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交響曲S〜シューマン



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シューマン/SCHUMANN
交響曲全集、マンフレッド序曲
ポール・パレー(指)デトロイトSO 1955〜1958年ステレオ録音、1954年(第4番)モノラル録音
Marcury
462955
(2CD)
“パレーの知られざるロマンチシズムが立ち込める感動の逸品!”
これを聴くまでは、パレーがフランスもの以外を指揮した演奏は、家にあった擬似ステレオのベートーヴェンの「田園」しか聴いたことがなかったのですが、この「田園」に私はかなりショックを受けたのを今でも憶えています。トスカニーニ顔負けの非情な快速インテンポで、フレーズの結尾をバッサバッサと切り上げ、のどかさの欠片もない、そんな刹那的な「田園」があっていいものだろうか?と思う反面、なぜかまた聴きたくなる不思議な魅力を湛えていたのです。作品に身を投じて呼吸するよりも、リアルな音像再現を優位に置く点に惹かれたのだと思いますが、これこそがパレーの芸術の最たる特徴だいうことも、このとき確信したのでした。ところが、このシューマンで更にその確信がまた大きく揺らいだのです!彫琢の豊かさはいつものことながら、なんと遅めのテンポに乗せて、生々しくフレーズが息づいているではありませんか!第2番の第3楽章では、心からシューマンの心情に共鳴して涙するパレーの姿が目に浮かび感動的ですし、「ライン」も第1楽章など、まさに大河に抱かれるような悠然たる流れで聴き応え十分。そうかと思うと第4番「マンフレッド」は火を噴く激演!特に第4番の第1楽章の速さは空前絶後です。終楽章で段階的にテンポを落としす設計にも舌を巻きます。パレーの録音はモノラル期のものがほとんどCD化されていませんので、まだまだ知られざる真価が発見できるかもしれません。ちなみに、Mercuryの録音方式自体、ほとんど色彩感というものを感じ取れませんが、コンサートホール(これまたぼやけた録音が多い)に録音した「道化師の朝の歌」では、眩いばかりの色彩の放射に圧倒されます。

交響曲第1番「春」、交響曲第3番{ライン」
オレク・カエターニ(指)ロベルト・シューマンPO 1997年 デジタル録音
CALIG
CAL-51008
“父マルケヴィチの衣鉢を継ぐ恐るべき緊張感と怒涛の迫力!”
鬼才マルケヴィチを父に持ち、コンドラシンにも師事したカエターニ。両巨匠の最良の部分を見事に体得した彼の名は、以前にFM放送から流れたチャイコフスキーーの第5交響曲(バイエルン放送響)で衝撃を受けたかたなら、それ以来忘れられない存在になっていることでしょう。そのチャイ5でも特徴的だった、全てのフレーズの意味を徹底追及する姿勢はここでも変わりなく、とにかくナメてかかると大火傷を負うのは必至!「春」の第1楽章は、序奏からティンパニの壮絶な強打を伴ってうねりまくり、主部に入ると独自のアクセントを施しつつ、対旋律、内声部も克明にあらわにします。音像の重心は終始ずっしりと重く、巨木の如く聳えたち、オケからこんな音が出せるものなのかと、素朴な衝撃を抑えられません。第2楽章も悲しみ一色ではなく、夕日に熱い決意を誓う勇者のような趣き。第3楽章はトリオも含めて徹底したインテンポで重厚に進軍。圧巻は終楽章!腰の据わった厳格なリズムと音の厚み、ティンパニのコクと深みを湛えた打ち込み、強靭な意志の通わせ方は往年のケンペンを髣髴とさせ、凄みは極限に達します。「ライン」も月並みの名演ではありません!第1楽章は一気呵成に進みながらもやはりリズムの立ち上がり、声部の浮き立ちが精彩を極め、しかも1:26では突然第2Vnを突出させるといった激辛スパイス付き!第2楽章の呼吸の深さ、第4楽章の低音部の発言力、他を寄せ付けない荘厳な空気は、古今を通じて類例を見ません。終楽章ともなると、構成的解釈をいよいよ総動員して、聴き手に息つく暇を与えません。2:16でシューマンがチェロに要求している過酷なまでに細かいパッセージを徹底的にクローズアップさせるなど、誰が思いつくでしょう!コーダの強弱入れ替わりの妙、テンポ設定のバランスも彼の型破りの才能を物語っています。実際オケとの衝突も多いそうですが、「民主的」に事を進めているだけでは、これほどの感動的な演奏は生まれようがありません!

交響曲第1番「春」、R.シュトラウス:家庭交響曲
ディミトリ・ミトロプーロス(指)VPO 1957年 モノラル・ライヴ録音
ORFEO
ORFEOR-565011
“ドロドロとした情念を燃やすミトロプーロスの至芸!”
2曲とも、命をすり減すことも辞さない完全燃焼の感動作!シューマンは冒頭のファンファーレがいきなり神の宣告のような荘厳さで、その異様な緊張が最後まで途切れません。第2楽章の透徹し切った響きとフレージングの振幅にも思わず手を合わせたくなる敬虔さが宿っています。更に凄いのがシュトラウス!この曲を初めて聴く人でも途中で切り上げることなど許されない描写力と呪縛力!全ての音が生々しい息遣いで迫り、モノラル録音であることを忘れさる色彩の放射にも唖然とするばかりです。そんな荒波にドップリのめり込んだVPOの果敢な演奏ぶりにも御注目を!

交響曲第3番「ライン」、マンフレッド序曲*、リスト:メフィスト・ワルツ、ワーグナー:タンホイザー序曲*
ルネ・レイボヴィッツ(指)インターナショナルSO、RPO* 1960年、1962年* ステレオ録音
Chesky
CD-96[CE]
“ベートーヴェンの交響曲と共に忘れえぬ快演!!”
「ライン」はベートーヴェン同様に、独自の見識でシューマンのスコアを徹底解析し、クリアな音像を実現しているだけでなく、音楽的な共感にも溢れた素晴らしい演奏です。第1楽章からトランペットをむき出しで響かせたり、チェロの細かいパッセージを異様に浮き彫りにするなど、立体的な彫琢を築こうとする配慮に妥協は一切なし。なんと5:45では、ホルンに弱音気を付けて遠近感と色彩変化をもたらすのが衝撃的で、コーダでは突如テンポを倍近くにまで速め、ティンパニのクレッシェンドと共にサッと駆け抜けるとは、何と粋な演出!終楽章でも大河のごとくゆったり流れる演奏ではなく、音符の立ち上がりを徹底重視。それらの衝撃が感覚的な面白さに止まらず、有機的な一貫した流れとして湧き上がるところにがこの演奏の最大の魅力です。「メフィスト・ワルツ」は、この曲の最高峰の名演で、これほど多彩な色彩を大放出し、0分間全く飽きさせずに聴かせてしまう演奏は、他に類を見ません。始ってすぐのヴァイオリンの細かいパッセージが完璧に弾きこなされる所からもう釘づけ!オケの巧さにもびっくりです。

シューマン:交響曲第3番「ライン」、ロッシーニ:「タンクレディ」序曲、ストラヴィンスキー:「火の鳥」組曲
ベートーヴェン:交響曲第7番エグモント序曲
ラヴェル:マ・メール・ロア、ビゼー:子供の遊び、
J.シュトラウス:皇帝円舞曲
カルロ・マリア・ジュリーニ(指)フィルハーモニアO、
CSO
、バイエルンRSO、トリノRSO、ウィーンSO
1956年(ビゼー、ストラヴィンスキー)、1958年(シューマン)、
1964年(ロッシーニ)、1968年(エグモント)、1971年(ベト7)、
1974年(シュトラウス) J.シュトラウスのみモノラル
EMI
CZS-5754622
(2CD)
“ジュリーニの野趣と気品の絶妙なバランスを再認識させる好選曲!”
やっとCD化されたシューマンの「ライン」が超名演!CSOとの格調高い名演も決して無視できませんが、このフィルハーモニア盤は、この時期のジュリーニならではの柔軟な表情と、オケの驚異的な音楽性の湧き立ちが一体となって全編感動の塊です。第1楽章からオケの響きが極上の充実!コクを湛えながらあくまでも自然にフレーズがなされ、随所で突出するホルンやティンパニの発言が決してそれだけが浮くことなく見事に全体と溶け合っているのは、奇跡としか思えません。特にティンパニは全ての打ち込みが雄渾一色で、音が発せられるたびにゾクゾクするほどです。第2主題も悲哀を湛えながらも音がしっかり立ち、逞しいコーダまで一貫してリアルな音像を保持。第2楽章のリズムの揺れも、人の手を介していないような自然なうねりが素晴らしく、副主題の柔なかな伸びにも心ときめきます。第4楽章でも、沈鬱な空気に旋律線が淀むことなく、芯のある品格の表情が横溢。最後の数小節では深々とした息づかいと、ティンパニがまたもや意味深い轟きを披露し、他に類を見ない余韻を残しつつ終楽章に向かいます。その終楽章は、冒頭の流麗なレガートがCSO盤同様に印象的ですが、リズムに生命感が宿り、全く弛緩のない豊かな流れがCSO盤以上の閃きを放っています。コーダのアゴーギクも実に自然で、音の密度が極限に達し、揺るぎない音色の統一感と共に得も言われぬ手応えを感じさせるのです。スレレオ初期のフィルハーモニア管の録音の中でも、これはひときわ傑出しています。フィルハーモニア管といえば、デニス・ブレインの妙技が味わえる「火の鳥」を忘れるわけにいきません!終曲冒頭の彼のソロの絶世の美しさは、全身鳥肌!“カッチェイ王の踊りのバスドラムの強固な打ち込みが物を言った野趣満点の迫力や、逞しく聳え立つコーダの力感も、後のジュリーニには望めない魅力です。「皇帝円舞曲」は、文字通り高貴な佇まいが魅力。第2ワルツのオペラチックとも言える展開や、第3ワルツから第4ワルツへ移る際の吸い付くような呼吸は、何度聴いてもうっとり…。このコンビのウィンナ・ワルツがもっと世に出ることを願わずにいられません。ジュリーニお得意の「マ・メール・ロア」は、スタジオ録音ではなく、あえてバイエルンRSOとのライヴを採用した製作者の意図が痛いほど分かります。まずオケの巧さにビックリ!このオケの巧さは今更言うまでもないですが、それにしてもほとんど弱音で一貫しているこの曲に柔らかな質感を与えながら、全く取りこぼすことなく丹念に表情を紡ぎ出す技量は、ジュリーニの音楽性が色濃く反映しているとは言え、只事ではありません。第1曲のコーダや第2曲の美しいフォルムの中での深々としたニュアンスは、チェリビダッケを思わせる透明度を以って静かに語りかけ、第3曲の色彩は手作りの味わいと気品の結晶!これを聴いてしまうと、他の全ての演奏が「お気軽」に聞こえしまいます。

交響曲第3番「ライン」、ブラームス:二重協奏曲
ロルフ・クライネルト(指)ベルリンRSO(東独)、ガレイ(Vn)、アルドゥレスク(Vc)  ステレオ録音
Pirz
廃盤
“アーベントロートの後継者?、クライネルトの知られざる名演!”
DGにハイドンの「時計」などの録音もあり、アーベントロートの後継者とも目されていたらしいクライネルトのシューマンは、コンビチュニーの演奏を愛する方なら、惚れ惚れすること請け合い!いぶし銀の音色を湛えたオケを完全にドライブしつつ、内面から沸き立つ熱い音を壮大に構築させています。第2楽章などは、まさにライン川のとうとうとした流れを思わせる自在なアゴーギクと、それに支えられた豊かな表情が魅力的。ブラームスは、まるでライヴのような熱演で、各ソロが持てる限りの表現意欲を発揮しつつ、きれいごとでは済まない決死のハーモニーを展開させます。特に終楽章の内容の濃さはびっくりです。全てステレオ録音。

交響曲第4番、他
ヘンリー・アドルフ(指)南ドイツPO  ステレオ録音
CLASSICA
CD-55102
“「駅売り」の帝王アドルフの朴訥なシューマン!!”
廉価版以下の扱いで乱売されているCDの常連指揮者として、ナヌートと並ぶ存在のアドルフ。実はこのアドルフという指揮者は架空の指揮者というのが常識になっているようで、そういうものが商品化されること自体けしからん話ですが、ここではあえて、単純に演奏の面白さという点で、お伝えしようと思います。まず、この第4番が「初版」による演奏であることに御注目!オケの響きは洗練からは程遠いですが、一昔前の純然たるドイツ・オケ特有の多少くすんだ響きがなんとも味。指揮者の統率力もとても並みの指揮者の技とは思えません!全体にインテンポを基調としていますが、平板な印象与えず、見事な緊張感で統一しています。第2楽章でヴァイオリ・ソロが出てくる箇所のニュアンスの広がり、第3楽章から第4楽章へのブリッジの陰影、終楽章の推進力、中間部の弦の強固な絡み合いなど、聴き所が満載なのです。これだけの力量を持った指揮者ですから、やはりその実体を知りたいところです。ぜひこの演奏をお友達に聴かせてみてはいかがでしょうか?指揮者の名は告げずに…。

交響曲第4番、レーガー:ヒラーの主題による変奏曲、ベルリオーズ:「ベンベヌート・チェルリーニ」序曲
フリッツ・ブッシュ(指)北西ドイツRSO 1951年 モノラル・ライヴ録音
TAHRA
TAH-447
“命をすり減らす怒涛の呼吸!”
フリッツ・ブッシュの死の年の感動ライブ。このシューマンは、一人の人間から発せられる音楽表現の極限を行く壮絶な名演!第1楽章の序奏からアクセントのメリハリが異様な説得力で迫り、主部に入ると激情の本流と化します。そのフレーズのうねりは命知らずの侍のような豪快さに溢れ、展開部に入ると、ホルンがクレッシェンドしながら雄叫びを上げるのに象徴されるように、音そのものが生命力の塊となって聴き手の全身を揺さぶります。コーダの高貴な畳み掛けにも、ミトロプーロスを思わせる異次元的な光を湛えています。第2楽章はそんな激流のあとだけに、一層孤独の呟きと暗い色彩が心に染みます。豪速の第3楽章も決死の音楽!終楽章のスケール感は空前絶後!なんと主部突入前の経過句で初版の一部を採用して、迫真のドラマの幕開けを告げるのが画期的で、その後はもう血しぶきを上げながらの猛突進。これほど豪放に徹しながら、音楽が少しも乱雑にならず、それどころか、神がかり的な後光さえ滲ませる造型美で迫るのは、全く破綻を見せないオケの優秀さも大きく作用しています。シューマンの音楽に不可欠の要素のみならず、音楽のもたらす衝撃力とはどういうものなのか、この演奏は教えてくれます。レーガーでは、ブッシュの無限とも思える色彩イメージの豊かさに圧倒されること必至!第2、第5変奏などの激烈なパワー、第3変奏のメランコリックな詩情、終曲での、シューマンの時と同様の宇宙的なスケール感は、並ぶものがありません。録音も良質。

交響曲第4番[1841年初版に基づく、ブラームスとヴェルナーによる1891年改訂版]、序曲、スケルツォと終曲
フローリアン・メルツ(指)南ウェストファーレン・フィル 1994年 デジタル録音
ebs
ebs-6091
“超過激!初稿の魅力を極限まで押し広げた快挙!”
交響曲はこの版による世界初録音とされるもの。近年は初稿による演奏自体は珍しくなくなりましたが、整然と再構築された改訂版を聴き慣れている耳には、シューマンの止め処もないイマジネーションで湧き返っている初稿の筆致に触れるたびに、ブラームスがこの版を評価していたことが頷けます。ここでは1891年版を用い、オケの配置は旧式のヴァイオリン両翼型。楽器自体は現代楽器と思われ、古楽奏法を採用していますが、ここでは当時の演奏が実際にどういうであったかということは学者の方にお任せして、とにかく指揮者メルツの音楽的な表現力を体感して頂きたいものです。第1楽章の序奏冒頭から凄いパンチ力!この版では、一つの旋律を目まぐるしく楽器を移行させて繋げていくのが特徴的ですが、その橋渡しから生まれる緊張の生み出し方が絶妙で、対旋律の熾烈なぶつかり合いと裏の声部のゴリゴリとした呻きを徹底的に強調しながらそれが恣意的にならず、常に共感に溢れているので説得力が絶大です。主部に入ると荘重なテンポで一貫し、音を割った金管やティンパニの突出、激烈なクレッシェンドの応酬!ここでも感覚的な面白さを超えて、芸術的な格調を合わせ持ちながら、聴き手の全身を揺さぶらずにおかない物凄い牽引力を発揮しています。コーダの深々とした呼吸と間合いの素晴らしさも聴きもの!第2楽章は、古楽奏法を用いながらこれほど陰影に富んだニュアンスが立ち込めるのはの驚異です。第3楽章ではリズムの強靭な打ち込み自体に精神的な深みを感じさせます。0:24〜の旋律を引き継ぐホルンや木管の峻厳な立ち上がりも、なんと意味深いことでしょう。この第3楽章から終楽章へのブリッジでは、猛獣が眠りから醒めようとするような異様な緊張感と壮大な造型の広がりにしばし硬直。主部では鋭利なリズムの跳ね上がりが生命感の塊となって迫ります。いよいよコーダ突入ということを印象付ける4:29のティンパニは、革を突き破る寸前の激烈強打!この圧倒的な轟きを契機に、テンポの急緩を克明に与えて見事なクライマックスを築いています。シューマンがこういうスタイルこの曲を書かずにはいられなかったその衝動に心から共鳴した演奏と言えるのではないでしょうか。なお、メルツはこれより前に全集を別のオケと録音していますが、これは通常版による演奏でした。


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