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協奏曲B〜ベートーヴェン


レーベルと品番、ジャケット写真は管理人が所有しているものに拠っていますので、現役盤と異なる場合があります。



ベートーヴェン/BEETHOVEN
BERLIN CLASSICS
BC-0283(10CD)
ピアノ協奏曲全曲、ピアノと管弦楽の為のロンド、
ハイドン:ピアノ協奏曲 Hob.XVIII11&4、プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番、
ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽の為のカプリッチョ、
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全曲、パガニーニの主題による狂詩曲、
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、
シューマン:ピアノ協奏曲、序奏とアレグロ・アパッショナート、序奏とアレグロ Op.134、
ウェーバー:ピアノ協奏曲第1&2番、コンツェルト・シュトゥック Op.79 
ペーター・レーゼル(P)、フロール(指)ベルリンSO[ベートーヴェン]、
ヘルビッヒ(指)ベルリンSO[ハイドン]、ボンガルツ(指)ライプツィヒRSO[プロコフィエフ]、
ケーゲル(指)ドレスデンPO[ストラヴィンスキー]、ザンデルリンク(指)ベルリンSO[ラフマニノフ]、
マズア(指)ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO[チャイコフスキー&シューマン]、
ブロムシュテット(指)シュターツカペレ・ドレスデン[ウェーバー]
全てステレオ録音
“全5曲のあるべき姿をくっきりと浮かび上がらせた画期的名演!”
このベートーヴェンの第1印象は地味!こちらから積極的に聴き入る姿勢を示さない限り、その渋いニュアンスはどんどん過ぎ去ってしまいます。ちょうどシューリヒトの演奏のように…。レーゼルはテクニックもタッチも精妙を極めながら、そのことを聴き手に気付かせず、オケの楽器の一部としてのスタンスを崩さないのです。第1番はモーツァルト的なニュアンスを重視し、ダイナミックスを控えめにした繊細さな表現が印象的。第1楽章展開部の水墨画を思わせるモノクロの色彩で一貫したタッチが、緩やかな流線型を描くフレーズは、噛みしめるほどにむほどに味わいが広がります。終楽章も痛快さを徹底回避し、慈しみのタッチで一貫。第3番では、ベートーヴェンらしい剛直さを加味しますが、第1楽章冒頭の絶妙な間合い、タッチの吟味に象徴されるように、詩的なニュアンスを重視。第1楽章のカデンツァでは、今まで控えめに抑えていた表現の振幅力を一気に拡張し、レーゼルの魅力が大全開!強靭なフォルティッシモもここで初めて登場しますが、音を割らず格調高い空気がじんわりと広がります。ピアノ自体に語らせた第2楽章も絶品。終楽章の1:33からのフレーズがこれほど美しい演奏も稀です!そんなレーゼルのピアニズムと更に絶妙な相性なのが第4番!第2楽章の一見淡々としたフレージングは、孤独の戦慄ではなく、ひたむきな祈り。「皇帝」は、曲が男性的な力感に溢れている分、レーゼルのタッチの美しさがかえって際立ち、鍵盤を叩かずに奏でることを知り尽くしたピアニストだけの究極芸をとことん堪能できます。ダイナミックスの幅もグッと広がりますが、第1楽章6:52の高音のフォルティッシモに驚愕!その強健さと硬質な輝きはだの4曲のどこでも見せなかった威力!!しかも全体は、丹念に織り上げた織物のような風合いに満ちているのです!終楽章の主題の強弱の完璧なメリハリ感、リズムの高潔さにも唖然。渋さ、繊細さ、美しさ、奥深さと、あらゆるニュアンスを絶妙に織り込んだレーゼルのタッチの魅力に気付いたら最後、ちょと抜け出せないかもしれません。 


ORFEO
ORFEOR-271921
ピアノ協奏曲第1番、ブラームス:ピアノ協奏曲第2番*
ゲザ・アンダ(P)、クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1968年(ステレオ・ライヴ)、1962年*(モノラル・ライヴ)
“名コンビによる魂を込め抜いた熱きフレージングの連続!”
ベートーヴェンが実に画期的!モーツァルトの影を感じさせず、ベートーヴェンならではの強靭な意志が漲っています。潔癖な打鍵、インテンポの中に詩的な表情を込める技量もさることながら、終楽章の冒頭主題の結尾でディミヌエンドを効かせるなど、各フレーズに明確な輪郭を与えるのは、アンダ特有の最も魅力的な一面でしょう。一方ブラームスは、タッチがよりブリリアントに変貌し、ヴィルトゥオーゾぶりを大発揮。第1楽章展開部の最後(7'57)の高音トレモロはまさに命がけ!こちらはモノラルですが、そのハンディを全く感じさせないほど、アンダのピアニズムを如実に伝えています。クーベリックの指揮も実に壮大!

SONY
5033872
ピアノ協奏曲第1番、ピアノ協奏曲第4番
ロベール・カサドシュ(P)、エドゥワルド・ヴァン・ベイヌム(指)ACO
録音:1959年(ステレオ)
“オケとの絶妙なコンビネーションが、カサドシュのタッチを引き立てます!”
「第1番」は、まずベイヌムの引き出す格調の高さと、当時のコンセルトヘボウ管の音楽味満点の響きに釘付け!テンポも優雅そのもので、そこへ滑り込むカサドシュのピアノが、あのモーツァルトで見せた珠のようなタッチで慈愛のニュアンスを更に広げます。第1楽章第2主題は、まさにカサドシュのために書かれたような一体感が魅力で、全く肩に力を込めずに指先から自然に紡ぎ出される愛くるしい語りかけがたまりません!カサドシュ自作のカデンツァも魅惑的。第2楽章は、ベイヌムの描く透明度の高い音像と温かにきらめくカサドシュのタッチが見事なコントラストが聴きもの。テンポ自体がしっかり引き締まっているので、音楽が一切水っぽくなっていないのも特筆に価します。終楽章は第2主題のカサドシュの飛び込み方が衝撃的!それまで保持していたまろやかタッチから一変して決然とした意思を込めた打鍵に変貌し、この直後、オケの木管ソロの絡み合いから生まれるニュアンスも印象的。力みを感じさせずに根源的な活力を湧き上がらせている点も全く見事。
「第4番」でも、最初はジョージ・セル的な高潔さを見せるベイヌムの指揮に引きつけられます。第1楽章では7:40からのペダルを抑制した訥々としたピアノの駆け上がりと、その背後で各声部が緊密に連携を取り合っているオケのニュアンスの見事なこと!是非耳をそば立ててご注目を!第2楽章は第1番同様、伴奏の強固さが、カサドシュの真珠のようにきらめくタッチを一層引き立てています。非常に短いながら闊達な表情を持つカデンツァも魅力!なお、この録音は、カサドシュのパリでの演奏会に先立って急遽録音さたもので、なんとその二日後にはその演奏会場でレコードが売られたというスピード発売記録を作った盤としても有名。そのせいか、第4番終楽章で、一箇所ホルンが音を外しています。フィリップスのアメリカでの発売がコロムビア系のエピックであった関係から実現した企画でした。


EMI
5726802[cfp]
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番、第4番
ジョン・リル(P)、ギブソン(指)スコティッシュ・ナショナルO
録音:1975年 ステレオ録音
“ピアニストのセンスを露呈する2曲で見せつけたリルの驚異!”
まず印象的なのが、第2番でのギブソンの指揮の充実ぶり!モーツァルト風の軽妙なテクスチュアは何の変哲もないようでいて、夢をたっぷり抱いたニュアンスが心を捉えます。リルのピアノはストレートですが、第1番展開部で顕著なように、タッチそのものが洗練され、音楽的に決して上滑りしない確かな手応えを残します。第2楽章の息の長いフレージングは白眉!リルもギブソンも共に慈愛を込めながら雰囲気に溺れず、確実に前を見据えて内容豊かな音楽を繰り広げます。終楽章は気品と躍動感の融合が見事。第1副主題結尾に漂う微妙な翳りを是非お聴き逃しなく!2:17からの第2副主題の以降のオケとピアノの緊密な連携の鮮やかさと、古典様式の美しさを湛える緊張感が絶妙!先人の影響とベートーヴェン自身の個性の狭間で揺れる音楽性を的確に再現した演奏として忘れるわけにいきません。そうなると第4番も当然期待されますが、結果は予想以上の感銘度!女性的とか内省的といった特質をしっかり生かしてはいますが、それに固執しすぎて音楽が羽ばたかない演奏が多い中で、柔和な表情の中に程よい緊張を敷き詰めた演奏は希少価値。7:55からの暗い情感を透徹のタッチとギブソンの伴奏(特に低弦の生かし方!)が渾然一体となって築く数分間は、賞賛し尽くせない魅力の宝庫!ピアニストの弱音のセンスが問われる第2楽章は、音量自体はオケに埋没する寸前まで抑えながら、それによって逆に存在感をキラッと光らせる手法が素晴らしく、後半のトリルでやっと生気を取り戻す設計力にも唖然!この録音時点で、リルがチャイコフスキー・コンクール優勝してから5年しか経っていないということを考えると、パワーで逃げ切ることのできない2曲において、この揺るぎないバランス感覚と深い音楽性を示しているということは驚異です!


Concert Royale
TIM-206209(3CD)
ピアノ協奏曲第3番 +ピアノ協奏曲第1番#、第2番#、ピアノ・ソナタ第1番*、第2番*、第4番*
コンラート・ハンゼン(P)、イシュトヴァン・ケルテス(指)バンベルクS、
フェリシア・ブルーメンタール(P)
#、ロベルト・ワグナー(指)インスブルックSO#
アルフレード・ブレンデル(P)
*
録音:ステレオ
“ドイツ・ピアニズム・ファン必聴!”
フルトヴェングラーとの競演で知られるハンゼンの第3番が絶品。しかも指揮がケルテスでステレオ録音!ハンゼンは 1906年ドイツ生まれでE・フィッシャー門下。その師の衣鉢を継ぐスタイルをとことんまで堪能できる録音です。珠を転がすようなタッチから深みと刻を湛えた風情がこぼれ、ピアニッシモでも決して音楽自体を脆弱にせず、一本芯の通った精神的な逞しさを絶やさないのは、リヒター・ハーザーなどとも共通する特質です。第1楽章は第2主題に入ると柔和な表情に転じる演奏が多いですが、ここでは明快なタッチを崩さず全く媚びるそぶりを見せず男っぽさ満点!カデンツカにもご注目!ハンゼン自身の作によるカデンツァと思われます(フルトヴェングラーとの第4協奏曲もそうでした)が、これが素晴らしく、他のピアニストにも是非採用して欲しい力作です。第2楽章も強弱の振幅を意図的に操作する印象を与えない朴訥な進行がかえって心を打ちます。装飾音やトリルは決して軽く滑らすのではなく、音の粒の一つ一つが芯から響いているのです。終楽章は近年ではもっとカッコいい演奏はいくらでもありますが、この筋金入りとしかいいようなない頑丈な構築感は何度聴いても見事。一見ぶっきらぼうとも言える1:56〜1:58のフレーズの締めくくり方は、体裁よりもドイツの心意気!更に感動的なのは5:01からのまろやかなタッチに彩られた夢のようなロマン性!全く力みがなく指が勝手に動いているような自然な音楽の律動感が美しさの極み!この箇所でこんなに心奪われたことはありません。メカニックな痛快さはどこにもありませんが、逆に「巧そうに聞えない」そのピアニズムの奥に息づく息遣いを是非感じていただきたいと思います。なお、ピアノはベヒシュタインだと思われます。まだ大きき注目される以前のケルテスの指揮も磐石。ソロを見事にサポートしながらただの伴奏に止まらず、確かなバランス構築力をここでも窺い知ることができます。


MERIDIAN
CDE-84494
ピアノ協奏曲第4番、ハイドン:ピアノ協奏曲ニ長調Hob XVIII:11*
フー・ツォン(P、指揮*)、イェルジ・スウォボダ(指)シンフォニア・ヴァルソヴィア
録音:1989年(デジタル)
“ショパンの「夜想曲集」と並ぶ、フー・ツォンの感動作!”
以前ビクターの国内盤でも発売されたことのある名盤。フー・ツォンの録音の中で、ショパンの夜想曲集と並び、心の深部に食い入ってくる破格の名演奏です!ベートーヴェンは第1楽章のテンポの遅さにまずビックリ!瞑想と憧れが入り混じる不思議なニュアンスをそのテンポにたっぷり注入し、音楽が弛緩することなく、現実離れした美しい空間に聴き手を誘います。しかし、曖昧模糊とした雰囲気はどこにもなく、強固に結晶化されたタッチを終止維持し、音楽に艶やかさと造形美をもたらしているので、その魅力はあまりにも絶大です。中間で短調に転じてからの彫琢の豊かさが、カデンツァに入ると更に神々しい風格に変貌し、まさに打鍵の全てからオーラが発せられているとしか思えません。風格拡張、構築性艶やかなこと!コーダ(21:04〜)ではメゾ・フォルテでタッチの輪郭を明確に打ち出し、木管の合いの手に優しく受け渡すのをはじめとして、タッチの変化の使い分けの妙に唖然!これ以上タッチの色彩を吟味し尽くすのは不可能でしょう。フー・ツォン特有の瞑想のピアニオズムが惜しげもなく投入された第2楽章も感動的。ピアノはオケの力強い応酬から全く隔絶した世界で孤高を貫き、最後にはオケをその世界に自然に招き入れながら共に沈静していく、その両者の力関係、距離感の絶妙なバランスは、奇跡的とさえいえます。ベートーヴェンは何と素晴らしい音楽を残してくれことでしょう!終楽章も通常よりも遅いテンポを貫きますが、最初に登場するピアノの速いパッセージは珠を転がすような甘美な美しさ!この部分の美しさは古今を通じて並ぶものがないのではないでしょうか。副主題の弱音の美しさと、その中でもアクセントを確実に盛り込んで音楽をキリッと立ち上がらせる配慮も聴きもの。最後のカデンツァでは男性的な風格と呼吸の大きさに圧倒されると共に、フィー・ツォンが美しいフォルティッシモを奏でられる系名ピアニストであることもの実に示しています。スウォボダの指揮がまた見事で、まるでフー・ツォンが弾き振りしているかのように、ピアノの表現と完全に合致したニュアンスを堅実に盛り込んでいます。一方、弾き振りのハイドンも聴き逃せません!この曲の楽しさを優しく解きほぐして聴き手に届け、自ら楽しみながら華やいだ雰囲気を醸し出す様は、ベートーヴェンのときとはまるで別人!第1楽章は誰にも止められない音楽の湧き立ち方、リズムの生命感に圧倒されっぱなしです。6:04からの強靭なクレッシェンドとフレージングの持久力は、こじんまりしたハイドンのイメージを一気に払拭!第2楽章も完全に心を開放した晴れやかなに溢れ、この作品の魅力をも改めて気付かされます。終楽章はあまりの楽しさに目が回るほど!トリルを伴う音の跳ね上げの何と人なつっこいこと!!アルゲリッチの録音が有名ですが、この曲をかつて聴いたことがない方も、これを聴けば驚すること請け合い!


Audite
95.459
ピアノ協奏曲第4番、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
サー・クリフォード・カーゾン(P)、クーベリック(指)バイエルンRSO
録音:1997年 ステレオ・ライヴ録音
“壮絶な没入!強靭タッチで完全燃焼するカーゾン!”
カーゾンの広大なレンジを誇る独自のピアニズムを実感できる超名演です!「第4」は、冒頭の温かな語り掛けからうっとり。第2楽章は、誰もが期待する以上の幻想的なピアニッシモに息を呑みます。「皇帝」は更に感動的で、全ての音が意味深く鳴っているだけでなく、ふくよかなニュアンスが泉のごとく湧き上がります。第1楽章コーダの輝かしさと気品溢れるタッチの威力に呆然。終楽章の冒頭のアクセントの華麗さも鳥肌モノです!また、クーベリックの伴奏もこの上なく絶妙で、その核心に迫ろうとする意志力がカーゾンの音作りと完全に渾然一体となり、まさに協奏曲の究極のあり方を示しています。


TESTAMENT
SBT-1095
ピアノ協奏曲第4番、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
エミール・ギレリス(P)、レオポルド・ルートヴィヒ(指)フィルハーモニアO
録音:1957年(ステレオ)
“ギレリス壮年期の結晶化しきった珠玉のタッチの宝庫!”
ギレリスの「鋼鉄のタッチ」やストイックな重みになじめなかった方も、これにはうっとり聴き言ってしまうこと必至でしょう。特に第4番は、冒頭から純真で夢のようなタッチからチャーミングなニュアンスがこぼれるのにハッとさせられ、第2楽章では、この世のものとは思えぬ陶酔的なタッチに息を呑みます。あのリパッティを思わせる、あらゆる音楽要素を凝縮しつくした至高のタッチとフレージングの美しさは、10年後のセルとの再録音では、なぜか影を潜めてしまいます。


TESTAMENT
SBT-1299
ピアノ協奏曲第4番、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
ハンス・リヒター・ハーザー(P)、ケルテス(指)フィルハーモニアO
録音:1962年、1961年(共にステレオ)
“決して聴き逃してはならない、純ドイツ産ピアニズムの威光!!”
剛直さの中にも、硬質でブリリアントな光沢を誇るタッチが、縦横無尽に敷き詰められた名演!スコアの背後の音楽の核心を全て抽出しようとする一途な集中力、そこから広がる凝縮力の強い構築が、得も言われぬ感動を誘います。第4番の第2楽章では、淡々としながらもタッチの光りを失わず、独特の幻想性を現出。終楽章冒頭のピアノの出だしでも、全く力みを感じさせずに、真珠のように風合いの音を醸し出し、1:23では、突如強健な打鍵でメリハリをつけるという入念さ!「皇帝」にも、そんなリヒター・ハーザーの魅力が100%盛り込まれていて、ケルテスの壮大な指揮と共に、絢爛豪華なドラマを打ち立てています。フォルティッシモの強靭さから、ピアニッシモでの朝露のようなきらめきまで、無意味に鳴っている箇所が皆無。この曲は彼のために存在する、と言わずにいられません!「音そのものが音楽的」というピアニストが何人いるでしょうか?一方のケルテスも負けていません!持てる感性の全てをぶちまけ、「皇帝」第1楽章のピチカートの躍動、コーダでの金管の伸びなど、惜しげもなく生命力を誇示しており、オケの部分を聴くだけでも相当な手応えです。


ORFEO
ORFEO-385961
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、交響曲第8番
ウィルヘルム・バックハウス(P)、クナッパーツブッシュ(指)バイエルン国立O
録音:1957年(モノラル・ライヴ)
“意地悪クナの指揮に耐え抜いたバックハウスの強靭な意志!”
この「皇帝」は世紀の大奇演!ソリストと指揮者の個性を融合させて築き上げるのが通常の協奏曲演奏の形ですが、その対極にあるのがこれです!とにかく、ピアノとオケのアインザッツが合わないのは一度や二度ではなく、両者とも終始マイペース。全く歩み寄りを見せぬまま、遂に曲が終ってしまうのです。どうしても両者のスリリングな応酬ばかりについ意識が行ってしいがちですが、是非ここでは、スリルだけではなく、、両巨匠の音楽性そのものの飛翔ぶりにを堪能して頂きたいところです。一方、クナの十八番「第8番」は、他の録音に比べてテンポは速めですが、特有の重量感は、紛れもなくクナそのもの。平凡に流れる箇所はどこにもなく、むしろ数種存在する彼の同曲録音の中でも、殴りかかるような凄みという点でこれはダントツです。音もモノラルながら良好。


Classic FM
75605-570162
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
マリア・バッハマン(Vn)、リボル・ペシェック(指)ロイヤル・リヴァプールPO
録音:ステレオ
“万人に至福の時を約束する美しいフレージングの連続!”
聴けば聴くほど味わい深い演奏!全体に流れる気品と心地よい緊張感はムラが全くなく、じっくりとフレーズの末端まで弾ききり、自己顕示欲を剥き出しにせずに作品自体に音楽を語らせます。そういう本物のセンスを持つヴァイオリニストが今どれだけいるでしょうか?全体のフォルムの美しさ、クリーミーな美音を前にして、一部分だけを取り出してここが素晴らしいなどと形容することなど不可能です。とにかくこの絶妙な佇まい、是非お感じいただきたいものです。ペシェックの指揮の雄弁さも忘れられません。

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