッチを披露。彼には一体いくつの引き出しがあるのでしょう?「雨だれ」は、呼吸の持久性にご注目。、タッチの制御力には相変わらず寸分のブレがなく、中間部は長いスパンをかけてクレッシェンドし、繊細なニュアンスを維持したままffの頂点まで上り詰めるセンスは、他に類例があるでしょうか?「17番」がまた絶品!Bのテーマへ移る際の間合いの絶妙さと感度に打たれると、他の演奏の無頓着さが腹立たしくなるほどです。Cのニュアンスの多彩さもこれ以上は無理。最後に11回繰り返される変音のペダル音の混濁のなさも必聴です。「第18番」は、チェ・ヒョンロクの即興的な緩急入れ替え技の冴えと独自のドラマ表出センスに唖然。くどいようですが、彼の表現の幅は無限としか言いようがないのです。最後の「第24番」は、持てるヴィルトゥオジティの全てが炸裂。ラストで三度打ち鳴らされる低音も、ただの強打ではないことは言うまでもありません。
 というように、全てにおいて表現の幅と深さが尋常ではないのに、それを露骨に顕示せず、陶酔もせず、ただ聴き手に感動してもらうためだけに用いられる彼のピアニズムの凄さは、とても言葉では伝えきれません。是非ともその全てを漏らさず味わっていただきたいのですが、事前に体調を整えていただくことを強くお勧めします!【2023年3月・湧々堂】


TUDOR
TUDOR-777
ラヴェル:クープランの墓、高雅で感傷的なワルツ
亡き王女のためのパヴァーヌ、プレリュード、
ハイドンの名によるメヌエット、グロテスクなセレナード
ソナチネ
オメロ・フランセシュ(P)

録音:1987年
“潤いときらめきに満ちたタッチで語りかける、フランセシュの至芸!”
フランセシュは、デビュー当時にはバーンスタインにも可愛がられて脚光浴びていましたが、その後は、北欧レーベル(Kontrapunkt)へのモーツァルトの録音など、地味ながら自身の音楽性としっかり向き合った、堅実な活動を続けてきました。そのモーツァルトも素晴らしいものでしたが、このラヴェルは、彼の芸術性の全てを凝縮したものとして、まず最初にお聴きいただきたい一枚です。まず、センス満点のアゴーギクをふんだんに盛り込みながら、じっくり、しっとりと語りかける「クープランの墓」が極美!“フォルラーヌ”や“メヌエット”では、全ての音を丹念に吟味し、自ら発した音を体内に浸透させてから聴き手の耳に届けるようなゆとりから生まれる余情が感動を誘い、“トッカータ”では眩しいほどの色彩を放ちながら、押し付けがましくならず、ふわっとした呼吸で聴き手を自然と引き付けます。「ソナチネ」第1楽章の、速いパッセージでの輝きと、ゆったりしたテンポから香るエレガンスの対比も絶妙。「高雅で感傷的なワルツ」は、まず1曲目のしっかり地に足をつけたリズムとテンポの安定感が魅力で、以下の曲はどれも優しい語り口と瑞々しい音色美が堪能できますが、第5曲の沈静の中でのニュアンスの息遣せか方などは、美しすぎて言葉が出ません!録音も極上で、ホール・トーンをうまく生かしています。【湧々堂】

VIRGIN
5614892[VI](2CD)
ラヴェル:クープランの墓、亡き王女のためのパヴァーヌ
メヌエット、道化師の朝の歌、水の戯れ、
ソナチネ、グロテスクなセレナード、 夜のガスパール、他
アンヌ・ケフェレック(P)

デジタル録音
“伝統のピアニズムを今に伝える貴重なラヴェル!”
2枚で1枚分価格のお得盤!!決して雰囲気に流されず、作品のフォルムを細やかな息遣いで丹念に描き出す、手応え確かなラヴェルです。「クープランの墓」での重厚なくらいがっちりと弾き込んだ“リゴードン”や「メヌエット」の夢のような柔らかな感触と深い呼吸感との対比は絶妙!「道化師の朝の歌」のグリッサンドの美しさ、「グロテスクなセレナード」のリズムの」の沸き上がらせ方、「夜のガスパール」冒頭でのキラキラとした色彩美などなど、聴き所たっぷりです!【湧々堂】


H.M.F
HMA-190922
ラヴェル:夜のガスパール、水の戯れ、
古風なメヌエット、高雅で感傷的なワルツ、
亡き王女のためのパヴァーヌ、プレリュード、
ハイドンの名によるメヌエット、ボロディン風に、
シャブリエ風に
クロード・エルフェ(P)

録音:1970年
“ピアノを愛する全ての人の宝物!”
最初の「なき王女のためのパヴァーヌ」が鳴り出した途端、純粋無垢なタッチと、意識しなければいつの間にか消え去ってしまうほど自然なフレージングの美しさに魅了されてしまいます。ホールトーンを巧妙に取り込んだ最新録音ではないにもかかわらず、タッチの一つ一つにありのままの音楽を感じさせるのです。全ての曲に言えることですが、特に「水の戯れ」や「ハイドンの名によるメヌエット」などの柔らかな肌触りは、ピアニストの思考回路を通して操作していることを全く感じさせない、奇跡的な出来事としか言いようがありません。「ガスパール」の“オンディーヌ”の高潮点や“スカルボ”でさえ全く力みがなく、ただただ音の波しぶきが緊張を伴って押し寄せるだけですが、そこには無限のイマジネーションが溢れています。“スカルボ”の5:11以降の極限のピアニッシモに至っては、この世のものとは思えません!このような魔法のように絶え間なく紡ぎだされるタッチは、現代音楽のエキスパートとして知られる、エルフェならではの知的制御力あってことだとは思いますが、それよりも何よりも、ピアノそのものを息づかせる並外れた感性が信じられません!ドビュッシーと共に、ピアノ・ファンは必携です!!


Valois
V-4755
ラヴェル:クープランの墓、夜のガスパール、
前奏曲、ハイドンの名によるメヌエット、水の戯れ
フセイン・セルメット(P)

録音:1995年
“油絵タッチで描かれて初めて気づく、ラヴェルの音楽の魅力!”
「夜のガスパール」から、セルメット独特の色彩の放射力で圧倒!1曲目“オンディーヌ”では、文字通り水しぶきを上げて妖精が悲痛に叫ぶ様子がリアルに表現され、ダイナミックな絵巻を繰り広げます。沈静する2曲目でも、色彩の輝きは保たれ、終曲では、その色彩が黒光りへの変貌し、強弱を俊敏に施しながら、強靭な打鍵が容赦なく飛び散ります。「ハイドンの名によるメヌエット」「水の戯れ」もフランス風の洗練とは異なり、美しいリリシズムを湛えながらも、色彩はあくまでも原色タッチ。ダイナミックスの幅が実に広く、濡れたような弱音から放たれる濃厚な香気も鮮烈な印象を残します。その独特の手法を最大に開花させたのが「クープランの墓」!どこまでも繊細に軽やかに奏でられることが多いこの曲を、生命感溢れるドラマに仕立て直しているのです。リズムはキリッと立ち上げながらもタッチの線は太く、1曲目から濃密なアゴーギクでうねりまくります。中でも心を打つのが“メヌエット”で、表面的な美しさとは決別し、心のひだに触れる音楽を丹念に、ドラマティックに語ってくれます。終わりの数秒間、今までの雰囲気がもうすぐ消え去ってしまうことをこんなに惜しんだことはありません。そして最後のトリルの後ろ髪を惹かれるようなささやきの美しさ!この曲の画期的で感動的な演奏として、忘れることは出来ません。【湧々堂】


Mercury
434359
ラヴェル:夜のガスパール
ドビュッシー:ピアノのために、
 沈める寺、ヒースの茂る荒地、デルフィの舞姫、
ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」よりの3楽章
ジーナ・バッカウアー(P)

録音:1964年、1963年(ステレオ)
“女傑バッカウアーのダイナミズムと濃密なリリシズムを1枚で堪能できる!”
女性とは思えぬ大胆不敵なダイナミズムが魅力のバッカウアーですが、ここでは予想外の、繊細な技を繰り広げ、改めて彼女の芸の幅の広さを思い知らせれます。「夜のガスパール」の“絞首台”での深い沈思と、安らぎとも諦めともつかぬの表情、執拗に鳴り続ける変ロ音の囁きの意味深さは、クールに澄ました演奏、もしくは不気味さを何とか前面に出そうと苦心した演奏からは表出し得ないもので、この繰り返し耳にしたくなる風情は、他では味わうことは出来ません。“沈める寺”も同様の魅力に溢れ、ミケランジェリと対極的なアプローチですが、ここではまさに荘厳な鐘のイメージさせる強音の深みとコクのある音色が心に響きます。“デルフィの舞姫”の”息遣いも絶品です。そして、女傑の名に相応しい激演が「ペトルーシュカ」!“ロシアの踊り”は、規則正しく弾む舞曲ではなく、太い筆致で一貫させ、重心を低く保ち、縦の線をずらしてまでも濃厚な表情を施し続けます。華麗なピアニズムなどという言葉で言い尽くせないほど壮絶なのが“謝肉祭の市場”!「これ以上やりようがないわよ!」と言わんばかりに際限なく全身で弾むリズムと豪奢な色彩、強靭ながら味わいも兼ね備えた究極のタッチで、ここまで曲の容量一杯までイメージを広げた演奏を他に知りません!ピアノの響きが、相当の年代物のように独特のニュアンスを醸し出しているのも印象的。こういう演奏こそ、歴史的名演と呼ぶべきではないでしょうか。なお、「ガスパール」の各曲の冒頭には、ベルトランの詩の朗読が置かれていますが、トラックで分割されているので、飛ばすことも可能です。【湧々堂】


コロムビア
COCO-80785
ラヴェル:鏡
ショパン:スケルツォ第2番、
 夜想曲Op.55-1、夜想曲Op.55-2、
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番「幻想」
イリーナ・メジューエワ(P)

録音:1997年
“師からの完全脱皮!自身のピアニズムを全開させた幻想のピアニズム!”
いつも繊細なタチで魅了するメジューエワですが、ここで遂に、それ以上の強靭な意志と、ニュアンスの変幻自在さを加味した妙演を繰り広げるに至りました!「トロップ先生は、あまりいい顔をしないかも…」と、当時のプロデューサー氏は私にこぼしていましたが、逆にそれ位い、師譲りの堅固な構成力を突き抜けた天才的なひらめきを存分に飛翔させているメジューエワの姿がここにはあるのです。「鐘」の“蛾”の瑞々しい色彩、“道化師の朝の歌”のピアニッシモに息づく静かな熱情など、実に鮮烈ですが、驚きは「スケルツォ第2番」!情感の込め方が尋常ではなく、最後のクライマックスに向けてのパワー配分は、絶妙の極みです!スクリャービンの精神的なうねりも、端正な容姿と、デビュー時の線の細さをからは想像できないほどです。【湧々堂】


MSR
MS-1070(2CD)
ラヴェル:ソナチネ、鏡、亡き王女の為のパヴァーヌ
古風なメヌエット、夜のガスパール、
ハイドンの名によるメヌエット、シャブリエ風に、
ボロディン風に、クープランの墓、
グロテスクなセレナード、前奏曲、水の戯れ
グウェンドリン・モク(P)

録音:2001年
“ペルルミュテールから受け継いだ伝統を突き抜けた個性の閃き!”
ニューヨーク生まれのモクは、ペルルミュテールの最後の弟子。フランス文化省のお墨付きで、ペルルミュテールからみっちりとラヴェルのピアニズムの真髄を受け継ぐことを許されたピアニストです。ラヴェルが所有していたものに近い1875年生のエラール製のグランドピアノを使用。CALAレーベルにはラヴェルの協奏曲を録音しています。ここでは楽器の古雅な音色のみならず、師匠譲りと思われる淡々とした流れの中から自然な息づかいを余すところなく再現することニ専心したピアニズムが聴くほどに味わい深く、「古風なメヌエット」など、何もしていないようでいて中間部と両端部分のニュアンスをくっきりと表出。「亡き王女のパヴァーヌ」の第2主題のインテンポが実に意味深く、潤い豊かな低音部と上声部との豊かなハーモニーの妙がもたまりません!「道化師の朝の歌」では弾力性抜群のリズム感が炸裂!中間のエキゾチックなニュアンスとエキセントリックな情感の交錯ぶりが素晴らしく、柔らかな音色の反面、表現が広がり切らないことにもなり兼ねないエラールのイメージを大きく押し広げているのも実に痛快。「クープランの墓」は音像をぼかすことなく、音の隈取りをしっかり表出しながら色彩変化とリズムが持つニュアンスに焦点を当てた解釈。“リゴードン”のリズムがこんなに面白いほどに沸き立つ演奏は極めて稀でしょう。エラールで聴くラヴェルの醍醐味の極みは「夜のガスパール」の“絞首台”!


Channel Classics
CCS-17598
ラヴェル:前奏曲(初稿)、ハイドンの名によるメヌエット
亡き王女のためのためのパヴァーヌ、
クープランの墓、高雅で感傷的なワルツ、
シャブリエ風に、ボロディン風に、前奏曲(第2稿)
デヤン・ラツィック(P)

録音:2001年 デジタル録音
“ラヴェルのピアノ作品演奏史上の快挙!”
これまた衝撃の連続!希望曲のトラックを選択すると、ボタンを押し間違ったかと思うほど、それぞれの曲からかつて聴いたこともないニュアンスが次々に飛び出します。最初の「前奏曲」は、音自体の奥行きの深さが印象的で、彼の打鍵への細心の配慮を窺わせせます。しかしこれは、予想外のドラマ直前の束の間の陶酔。次の「ハイドンの名によるメヌエット」から驚天動地!テーマが独特のアゴーグクで弾みまくり、アグレッシブな閃光を放射し放題。1分弱の曲の中に、見事な起承転結を見せているので息つく暇もありません。「亡き王女のためのパヴァーヌ」もノスタルジックな甘さを思い描いているととんでもないことになります。まず、ほとんどペダルを用いずに、伴奏音型をポツポツと呟きながらの不思議な空気を醸し出ているのにびっくり。その後この主題が登場するたびにペダルの付加具合を微妙に変えていますが、それは全てのフレーズについて言えることで、それぞれにくっきりと違った表情を与え、それでいながら、見事な統一感を持たせているのです。最後にこの主題が再現される際、低音に荘重なアクセントを施し、音像を一気に拡大するセンスにも唖然としますが、コーダを強靭なフォルティッシモで締めくくるとは!これは、歴史にはっきり刻印すべき画期的な名演奏です!「クープランの墓」も曖昧模糊としたフレージングは皆無。1曲目は、超高速で一息で駆け抜けながら、繊細なアゴーギクをさり気なく盛り込み、全体に瑞々しさが横溢。彼の演奏の全てに言えることですが、こういう痛快モードの箇所でも自己アピールが鼻につくことがなく、そうあるべきものとして納得させられてしまうのです。“フォルラーヌ”も、アーティクレーションの節目が全く予想不能。“リゴードン”は、急転直下の高速ダイナミズム!そのテンポの中でも、フレーズ同士に見事な呼応性を持たせ、中間部に入ってからも、左手の声部にたっぷりと意味を持たせて生命感を絶やさないのですから、もう言葉を失うばかりです。「高雅で感傷的なワルツ」もその名の意味をはるかに飛び越えたニュアンスの溢れ方!このラヴェルでは、決して好き嫌いの問題ではなく、ラツィックが居ても立ってもいられず、そう表現するしかなかったという「表現力の塊」を是非感じていただきたいと思います。【湧々堂】


このページのトップへ


このサイト内の湧々堂オリジナル・コメントは、営利・非営利の目的の有無に関わらず、
これを複写・複製・転載・改変・引用等、一切の二次使用を固く禁じます
万一、これと類似するものを他でお見かけになりましたら、メール
でお知らせ頂ければ幸いです




Copyright (C)2004 WAKUWAKUDO All Rights Reserved.