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第6回
バール・セノフスキー
(ヴァイオリニスト)



プロフィール
1926年、フィラデルフィア生まれ。3歳から父親(ロシアからの移民でアウアーの弟子だった)の手ほどきでヴァイオリンを学び始め、やがて12歳からジュリアード音楽院で、ガラミアンに師事。兵役を経てニューヨークにデビュー。ジョージ・セルのクリーヴランド管とも共演し、大成功を収めました。1948年にはカーネギー・ホールにデビュー。1955年にはアメリカ人として初めて、エリザベート王妃コンクールに優勝。以後、アメリカを中心に演奏活動しながら、有能な若手の発掘にも尽力し、多くの才能を世に送り出しました。1983年には上海音楽院から招かれ、中国のヴァイオリン演奏の向上に貢献。晩年は、1996年から教えているピーバディ音楽院で後進の指導に当たっていましたが、2002年にボルチモアで亡くなっています。RCAにも録音を遺していますが、現在のところCDで聴くことは出来ません。

その魅力
彼の演奏の初体験は、ウォルトンの協奏曲でした。この2枚組のCDには、作曲者自身がニュージーランド響を振った第1交響曲が入っているので、それを目的に聴き始めたのですが、そのやる気満々の快演とともに、カップリングのこのヴァイオリン協奏曲のソロの凄まじさに唖然とし、以来ずっと気になる存在でした。あえて言えば、シェリングをもっと骨太にしたようなスタイルとでも言いましょうか、とにかく一点一画もおろそかにしないストイックな構成力を持ち前の集中力で一貫させ、上のパイプを手にした写真から想像されるような渋いダンディズムも感じさせる音楽作りが魅力なのですが、更に凄いのは、その厳格さゆの締め付け感を聴き手に与えないという絶妙なバランス感覚!つまり、よく使われる「集中力」という言葉の意味が、通常より格段に深いのです!ハイフェッツばりのテクニックも、それだけが一人歩きせずに常に曲への熱い共感と一体化して立ち上がるので、どんなに甘美なフレーズでも、芸術的な香りが極めて高いのです。どうぞ、そのダンディズム溢れる演奏に耳を傾けてみてください!

ディスコグラフィー
パラディス:シシリエンヌ、ヴィヴァルディ:ソナタ.イ長調、シューベルト:ソナタ.イ長調D.384、
フォーレ:子守歌、
ショスタコーヴィチ:4つの前奏曲(第10番、15番,16番、24番)、
ショパン(ミルシュテイン編):夜想曲第20番、ファリャ:スペイン舞曲、モシュコフスキ:ギター、
パガニーニ:カプリース〜第17、7番、チャイコフスキー:メロディ、ヴィエニャフスキ:華麗なポロネーズ、
カプリース.イ短調(クライスラー編)、グルック:メロディ、ゴドフスキー(ハイフェッツ編):懐かしのウィーン
バール・セノフスキー(Vn)、
ボリス・バレル、ジュリアン・マーティン、ウォン・ミー・チョ(P)
表記無し(モノラル録音)
Cembal damour
CD-106[CE]
“超絶技巧から可憐なリリシズムまで、セノフスキーの破格の音楽性を凝縮!”
このCDには様々な小品が散りばめられていますが、メロディアスな曲では、セノフスキーの真摯なアプローチがが際立って作品に格調が増し、技巧的な作品では感覚的な効果に終わらず、体の深部から噴き出るような精神的な高揚を伴って、これまた類を見ない輝かしい空間を築くという、技量の幅広さを痛感させる一枚です。1曲目の愛らしいパラディスで、一切媚びることなく気品のフォルムを確立し、そこはかとない気品が香り始めると、もう単に小品集を聴いているという感覚を忘れてしまいます。シューベルトのソナタは10分少々のシンプルな佳曲ですが、セノフスキーの手に掛かると終楽章無邪気な楽想からも、大人の風格が香り、思っても見なかった存在感で音像が迫ります。ショパンの夜想曲の編曲は、全曲の中で最も涙を誘います!過去様々なヴァイオリニストが取り上げている曲ですが、アンコールピースとしてでなく、一個の独立したヴァイオリン作品としてここまで芸術的に弾き切った演奏は他に思い当たりません。一方、民族色と華やかな技巧を要する曲での躍動感も鮮烈!ショスタコーヴィチは、ヴァイオリン技巧のオンパレードですが、その技巧の意味を完全に把握した上での確信に満ちた表情が沸き立つので説得力が破格。例えば、第10番の冒頭は弱音器付きでしんみりと開始しますが、その曇った音色が完全に表情になりきって現れ、第15番のラストのかすれた音色効果は、人が錯乱の末に息絶える瞬間に立ち会うような生々しさ!軍歌調の第16番はその泥臭さを徹底表出すると共にこってりと皮肉も利かせますが、それをストイックなフォルムの中で繰り広げるものですから、手に汗握ります。技巧曲編の圧巻はヴィエニャフフスキの「華麗なポロネーズ」!これも有名曲だけに名演が多いですが、どうしても一つだけというなら、この演奏を!各曲、音質はまちまちですが、特にストレスは感じさせません。

フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ*、ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ、ストラヴィンスキー:イタリア組曲、
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第2番
#
バール・セノフスキー(Vn)、ボリス・バレル(P)、
ヴァンデン・イェンデン(P)*
1949年 カーネゴーホール、1955年ベルギー*、
1958年#、 モノラル・ライヴ録音
Cembal damour
CD-
110[CE]
完璧なフォルム!めったに出会えぬ峻厳なニュアンス表出能力!!”
まずは、セノフスキーの気品溢れる芸風を象徴する、イタリア組曲の第4曲“ガヴォット”あたりから聴いてみて下さい。平和な雰囲気が浸透したこの1分足らずの曲の中に、何んと言う高貴な佇まいを込めていることでしょう!安易さと言うものが一切なく、かと言って強引な厳格さにも偏らないバランスの妙が、この曲集全体を一級の芸術品に押し上げています。第1曲の呼吸の深さ、第2曲で憂いを湛えながら悲しみに埋没せず、音を毅然と立たせ、どんな弱音に遭遇しても、音楽まで薄くなることことが全くないのにも、彼の音楽性が尋常でないことの証しでしょう。フォーレでは、リズムに一切弛緩を見せない厳格な構築力を堪能。最初の主題に十分に可憐な表情を与えながら、甘い雰囲気に流されず、凛とした気品を貫いています。第3楽章など、ハイフェッツを思わせる隙のない俊敏な運弓が鮮烈。終楽章は第1音の羽毛のような立ち上がりと自然そのもののヴィヴラートのセンスをどうぞお聴き逃しなく!ドビュッシーは、気まぐれな雰囲気の第2楽章でも気ままな再現にとどまりません。特に高音域のハリとコシを携えた音色の素晴らしさは例えようもありません。終楽章、テンポを落とした中間部の濃密な表情を経て、再びテンポを速めて、急速な音程の跳躍を鮮やかに繰り広げるまでの数分間では、彼の並外れたテクニックに唖然とするばかりです。そんな中、更にひときわ光り輝いているのがプロコフィエフ!先祖の血が呼び覚まされたのか、聴き手にも相当の緊張を強いるほどの没入と集中力で、細部に至るまで彫琢の限りが尽くされているのです。第1楽章の連続する3連音の主張の強さ!そこから再び主題に戻った時の神々しい風格美と活力!それら全てが、ヴァイオリンの潜在能力の全てを引出したと思える意味深さで迫ります。第2楽章がシニカルな雰囲気も、まさにセノフスキーのための曲と言いたくなるほど。終楽章では、ここでも芸術的な音の跳躍力の威力を大発揮!素晴らしさを見せつけ、コーダの精神的な加熱ぶりも圧巻。ちなみに、ピアニストのボリス・バレルは、あのシモン・バレルの息子。イタリア組曲第5曲のさり気ないグリッサンドでも窺い知れるように、伴奏者としての分をわきまえながら、雰囲気を盛り立てています。原盤が紛失しているのか、全てアナログからの起しのようで、音質にばらつきはありますが、この両者の生み出す音楽の素晴らしさはしっかり体感できます。

ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第1番、管弦楽のためのルティータ、
「ヘンリー5世」〜“彼女の柔らかい唇に触れて別れよう”、“ファルスタッフの死”
バール・セノフスキー(Vn)、
サー・ウィリアム・ウォルトン(指)ニュージーランドSO
1964年 モノラル・ライヴ録音
BRIDGE
BCD-9133(2CD)
“セノフスキーの神々しい技巧とウォルトンの感動的な指揮芸術!”
この協奏曲を献呈されたハイフェッツはアウアーの弟子ですから、セノフスキーにとって浅からぬ因縁を持つ曲と言えるのでしょう。とにかく最後まで一貫して気迫が凄まじく、テクニックは兄弟子のハイフェッツも震撼させかねない全く隙のない冴え渡り方で、しかも輝かしい美音の大放射!この曲の容量の限界まで持てる感受性の全てを影し尽くしています。第1楽章冒頭のただでさえ甘美なテーマをキューッと胸を締め付けるその美音に恍惚!十分にむせび泣きながら自らは厳しく律する精神力が伝わるので、感銘もひとしおです。曖昧さを許さないフレーズ表出を支える意思の力、特に高音域の伸びで見せる精神的な充溢ぶりも鮮烈です。第2楽章は求心力の高さと共に更に深い没入を見せ、終楽章では弓圧を変幻自在に操りつつ、激情のうねりを徹底表出。最後の8:56以降のオケとの熱い一体感と共に迫る壮絶な切り込みは、脳髄直撃!テーマを完璧なフォルムで再現する箇所の緊迫感にも言葉が出ません。伴奏の域を超えたウォルトンの指揮とオケの巧さにも唖然。そのことを最も痛烈に感じるのが「パルティータで、この曲の凄さをまざまざと突きつける妥協のない表現力の応酬です!第1曲目は単に豪奢な音の饗宴に止まらず、灼熱の精神が漲り、全ての音が極度に激高しているにもかかわらず、全く破綻を見せないオケのテクニックとスタミナも驚異的です。作曲家の自作自演は、聴き手を感動させようとするよりも、自分のイメージを引き出すのに専心して、ドライな後味しか残らないことも多いですが、第2曲でのエキゾチックな空気と色彩の生々しい表出力は、オーケストラを真に知り尽くし、音楽を心から愛してやまないウォルトンの息づかいをダイレクトに感じることができます。終曲での生命の塊と化した強固なリズムの打ち込みも、手に汗握ります。なお、録音はモノラルではありますが、音に奥行きを感じ、Orfeoのモノラル後期の放送音源のような完璧なバランスが維持されているのが驚異で、この演奏の凄さを伝えきっているのも嬉しい限りです。

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番、プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
バール・セノフスキー(Vn)、ゲイリー・グラフマン(P) 1975年 ステレオ・ライヴ
BRIDGE
BCD-9118
これぞ世紀の名演!プロコフィエフ!”
閃光のように鋭利さが特徴的なセノフスキーの新たな一面を垣間見る感動的なブラームス!冒頭の慎ましい佇まいから惹かれます。いかにもブラームスらしい、主題の断片のみが少しだけ顔を出す瞬間のはにかむ風情を経て、しだに強靭さとハリを増すまでのフォルムの美しさも格別。甘美に滑り出しながら大きく飛翔する第2主題でもそのフォルムの美しさが揺らぐことはありませんが、音の向かう方向が常に何面に向けられ、ハイフェッツ的な厳しさとシェリングのような気品が融合させた見事なフレージングを実現しているのには全く脱帽です。第2楽章では、弱音による冒頭部分で全く音像がぶれず、さり気ない上行ポルタメントのなんと琴線に触れること!スケルツォ的な場面でも表情が急に軽くなることがなく、一貫した流れを保持。最高の聴きものは6;20から高音持続音の高潔さ!静かに精神を熟成させたこの瞬間の音楽的な訴求力は、セノフスキーのセンスを象徴しているように思われます。終楽章は長い旋律線の起伏をあえて抑え、音量よりも意志の強さを増したフレージングが印象的。ブラームスのそこはかとない雰囲気を愛する方は必聴です。しかし、更に胸を打つのがプロコフィエフ!初演者オイストラフの演奏と共に、広く聴かれるべき名演です!第1楽章最初の不気味なトレモロが恐怖の予兆として真に迫り、続く暗い楽想が重い弓圧によって怨念の塊と化しています。後半のピチカートの恐ろしいまでの虚無感にもご注目!第2、第4楽章はセノフスキーの刃金のような強靭テクニックが炸裂!もちろん単なる暴力的な音楽に陥ることはなく、ブラフマン共々抑えがたい激高がガッチリと構築されているので、手応えが尋常ではありません。独りよがりの強引さを与えずに極度の緊張に包まれた空間を築く、セノフスキーの手腕を再認識させたれる名演奏です!


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