湧々堂HOME 新譜速報 交響曲 管弦楽曲 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック 廉価盤 シリーズ
旧譜カタログ チャイ5 殿堂入り 交響曲 管弦楽 協奏曲 器楽曲 室内楽 声楽曲 歌劇 バロック


交響曲M〜メンデルスゾーン



・掲載しているCDジャケットとそのCD番号は、現役盤と異なる場合があります。
・[御購入ボタン]を設置していないアイテムもありますが、ご希望のアイテムがございましたら、
 まずはご注文フォームメールでお知らせ下さい。
 最新の状況を調べて、入荷の見込みの有無、お値段などをお返事いたします。


メンデルスゾーン/MENDELSSOHN
BRILLIANT
BRL-99926(7CD)
メンデルスゾーン:交響曲第1番〜第5番、弦楽のための交響曲(第1番〜第12番)
第1&4番/フランス・ブリュッヘン(指)オランダ放送CO、
第2番/アンネゲール・ストゥンフィウス、ヤン=ヘー・キム、マティアス・ブレイドルン、エド・デ・ワールト(指)オランダ放送PO&cho、
第3番/アルノルド・エストマン(指)オランダ放送CO、第5番:ジョス・ヴァン・インマゼール(指)オランダ放送CO、
弦楽交響曲/クルト・マズア(指)ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO
録音:ステレオ、デジタル
“PHILIPS盤を上回る衝撃!ブリュッヘンのメンデルスゾーン”
まず鮮烈なのが「第1番」!全ての音が内容味をたっぷり湛え、じっくりと腰をすえたテンポ感が、シンフォニックな手応えを伝えます。いかにもメンデルスゾーンらしい優美な歌に満ちた第2楽章はその魅力を余すところなく引き出しているだけでなく、独特の暗く沈みこむような音色が深遠な世界を築きます。天才メンデルスゾーンの作品は、10代のころの作品でも稚拙さを感じさせないのが常ですが、この終楽章は、ブリュッヘンの完熟の表現も手伝って、その味わいはひとしお。特に、弦のピチカートに乗せて木管ソロが登場するシーンの幻想的なニュアンスの広げ方は心に染みます。さらに凄いのが「イタリア」!まず第1楽章のテンポが実にハマっており、リズムにはコシがあり、全声部が渾然と融合。その豊穣な流れにイチコロです。提示部の繰り返しをこんなにありがたく感じたことは滅多にありません。展開部の底なしの深さと内燃エネルギーの表出の仕方は驚異的としか言いようがありません!第2楽章は強弱のレンジは広くとっていないにもかかわらず、この霊妙なニュアンスはなんと例えたらよいのでしょう。クラリネットが導く中間部旋律は太い筆致で克明に歌い、ヴィブラートを抑えているにもかかわらず、微妙な呼吸で憧れのフレーズが微妙に打ち震えているのです。第3楽章だけは重心の低いリズム感を脱して軽妙な愉悦感を醸し出しますが、やはり内包する情報量があまりにも豊かなので、音がフワフワと飛散することがありません。そして圧巻が終楽章!やや目のテンポで進行しますが、灼熱のリズムが踊りだしたくなる熱狂とは違う、聴き手の体全体をグイグイと牽引する精神的な逞しさが尋常ではありません。硬質のティンパニの響きも、その頑丈な造形とスケール感に拍車をかけます。この演奏は単に楽しい「イタリア紀行」などではありません!ブリュッヘン指揮の2曲は、1992年11月27日デジタル・ライヴ録音。


NAXOS
8.550957
メンデルスゾーン:交響曲第1番、交響曲第5番「宗教改革」
ラインハルト・ザイフリート(指)アイルランド国立SO
録音:1994年(デジタル)
“「宗教改革」における超低速の意味深さと緊張感!”
ザイフリートは、バーンスタイン、ケンペ、クーベリックなどのアシスタントを務めたドイツ出身の指揮者。「第1番」は堅実な構築力が生き、この作品に格調高い空気を盛り込んでいるのが特徴。第3楽章のメヌエットもリズムの足取りが強固で揺るぎなく、巨匠芸と呼びたくなる安定感と深みが横溢。特にトリオでの深々とした歌心は真の共感の証しで、透明感のあるオケの響きも効を奏して気品ある佇まいを醸し出しています。歌心といえば第2楽章が絶品。何というひたむきさ、敬虔な祈りに満ちていることでしょう!これみよがしに甘美なニュアンスを付け加えることなど一切なく、実に丁寧に楽想の意味を紡ぎだすセンスは本物です。若書きの印象が拭え切れない演奏が多い終楽章も安定感抜群。まさにケンペやクーベリックに通じる誠実さと美しいい和声への志向が見事に発揮されています。
しかし、さらに感動的なのが「宗教改革」!同曲にはレッパード&イギリス室内管による大推薦(Erato・廃盤)が存在しますが、この演奏はそれと拮抗する名演奏!第1楽章序奏での淡い光が優しく降り注ぐ色彩の彩、強弱の振幅の豊かさ、無限の天上世界を思わせる広大な音像の広がり!この数分間の序奏部だけで既にイチコロです!主部は持ち前の強固な造形力が発揮され、ハーモニーが緊密に連動し、素晴らしいい緊張感を生んでいます。編にゆったりと構えて格調高さを演出しようと一切せずに、リズムががっちりと牽牛に確立されているので、自然と確固たる存在感と威厳を音楽に与えているのです。展開部7:40からの熾烈な緊張感、内燃の充実ぶりには息を呑むばかり。9:07で美しくも唐突に聳えるトランペットの強奏の戦慄のニュアンス、そしてコーダでのティンパニの一瞬のクレッシェンド効果など、聴き所満載。第2楽章は約7分(ガーディナー&VPOは約5分)を要するかなりの低速テンポを採用していますが、凡庸な指揮者なら緊張を維持しきれないこと必至のこのテンポをなぜ選択したか、それが最も汲み取れるのが中間部。木管の些細なトリルも含めて、声部の受け渡しが実に優しく丁寧に行なわれ、心の中で歌を育んでいるのがひしひしと伝わるこのような演奏は、他に聴いたことがありません。「真夏の世の夢」の全曲録音を行なったら世紀の名演になることでしょう。続く第3楽章がこれまた驚異の低速!しかもあまりにも美しく儚く、終始息の長いフレージングの咽び泣きが途絶えることがないので、聴く側も生半可な気持ちで接することはできません。冒頭の下降音型のなんと深い沈み込み!アイルランド国立響の透明感に満ちた弦の魅力も余すところなく発揮され、息苦しいほどの悲哀を連綿と引き出しているのです。終楽章は冒頭の管楽器による荘重なハーモニーの内容味満点!主部直前も金管、ティンパニとも完全に分をわきまえたバランスの中で絶妙な響きを醸し、主部に入ると一部の隙もない緊張の連続に涙を禁じずえません。4:43からのチェロのフレーズの、リズム刻むヴァイオリン、合の手のクラリネットと、これまた他には考えられない有機的なコンビネーションを披露。そして品位を保ったまま最高の紅潮に達するコーダ!録音におけるホールトーンの生かし方が絶妙で、まさにこの作品に打ってつけのものといっても過言ではありません。


BMG
BVCC-7907(廃盤)

74321-846002(2CD)
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、交響曲第4番「イタリア」*
シャルル・ミュンシュ(指)ボストンSO
録音:1959年、1958年*(共にステレオ)
危険は覚悟!火の中に飛び込んだ決死のメンデルスゾーン!
洗練された優美なメンデルスゾーン像を覆す怒涛の凄演!録音の明快さ(特に日本の“K2レザーカッティング”盤)の点でも、ミュンシュのステレオ録音のなかで傑出した一枚です。第3番の第1楽章、第3楽章冒頭は、感傷を通り越して男泣き!曲の展開と共にその泣きは異常な激昂へと変化しますが、音は外へ向かって拡散せず、堅固な凝縮力を維持しているのは流石です。終楽章はティンパニが物凄い炸裂を見せますが、それだけが突出することなく、全体と溶け合って表出される真の迫力に圧倒されます。コーダのミュンシュとしては意外なほどの悠然たるテンポ設定にも御注目を!第4番も圧倒的な推進力を誇りますが、弦の細かい躍動感が見事に浮き出るにはこれ以外考えられないと納得させるテンポ感も、ミュンシュが決して暴れるだけの単純な指揮者でない事の証明でしょう。
※輸入盤74321-846002は、交響曲第3番/第4番/第5番のカップリング。


ALLEGRIA
221011[AL]
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、交響曲第4番「イタリア」
シュテファン・ザンデルリンク(指)RPO
録音:1994年(デジタル)
“クルト・ザンデルリンクの息子、シュテファンの恐るべき表現力!”
N響との共演でも、その独自の素晴らしい感性は証明済みですが、ここでも明快な意志が漲る表情付け、ダイナミックな切れ味が見事に結実しています。核となる旋律の浮き立たせには全く妥協がなく、ホルンをはじめとした対旋律を容赦なく絡ませ凝縮力の強いハーモニーを徹底して引き出しています。「スコットランド」第1楽章の展開部に入ってすぐ、テンポを落として暗い神秘の空気を醸し出すなど、完全に巨匠芸の域に達しています。豪速で突き進む「イタリア」もトスカニーニを更に瑞々しくしたような威力!


Fun House
28ED-1014
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、序曲「静かな海と楽しい航海」
ペーター・マーク(指)ベルンSO
録音:1986年(デジタル)
穏やかな詩情がとうとうと流れる、マーク円熟の「スコットランド」!
この彗星のごとく現われたマークのデジタル録音による「スコットランド」は、あのDECCAの名盤と趣が異なり、角の取れた流麗な流れがなんとも美しく、全ての音が愛情に満ち溢れています。内声を見事の浮き出しや、アーティキュレーションの細やかさはマークならではですが、そのどれもがエキセントリックにならず、音楽の奥行きを一層深めています。第1楽章は提示部をリピートしますが、あまりの美しさに冗長さを感じさせません。第2楽章は管楽器の細かい音型をきっちり吹かせて躍動感を持たせていますが、妙にいきり立つことはなく、優雅さをともった独特の雰囲気が印象的です。第3楽章は、美しいシルクのような風合いが何とも言えず、マークのこの曲への愛情が尋常でないことをひしひしと感じます。序曲がまた素晴らしい!今もってこの曲のこれ以上の演奏には遭遇していません。交響曲とは対照的に活力を前面に押し出し、構築の芯も頑丈さを増しています。色彩の表出も確信に満ち溢れていますが、全体に絶え間なく流れる気品が、この演奏をいっそう味わい深いものにしています。


ARTS
ARCHIVE-47506
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」
ペーター・マーク(指)マドリードSO
録音:1997年(デジタル)
異端のロマンチスト、ペーター・マーク執念の再録音!
マークの完熟の至芸!彼の「スコットランド」はそれぞれ固有の持ち味があって全て聴き逃せませんが、ここではオケの特性も手伝って、大胆な解釈がリアルに迫ります。まず、第1楽章冒頭の濃厚な空気からして引き込まれます。第2楽章の最高潮時の突然のホルンの雄叫びには度肝を抜かれ(ベルン響でも鳴ってはいますが、まろやか)、第3楽章の晴朗な歌に徹した第1主題と、悲壮感溢れる第2主題の絶妙な対比も、マークの最後の「スコットランド」に相応しい意味深さを伴って迫ります。「イタリア」もかなりの熱演。


ORFEO
ORFEOR-488981
メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」、
シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲、ドビュッシー:交響詩「海」
ディミトリ・ミトロプーロス(指)BPO
録音:1960年(モノラル・ライヴ)
人間技とは思えない「スコッチ」第3楽章の極美の息づかい!
メンデルスゾーンはミトロプーロスのお気に入りだけに、隅々まで独自のロマンと精神が凝縮されています。作品序奏から物思いに沈むだけでなく、激しい精神の高揚で圧倒!弦も弓を最大限に使って、火傷しそうなクレッシェンドを駆使して涙を搾り出します。第2、4楽章は極限の高速テンポで、特に2楽章の木管群のリズムの沸き立ちが強力。若き日のライスターを震え上がらせた情景が目に浮かびます。しかし、この演奏の中で最も声を大にして強調したいのが、第3楽章の序奏から主部へ入る際の奇跡的な美しさ!たった数秒間の出来事ですが、力をふわ〜っと抜きながら、しなやかに主部へ滑り込む絶妙な呼吸に心ときめいたら、一生心に宿り続けること必至です。一方、感情の激烈なうねりはシェーンベルクでも変わらず、この曲を初めて聴く方も虜になることでしょう。「海も、ティンパニ強打をはじめてして情報量の多さが尋常ではなく、単なる描写音楽を超えた、激動の人生の一大叙事詩として迫ります。


EMI
5668682[EM]
メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」、シューベルト:交響曲第8番「未完成」*
オットー・クレンペラー(指)バイエルンRSO
録音:1969年 1966年*(共にステレオ・ライヴ)
泥沼の恐怖!クレンペラー改訂版「スコットランド」!
バイエルン放送響の厚みのある響きと相俟って、クレンペラー独自の強大な音響体が極限まで肥大し、異様な音圧で聴き手に襲い掛かります。「スコットランド」の最大の聴きものは第4楽章。失速寸前のテンポの中から全声部が必至のもがきとなって浮かび上がり、更にその絶望を受け止めるべく、コーダでは例の大改訂が施されます!通常の楽天的なコーダときっぱり訣別し、第2主題に更に屈折した和声を組み込んだ不気味な楽想は、いつ聴いても背筋が凍り、まさに泥沼の様相を呈し、そのまま幕切れとなるのです。「未完成」は、晩年のクレンペラーにしてはテンポが速めで、安易な感傷など入り込む隙など与えません。リズムの強靭さ、情報量の多さは、スタジオ盤を優に圧倒。第2楽章は、“緩徐”楽章などとは呼べせない厳しい精神の高揚が感動的です!


EMI
CZS-3817882(2CD)
交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」、第5番「宗教改革」、
序曲集*(「静かな海と楽しい航海」、「フィンガルの洞窟」、「異国からの帰郷」、「ルイ・ブラス」、「アタリー」) 
リッカルド・ムーティ(指)、モーシェ・アツモン(指)*、ニュー・フィルハーモニアO
録音:1975-79年、1974年*(ステレオ)
“普遍的価値を誇る若きムーティの記念碑的名演!”
ムーティがこの3曲の交響曲を録音したのはまだ30代の前半ですが、この安定感と彫琢豊かな構築の素晴しさはまさに巨匠級の素晴しさ!
「スコットランド」は、終始落ち着いたテンポで作品の内面をじっくり見つめながら、丁寧に歌い上げています。特に第1楽章で主部に入ってからも決して先を急ぐそぶりを見せず、哀愁を掻き消さない配慮が窺え、第2楽章も決して能天気に浮かれることなくどこかか陰りがつきまとうのが印象的。第3楽章の導入部のデリカシーはあのミトロプーロスに次ぐ美しさと言っても過言ではなく、まったく妥協のないフレージングの入念さには改めて驚きを禁じ得ません。この若さで作品にこれほど真摯に対峙し、深みを感じさせる演奏が可能な指揮者が今どれだけいるでしょうか?終楽章のコーダは、ムーティならより肉感的な豪快な表現も可能でしょうが、ここでは室内楽的ともいえるほど落ち着いた足取りで精緻なアンサンブルに徹している点にも、見識の確かさを感じさせます。それらの特徴をさらに顕著に感じさせ、音楽的にもスケールアップして圧倒的な感銘をもたらすのが「イタリア」と、初CD化となる「宗教改革」。
「宗教改革」第1楽章の序奏の目の詰んだアンサンブルの美しさに早速惹きつけられ、並々ならぬ演奏への意気込みが感じられます。主部におけるシンフォニックな日機器の構築ぶりも見事で、各声部が緊密に影響し合って、とことん有機的な音楽を目指します。展開部に移行する際(6:03)の一瞬のスフォルツァンドがこれほど緊迫感をもって迫った例も他にあるでしょうか?この展開部の音楽的な深みは驚異的で、各フレーズにかなり綿密な表現を与えていますが、それらが細切れにならずに凝縮されているのです。第2楽章も「スコットランド」同様、音楽が浮き足立つことなく安定感抜群。トリオのパステル調の色彩をベースにした天上のニュアンスも絶品。ここはなんとなくやり過ごしてもそれなりに美しく仕上がる箇所かも知れませんが、この箇所を聴けば、「何もそこまで…」と声を掛けたくなるほど、音楽を生かすも殺すも自分次第というムーティの不動の使命感を痛いほど感じていただけると思います。終楽章はもう震えがとまらないほど感動的!最初の導入部で管楽器群が閃きに満ちたニュアンスを連発するところから唖然としますが、主部に入ると堅固な造型力の凄みを遂に大発揮!これほど内声のニュアンスにまで追求しながら分析的にならず、音楽が外面的に響くことなど起こりえない確信に満ち溢れた根源的なスケール感がたまりません!ティンパニのトレモロを要所要所で効果的に融合させるバランス感覚にも脱帽!
「イタリア」は初発売当初から好評で、いわゆる名盤の代表選手のようなものですが、時間の経過とともに「名盤ガイド」から消え去っていった演奏の代表格でもあります。しかし、これほど充実しきった演奏が、記憶にとどめる必要のない「一過性の名演」でしょうか!トスカニーニさえも悩ませたテンポの選択にも自身が漲り、しかも自己顕示な嫌らしさを出さずに作品自体の活力を内面から湧き上がらせる手腕は絶品。アクセントが毎回に施されているので、音楽に一層安定感が増していますが、それが押し付けがましくないので、フレージングが豊かなカンタービレとなって再現されるのです。終楽章の迫力も圧倒的。全パートが本当に各自の責任を果たしきると、単なる舞曲的な意味合いを超え、かくも芸術的な音楽として迫って来るのです!
アツモンによる序曲集も佳演揃いです。滅多に演奏されない「異国からの帰郷」が意欲満点の演奏によって音楽の魅力が倍増。「ルイ・ブラス」は馬力の演奏で、この曲にミュンシュのような男性的な逞しい推進力を求めるならこれが最右翼でしょう。


VOX
CDX-5165(2CD)
交響曲第4番「イタリア」、第3番「スコットランド」第5番、「宗教改革」
「真夏の夜の夢」〜序曲/スケルツォ/妖精の王の入場/間奏曲/夜想曲/道化師の踊り/結婚行進曲
デイヴィッド・ジンマン(指)ロチェスターPO
録音:1979-1980年(ステレオ)
天性のリズム感と瑞々しい情感の溢れ出し!
「イタリア」は、なんと天真爛漫で快活なテンポでしょう!音の凝縮が強く、リズムがしっかり安定しているので、感覚的な心地よさに止まらず手ごたえ十分!流れに全く淀みがなく、第1楽章の提示部がもっと続いて欲しいと思っていると、ありがたいことにリピートを敢行。展開部の縦割りのリズムが固いティンパニの打ち込みと共に灼熱の度を増す様も見事。第2楽章もことさら悲哀感を強調していませんが、どこか明るい涙が全体に漂い、その健康的なフレージングか素直に聴き手の胸に染み込みます。後にArte novaのブレイクするジンマンですが、明るく健康的でありながら、聴き手と共に音楽の味わいを共有するような音楽性は、この時期既に備わっていたことを痛切に感じます。第3楽章は、優しい微笑の風情が管の些細なフレーズにまで浸透。終楽章はオケの性能の良さと強固なアンサンブルが素晴らしく、2:48からのヴィオラのフレーズのリズムの躍動が意味を持って迫る箇所は、特に注目!
「真夏の夜の夢」
(Alegriaレーベルで入手可)もシンフォニックな力感を湛えながら、楽器間のフレーズの受け渡し、フレーズの呼吸など、全てが自然体そのもので、なおジンマンの驚異的な耳のよさを象徴する声部バランスの完璧さに改めてビックリ!「序曲」はアゴーギクを多用しないストレートな進行が、メンデルスゾーンの閃きの音楽性を一層引き立てています。冒頭テーマが回帰する7:02からのティンパニを固いバチに替えてピアニッシモで轟かせるのも、意味深さ満点。「夜想曲」のホルンが美しい演奏は数々ありますが、この演奏のように、きちんと拍節感を生かしながら柔和な雰囲気を醸し出した演奏は少ないように思います。それにしてもこのホルン、技巧的にも音色的にもなんと素晴らしいことでしょう!「結婚行進曲」の後半にかけての華麗な盛り上げも鮮烈。録音も優秀。これは、ジンマンの比類なき音楽性を痛感させる一枚です!


EMI
CZS-5751042(2CD)
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」モーツァルト:交響曲第36番、
ブラームス:交響曲第2番、悲劇的序曲、ハイドン協奏交響曲、
ウェーバー:「魔弾の射手」序曲、ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第2番、
R.シュトラウス:ドン・ファン*
フリッツ・ブッシュ(指)デンマークRSO、LPO*
録音:1936年*1948年〜1951年(モノラル)
リズムの躍動の本当の意味を教えてくれる、ブッシュの比類なき芸術性!
ブッシュも、日本でその真価が知られて良く知られているとは言えない巨匠の一人。ここでは、ブッシュがナチスを逃れてから晩年に至るまで深い絆で結ばれていたデンマークのオケとの名演を中心に収録されています。「イタリア」で、こんなに泣かせてもらうとは夢にも思いませんでした!第1楽章の滑り出しが前代未聞の流麗なレガートで切々と歌われ、それが全く媚びずに、得も言われぬ気品を湛えながら耳に擦り寄ってくるのです。テンポもリズムもなんと穏やかなこと!展開部の高潮点でのむせび泣きに至っては、楽器の音という認識を通り越して胸にあまりにも切実に響き、そのうえ目一杯ヴァイオリンの音価を保って涙を更に助長するのですからたまりません。フレーズの末端まで感じきった第2楽章も美しい涙色。これほどまでに濃密に叙情を湛えながら、造型の崩れが全くなく、高貴な雰囲気さえ醸し出しているのは驚異です。終楽章は持ち前のリズムの切れが冴え渡りますが、非情な叩き付けではなく、そのリズム自体が音楽的に語り掛けを行い、どんなに快速なテンポでも決して威圧せず、心から歌う柔軟さを絶やさずに、確実に音楽の持ち味を伝えてくれます。そのリズム自体の意味深さは、ブッシュの十八番「リンツ」('49年)でも如実に伝わります。第1楽章の主部は相当速いテンポですが、常にしなやか。木管のわずかなパッセージでもノリに任せて流している箇所などありません。古典のフォルムの中での丁寧ななアーティキュレーションが心に染みる第2楽章も聴きもの。第3楽章は、ぜひ符点リズムのデリカシーにご注目を。中間部の移行の自然な流れも印象的。終楽章は内声の充実を見せながら天使の戯れのような軽やかさを表出。ブラームスの第2番('47)も、「構築」という言葉が不釣合いなほど、全てが自然な流れで一貫。第1楽章の提言の導入が自然発生的に現われるところからして心を捉えます。第1主題の高潔さ、優美さを経て、エネルギーの増減も自在に有機的なフレーズがとうとうと流れます。アーテキュレーションも実に緻密ながら、その部分が突出して聴こえることが全くなく、自然なフレージングの中に完全に溶け込んでいるからこそ、これほどまでに琴線に触れるのでしょう。晦渋さよりも清々しいテクチュアが光る第2楽章も、一瞬たりとも惰性で鳴っている箇所がありません。終楽章は、なんと7分台という超高速!にもかかわらず力みというものがなく、草書風のしなやかさが横溢。一呼吸の幅を大きくとって、独特の緊張感のうちに圧倒的なクライマックスを築きます。火の玉のごとき「レオノーレ」第2番('50年ライヴ)もお聴き逃しなく!もちろん熱いだけではなく、ブッシュの魅力が全て詰まっています。裏方のトランペットの名テナーのような巧さにも驚愕!1930年代にブッシュによって発掘されたハイドンの協奏交響曲も、さすがに表情が完熟。家庭的な雰囲気を醸し出しながら、天上で聴くような風情まで漂わせるという、この魔力は一体何なのでしょうか?ソリストはオケの主席かと思いますが、技術もセンスも満点。更に魅力的なのは、この4人のソロが、独奏パートとして突出せずに、オケ全体のニュアンスと渾然一体となって聞えるところ!もちろん全ての協奏曲に当てはまることではありませんが、この曲に関しては、そのブレンド感が曲の魅力を一層引き立てるのように思われます。以上の曲でブッシュの魅力に一瞬でもハッとしたら、もう今日から貴方も彼の芸術の虜になること必至です。「ドン・ファン」(これだけピッチが高い)以外、皆、良質なモノラルです。


CLAVES
50-9912
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」【1833年〜34年改訂稿】アリア「不幸な人よ」「レナの鬱蒼とした荒野で」
オレク・カエターニ(指)ロベルト・シューマンPO、他
録音:1988年(デジタル・ライヴ)
とてつもないリズムの凄み!改訂版「イタリア」の決定版!
同オケとのシューマンの交響曲でも、父マルケヴィチ譲りの豪快さで圧倒したカエターニですが、これまた凄演!リズムを異様な重量感を伴って厳格に抉り出し、聴き手の全身を揺さぶります。第1楽章終結部のねじ伏せるようなティンパニ強打。第2楽章の改訂版特有の旋律と革新的な和声の徹底表出も、潔癖なフレージングと相俟って胸に迫ります。最も凄いのは終楽章で、冒頭から脳天を割るパワーの大噴出!意外な白熱振りを示したガーディナー盤の存在さえ忘れさせる凄みです。オケの音がここまで熱く凝縮されることに驚きを禁じえません。なお、ロベルト・シューマン・フィルは、1833年設立の名門で、ケンペも主席を務めたことがあるそうです。


東芝EMI
TOCE-1206
メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」、序曲「フィンガルの洞窟」序曲、
序曲「ルイ・ブラス」、「真夏の夜の夢」序曲
アンドレ・プレヴィン(指)LSO
録音:1976年、1978年(ステレオ)
爽やかな造型と内声の充実を兼ね備えた、プレヴィンの芸術性!
「イタリア」は、いかにもこの曲に相応しい爽やかなテクスチュアと無理のないテンポが心地よく、奇を衒ったところのない素直なフレージングがどこまでも続きますが、さりげなく施されている内声の絡み合いの充実ぶりに、プレヴィンの天才的な冴えを感じずに入られません。第1楽章展開部など、晴れやかな雰囲気を絶やさずに、全声部が持てる発言力の全てを発揮し、実に有機的な絡み合いを見せ、再現部の8:05以降の木管の華やかな浮遊のさせ方は、まるで夢の世界です!第2楽章の繊細なフレージングも魅力。第3楽章は中間部のホルンの音楽的センスと、弦のリズムのセンスにご注目を。終楽章もトスカニーニ的な厳しさとは無縁で、あくまでも淀みのない流れと、瑞々しいリズムが信条。コーダに至っても小手先で威圧せず、コクのある響きで確実な手応えをもたらしてくれるのです。


DG
449-720

DG
477-5254(8CD)
メンデルスゾーン:交響曲第5番「宗教改革」、フランク:交響曲*
ロリン・マゼール(指)BPO、ベルリンRSO*
録音:1961年(ステレオ)
“若き日のマゼールの一途なダイナミズムを炸裂させた快演!!”
2曲とも、トスカニーニばりのインテンポを基調とした直情型の迫力で圧倒!「当時の私は、家族の名が思い出せないほど熱中型だった」という言葉を裏付ける貴重な録音です。まず「宗教改革」が感動的!第1楽章は、ブレーキが効かなくなるのではと不安になるほどの猛進ぶりで、フレヴェン仕込の底光する音色と一体となって、独特の凄みが横溢。第2楽章のリズムの沸き立ち、第3楽章の豊かな詩情、終楽章の熱い凝縮力とアクセントの効果、ホルンの渋さなど、魅力は尽きません。フランクは、特に終楽章の絶えず押し寄せる熱い波しぶきが壮絶!
※8枚組BOX(4775254)には、フランクは収録されていません。→【収録曲/ベートーヴェン:交響曲 第5番、ベートーヴェン:交響曲 第6番、ブラームス:交響曲 第3番、悲劇的序曲、ベートーヴェン:序曲「献堂式」、12のコントルダンス、シューベルト:交響曲 第2、3,4,5,6,8番、モーツァルト:交響曲 第1番、28、41番、 メンデルスゾーン:交響曲 第4番 「イタリア」、 第5番 「宗教改革」、ベルリオーズ:「ロメオとジュリエット」(抜粋)、チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」、交響曲 第4番、リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲、プロコフィエフ:「ロメオとジュリエット」(5曲)、レスピーギ:交響詩「ローマの松」、ムソルグスキー:交響詩「禿山の一夜」、ブリテン:青少年のための管弦楽入門 、録音/1957年-1962年、演奏/BPO、フランス国立放送管(モーツァルト&ブリテン)】



このホームページ内の各アイテムの紹介コメントは、営利・非営利の目的の有無に関わらず、
複写・複製・転載・改変・引用等、一切の二次使用を固く禁じます。
万一、ここに掲載している文章と極めて類似するものをお見かけになりましたら、メール
でお知らせ頂ければ幸いです。




ページ先頭へ